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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G01B
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 G01B
管理番号 1178639
審判番号 不服2005-17456  
総通号数 103 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-09-12 
確定日 2008-05-07 
事件の表示 平成 9年特許願第522494号「レンズ・絞り系の結像において間隔を高解像度で決定する装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 6月26日国際公開、WO97/22849、平成12年 2月29日国内公表、特表2000-502444〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本願発明の経緯
本願は、1996年12月13日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1995年12月15日、ドイツ)を国際出願日とする出願であって、平成14年10月2日付けで明細書の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明についての手続補正(以下、「補正1」という。)がなされ、平成15年8月1日付け(発送日:同年8月12日)で本願は特許法第36条第4項並びに特許法第36条第6項第2号及び第3号に規定する要件を満たしていない旨の拒絶理由が通知され、平成16年2月12日付けで明細書の全文を補正する手続補正(以下、「補正2」という。)がなされ、平成17年6月1日付け(発送日:同年6月14日)で先に通知した拒絶の理由をその理由とする拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月12日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで明細書の特許請求の範囲についての手続補正(以下、「補正3」という。)がなされ、さらに同年10月12日付けで明細書の全文を補正する手続補正(以下、「補正4」という。)がなされたものである。

2.審判請求時の補正の適否
補正3は、補正2により補正された特許請求の範囲について、その請求項4ないし請求項9を削除するものであるから、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。
そして、この補正は新規事項を追加するものでないことも明らかである。
したがって、補正3は適法になされたものである。
次に、補正4は、その特許請求の範囲について、補正前の特許請求の範囲1ないし3項である
「【請求項1】ある場面を結像するためのレンズ・アパーチャープレート系(10)および該レンズ・アパーチャープレート系の後方の結像光路内にある検出装置(13)を用いて自動装置の正確な制御のため、レンズ・アパーチャープレート系(10)の結像の空間時間の物体パラメータを正確に決定するための装置において、レンズ・アパーチャープレート系(10)の後方で該レンズ・アパーチャープレート系(10)の焦点面内、または該焦点面の近傍にある電磁波ビームの伝播方向、および/または強度、および/または波長、および/または偏光、および/または変調周波数を各位置に特有に変調するための3D変調装置(12)を特徴とする装置。
【請求項2】3D変調装置(12)は湾曲した3D回折格子を含み、該回折格子は入射する電磁波ビームを回折された電磁波ビームに変換し、その際に回折されたビームは湾曲した3D回折格子の傾斜した網状面での反射に従って指向され、および/または格子開口条件に従ってその強度が変調され、および/またはブラッグ条件に従ってその波長が変調され、および/または回折格子の異方性に従って偏光され、および/または顕著な時間的振動に従って時間変調されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】3D変調装置(12)は湾曲していない3D回折格子を含み、その際に回折されたビームは湾曲していない3D回折格子の傾斜した網状面での反射に従って指向され、および/または格子開口条件に従ってその強度が変調され、および/またはブラッグ条件に従ってその波長が変調され、および/または回折格子の異方性に従って偏光され、および/または顕著な時間的振動に従って時間変調されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。」を、
補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし3である、
「【請求項1】空間的距離、及び/又は作動における距離変化、及び/又はオリエンテーション、及び/又は色、形、組織のような対象物に関連するパラメータを正確に決定するための装置であって、該装置は、電磁波ビームの伝播の方向、及び/又は波長の位置特定変調のための1個又は複数の面に配列された構造要素を有する3D回折格子上に対象物空間を結像するためのレンズ・絞り系を具え、前記3D回折格子は、該レンズ・絞り系の焦点面内、又は該焦点面の近傍にある該レンズ・絞り系の後方に位置すると共に、結像ビーム光路内の前記3D回折格子の後方に設けられた検出装置とを具えたことを特徴とする対象物に関連するパラメータを正確に決定するための装置。
【請求項2】3D回折格子は、湾曲した3D回折格子を含み、該回折格子は入射する電磁波ビームを回折された電磁波ビームに変換し、その際に回折されたビームは湾曲した3D回折格子の傾斜した網状面での反射に従って指向され、及び/又はブラッグ条件に従ってその波長が変調されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】3D回折格子は、湾曲していない3D回折格子を含み、該回折格子は入射する電磁波ビームを回折された電磁波ビームに変換し、その際に回折されたビームは湾曲していない3D回折格子の傾斜した網状面での反射に従って指向され、及び/又はブラッグ条件に従ってその波長が変調されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。」
に補正するものである。
そして、その補正の内容は、
(イ)請求項1について、「空間時間の物体パラメータ」とあるのを、「空間的距離、及び/又は作動における距離変化、及び/又はオリエンテーション、及び/又は色、形、組織のような対象物に関連するパラメータ」に補正し、
(ロ)請求項1について、「電磁波ビームの伝播方向、および/または強度、および/または波長、および/または偏光、および/または変調周波数を各位置に特有に変調するための3D変調装置(12)」とあるのを、「電磁波ビームの伝播の方向、及び/又は波長の位置特定変調のための1個又は複数の面に配列された構造要素を有する3D回折格子」に補正し、
(ハ)請求項2及び請求項3について「3D回折格子の傾斜した網状面での反射に従って指向され、および/または格子開口条件に従ってその強度が変調され、および/またはブラッグ条件に従ってその波長が変調され、および/または回折格子の異方性に従って偏光され、および/または顕著な時間的振動に従って時間変調される」とあるのを、「3D回折格子の傾斜した網状面での反射に従って指向され、及び/又はブラッグ条件に従ってその波長が変調される」に補正するものであり、いずれも、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第4号の明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そして、この補正も新規事項を追加するものではない。
したがって、補正4は適法になされたものとしてこれを認める。

3.原査定の理由
一方、原査定の拒絶の理由の概要は以下の通りである。
ここで、拒絶の理由の指摘の箇所は前記補正4に沿って対応したものとしている。

「本願は、明細書及び図面の記載が下記の点で不備と認められるから、特許法36条4項及び6項に規定する要件を満たしていない。

(1)請求項1の、3D回折格子により、強度、波長、偏向、変調周波数を各位置特有に変調することについて、発明の詳細な説明に具体的開示はなく、その内容が不明である。
(2)請求項2、3の「湾曲した3D回折格子」ないし「湾曲していない3D回折格子」、「傾斜した網状面」、「顕著な時間的振動に従って時間変調されること」と表現されたものが不明である。
(3)段落【0015】の「該格子12は、格子12の後方の近接場で物体Oの結像、または像をタルボット平面に変換する。そこでは検出装置13の適切な検出要素19、もしくはフォトレセプタで処理を行うために、干渉最大値を同心円状とする。その際に3つの円上で得られるカラー干渉最大値は、ここで示した例では人間の視覚の赤(R)、緑(G)、青(B)の各カラーチャンネルに相当し、それぞれの波長はλmax =559、537、447である。図1には、各回折装置が「BO」で示されていて、赤(R)、青(B)、緑(G)の各回折装置は111、122、123で示されている。」なる記載において、同心円状の干渉最大値ができる根拠が不明である。さらに、段落【0022】の「その際に3D変調装置の格子面の数が減少すると、ガウスのスペクトル帯域特性はこの3λmax の周囲で、すなわち3D格子の後方にある考察面内での干渉最大値の位置(この位置は60°の角度で交差する双曲線群と同心円との交点として定義されているが)で生じる。」と記載された内容が示す技術事項も不明である。
(4)段落【0024】の「さらに、例として一連の結像における時間的間隔に関して、検出要素19の赤の各局所の輝度最大値に対してその時点の該当する局所的輝度最大値と、局所の輝度最大値の速度をそれぞれ決定できる。この速度から、偏向された光線の増加された速度が推定される。ハイパスフィルタを然るべく設定すると、偏向された光線26と27がより高い精度で検出される。検出装置17内の位置から次に3D変調装置12内の原位置が決定される。」なる記載が意味する技術事項が不明である。特に、「局所的輝度最大値」がいかなるものか把握できず、また、「偏向された光線の増加された速度」については物理法則に反する記載となっている。
(5)段落【0025】には、本発明によって精度を向上させることができる旨記載されているが、その根拠が不明である。すなわち、3色で変調させ、空間的及び時間的な間隔と物体のパラメータを決定したとしても、各色毎に同じデータが得られるだけで、情報量は多くなるが、3ビット分1桁の(空間的ないし時間的)精度が向上するとは認められない。
(6)段落【0027】の「これによって、長さ方向において配置された検出要素19の数が二倍になり、そして平面に配置された検出要素19の数が四倍になり、さらにこれによってビット数が四倍になる。従って具体的な用途の重要な技術的データが分かれば、サイズの著しい改善を期待できる。」なる記載が意味する事項が不明である。特に、検出要素19の数が2倍ないし4倍になると記載されているが、どのような条件のものに対して、2倍ないし4倍になるのか何ら説明されていない。
(7)段落【0029】には、変調要素の性質についてのみ記載があるが、係る変調要素が、いかなる物理現象に基づき(1)式に見られるような性質を示し、また、どのような構造をもちいかにして製造されるのか一切説明がない。そして、当業者が、上記記載の性質のみから、それら変調要素の具体的内容を想定することは困難である。特に、検出要素の輝度ではなく、「フィルタ要素18のところでの輝度Hi」が座標によって変化する理由、及びフィルタ要素、原像、エッジ要素の関係)が図5b開示の光学系のいかなる関係を規定しているのか、その表現からは理解できない。
(8)段落【0035】の「例としてエッジ要素21の位置の正確な決定は、レンズ・絞り系10の開口が比較的大きく、その結果エッジ要素21の画像がレンズ・絞り系10の後方では検出装置17によって検出される画像よりも鮮明である場合には3D変調装置によって行うのが望ましい。このような場合、第2のレンズ・絞り系16の後方の焦点面での光のエネルギはキルヒホッフの境界条件に従って3D変調装置12内のフィルタ要素18の位置によって測定される。この光のエネルギは、検出要素19によって測定され、そして勾配mとエッジ要素の軸切片bを正確に計算するのに用いることが出来る。」なる記載において、「エッジ要素の画像」と「レンズ・アパーチャープレート系10の後方では検出装置17によって検出あれる画像」との相互関係が不明である。また、「フィルタ要素18の位置によって測定される。」なる記載も、その意味する技術内容が不明である。さらに、第2のレンズ・アパーチャープレート系16については、その役割等がまったく説明されていない。
(9)段落【0038】?【0039】に記載された内容と、通常の空間フィルタとは、その作用において何が違うのか不明である。すなわち、この記載の結果、その具体的内容が不明な請求項記載の3D変調装置が、公知の空間フィルタを含まないとする理由が不明となっている。
(10)段落【0040】の記載において、「x-y平面内で湾曲した3D格子」とあるが、何が湾曲しているのか不明である(同様に「湾曲されていない3D格子」も不明である)。また、「格子要素(これは、局所座標によって表示されているが)はx座標に比例した方位角32の分だけ、並びにy座標に比例した方位角33の分だけ回転されている。」との記載が、格子のどのような形態を想定しているのか、上記表現からは把握できない。また、「データの冗長性に基づいて」なる記載が示す具体的内容も把握できない。
(11)段落【0046】の「各検出要素19に関して…チャートを含んでいる。」なる記載において、「個々の点においては異なって以下のように」とあるが、何と異なっているのか(点が一つしかない場合と異なっているのか、個々の点毎に異なっているのか)文脈からは把握できない。その結果、像のフーリエスペクトルが、どのような点に対するスペクトルなのかも不明である。また、このようなフーリエスペクトルから格子定数が根拠も不明である。
さらに、「平面格子の倍率」が何を意味するのか、及び「該当する平面格子が確認される」なる記載が、具体的に平面格子の何を確認することを意味するかも不明である。
(12)段落【0049】の「レンズ・絞り系10の手前で白色光によって照射された平面要素Oの距離と方向がそれぞれ変化することによって、3D回折格子34の後方に強度分布が生じ、そしてこのスペクトル分布と位置から反射、または自己輻射によって光を発している平面要素Oの方向と距離が決定される。こうして得られたデータを用いて、奥行きチャートを作成できる。」なる記載からは、こうして得られたデータ(平面要素Oの方向と距離)から作成できる「奥行きチャート」がどのようなものか把握できない。
(13)段落【0053】の「図21には、3Dタルボット効果に関する装置が示されている。」と記載があるが、図21には、レンズ・アパーチャープレート系10,3D変調装置12,画像検出装置17が配置された図が開示されているのみにで、この図21からは、3Dタルボット効果に関して何ら把握できない。

よって、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1-3に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されておらず、また、請求項1-3の記載は明確でない。」

4.当審の判断
上記拒絶の理由に係る指摘事項について、前記補正4により補正された明細書及び図面に基づき検討する。
(1)特許請求の範囲の記載について
(イ)特許請求の範囲の請求項1には「・・・該装置は、電磁波ビームの伝播の方向、及び/又は波長の位置特定変調のための1個又は複数の面に配列された構造要素を有する3D回折格子上に・・・」と記載されているところ、特に、「電磁波ビームの波長の位置特定変調のための・・3D回折格子」の技術内容は、発明の詳細な説明にはこの点についての説明もなく、また、この点の裏付けを為す具体的技術手段が開示されておらず、不明である。3D回折格子によって各位置特有に変調することについて発明の詳細な説明において説明があるのは電磁波ビームの伝搬方向と強度に関するもののみであり、波長についての具体的な説明はない。
(ロ)特許請求の範囲の請求項2、請求項3における「傾斜した網状面」との記載について、何が何に対して傾斜しているのか、また、そもそも網状面とは何なのかが発明の詳細な説明にはこの点についての説明もなく、また、この点の裏付けを為す具体的技術手段の開示もなく、不明である。
以上のとおりであるから、特許請求の範囲の記載は明確でない。

(2)発明の詳細な説明について
明細書の発明の詳細な説明についての指摘事項3.(3)ないし(13)について検討するに、各指摘事項について示した点は依然として不明である。
すなわち、前記補正4により補正された明細書の発明の詳細な説明の記載は、「技術分野」、「背景技術」、「発明が解決しようとする課題」といった見出しを新たに付したものに過ぎず、補正1や補正2により補正された明細書の発明の詳細な説明と、その内容において実質的に変わるところがなく、前記指摘事項は、依然として解消されていないといわざるを得ない。
以下、上記指摘事項を個別に検討する。
(イ)指摘事項3.(3)について
「干渉最大値」についてみると、その技術内容や技術的意義が、この点に関連する発明の詳細な説明の段落【0015】や【0022】の記載を参酌しても不明であり、また、それが同心円状として得られることの根拠や、そのことの技術的意義も不明である。
(ロ)指摘事項3.(4)について
「局所的輝度最大値」についてみると、その技術内容や技術的意義が、この点に関連する発明の詳細な説明の段落【0023】や【0024】の記載を参酌しても不明であり、前記「干渉最大値」との関係も不明である。
さらに、光速は一定であるから、この速度が増加する旨の説明は物理法則に反したものである。
(ハ)指摘事項3.(5)について
本願発明により、変調によるビット倍増によって精度が向上できる旨記載されているが、例えば3色で変調させ、空間的及び時間的な間隔と物体のパラメータを決定したとしても、各色毎に同じデータが得られるだけで、情報量は多くなるものの、このことによりただちに3ビット分1桁の空間的ないし時間的精度が向上することにはならない(前記3.(5))ものと判断されるし、また、変調によるビット倍増ということと特許請求の範囲に記載の発明との関係も不明であるから、本願発明の作用効果や技術的意義が不明である。
(ニ)指摘事項3.(6)について
検出要素19の数が2倍ないし4倍になり、ひいてはサイズの著しい改善が期待できる旨記載されているが、どのような条件のものに対して、いかなる理由に基づき2倍ないし4倍になるのか、その技術的意義は何なのか、これらについて一切説明がなく不明である。
(ホ)指摘事項3.(7)ないし(13)について
これら各指摘事項についても、それぞれ関連する発明の詳細な説明や図面を参酌しても不明であり、本願発明の作用効果や技術的意義が不明である。

以上のとおり、本願にはその明細書全体に亘り不明な点が多くあるため、本願発明の課題である「レンズ・アパーチャープレート系、レンズ・絞り系の結像列において事実上リアルタイムで空間的、および/または時間的な間隔、すなわち物体パラメータ(例えば、速度、または奥行き)を正確に決定できる装置を提供すること」(段落【0006】発明が解決しようとする課題)が、課題を解決するための手段である「本発明の基盤になっているのは、画像面においてほぼ光の波長に等しい長さ解像度で集束可能な電磁波ビームは3D変調装置によってほぼ光の波長の精度で各位置に特有に変調させられるという驚くべき発見である。こうして変調された電磁波ビームは、これより低い長さ解像度を有する検出装置によって検知でき、そして画像面内の特定の位置はその位置に特有の変調に基づいて計算できる。これによって、光の場の3D構造と物体の3D構造を高精度で検出できる。例えば、ある回折格子のもとで回折された電磁波ビームは、反射条件に従って結晶方位によって決まる方向とブラッグ(Bragg)の条件に準じた波長を取る。」(段落【0007】課題を解決するための手段)により如何にして解決されるのか、その作用効果が不明であるとともに、課題を解決するための手段と特許請求の範囲に記載された発明との関係も不明であり、さらに、本願発明の裏付けを為す具体的技術手段も発明の詳細な説明の記載及び図面の記載を参酌しても不明であるから、発明の内容が不明であるとともに、発明の技術的意義を把握することができない。
したがって発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえない。

なお、審判請求人は、審判請求の理由において、
「審査官は、本願の発明の構成要件である3D回折格子などについて、明細書において具体的開示がなく、その内容が不明瞭であると述べておられるが、3D回折格子自体は、当業者において知られているものであるところ、その3D回折格子の構造並びに機能について説明している技術文献を参考文献として提出する。これらの技術文献は、結晶を通すX線の伝播の例としての機能を説明している。これらの説明は、可視光範囲にも適用できる。これについては、下記のような多くの文献において説明されている。そこで、特にLAUEの式を含む3D回折子が明確に説明されている2つの文献を参考文献として提出する。
-P.P.Ewald, Crystal Optics for Visible Light and X Rays.
Reviews of Modern Physics, Vol.37.1 (1965),pp.45-56
-M.M.Woolfson, An Introduction to X-Ray Crystallography. 2/1997
Cambridge University Press
-J.J.Rousseau, Basic Crystallography. Wiley 1998
-J.P.Glusker/K.N.Trueblood, Crystal Structure Analysis, A Primer.
2/1985 Oxford University Press (参考文献1)
-J.F.Nye, Physical Properties of Crystals. 1992
Clarendon Press Oxford
-C.Giacovazzo Ed., Fundamentals of Crystallography. 1998
Oxford University Press (参考文献2)
上記に記載されているように3D回折格子は、特にLaueの式、Braggの条件を含めて、慣用されている用語である。
この様に結晶格子に起因する異なる方向における異なる波長の回折は、所望の変調をもたらす。これは結晶光学の基礎的な現象である。3D回折格子は、基板上、例えば、ガラス基板、高分子基板に異なる結晶層を析出させることによって作製できる。平坦な基板を用いて、湾曲しない回折格子を、凸状又は凹状表面の基板を用いて湾曲した回折格子を作製する。これらの用語も当業者において、慣用されている用語である。従って本願の明細書は、当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているものであって、明細書の記載に不備はない。」
と述べており、要すれば3D回折格子は、ラウエの式やブラッグの反射条件も含め周知な事項であるから、明細書に記載不備はない旨主張している。
しかしながら、原査定の拒絶の理由は、3D回折格子やこれに関連したラウエの式やブラッグの反射条件が不明であるから明細書の記載に不備があるとしているのではなく、3D回折格子やブラッグの反射条件自体は周知であることを前提にした上で、発明の詳細な説明の記載が、本願の「発明が解決しようとする課題」が「課題を解決するための手段」により如何にして解決されるのか、その作用効果が実施例に関する発明の詳細な説明の記載や図面を参酌しても不明であり、ひいては当業者が実施することができる程度に明確かつ十分な記載となっていない点で、また、特許請求の範囲の記載が明確でない点で、明細書の記載に不備があるとしているのであるから、審判請求人の主張は妥当でない。

5.むすび
したがって、本願は、明細書の記載が不備であり、特許法第36条第4項並びに特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-11-29 
結審通知日 2007-12-04 
審決日 2007-12-21 
出願番号 特願平9-522494
審決分類 P 1 8・ 536- Z (G01B)
P 1 8・ 537- Z (G01B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 関根 洋之福田 裕司  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 上原 徹
山下 雅人
発明の名称 レンズ・絞り系の結像において間隔を高解像度で決定する装置  
代理人 岩佐 義幸  
代理人 高見 和明  
代理人 高見 和明  
代理人 冨田 和幸  
代理人 来間 清志  
代理人 冨田 和幸  
代理人 藤谷 史朗  
代理人 杉村 興作  
代理人 藤谷 史朗  
代理人 岩佐 義幸  
代理人 徳永 博  
代理人 徳永 博  
代理人 来間 清志  
代理人 杉村 興作  
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