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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1178215
審判番号 不服2006-28057  
総通号数 103 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-12-14 
確定日 2008-05-15 
事件の表示 特願2004- 43099「半導体装置とその実装方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 5月20日出願公開、特開2004-146856〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成9年5月20日(優先日:平成8年12月3日)に出願した特願平9-129931号の一部を平成16年2月19日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1?14に係る発明は、平成17年11月24日付の手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?14に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、そのうち、請求項4に係る発明(以下、「本願発明4」という。)は、次のとおりのものである。

「電極パッドが配置される第1領域と、この第1領域を囲む第2領域とにより構成される表面を有する半導体チップと、
前記表面の前記第2領域上に設けられ、前記表面の前記第1領域を露出するデバイスホールを有するベース樹脂フィルムと、
前記第1領域と前記第2領域上にわたって延在するように前記ベース樹脂フィルム上に設けられ、前記半導体チップの前記電極パッドに接続される複数のインナーリードと、
前記半導体チップの前記表面に対向して配置されるとともに、前記第2領域上の前記ベース樹脂フィルム上に設けられる第1の表面、およびこの第1の表面の反対側の面である第2の表面とを備え、かつ前記第1領域を露出する絶縁樹脂と、
前記デバイスホール外の前記第2領域上の前記絶縁樹脂に設けられ、下側の前記インナーリードを露出する電極パッドホールと
を含み、
前記複数の電極パッドホールは、前記デバイスホールの一辺に沿って配列される第1電極パッドホール列と、前記第1電極パッドホール列よりも前記半導体チップの中央部側に配列される第2電極パッドホール列とを備えており、
前記第1電極パッドホール列の前記電極パッドは、前記第2電極パッドホール列の前記電極パッドとずれて配置されている
ことを特徴とする半導体装置。」

2.引用刊行物及びその摘記事項
原査定の拒絶の理由に引用した本願出願前に国内に頒布された下記の刊行物1及び刊行物2には、次の事項が記載されている。

刊行物1:特開平7-321244号公報(平成17年9月16日付の 拒絶理由通知の引用文献1)
刊行物2:特開平8-31868号公報(同引用文献2)

(1)刊行物1の摘記事項
a.「【0027】次に本発明の第二実施例を説明する。図7は本発明の第二実施例の電気的接続ステージの断面図、図8は同電気的接続ステージにおける電子部品の要部拡大断面図である。この電気的接続ステージD’は図2の電気的接続ステージDの他の実施例である。この第二実施例では、フィルムキャリヤ23の上面の回路パターン50の内端部のインナーリード51’は開口部41へ延出し、パッド27の直上に位置している。この電気的接続ステージD’にはピン状の押圧ツール84が設けられている。押圧ツール84はアーム85の先端部に保持されている。押圧ツール84が上下動作を行うことにより、インナーリード51’をパッド27に圧接してボンディングする。図8はボンディング後の拡大断面図である。」

b.「【0010】
【実施例】次に、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第一実施例の電子部品の斜視図である。この電子部品21は、チップ22と、このチップ22の上面に貼着され、絶縁性の合成樹脂よりつくられた基板としてのフィルムキャリヤ23が主体となって構成されている。フィルムキャリヤ23の上面両側部にはバンプ24が、左右に8個づつ、計16個形成されている。」

c.「【0018】・・・図4は、チップ22がボンディングされたフィルムキャリア23を表裏反転させて示している。また図5(a)は、チップボンディングステージBにおいて、チップ22がボンディングされたフィルムキャリア23の断面を示している。図示するように、チップ22はボンド35によりアイランド40上にボンディングされる。アイランド40にボンディングされたチップ22のパッド27は、開口部41から露呈している。
【0019】図4において、フィルムキャリヤ23の裏面には、回路パターン50が形成されている。回路パターン50の内端部にはパッド51が形成されている。このパッド51は開口部41の縁部に位置している。また回路パターン50の外端部にもパッド52が形成されている。パッド52はアイランド40の外縁部に位置している。・・・図5(a)において、フィルムキャリヤ23の表面には半田レジスト膜53が予め形成されている。この半田レジスト膜53はパッド51,52以外の部分に形成されている。なお図4では、図面が繁雑になるので半田レジスト膜53は省略している。」

d.「【0023】・・・図6(b)に示すように、半田ボール24’はパッド52上に搭載される。なお半田ボール24’を搭載するのに先立って、パッド52上にはフラックスを塗布しておくことが望ましい。
【0024】・・・フィルムキャリヤ23は、・・・200℃以上まで加熱される。すると半田ボール24’は溶融し、続いて・・・冷却され、固化する。このように半田ボール24’が溶融固化することにより、図1に示すバンプ24となる。」

e.図8には、チップ表面においてフィルムキャリアの開口部に当たる部分(以下、「中央部」という。)と、その中央部の周囲を囲むようにした部分(以下、「周辺部」という。)とからなり、そして、フィルムキャリア、及び、半田レジスト膜の中央は開口されてチップ中央部が露出されている構成が記載されている。

(2)刊行物2の摘記事項
刊行物2には、以下の事項が記載されている。
f.「【図6】本発明の第1態様のBGA型半導体装置のBGA型パッケージとなるTABテープキャリアの別の実施例の平面図である。
・・・
【図8】本発明の第2態様のBGA型半導体装置のBGA型パッケージとなるTABテープキャリアの別の実施例の平面図である。」(8頁右欄:図面の簡単な説明)

g.「【0037】・・・LSIチップ12の電極パッド数や、電極パッドの引き回し等を適宜考慮して、例えば、図6または図8に示すように、デバイスホール16の2方向からインナーリード22aを突出させる、あるいは図7または図9に示すように、デバイスホール16の1方向からインナーリード22aを突出させ、はんだボール26が形成されたはんだボール形成用ランド22cを含む部分の絶縁性フィルム20を、この絶縁性フィルム20に開孔されたフレキシブルスリット18の部分で、銅パターン22を外側あるいは内側にするよう180°折り曲げて、LSIチップ12に貼り付ければ良い。」

h.図6、8の記載からみて、デバイスホールを挟んでTABテープキャリア上に形成した左右の絶縁フィルムには、それぞれ2列のはんだボール形成用ランド列がデバイスホールの一辺に沿って配列され、一方に配列されたはんだボール形成用ランド列と他方に配列されたはんだボール形成用ランド列とは、ずれて配置されていることが示されている。

3.当審の判断
(1)刊行物1に記載の発明
上記刊行物1の上記摘記事項a、c、dの記載によれば、フィルムキャリアの表面には開口部へ伸びるインナーリードを有する回路パターンが形成され、回路パターンの外端部に形成したパッドに半田ボールを搭載した後、加熱により半田ボールを溶融固化してバンプを形成している。そして、半田レジスト膜は、フィルムキャリアの表面に形成されるものの、半田ボールが搭載されるパッドには形成されないことから、パッドの上面にはパッドホールが形成されているものである。
また、上記摘記事項eによれば、フィルムキャリアの中央は開口となっており、半田レジスト膜は形成されておらず、チップ中央部は露出されている。

そこで、上記摘記事項a?eの記載をまとめると、刊行物1には、以下の発明が記載されている(以下、「刊行物1発明」という。)。
「チップと、チップの周辺部上に設けられ、チップの中央部を露出する開口部を有するフィルムキャリアと、中央部と周辺部上にわたって延在するようにフィルムキャリア上面に設けられた回路パターンの内端部であって、開口部へ伸び、チップのパッドに接続される複数のインナーリードと、チップの周辺部上のフィルムキャリア上面と、裏面とを備え、かつ中央部を露出する半田レジスト膜と、フィルムキャリアの半田レジスト膜に設けられ、回路パターンの外端部に形成したパッドを露出するパッドホールとを有している電子部品」


(2)対比・判断
本願発明4と刊行物1発明とを対比すると、刊行物1に記載の「中央部」、「周辺部」、「チップ」、「開口部」、「フィルムキャリア」、「上面」、「裏面」、及び、「半田レジスト膜」は、本願発明4の「第1領域」、「第2領域」、「半導体チップ」、「デバイスホール」、「ベース樹脂フィルム」、「第1の表面」、「第2の表面」、及び、「絶縁樹脂」に相当する。

よって、両者は、「電極パッドが配置される第1領域と、この第1領域を囲む第2領域とにより構成される表面を有する半導体チップと、前記表面の前記第2領域上に設けられ、前記表面の前記第1領域を露出するデバイスホールを有するベース樹脂フィルムと、前記第1領域と前記第2領域上にわたって延在するように前記ベース樹脂フィルム上に設けられ、前記半導体チップの前記電極パッドに接続される複数のインナーリードと、前記半導体チップの前記表面に対向して配置されるとともに、前記第2領域上の前記ベース樹脂フィルム上に設けられる第1の表面、およびこの第1の表面の反対側の面である第2の表面とを備え、かつ前記第1領域を露出する絶縁樹脂と、前記デバイスホール外の前記第2領域上の前記絶縁樹脂に設けられ下側の前記インナーリードを露出する電極パッドホールとを含む、半導体装置」の点で一致し、次の点で相違する。

相違点:電極パッドホールについて、本願発明4は、「複数の電極パッドホールは、デバイスホールの一辺に沿って配列される第1電極パッドホール列と、第1電極パッドホール列よりも半導体チップの中央部側に配列される第2電極パッドホール列とを備えており、第1電極パッドホール列の電極パッドは、第2電極パッドホール列の電極パッドとずれて配置されている」のに対し、刊行物1発明のパッドホールはそのようなものではない点。

そこで、上記相違点について次に検討する。

上記刊行物2には、上記摘記事項f?hを総合すると,BGA型半導体装置のTABテープキャリア上の絶縁性フィルムに形成されたはんだボール形成用ランド列がデバイスホールの一辺に沿って片側に2列配列しており、一方のはんだボール形成用ランド列と他方のはんだボール形成用ランド列とをずらして配置しているものが記載されているといえる。
そして、刊行物1に記載のパッドホールは、デバイスホールの一辺に沿って片側に1列配列しているものの、片側に2列配列させるようなことは単なる設計的事項にすぎないし、2列配列させる場合に、刊行物2に記載されているように、一方の列のパッドホールと他方の列のパッドホールとをずらして配置するようなことは、パッドホール数、配線パターンの引き回し等を考慮して容易に設計できる程度の事項にすぎない。

また、本願発明4の上記相違点は、格別顕著な作用効果を奏するものではない。

したがって、本願発明4は、刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明4は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、他の請求項1?3、請求項5?14に係る発明については検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-03-12 
結審通知日 2008-03-18 
審決日 2008-03-31 
出願番号 特願2004-43099(P2004-43099)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池渕 立  
特許庁審判長 岡 和久
特許庁審判官 小川 武
正山 旭
発明の名称 半導体装置とその実装方法  
代理人 山形 洋一  
代理人 前田 実  

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