• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G09B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09B
管理番号 1179503
審判番号 不服2005-9021  
総通号数 104 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-05-12 
確定日 2008-06-09 
事件の表示 平成11年特許願第298841号「ISO認証取得管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 4月27日出願公開、特開2001-117476〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年10月20日に出願したものであって、平成17年4月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月12日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年6月13日付けで明細書についての手続補正がなされたものである。

2.平成17年6月13日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年6月13日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲についての補正を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲は、
「【請求項1】 ISOの認証を取得するための業務を管理するISO認証取得管理システムにおいて、
前記業務の内容およびその実行順序を示すフローチャートを記載した複数の文書を記憶しておく記憶手段と、
前記記憶手段の文書を読み出す手段と、
当該読み出された文書を表示する表示手段と
を具え、前記複数の文書は階層構造を有し、1つの文書が表示されている場合に、当該表示されている文書から前記階層構造上の他の文書を前記読み出し手段により読み出し、前記表示手段により表示することが可能となっており、また、前記記憶手段には前記業務に関連する文書が記憶されており、前記読み出し手段は、前記フローチャートの形態の文書が表示されている場合にその表示画面から前記業務に関連する文書をも読み出し可能であることを特徴とするISO認証取得管理システム。
【請求項2】 請求項1に記載のISO認証取得管理システムにおいて、前記業務に関連する文書を編集する文書編集手段をさらに具えたことを特徴とするISO認証取得管理システム。
【請求項3】 請求項2に記載のISO認証取得管理システムにおいて、前記文書編集手段により編集された文書を外部に送信するための通信手段をさらに具えたことを特徴とするISO認証取得管理システム。」
から
「【請求項1】 ISOの認証を取得するための業務を管理するISO認証取得管理システムにおいて、
前記業務の内容およびその実行順序を、各業務とその業務責任者とその業務のための入力文書とその業務の結果としての出力文書とを1ステップとして示すフローチャートを記載した複数の文書を記憶しておく記憶手段と、
前記記憶手段の文書を読み出す手段と、
当該読み出された文書を表示する表示手段と、
前記業務に関連する文書を編集する文書編集手段と、
該文書編集手段により編集された文書を外部に送信するための通信手段と を具え、前記複数の文書はリンクにより関連付けられた階層構造を有し、1つの文書が表示されている場合に、当該表示されている文書の中の前記フローチャート上の特定処理についてのマウスの指定に応じて、該特定処理に関連する前記階層構造上の他の文書を前記読み出し手段により読み出し、前記表示手段により表示することが可能となっており、また、前記記憶手段には前記業務に関連する文書が記憶されており、前記読み出し手段は、前記フローチャートの形態の文書が表示されている場合にその表示画面に表示されるフローチャートには記号で区分けされている表示があり、当該表示されている文書は前記階層構造の上位層から下位層への文書へ前記マウスの指定に応じて移行し、前記業務に関連する文書をも読み出し可能であることを特徴とするISO認証取得管理システム。」
と補正された。(下線は、補正前請求項1に対しての補正箇所を示している。)

(2)補正の内容についての検討
上記補正箇所の内、「前記業務に関連する文書を編集する文書編集手段と、」は、補正前請求項2に、「該文書編集手段により編集された文書を外部に送信するための通信手段と」は、補正前請求項3に記載された事項であり、平成17年6月13日付け審判請求書についての手続補正書の「(3)(b)補正について」の項に「請求項1に請求項2及び請求項3を併合しています。」と記載されていることからも、補正後の請求項1は、補正前請求項1を引用する補正前請求項2を更に引用する補正前請求項3に対応するものと認められる。
そうすると、本件補正は、少なくとも以下の補正事項を含むものといえる。
[補正事項1]複数の文書について、「前記業務の内容およびその実行順序を示すフローチャートを記載した」から「前記業務の内容およびその実行順序を、各業務とその業務責任者とその業務のための入力文書とその業務の結果としての出力文書とを1ステップとして示すフローチャートを記載した」と補正する。
[補正事項2]フローチャートの形態の文書が表示されている場合の表示画面について「表示されるフローチャートには記号で区分けされている表示があり」と限定する。

[補正事項1]について検討する。
各業務とその業務責任者と入力文書と出力文書を示し、フローチャートを記載した文書について、本願出願当初明細書には、明示的な記載はなく、本願の図面【図5】の記載があるのみである。
【図5】に関連する本願出願当初明細書及び図面(以下、図面も含めて「本願当初明細書」という。)の記載は、以下の通りである。

【0024】
本実施形態の文書は複数あり、階層構造を有する。より具体的には、図5、図6、図7でハッチングされた所は上位層の文書から下位層の文書へ移行できるよう、複数の文書がリンクにより関連付けられている。このために本実施形態では、フローチャート上の特定処理が指定されると、その処理に関連する文書ファイル名(リンク先の文書名)のアドレスが上位層のHTML文書の中に記載されている。この階層構造により、複雑な内容を階層で展開できるため、フローチャートが簡潔になる。
【0025】
また、フローチャートの各処理は、ISOの認証を取得するための業務内容であり、文字形態で業務内容が記載されている。フローチャートの各処理の実行順は、ISOを受けるための業務の実行順に対応している。
【0026】
図5のフローチャートが表示されると、ユーザは学習したい処理をマウスにより指定する。たとえば、「監査の準備をする」という項目を指定すると、CPUはHTML言語に記載された定義と、マウスにより指定された表示画面の位置に基づき、「監査の準備をする」の学習項目が指示されたことを検知する。この指示に応じて、次に表示するフローチャートが「監査を実施する」および「不適合を評価し、監査の結果を領域の責任者に報告し、記録する」という表記の学習項目とも関連することを、色で報知する。
【0027】
図5中100は詳細なフローチャートを表示するための学習項目であり、101はISOの認証を取得するための業務で使用する文書(シート)を表示するための学習項目である。本実施形態では、フローチャート上の業務そのものを示す項目のリンク先の文書はHTML文書で作成されるが、後述の入出力関連データのリンク先の文書は、すなわち、後述の計画書や報告書はワープロ、表計算ソフト、あるいは作画ソフトで作成される。これらの文書は一般的には、業務の後に作成する報告書、あるいは業務の前に作成する計画書であり、フローチャート上では、入力データ、あるいは出力データとして取り扱われる。入力データあるいは出力データ用の文書は、ユーザが編集可能であり、入力データまたは出力データの表示、編集のためには、その文書を作成したソフトがCPUにより起動される。
【0028】
次に、CPUはHTML文書に記載されたタグにしたがって、上記3つの学習項目に関連するHTML文書を読み出して、図6に示すように表示させる(ステップS120)。
【0031】
また、図6のフローチャート表示画面上で、ユーザが、さらに詳細な学習項目(図6の例では「監査を行う」)をマウスで指定すると、指定された学習項目に対応する詳細フローチャートまたは入力データまたは出力データ用の文書が表示される(ステップS160→S110→S120)。
【0032】
図6の例では図7に示すフローチャートが表示される。入力データまたは出力データ用の文書(いわゆるシート)を示す項目がユーザによりマウスで指定された場合には、その項目の文書ファイル名の識別子に基づきそのシートを作成した文書編集ソフト、たとえば、ワープロソフトが自動起動されて、文書が表示される。したがって、ユーザは、文書編集ソフトを起動する必要はない。また、起動した文書編集ソフトにより文書内容を編集し、保存することができる。
【0033】
各階層のフローチャートまたは入力データまたは出力データの文書が表示されている状態で質問を送信する機能の起動ができることは言うまでもない。
【0041】
以上、述べたように、本実施形態では、学習の内容がISO規格要求事項の手順と対応した標準フローチャート形態で実際のISOの認証を取得するための業務の処理手順にしたがって記載されているので、ユーザにとっては、従来の教材の文章理解による学習よりも本実施形態の学習方法の方法が理解が容易となる。さらに、表示されるフローチャートには、ISOの認証を取得するための業務で使用する文書(報告書、計画書等)と業務の関連付けが行われているので、ある業務を行ったあと、どのような文書を作成しなければならないか、あるいはある業務を遂行するに先立ってどのような文書を作成しなければならないかがフローチャートにより一目瞭然となる。
【0042】
加えて、フローチャートの個別の処理項目を指定すると、さらに詳細なフローチャートあるいは、文書の具体例が表示されるので、従来の教材と比べると、本実施形態ではページめくりのような煩雑な動作が不要となる。















請求人は、本件補正について、前記平成17年6月13日付け手続補正の「(3)(b)補正について」の項で「さらに、「各業務とその業務責任者とその業務のための入力文書とその業務の結果としての出力文書とを1ステップとして」の補正は図5、[0027][0041]の記載を根拠にしています。つまり、「図5中の101は、ISOの認証を取得するための業務で使用する文書」で「これらの文書は一般的には、業務の後に作成する報告書、あるいは業務の前に作成する計画書であり、フローチャート上では、入力データ、あるいは出力データとして取り扱われる。」[0027]と、「表示されるフローチャートには、ISOの認証を取得するための業務で使用する文書(報告書、計画書等)と業務の関連付けが行われているので、」[0041]との記載によります。また、図5の記載の「監査の準備をする」業務と「主任監査員」との関係は、各業務とその業務責任者の関係が直接的且つ一義的に導き出せます。」と主張している。

本願当初明細書中において、各業務とその業務責任者と入力文書と出力文書を示し、フローチャートを記載した文書の具体例は、【図5】記載のものが唯一のものであって、【図6】及び【図7】に記載の文書は、各業務と入力文書と出力文書を示し、フローチャートを記載した文書ではあるものの、業務責任者を示すものではないし、【図5】に示すような業務責任者を示す文書が複数あるとも記載されていない。
一方、補正後の請求項1の記載によると、「各業務とその業務責任者とその業務のための入力文書とその業務の結果としての出力文書とを1ステップとして示すフローチャートを記載した」は「複数の文書」に係る言葉であるから、「複数の文書」(の各々)が「各業務とその業務責任者とその業務のための入力文書とその業務の結果としての出力文書とを1ステップとして示すフローチャートを記載した」ものでなくてはならないが、前述の通り、本願当初明細書に記載された業務責任者を示す文書は、【図5】に示す1つの文書のみで、「複数の文書」(の各々)が業務責任者を示すものとは到底いえず、業務責任者を示す文書を複数とすることが自明なことともいえない。
そうすると、補正事項1は、本願当初明細書に記載された事項の範囲内においてしたものとはいえない。

[補正事項2]について検討する。
「記号で区分けされている表示」について、本願当初明細書には、明示的な記載はない。
前記段落【0024】、【図5】及び【図6】に「ハッチング」が記載されているが、「ハッチング」は、例示を示すために図面に便宜上記載されたものと解さざるを得ず、フローチャートの形態の文書が表示されている場合の表示画面の区分けされている表示とはいえない。仮に、「ハッチング」が表示画面に表示されているとしても「記号」という文言上の表現に対応するものが記載されているとはいえない。
前記段落【0026】に、学習項目の関連性を「色で報知」する旨記載されているが、それも「記号」という文言上の表現に対応するものではない。
その他に「記号で区分けされている表示」に関連する記載は見受けられない。
また、前記平成17年6月13日付け手続補正の「(3)(b)補正について」の項でも、「記号で区分けされている表示」についての根拠を何も説明していない。
そうすると、補正事項2は、本願当初明細書に記載された事項の範囲内においてしたものとはいえない。

(3)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成17年6月13日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成17年3月22日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであり、その請求項に係る発明(以下、「本願発明」という。)を再掲すると、以下のとおりである。

「ISOの認証を取得するための業務を管理するISO認証取得管理システムにおいて、
前記業務の内容およびその実行順序を示すフローチャートを記載した複数の文書を記憶しておく記憶手段と、
前記記憶手段の文書を読み出す手段と、
当該読み出された文書を表示する表示手段と
を具え、前記複数の文書は階層構造を有し、1つの文書が表示されている場合に、当該表示されている文書から前記階層構造上の他の文書を前記読み出し手段により読み出し、前記表示手段により表示することが可能となっており、また、前記記憶手段には前記業務に関連する文書が記憶されており、前記読み出し手段は、前記フローチャートの形態の文書が表示されている場合にその表示画面から前記業務に関連する文書をも読み出し可能であることを特徴とするISO認証取得管理システム。」

(1)原査定の拒絶の理由
従来技術から当業者が容易に発明し得ることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるというのが原査定の趣旨であり、「ハイパーリンクによりマルチメディア文書を管理・表示する手段、マルチメディア文書を編集する手段、及び、マルチメディア文書を送信する手段を実装したコンピュータシステム」(以下、「引用周知技術」という。)が周知技術であると認定している。

(2)対比・判断
上記引用周知技術について検討すると、特開平9-212408号公報(以下、「周知文献1」)、特開平9-204351号公報(以下、「周知文献2」)、特開平11-110204号公報(以下、「周知文献3」)、特開平9-6603号公報等に示すように、上記引用周知技術は、本願出願当時に周知技術であったものと認められる(平成17年3月22日付け意見書の(3)に「出願人は、本願出願時において、ハイパーリンクによりマルチメディア文書を管理・表示する手段、マルチメディア文書を編集する手段、及び、マルチメディア文書を送信する手段を実装したコンピュータシステムが周知であった点は、認めます。」と記載されており、請求人も認めている。)。
そこで、本願発明と引用周知技術とを比較すると、引用周知技術が文書を記憶しておく記憶手段と前記記憶手段の文書を読み出す手段を有することは明らかであり、引用周知技術の「表示する手段」は、本願発明の「読み出された文書を表示する表示手段」に相当する。
引用周知技術がハイパーリンクによりマルチメディア文書を管理・表示する手段を有するから、1つの文書が表示されている場合に、当該表示されている文書から他の文書を読み出し手段により読み出し、表示手段により表示することが可能であることも明らかである。
引用周知技術の「コンピュータシステム」と本願発明の「ISO認証取得管理システム」は、いずれも「システム」の点で共通する。
よって、両者は、
「システムにおいて、
文書を記憶しておく記憶手段と、
前記記憶手段の文書を読み出す手段と、
当該読み出された文書を表示する表示手段と
を具え、1つの文書が表示されている場合に、当該表示されている文書から他の文書を前記読み出し手段により読み出し、前記表示手段により表示することが可能であるシステム。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点]本願発明は、ISOの認証を取得するための業務を管理するISO認証取得管理システムであって、記憶手段に記憶されている文書がISOの認証を取得するための業務の内容およびその実行順序を示すフローチャートを記載した複数の文書とISOの認証を取得するための業務に関連する文書であり、前記複数の文書は階層構造を有し、1つの文書が表示されている場合に、当該表示されている文書から前記階層構造上の他の文書を読み出し手段により読み出し、表示手段により表示することが可能となっており、前記読み出し手段は、前記フローチャートの形態の文書が表示されている場合にその表示画面から前記業務に関連する文書をも読み出し可能であるのに対し、引用周知技術は、本願発明のような特定がない点。

上記相違点について検討する。
そもそも、ISOは、国際標準化活動をする機関であり、本願出願当時、ISO規格を認証していたことは、自明である。ISOの認証を取得するためには、監査対象がISOの求める事項を満たしているか否か検証し、報告しなければならず、そのようなISOの認証を取得するための業務が存在していたことも明らかである。
一方、業務を遂行する際の業務の内容およびその実行順序を定めることは通常のことであり、業務に携わる人々に業務内容を周知させるために業務の内容およびその実行順序を文書化することも通常のことである(例えば、種々の業務でマニュアルが作成される。)。業務の内容およびその実行順序を分かりやすく表現するために、業務の内容およびその実行順序を示すフローチャートを記載した文書として表現することは周知の表現手法であり、フローチャートで業務の内容およびその業務を表現する際、上位階層の業務の内容およびその実行順序を示すフローチャートを記載した文書と下位階層の業務の内容およびその実行順序を示すフローチャートを記載した文書で実現することも周知の表現手法である。これらは、上記周知文献1の段落【0144】及び【図31】、周知文献2の【図18】及び【図19】、周知文献3の【図6】(上位階層の文書)及び【図7】(下位階層の文書)等で裏付けられる。
ISOの認証を取得するための業務においても、その業務の内容およびその実行順序を定め、上位階層の業務の内容およびその実行順序を示すフローチャートを記載した文書と、下位階層の業務の内容およびその実行順序を示すフローチャートを記載した文書からなる複数の文書を作成することは当業者が容易になし得る程度のことであり、引用周知技術は、汎用性のものであり、引用周知技術のマルチメディア文書としてどのようなものを採用するかは必要に応じ適宜選択し得るものであって、引用周知技術のマルチメディア文書として前記複数の文書を記憶させ、上位階層の業務の内容およびその実行順序を示すフローチャートを記載した文書と、下位階層の業務の内容およびその実行順序を示すフローチャートをハイパーリンク機能で対応付け、上位階層の業務の内容およびその実行順序を示すフローチャートを記載した文書が表示されている場合に、当該表示されている文書から下位階層の業務の内容およびその実行順序を示すフローチャートを記載した文書を読み出し手段により読み出し、表示手段により表示するようにすることは当業者が容易になし得る程度のことである。
次に、ISOの認証を取得するための業務に関連する文書について、以下検討する。
ISOの認証を取得するための業務が存在していたことは前述の通りでありであり、業務の実行順序に沿って、ISOの求める事項を満たしているか否かの監査を計画したり、ISOの求める事項に対するチェック項目を設けてチェックしたり、その報告書を作成したり等の業務が想定でき、その業務に必要な計画書やチェックシートや報告書等、即ち、ISOの認証を取得するための業務に関連する文書が業務の実行順序に従って必要となることが想定できる。そうであれば、引用周知技術のマルチメディア文書として、前記複数の文書に加えてISOの認証を取得するための業務に関連する文書を追加し、業務の内容およびその実行順序を示すフローチャートの形態の文書が表示されている場合にその表示画面から業務に関連する文書をも読み出し可能とすることは当業者が容易になし得る程度のことであり、このことは、周知文献1の段落【0144】及び【図31】等でも裏付けられる。
以上のように、ISOの認証取得の業務に適用すべく、引用周知技術に、ISOの認証を取得するための業務の内容およびその実行順序を示すフローチャートを記載した複数の文書とISOの認証を取得するための業務に関連する文書を記憶手段に記憶させ、複数の文書は階層構造を有し、1つの文書が表示されている場合に、当該表示されている文書から前記階層構造上の他の文書を読み出し手段により読み出し、表示手段により表示することが可能となっており、前記読み出し手段は、前記フローチャートの形態の文書が表示されている場合にその表示画面から前記業務に関連する文書をも読み出し可能とすることは、当業者が容易になし得る程度のことであり、そのような機能を有するシステムをISOの認証を取得するための業務を管理するISO認証取得管理システムと称することに何の問題もない。
よって、本願発明の上記相違点に係る構成とすることは当業者が容易になし得る程度のことである。

そして、本願発明の作用効果も、引用周知技術を含む周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-04-08 
結審通知日 2008-04-11 
審決日 2008-04-22 
出願番号 特願平11-298841
審決分類 P 1 8・ 561- Z (G09B)
P 1 8・ 121- Z (G09B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮本 昭彦  
特許庁審判長 長島 和子
特許庁審判官 酒井 進
名取 乾治
発明の名称 ISO認証取得管理システム  
代理人 谷 義一  
復代理人 窪田 郁大  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ