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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06K
管理番号 1178868
審判番号 不服2005-14261  
総通号数 103 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-07-25 
確定日 2008-06-04 
事件の表示 平成 9年特許願第537290号「スマートカード個人化のシステムおよび装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年10月23日国際公開、WO97/39424、平成12年 7月11日国内公表、特表2000-508794〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
出願 平成9年4月14日(優先権主張1996年4月 15日、米国)
補正書 平成12年2月29日
拒絶理由の通知 平成14年3月8日
意見書、補正書の提出 平成14年9月19日
拒絶理由の通知 平成15年12月26日
意見書、補正書の提出 平成16年7月13日
拒絶査定 平成17年4月19日
拒絶査定の謄本の発送 平成17年4月26日
審判請求 平成17年7月25日
拒絶理由の通知 平成19年2月20日
意見書の提出 平成19年8月27日

2.本願発明について
本願の、特許請求の範囲の請求項1乃至請求項31に係る発明は、補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至請求項31に記載されたとおりの事項により特定されるものと認められる。そして、その請求項25に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次の事項により特定されるものである。

「カード保持者用パーソナル化データおよび設備の特性データを入手する段階と、
上記設備特性データにより特定されるパーソナル化用設備へ上記パーソナル化データを転送してデータ担体を発行する段階とを備える、
可搬のプログラムされたデータ担体を発行する方法。」

3.引用刊行物
当審の拒絶の理由に引用された、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である特開平7-334631号公報(以下「刊行物1」という。)には、図1及び図2とともに、次のように記載されている。
A.「【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したような同一カード上に種々の個人情報記録形態を備えたカードを発行する場合、カード形態として、多種多様のバリエーションが考えられる。例えば、カード発行の依頼先であるユーザの仕様によって、どの情報記録媒体を用い、どのような個人情報を記録させるかが異なっている。このため、今後益々カードの需要が増大すると予想される現在において、発行しようとする多種多様のカードの個々の情報記録媒体に所望の個人情報を記録させるためのカード発行処理作業が非常に煩雑になるといった問題がある。他の情報記録媒体と組み合わせたICカードを用いる場合、他の情報記録媒体の記録内容とIC記録部の記録内容とをどちらも特定個人に関する情報であるようにし、他方の記録処理は、一方の記録媒体の記録内容を、カードを識別する情報として用いることにより行われる。このように発行処理を行うには、発行処理機のシステム制御部において、カードの仕様毎に、それらに対応するように、上述のようなカード識別情報の認識方法といった、発行処理機における種々の稼動制御条件の設定を行わなくてはならず、非常に処理効率および処理精度が悪くなる。また、ICカードに対する書込み処理には、ICカードに対する仕様によっては、所望のICカードを発行するためにIC書込み装置に与える指示情報としての制御情報も異なってくることになり、やはりその設定作業が煩雑となる。そこで本発明は、個人情報記録媒体として複数の情報記録形態を備えた複数種のICカードに対し、効率的且つ正確に発行処理を行うことのできるICカード発行処理システムを提供することを目的とする。」
B.「【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様は、複数のIC書き込み手段と、該装置を制御する制御手段とを含んだ複数のICカード発行機を用いたICカード発行処理システムにおいて、ICカード発行パターンを生成するための情報と、個人情報とを用いてICカード発行パターンを生成する手段と、該発行パターンと、発行依頼先情報とを対応付けた顧客データとして格納する手段と、ICカードを発行する手段と、システム全体を制御するための制御手段とから構成され、該制御手段が、前記複数のICカード発行機の制御情報及び稼働状況を管理し、前記格納手段内の顧客データに基いて、発行処理に使用するICカード発行機を選択し処理を行わせるようにすることにより、ICカード発行処理の制御を行う機能を持たせたものである。
【0005】本発明の第2の態様は、上述の第1の態様を持ったシステムにおいて、発行依頼先情報が、カードの情報記録形態や記録される情報の種類を設定するようにしたものである。
【0006】本発明の第3の態様は、上述の第1ないし第2の態様を持ったシステムにおいて、さらに、ICカード発行パターンを生成する手段において、さらにICカード発行パターンを生成するための情報を作成する手段を含むようにしたものである。
【0007】本発明の第4の態様は、上述の第1ないし第3の態様を持ったシステムにおいて、ICカード発行パターンを生成するための情報が、発行処理時に生成される情報をカードに付与するために必要なICカード発行機制御情報を含むようにしたものである。
…(中略)…
【0009】
【作用】本発明によれば、システムの制御手段において、格納手段に格納された複数種のカード発行パターンデータを管理し、該パターンデータ内に設定されているIカード発行機制御情報によって、それぞれのICカード発行処理に適応するよう制御された複数のICカード発行機の中から発行対象のICカードの発行処理に最適なICカード発行機を選定し、処理を行わせることができる。また、それぞれの発行機の稼働状況を把握し、格納手段のメモリ容量に応じて発行パターンの生成,格納数を制御することにより状況に応じた効率の良い発行処理が可能となる。」
C.「【0010】
【実施例】以下、本発明を図示する実施例に基づいて説明する。図1は本発明の一実施例を示すICカード発行処理システム全体を示すブロック図である。ここで、ICカード発行処理システムは、ICカード発行処理システム1内に、システム全体を制御する制御手段21と、発行パターンを発行依頼先に対応付けた顧客データとして格納する格納手段22と、複数のIC発行機として本実施例では4つのIC書き込み処理部31,41,51,61を有し、個人情報をIC部に書き込み、個人情報記録媒体としてのICカードを発行する機能をもったICカード発行機としてのシステムであり、個人情報配給装置71は、これら複数のIC書き込み処理部に対し個人情報を配給する機能を持った装置である。制御手段21と格納手段22,各IC書込み処理部31,41,51,61および個人情報配給装置71と各IC書込み処理部31,41,51,61とはそれぞれネットワークによって相互に接続されている。
…(中略)…
【0012】ICカード形態以外の種々の情報記録形態の態様については、ICカードの発行を依頼するユーザの仕様によって異なるのが通常である。例えば、発行時に生成する情報を付与する場合、その付与条件(初期値、間隔等装置を稼働させるための制御情報)が必要となり、その他にも、カード識別情報の認識方法(磁気データ,光学データ等)、クロック周波数の切り換え、データ伝送の規格情報、処理エラー許容回数の設定、カード搬送条件等ICカード発行機を制御するための情報があり、これらを必要に応じてパラメータ等で設定した制御情報ファイルを用意する。また、実際のICカード発行パターンデータを生成するための情報であるひな形パターンファイルを用意し、前記パラメータファイルとひな形パターンファイルとをICカード発行処理システム1内の格納手段22に格納する。IC書き込み用情報として顧客から供給されるデータも、それぞれ個々のリーダライタ装置がICカードにアクセスするために利用するパターンファイルの記述書式が異なっている場合があるため、このような場合には、いったん実際のアクセスに用いるリーダライタ装置の書式に適合するよう書き換える作業として、ICカード発行パターンを生成するための情報を作成する手段、すなわちひな形パターンを作成する手段23をさらに設ける必要がある。IC書込み用情報として顧客から与えられたデータの入力/編集を行って、まずIC書込み用データを生成するためのひな形パターンを作成するひな形パターン作成手段23により、ひな形パターンファイルを作成する。また、前述したようなICカード発行機制御情報データについても、パラメータ設定等を行った制御情報ファイルを作成し、前記ひな形パターンファイルと前記制御情報ファイルとを一組にした顧客情報ファイルとして、IC発行パターン生成手段24へ供給する。
【0013】IC発行パターン生成手段24は、供給された顧客情報ファイルと、個人情報配給装置71から供給された個人情報を用いて、発行対象の各々ICカードに対する書込み処理データからなるICカード発行パターンファイルを生成し、格納手段22に供給し、顧客情報ファイル単位での管理を行う。なお、予め実際に生成する予定数の発行パターンを格納可能であるか否かをそのメモリ容量状況を考慮したうえで格納するよう制御することが好適である。例えば、メモリ使用可能容量が大きい場合は、すべて生成,格納し、容量が小さい場合は、例えば、分割して生成,格納するような措置をとるようにする。これにより、機能性は良いが容量が少ないメモリを用いた効率の良い処理が可能となる。格納手段22に供給された発行パターンファイルは、発行依頼先と対応付けた顧客データとして格納され、管理される。」
D.「【0014】上述のようにしてIC書込み処理を行う準備が整い、ICカード発行処理システム1の制御部はICカードの発行機のIC書込み処理の作動開始を指示する。該発行処理システム1は複数、この実施例においては4種のIC書込み処理部31,41,51,61を有している。IC書き込み処理部31の細部については図2に示すように、ICカード発行処理制御部32、カード識別装置33、IC書込み装置であるICカード用リーダライタ装置34から構成され、さらに、これに図示しないエンボス加工処理装置、磁気記録処理装置、カラー印刷処理装置等も接続され、これら一連の工程を経てICカードの全発行処理を行うICカード発行機を構成している。前述の構成は、それぞれ他のIC書き込み処理部41,51,61においても同様である。
【0015】ICカード発行処理システム1の制御部21は、格納手段22に格納されている顧客情報である発行パターンファイルと、制御情報ファイルを用いて、複数種のICカードを対象とした発行機内で使用するIC書込み装置の制御条件の設定(クロック周波数切り換えのための情報、光学読み取り文字認識、磁気情報認識等カード識別情報の認識方法に関する情報といったカードの種類毎に異なる条件や、処理エラーの許容回数等の共通条件等)を行い、各顧客のカード仕様に適応可能なIC書込み装置の制御条件の制御を行うようにしておく。IC書込み処理に際しては、制御部21は、発行対象の顧客に対応するICカード発行パターンファイルを、選定した発行処理に適するIC書き込み処理部31に対し、供給するようにする。IC書き込み処理部31内のICカード発行処理制御部32では、供給されたデータを用い、ICカード用リーダライタ装置33に処理を行わせるよう、制御を行う。これにより、発行対象のICカードの書き込み処理が行われ、その他の処理(エンボス,磁気記録等)は、前出の顧客情報に基づいて順次行われる。ICカード発行処理システム全体の制御部21は、複数のICカード発行機の稼働状況を管理し、発行機の制御情報を加味した上で、常に発行処理に最適なICカード発行機を選択するように制御を行う。具体的には、IC書き込み処理部31と41が同一設定条件のもとに制御されている場合、これら2つの書き込み処理部の稼働状況により、発行処理に余裕のある書き込み処理部を適宜選択し、発行処理を行わせるよう、カード搬送部および発行パターン供給先の制御を行う。」

(a)D.の記載を参照すると、IC書き込み処理部は、IC書き込み処理部内にICカード発行処理制御部、ICカード用リーダライタ装置(IC書込み装置のこと)等を有し、エンボス加工処理装置、磁気記録処理装置等が接続されている(図1、図2及びD.の【0014】段落の記載参照)ので、エンボス加工処理装置、磁気記録処理装置等を接続したIC書き込み処理部(図2)として把握できる。
(b)A.の発明が解決しようとする課題、B.の課題を解決するための手段の記載をふまえ、C.D.のICカード発行の手順の記載を参照すると、刊行物1には、個人情報記録媒体として複数の情報記録形態を備えた複数種のICカードに対し、効率的且つ正確に発行処理を行うことのできるICカード発行処理方法を提供することを目的とした次のICカード発行処理方法の発明(以下、「刊行物1の発明」という。)が示されている。

IC書込み用情報として顧客から与えられたデータの入力/編集を行って、IC書込み用データを生成するためのひな形パターンファイルを作成するとともに、ICカード発行機制御情報についてパラメータ設定等を行った制御情報ファイルを作成し、前記ひな形パターンファイルと前記制御情報ファイルとを一組にした顧客情報ファイルをIC発行パターン生成手段へ供給し、IC発行パターン生成手段は、供給された顧客情報ファイルと、個人情報配給装置から供給された個人情報を用いて、発行対象の各々ICカードに対する書込み処理データからなるICカード発行パターンファイルを生成して格納手段に供給し、
ICカード発行処理システムの制御部は、前記格納手段に格納されている顧客情報である発行パターンファイルと前記制御情報ファイルを用いて、複数種のICカードを対象とした発行機内で使用するIC書込み装置の制御条件の設定を行い、各顧客のカード仕様に適応可能なIC書込み装置の制御条件の制御を行い、
IC書込み処理に際しては、制御部は、発行対象の顧客に対応するICカード発行パターンファイルを、選定した発行処理に適するIC書き込み処理部に対し供給し、
IC書き込み処理部内のICカード発行処理制御部では、供給されたデータを用い、ICカード用リーダライタ装置に処理を行わせるよう制御を行うことにより、発行対象のICカードの書き込み処理が行われ、
その他の処理(エンボス,磁気記録等)は、エンボス加工処理装置、磁気記録処理装置等において顧客情報に基づいて順次行われる、
ICカード発行処理方法。

4.対比
本願発明と刊行物1の発明とを対比する。
(4.1)本願発明において、パーソナル化とは、本願明細書第11頁下3行?下1行に「各取引きカードに対してカード保持者データを印刷/エンボス加工/コード化するプロセスは“個人化(パーソナル化)”として知られている。」と記載されているように、各取引きカードにカード保持者データを印刷/エンボス加工/コード化することである。これに対して、刊行物1のC.の【0010】段落に、個人情報はICカードのIC部に書き込まれる旨の記載があること、及び、刊行物1のB.の【0007】段落に、ICカード発行パターンを生成するための情報が、発行処理時に生成される情報をカードに付与するために必要なICカード発行機制御情報を含む旨記載されており、前記発行処理時に生成される情報をカードに付与するとは、発行処理時に生成される個人情報などの情報をエンボス,磁気記録等によりカードに付与することが含まれると認められることから、刊行物1のICカードに付与される個人情報はパーソナル化データに相当する。また、個人情報が付与されて発行されるICカードの保持者は、個人情報と対応する個人であることは自明な事項である。これらを合わせると、刊行物1の発明の、「個人情報」は、本願発明の「カード保持者用パーソナル化データ」に相当する。
また、刊行物1の発明の「IC書き込み処理部」、即ち、エンボス加工処理装置、磁気記録処理装置等を接続した「IC書き込み処理部」は、本願発明の「設備」に相当し、刊行物1の発明の「IC書込み用データを生成するためのひな形パターンファイルを作成するとともに、ICカード発行機制御情報についてパラメータ設定等を行った制御情報ファイルを作成し、前記ひな形パターンファイルと前記制御情報ファイルとを一組にした顧客情報ファイル」における、「ひな形パターン」及び「パラメータ設定等を行った制御情報」は、本願発明の「設備の特性データ」に相当する。
また、刊行物1の発明は、「入手する」段階を有することは特定されていないものの、「個人情報を用いて」いること、ひな形パターンファイルと制御情報ファイルからなる「顧客情報ファイルをIC発行パターン生成手段へ供給し」ていることから、個人情報、ひな形パターン、及び、制御情報を「入手する」段階を有することは技術的常識であって記載されているに等しい事項である。

(4.2)刊行物1の発明の「ICカード発行処理システムの制御部は、格納手段に格納されている顧客情報である発行パターンファイルと制御情報ファイルを用いて、複数種のICカードを対象とした発行機内で使用するIC書込み装置の制御条件の設定を行い、各顧客のカード仕様に適応可能なIC書込み装置の制御条件の制御を行う」(以下、「特定事項A」という。)において、顧客情報である発行パターンファイルと前記制御情報ファイルは、本願発明の「設備の特性データ」に相当する情報を含むものであり、また、IC書込み装置は、本願発明の「設備」に相当するエンボス加工処理装置、磁気記録処理装置等を接続したIC書き込み処理部の一部をなすものであるから、これらのファイルを用いて、IC書込み装置の制御条件を設定し、各顧客のカード仕様に適応可能なIC書込み装置として動作させるように制御すること(特定事項A)は、本願発明の「設備」に相当するIC書き込み処理部を特定することであると見ることができる。また、特定事項Aにおける「制御」により、「ICカード発行処理制御部では、供給されたデータを用い、ICカード用リーダライタ装置に処理を行わせるよう制御を行うことにより、発行対象のICカードの書き込み処理が行われ、その他の処理(エンボス,磁気記録等)は、エンボス加工処理装置、磁気記録処理装置等において顧客情報に基づいて順次行われる」ことから、特定事項Aの「制御すること」には、前記順次行われるその他の処理の制御が含まれ、この制御も前記本願発明の「設備」に相当するIC書き込み処理部を特定することに含まれる。
すなわち、特定事項Aを考慮すると、刊行物1の発明の「IC書き込み処理部」は、本願発明の「設備特性データ」に相当する情報により特定される「設備」であり、本願発明の「設備の特性データにより特定されるパーソナル化用設備」と実質的に一致する。
また、刊行物1の発明の「IC書込み処理に際しては、制御部は、発行対象の顧客に対応するICカード発行パターンファイルを、選定した発行処理に適するIC書き込み処理部に対し供給する」(以下、「特定事項B」という。)は、刊行物1のC.の【0010】段落に、制御手段21と各IC書込み処理部とはそれぞれネットワークによって相互に接続されているという記載があることから、前記「供給する」には転送することも含まれると解される点をふまえると、特定事項Bは、本願発明の「パーソナル化用設備へ上記パーソナル化データを転送して」に相当する。
また、刊行物1の発明の「IC書き込み処理部内のICカード発行処理制御部では、供給されたデータを用い、ICカード用リーダライタ装置に処理を行わせるよう制御を行うことにより、発行対象のICカードの書き込み処理が行われ、
その他の処理(エンボス,磁気記録等)は、エンボス加工処理装置、磁気記録処理装置等において顧客情報に基づいて順次行われる」は、本願発明の「データ担体を発行する」に相当する。

(4.3)
刊行物1の発明の「ICカード」は、刊行物1の【従来技術】の段落に、キャッシュカード、クレジットカード、IDカード等の種々の個人情報記録媒体の利用が盛んになってきており、カードとしての形態を持った個人情報記録媒体としては、ICカード、磁気カードエンボスカード等が利用されている旨あることから、「可搬」であることが読み取れる。また、ICカードには個人情報がICカードのIC部に書き込まれるので、このICカードは、本願発明の「プログラムされた」といえないとしても「データ担体」に相当する。

したがって、刊行物1の発明と本願発明とは、次の特定事項を有する点では一致し、そして、次の点で相違する。
〈一致点〉
「カード保持者用パーソナル化データおよび設備の特性データを入手する段階と、
上記設備特性データにより特定されるパーソナル化用設備へ上記パーソナル化データを転送してデータ担体を発行する段階とを備える、
可搬のデータ担体を発行する方法」

〈相違点〉データ担体が、本願発明は、プログラムされたデータ担体であるのに対し、刊行物1の発明は、データを書き込み可能であってデータの書き込み処理が行われるICカードではあるが、プログラムされたという明示はない点。

5.当審判断
ICカードが、プログラムされたデータ担体(ICカード)である技術は本願優先権主張日前周知の技術にすぎない。例えば、特開昭63-65591号公報第2頁左上欄13行?右上欄下2行には、
「〔問題点を解決するための手段〕
本発明の上記目的は、書替え可能なメモリとマイクロコンピュータとを有するICカードを用いるシステムにおいて、前記ICカードを、該ICカード内の書替え可能なメモリの記憶エリアを複数のエリアに分割して各エリアにプログラムをロード可能とするとともに、プログラム名称、プログラム先頭アドレス等を格納するプログラム配置管理テーブルを有する如く構成し、一方、前記プログラム配置管理テーブルを介して前記ICカード内の各プログラムを外部から選択する手段を設けたことを特徴とするICカード・システムによって達成される。
〔作用〕
本発明においては、ICカード側では、該ICカード内に設けられた書替え可能なROM中に複数のプログラムをロード可能にするとともに、プログラム名称、プログラム開始アドレスおよびプログラム・サイズを指定するプログラム配置管理テーブルを設け、一方、上記ICカードを扱う装置側では、ICカード内の上記プログラム配置管理テーブルを介して、プログラム・ロード時にはその内容を追加または変更し、また、プログラム実行時には、上記テーブルを読出して実行プログラムを指定することにより、前記目的を達成可能とするプログラム書込み、実行指定機能を有するものである。」
と記載されており、ICカードが、書込みでき、プログラムされたICカードである技術が示されている。
よって、刊行物1の発明において、書き込み可能なICカードを、プログラムされたデータ担体(ICカード)とすることは、前記周知技術を参酌することにより当業者が容易になし得ることである。

そして、本願発明の構成によってもたらされる効果も、刊行物1記載の発明及び前記周知技術から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明及び前記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-12-27 
結審通知日 2008-01-08 
審決日 2008-01-21 
出願番号 特願平9-537290
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 奥村 元宏  
特許庁審判長 井関 守三
特許庁審判官 長島 孝志
野仲 松男
発明の名称 スマートカード個人化のシステムおよび装置  
代理人 西山 雅也  
代理人 石田 敬  
代理人 鶴田 準一  
代理人 樋口 外治  
代理人 水谷 好男  

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