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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M |
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管理番号 | 1178907 |
審判番号 | 不服2006-2758 |
総通号数 | 103 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-07-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-02-15 |
確定日 | 2008-06-06 |
事件の表示 | 特願2002-339252「電話取引支援システム及びその支援システムでの処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを格納した記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 7月25日出願公開、特開2003-209625〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成9年5月28日(優先権主張平成8年6月14日)に出願した特願平9-138595号の一部を平成14年11月22日に新たな特許出願としたものであって、平成18年1月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成18年2月15日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものであり、その請求項1に係る発明は、平成17年8月25日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。(以下、「本願発明」という。) 「電話での会話を通して得られた顧客に関する情報をデータベースに登録する顧客情報登録手段と、 顧客を特定する情報を入力する手段と、 入力された顧客を特定する情報に基づいて、該特定された顧客に関する情報をデータベースから検索する検索手段と、 該検索手段にて検索された顧客に関する情報を表示する表示手段と、 顧客からの電話により依頼された取引の内容をデータベースに登録する取引登録手段と、 電話による取引の際の電話を通した顧客とユーザとの会話の内容を該取引と関連付けてデータベースに記録する会話記録手段とを有し、 該取引の内容と会話の内容とを対応付けて記録できるようにした電話取引支援システム。」 2.引用例に記載された発明 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用した特開平5-165862号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の記載がある。 「【0014】 【実施例】次に、図1から図3を用いて本発明の実施例の構成および動作を順次詳細に説明する。 【0015】図1において、交換機1は、PBXなどの高性能な交換機であって、コンピュータ2との間でデータの授受を行うインタフェースを持ったものであり、ここでは、顧客から電話がかかってきたときにこれを取り上げ(フックオフ)、発呼元の電話番号(加入者番号)を自動的に取り出してコンピュータ2に通知したりなどするものである。 【0016】コンピュータ2は、交換機1から通知のあった発呼元の電話番号を受信して各種処理を行うものであって、電話データベース検索機能21、表示機能22、顧客登録機能23、注文入力機能24および制御部25などから構成されるものである。 【0017】電話データベース検索機能21は、交換機1から受信した発呼元の電話番号をキーに、電話データベース26を検索して該当する電話番号の顧客の氏名、住所などを取り出すものである。 【0018】表示機能22は、電話データベース検索機能21によって電話データベース26から検索して取り出した電話番号に対応する氏名、住所などを画面4上に表示するものである。 【0019】顧客登録機能23は、画面4上に表示された顧客の氏名、住所などについて、オペレータが電話をかけた顧客に問い合わせ、正しいと判断してその旨をキー入力などした場合にはそのまま顧客ファイル27に登録し、間違っていた場合にはキーボード5を打鍵して画面4上で修正して正しくしこれを登録する旨のキー入力などした場合にこの修正後の顧客情報を顧客ファイル27に登録したりするものである。 【0020】注文入力機能24は、画面4上に注文入力画面を表示し、オペレータがこの画面から電話で顧客から聞いた注文を入力したことに対応して、この顧客の顧客コードに対応づけてその注文を注文ファイル28に登録するものである。 【0021】制御部25は、電話データベース検索機能21、表示機能22、顧客登録機能23、注文入力機能24などを統括制御などの各種制御を行うものである。電話データベース26は、電話番号をキーとして、顧客の氏名、住所などを予め登録したデータベースである。 【0022】顧客ファイル27は、画面4上に電話データベース26から検索して取り出して表示し、これをオペレータが顧客に確認してOKとなったときに当該顧客情報(顧客の氏名、住所、電話番号など)を登録するファイルである。 【0023】注文ファイル28は、顧客の注文を登録するファイルである。電話機3は、顧客の電話機であって、例えば通信販売業者から送られてきたダイレクトメールを見て、その電話番号に発呼し、顧客登録して商品を注文したりするために使用する電話機である。 【0024】画面4は、顧客情報(氏名、住所、電話番号など)を登録する登録画面や、顧客からの商品の注文を入力する注文入力画面などであって、ディスプレイ上に表示した画面である。 【0025】キーボード5は、画面4上で各種データを入力したり、指示を与えたりするものであって、例えば顧客登録画面上で顧客の住所などを修正したりするために、かななどを入力したりするものである。 【0026】次に、図2のフローチャートに示す順序に従い、図1の構成の動作を詳細に説明する。図2において、S1は、顧客が電話をかける。 【0027】S2は、交換機1が顧客の電話番号を受信したり、顧客の電話を取り上げる(フックオフする)。例えばISDNにおける発呼元の電話番号(加入者番号)を取り出す。 【0028】S3は、S2で受信した(取り出した)顧客(発呼元)の電話番号をインタフェースを介してコンピュータ2に通知する。S4は、S3の通知によって電話番号を受け取ったコンピュータ2の電話データベース検索機能21が、この電話番号をキーに電話データベース26を検索する。 【0029】S5は、S4の検索の結果、該当する電話番号が有ったか判別する。YESの場合には、S6でその電話番号の顧客情報である氏名、住所などを画面4上に表示し、S7に進む。このS7でオペレータが画面4上に表示した顧客の氏名、住所などを電話をかけた顧客に問い合わせて正しいか確認し、OKのときにS10に進み、NGのときにS9でオペレータが画面4上から修正入力して正しい顧客の氏名、住所にし、S10に進む。一方、NOの場合には、電話データベース26を検索して該当する電話番号が見つからなかったので、S8でオペレータが画面4上から、電話で聞いた顧客の氏名、住所、電話番号などをキー入力し、S10に進む。 【0030】S10は、顧客ファイル27に登録する。これは、 S4、S5のYES、S6、S7のOKの場合は、電話データベース26から検索して取り出した顧客情報(氏名、住所など)が正しかったのでそのまま顧客ファイル27に登録する。 【0031】 S4、S5のNO、S8の場合は、電話データベース26を検索しても見つからなかったので、オペレータが電話先の顧客に聞いて画面4上から顧客情報(氏名、住所など)を入力し、顧客ファイル27に登録する。 【0032】 S4、S5のYES、S7のNOの場合には、電話データベース26から検索して取り出し顧客情報(氏名、住所など)が間違っていたので、オペレータが画面4上から修正し、修正後の正しい顧客情報を顧客ファイル27に登録する。 【0033】以上によって、顧客が電話をかけたことに対応して、自動的に顧客の電話番号を取り出して電話データベース26を検索してこの電話番号の顧客の氏名、住所などを画面4上に表示し、正しいときはそのまま顧客ファイル27に登録し、一部間違っていたときはその部分を画面4上でオペレータが修正して顧客ファイル27に登録し、電話データベース26を検索しても見つからなかったときはオペレータが画面4上から顧客情報(氏名、住所、電話番号など)を入力して顧客ファイル27に登録する。これにより、顧客の電話番号をもとに電話データベース26を自動的に検索して画面4上に顧客情報(氏名、住所など)を表示することができ、オペレータがキーボード5から全てキー入力してかな漢字変換する操作をしなくてもよく、操作性が向上すると共に、不慣れなオペレータでも迅速かつ間違いなく顧客登録処理を行うことが可能となる。 【0034】次に、図2のS11は、注文入力画面を画面4上に表示する。S12は、オペレータが注文入力画面上から、電話をかけてきた顧客から注文のあった商品名、商品コード、金額、数量などを入力する。 【0035】S13は、S12でオペレータが注文入力画面から入力した顧客の注文を顧客コードに対応づけて注文ファイル28に登録する。以上によって、電話をかけてきた顧客の正しい顧客情報を顧客ファイル27に登録した後、画面(顧客登録画面)から注文入力画面に切替え、オペレータが容易に顧客の注文を入力して登録することが可能となる。」 引用例の図1に示されたシステムは、オペレータが電話注文を処理することを支援するものであるから、電話注文支援システムであるといえる。 引用例の0019段落及び0033段落の記載を参照すると、顧客登録機能は、顧客情報を顧客ファイルに登録する機能であり、顧客情報は電話での会話を通して得られたものであることが理解できる。 引用例の0015段落の記載を参照すると、交換機は、発呼元の電話番号を取り出して、コンピュータに通知するものであるから、発呼元の電話番号を入力する手段であるといえる。 引用例の0017段落の記載を参照すると、電話データベース検索機能は、入力された発呼元の電話番号に基づいて、該当する電話番号の顧客の氏名、住所など、すなわち顧客情報を検索する機能であるといえる。 引用例の0018段落の記載を参照すると、表示機能は、電話データベース検索機能にて検索された電話番号に対応する顧客情報を表示する機能であるといえる。 引用例の0020段落の記載を参照すると、注文入力機能は、顧客からの電話による注文を注文ファイルに登録する機能であるといえる。 したがって、引用例には、 「電話での会話を通して得られた顧客情報を顧客ファイルに登録する顧客登録機能と、 発呼元の電話番号を入力する手段と、 入力された発呼元の電話番号に基づいて、該当する電話番号の顧客情報を電話データベースから検索する電話データベース検索機能と、 電話データベース検索機能にて検索された電話番号に対応する顧客情報を表示する表示機能と、 顧客からの電話による注文を注文ファイルに登録する注文入力機能とを有する電話注文支援システム。」の発明(以下、「引用例発明」という。)が記載されている。 3.対比 本願発明と引用例発明とを対比する。 引用例発明の「顧客情報」は、本願発明の「顧客に関する情報」に相当する。 引用例発明の「顧客登録機能」は、電話での会話を通して得られた顧客に関する情報を登録するものである点で、本願発明の「顧客情報登録手段」と共通している。 本願発明の「顧客を特定する情報」には、本願明細書の0009段落に記載されているように、顧客の電話番号が該当するものである。引用例発明の「発呼元の電話番号」は顧客の電話番号であるから、本願発明の「顧客を特定する情報」に相当する。 引用例発明の「電話データベース検索機能」は、入力された顧客を特定する情報に基づいて、該特定された顧客に関する情報を検索するものである点で、本願発明の「検索手段」と共通している。 引用例発明の「注文」は、本願発明の「取引」に含まれるものであり、引用例発明の「注文入力機能」は、顧客からの電話により依頼された取引の内容を登録するものである点で、本願発明の「取引登録手段」と共通し、引用例発明の「電話注文支援システム」は、本願発明の「電話取引支援システム」に含まれるものである。 したがって、両者は、 「電話での会話を通して得られた顧客に関する情報を登録する顧客情報登録手段と、 顧客を特定する情報を入力する手段と、 入力された顧客を特定する情報に基づいて、該特定された顧客に関する情報を検索する検索手段と、 該検索手段にて検索された顧客に関する情報を表示する表示手段と、 顧客からの電話により依頼された取引の内容を登録する取引登録手段とを有する電話取引支援システム。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 顧客情報登録手段について、本願発明ではデータベースに登録するものであるのに対して、引用例発明では顧客ファイルに登録するものである点。 [相違点2] 検索手段について、本願発明ではデータベースから検索するものであるのに対して、引用例発明では電話データベースから検索するものである点。 [相違点3] 取引登録手段について、本願発明ではデータベースに登録するものであるに対して、引用例発明では注文ファイルに登録するものである点。 [相違点4] 本願発明は、電話による取引の際の電話を通した顧客とユーザとの会話の内容を該取引と関連付けてデータベースに記録する会話記録手段を有し、取引の内容と会話の内容とを対応付けて記録できるようにしたのに対して、引用例発明は、そのような手段を有するものではない点。 4.当審の判断 [相違点1?3]について 一般に情報をコンピュータシステムに登録して検索に用いる場合に、ファイルとして扱うかデータベースとして扱うか、また、ファイルやデータベースを単一とするか、分割して構成するかは、当業者が必要に応じて適宜決定すべき事項である。そして、引用例発明の「顧客ファイル」「電話データベース」「注文ファイル」は、いずれも顧客に関する情報を含んでおり、これらをまとめて「データベース」とすることに困難性は認められない。 したがって、相違点1?3に係る構成を採用することは、当業者が容易になし得たものである。 [相違点4]について 電話システムにおいて、電話による通話の内容を記録する会話記録手段を設けることは周知事項(特開昭62-269550号公報、特開平3-245651号公報、特開平5-14510号公報、特開平3-277059号公報参照)であり、この周知事項を引用例発明の電話注文支援システムに適用することに困難性は認められない。また、適用に際して、取引の内容と会話の内容とを対応付けて記録できるようにデータベースに記録するようにすることは、取引の内容と会話の内容とは関連したものであることが自明であることからして、当業者が容易になし得たものと認められる。 そして、本願発明の作用効果も、引用例発明及び周知事項から当業者が予測できる範囲のものである。 5.むすび したがって、本願発明は、引用例発明及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-03-27 |
結審通知日 | 2008-04-01 |
審決日 | 2008-04-14 |
出願番号 | 特願2002-339252(P2002-339252) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04M)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 西脇 博志 |
特許庁審判長 |
竹井 文雄 |
特許庁審判官 |
富澤 哲生 萩原 義則 |
発明の名称 | 電話取引支援システム及びその支援システムでの処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを格納した記録媒体 |
代理人 | 伊東 忠彦 |
代理人 | 伊東 忠彦 |