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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F16B
管理番号 1179603
審判番号 不服2006-14733  
総通号数 104 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-07-10 
確定日 2008-06-12 
事件の表示 平成10年特許願第282172号「薄鋼板製建築用枠材の接合構造」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 4月18日出願公開、特開2000-110815〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯・本願発明
本願は、平成10年10月5日の出願であって、平成18年6月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成18年7月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付けで明細書について手続補正がなされたが、同手続補正は、当審において平成20年1月22日付けで決定をもって却下され、同日付で拒絶理由が通知され、平成20年3月28日付けで手続補正が提出されたものである。
本願の請求項1に係る発明は、平成17年11月28日付け、平成17年12月8日付け及び平成20年3月28日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「胴部と、その一端に頭部を有すると共に胴部他端側の軸孔には内側から開口端へ徐々に拡径したテーパ孔を有する中空のリベット本体と、心軸部と、その一端に略球形状の心軸頭部を有する心軸とで一方向リベットが構成され、板厚0.5mm?2.3mmの薄鋼板を曲げ加工してなる薄鋼板製建築用枠材であり、前記薄鋼板部分を相互に当接配置させた複数個の前記薄鋼板製建築用枠材のうち、一方の薄鋼板製建築用枠材の外側面に鋼板製で前記薄鋼板製建築用枠材の板厚よりも板厚の厚い添板を当接配置し、これらに開設した各リベット挿入孔に一方向リベットの胴部他端側が前記添板側に位置するように一方向リベットを配置し、各リベット挿入孔に挿通した一方向リベットの心軸部の軸方向への引張り力により、心軸頭部を胴部他端部内に挿し込まれることによって拡大カシメられる、そのカシメ部が添板表面に密着されて薄鋼板製建築用枠材相互を締結接合して構成したことを特徴とする薄鋼板製建築用枠材の接合構造。」

2 引用例及びその記載事項
これに対して、当審で通知した拒絶理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平9-158929号公報(以下、「第1引用例」という。)には、「ブラインドリベット」に関して、特に図1とともに次の事項が記載されている。
(ア)「【発明の属する技術分野】本発明は、建設分野において、薄鋼板、特に6.0mm未満の薄鋼板間を片側から強固に接合するためのリベット接合法に使用するセルフドリリング機能付きブラインドリベットに関するものである。」(段落番号【0001】)
(イ)「【実施例】以下に本発明の実施例を図面を以て詳細に説明する。図1に従来のブラインドリベット接合に用いるリベット形状と接合状態を、…示す。図1において、ブラインドリベットは、リベット、先端に突起部を有するシャフトから構成されている。このブラインドリベットにより薄鋼板間を接合する手順としては、ステンレス製もしくは鋼製のリベット1の直径よりもやや大きな径を持つ下穴2を設けた複数枚の薄鋼板3に、先端にその軸部と比較して過大な突起部4を有するシャフト5を内蔵した皿あるいはなべ状の頭部6を持つ円筒状のリベット1に挿入し、その後前記頭部6に押圧力を付与しつつシャフト5の端部に張力を与えてリベット内にこの突起部を引き込み、シャフトの前記過大な突起部4とシャフト5を張力により破断させることによってリベットの先端部(頭部とは反対側の端部)に鋼板の下穴の径よりも大きな拡幅部7を形成して複数枚の鋼板を強固に接合するものである。…」(段落番号【0007】)
(ウ)さらに、図1より、リベット1が胴部を有し中空である点、シャフト5がシャフト部と過大突起部4で構成され過大突起部4が略球形状を有する点、及び薄鋼板3を当接配置させた点が認められる。
以上の点を総合すると、第1引用例には、
「胴部と、その一端に頭部6を有する中空のリベット1と、シャフト部と、その一端に略球形状の過大突起部4を有するシャフト5とでブラインドリベットが構成され、6.0mm未満の薄鋼板3を当接配置させ、薄鋼板3に開設した下穴2に挿通したブラインドリベットのシャフト部の軸方向への引張力により、過大突起部4を胴部他端部内に挿し込まれることによりリベット1の先端部に拡幅部7を形成して薄鋼板3を接合する建築用薄鋼板の接合構造。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

同じく、本願出願前に頒布された刊行物である実願平5-18675号(実開平6-78610号)のCD-ROM(以下、「第2引用例」という。)には、「回転用リベット」に関して図面とともに次の事項が記載されている。
(エ)「【産業上の利用分野】
本考案は、部材間の締結に使用されるリベットに係り、更に詳しくは前記部材間に間隙を確保して少なくとも一方の部材が回動自在である回転用リベットに関する。
【従来の技術】
二つの部材を重ね合わせて連通した貫通孔に差込み、片側端部を工具で潰して締結するリベットは、作業能率の向上を図って最近ではリベッターで容易に締結作業ができるようにした図8乃至図11に示すものが知られている。
このリベットは、円筒状のボディー本体1dの先端部にフランジ1aを有したリベットボディー1と、棒状部2bの後端部に玉状部2aを設けたマンドレル2からなり、図8に示すように、前記棒状部2bの先端部をボディー本体1dの後端側から貫通孔に差し込んで、マンドレル2の玉状部2aがボディー本体1dの後端部に係止された状態になされている。」(段落番号【0001】ないし【0003】)
(オ)「本考案の要部であるかしめ用の薄肉部1bは、上記一実施例では段部1cとしたが、かしめの高さを適宜設定できれば本考案の目的が達成されるものであるので、図3(イ)から図3(ニ)に示す他の実施例も包含するものである。
即ち、図3(イ)に示すように、ボディー本体1dの後端面に向かって先細となるテーパ5を設けて薄肉部1bを形成したものである。…」(段落番号【0021】及び【0022】)

3 対比
本願発明と引用発明を対比する。
後者の「中空リベット1」は、その機能、配置からみて、前者の「中空リベット本体」に相当し、以下同様に、「頭部6」は「頭部」に、「シャフト部」は「心軸部」に、「過大突起部4」は「心軸頭部」に、「シャフト5」は「心軸」に、「ブラインドリベット」は「一方向リベット」に、「過大突起部4を胴部他端部内に挿し込まれることによりリベット1の先端部に拡幅部7を形成して」は「心軸頭部を胴部他端部内に挿し込まれることによって拡大カシメられる」に、それぞれ相当する。

したがって、両者は、本願発明の表記にならえば、
「胴部と、その一端に頭部を有する中空のリベット本体と、心軸部と、その一端に略球形状の心軸頭部を有する心軸とで一方向リベットが構成され、一方向リベットの心軸部の軸方向への引張り力により、心軸頭部を胴部他端部内に挿し込まれることによって拡大カシメられる、接合構造。」である点で一致し、次の点で相違している。
〈相違点1〉
本願発明は、中空のリベット本体が「胴部他端側の軸孔には内側から開口端へ徐々に拡径したテーパ孔を有する」のに対し、引用発明は、中空リベット1が、本願発明のような、テーパ孔を有しない点。
〈相違点2〉
本願発明は、「板厚0.5mm?2.3mmの薄鋼板を曲げ加工してなる薄鋼板製建築用枠材であり、前記薄鋼板部分を相互に当接配置させた複数個の前記薄鋼板製建築用枠材のうち、一方の薄鋼板製建築用枠材の外側面に鋼板製で前記薄鋼板製建築用枠材の板厚よりも板厚の厚い添板を当接配置し、これらに開設した各リベット挿入孔に一方向リベットの胴部他端側が前記添板側に位置するように一方向リベットを配置し、各リベット挿入孔に挿通した」一方向リベットの心軸部の軸方向への引張り力により、心軸頭部を胴部他端部内に挿し込まれることによって拡大カシメられる、「そのカシメ部が添板表面に密着されて薄鋼板製建築用枠材相互を締結接合して構成した薄鋼板製建築用枠材の」接合構造であるのに対し、引用発明は、6.0mm未満の薄鋼板3を当接配置させ、薄鋼板3に開設した下穴2に挿通したブラインドリベットのシャフト部の軸方向への引張力により、過大突起部4を胴部他端部内に挿し込まれることによりリベット1の先端部に拡幅部7を形成して薄鋼板3を接合する建築用薄鋼板の接合構造であって、本願発明の如く、「板厚0.5mm?2.3mmの薄鋼板を曲げ加工してなる薄鋼板製建築用枠材」としての「薄鋼板製建築用枠材の」接合構造であるとの限定がなく、しかも、本願発明のような、「添板」を設けていない点。

4 相違点の判断
〈相違点1〉に対し
前記(エ)及び(オ)の記載事項並びに図3(イ)によれば、第2引用例には「リベットボディー本体1に関して、一端にフランジ1aを有し、他端の軸孔には内側から開口端へ拡径したテーパ5を有する」事項が記載されている。
してみると、上記相違点1に係る事項は第2引用例に記載又は示唆されているといえる。
そして、引用発明と第2引用例に記載された事項は、ともに部材間の締結に用いられるリベットに関する技術分野に属するものであり、引用発明に第2引用例に記載された事項を適用することを妨げる特段の事情も窺えない。
したがって、引用発明に第2引用例に記載された事項を適用して、上記相違点1に係る本願発明とすることは、当業者が容易に想到し得るものと認める。

〈相違点2〉に対し
引用発明の「薄鋼板」も建築分野に用いられる板厚6mm未満のものであり(前記摘示事項(ア)参照)、また、建築分野に用いられる薄鋼板を枠材として用いることは当該技術分野においては通常行われていることであるので、引用発明の「6.0mm未満の薄鋼板3」としての「建築用薄鋼板の接合構造」を本願発明の如く「板厚0.5mm?2.3mmの薄鋼板を曲げ加工してなる薄鋼板製建築用枠材」としての「薄鋼板製建築用枠材の接合構造」とすることは、格別なことではない。
また、建築分野において、鋼板部材の接合に際し鋼板製の添板を配置することは周知技術(例えば、特開平5-133019号公報の「内添板2」、「外添板3」,特開平6-57828号公報の「添板1」,特開平8-338073号公報の「添板5」,特開平10-18423号公報の「添板2、9、12、20」参照)である。
そして、引用発明も前記周知技術も、同一の技術分野に属するものであって、引用発明に前記周知技術を適用することを妨げる特段の事情も見受けられない。
してみると、引用発明においても、薄鋼板3の接合に際し、添板を配置することは、当業者であれば容易に認識できる事項であり、その際、添板の板厚を薄鋼板3の板厚より厚くする点、及びブラインドリベットと添板の配置を本願発明の如く配置することは、当業者が適宜実施し得ることであって、格別なことではない。
よって、引用発明において、「6.0mm未満の薄鋼板3」としての「建築用薄鋼板の接合構造」を「板厚0.5mm?2.3mmの薄鋼板を曲げ加工してなる薄鋼板製建築用枠材」としての「薄鋼板製建築用枠材の接合構造」とする前提下において、前記周知技術を適用して、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
そして、本願発明の効果も、引用発明及び第2引用例に記載された事項並びに前記周知技術から、当業者であれば予測できる程度のものであって格別なものとはいえない。

なお、審判請求人は、平成20年3月28日付け意見書において、「また、周知技術として引用されました周知技術文献(特開平5-133019号公報に記載の内添板2および外添え板3を用いる鋼管の接合構造、または特開平6-57828号公報の添板1を用いる高力ボルト接合構造、あるいは特開平8-338073号公報の添板5を用いる高力ボルト接合構造、特開平10-18423号公報の添板2,9,12,20を用いる高力ボルト摩擦接合構造)は、いずれも接合すべき部材本体側は十分な剛性を有する部材であり、本体側について、リベットの軸方向と直角方向にせん断力が加えられた場合に、波状等に変形する座屈が起こることを想定する必要のない部材についての接合構造であり、薄鋼板の技術分野の技術ではありません。本願発明のように、「リベットの軸方向と直角方向にせん断力が加えられても、枠材が圧縮された波状等に変形する座屈が起こりにくくなる」という作用効果については、記載されておりません。そして、本願発明は、いずれの周知技術文献1?4からでは予測できない作用効果を奏しております。」(【意見の内容】(5)(ハ))と主張している。
しかしながら、引用発明に前記周知技術が適用できることは、上述したとおりであり、また、前記周知技術においても、ボルト(本願発明の「リベット」に相当)の軸方向と直角方向にせん断力が加えられた場合にも座屈が起こりにくくなることは、当業者であれば容易に認識できる事項であるので、審判請求人の上記主張は採用しない。

5 むすび
以上により、本願の請求項1に係る発明(本願発明)は、第1引用例及び第2引用例に記載された発明並びに前記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-04-09 
結審通知日 2008-04-15 
審決日 2008-04-30 
出願番号 特願平10-282172
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F16B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 森本 康正  
特許庁審判長 溝渕 良一
特許庁審判官 常盤 務
戸田 耕太郎
発明の名称 薄鋼板製建築用枠材の接合構造  
代理人 安彦 元  
代理人 林 信之  
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