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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L |
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管理番号 | 1180427 |
審判番号 | 不服2006-27587 |
総通号数 | 104 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-08-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-12-07 |
確定日 | 2008-07-02 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第211730号「ヒータ付き基板載置台、成膜装置及びエッチング装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 2月24日出願公開、特開平10- 56054〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件出願は、平成8年8月9日の出願であって、平成18年2月2日付けで拒絶の理由が通知され、その指定期間内の同年5月1日に意見書の提出とともに明細書について補正がなされたが、同年10月11日付けで拒絶の査定がなされ、これに対して同年12月7日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年12月19日付けで明細書について補正がなされたものである。 第2 平成18年12月19日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成18年12月19日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容の概要 本件補正は、特許請求の範囲について補正するものであって、補正前後の記載を、補正箇所に下線を付して示すと以下のとおりである。 (1)補正前(平成18年5月1日付け)の特許請求の範囲 「【請求項1】基板載置面に分散している多数の凸部を有する基板載置台と、 前記基板載置台内に埋め込まれた、前記基板載置面に載置された基板を加熱する加熱手段と、 前記基板載置面の中央部に設けられ、前記基板載置台の内部に形成されたガスの通路とつながるガス放出口と、 前記基板載置面において、前記ガス放出口につながり、かつ該ガス放出口から放射状に延びた複数の溝と を有することを特徴とするヒータ付き基板載置台。 【請求項2】前記基板載置台内に埋め込まれた、前記基板の温度を検出する温度検出手段と、 前記加熱手段に電力を供給する手段と、 前記温度検出手段からの検出温度をもとに前記電力を供給する手段から前記加熱手段への供給電力を調整する加熱制御手段とを有することを特徴とする請求項1に記載のヒータ付き基板載置台。 【請求項3】前記基板載置面において、前記ガス放出口のほかに、さらに1以上のガス放出口を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のヒータ付き基板載置台。 【請求項4】前記基板載置面において、前記基板載置面の中央部の周りに1以上の同心円状の溝が形成されており、該同心円状の溝は前記放射状に延びた複数の溝と交差し、かつ該交差した箇所でつながっていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のヒータ付き基板載置台。 【請求項5】請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のヒータ付き基板載置台を備えた成膜装置。 【請求項6】請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のヒータ付き基板載置台を備えたエッチング装置。」 (2)補正後(平成18年12月19日付け)の特許請求の範囲 「【請求項1】基板載置面に分散している多数の凸部を有する基板載置台と、 前記基板載置台内に埋め込まれた、前記基板載置面に載置された基板を加熱する加熱手段と、 前記基板載置面の中心に設けられ、前記基板載置台の内部に形成されたガスの通路とつながるガス放出口と、 前記基板載置面において、前記ガス放出口につながり、かつ該ガス放出口から放射状に延びた複数の溝と を有することを特徴とするヒータ付き基板載置台。 【請求項2】前記基板載置台内に埋め込まれた、前記基板の温度を検出する温度検出手段と、 前記加熱手段に電力を供給する手段と、 前記温度検出手段からの検出温度をもとに前記電力を供給する手段から前記加熱手段への供給電力を調整する加熱制御手段とを有することを特徴とする請求項1に記載のヒータ付き基板載置台。 【請求項3】前記基板載置面において、前記ガス放出口のほかに、さらに1以上のガス放出口を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のヒータ付き基板載置台。 【請求項4】前記基板載置面において、前記基板載置面の中心の周りに1以上の同心円状の溝が形成されており、該同心円状の溝は前記放射状に延びた複数の溝と交差し、かつ該交差した箇所でつながっていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のヒータ付き基板載置台。 【請求項5】請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のヒータ付き基板載置台を備えた成膜装置。 【請求項6】請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のヒータ付き基板載置台を備えたエッチング装置。」 2 補正の適否 請求項1、4における補正は、補正前は、「基板載置面の中央部」であったものを、補正後は、「基板載置面の中心」としたものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、検討する。 (1)補正発明 補正発明は、本件補正により補正がされた明細書及び図面の記載からみて、前記1の(2)の補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 (2)引用刊行物記載の発明(事項) 原査定の拒絶の理由として引用された本願出願前に日本国内で頒布された特開平7-169824号公報(以下、「刊行物1」という。)、実願平1-29638号(実開平2-120832号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物2」という。)には、それぞれ以下の事項が記載されている。 (2-1)刊行物1 (2-1-a)特許請求の範囲 「【請求項1】処理対象である基板を設置するための基板ステージと、前記基板ステージに熱を与える加熱源と、前記基板ステージの熱を逃がす冷却部とを含み、前記基板ステージは伝熱媒体として作用するガスを流すためのガス導入路を有する基板加熱・冷却機構において、 前記ガス導入路のガス吹出し孔が前記基板ステージの基板設置面に1つ形成され、前記基板ステージと前記基板の間の接触領域に形成される微小隙間を前記ガスの拡散流路としたことを特徴とする基板加熱・冷却機構。 【請求項2】請求項1記載の基板加熱・冷却機構において、前記基板ステージの前記基板設置面には微細な凹凸が形成されることを特徴とする基板加熱・冷却機構。 【請求項3】請求項2記載の基板加熱・冷却機構において、前記凹凸はブラスト加工で形成されることを特徴とする基板加熱・冷却機構。 【請求項4】請求項1?3のいずれか1項に記載の基板加熱・冷却機構において、前記基板ステージは、高温強度が大きくかつ熱伝導率が小さい金属で作られ、さらに加熱源側に熱伝導率が大きい金属で形成された均熱板を備えることを特徴とする基板加熱・冷却機構。 【請求項5】請求項4記載の基板加熱・冷却機構において、前記基板ステージはステンレスで形成され、前記均熱板は銅で形成されることを特徴とする基板加熱・冷却機構。 【請求項6】請求項1記載の基板加熱・冷却機構において、前記基板ステージはセラミックスで作られることを特徴とする基板加熱・冷却機構。 【請求項7】請求項6記載の基板加熱・冷却機構において、前記加熱源はセラミックスヒータであることを特徴とする基板加熱・冷却機構。 【請求項8】請求項6記載の基板加熱・冷却機構において、前記セラミックス製基板ステージはその内部に加熱源を含むことを特徴とする基板加熱・冷却機構。 【請求項9】請求項6?8のいずれか1項に記載の基板加熱・冷却機構において、前記セラミックス製基板ステージは、その基板設置面にブラスト加工が施されることを特徴とする基板加熱・冷却機構。 【請求項10】請求項1?7のいずれか1項に記載の基板加熱・冷却機構において、前記基板ステージの基板設置面の任意の箇所に、面内温度分布を調整するための凹所を形成したことを特徴とする基板加熱・冷却機構。 【請求項11】請求項1?7のいずれか1項に記載の基板加熱・冷却機構において、前記基板ステージと前記冷却部の間の任意の箇所に、面内温度分布を調整するための熱の逃がし路を設けたことを特徴とする基板加熱・冷却機構。」 (2-1-b)段落0015?0020 「前記の構成において、基板ステージをセラミックスで作ることもできる。基板ステージの形状および構造を簡素化できたからである。 また前述の加熱源をセラミックスヒータとすることも可能である。さらに、セラミックス製基板ステージのそのものの内部に加熱源を含むように構成することもできる。 セラミックス製基板ステージにおいても、その基板設置面にブラスト加工が施されることが好ましい。伝熱媒体としてのガスの拡散路を有効に確保できるからである。 さらに、必要に応じて、基板ステージの基板設置面の任意の箇所に、面内温度分布を調整するための凹所を形成することが好ましい。あるいは、基板ステージと冷却部の間の任意の箇所に、面内温度分布を調整するための熱の逃がし路を設けることもできる。 【作用】基板ステージと基板背面との接触では、顕微鏡的なレベルで見ると、微小面積で均一的に散在した接触点(面積的に全体の数%の割合)が存在し、基板ステージの基板設置面の中央付近に形成されたガス吹出し孔より吹出された伝熱媒体としてのガスの拡散路としての微小な隙間が確保されている。基板ステージの基板設置面に対してブラスト加工を行えば、ガスを拡散させるためのより有効な隙間を得ることができる。 望ましい構成として、ガス吹出し孔を1箇所とし、このガス吹出し孔から吹出したガスを基板と基板ステージとの間の微小隙間で拡散させるが、ガス供給側と真空室との間では十分な圧力差が存在するために、前述の微小な隙間を通してガスは瞬間的にほぼ均一に基板背面全体に拡散することができる。また基板と基板ステージとの間に何等かの原因により圧力の偏りが生じたとしても前述の圧力差が大きいためにその影響は少ない。」 (2-1-c)段落0024 「さらに、基板ステージの基板設置面の任意の箇所に凹所を形成したり、あるいは基板ステージと冷却部との間の任意の箇所に熱を逃がすための路を形成することにより、面内温度を調整するための機構を設けた。この機構によれば、基板温度に偏りが生じた場合、それを打ち消すことができる。」 (2-1-d)段落0027 「5は基板支持機構の本体であり、本体5の上に前述の基板ステージ1が設置され、その内部に基板を加熱または冷却するための機構を備えている。基板ステージ1は本体5の上に押え部材6で固定される。本体5の上部は凹所5aが形成され、この凹所5aには加熱源が配置される。本実施例では、加熱源として複数個のランプヒータ7が使用される。複数のランプヒータ7は、基板ステージ1に均等が熱が供給されるように、離散した任意の位置に配置される。凹所5aの中には、均熱板4を接合した基板ステージ1を支持するための例えば3本の支柱8が配置される。3本の支柱8は、例えば本体5の凹所5aのほぼ中央部に配置され、その上側端部は均熱板4の下面に当たっている。・・・」 (2-1-e)段落0029 「10は、例えばアルゴン(Ar)ガスを真空室内に導入するためのガス導入通路であり、その下方には当該ガスを供給するためのガス供給源が存在する。ガス導入通路10は、本体5に対応する構造部分は1つの孔として形成され、その他の空間部分では1本のパイプとして形成される。ガス導入通路10において、孔部分とパイプ部分との間は、溶接部で接続されたり、またはメタルOリングを介設して接続されている。ガス導入通路10の上端開口部は、ガス吹出し孔10aとなっている。ガス供給源の図示は省略されている。ガス導入通路10は本体5のほぼ中央部に配置され、ガス吹出し孔10aは基板載置面のほぼ中央部付近に形成される。前述の支柱8は、ガス導入通路10と接近した位置にあり、ガス吹出し孔10aの周辺に配置される。」 (2-1-f)段落0036?0037 「・・・本実施例の場合には、特に基板ステージ1の表面にブラスト加工が施されており、微細な凹凸が形成されているので、より十分なガスを流すための隙間を確保することができる。このような凹凸の形成は、ブラスト加工以外の方法でも行うことができるのは勿論である。 基板2と基板ステージ1との間の接触部の一部を、図3に拡大して示す。図3で明らかなように、基板ステージ1の表面の微細な凹凸によって、基板2の背面と基板ステージ1の表面との間に隙間11が形成される。」 (2-1-g)段落0044?0047 「次に、金属以外の他の材質を用いて基板ステージを作製する実施例について説明する。金属以外の材質の例としては、代表的にセラミックスである。・・・ 材質としてのセラミックスは、それ自体熱伝導性に優れており、かつ加熱または冷却に対して耐久性を有している。・・・またセラミックスによる基板ステージは、粉末体を所要の条件下で固めて形成することができるので、その表面(基板載置面)にもともとガス分散通路となり得る微細な凹凸を形成することができる。従って、ブラスト加工を行う必要がなくなる。勿論、ブラスト加工を施してもかまわない。図7において、20はセラミックスで作製された基板ステージである。その他の構造は、図1で示した構造を同じであるので、同一要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。・・・ 図8は、基板ステージをセラミックスで作った他の実施例を示す。この実施例では、基板ステージ20の下に配置される加熱源として、面状の発熱体であるセラミックスヒータ21を使用する。・・・ 第9図は、基板ステージをセラミックスで作った他の実施例を示す。この実施例では、セラミックス製基板ステージ23が、それ自体発熱体を内蔵することによりセラミックスヒータとして機能するように構成されている。従って、基板支持機構の基板ステージの構成がさらに簡素化される共に、上記実施例と同様に発熱領域の設計は任意であるので、基板2での面内温度分布を改善することができる。」 (2-1-h)摘記事項(2-1-g)の「セラミックスによる基板ステージは、粉末体を所要の条件下で固めて形成することができるので、その表面(基板載置面)にもともとガス分散通路となり得る微細な凹凸を形成することができる。」という記載から、基板設置面に、分散している多数の微細な凹凸部を有しているといえる。 上記摘記事項(2-1-a)?(2-1-g)、及び上記認定事項(2-1-h)を技術常識を勘案しながら、補正発明に照らして整理すると、刊行物には、次の発明が記載されていると認める。(以下、「引用発明」という。) 「基板設置面に分散している多数の微細な凹凸が形成されるセラミック製基板ステージと、 前記セラミック製基板ステージに内蔵された、前記基板設置面に設置された基板を加熱する発熱体と、 前記基板設置面のほぼ中央部付近に設けられ、前記セラミック製基板ステージの内部に形成されたガス導入通路とつながるガス吹出し孔と、 前記基板設置面の任意の箇所に凹所を形成することによって面内温度を調整する機構と、 を有するヒータ内蔵のセラミック製基板ステージ。」 (2-3)刊行物2 (2-2-a)実用新案登録請求の範囲 「ドライエッチング及びCVD等の処理装置に用いられる静電吸着装置に於いて、真空容器内に配設され被処理基板が載置される静電吸着用電極に熱授受手段を埋設し、該静電吸着用電極の被処理基板載置面に該被処理基板によって閉塞される溝を刻設すると共に少なくとも静電吸着用電極の被処理基板載置面に絶縁被膜をコーティングし、前記溝にヘリウムガスを供給するヘリウムガス供給装置を連通したことを特徴とする静電吸着用電極。」 (2-2-b)明細書第1ページ下から4行目?最下行 「本考案は、半導体デバイス等の製造工程の一つであるドライエッチング及びCVD等の処理装置に用いられる静電吸着装置に関するものである。」 (2-2-c)明細書第6ページ第10?20行 「[作用] 熱授受手段によってウェーハが載置される静電吸着用電極を直接加熱又は冷却するのでウェーハの温度調整を迅速に行え、又静電吸着用電極と被処理基板との間隙にヘリウムガスを充満介在させることで両者間の伝熱性を向上させ両者の接合面での熱抵抗を減少させ、被処理基板の熱授受手段による温度制御を容易にする。更に、板状絶縁物に刻設した溝は板状絶縁物と被処理基板間の吸着力の減少速度を早め、被処理基板の早期離脱を容易にする。」 (2-2-d)明細書第7ページ第13行?第8ページ第5行 「前記静電吸着用電極11の表面に後述する様に溝15を刻設し、該溝15にはヘリウムガス(He)供給装置16を連通する。又、該静電吸着用電極11には低周波通過フィルタ9を介して直流電源8を接続すると共に高周波電源7を接続する。 第2図、第3図に於いて、静電吸着用電極11の上面に刻設した溝15について説明する。 ウェーハ4が載置される範囲内に同心多重に円周溝15aを刻設し、又直径方向に全ての円周溝15aを連通せしめる経線溝15bを刻設する。 ここで、円周溝15aを刻設する際の円周溝同心のピッチ間隔はウェーハ4と静電吸着用電極11との間の伝熱状態を考慮して決定する。」 (2-2-e)第1?2図の記載から、静電吸着用電極の被処理基板載置面に設けられた経線溝15bは、ほぼ中心から放射状に延びた複数の溝であることが看取でき、また、被処理基板載置面の溝とヘリウムガス供給装置に連通している箇所は、ヘリウムガス供給口ということができる。 これらの摘記事項(2-2-a)?(2-2-d)、及び認定事項(2-2-e)から、刊行物2には、次の事項が記載されていると認められる。 「静電吸着用電極の被処理基板載置面において、ほぼ中心付近でヘリウムガス供給口につながり、かつ該ヘリウムガス供給口付近から放射状に延びた複数の溝。」(以下、「刊行物2記載事項」という。) (3)対比 補正発明と引用発明とを比較すると、後者の「基板設置面」、「セラミック製基板ステージ」、「設置」、「発熱体」、「ガス導入通路」、「ガス吹出し孔」は、それぞれ前者の「基板載置面」、「基板載置台」、「載置」、「加熱手段」、「ガスの通路」、「ガス放出口」に相当する。 そして、引用発明の「分散している多数の微細な凹凸」は、「分散している多数の凸部」と、いうことができるものである。 また、「内蔵」は「埋め込まれた」と表現できることから、引用発明の「セラミック製基板ステージに内蔵された、基板設置面に設置された基板を加熱する発熱体」は、「基板載置台内に埋め込まれた、基板載置面に載置された基板を加熱する加熱手段」と表現できる。 さらに、引用発明は「ヒータ内蔵のセラミック製基板ステージ」と表現されているが、「ヒータ付き基板載置台」と表現できるものである。 したがって、補正発明と引用発明とは、 「基板載置面に分散している多数の凸部を有する基板載置台と、 前記基板載置台内に埋め込まれた、基板載置面に載置された基板を加熱する加熱手段と、 前記基板載置台の内部に形成されたガスの通路とつながるガス放出口と、 を有するヒータ付き基板載置台。」 で一致し、次の点で相違する。 [相違点1] ガス放出口について、補正発明では、「基板載置面の中心に設けられ」ているのに対して、引用発明では、「基板載置面のほぼ中央部付近に設けられ」ている点。 [相違点2] 補正発明では、基板載置面において、前記ガス放出口につながり、かつ該ガス放出口から放射状に延びた複数の溝を有しているのに対し、引用発明では、基板載置面において、任意の箇所に凹所を形成しているが、凹所が溝であるか否かが不明である点。 (4)判断 上記相違点について検討する。 [相違点1について] 基板載置面の中心にガス放出口を設けることは、例えば、特開平7-130828号公報(段落0017、図1)、特開平5-234944号公報(段落0011?0012、図2)、特開昭60-115226号公報(第3ページ右下欄第5?8行、第3ページ右下欄下から3行目?第4ページ左上欄第2行、第3図)、特開平7-86382号公報(第8欄第39?41行、第11欄第4?8行、第12欄第8?10行、図2、4?6)、特開平4-364725号公報(段落0017?0018、図1)等に示すように周知の事項であり、これにより載置面の温度分布が均一になることが予測される。 そして、引用発明においても、温度分布が均一であることが望ましいことは当然であるから、引用発明に上記周知の事項を採用して、相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。 [相違点2について] 刊行物2記載事項は、「被処理基板載置面(基板載置面)において、ほぼ中心付近でヘリウムガス供給口(ガス放出口)につながり、かつ該ヘリウムガス供給口(ガス放出口)付近から放射状に延びた複数の溝。」であり、これにより静電吸着用電極と被処理基板との間隙にヘリウムガスを充満介在させるものである。 上記引用発明においても、基板載置面に凹所を設けることによって面内温度を調整していることから、引用発明の凹所を、刊行物2記載事項の溝にすることは、当業者が容易になし得たものである。 さらに、基板載置面の中心にガス放出口が設けられ、かつ該ガス放出口から放射状に延びた複数の溝は、[相違点1について]に記載した文献のうちの、特開平7-130828号公報(段落0017、図1)、特開平5-234944号公報(段落0011?0012、図2)、特開昭60-115226号公報(第3ページ右下欄第5?8行、第3ページ右下欄下から3行目?第4ページ左上欄第2行、第3図)に記載されているように、周知の事項である。 そして、補正発明の効果も、引用発明、刊行物2記載事項、及び周知の事項から予測しうる程度のものであって、格別なものではない。 以上のとおりであるので、補正発明は、引用発明、刊行物2記載事項、及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 むすび 以上のとおりであるので、本件補正は、特許法(平成18年法律第55号による改正前)第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に違反するので、改正前特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、前記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1ないし6に係る発明は、平成18年5月1日付け手続補正書により補正がされた明細書及び図面の記載から見て、請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。その特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、前記第2の1の(1)に記載したとおりである。 2 引用刊行物記載事項 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物の記載事項は、前記第2の2の(2)に示したとおりである。 3 対比・判断 本願発明は、前記第2の2で述べたとおり、補正発明の特定事項から、前記限定事項が省かれたものである。 そうすると、前記第2の2の(4)で検討したとおり、本願発明の特定事項のすべてを含み、さらに、他の事項を付加したものに相当する補正発明が、引用発明、刊行物2記載事項、及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明、刊行物2記載事項、及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-03-12 |
結審通知日 | 2008-04-08 |
審決日 | 2008-04-22 |
出願番号 | 特願平8-211730 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 伊藤 元人 |
特許庁審判長 |
千葉 成就 |
特許庁審判官 |
加藤 昌人 鈴木 孝幸 |
発明の名称 | ヒータ付き基板載置台、成膜装置及びエッチング装置 |
代理人 | 岡本 啓三 |