• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1180006
審判番号 不服2006-24431  
総通号数 104 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-10-30 
確定日 2008-06-19 
事件の表示 特願2002-560930「飲料用厚紙製容器及びその方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 8月 8日国際公開、WO02/60767、平成16年 7月29日国内公表、特表2004-522654〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、2002年(平成14年)1月15日(パリ条約による優先権主張2001年1月30日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、その請求項1ないし10に係る発明は、平成18年1月19日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載されたとおりのものであって、請求項1及び3に記載された発明は次のとおりのものであると認める。(以下「本願発明1及び3」という。)
「【請求項1】
相互に重ねられる厚紙容器(1)であって、該容器(1)は下方に傾斜した内側円錐壁(2)と、下方に傾斜した外側円錐壁(7)を有し、これらの両壁は両壁間にエアギャップを形成するものにおいて、
該外側壁(7)はその下端の内方に曲がった縁(8)によって該内側壁(2)の外表面に当接しており、該内方に曲がった縁(8)は容器の底部リムからある間隔で上方にあると共に、該エアギャップの下限を画成しており、該内側壁(2)は周囲方向に延びる内側に突出したひだ(4)を有しており、該ひだ(4)は容器の底より上方に位置していて、重ねられる別の容器の内側に曲がった縁(8)のための支えとなっており、該内側に曲がった縁(8)と該内側に突出したひだ(4)とは容器を相互に重ねた状態で内側容器が外側容器内で、内側容器の外側壁(7)が、外側容器の内側壁(2)の内側表面(3)に付着しないような配置であることを特徴とする厚紙容器。」
「【請求項3】
周囲壁(2)と底部壁を有する厚紙製容器(1)であって、各容器(1)に積み重ねて配置されるとき、容器を支持するための手段(4)が備わることを特徴とする容器(1)。」

2.引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された本願の優先権主張の日前に頒布された実願昭48-105937号(実開昭50-052003号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献1」という)には、以下の事項が記載されている。

[引用文献の記載事項]
記載事項a:「上端外周縁にカールを形成しその僅か下方の内周面に環状溝を形成し下端内周縁にカールを形成するか又はそのカールを押潰してスペーサーを形成してなるテーパ付紙製外筒内に、上端外周縁にカールを形成し下端部を内方に折返して底板周縁の折曲部を挟持接着せしめて底板を支持すると共に糸敷足を形成し該糸敷足の僅か上方の外周面には環状溝を形成してなる小径のテーパ付紙製内筒を挿入し、内筒上端のカールを外筒上端部の環状溝に嵌合接着し、外筒下端のカールを内筒下端部に形成された環状溝に嵌合接着するか又は外筒下端のスペーサーを内筒下端の糸敷足の外周面に接着して、内外両筒間に断熱空隙を形成すると共に内外全面に耐熱耐水性のコート液を塗装してなるインスタント食品用紙容器。」(実用新案登録請求の範囲)

記載事項b:「先ず第2図及び第3図に示す実施例について説明すると、10は上下両端開放されたテーパ付紙製外筒で、その上端周縁は外方に巻込んでカール11を形成してある。このカール11のやや下方の内周面には紐出しを行って環状溝12を形成してあり、下端周縁は内方に巻込んでカール13を形成してある。14は前記紙製外筒10より僅かに小径の上下両端開放されたテーパ付紙製内筒で、その上端周縁は外方に巻込んでカール15を形成してあり、下端周縁は内側に180度折返して、その折返し部分16の内面と内筒14の内面との間に円形底板17の周縁の下方への折曲げ部分18を挟んで三者を接着せしめて底板17を支持すると共に糸敷足19を形成してある。また内筒14の糸敷足19の僅か上方位置の外周には環状溝20を形成してある。
然してかかる内外両筒14 10は図示の如く重合し、即ち無底の外筒10内に有底の内筒14を挿入し、その下端の糸敷足19を外筒10の下端より突出させ、内筒14の上端のカール15を外筒10の上端部の環状溝12に嵌合接着し、外筒10の下端のカール13を内筒14の下端部の環状溝20に嵌合接着して内筒14と外筒10間に断熱空隙21を形成して二重容器を作る。」(第3頁下から2行?第5頁1行、第2図、第3図)

上記の各記載及び図面の記載を参照すると、引用文献1には次の発明が記載されている。
紙製の二重容器であって、該容器はテーパ付内筒とテーパ付外筒を有し、これらの内外両筒間に断熱空隙を形成するものにおいて、外筒はその下端部を内方にカールさせ、そのカールは内筒の外表面に接着している紙容器。

同じく原査定の拒絶の理由に引用された本願の優先権主張の日前に頒布された実願昭49-027962号(実開昭50-120802号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献2」という)には、以下の事項が記載されている。
記載事項c:「下周部に対して上周部の径を徐々に拡大し全体としては錐形をなす容器において、その容器本体の内壁面下側部周囲に突部を設けてなることを特徴とする容器。」(実用新案登録請求の範囲)

記載事項d:「全体として錐形をなす容器は、通常は一方を他方にはめ込み、幾重にもして運搬あるいは収納するものであるが、その運搬途中の振動等により、上記一方の容器が他方の容器に深く入り込み、それを抜き取るのに困難を来すことがあつた。特にそれが紙容器あるいは発泡スチロル製容器等のように、容器本体が柔軟なものについては、深く入り込んだ上記一方の容器を無理して抜き取ろうとすると、当該容器を破損したりするものである。また幾重にもした容器を機械にかけ、それに所要のたとえばインスタント食品を連続的に充填しようとするときに、深く入り込んだ上記一方の容器を機械操作で抜き取ることができず、ひいては上記食品等を機械的に連続して充填しえないという欠陥を露呈するものである。
この考案は、上記の点に鑑みて案出したもので、容器本体の内壁面下側部周囲に突部を設け、一方の容器を他方の容器にはめ込んだときに、その一方の容器の下縁が他方の容器の上記突部に係合し、それ以上深く入り込まないようにしたものである。」(第1頁10行?第2頁11行)

記載事項e:「第1?3図に示した容器は、熱湯を注いでそれをすぐに持つても手に熱さを感じないように配慮した紙容器である。
すなわち、下周部に対して上周部の径を徐々に拡大し全体としては錐形をなす容器本体1aの外周に、凸部と凹部とを交互に形成してなる円筒状の液状紙1bを第2図に示すごとくはめ着けてなるものである。これによつて波状紙1bの内側に歩いてはその凸部と容器本体1aとが相まつて形成される空隙1cが断熱効果を発揮するとともに、波状紙1bの表面においてはその凹部に指が接触しない換言すれば指の接触面積が少なくなり、したがつて熱湯を注いですぐ当該容器を手に持つても全く熱さを感じないものである。
そして、上記容器本体1aには、その内壁面下側部周囲に、環状をなす1条の突部1dを形成している。この突部1dは容器本体1aの外周を凹陥して形成しているものである。
しかして、上記した容器の多数を、一方を他方にはめ込むようにして幾重にしても、一方の容器の下縁が第2図鎖線で示すごとく他方の容器の突部1dに係合し、それ以上深く入り込むことがない。
波状紙1bをはめ着けた上記実施例の場合には、突部1dがないとその波状紙1bの凸部を押し潰すようにして一方の容器が他方の容器に入り込み、それこそその抜き取りが困難となるが、突部1dを形成した上記実施例においては、かえつてその波状紙1bが突部1dとよく係合し、当該容器が深く入り込むのを防止することになる。
ただ、この考案において上記波状紙1bは必須要件ではなく、それを容器本体1aにはめつけていないものにおいても、その効果を充分発揮しうるものである。」(第2頁14?第4頁9行、第1?3図)

3.対比
引用文献1に記載された発明における「テーパ付き紙製内筒」、「テーパ付き紙製外筒」、「内外両筒間に断熱空隙を形成する」、「下端内周縁にカールを形成する」は、本願発明1における「下方に傾斜した内側円錐壁」、「下方に傾斜した外側円錐壁」、「これらの両壁は両壁間にエアギャップを形成する」、「下端の内方に曲がった縁」に相当するものと認められ、また、引用文献1において特に第3図を参照すれば、テーパ付紙製外筒の下端内周縁に形成されたカールはテーパ付き紙製内筒の外表面に当接しており、そのカール部分は容器の底部からある程度の間隔で上方に存在しており、断熱空隙の下端となっているから、これらの点を考慮して、本願発明1と引用文献1に記載された発明とを対比すると、
両者は、「紙容器であって、該容器は下方に傾斜した内側円錐壁と、下方に傾斜した外側円錐壁を有し、これらの両壁は両壁間にエアギャップを形成するものにおいて、
該外側壁はその下端の内方に曲がった縁によって該内側壁の外表面に当接しており、該内方に曲がった縁は容器の底部リムからある間隔で上方にあると共に、該エアギャップの下限を画成している紙容器。」である点で一致し、下記の点で相違している。
相違点1:本願発明1では、相互に重ねられることを前提とした容器であるのに対し、引用文献1に記載された発明では、相互に重ねられることについては特に記載されていない点。

相違点2:本願発明1では、厚紙容器であるのに対し、引用文献1に記載された発明では、紙容器であって厚さについては明らかではない点。

相違点3:本願発明1では、内側壁は周囲方向に延びる内側に突出したひだを有しており、該ひだは容器の底より上方に位置していて、重ねられる別の容器の内側に曲がった縁のための支えとなっており、該内側に曲がった縁と該内側に突出したひだとは容器を相互に重ねた状態で内側容器が外側容器内で、内側容器の外側壁が、外側容器の内側壁の内側表面に付着しないような配置となっているのに対し、引用文献1に記載された発明では、この点について記載されていない点。

4.当審の判断
相違点1について
引用文献1に記載された発明では、容器を相互に重ねる点については記載がないが、側壁が傾斜した形状の容器を重ねることは、例えば引用文献2にも記載されるように通常行われていることであって、本願発明1のよう相互に重ねることに何ら困難性は認められず、当業者が適宜容易に定め得ることにすぎない。

相違点2について
本願発明1では、容器が厚紙製であるが、引用文献1に記載された容器も紙製であり、厚さについては記載されていないものの、容器として使用されるのであるから当然容器としての機能が発揮できる程度の厚さとなっているものであり、その厚さに関しては本願発明1と同程度のものと認められる。よって、本願発明1のように厚紙容器と限定することに何ら困難性は認められない。

相違点3について
引用文献1に記載された発明では、容器を相互に重ねる点については記載がないが、容器を相互に重ねることに何ら困難性は認められないことについては、上記相違点1の判断において述べたとおりである。そして、容器を重ねた際に容器が互いに嵌り込んでしまうという問題点があることは、引用文献2にも記載されているように(記載事項d)、周知の課題であるし、その問題点を解決するために、下周部に対して上周部の径を徐々に拡大し全体としては錐形をなす容器において、その容器本体の内壁面下側部周囲に突部を設けることによって、一方の容器を他方の容器にはめ込んだときに、その一方の容器の下縁が他方の容器の上記突部に係合し、それ以上深く入り込まないようにすることが記載されている(記載事項c、d、e)。
本願発明1においては、内側壁に周囲方向に延びて設けられた内側に突出したひだ(引用文献2の内壁面下側部周囲に設けられた突部に対応)に支えられるのは別の容器の下端ではなく内側に曲がった縁であるが、コップ状容器を重ねた際に容器下端ではなく容器の胴壁に設けた凸部が何らかの手段で支えられるようにすることは周知の事項であるから(例えば、特開昭55-134046号公報参照)、相違点3に係る構成は当業者が容易になし得ることにすぎない。

本願発明3も独立形式で記載された請求項であるのでそれについても判断を示しておく。
本願発明3は、上記したように「周囲壁(2)と底部壁を有する厚紙製容器(1)であって、各容器(1)に積み重ねて配置されるとき、容器を支持するための手段(4)が備わることを特徴とする容器(1)。」というものであって、本願発明1の周囲壁の構造等に関する技術的特徴点を含まないものであるから、本願発明3の発明特定事項をすべて含んだものに相当する本願発明1が、上記したとおり、引用文献1及び2に記載されたものに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明3も同様に当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
したがって、本願発明1及び3は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、他の請求項について検討するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-01-18 
結審通知日 2008-01-23 
審決日 2008-02-05 
出願番号 特願2002-560930(P2002-560930)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡邊 真  
特許庁審判長 寺本 光生
特許庁審判官 関口 勇
田中 玲子
発明の名称 飲料用厚紙製容器及びその方法  
代理人 浜本 忠  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ