ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F |
---|---|
管理番号 | 1180056 |
審判番号 | 不服2005-19236 |
総通号数 | 104 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-08-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-10-06 |
確定日 | 2008-06-26 |
事件の表示 | 平成 7年特許願第 18963号「ウインドウ表示制御方法およびウインドウ表示制御システム」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 8月20日出願公開、特開平 8-212043〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯 本願は、平成7年2月7日の出願であって、平成17年3月22日付けで拒絶査定がなされたところ、これに対して同年10月6日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年11月7日に手続補正書が提出されたものである。 2.補正却下の決定 平成17年11月7日に提出された手続補正書による補正の却下の決定 (1)[補正却下の決定の結論] 平成17年11月7日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 (2)[補正却下の決定の理由] (a)補正の内容 本件補正によると、請求項2は、 「一つのディスプレイ上に複数のウインドウを重ねて表示するウインドウ表示制御システムにおいて、 第1の取引に対する回答待ちの間に第2の取引を実行しているとき、前記第1の取引に対する回答をセンタから受信し、前記回答が正常回答であった場合は前記第2の取引に関連付けられたウインドウを表示しつつ前記第1取引を実行し、前記回答がエラー回答であった場合は当該第1の取引に関連付けられたウインドウを前記第2の取引に関連付けられたウインドウよりも上位に表示する手段と、 前記第1の取引に関連付けられたウインドウが複数有る場合には、予め設定された優先度に基づいてウインドウを表示する手段とを有することを特徴とするウインドウ表示制御システム。」 と補正されている。 上記補正は、本件補正前の請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である「第1の取引に対する回答待ちの間に第2の取引を実行しているとき、前記第1の取引に対する回答をセンタから受信すると、当該第1の取引に関連付けられたウインドウを前記第2の取引に関連付けられたウインドウよりも上位に表示する手段」に対し、「第1の取引に対する回答待ちの間に第2の取引を実行しているとき、前記第1の取引に対する回答をセンタから受信し、前記回答が正常回答であった場合は前記第2の取引に関連付けられたウインドウを表示しつつ前記第1取引を実行し、前記回答がエラー回答であった場合は当該第1の取引に関連付けられたウインドウを前記第2の取引に関連付けられたウインドウよりも上位に表示する手段」と限定するものであり、本件補正は、特許法第17条の2第3項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するといえる。 そこで、本件補正後の前記請求項2に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かについて以下検討する。 (b)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開平4-143794号公報(以下、「引用例」という。)には、図とともに、以下のような記載がある。 (イ)「[産業上の利用分野] 本発明は、マルチウインドウの画面上で重ね合わせの最上位に表示されるウインドウを切り替える方式に関する。 複数のプロセスを同時処理できるシステムではマルチウインドウ方式が広く採用されており、それらのシステムにおいては同一のディスプレイ画面上に多数のウインドウが重ね合わせて表示される。 [従来の技術] この種のシステムでは一般に複数のウインドウが組み合わされて同時に使用されており、例えば、あるウインドウを参照しながら他のウインドウでコマンドを実行する利用方法がとられる。 その際には表示ウインドウの重ね合わせ順序を変更する操作が繰り返され、目的の各ウインドウが重ね合わせの最上位(最前面)で予め全て表示される。 ところが、表示ウインドウの数とともに、それらの重ね合わせ順序を変更する操作の繰り返し回数も増加する。 そこで従来においては、表示ウインドウを階層的に予めグループ分けし、この階層構造に沿って指定されたグループのウインドウを重ね合わせの最上位で全て表示する方式が提案されていた。」(第2頁左下欄第10行?右下欄第15行) (ロ)「[課題を解決するための手段] 上記目的を達成するために、本発明では第1図の方式がとられている。 同図のマルチウインドウ表示手段10では複数のウインドウが重ね合わせて表示され、ウインドウグループ登録手段12には複数の表示ウインドウで形成されたウインドウのグループが登録される。 そして、ウインドウ指定手段14によりいずれかの表示ウインドウが指定されると、そのウインドウと同一のグループに属した他の表示ウインドウが表示ウインドウ特定手段16によりウインドウグループ登録手段12の登録内容から特定される。 さらに、ウインドウ指定手段14で指定されたウインドウと表示ウインドウ特定手段16により特定されたウインドウは、最上位ウインドウ切替手段18により、重ね合わせの最上位にマルチウインドウ表示手段10で表示される。 また、グループ追加登録手段20により新たなウインドウグループが追加登録され、登録グループ削除手段22により既登録のウインドウグループが削除される。 そして、ウインドウ指定手段14により指定されたウインドウが複数のグループに属していたときには、このウインドウが属するグループのうちいずれかがグループ選択手段24で選択され、そのグループに属した全てのウインドウがマルチウインドウ表示手段10において重ね合わせの最上位で表示される。 [作用] 第1の発明においては、いずれかのウインドウが指定されることにより、そのウインドウが属するグループのウインドウ全てが重ね合わせの最上位に表示される。 また第2の発明においては、ウインドウグループの追加登録、登録削除が行なわれる。 さらに、指定のウインドウが複数のグループに属していたときに、これらグループのいずれかが指示に従って選択され、そのグループに属する全てのウインドウが重ね合わせの最上位に表示される。」(第3頁左上欄第13行?左下欄第15行) (ハ)「第6図では重ね合わせ最上位にウインドウグループを表示させる要求のリクエストがクライアント部32から送出されたときの表示作用が説明されており、その際に上記のグループ情報{1,2},{1,3,4}が既に登録されており、ウインドウ1が指定された場合には、表示画面が第6図(A)から同図(B)のように切り替えられ、ウインドウ1,2が最上位に表示される。 そして、画面の右下部に確認ウインドウ16が開かれ、ウインドウ60内において確認ボタン70と次候補ボタン72が第7図のように表示される。 これらのうち確認ボタン70はウインドウ1,2が要求に合致していたときにマウスクリックされる。 また、次候補ボタン72はウインドウ1,2カ要求に合致していなかったときにマウスクリックされ、そのマウスクリックで表示画面が同図(B)から同図(C)のように切り替えられてウインドウ1,3,4が最上位に表示される。 なお、同図(B),(C)のように、ウインドウ1,2,3,4はグループ登録時のクリック順で上位側から重ね表示される。」(第4頁右下欄第7行?第5頁左上欄第9行) 以上の記載によれば、この引用例には以下のような発明(以下、「引用例発明」という。)が開示されていると認められる。 「同一のディスプレイ画面上に多数のウインドウが重ね合わせて表示されるウインドウ表示切替方式において、 マルチウインドウ表示手段10で複数のウインドウが重ね合わせて表示され、 ウインドウ指定手段14によりいずれかの表示ウインドウが指定されると、そのウインドウと同一のグループに属した他の表示ウインドウが表示ウインドウ特定手段16によりウインドウグループ登録手段12の登録内容から特定され、 最上位ウインドウ切替手段18により、前記指定されたウインドウと特定されたウインドウが重ね合わせの最上位に表示され、 前記最上位に表示されるウインドウはグループ登録時のクリック順で上位側から重ね表示されるウインドウ表示切替方式。」 (c)対 比 本願補正発明と引用例発明とを対比する。 引用例発明の「同一のディスプレイ画面」は、本願補正発明の「一つのディスプレイ」に相当し、引用例発明の「同一のディスプレイ画面上に多数のウインドウが重ね合わせて表示されるウインドウ表示切替方式」は本願補正発明の「一つのディスプレイ上に複数のウインドウを重ねて表示するウインドウ表示制御システム」に相当する。 引用例発明は、[従来の技術]の記載によれば「複数のプロセスを同時処理できるマルチウインドウ方式」であり、「複数のウインドウが組み合わされて同時に使用されており、例えば、あるウインドウを参照しながら他のウインドウでコマンドを実行する利用方法がとられる。」から、引用例発明の「ウインドウ」は所定の処理を実行するものであって、本願補正発明の「取引に関連付けられたウインドウ」とは「処理に関連付けられたウインドウ」である点で対応するといえ、引用例発明のウインドウ指定手段14により指定された表示ウインドウと同一のグループに属した他の表示ウインドウは、「第1の処理に関連付けられたウインドウ」といえる。 そして、引用例発明の「最上位ウインドウ切替手段18」は、「指定されたウインドウと特定されたウインドウが重ね合わせの最上位に表示」するから、本願補正発明の「第2の取引を実行しているとき、第1の取引に対する回答がエラー回答であった場合は当該第1の取引に関連付けられたウインドウを前記第2の取引に関連付けられたウインドウよりも上位に表示する手段」と、「所定の条件の場合は、第1の処理に関連付けられたウインドウを第2の処理に関連付けられたウインドウよりも上位に表示する手段」である点で対応する。(ただし、本願補正発明は「第1の取引に対する回答待ちの間に第2の取引を実行しているとき、前記第1の取引に対する回答をセンタから受信し、前記回答が正常回答であった場合は前記第2の取引に関連付けられたウインドウを表示しつつ前記第1取引を実行し、前記回答がエラー回答であった場合は当該第1の取引に関連付けられたウインドウを前記第2の取引に関連付けられたウインドウよりも上位に表示する手段」である。) また、引用例発明の「最上位に表示されるウインドウはグループ登録時のクリック順で上位側から重ね表示される」は、本願補正発明の「前記第1の取引に関連付けられたウインドウが複数有る場合には、予め設定された優先度に基づいてウインドウを表示する手段」と、「前記第1の処理に関連付けられたウインドウが複数有る場合には、予め設定された優先度に基づいてウインドウを表示する手段」である点で対応している。 そうすると、両者は、 「一つのディスプレイ上に複数のウインドウを重ねて表示するウインドウ表示制御システムにおいて、 所定の条件の場合は第1の処理に関連付けられたウインドウを第2の処理に関連付けられたウインドウよりも上位に表示する手段と、 前記第1の処理に関連付けられたウインドウが複数有る場合には、予め設定された優先度に基づいてウインドウを表示する手段とを有することを特徴とするウインドウ表示制御システム。」 で一致するものであり、次の(1)、(2)の点で相違している。 (1)本願補正発明では、「処理」が、実行するとその回答をセンタから受信する「取引」であるのに対し、引用例発明では、取引について記載がなく、「処理」が、回答をセンタから受信するものであるか明らかでない点。 (2)本願補正発明は、「所定の条件の場合」が「第1の取引に対する回答待ちの間に第2の取引を実行しているとき、前記第1の取引に対する回答をセンタから受信し、前記回答がエラー回答であった場合」であり、かつ「前記回答が正常回答であった場合は前記第2の取引に関連付けられたウインドウを表示しつつ前記第1取引を実行」するのに対し、引用例発明は、「所定の条件の場合」がウインドウ指定手段14により指定された場合であって、第1の取引に対する回答待ちの間に第2の取引を実行しているとき、前記第1の取引に対する回答をセンタから受信し、前記回答がエラー回答であった場合、前記回答が正常回答であった場合について記載がない点。 (d)当審の判断 ・相違点(1)について 金融機関での預金等の各種取引に関連した複数のウインドウをディスプレイに表示し、ウインドウに各種情報を入力するとセンタから取引に対する回答を受信するウインドウ表示制御システムは本出願前周知(特開平3-216693号公報、特開平3-92924号公報参照)である。 したがって、引用例発明において、「処理」を、回答をセンタから受信するような「取引」とすることは、当業者であれば適宜なし得ることである。 ・相違点(2)について 引用例には、「複数のプロセスを同時処理できるマルチウインドウ方式」であり、「複数のウインドウが組み合わされて同時に使用されており、例えば、あるウインドウを参照しながら他のウインドウでコマンドを実行する利用方法がとられる。」ことが記載されており(記載事項(イ))、マルチウインドウ表示装置において、アクティブウインドウを切り換えて作業をすることにより、並列して複数の処理を実行することは本出願前周知(特開昭62-285127号公報、特開昭63-4328号公報、特開平4-118717号公報参照)でもある。 また、マルチウインドウ表示装置において、隠れているウインドウに対応する処理においてエラーが発生した場合に対応するウインドウを最前面に表示すること(上記特開昭62-285127号公報、特開平4-118717号公報参照)、隠れてしまったウインドウに対応する処理で入力要求があったとき、入力待ち状態になったときに当該ウインドウが最前面に表示されるように制御すること(上記特開昭63-4328号公報、特開昭63-159927号公報参照)は本出願前周知である。 そうすると、引用例発明において、複数の処理を、実行するとその回答をセンタから受信する取引とする際、上記周知技術を適用し「第1の取引に対する回答待ちの間に第2の取引を実行しているとき、前記第1の取引に対する回答をセンタから受信し、前記回答がエラー回答であった場合は当該第1の取引に関連付けられたウインドウを前記第2の取引に関連付けられたウインドウよりも上位に表示する」ことは当業者が容易になし得ることである。 そして、前記回答が正常回答であった場合は、エラー回答であった場合と異なり、第1の取引に関連付けられたウインドウに正しいデータを再入力する必要性はないことは明らかであるから、前記回答が正常回答であった場合は前記第2の取引に関連付けられたウインドウを表示しつつ前記第1取引を実行することは当業者が適宜なし得ることである。 また、前記相違点により奏される効果は当業者であれば引用例発明及び周知技術から予想できる範囲内のものである。 (e)結論 そうすると、本願補正発明は、引用例発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないから、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明 上記のとおり、上記本件補正は却下されたので、本願請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成16年3月17日に提出された手続補正書における特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「一つのディスプレイ上に複数のウインドウを重ねて表示するウインドウ表示制御システムにおいて、 第1の取引に対する回答待ちの間に第2の取引を実行しているとき、前記第1の取引に対する回答をセンタから受信すると、当該第1の取引に関連付けられたウインドウを前記第2の取引に関連付けられたウインドウよりも上位に表示する手段と、 前記第1の取引に関連付けられたウインドウが複数有る場合には、予め設定された優先度に基づいてウインドウを表示する手段とを有することを特徴とするウインドウ表示制御システム。」 4.引用例 原査定の拒絶理由に引用された引用刊行物、及びその記載事項は、前記「2.(2)(b)」に記載したとおりである。 5.対比・判断 本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明の「第1の取引に対する回答待ちの間に第2の取引を実行しているとき、前記第1の取引に対する回答をセンタから受信し、前記回答が正常回答であった場合は前記第2の取引に関連付けられたウインドウを表示しつつ前記第1取引を実行し、前記回答がエラー回答であった場合は当該第1の取引に関連付けられたウインドウを前記第2の取引に関連付けられたウインドウよりも上位に表示する手段」から限定を省き、「第1の取引に対する回答待ちの間に第2の取引を実行しているとき、前記第1の取引に対する回答をセンタから受信すると、当該第1の取引に関連付けられたウインドウを前記第2の取引に関連付けられたウインドウよりも上位に表示する手段」とするものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに限定したものに相当する本願補正発明が前記2.に記載したとおり、引用例発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 6.むすび 以上のとおり、本願請求項2に係る発明は、引用例発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-04-16 |
結審通知日 | 2008-04-18 |
審決日 | 2008-05-14 |
出願番号 | 特願平7-18963 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 遠藤 尊志、久保田 昌晴 |
特許庁審判長 |
大野 克人 |
特許庁審判官 |
和田 志郎 坂東 博司 |
発明の名称 | ウインドウ表示制御方法およびウインドウ表示制御システム |
復代理人 | 渡邉 昌幸 |
復代理人 | 渡邉 昌幸 |
代理人 | 磯村 雅俊 |
代理人 | 磯村 雅俊 |