ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F |
---|---|
管理番号 | 1179934 |
審判番号 | 不服2004-21182 |
総通号数 | 104 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-08-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-10-13 |
確定日 | 2008-06-19 |
事件の表示 | 特願2000-235402「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 3月 6日出願公開、特開2001- 58027〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯 本願は平成9年4月4日に出願された特願平9-86460号の一部を平成12年8月3日付で新たな特許出願としたものであって、平成15年12月11日付の拒絶理由が通知され、平成16年2月16日付で意見および手続補正がなされ、平成16年9月9日付で拒絶査定がなされたのに対して平成16年10月13日付で審判請求がなされ、平成16年11月12日付で手続補正がなされたものである。 2.平成16年11月12日付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年11月12日付の手続補正を却下する。 [理由] [1]補正の内容と補正の適否 (1)補正の内容 平成16年11月12日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成16年2月16日付の手続補正で補正された特許請求の範囲である 「【請求項1】遊技に必要な複数の図柄の可変表示を行う可変表示手段と、 乱数抽選により前記可変表示の停止制御を行う制御手段とを備え、 遊技中特定の条件が成立したとき、所定の入賞役について前記乱数抽選に応じた停止制御を中止するCT遊技ができる遊技機において、 前記CT遊技中、遊技者が獲得した遊技媒体の数から遊技のために消費した遊技媒体の数を差し引いて得られる純増数が予め定めた数以上の状況になったときは、それを音で報知する報知手段を備えたことを特徴とする遊技機。 【請求項2】請求項1記載の遊技機において、前記CT遊技は所定の解除条件が成立した時に終了し、 該解除条件は、前記CT遊技中に前記純増数が所定数に達することである遊技機。 【請求項3】請求項1記載の遊技機において、前記CT遊技は所定の解除条件が成立した時に終了し、 該解除条件は、前記CT遊技中に遊技者が獲得した遊技媒体の数から遊技のために消費した遊技媒体の数を差し引いて得られる純増数が所定数に達すること、又は前記CT遊技の回数が所定回数に達することのいずれかであることを特徴とする遊技機。 【請求項4】請求項1乃至3のいずれか記載の遊技機において、前記可変表示手段は複数の図柄列を有し、前記CT遊技中、前記乱数抽選に応じた停止制御を前記図柄列の少なくとも1つについて中止することを特徴とする遊技機。」(以下、「補正前の請求項1?4に係る発明」という。) を、 「【請求項1】遊技に必要な複数の図柄の可変表示を行う可変表示手段と、 乱数抽選により前記可変表示の停止制御を行う制御手段とを備え、 遊技中特定の条件が成立したとき、所定の入賞役について前記乱数抽選に応じた停止制御を中止するCT遊技ができる遊技機において、 前記CT遊技中、遊技者が獲得した遊技媒体の数から遊技のために消費した遊技媒体の数を差し引いて得られる純増数が予め定めた数以上の状況になったときは、それを音で報知する報知手段を備え、 前記CT遊技中、前記報知手段は、前記CT遊技中に遊技者が獲得した遊技媒体の数から遊技のために消費した遊技媒体の数を差し引いて得られる純増数を段階的に報知することを特徴とする遊技機。 【請求項2】請求項1記載の遊技機において、前記CT遊技は所定の解除条件が成立した時に終了し、該解除条件は、前記CT遊技中に前記純増数が所定数に達することである遊技機。 【請求項3】請求項1記載の遊技機において、前記CT遊技は所定の解除条件が成立した時に終了し、 該解除条件は、前記CT遊技中に遊技者が獲得した遊技媒体の数から遊技のために消費した遊技媒体の数を差し引いて得られる純増数が所定数に達すること、又は前記CT遊技の回数が所定回数に達することのいずれかであることを特徴とする遊技機。 【請求項4】請求項1乃至3のいずれか記載の遊技機において、前記可変表示手段は複数の図柄列を有し、前記CT遊技中、前記乱数抽選に応じた停止制御を前記図柄列の少なくとも1つについて中止することを特徴とする遊技機。」 とするものである(以下、本件補正の請求項1に係る発明を「本願補正発明」というとともに、請求項2?4に係る発明については「補正後の請求項2?4に係る発明」という。)。 (2)補正の適否 本願補正発明は、補正前の請求項1に係る発明に、「前記CT遊技中、前記報知手段は、前記CT遊技中に遊技者が獲得した遊技媒体の数から遊技のために消費した遊技媒体の数を差し引いて得られる純増数を段階的に報知する」を付加したものである。 ところで、請求人は本件補正の根拠を段落【0054】と段落【0055】としているが、「【0054】CT遊技における遊技回数が150回に近づくか又は純増枚数が200枚に近づき、CT遊技の終了が近づくと、この遊技機の報知手段である、停止ボタン9L,9C,9R、演出部11及びスピーカ15は、遊技者にその状況を知らせる報知を行う。3個の停止ボタンは停止ボタンの操作を遊技者の有利になるような順序で遊技者が操作できるように明るくなったり暗くなったりし、演出部11は遊技者に注意を喚起する表示を行い、スピーカ15は特別な音声を発生する。」なる記載に基づけば、遊技媒体の純増枚数が200枚に近づくとその状況を遊技者に報知するものであるから、CT遊技中、報知手段は、CT遊技中に遊技者が獲得した遊技媒体の数から遊技のために消費した遊技媒体の数を差し引いて得られる純増数を報知する点は記載されていると認められるものの、純増数を段階的に報知する点は記載されておらず、かつ、それを示唆する文言もない。 一方、「【0055】更に、CT遊技において入賞図柄が揃わず払出が行われないために、遊技者の消費したメダル数がかなりの量に達したとき、この遊技機においては、消費したメダルの数が遊技で獲得したメダルの数を30枚も上回ったとき、報知手段は、そのような不利益が発生している状況を遊技者に知らせる。」なる記載に基づけば、遊技者に不利益な状態である遊技媒体であるメダルの数が30枚純減した時に報知するものであるから、遊技媒体の純減数を報知するものの、遊技媒体の純増数を報知するものでない上、遊技媒体の変化状況を段階的に報知する点について記載がなく、かつそれを示唆する文言もない。 そして、段落【0054】と段落【0055】は、互いに遊技媒体の異なる状態数値を報知するものであって、かつ、互いに独立して報知できるものであるから、遊技媒体の純増枚数を報知する段落【0054】と更に遊技媒体の純減枚数を報知する段落【0055】との間において段階的な関連があると認めることはできない。 そうすると、補正前の請求項1に付加された構成は、請求項の削除でもなく、特許請求の範囲の減縮でもなく、誤記の訂正でもなく、かつ、明りょうでない記載の釈明でないことは明らかである してみると、本願補正発明は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第1号?4号の規定に反するものである。 (3)まとめ 上記のとおりであるので、他の請求項について検討するまでもなく、本願補正発明とする補正を含む本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項の規定に適合していないので、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明について 平成16年11月12日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、平成16年2月16日付の手続補正書における特許請求の範囲の請求項1?4に係る発明は、その請求項1?4に記載されたとおりと認められ、その請求項1に記載された発明は、次のとおりに特定されるものである。 「遊技に必要な複数の図柄の可変表示を行う可変表示手段と、 乱数抽選により前記可変表示の停止制御を行う制御手段とを備え、 遊技中特定の条件が成立したとき、所定の入賞役について前記乱数抽選に応じた停止制御を中止するCT遊技ができる遊技機において、 前記CT遊技中、遊技者が獲得した遊技媒体の数から遊技のために消費した遊技媒体の数を差し引いて得られる純増数が予め定めた数以上の状況になったときは、それを音で報知する報知手段を備えたことを特徴とする遊技機。」(以下、「本願発明」という。) (1)引用例について 1)引用例1について 原査定の拒絶理由に引用された刊行物である特公平5-74391号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が図1?図8とともに記載されている。 ・記載事項1 「[課題を解決するための手段] 本発明は、表示窓内にそれぞれ所定の図柄を表示する複数のリールを乱数値に応じて停止するように制御する制御装置を備えたスロツトマシンにおいて、遊技中特定の条件が達成された時には予め定めたゲーム回数分、制御装置が上記の乱数値に応じた停止制御を中止するようにしたものである。」(公報2頁第3欄2行?9行) ・記載事項2 「第1図は、本発明のスロツトマシンに組み込まれる回転リールとその制御装置を示す。スロツトマシンは、例えば第3図に示すようなもので、その外形をなすキヤビネツト1の正面に3つの表示窓2L,2C,2Rを設け、各表示窓内にはそれぞれ上中下3つの位置に種々の図柄を表示する。これらの図柄は、各表示窓2L,2C,2Rに対応してキヤビネツト1の内部に配置した3個のリール3L,3C,3Rの円周面に描かれている。」(同第3欄26行?34行) ・記載事項3 「上記のリール3L,3C,3Rの回転及び停止は、第1図に示す制御装置によつて制御される。制御装置は、例えばマイクロコンピユータで構成されるもので、CPU11には、基準クロツクパルスを作るクロツクパルス発生回路12のほか、上述のスタートレバースイツチ4とストツプボタンスイツチ5L,5C,5Rとが各々の検出回路13及び14を介して接続され、更に、各リール3L,3C,3Rの回転位置を検出する位置センサ8L,8C,8Rが検出回路15を介して接続されている。これらの検出回路13?15は、CPU11が後述のフローチヤート(第2図)で示される動作をするための入力信号を生成する。」(同第3欄42行?第4欄10行) ・記載事項4 「また、CPU11に入力される情報としては、各リール3L,3C,3Rに描かれた複数のシンボルの内容と順序を示すシンボルテーブルと、後述のようにCPU11で決定した乱数値が大ヒツト、それ以外の入賞、外れのいずれに対応するかを判定するための確率テーブルとがあり、これらはCPU11に接続した記憶部(RAM)17及び18に格納される。確立テーブルは、例えば乱数の範囲を1?8192とし、そのうち1?30を大ヒツト、31?1500を入賞、1501?8192を外れに区分する。CPU11は、このような確立テーブルを参照して乱数値がどの区分に属するかを判定する。そのため、CPU11には、上記のように予め定めた範囲で乱数を発生する乱数発生回路19と、CPU11に種々の動作を行わせるためのプログラムを格納した記憶部(ROM)20とが付設される。」(同第4欄11行?27行) ・記載事項5 「大ヒツトフラグは、第3図に示す3つの表示窓2L,2C,2Rの中に横3本と斜め2本の入賞ラインのいずれかに沿つて7-7-7の図柄の組合せを表示する場合に“1”となる(フラグが立つ)ものであり、この図柄の組合せは、対応する乱数値(大ヒツトの乱数値)がサンプリングされた時に3個のリール3L,3C,3Rをそれぞれ所定位置に停止さえることによつて実現される。この時は、所定のゲーム回数(例えば10ゲーム)の期間、回転リールの停止制御を中止する。すなわち、遊技者がストツプボタン5L,5C,5Rを押したタイミングでリールの回転を停止させるようにする(実際には、リール停止の処理に一定時間、例えば約30ミリ秒を要するため、遊技者がストツプボタンを操作してから一定時間後に対応するリールが停止する)。」(同3頁第5欄9行?24行) ・記載事項6 「従つて、上記の期間中は熟練者ほど自己の技術で回転リールの停止位置を決めることができ、コイン取得率を高めることができる。但し、大ヒツトの乱数値のサンプリングは確率で管理されているため、熟練者とそうでない者との間に生ずる差は、全体としてはある範囲内に留り、極端な差とはならない。」(同3頁第5欄25行?31行) ・記載事項7 「そこで、上記のような回転リールの停止制御の中止を全てのリールに対して行う他に、一部のリール(例えば第3リール3R)に対してのみ停止制御を完全に中止し、他のリール(例えば第1リール3L及び第2リール3C)に対してはある程度の停止制御を行うようにしてもよい。その場合、他のリールに対しては一定の条件下でシンボルが入賞ライン上に並ぶように停止制御を行うことにより、熟練者に対してはコイン払い出し率が高くなり、ゲーム性を更に向上させることができる。第2図に示した動作手順は、このような制御を実行するものである。」(同3頁第5欄32行?43行) ・記載事項8 「かくして、実施例によれば、遊技中特定の条件として大ヒツトフラグが立つたとき、乱数値によりリールの停止制御を予め定めたゲーム回数の期間だけ中止することにより、熟練者に対するコイン払い出し率を高める一方で、熟練者でない者に対しても一定のコイン払い出し率を与えることができる。また、回転リールの停止制御が解除されたことを、リールの始動やランプの点灯開始を遅らせること等で遊技者にそれとなく認識させることも可能であり、それによつてより魅力のあるスロツトマシンとなる。」(同4頁第7欄44行?第8欄10行) ・記載事項9 「以上のように、本発明は、乱数値に応じて回転リールの停止制御を行うスロツトマシンにおいて特定の条件が達成された時には予め定めたゲーム回数分、乱数値に応じた停止制御を中止するようにしたものであるから、熟練者にとつては、ある範囲でその熟練度に応じた結果が得られてゲームの魅力が向上する一方、熟練者でない者にとつても、ある一定のコイン払い出し率が確保される。これにより、技術介入性と平等性が調和して各遊技者の熟練度に応じたゲームができるという効果が得られる。」(同第8欄17行?27行) 以上の記載事項1?9及び第1図?第3図によれば、引用例1には以下の発明が記載されていると認められる。(以下、「引用例1発明」という。) 「遊技に必要な種々の図柄を表示窓2L、2C、2R内に表示するリール3L、3C、3Rと、乱数値に応じて所定の図柄を表示するように停止制御する制御装置とを備え、特定の条件が達成された時、予め定めたゲーム回数分、乱数値に応じた停止制御を中止するようにしたスロツトマシン。」 2)引用例2について 原査定の拒絶理由に引用された刊行物である特開平9-38283号公報(以下、「引用例2」という。)には、以下の事項が図1?図15とともに記載されている。 ・記載事項イ 「【0003】【発明が解決しようとする課題】上述のパチンコ機にあって、遊技の興趣を向上させるために、あらかじめ定められた所定の条件の成立に基づき、所定回数又は所定期間に限定して、遊技者にとって利益ある限定有利作動を実行することが考えられる。 【0004】ところで、このような回数又は時間限定付の限定有利作動にあっては、その回数又は時間の消化状況が示されないと、遊技者にとって遊技が不安となり、かつその終了が突如として到来することとなって落胆が大きく、かえって興趣を損なうことともなりかねない。また、この限定有利作動中での限定回数又は限定時間の消化状況を遊技者に適宜に報知すれば、遊技の切迫感をあおって、パチンコ遊技の面白さをさらに刺激することともなる。本発明は、斬新な限定有利作動を提案すると共に、上記の問題点を解決することを目的とするものである。」 ・記載事項ロ 「【0005】【課題を解決するための手段】本発明は、上述のパチンコ機において、あらかじめ定められた所定の条件の成立に基づき、所定回数または所定時間に限定して、遊技者にとって利益ある限定有利作動が実行されるようにすると共に、該限定有利作動中での限定回数又は限定時間の消化状況を音又は光によって遊技者に報知する報知作動が実行されるようにしたことを特徴とするものである。 【0006】または他の報知手段として、該限定有利作動中での限定時間又は限定回数の消化状況を図柄表示装置の画面に表示して、遊技者に報知するようにしたものである。」 ・記載事項ハ 「【0009】一方、前記報知作動としては、音声出力装置から発せられる音声により所定回数消化又は所定時間消化を報知する構成が提案される。例えば、音声で、「残り〇〇回です。」等と、残り時間を具体的に報知したり、「終了近くなりました。」等と、漠然と報知する等種々の報知内容が設定され得る。 【0010】または、前記報知作動が、限定有利作動中に出力される効果音又は効果音楽の、そのリズム,音の高さ等の表現要素が段階的又は無段階的に、所定の傾向に従って変化することにより限定有利作動中での限定回数又は限定時間の消化状況を報知するようにしても良い。例えば無段階的又は段階的にリズムが早くなることにより、遊技者に切迫感を与えて、限定有利作動の終了が近付いていることを、感覚的に知得させる。」 ・記載事項ニ 「【0025】また、図柄の確率が高確率のとき及び大当り遊技終了後の低確率時に図柄の変動回数が50回終了するまでの間は、図柄の変動時間は短縮される限定有利作動が実行される。この限定有利作動は本発明の要部に係るものである。」 ・記載事項ホ 「【0049】また、この遊技者にとって利益ある作動に限界を生じさせるために、大当り終了後、変動回数が50回を終了したかどうかを判定して、50回以内に限って、上記のように特別図柄A,B,Cの変動時間を短縮するようにし、これにより、所定回数の間、遊技者にとって利益ある作動を生じる限定有利作動を実現している。」 ・記載事項へ 「【0067】限定有利作動中の消化状況を報知する他の手段としては、効果音,効果音楽自体を他のものに段階的に変更するようにしても良い。例えば、始めはゆったりとしたメロディーの音楽とし、30回目頃から急激に激しいメロディーの音楽とする等のように、その内容を変えるようにすれば、遊技者は終了の到来間近を感得することとなる。 【0068】而して、光,音によっても、限定有利作動の所定時間消化又は所定回数消化を遊技者に報知することが可能となり、かかる報知により、限定有利作動の限界を知り、ともすると漫然とした状態に落ち込み易い遊技に、より切迫した緊張感を遊技者に与えることが可能となる。 【0069】上記の手段は、消化状況を感覚的に報知するものであるが、音声出力装置から発せられる音声により限定有利作動の所定時間消化又は所定回数消化を具体的に報知するようにしても良い。」 以上の記載事項イ?ヘ及び図1?図15によれば、引用例2には以下の技術事項が記載されていると認められる。(以下、「引用例2に記載の技術事項」という。) 「遊技者が予め定められた所定の条件が成立した時に得られた図柄変動回数の50回から遊技のために消費した図柄変動回数を差し引いて得られる残り回数が50回、30回、10回、5回のときは、その旨を音で「残り○○回です。」等と報知するパチンコ機。」 (2)対比 引用例1発明と本願発明を対比すると、引用例1発明の「種々の図柄」は本願発明の「複数の図柄」に相当し、以下同様に、「表示窓2L、2C、2R内に表示する」は「可変表示を行う」に、「リール3L、3C、3R」は「可変表示手段」に、「乱数値に応じて」は「乱数抽選により」に、「所定の図柄を表示するように停止制御する」は「可変表示の停止制御を行う」に、「制御装置」は「制御手段」に、「特定の条件が達成された時」は「遊技中特定の条件が成立したとき」に、「予め定めたゲーム回数分、」は「所定の入賞役について」に、「乱数値に応じた」は「乱数抽選に応じた」に、「スロツトマシン」は「遊技機」にそれぞれ相当している。 そして、引用例1発明については、以下のことがいえる。 引用例1の記載事項1の「・・・遊技中特定の条件が達成された時には予め定めたゲーム回数分、制御装置が上記の乱数値に応じた停止制御を中止するようにしたものである。」なる記載および同記載事項5の「大ヒツトフラグは、・・・7-7-7の図柄の組合せを表示する場合に“1”となる(フラグが立つ)ものであり、この図柄の組合せは、対応する乱数値(大ヒツトの乱数値)がサンプリングされた時に3個のリール3L,3C,3Rをそれぞれ所定位置に停止さえることによつて実現される。この時は、所定のゲーム回数(例えば10ゲーム)の期間、回転リールの停止制御を中止する。すなわち、遊技者がストツプボタン5L,5C,5Rを押したタイミングでリールの回転を停止させるようにする・・・」なる記載に基づけば、抽選された乱数値が大ヒットに対応する場合には、所定回数分のみ、回転リールの停止制御を中止する制御を行うのであるから、いわゆるCT遊技を意味していることは明らかである。 したがって、引用例1発明の「停止制御を中止するようにした」は「停止制御を中止するCT遊技ができる」と言い換えることができる。 以上を考慮すると、本願発明と引用例1発明は、以下の点で一致するとともに相違している。 <一致点> 「遊技に必要な複数の図柄の可変表示を行う可変表示手段と、 乱数抽選により前記可変表示の停止制御を行う制御手段とを備え、 遊技中特定の条件が成立したとき、所定の入賞役について、前記乱数抽選に応じた停止制御を中止するCT遊技ができる遊技機。」 <相違点> 本願発明が、CT遊技中、遊技者が獲得した遊技媒体の数から遊技のために消費した遊技媒体の数を差し引いて得られる純増数が予め定めた数以上の状況になったときは、それを音で報知する報知手段を備える遊技機であるのに対して、引用例1発明は、報知手段を有しない遊技機である点。 (3)判断 上記相違点について、検討する。 引用例2に記載の技術事項は「遊技者が予め定められた所定の条件が成立した時に得られた図柄変動回数の50回から遊技のために消費した図柄変動回数を差し引いて得られる残り回数が50回、30回、10回、5回のときは、その旨を音で「残り○○回です。」等と報知する報知手段を備えたパチンコ機。」である。 そして、引用例2のパチンコ機の機能から見て、引用例2に記載の「得られた」は「獲得した」と、同様に「50回、30回、10回、5回のとき」は「予め定めた数以上の状況になったとき」と、「その旨」は「消費状況」と言い換えできることは明らかである。 そうすると、引用例2に記載の技術事項は「遊技者が予め定められた所定の条件が成立した時に獲得した図柄変動回数から遊技のために消費した図柄変動回数を差し引いて得られる残り回数が予め定めた数以上の状況になったときは、その消費状況を音で報知する報知手段を備えたパチンコ機。」なる発明が記載されていると言い換えることができる(以下、「引用例2発明」という。)。 ところで、特開平4-24039号公報([産業上の利用分野]および[その他の実施例])、特開平6-23091号公報(【0002】)等に示されるように、遊技機技術分野におけるパチンコ機とスロットマシンの間において、相互に技術利用することは周知慣用された技術事項にすぎない(以下、「周知慣用技術」という。)から、引用例1発明に引用例2発明を適用することは格別困難なことということができない。 また、特開平3-234274号公報、上記周知慣用技術として示した特開平4-24039号公報および特開平6-23091号公報等に見られるように、遊技機技術分野において遊技を行って得られたコインやパチンコ玉等の遊技媒体の純増数を遊技者に報知することは周知な技術である(以下、「周知技術」という。)。 そうすると、周知慣用技術を踏まえて、引用例1発明のスロットマシンに引用例2発明を適用する際に、周知技術を参照して、変動回数を遊技媒体の純増数とすることにより、遊技者が獲得した遊技媒体の数から遊技のために消費した遊技媒体の数を差し引いて得られる純増数が予め定めた数以上の状況になったときは、それを音で報知する報知手段を備える遊技機とすること、すなわち、本願発明の上記相違点に係る構成となすことは、当業者が容易になし得る程度のことということができる。 (4)作用効果 よって、本願発明は、引用例1発明、引用例2発明および周知慣用技術並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に想到することができたものであり、本願発明によって奏する効果も、引用例1発明、引用例2発明および周知慣用技術並びに周知技術に基づいて、普通に予測できる範囲内のものであって格別のものがあると認められない。 (5)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1発明、引用例2発明および周知慣用技術並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項について検討するまでもなく本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-04-18 |
結審通知日 | 2008-04-22 |
審決日 | 2008-05-08 |
出願番号 | 特願2000-235402(P2000-235402) |
審決分類 |
P
1
8・
573-
Z
(A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F) P 1 8・ 572- Z (A63F) P 1 8・ 571- Z (A63F) P 1 8・ 574- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 太田 恒明 |
特許庁審判長 |
三原 裕三 |
特許庁審判官 |
川島 陵司 深田 高義 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 藤田 和子 |