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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A23L
管理番号 1179894
審判番号 不服2006-430  
総通号数 104 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-01-05 
確定日 2008-06-20 
事件の表示 特願2002-210718「黒酢入りぽん酢醤油」拒絶査定不服審判事件〔平成16年2月19日出願公開、特開2004- 49104〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成14年7月19日の出願であって、平成17年8月24日付けの拒絶理由通知に対して、同年10月27日に意見書が提出され、その後、同年12月8日付けで拒絶査定がなされた。これに対し、平成18年1月5日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたが、この手続補正は、当審において、平成19年9月21日付けで補正の却下の決定がなされるとともに、同日付けで拒絶理由が通知され、これに対して、同年10月11日に意見書が提出されたものである。

2.本願発明について
(1)本願発明
平成18年1月5日付の手続補正は、上記のとおり却下されているので、本願の請求項1?3に記載の発明(以下、「本願発明1?3」という。)は、出願当初に記載された特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】黒酢、醤油及び昆布のだし汁を含有する黒酢入りぽん酢醤油。
【請求項2】さらに、柑橘果汁を含有する、請求項1記載のぽん酢醤油。
【請求項3】さらに、おろし野菜を含有する、請求項1または2記載のぽん酢醤油。」

(2)刊行物に記載された事項
当審における拒絶理由の概要は、本願発明1?3は、その出願前に頒布された刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができるものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものであり、該拒絶理由で引用された刊行物1である特開2001-78700号公報及び刊行物2である特開2000-152775号公報の各記載事項は次のとおりである。

(2-1)引用文献の記載事項
(2-1-1)刊行物1(特開2001-78700号公報)
(a)「実施例1
濃口醤油1部に対して食酢1部、ゆず果汁0.5部を加え、更に各種だし汁0.5部あるいはエキス0.05部を加え、混合撹拌してぽん酢しょうゆA?Dを調製した。このようにして調製した各ぽん酢醤油をだし汁の代わりに水を使用して調製したぽん酢醤油Eをコントロールとして官能試験を行ったところ、下記表1に示す結果を得た。なお、香味の評価は、コントロールと比較して、強い=5点、弱い=1点として5段階で評価し、総合評価は、コントロールと比較して、良い5点、同じ3点、悪い1点で評価した。
ぽん酢醤油A:昆布だし汁を使用
ぽん酢醤油B:濃縮昆布エキスを使用
ぽん酢醤油C:鰹節のだし汁を使用
ぽん酢醤油D:椎茸のだし汁を使用
ぽん酢醤油E:コントロール」(段落【0013】)、及び
(b)「【表1】(略)
この表が示すように、かつお節や椎茸のだし汁と比較して、昆布のだし汁あるいはエキスの方が、良好な果汁感、さわやかな香りを残したまま酸味や塩かどを抑え、柑橘果汁と醤油とを混合により発生する刺激臭、化学薬品臭、ムレ臭等の不快臭もマスキングできることが明確になった。また、特記すべきことに、昆布のだし汁やエキスの方が調味料が水で希釈されても香味が維持され、味の伸びがよいことも明らかとなった。」(段落【0014】)が記載されている。
(2-1-2)刊行物2(特開2000-152775号公報)
(c)「黒酢は、酢特有のすっぱみ、苦み及び発酵臭を有することから、そのまま飲料とすることは困難であり、通常は調味料として使用されるにとどまる。」(段落【0008】)が記載されている。

(2-2)刊行物1に記載された発明
上記摘示(a)によると、実施例1の「ぽん酢醤油A」は、濃口醤油1部、食酢1部、ゆず果汁0.5部及び昆布だし汁0.5部から調製されたものであるから、刊行物1には
「食酢、ゆず果汁、醤油及び昆布のだし汁を含有する食酢入りぽん酢醤油」という発明が記載されているといえる。

(2-3)本願発明1について
(2-3-1)対比
本願発明1と刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は、「酢、醤油及び昆布のだし汁を含有する酢入りぽん酢醤油」で一致し、ただ、「酢」が、前者では「黒酢」であるのに対し、後者では「食酢」である点で相違する。

(2-3-2)相違点についての検討
刊行物2には、「黒酢」は通常は調味料として使用されることが記載されているから(摘示(c))、調味料として普通に用いられている「食酢」に代えて「黒酢」をぽん酢醤油の素材として使用してみることは当業者にとって格別の困難性を要するとはいえない。
そして、本願発明1に係る効果は、本願明細書の記載に徴し、「黒酢本来の味覚や香りを残したまま、酸味や塩かどをやわらげるとともに、発酵臭、化学薬品臭、ムレ臭等の不快臭を強くマスキングし、マイルドなぽん酢醤油を調製できる。」(段落【0008】)ものであるところ、刊行物1においても、「良好な果汁感、さわやかな香りを残したまま酸味や塩かどを抑え、柑橘果汁と醤油とを混合により発生する刺激臭、化学薬品臭、ムレ臭等の不快臭もマスキングできることが明確になった。」(摘示(b))との記載があり、本願発明1で奏される効果は、「発酵臭」を除いて教示されている。しかしながら、「発酵臭」についても、刊行物2には「黒酢は、酸特有のすっぱみ、苦味及び発酵臭を有する」(摘示(c))との記載があり、黒酢において「発酵臭」が問題とされていたところ、刊行物1には、各種の不快臭をマスキングできることが記載されているから、「黒酢入りぽん酢醤油」の「発酵臭」についてもマスキングされる可能性があることは、当業者の予測し得る域を超えているとはいえず、「黒酢入りぽん酢醤油」の「発酵臭」の有無を確認してみることは当業者が容易になし得ることである。

(2-3-3)請求人の主張について
請求人は、平成19年10月11日付け意見書において、
「本願発明1は、まさにこの様な発明に該当し、実験成績証明書でも示されているように、黒酢の発酵臭を含めた不快臭の抑制に効果のない昆布のだし汁が(試験1)、黒酢入りポン酢醤油の発酵臭を含めた不快臭の抑制に極めて優れた効果を示す(試験2)ことは、効果がないとマイナスに考えられていたものが、特定の組み合わせで使用した場合にはプラスの効果を示すこと意味し、このような効果は『当業者が容易に予測し得る域を超えている』格別の効果と言わざるを得ません。」((食品関連発明の進歩性)の項)と主張している。
しかし、刊行物1には、「酢」を含むぽん酢醤油(ぽん酢ではない。)において、昆布だし汁を加えた場合にのみ、鰹節のだし汁或いは椎茸のだし汁を加えた場合には奏されない、「酸味を強く感じず、まろやかでかつさわやかなぽん酢醤油を調製できる」(段落【0017】)ことが記載されているのであるから、この記載に接した当業者であれば、例え、昆布だし汁が、黒酢を含むぽん酢に対しては格別な効果でなくても、黒酢を含むぽん酢醤油に対しては、効果を奏するであろうことは、予測し得る範囲のことである。
また、本願発明1に係る「発酵臭」に対する効果は、本願明細書の「表1」によると、「コントロール」の「3」に対し、昆布だし汁では「2」であって、わずか1ランクが改善されたにすぎない。したがって、この程度の効果は、本願発明1の進歩性を肯定するための当業者が予測し得ないような格別顕著なものであるとは到底いうことができない。

(2-4)本願発明2について
本願発明2は、本願発明1の「黒酢入りぽん酢醤油」にさらに「柑橘果汁」を含有させるものである。しかるに、引用例1には、「ゆず果汁」を加えることが記載されているから、結局、本願発明2は、引用例1及び2に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2-5)本願発明3について
本願発明3は、本願発明1の「黒酢入りぽん酢醤油」にさらに「おろし野菜」を含有させるものである。しかるに、引用例1には「酸性調味料がおろし野菜入りぽん酢醤油である、請求項1記載の方法。」(特許請求の範囲の【請求項5】)が記載されているから、本願発明3は、引用例1及び2に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである。

3.むすび
以上のとおり、本願発明は、その出願前に頒布された刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-04-21 
結審通知日 2008-04-22 
審決日 2008-05-09 
出願番号 特願2002-210718(P2002-210718)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A23L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中島 庸子  
特許庁審判長 原 健司
特許庁審判官 唐木 以知良
鈴木 紀子
発明の名称 黒酢入りぽん酢醤油  
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