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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1178354
審判番号 不服2002-12341  
総通号数 103 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-07-04 
確定日 2008-05-21 
事件の表示 特願2000- 62987「電子商取引システム、電子商取引用のサーバシステム、クライアントシステムおよびそのプログラムを記憶した記憶媒体ならびに電子商取引方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 9月14日出願公開、特開2001-250032〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年3月8日の出願であって、平成14年5月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月4日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成14年7月4日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年7月4日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正の内容
本件補正は、平成14年3月29日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲(以下、「補正前の特許請求の範囲」という。)の記載事項を以下のとおりの特許請求の範囲(以下、「補正後の特許請求の範囲」という。)の記載事項に補正することを含むものである。

(補正前の特許請求の範囲)
「【請求項1】 インターネットなどのネットワークを介してサーバシステムとクライアントシステムとの間で行なわれる電子商取引に用いられる電子商取引システムであって、
前記クライアントシステムは、
前記ネットワークを介して前記サーバシステムから提供される商品および/またはサービスからなるコンテンツ情報を、前記クライアントシステムへダウンロードするダウンロード手段と、
該ダウンロード手段により入手された前記コンテンツ情報に関する取引成立に必要となるクライアント側の取引条件を前記クライアントシステム側において入力する条件入力手段と、
該条件入力手段により前記取引条件が入力されたとき、前記ネットワークを介したサーバシステムとの情報通信を行なうことなく、該取引条件の少なくとも一部を、前記クライアントシステム側の記憶装置にファイルとして保存するファイル記憶手段と、
前記ファイルが書き換えられたとき、該ファイルの中身を参照して、前記ネットワークを介したサーバシステムとの情報通信を行なうことなく、前記クライアントシステムにおける画面表示を更新する画面表示更新手段と、
前記クライアントシステム側の所定の手続により、前記取引条件を、前記ネットワークを介して、前記サーバシステムへ送信する送信手段と
を備え、
前記サーバシステムは、該送信された取引条件を受け付け、該受け付けた取引条件に基づいて取引を成立させる取引成立手段とを備える
電子商取引システム。
【請求項2】 請求項1記載の電子商取引システムであって、
サーバシステムは、ウェブ・サーバシステムであり、前記ダウンロード手段、前記条件入力手段、前記ファイル記憶手段、前記画面表示更新手段および前記送信手段としてクライアントシステムを作動させるためのジャバスクリプトを埋め込んだハイパー・テキスト・マークアップ言語形式のハイパーテキストファイルを記憶しており、
クライアントシステムは、少なくともハイパーテキスト転送プロトコルを実行して、前記ウェブサーバシステム上に置かれた前記ハイパーテキストファイルを読み込み、当該ハイパーテキストファイルに埋め込まれたジャバスクリプトに基づいた処理を行なうウェブ・ブラウザを実行することで、前記ダウンロード手段、前記条件入力手段、前記ファイル記憶手段、画面表示更新手段および前記送信手段の機能を実現するシステムである
電子商取引システム。
【請求項3】 請求項1または請求項2記載の電子商取引システムであって、
前記ファイル記憶手段は、前記ダウンロード手段によりダウンロードされた前記コンテンツ情報および前記条件入力手段により入力される取引条件が、前記クライアントシステムにおいて異なるフレームおよび/または異なるブラウザにより取り扱われているとき、それぞれの異なるフレームおよび/または異なるブラウザによる取引条件の入力を、前記ファイルに統合して記憶する手段である電子商取引システム。
【請求項4】 画面表示更新手段は、前記ファイルに統合して記憶された複数の取引情報を単一のウインドウとして提示する請求項3記載の電子商取引システム。
【請求項5】 請求項4記載の電子商取引システムであって、
前記ファイルとは別に、該ファイルに対応付けられたファイルを、複写ファイルとして用意し、
取引情報を表示する単一のウィンドウが表示されているとき、所定のインターバルで、前記ファイルの内容を、前記複写ファイルにコピーする複写手段と、
前記クライアントシステムにおいて、新たな取引条件が指定されたとき、該指定された取引条件に従って前記ファイルを書き換えると共に、前記ファイルと前記複写ファイルとの内容を比較し、両者が不一致の場合には、前記取引情報を表示する単一のウィンドウが表示されていないと判断し、前記単一のウィンドウの表示を行なう手段と
を備えた電子商取引システム。
【請求項6】 請求項4記載の電子商取引システムであって、
取引情報を表示する単一のウィンドウが表示されているとき、所定のインターバルで、前記ファイルの所定の記憶領域に乱数を書き込む乱数書込手段と、
前記クライアントシステムにおいて、新たな取引条件が指定されたとき、該指定された取引条件に従って前記ファイルを書き換えると共に、前記ファイルの前記所定の記憶領域の内容を読み出し、該内容が書き換えられているか否かを判断する書換判断手段と、
該内容が書き換えられていない場合には、前記取引情報を表示する単一のウィンドウが表示されていないと判断し、前記単一のウィンドウの表示を行なう表示開始手段と
を備えた電子商取引システム。
【請求項7】 前記ファイル記憶手段は、前記ファイルを前記クライアントシステムが実行する前記ウェブ・ブラウザが管理するクッキーとして記述する請求項2記載の電子商取引システム。
【請求項8】 前記取引成立手段は、前記受け付けた取引条件を検証し、該取引条件が認証された場合に取引を成立させる手段である請求項1記載の電子商取引システム。
【請求項9】 インターネットなどのネットワークを介して、請求項1ないし7記載のいずれかの電子商取引システムを構成し、前記電子商取引を行なう電子商取引用のサーバシステムであって、
ウェブ・サーバとして機能する手段と、
前記ダウンロード手段、前記条件入力手段、前記ファイル記憶手段、前記画面表示更新手段および前記送信手段としてクライアントシステムを作動させるためのジャバスクリプトを埋め込んだハイパーテキスト・マークアップ言語形式のファイルを、前記クライアントシステムに送信する手段と、
前記クライアントシステムから、前記ネットワークを介して送信されてきた取引条件を受け付け、該受け付けた取引条件により取引を成立させる取引成立手段と
を備える電子商取引用のサーバシステム。
【請求項10】 インターネットなどのネットワークを介してサーバシステムとの間で行なわれる電子商取引に用いられるクライアントシステムであって、
前記ネットワークを介して前記サーバシステムから提供される商品および/またはサービスからなるコンテンツ情報を受け取る受信手段と、
該ダウンロード手段により入手された前記コンテンツ情報に関する取引成立に必要となる取引条件を入力する条件入力手段と、
該条件入力手段により前記取引条件が入力されたとき、前記ネットワークを介したサーバシステムとの情報通信を行なうことなく、該取引条件の少なくとも一部を、記憶装置にファイルとして保存するファイル記憶手段と、
前記ファイルが書き換えられたとき、該ファイルの中身を参照して、前記ネットワークを介したサーバシステムとの情報通信を行なうことなく、モニタの画面表示を更新する画面表示更新手段と、
所定の手続により、前記取引条件を、前記ネットワークを介して、前記サーバシステムへ送信する送信手段と
を備えるクライアントシステム。
【請求項11】 インターネットなどのネットワークを介してサーバシステムとの間で行なわれる電子商取引に用いられるクライアントシステムを構成するコンピュータにより読み取り可能な媒体であって、
前記ネットワークを介して前記サーバシステムから提供される商品および/またはサービスからなるコンテンツ情報を受け取る機能と、
該入手された前記コンテンツ情報に関する取引成立に必要となる取引条件を入力する機能と、
該取引条件が入力されたとき、前記ネットワークを介したサーバシステムとの情報通信を行なうことなく、前記取引条件の少なくとも一部を、記憶装置にファイルとして保存する機能と、
前記ファイルが書き換えられたとき、該ファイルの中身を参照して、前記ネットワークを介したサーバシステムとの情報通信を行なうことなく、モニタの画面表示を更新する機能と、
所定の手続により、前記取引条件を、前記ネットワークを介して、前記サーバシステムへ送信する機能と
をクライアントシステムにおいて実現するプログラムを記憶した記憶媒体。
【請求項12】 インターネットなどのネットワークを介してサーバシステムとクライアントシステムとの間で電子商取引を行なう方法であって、
前記ネットワークを介して前記サーバシステムから提供される商品および/またはサービスからなるコンテンツ情報を、前記クライアントシステムへダウンロードし、
該ダウンロードにより入手された前記コンテンツ情報に関する取引成立に必要となるクライアント側の取引条件を前記クライアントシステム側において入力し、
該取引条件が入力されたとき、前記ネットワークを介したサーバシステムとの情報通信を行なうことなく、前記取引条件の少なくとも一部を、前記クライアントシステム側の記憶装置にファイルとして保存し、
前記ファイルが書き換えられたとき、該ファイルの中身を参照して、前記ネットワークを介したサーバシステムとの情報通信を行なうことなく、前記クライアントシステムにおける画面表示を更新し、
前記クライアントシステム側の所定の手続により、前記取引条件を、前記ネットワークを介して、前記サーバシステムへ送信し、
前記サーバシステムは、該送信された取引条件を受け付け、該受け付けた取引条件に基づいて取引を成立させる
電子商取引方法。
【請求項13】 請求項12記載の電子商取引方法であって、
前記ネットワークを介して前記サーバシステムへ送信されてきた取引条件を一旦受け付け、
当該受け付けた取引条件を検証し、該取引条件が認証された場合に、当該取引条件により取引を成立させる
電子商取引方法。」

なお、補正前の請求項1及び12の第1段落の「…サーバシステムとクライアントシステムシステムとの間で…」との記載は、「…サーバシステムとクライアントシステムとの間で…」との誤記であることが明らかであるので上記のとおり認定した。

(補正後の特許請求の範囲)
「【請求項1】 インターネットなどのネットワークを介してサーバシステムとクライアントシステムとの間で行なわれる電子商取引に用いられる電子商取引システムであって、
前記クライアントシステムは、
前記ネットワークを介して前記サーバシステムから提供される商品および/またはサービスからなるコンテンツ情報を、前記クライアントシステムへダウンロードすると共に、該コンテンツ情報を、少なくとも一つのウィンドウを開いて表示するダウンロード手段と、
該ダウンロード手段により入手され、表示された前記コンテンツ情報に関する取引成立に必要となるクライアント側の取引条件の入力を、前記ウィンドウにおいて行なう条件入力手段と、
該条件入力手段により前記取引条件が入力されたとき、前記ネットワークを介したサーバシステムとの情報通信を行なうことなく、該取引条件の少なくとも一部を、前記クライアントシステム側の記憶装置にファイルとして保存するファイル記憶手段と、
所定のインターバルで動作し、前記ファイルの書き換えを検出したとき、該ファイルの中身を参照して、前記ネットワークを介したサーバシステムとの前記取引条件に関する情報通信を行なうことなく、前記クライアントシステム側に取引条件に関する取引情報を表示する単一のウィンドウを表示すると共に、前記ファイルに保存された取引条件に従って、該単一のウィンドウの画面表示を更新する画面表示更新手段と、
前記クライアントシステム側の所定の手続により、前記取引条件を、前記ネットワークを介して、前記サーバシステムへ送信する送信手段と
を備え、
前記サーバシステムは、該送信された取引条件を受け付け、該受け付けた取引条件に基づいて取引を成立させる取引成立手段とを備える
電子商取引システム。
【請求項2】 請求項1記載の電子商取引システムであって、
サーバシステムは、ウェブ・サーバシステムであり、前記ダウンロード手段、前記条件入力手段、前記ファイル記憶手段、前記画面表示更新手段および前記送信手段としてクライアントシステムを作動させるためのジャバスクリプトを埋め込んだハイパー・テキスト・マークアップ言語形式のハイパーテキストファイルを記憶しており、
クライアントシステムは、少なくともハイパーテキスト転送プロトコルを実行して、前記ウェブサーバシステム上に置かれた前記ハイパーテキストファイルを読み込み、当該ハイパーテキストファイルに埋め込まれたジャバスクリプトに基づいた処理を行なうウェブ・ブラウザを実行することで、前記ダウンロード手段、前記条件入力手段、前記ファイル記憶手段、画面表示更新手段および前記送信手段の機能を実現するシステムである
電子商取引システム。
【請求項3】 請求項1または請求項2記載の電子商取引システムであって、
前記ファイル記憶手段は、前記ダウンロード手段によりダウンロードされた前記コンテンツ情報および前記条件入力手段により入力される取引条件が、前記クライアントシステムにおいて異なるブラウザのウィンドウまたは一つのブラウザが表示するウィンドウ内の異なるフレームにより取り扱われているとき、それぞれの異なるウィンドウおよび/または異なるフレームによる取引条件の入力を、前記ファイルに統合して記憶する手段である電子商取引システム。
【請求項4】 請求項3記載の電子商取引システムであって、
前記ファイルとは別に、該ファイルに対応付けられたファイルを、複写ファイルとして用意し、
取引情報を表示する単一のウィンドウが表示されているとき、所定のインターバルで、前記ファイルの内容を、前記複写ファイルにコピーする複写手段と、
前記クライアントシステムにおいて、新たな取引条件が指定されたとき、該指定された取引条件に従って前記ファイルを書き換えると共に、前記ファイルと前記複写ファイルとの内容を比較し、両者が不一致の場合には、前記取引情報を表示する単一のウィンドウが表示されていないと判断し、前記単一のウィンドウの表示を行なう手段と
を備えた電子商取引システム。
【請求項5】 請求項3記載の電子商取引システムであって、
取引情報を表示する単一のウィンドウが表示されているとき、所定のインターバルで、前記ファイルの所定の記憶領域に乱数を書き込む乱数書込手段と、
前記クライアントシステムにおいて、新たな取引条件が指定されたとき、該指定された取引条件に従って前記ファイルを書き換えると共に、前記ファイルの前記所定の記憶領域の内容を読み出し、該内容が書き換えられているか否かを判断する書換判断手段と、
該内容が書き換えられていない場合には、前記取引情報を表示する単一のウィンドウが表示されていないと判断し、前記単一のウィンドウの表示を行なう表示開始手段と
を備えた電子商取引システム。
【請求項6】 インターネットなどのネットワークを介して、請求項1ないし5記載のいずれかの電子商取引システムを構成し、前記電子商取引を行なう電子商取引用のサーバシステムであって、
ウェブ・サーバとして機能する手段と、
前記ダウンロード手段、前記条件入力手段、前記ファイル記憶手段、前記画面表示更新手段および前記送信手段としてクライアントシステムを作動させるためのジャバスクリプトを埋め込んだハイパーテキスト・マークアップ言語形式のファイルを、前記クライアントシステムに送信する手段と、
前記クライアントシステムから、前記ネットワークを介して送信されてきた取引条件を受け付け、該受け付けた取引条件により取引を成立させる取引成立手段と
を備える電子商取引用のサーバシステム。
【請求項7】 インターネットなどのネットワークを介してサーバシステムとの間で行なわれる電子商取引に用いられるクライアントシステムであって、
前記ネットワークを介して前記サーバシステムから提供される商品および/またはサービスからなるコンテンツ情報を、前記クライアントシステムへダウンロードすると共に、該コンテンツ情報を、少なくとも一つのウィンドウを開いて表示するダウンロード手段と、
該ダウンロード手段により入手され、表示された前記コンテンツ情報に関する取引成立に必要となるクライアント側の取引条件の入力を、前記ウィンドウにおいて行なう条件入力手段と、
該条件入力手段により前記取引条件が入力されたとき、前記ネットワークを介したサーバシステムとの情報通信を行なうことなく、該取引条件の少なくとも一部を、前記クライアントシステム側の記憶装置にファイルとして保存するファイル記憶手段と、
所定のインターバルで動作し、前記ファイルの書き換えを検出したとき、該ファイルの中身を参照して、前記ネットワークを介したサーバシステムとの前記取引条件に関する情報通信を行なうことなく、前記クライアントシステム側に取引条件に関する取引情報を表示する単一のウィンドウを表示すると共に、前記ファイルに保存された取引条件に従って、該単一のウィンドウの画面表示を更新する画面表示更新手段と、
所定の手続により、前記取引条件を、前記ネットワークを介して、前記サーバシステムへ送信する送信手段と
を備えるクライアントシステム。
【請求項8】 インターネットなどのネットワークを介してサーバシステムとの間で行なわれる電子商取引に用いられるクライアントシステムを構成するコンピュータにより読み取り可能な媒体であって、
前記ネットワークを介して前記サーバシステムから提供される商品および/またはサービスからなるコンテンツ情報を、前記クライアントシステムへダウンロードすると共に、該コンテンツ情報を、少なくとも一つのウィンドウを開いて表示する機能と、
該入手されて表示された前記コンテンツ情報に関する取引成立に必要となるクライアント側の取引条件の入力を、前記ウィンドウにおいて行なう機能と、
該取引条件が入力されたとき、前記ネットワークを介したサーバシステムとの情報通信を行なうことなく、該取引条件の少なくとも一部を、前記クライアントシステム側の記憶装置にファイルとして保存する機能と、
所定のインターバルで動作し、前記ファイルの書き換えを検出したとき、該ファイルの中身を参照して、前記ネットワークを介したサーバシステムとの前記取引条件に関する情報通信を行なうことなく、前記クライアントシステム側に取引条件に関する取引情報を表示する単一のウィンドウをモニタの画面に表示すると共に、前記ファイルに保存された取引条件に従って、該単一のウィンドウの画面表示を更新する機能と、
所定の手続により、前記取引条件を、前記ネットワークを介して、前記サーバシステムへ送信する機能と
をクライアントシステムにおいて実現するプログラムを記憶した記憶媒体。
【請求項9】 インターネットなどのネットワークを介してサーバシステムとクライアントシステムとの間で電子商取引を行なう方法であって、
前記ネットワークを介して前記サーバシステムから提供される商品および/またはサービスからなるコンテンツ情報を、前記クライアントシステムへダウンロードすると共に、該コンテンツ情報を、少なくとも一つのウィンドウを開いて表示し、
該ダウンロードより入手されて表示された前記コンテンツ情報に関する取引成立に必要となるクライアント側の取引条件の入力を、前記ウィンドウにおいて行ない、
該取引条件が入力されたとき、前記ネットワークを介したサーバシステムとの情報通信を行なうことなく、前記取引条件の少なくとも一部を、前記クライアントシステム側の記憶装置にファイルとして保存し、
所定のインターバルで前記ファイルの中味の書き換えを検出し、該ファイルの書き換えを検出したとき、該ファイルの中身を参照して、前記ネットワークを介したサーバシステムとの前記取引条件に関する情報通信を行なうことなく、前記クライアントシステム側に取引条件に関する取引情報を表示する単一のウィンドウを表示すると共に、前記ファイルに保存された取引条件に従って、該単一のウィンドウの画面表示を更新し、
前記クライアントシステム側の所定の手続により、前記取引条件を、前記ネットワークを介して、前記サーバシステムへ送信し、
前記サーバシステムは、該送信された取引条件を受け付け、該受け付けた取引条件に基づいて取引を成立させる
電子商取引方法。」

なお、補正後の請求項1及び9の第1段落の「…サーバシステムとクライアントシステムシステムとの間で…」との記載は、「…サーバシステムとクライアントシステムとの間で…」との誤記であることが明らかであり、また、請求項6の「…請求項1ないし7記載のいずれかの…」との記載は、当該請求項より前の請求項を引用しようとするもので、「…請求項1ないし5記載のいずれかの…」との誤りであると認められるから、補正後の各請求項に係る発明を上記のように認定した。

(2)本件補正の適否
補正前の請求項の記載と、補正後の請求項の記載からみて、補正前の請求項4,7,8,13は、削除され、補正前の請求項1,2,3,5,6,9,10,11,12が補正後の請求項1ないし9に、それぞれ対応するものと認められる。
そして、補正後の請求項1は、
(1)補正前の請求項1の「ダウンロード手段」について、「…と共に、該コンテンツ情報を、少なくとも一つのウィンドウを開いて表示する」との限定をし、
(2)補正前の請求項1の「条件入力手段」について、「表示された前記コンテンツ情報に関する取引成立に必要となるクライアント側の取引条件の入力を、前記ウィンドウにおいて行なう」との限定をし、
(3)補正前の請求項1の「画面表示更新手段」について、「所定のインターバルで動作し、前記ファイルの書き換えを検出したとき、取引条件に関する取引情報を表示する単一のウィンドウを表示すると共に、前記ファイルに保存された取引条件に従って、該単一のウィンドウの画面表示を更新する」との限定をするものである。

そうすると、請求項1についての補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、特許法第17条の2第4項第2号の規定に適合するので、補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(3)独立特許要件
(3-1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された、特開平10-105599号公報には、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子ショッピングシステムに係わり、特に、購入する商品の選択、確認等を消費者が効率的に行うことのできる買物かご機能提供方法に関する。」
(イ)「【0012】
【課題を解決するための手段】本発明では、買物かご機能を電子ショップ本体とは別のウィンドウによって提供し、そのウィンドウをマウスなどのポインティング・デバイスの動きと連動させて、ポインタのすぐそばに表示させるものである。ここで言う買物かご機能とは、買物かご本体である購入する商品のリスト、商品を買物かごに入れる機能、買物かご中の商品を変更する機能、買物かご中の商品を購入する機能などである。買物かご本体は常に表示させないで、替わりに買物かごの内容表示を画面上に呼び出す機能を提供してもよい。これらの機能は全てを買物かごウィンドウに置く必要はなく、頻繁に使用する機能や商品カタログを見ながら使用したい機能、即ち、商品を買物かごに入れる機能や、買物かごを呼び出す機能などだけを買物かごウィンドウ上に置き、その他の機能は買物かご本体を表示する画面上に置くようにしてもよい。」
(ウ)「【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明する。
【0014】図1は、本発明を適用した電子ショッピングシステムにおけるシステム構成を示すブロック図である。
【0015】図1において、100は消費者が電子ショッピングを行うために利用するショッピングクライアントである。102は商品に関するカタログ情報を表示する表示装置であり、キーボード104、マウス106は、消費者がカタログや買物かごを操作するための入力を行う際に使用される。また、カタログの中に音声による情報がある場合はスピーカー108からその音声情報を出力する。110は制御装置であって、メインメモリ112に格納されたプログラムを使い、通信装置114によって公衆回線120を介して、ショッピングサーバとデータをやり取りしながらショッピング処理を行う。ショッピングクライアント100としては、専用端末装置のほか、いわゆるパーソナルコンピュータ(PC)のような汎用的な情報端末装置を用いることができる。
【0016】130は、電子ショッピングのショッピングサーバである。136はメインメモリ、138は通信装置、140は制御装置であり、ショッピングクライアント100からのリクエストに応じてカタログ情報142を送信する。また、ショッピングクライアントから買物かごの操作が指示されると、商品DB144に格納された情報を使用して、買物かご情報146の内容を変更する。表示装置132、キーボード134は、ショッピングサーバ130中のプログラムおよびデータのメンテナンスなどに使用される。ショッピングクライアント100は、公衆回線120を介してショッピングサーバ130に接続される。
【0017】本実施例においては、公衆回線120につながっているショッピングサーバ130およびショッピングクライアント120はそれぞれ複数存在し、各ショッピングクライアント100はどのショッピングサーバ130でも自由にアクセスすることができるものとする。ただし、買物かご情報はショッピングサーバ130ごとに保持され、ショッピングは各ショッピングサーバ130内で完結するものとする。
【0018】図2は、本発明を適用した電子ショッピングシステムにおける、ショッピングクライアント100(消費者側クライアント)のショッピングプログラムの機能構成を示すブロック図である。
【0019】図2において、200は買物かご機能を提供する買物かごウィンドウプログラムであり、表示制御部202、通信管理部204、イベント管理部206から構成される。買物かごウィンドウプログラム200は、オペレーティングシステム212からマウスやキーボードのイベントを受け取って解釈し、表示変更や通信制御のメッセージを渡して、ウィンドウの位置変更、サーバとの通信処理等を行う。208は商品情報管理プログラムであって、カタログブラウザ210に表示された商品カタログ上の選択された商品、即ち買物かごに追加する商品に関する情報を買物かごウィンドウプログラム200に送る。」
(エ)「【0020】図1、図2に示した構成は本発明を実施する上での一つの例であって、他の構成を採ってももちろんよい。例えば、本実施例においては、買物かごの本体、即ち消費者が商品カタログから選択した購入予定品のリストはショッピングサーバ130上に買物かご情報146として格納しているが、これをショッピングクライアント100で保持しておいて注文処理が指示されたらサーバ130に転送するようにしてもよい。またカタログブラウザ210は、電子ショッピング専用のアプリケーションである必要はなく、例えば、World Wide Webのブラウザを用いて、ウィンドウショッピングでは他のWorld Wide Webのページを見るのと同様に商品カタログを見て、購入したい商品があったら商品管理プログラムおよび買物かごウィンドウプログラムを使用して買物かごへの操作を行うようにしてもよい。」
(オ)「【0021】図3は、本発明を適用した電子ショッピングシステムにおける、ショッピング中に表示装置102に表示される消費者画面の一例である。
【0022】図3において、300はカタログブラウザウィンドウであり、文字や画像による商品情報が表示されている。310は商品情報管理プログラムが表示させている領域であり、カタログブラウザウィンドウ300中にインラインで表示される。本実施例では、消費者がこの領域310に購入する個数を入力すると、商品情報管理プログラム208が、領域に対応した商品の情報と入力された個数を買物かごウィンドウプログラム200に通知する。330は買物かごウィンドウであり、常にカタログブラウザウィンドウ300よりも前面に表示され、マウスポインタ320に追従して画面上を移動する。 買物かごウィンドウ330上には、購入する商品に関する情報および買物かごを操作するボタン等が表示されている。本実施例では、購入する商品に関する情報の中の支払金額の合計332、買物かごの内容表示を呼び出すボタン334、買物かごに商品を入れるボタン336、買物かごの商品の注文を行うボタン338が表示されている。
【0023】図4は、本発明を適用した電子ショッピングシステムにおける、買物かごの内容を表示した画面の一例である。この表示画面は、買物かごウィンドウ330のボタン334が押されると表示される。
【0024】図4において、400は買物かごの内容表示画面であり、401は購入予定の商品に関する情報であって、402は購入する商品の商品コード、404は商品名、406は単価、408は購入個数、410は商品ごとの購入金額の小計、412は商品全部の合計の支払い金額である。購入個数408は、消費者がこの画面上で変更することもでき、その場合は再計算ボタン420を押してその情報をショッピングサーバ130に送り、買物かごの内容の変更と購入金額410、412の再計算を行う。また、買物かごを空にするボタン422を押して現在買物かごに入っている商品を全て消すこともできる。424は買物かごに入っている商品の注文処理を行うボタンであり、426はこの買物かごの内容表示を消してカタログへ戻ってショッピングを続けるボタンである。」
(カ)「【0028】次に、図7のフローチャートを用いて、本発明を適用した電子ショッピングシステムにおいて、ショッピングクライアントに商品カタログを表示する際の買物かご機能を起動する処理について説明する。
【0029】本実施例においては、個々のショッピングクライアント100に買物かごIDを割り当てる。データを受け渡す際に、買物かごIDを一緒に送ってIDに対応した買物かご情報を生成することによって、消費者それぞれが専用の買物かごを利用できるようにする。このため、カタログブラウザ210から商品カタログデータが要求されると、ショッピングサーバ130は、カタログデータを送付する際に、そのショッピングクライアントの買物かごIDの有無をチェックする(ステップ700)。買物かごIDが存在しなければ新たに買物かごIDを生成する(ステップ702)。この買物かごIDは、カタログブラウザ210および買い物かごウィンドウプログラム200に保持され、データを送信する際に使われる。また、ショッピングサーバ130上に買物かごIDに対応する買物かご情報600が存在するかどうかチェックし(ステップ704)、存在しなければその買物かごIDのための新たな買物かご情報を作成する(ステップ706)。
【0030】次に、買物かごウィンドウプログラム200が起動されているかどうか調べ(ステップ708)、起動されていなければ買物かごウィンドウプログラム200を起動して買物かごウィンドウ330を表示させる(ステップ710)。本実施例においては、買物かごウィンドウ330は同時に一つしか存在しないものとし、また、カタログブラウザ210が終了する際に買物かごウィンドウプログラム200も終了するものとする。」
(キ)「【0035】買物かごウィンドウ330への入力の場合、商品を買物かごに入れるボタン336の選択であれば(ステップ812)、フィールド310に個数が入力されている商品の情報を保持している買物かごIDとともにショッピングサーバ130に送る(ステップ814)。ショッピングサーバ130は、該当する買物かご情報600に商品情報を追加する(ステップ816)。買物かごに商品情報が追加されたら、ショッピングサーバ130上で更新された買物かご情報600と商品DB144とを使って現在の支払合計金額を計算して、買物かごウィンドウ330の表示332を更新し、また、個数の入力フィールド310をクリアする(ステップ818)。
【0036】買物かごウィンドウの中を見るボタン336が選択された場合は(ステップ820)、買物かご情報600と商品DB144とからデータを生成して買物かごの内容を見せる画面400の表示処理を行う(ステップ822)。また、注文ボタン338が選択された場合は(ステップ824)、買物かごに入っている商品を注文する処理を行う(ステップ826)。買物かごウィンドウ330に対する操作であり、かつ、特に買物かごに対する処理が指示されていない場合は、単にマウスポインタ320の移動処理のみを行う(ステップ828)。」
(ク)「【0038】なお、上述した実施例では、買物かごウィンドウ上には、買物かごの中の商品に関する情報として価格の合計金額のみを表示させているが、これ以外の情報、例えば買物かごに入っている商品の個数などを表示してもよい。こういった情報は消費者が自分がどのくらい買物をしているかをつかむ手助けとなるが、もちろん必ずしも表示させる必要はない。消費者に買物かごの中身を意識させ、まちがって買物かごに商品を入れてしまったり、ついつい買い過ぎたりといったことを防止する方法としては他に、商品を買物かごに入れるたびに買物かごの内容表示画面400を出す方法がある。また、買物かごウィンドウ上に、買物かごに商品を入れる、内容を表示させる、注文するといったボタンを置いているが、この他の機能、例えば買物かごの内容を変更する機能として、買物かごの中を空にするボタンを置いてもよい。ただし、消費者が商品カタログを見ながら買物かごを操作できるという利点を生かす上では、最低限、買物かごに商品を入れるボタンは提供すべきであろう。」

ここで、上記記載事項を検討すると、
(1)上記摘記事項(ウ)の記載によれば、ショッピングクライアントは、ショッピングサーバから送信される商品に関するカタログ情報を受信し、ショッピングクライアントの表示装置に表示するのだから、ショッピングクライアントは、商品に関するカタログ情報をダウンロードし、表示装置に表示するダウンロード手段を有することは明らかである。
(2)上記摘記事項(オ)の「図3において、300はカタログブラウザウィンドウであり、文字や画像による商品情報が表示されている。310は商品情報管理プログラムが表示させている領域であり、カタログブラウザウィンドウ300中にインラインで表示される。本実施例では、消費者がこの領域310に購入する個数を入力すると、商品情報管理プログラム208が、領域に対応した商品の情報と入力された個数を買物かごウィンドウプログラム200に通知する。」との記載によれば、カタログブラウザウィンドウにおいて、商品情報管理プログラムが表示させている領域に購入する個数を入力すると、商品情報管理プログラムが、領域に対応した商品の情報と入力された個数を買い物かごウィンドウプログラムに通知するのだから、前記ショッピングクライアントは、前記ダウンロード手段により入手され、表示された前記商品に関するカタログ情報に関する取引成立に必要となるショッピングクライアント側の取引条件の入力を、前記カタログブラウザウィンドウにおいて行なう条件入力手段を備えているといえる。
(3)上記摘記事項(エ)の「買物かごの本体、即ち消費者が商品カタログから選択した購入予定品のリストはショッピングサーバ130上に買物かご情報146として格納しているが、これをショッピングクライアント100で保持しておいて注文処理が指示されたらサーバ130に転送するようにしてもよい。」との記載によれば、買物かご本体をショッピングクライアントで保持する構成を採用した場合では、注文処理が指示されるまでは、購入する商品と個数を含む購入予定品のリストである買物かご情報は、前記ショッピングクライアント側に保持されることになることからみて、キーボード及びマウスにより購入する商品と個数が入力され、買物かごウィンドウの買物かごに入れるボタンが選択されたとき、すなわち、取引条件が入力され、買物かごウィンドウの買物かごに入れるボタンが選択されたとき、公衆回線を介してショッピングサーバに買物かご情報を転送することなく、該取引条件を、前記ショッピングクライアント側の記憶装置に買物かご情報のファイルとして保存していることは明らかであるから、前記ショッピングクライアントは、前記条件入力手段により前記取引条件が入力され、買物かごウィンドウの買物かごに入れるボタンが選択されたとき、前記公衆回線を介したショッピングサーバとの情報通信を行なうことなく、該取引条件の少なくとも一部を、前記ショッピングクライアント側の記憶装置にファイルとして保存するファイル記憶手段を備えているといえる。
(4)上記摘記事項(オ)の「図3は、本発明を適用した電子ショッピングシステムにおける、ショッピング中に表示装置102に表示される消費者画面の一例である。…図3において、300はカタログブラウザウィンドウであり、文字や画像による商品情報が表示される。…」との記載によれば、表示装置においては、カタログ情報を、少なくとも一つのウィンドウを開いて表示しているといえる。
(5)上記摘記事項(ウ)の「図1において、100は消費者が電子ショッピングを行うために利用するショッピングクライアントである。102は商品に関するカタログ情報を表示する表示装置であり、キーボード104、マウス106は、消費者がカタログや買物かごを操作するための入力を行う際に使用される。…また、ショッピングクライアントから買物かごの操作が指示されると、商品DB144に格納された情報を使用して、買物かご情報146の内容を変更する。…図2において、200は買物かご機能を提供する買物かごウィンドウプログラムであり、表示制御部202、通信管理部204、イベント管理部206から構成される。買物かごウィンドウプログラム200は、オペレーティングシステム212からマウスやキーボードのイベントを受け取って解釈し、表示変更や通信制御のメッセージを渡して、ウィンドウの位置変更、サーバとの通信処理等を行う。208は商品情報管理プログラムであって、カタログブラウザ210に表示された商品カタログ上の選択された商品、即ち買物かごに追加する商品に関する情報を買物かごウィンドウプログラム200に送る。」との記載によれば、ウィンドウに表示される買物かご情報は、マウスやキーボードのイベントを受け取って表示変更していることが明らかであり、また、上記摘記事項(カ)の「…次に、買物かごウィンドウプログラム200が起動されているかどうか調べ(ステップ708)、起動されていなければ買物かごウィンドウプログラム200を起動して買物かごウィンドウ330を表示させる(ステップ710)。本実施例においては、買物かごウィンドウ330は同時に一つしか存在しないものとし、…」との記載によれば、買物かごウィンドウは、同時に一つしか存在しないものであることは明らかである。
そして、買物かご本体をショッピングクライアントで保持し、注文処理が指示されたらサーバに転送するようにした場合には、ショッピングクライアントは、公衆回線を介したショッピングサーバとの取引条件に関する情報通信を行なうことなく、ショッピングクライアント側に取引条件に関する取引情報を表示する単一の買物かごウィンドウを表示すると共に、入力された取引条件に従って、該単一の買物かごウィンドウの画面表示を更新する画面表示更新手段を備えているといえる。
(6)上記摘記事項(エ)の「買物かごの本体、即ち消費者が商品カタログから選択した購入予定品のリストはショッピングサーバ130上に買物かご情報146として格納しているが、これをショッピングクライアント100で保持しておいて注文処理が指示されたらサーバ130に転送するようにしてもよい。」との記載によれば、ショッピングクライアントは、ショッピングクライアント側の所定の手続により、取引条件を、公衆回線を介して、ショッピングサーバへ送信する送信手段を備えているといえる。
(7)上記摘記事項(ア)ないし(ク)の記載によれば、ショッピングサーバは、電子ショッピングを成立させるものであるから、前記ショッピングサーバは、ショッピングクライアント側から送信された取引条件を受け付け、該受け付けた取引条件に基づいて取引を成立させる取引成立手段を備えていることは明らかである。

そうすると、上記引用例には、
「公衆回線を介してショッピングサーバとショッピングクライアントとの間で行なわれる電子ショッピングに用いられる電子ショッピングシステムであって、
前記ショッピングクライアントは、
前記公衆回線を介して前記ショッピングサーバから提供される商品のカタログ情報を、前記ショッピングクライアントへダウンロードすると共に、該カタログ情報を、少なくとも一つのカタログブラウザウィンドウを開いて表示するダウンロード手段と、
該ダウンロード手段により入手され、表示された前記商品のカタログ情報に関する取引成立に必要となるショッピングクライアント側の取引条件の入力を、前記カタログブラウザウィンドウにおいて行なう条件入力手段と、
該条件入力手段により前記取引条件が入力され、買物かごウィンドウの買物かごに入れるボタンが選択されたとき、前記公衆回線を介したショッピングサーバとの情報通信を行なうことなく、該取引条件の少なくとも一部を、前記ショッピングクライアント側の記憶装置にファイルとして保存するファイル記憶手段と、
前記取引条件が入力されたとき、前記公衆回線を介したショッピングサーバとの前記取引条件に関する情報通信を行なうことなく、前記ショッピングクライアント側に取引条件に関する取引情報を表示する単一の買物かごウィンドウを表示すると共に、入力された取引条件に従って、該単一の買物かごウィンドウの画面表示を更新する画面表示更新手段と、
前記ショッピングクライアント側の所定の手続により、前記取引条件を、前記公衆回線を介して、前記ショッピングサーバへ送信する送信手段と
を備え、
前記ショッピングサーバは、該送信された取引条件を受け付け、該受け付けた取引条件に基づいて取引を成立させる取引成立手段とを備える
電子ショッピングシステム。」の発明が開示されているといえる。

(3-2)周知例
(3-2-1)「Webショッピングサイトの仕掛け、教えます。」,山田里恵,梅田弘之著,ASCII network PRO 第5巻 第2号,2000年2月1日 株式会社アスキー発行,209?224頁(以下、「周知例1」という。)

上記周知例1には、以下の事項が図面とともに記載されている。
(ケ)「サンプルの「SI WebShopping」では、階層を深くしないようにフレーム機能(画面分割)を取り入れており、3つのフレームを使うことにより2階層までに深さを抑えたページレイアウトとしている(画面1)。左フレームの商品名をマウスオーバー(クリックせずにマウスを上に当てるだけ)すると、その商品の明細が右フレームに表示される。カートの中身は下フレームで常時確認できるようにし、いつでも商品を棚に戻すことができる。」(214頁左欄8?18行)
(コ)画面1には、商品名の右端のショッピングカートのアイコンをマウスでクリックすることによりその商品をショッピングカートに入れられることが記載されている。(214頁の「画面1」)

したがって、周知例1には、「マウスという条件入力手段により取引条件が入力されたとき、該取引条件の少なくとも一部を記憶装置に保存すること」が記載されているといえる。

(3-2-2)「新ネットワーク活用講座 WindowsNTによるネットワーク分散アプリケーションの実現(4)?RDS(RemoteDataService)環境下でのビジネスオブジェクトの実装」,中村昌義著,Interface 第24巻 第8号,1998年8月1日 CQ出版株式会社,134?141頁(以下、「周知例2」という。)

上記周知例2には、以下の事項が図面とともに記載されている。
(サ)「(2)買い物画面shop.html(CD-ROM),menu.asp(CD-ROM),cart.asp(リスト3)
フレームで画面を上下分割し,それぞれmenu.asp(商品一覧),cart.asp(買い物かご)を表示します.menu.aspでは商品右側の「購入」ボタンを押すことでcart.aspのAddItemを起動するようにしています.
cart.aspにはUpdateボタンがあり,これを押すことでクライアント側のレコードセットの内容をサーバ側のデータベースに反映させることができます.買い物かごの中身をクリアせずにログアウトすることができるわけです.
(3)Checkout画面checkout.asp(CD-ROM)
cart.aspからCheckoutボタンを押したときに起動されます.ここでは,買い物かごの一覧を表示するところまでしか実現していませんが,買い物かご処理がクライアント側ローカルでほとんど閉じていることがわかると思います.」(140頁右欄28行?141頁左欄8行)

ここで、「購入」ボタンを押すということは、マウスという条件入力手段によって行われることが明らかであるから、周知例2には、「マウスという条件入力手段により取引条件が入力されたとき、該取引条件の少なくとも一部を記憶装置に保存すること」が記載されているといえる。
そうすると、周知例1及び周知例2より、「条件入力手段により取引条件が入力されたとき、該取引条件の少なくとも一部を、記憶装置に保存すること」は、周知の事項(以下、「周知事項1」という。)であるといえる。

(3-2-3)「特集 廉価で快適なWebチャットを作る 」,中川邦康著,ネットワークコンピューティング 第10巻 第11号,1998年11月1日 株式会社リックテレコム発行,7?16頁(以下、「周知例3」という。)

上記周知例3には、以下の事項が図面とともに記載されている。
(シ)「(5)更新チェックと退室チェック

プログラムとブラウザで起るタイムスタンプのズレを利用

METAタグを用いることにより定期的なサーバーへのアクセスは可能となったので、次にこの定期的なアクセス時に、画面の更新タイミングをどのようにして取るかを考える。今回は、最適な方法として、タイムスタンプの保持により行うことにする。
まず、サーバー上で動作しているCentura Web Developerのプログラム側に各ユーザーが共有できる変数として、ユーザーが発言を行った時点のタイムスタンプを保持するようにする。
クライアントのWWWブラウザには、現在表示している画面をサーバーから読み込んだ時点のタイムスタンプをローカル変数として保持する。この2つのタイムスタンプを、METAタグによる定期的なアクセスの度に比較し、プログラムが保持しているタイムスタンプとWWWブラウザが保持しているタイムスタンプが異なる場合には、表示されている発言表示フレームを更新するようにすればよい。図3は、更新間隔が5秒のユーザー3人が、時間の経過とともにタイムスタンプの保持の様子を表したものである。」(14頁中央欄8行?右欄15行)
ここで、2つのタイムスタンプを比較することにより、発言表示フレームを更新するとのことは、新たな発言があった時に、ファイルが書き換えられたと判断して、発言表示フレームを更新することであるから、上記周知例3には、「所定のインターバルで動作し、ファイルの書き換えを検出したとき、該ファイルの中身を参照して、前記ファイルに保存された情報に従って、画面表示を更新すること」が記載されているといえる。

(3-2-4)「今日から始めるWebプログラミング 第3回 チャット・システムを作る -Webページを自動配信させる仕掛け」,敦川真澄著,日経ソフトウエア 第1巻 第3号,1998年8月24日 日経BP社発行,144?151頁(以下、「周知例4」という。)

上記周知例4には、以下の事項が図面とともに記載されている。
(ス)「「疑似プッシュ機構で
Web上のチャットを実現する
チャット・システムに限らずWebプログラミングでは,プログラムを動かすキッカケを作る仕掛けやタイミングが問題になることが多い。市販されているWebアプリケーション・サーバーの中には,このような問題を解決するため,独自の仕組みを用意しているものもある。例えば,データの更新やメールが到着したときなどのイベントをキッカケにして,プログラムを動作させるサーバー・エージェント機構を実装した製品だ。
この連載で取り上げているASPは,基本的にクライアントがWebページを要求したとき以外にスクリプトを動かすことはできない。しかし,リアルタイムに会話するチャット・システムでは,自動的にWebページを更新する仕組みがどうしても必要である。
そこで今回はHTMLのMETAタグ^(*2)を使って,ページを一定間隔で更新するようにした^(*3)。HTMLでは,METAタグの「HTTP-EQUIV」オプションに「Refresh」を指定すると,一定の間隔でWWWブラウザに表示するページを更新できる(リスト1)。「HTTP-EQUIV」オプションに続く「Content」オプションで更新の間隔(秒数)と,再表示するページのURLを指定している。この METAタグを指定するとWWWブラウザに表示された「Control.asp」(自分自身のURL)が5秒ごとに更新される。こうしてページ内のASPファイルが再実行されるため,常に最新のメッセージをページに表示させることができるようになる。
しかし,この METAタグを使っただけでは,新しいメッセージが入力されていないときでも必ず5秒ごとにページが更新されてしまう。そのため画面がチラついて,たいへん見づらい。また更新のタイミングによっては,入力フィールドに途中まで入力したメッセージが消えてしまうという不都合な点もある。といって5秒以上にしたらリアルタイム性がなくなる。
新しいメッセージの入力をレスポンス良く反映するチャット・システムを作成するには,新しいメッセージの入力をチェックするASPスクリプトを頻繁に動かす必要がある。しかしASPスクリプトを動かすとページの更新も頻繁になり,画面のチラツキはいっそう激しくなってしまう。どうすれば頻繁にASPスクリプトを実行しながら,見にくいページのチラツキを回避できるだろうか。

WWWブラウザ側でも
プログラムを走らせる
今回は,WWWブラウザに表示されない非表示のページを使って,このような問題を解決することにした。具体的にはHTMLのフレーム^(*4)を使った。つまり,新しいメッセージが加わったかどうかをチェックするASPスクリプトを,フレーム内の非表示のページに記述するようにしたのだ。そして,そのASPスクリプトがデータベース内の新しいメッセージを確認したときだけ,チャット・ページを更新するようにした。このようにすれば,頻繁にASPを実行してもそのつどページが更新されることはなく,画面のチラツキもない。一方ASPスクリプト自身は頻繁に実行するため,新しいメッセージもレスポンスよく反映させることができる。この仕組みを図2にまとめておこう。
この方法では,ASPスクリプトが新しいメッセージを確認したときにチャット・ページを更新する。」(145頁左欄8行?146頁右欄22行)

上記記載より、周知例4には、「所定のインターバルで動作し、ファイルの書き換えを検出したとき、該ファイルの中身を参照して、前記ファイルに保存された情報に従って、画面表示を更新すること」が記載されているといえる。
そうすると、周知例3及び周知例4より、「所定のインターバルで動作し、ファイルの書き換えを検出したとき、該ファイルの中身を参照して、前記ファイルに保存された情報に従って、画面表示を更新すること」は、周知の事項(以下、「周知事項2」という。)であるといえる。

(3-3)対比・判断
本件補正発明(以下、「前者」という。)と引用例に記載された発明(以下、「後者」という。)とを対比すると、
(1)後者の「公衆回線」は、前者の「インターネットなどのネットワーク」に相当する。
(2)後者の「ショッピングサーバ」は、前者の「サーバシステム」に相当する。
(3)後者の「ショッピングクライアント」は、前者の「クライアントシステム」に相当する。
(4)後者の「電子ショッピング」は、前者の「電子商取引」に相当するから、後者の「電子ショッピングシステム」は、前者の「電子商取引システム」に相当する。
(5)後者の「商品のカタログ情報」は、前者の「商品からなるコンテンツ情報」に相当する。
(6)後者の「カタログブラウザウィンドウ」は、前者のコンテンツ情報を表示する「ウィンドウ」に相当する。
(7)後者の「買物かごウィンドウ」は、前者の取引条件を表示する「ウィンドウ」に相当する。
(8)前者の「該条件入力手段により前記取引条件が入力されたとき、前記ネットワークを介したサーバシステムとの情報通信を行うことなく、該取引条件の少なくとも一部を、前記クライアントシステム側の記憶装置にファイルとして保存するファイル記憶手段」と、後者の「該条件入力手段により前記取引条件が入力され、買物かごウィンドウの買物かごに入れるボタンが選択されたとき、前記公衆回線を介したショッピングサーバとの情報通信を行なうことなく、該取引条件の少なくとも一部を、前記ショッピングクライアント側の記憶装置にファイルとして保存するファイル記憶手段」とは、取引条件をファイルとして保存する手順が、前者では「条件入力手段により取引条件が入力されたとき」であるのに対して、後者では、「条件入力手段により取引条件が入力され、買物かごウィンドウの買物かごに入れるボタンが選択されたとき」である点で相違する(この点は、[相違点1]として後述する。)ものの「条件入力手段により入力された取引条件をネットワークを介したサーバシステムとの情報通信を行うことなく、該取引条件の少なくとも一部を、クライアントシステム側の記憶装置にファイルとして保存するファイル記憶手段」である点で共通する。
(9)前者の「所定のインターバルで動作し、前記ファイルの書き換えを検出したとき、該ファイルの中身を参照して、前記ネットワークを介したサーバシステムとの前記取引条件に関する情報通信を行なうことなく、前記クライアントシステム側に取引条件に関する取引情報を表示する単一のウィンドウを表示すると共に、前記ファイルに保存された取引条件に従って、該単一のウィンドウの画面表示を更新する画面表示更新手段」と、後者の「前記取引条件が入力されたとき、前記公衆回線を介したショッピングサーバとの前記取引条件に関する情報通信を行なうことなく、前記ショッピングクライアント側に取引条件に関する取引情報を表示する単一の買物かごウィンドウを表示すると共に、入力された取引条件に従って、該単一の買物かごウィンドウの画面表示を更新する画面表示更新手段」とは、画面表示を更新する手順が、前者では「所定のインターバルで動作し、前記ファイルの書き換えを検出したとき、該ファイルの中身を参照して、前記ファイルに保存された取引条件に従って、該単一のウィンドウの画面表示を更新する」のに対して、後者では、「取引条件が入力されたとき、入力された取引条件に従って、該単一の買物かごウィンドウの画面表示を更新する」ものである点で相違する(この点は、[相違点2]として後述する。)ものの「取引条件が入力されたとき、前記ネットワークを介したサーバシステムとの前記取引条件に関する情報通信を行なうことなく、前記クライアントシステム側に取引条件に関する取引情報を表示する単一のウィンドウを表示すると共に、入力された取引条件に従って、該単一のウィンドウの画面表示を更新する画面表示更新手段」である点で共通する。

そうすると、両者は、
「インターネットなどのネットワークを介してサーバシステムとクライアントシステムとの間で行なわれる電子商取引に用いられる電子商取引システムであって、
前記クライアントシステムは、
前記ネットワークを介して前記サーバシステムから提供される商品からなるコンテンツ情報を、前記クライアントシステムへダウンロードすると共に、該コンテンツ情報を、少なくとも一つのウィンドウを開いて表示するダウンロード手段と、
該ダウンロード手段により入手され、表示された前記コンテンツ情報に関する取引成立に必要となるクライアント側の取引条件の入力を、前記ウィンドウにおいて行なう条件入力手段と、
該条件入力手段により入力された取引条件をネットワークを介したサーバシステムとの情報通信を行うことなく、該取引条件の少なくとも一部を、クライアントシステム側の記憶装置にファイルとして保存するファイル記憶手段と、
前記取引条件が入力されたとき、前記ネットワークを介したサーバシステムとの前記取引条件に関する情報通信を行なうことなく、前記クライアントシステム側に取引条件に関する取引情報を表示する単一のウィンドウを表示すると共に、入力された取引条件に従って、該単一のウィンドウの画面表示を更新する画面表示更新手段と、
前記クライアントシステム側の所定の手続により、前記取引条件を、前記ネットワークを介して、前記サーバシステムへ送信する送信手段と
を備え、
前記サーバシステムは、該送信された取引条件を受け付け、該受け付けた取引条件に基づいて取引を成立させる取引成立手段とを備える
電子商取引システム。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
前者のファイル記憶手段は、条件入力手段により取引条件が入力されたとき、記憶装置に保存するようにしているのに対して、後者のファイル記憶手段は、条件入力手段により取引条件が入力され、買物かごウィンドウの買物かごに入れるボタンが選択されたとき、記憶装置に保存するようにしている点。
[相違点2]
前者の画面表示更新手段は、所定のインターバルで動作し、前記ファイルの書き換えを検出したとき、該ファイルの中身を参照して、前記ファイルに保存された取引条件に従って、該単一のウィンドウの画面表示を更新するようにしているのに対して、後者の画面表示更新手段は、取引条件が入力されたとき、入力された取引条件に従って、該単一のウィンドウの画面表示を更新するようにしている点。

上記相違点について、以下に検討する。
[相違点1について]
条件入力手段により取引条件が入力されたとき、該取引条件の少なくとも一部を、記憶装置に保存することは、周知の事項(周知事項1)であるから、後者のファイル記憶手段において、条件入力手段により取引条件が入力され、買物かごウィンドウの買物かごに入れるボタンが選択されたとき、記憶装置に保存するようにしたものに代えて、条件入力手段により取引条件が入力されたとき、該取引条件の少なくとも一部を、記憶装置に保存するようにすることは、当業者であれば、容易に想到することができたものと認められる。
[相違点2について]
所定のインターバルで動作し、ファイルの書き換えを検出したとき、該ファイルの中身を参照して、前記ファイルに保存された情報に従って、画面表示を更新することは、周知の事項(周知事項2)であるから、後者の画面表示更新手段において、取引条件が入力されたとき、入力された取引条件に従って、該単一のウィンドウの画面表示を更新するようにしたものに代えて、所定のインターバルで動作し、前記ファイルの書き換えを検出したとき、該ファイルの中身を参照して、前記ファイルに保存された取引条件に従って、該単一のウィンドウの画面表示を更新するようにすることは、当業者であれば、容易に想到することができたものと認められる。

また、本件補正発明の効果についてみても、上記引用例に記載された発明、及び周知の事項から予測される範囲のものにすぎない。

したがって、本件補正発明は、上記引用例に記載された発明、及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(3-4)まとめ
以上のとおり、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成14年7月4日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成14年3月29日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、下記のとおりのものである。
「インターネットなどのネットワークを介してサーバシステムとクライアントシステムとの間で行なわれる電子商取引に用いられる電子商取引システムであって、
前記クライアントシステムは、
前記ネットワークを介して前記サーバシステムから提供される商品および/またはサービスからなるコンテンツ情報を、前記クライアントシステムへダウンロードするダウンロード手段と、
該ダウンロード手段により入手された前記コンテンツ情報に関する取引成立に必要となるクライアント側の取引条件を前記クライアントシステム側において入力する条件入力手段と、
該条件入力手段により前記取引条件が入力されたとき、前記ネットワークを介したサーバシステムとの情報通信を行なうことなく、該取引条件の少なくとも一部を、前記クライアントシステム側の記憶装置にファイルとして保存するファイル記憶手段と、
前記ファイルが書き換えられたとき、該ファイルの中身を参照して、前記ネットワークを介したサーバシステムとの情報通信を行なうことなく、前記クライアントシステムにおける画面表示を更新する画面表示更新手段と、
前記クライアントシステム側の所定の手続により、前記取引条件を、前記ネットワークを介して、前記サーバシステムへ送信する送信手段と
を備え、
前記サーバシステムは、該送信された取引条件を受け付け、該受け付けた取引条件に基づいて取引を成立させる取引成立手段とを備える
電子商取引システム。」

なお、第1段落の「…サーバシステムとクライアントシステムシステムとの間で…」との記載は、「…サーバシステムとクライアントシステムとの間で…」との誤記であることが明らかであるので上記のとおり認定した。

3-1.引用例及び周知例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及び周知例に記載された事項は、前記2.の(3-1)、及び(3-2)に記載したとおりである。

3-2.対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本件補正発明から
(1)「ダウンロード手段」について、「…と共に、該コンテンツ情報を、少なくとも一つのウィンドウを開いて表示する」との限定事項、
(2)「条件入力手段」について、「表示された前記ウィンドウにおいて行なう」との限定事項、
(3)「画面表示更新手段」について、「所定のインターバルで動作し、前記ファイルの書き換えを検出したとき、取引条件に関する取引情報を表示する単一のウィンドウを表示すると共に、前記ファイルに保存された取引条件に従って、該単一のウィンドウの画面表示を更新する」との限定事項、
を省くものである。

そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が、前記2.の(3-3)に記載したとおり、上記引用例に記載された発明、及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、上記引用例に記載された発明、及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3-3.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、上記引用例に記載された発明、及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願の他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-03-10 
結審通知日 2008-03-18 
審決日 2008-03-31 
出願番号 特願2000-62987(P2000-62987)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (G06Q)
P 1 8・ 121- Z (G06Q)
P 1 8・ 575- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 篠原 功一菅原 浩二宮久保 博幸  
特許庁審判長 小林 信雄
特許庁審判官 久保田 健
坂庭 剛史
発明の名称 電子商取引システム、電子商取引用のサーバシステム、クライアントシステムおよびそのプログラムを記憶した記憶媒体ならびに電子商取引方法  
代理人 下出 隆史  
代理人 五十嵐 孝雄  

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