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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01L
管理番号 1178467
審判番号 不服2006-6387  
総通号数 103 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-04-06 
確定日 2008-05-22 
事件の表示 特願2002- 38879「出力補正回路内蔵型半導体センサ及びトーションバー式トルクセンサ」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 8月27日出願公開、特開2003-240652〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明
本願は、平成14年2月15日の出願であって、平成18年3月7日付け(発送日:同月10日)で拒絶査定がなされ、これに対して、同年4月6日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものであり、その請求項1ないし4に係る発明は、平成18年1月6日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
「【請求項1】
物理量又は化学量を電気量として検出する検出部と、
自己の温度を検出する温度検出部と、
検出した前記電気量の誤差を補正するための補正用データを書き換え可能に記憶する書き換え可能不揮発メモリと、
検出された前記温度及び前記補正用データに基づいて前記電気量のオフセット補正、感度補正及び温度補正を行った後、補正済み信号を出力する補正演算部と、
外部からの動作指令及び前記補正用データを受信するとともに、受信した前記動作指令が前記書き換え可能不揮発メモリへの前記補正用データの書き込み指令である場合に、その後で受信した前記補正用データを前記書き換え可能不揮発メモリに書き込む動作制御部と、
を一体に集積してなり、
前記動作制御部は、印加される通常電源電圧に重畳されて前記通常電源電圧と異なる電圧値により示される二値電圧信号に基づいて前記動作指令及び前記補正用データを受信し、
前記補正演算部は、前記通常電源電圧が印加される場合に前記補正済み信号を出力することを特徴とする出力補正回路内蔵型半導体センサ。」

第2 引用刊行物に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用された本願出願前に頒布された刊行物である特開2001-116643号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
1 「【特許請求の範囲】
【請求項1】 エレメント本体に形成された開口部にセンサチップ用のリードピンとオイル充填用パイプとを同時ハーメチック処理により貫通状態で固着されたハーメチックガラスが気密に嵌め込み固定され、開口部を覆うように前記エレメント本体にダイヤフラムが装着されて当該ダイヤフラムと前記ハーメチックガラスとの間に液封室が画定され、前記ハーメチックガラスの前記液封室の側にセンサチップが装着され、前記オイル充填用パイプよりオイルを前記液封室に充填され、当該オイル充填用パイプの先端が封止されていることを特徴とする液封型圧力センサ用圧力検出エレメント。
・・・・・
【請求項3】 前記センサチップは圧力検出部と温度検出部と書き込み可能な不揮発性メモリーと出力信号増幅回路を含むワンチップ構造のセンサチップであり、前記リードピンは複数個設けられていて当該リードピンが圧力検出信号を外部に取り出す外部出力端子と前記不揮発性メモリーに外部よりデータを書き込むための外部入力端子をなしていることを特徴とする請求項1または2に記載の液封型圧力センサ用圧力検出エレメント。」
2 「【0019】ハーメチックガラス13の液封室17の側の面部にはワンチップ構造のセンサチップ40が接着剤によって固定装着されている。センサチップ40は、液封室17内にあり、図4に示されているように、ピエゾ抵抗型圧力センサ等による圧力検出部41と、半導体温度センサ等による温度検出部42と、EEPROM等による書き込み可能な不揮発性メモリー43と、一時記憶用のレジスタ44と、ディジタル/アナログコンバータ45と、出力信号増幅回路46を含むワンチップ構造のセンサチップとして構成されている。
【0020】一時記憶用のレジスタ44は外部入力端子47と接続され、出力信号増幅回路46は圧力検出信号を外部に取り出す外部出力端子48に接続されている。外部入力端子47はシリアルデータ用の入力端子として構成されている。
【0021】レジスタ44は、出力調整、温度補償調整のための補正値をシリアルのディジタル値として外部入力端子47より取り込み、これを一時的に記憶するものであり、調整項目数mと補正値データビット数nの積のm×nの容量を有する。一般的に、調整項目には、零点調整、感度調整、検出温度調整、零点温度補償調整、感度温度補償調整があり、補正値データビット数nは8ビット程度構成になる。この例では、5×8=40ビットのレジスタとなる。
【0022】不揮発性メモリー43は、補正値が決定(確定)した段階で、零点調整、感度調整、検出温度調整、零点温度補償調整、感度温度補償調整等の出力調整、温度補償調整のための補正値(レジスタの値)をレジスタ44より取り込み、これを保持する。
【0023】ディジタル/アナログコンバータ(D/Aコンバータ)45は、不揮発性メモリー43にディジタル値で書き込まれている補正値をアナログ値による補正値に変換し、これを圧力検出部41に渡す。」
3 「【0029】圧力検出エレメント10は、このままの形(図3に示されている圧力検出エレメント10単体)で調整を行える。調整データ(補正値)は、リードピン18を使用してレジスタ44のシリアル入力により行ない、補正値確定後にはレジスタ44の値を不揮発メモリー43に書き込む。」

上記摘記事項1ないし3及び図面の記載から、引用刊行物には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「ピエゾ抵抗型圧力センサによる圧力検出部41と、半導体温度センサによる温度検出部42と、EEPROM等による書き込み可能な不揮発性メモリー43と、一時記憶用のレジスタ44と、ディジタル/アナログコンバータ45と、出力信号増幅回路46を含むワンチップ構造のセンサチップ40であって、
レジスタ44は、零点調整、感度調整、検出温度調整、零点温度補償調整、感度温度補償調整のための補正値をシリアルのディジタル値として外部入力端子47より取り込み、これを一時的に記憶するものであり、
不揮発性メモリー43は、補正値が決定(確定)した段階で、零点調整、感度調整、検出温度調整、零点温度補償調整、感度温度補償調整のための補正値(レジスタの値)をレジスタ44より取り込み、これを保持し、
ディジタル/アナログコンバータ(D/Aコンバータ)45は、不揮発性メモリー43にディジタル値で書き込まれている補正値をアナログ値による補正値に変換し、これを圧力検出部41に渡し、
出力信号増幅回路46は圧力検出信号を外部に取り出す外部出力端子48に接続されていることを特徴とするワンチップ構造のセンサチップ40。」

第3 対比・判断
1 本願発明と引用発明との対比
(1)引用発明の「ピエゾ抵抗型圧力センサによる圧力検出部41」、「半導体温度センサによる温度検出部42」、「EEPROM等による書き込み可能な不揮発性メモリー43」、「零点調整、感度調整、検出温度調整、零点温度補償調整、感度温度補償調整のための補正値」、「ワンチップ構造のセンサチップ40」は、それぞれ、本願発明の「物理量を電気量として検出する検出部」、「自己の温度を検出する温度検出部」、「書き換え可能不揮発メモリ」、「検出した前記電気量の誤差を補正するための補正用データ」、「出力補正回路内蔵型半導体センサ」に相当する。
(2)引用発明の「零点調整」、「感度調整」は、それぞれ、本願発明の「オフセット補正」、「感度補正」に相当し、引用発明の「検出温度調整」、「零点温度補償調整」又は「感度温度補償調整」は、本願発明の「温度補正」に相当する。
(3)引用刊行物の上記摘記事項2、3及び図面の図4の記載からみて、引用発明の「圧力検出部41」は、温度検出部42によって検出された温度及び補正値に基づいて、補正済みの圧力検出信号を出力信号増幅回路46、外部出力端子48を介して出力するものと認められるから、該「圧力検出部41」と、本願発明の「補正演算部」とは、上記相当関係も勘案すると、両者は、検出された温度及び補正用データに基づいて電気量のオフセット補正、感度補正及び温度補正を行った後、補正済み信号を出力する補正手段である点で共通する。
(4)引用発明の「レジスタ44」は、補正値をシリアルのディジタル値として外部入力端子47より取り込み、これを一時的に記憶するものであり、その後、該補正値が不揮発性メモリーに書き込まれるから、該「レジスタ44」と、本願発明の「動作制御部」とは、上記相当関係も勘案すると、両者は、外部からの補正用データを受信するとともに、受信した前記補正用データを書き換え可能不揮発メモリに書き込むための手段である点で共通する。
(5)したがって、本願発明と引用発明とは、
「物理量を電気量として検出する検出部と、
自己の温度を検出する温度検出部と、
検出した前記電気量の誤差を補正するための補正用データを書き換え可能に記憶する書き換え可能不揮発メモリと、
検出された前記温度及び前記補正用データに基づいて前記電気量のオフセット補正、感度補正及び温度補正を行った後、補正済み信号を出力する補正手段と、
外部からの前記補正用データを受信するとともに、受信した前記補正用データを前記書き換え可能不揮発メモリに書き込むための手段
を一体に集積してなることを特徴とする出力補正回路内蔵型半導体センサ。」
である点で一致し、次の相違点1及び2で相違する。
[相違点1] 補正手段が、本願発明では演算により補正を行う補正演算部であるのに対し、引用発明では圧力検出部1が補正機能を有しており演算により補正を行うものでもない点。
[相違点2] 補正用データを書き換え可能不揮発メモリに書き込むための手段が、本願発明では、外部からの動作指令及び前記補正用データを受信するとともに、受信した前記動作指令が前記書き換え可能不揮発メモリへの前記補正用データの書き込み指令である場合に、その後で受信した前記補正用データを前記書き換え可能不揮発メモリに書き込む動作制御部であり、該動作制御部は、印加される通常電源電圧に重畳されて前記通常電源電圧と異なる電圧値により示される二値電圧信号に基づいて前記動作指令及び前記補正用データを受信するものであり、また、補正演算部は、前記通常電源電圧が印加される場合に前記補正済み信号を出力するものであるのに対し、引用発明はそのような構成を具備しない点。

2 判断
上記相違点1及び2について検討する。
[相違点1]について
検出信号に対して温度補正等の補正を演算により行うことは、例えば、特開昭59-122924号公報、特開2002-14072号公報に示されるように本願出願前周知であるから、該周知技術を引用発明1に適用して相違点1に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。
[相違点2]について
書き込み指令を受けて不揮発性メモリにデータを書き込むためには、通常、データ、R/W等の各信号を不揮発性メモリに対して与えなければならない。
そして、書き込み指令及びデータを電源電圧に重畳された二値電圧信号として与え、メモリにデータを書き込むことは、例えば、特開平7-143108号公報、特開平11-86166号公報に示されるように本願出願前周知であるから、該周知技術を引用発明に適用して、書き込み指令及び補正値を電源電圧に重畳された二値電圧信号として受信し、不揮発性メモリーに対して、補正値、R/W等の各信号を与えて補正値を書き込ませる制御手段を設けることは当業者が容易に想到し得たことである。
また、圧力検出部41は、不揮発メモリに書き込まれた補正値に基づいて補正済み信号を出力するのであるから、その出力のタイミングは、不揮発メモリに補正値を書き込んだ後、すなわち、電源電圧に重畳された二値電圧信号に基づいて不揮発メモリに補正値を書き込んだ後であるから、電源電圧に二値電圧信号が重畳されていない通常の状態のときであることは明らかである。
したがって、上記周知技術を引用発明に適用して相違点2に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

そして、本願発明の奏する効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものであり、格別のものではない。
よって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
そして、本願発明が特許を受けることができないものであるから、その余の請求項2ないし4に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-03-21 
結審通知日 2008-03-26 
審決日 2008-04-10 
出願番号 特願2002-38879(P2002-38879)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松浦 久夫  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 堀部 修平
下中 義之
発明の名称 出力補正回路内蔵型半導体センサ及びトーションバー式トルクセンサ  
代理人 伊藤 高順  
代理人 伊藤 高順  
代理人 碓氷 裕彦  
代理人 碓氷 裕彦  
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