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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1180492
審判番号 不服2006-2461  
総通号数 104 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-02-09 
確定日 2008-07-03 
事件の表示 特願2003- 83642「光情報記録装置、光情報記録方法、情報処理装置、プログラム、及び記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成16年10月21日出願公開、特開2004-295948〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本件審判の請求に係る特許出願(以下、「本願」という。)は、平成15年3月25日に出願され、平成18年1月4日付けで拒絶すべきものである旨の査定がなされ、これに対して、平成18年2月9日付けで拒絶査定不服審判が請求され、平成18年3月7日付けで手続補正がなされたものである。

II.平成18年3月7日付け手続補正についての補正却下の決定

〔補正却下の決定の結論〕
平成18年3月7日付け手続補正を却下する。

〔理由〕
1.本件補正について(補正の内容)
平成18年3月7日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲及び明細書についてするものであって、そのうち特許請求の範囲についてのものは、請求項1乃至13について、

「【請求項1】
記録層が多層構造で各記録層について記録が可能であり、全ての記録層の記録条件が各記録層に記録されている光情報記録媒体に対して情報の記録を実行する光情報記録装置であって、
複数の記録層に前記記録を行う場合、複数の記録層のいずれかから当該複数の記録層に記録されているOPC(Optimum Power Control)を実行する際の記録条件を読み取る記録条件取得手段と、
この記録条件取得手段によって得た前記記録条件を用いて、前記複数の記録層のうち光源に最も近接する記録層から順に連続して前記OPCを実行するOPC実行手段と、
を備えていることを特徴とする光情報記録装置。
【請求項2】
前記記録条件の少なくとも一部は、前記OPCを行う際の記録パワー設定である、ことを特徴とする請求項1に記載の光情報記録装置。
【請求項3】
前記記録条件の少なくとも一部は、前記OPCを行う際の記録パルス形状設定である、ことを特徴とする請求項に記載の光情報記録装置。
【請求項4】
前記記録条件の少なくとも一部は、前記OPCを行う際の記録光の波長である、ことを特徴とする請求項1に記載の光情報記録装置。
【請求項5】
前記記録条件の少なくとも一部は、前記OPCを行う際の最大記録速度である、ことを特徴とする請求項1に記載の光情報記録装置。
【請求項6】
各種情報処理を行うことができる情報処理装置において、
請求項1?5のいずれかの一に記載の光情報記録装置を備えていること、を特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
記録層が多層構造で各記録層について記録が可能であり、全ての記録層の記録条件が各記録層に記録されている光情報記録媒体に対して情報の記録を実行する光情報記録方法であって、
複数の記録層に前記記録を行う場合、複数の記録層のいずれかから当該複数の記録層に記録されているOPC(Optimum Power Control)を実行する際の記録条件を読み取る記録条件取得工程と、
この記録条件取得工程によって得た前記記録条件を用いて、前記複数の記録層のうち光源に最も近接する記録層から順に連続して前記OPCを実行するOPC実行工程と、
を含んでなることを特徴とする光情報記録方法。
【請求項8】
前記記録条件の少なくとも一部は、前記OPCを行う際の記録パワー設定である、ことを特徴とする請求項7に記載の光情報記録方法。
【請求項9】
前記記録条件の少なくとも一部は、前記OPCを行う際の記録パルス形状設定である、ことを特徴とする請求項7に記載の光情報記録方法。
【請求項10】
前記記録条件の少なくとも一部は、前記OPCを行う際の記録光の波長である、ことを特徴とする請求項7に記載の光情報記録方法。
【請求項11】
前記記録条件の少なくとも一部は、前記OPCを行う際の最大記録速度である、ことを特徴とする請求項7に記載の光情報記録方法。
【請求項12】
記録層が多層構造で各記録層について記録が可能であり、全ての記録層の記録条件が各記録層に記録されている光情報記録媒体に対して情報の記録を行い、前記記録を実行する際にはあらかじめOPC(Optimum Power Control)を実行する光情報記録装置に対する制御をコンピュータに実行させるプログラムであって、
複数の記録層に前記記録を行う場合、複数の記録層のいずれかから当該複数の記録層に記録されているOPC(Optimum Power Control)を実行する際の記録条件を読み取る記録条件取得処理と、
この記録条件取得工程によって得た前記記録条件を用いて、前記複数の記録層のうち光源に最も近接する記録層から順に連続して前記OPCを実行するOPC実行工程と、
の前記光情報記録装置による実行を、前記コンピュータに実行させることを特徴とする
プログラム。
【請求項13】
プログラムを記憶している記憶媒体において、
請求項12に記載のプログラムを記憶していること、を特徴とする記憶媒体。」

と、本件補正前の請求項1,7,12に係る各発明について、発明を特定する構成要件である複数の記録層に連続して実行するOPC動作について「光源に最も近接する記録層から順に」と、具体的なOPCを行う複数の記録層の順序を付加するものである。

2.本件補正の目的
本件補正の内容は、補正前の請求項1,7,12に係る各発明を特定する構成要件を具体的に限定しようとするものであるから、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

3.独立特許要件
次に、本件補正の特許請求の範囲に記載された発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するか)否かについて、検討する。

(1)補正後発明
本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「補正後発明」という。)は、上記1.本件補正について(補正の内容)の【請求項1】に記載されたとおりである。

(2)刊行物及びその記載
これに対し、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物は、特開2003-30842号公報(平成15年1月31日出願公開、以下「刊行物」という。)である。

-刊行物の記載-
刊行物には、所定の記録条件に基づき複数の記録層を有する光ディスクの目的の記録層に対して記録用の光ビームを照射して、目的の記録層に目的の情報を記録する光ディスク装置について、以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与。)

(i)「【特許請求の範囲】
【請求項1】一方の面からの光ビームの照射により記録再生可能な複数の記録層を有する光ディスクに対して情報を記録する光ディスク装置であって、所定の記録条件に基づき光ディスクに対して記録用光ビームを照射して、情報を記録する記録手段と、
光ディスクに対して再生用光ビームを照射して、この再生用光ビームの反射光に反映された情報を再生する再生手段と、
前記記録条件を設定するための記録層を所定条件に従い選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された記録層の所定エリアに対して、前記記録手段により所定情報を記録し、前記再生手段によりこの所定情報を再生した結果に基づき、選択された記録層に対する記録条件を設定する設定手段と、
を備えたことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】前記光ディスクは、少なくとも第1及び第2の記録層を有し、この第2の記録層は光ビームの入射面から最も遠い記録層であり、この第1の記録層は前記第2の記録層の次に入射面から遠い記録層であり、
前記選択手段は、前記第2の記録層を選択した後、前記第1の記録層を選択し、
前記設定手段は、先に選択された前記第2の記録層の所定エリアに対して、前記記録手段により所定情報を記録し、前記再生手段により得られるこの所定情報の再生結果に基づき、前記第2の記録層に対する記録条件を設定し、次に選択された前記第1の記録層の所定エリアに対して、前記記録手段により所定情報を記録し、前記再生手段により得られる前記第2の記録層に記録された所定情報の影響を受けた前記第1の記録層に記録された所定情報の再生結果に基づき、前記第1の記録層に対する記録条件を設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】?【請求項4】・・・(省略)・・・
【請求項5】前記設定手段は、記録条件設定時に、記録条件の設定対象の記録層に固有の付帯情報を取得し、設定された記録条件と共にこの付帯情報を記憶部に記憶する、ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項6】前記記録手段は、前記記憶部に記憶された複数の層に対応する付帯情報と複数の層に対して設定された記録条件を、全ての記録層の所定エリアに記録する、ことを特徴とする請求項5記載の光ディスク装置。
【請求項7】前記所定エリアに記録された複数の層に対応する付帯情報を再生し、前記選択手段により選択された記録層に対する付帯情報を調整する調整手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載の光ディスク装置。
【請求項8】?【請求項20】・・・(省略)・・・」

(ii)「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、所定の記録条件に基づき複数の記録層を有する光ディスクの目的の記録層に対して記録用の光ビームを照射して、目的の記録層に目的の情報を記録する光ディスク装置に関する。また、この光ディスク装置における記録条件を設定する記録条件設定方法に関する。」

(iii)「【0007】この発明の目的は、上記したような事情に鑑み成されたものであって、複数の記録層を有する光ディスクに対して、適切な記録条件(記録パラメータ)を設定することが可能な光ディスク装置及び記録条件設定方法を提供することにある。」

(iv)「【0019】上記した記録動作(目的の情報の記録)の前に、記録補償の学習動作(記録条件の設定)が実行される。この学習動作では、基本的には内周部に設けられた試し書きエリアに対してデータを試し書きし、この試し書きされたデータを再生し、この再生結果に基づき記録条件としての光ビームの照射光量に関する記録波形パラメータが最適化される。」

(v)「【0021】学習動作に際して、最初に、学習実施層選択回路90により、光ビームの入射面から最も遠い記録層が選択される(ST1)。このケースでは、第2の記録層が選択されることになる。この選択された第2の記録層に対して、適切にデータが記録されるように、各種光学系補正が行なわれる(ST2)。その一つとして、例えば、球面収差補正回路110にて球面収差が補正される。このときの補正値を第2の球面収差補正値とする。補正が完了すると、この選択された第2の記録層に対して、学習動作が実施される(ST3)。つまり、記録再生部20により、この第2の記録層における試し書きエリアに対して、所定の記録波形パラメータに基づきデータが試し書きされ、この試し書きされたデータが再生される。再生結果は、パラメータ算出部70に入力され、このパラメータ算出部70において第2の記録層に対する最適な記録波形パラメータが算出される(ST4)。算出された第2の記録層に対する記録波形パラメータと先に得られた第2の球面収差補正値とがパラメータ記憶回路80に記憶される(ST5)。

【0022】次に、光ビームの入射面から二番目に遠い記録層が選択される(ST6、YES)(ST7)。このケースでは、第1の記録層が選択されることになる。この選択された第1の記録層に対して、適切にデータが記録されるように、各種光学系補正が行なわれる(ST2)。その一つとして、例えば、球面収差補正回路110にて球面収差が補正される。このときの補正値を第1の球面収差補正値とする。補正が完了すると、この選択された第1の記録層に対して、学習動作が実施される(ST3)。つまり、記録再生部20により、この第1の記録層における試し書きエリアに対して、所定の記録波形パラメータに基づきデータが試し書きされ、この試し書きされたデータが再生される。このとき得られる再生結果には、第1の記録層における試し書きエリアに対して記録された試し書きデータに加えて、第2の記録層における試し書きエリアに対して記録された試し書きデータの影響が含まれている。この再生結果が、パラメータ算出部70に入力され、このパラメータ算出部70において第1の記録層に対する最適な記録波形パラメータが算出される(ST4)。算出された第1の記録層に対する記録波形パラメータと先に得られた第1の球面収差補正値とがパラメータ記憶回路80に記憶される(ST5)。」

(vi)「【0027】また、上記した球面収差補正値のような情報を付帯情報と定義する。この付帯情報としては、他にも様々なものが考えられる。例えば、サーボ制御部130から得られる各種サーボ補正値である。上述した2層ディスクでは、球面収差補正値やサーボ補正値が記録波形パラメータに与える影響が極めて大きい。そこで、これら付帯情報を記録は計パラメータと同時に記憶し、記録再生手段20によって光ディスク1にも記録しておくことで、最適な記録条件を迅速に知ることが可能となる。特に、複数の記録層の全層に付帯情報が記録されている場合、いずれの記録層でも全ての層の付帯情報を再生して知ることが可能で、前述のシーケンスのように別の記録層に移動する際に、あらかじめ記録再生手段20を付帯情報調整手段200によって調整しておくことが可能である。この付帯情報調整手段200を有する光ディスク装置の構成について図5に示す。基本的な動作は図1に示した構成と同様であるので割愛するが、再生手段20によって再生された移動すべき記録層の付帯情報を知ることで、球面収差補正回路110や相対チルト検出部120、サーボ制御部130を調整可能な構成になっている。一方で、球面収差補正回路110や相対チルト検出部120、サーボ制御部130から現時点での付帯情報を得て、パラメータ記憶回路80の記録波形パラメータの補正を行うことも可能な構成となっている。」

(vii)「【0032】
【発明の効果】この発明によれば複数の記録層を有する光ディスクに対して、適切な記録条件(記録波形パラメータ)を設定することが可能な光ディスク装置及び記録条件設定方法を提供できる。」

上記摘記事項を総合整理すると、刊行物には、結局、以下のとおりの発明が記載されているものと認める。

「一方の面からの光ビームの照射により記録再生可能な複数の記録層を有し、複数の記録層に対応する付帯情報を全ての記録層の所定エリアに記録する光ディスクに対して情報を記録する光ディスク装置であって、
前記所定エリアに記録された複数の層に対応する付帯情報を再生し、選択手段により選択された記録層に対して付帯情報により調整する調整手段と、
再生された付帯情報で補正が完了すると学習動作に入り、光ビームの入射面から最も遠い第2の記録層を選択した後に第2の記録層の次に入射面から遠い第1の記録層を選択し、選択された記録層の所定エリアに対して、所定情報を記録し、この所定情報を再生した結果に基づき、選択された記録層に対する記録条件を設定する設定手段と、
を備えた光ディスク装置。」(以下、「刊行物発明」という。)

(3)対比・判断
補正後発明と刊行物発明とを対比する。

刊行物発明の「一方の面からの光ビームの照射により記録再生可能な複数の記録層を有し、複数の層に対応する付帯情報を全ての記録層の所定エリアに記録する光ディスクに対して情報を記録する光ディスク装置」であるが、上記「付帯情報」について、「球面収差補正値やサーボ補正値が記録波形パラメータに与える影響が極めて大きい。そこで、これら付帯情報を記録は計パラメータと同時に記憶し、記録再生手段20によって光ディスク1にも記録しておくことで、最適な記録条件を迅速に知ることが可能となる」(上記(vi))と記載があり、その光ディスクに対して情報を記録する際に必要な記録条件を提供する点で、本願発明の「記録条件」と直接的ないし間接的に共通しているので、本願発明の「記録層が多層構造で各記録層について記録が可能であり、全ての記録層の記録条件が各記録層に記録されている光情報記録媒体に対して情報の記録を実行する光情報記録装置」に相当する。

刊行物発明の「前記所定エリアに記録された複数の層に対応する付帯情報を再生し、選択手段により選択された記録層に対する付帯情報を調整する調整手段」であるが、調整手段は複数の層に対応する付帯情報を再生し、付帯情報の補正後に学習動作を行う点で、本願発明の記録条件取得手段と共通しており、本願発明の「複数の記録層に前記記録を行う場合、複数の記録層のいずれかから当該複数の記録層に記録されているOPC(Optimum Power Control)を実行する際の記録条件を読み取る記録条件取得手段」に相当する。

刊行物発明では第2の記録層での学習動作の後に第1の記録層で学習動作を行う、要するに、複数の記録層のうち一つ目の記録層から順に連続して二つ目の記録層の記録条件を設定していくもので、この設定手段は本願発明の「記録条件を用いて、複数の記録層に連続してOPCを実行するOPC実行手段」に相当する。

〔対比〕

結局、両発明の[一致点]及び[相違点]は、以下のとおりである。

[一致点]
「記録層が多層構造で各記録層について記録が可能であり、全ての記録層の記録条件が各記録層に記録されている光情報記録媒体に対して情報の記録を実行する光情報記録装置であって、
複数の記録層に前記記録を行う場合、複数の記録層のいずれかから当該複数の記録層に記録されているOPC(Optimum Power Control)を実行する際の記録条件を読み取る記録条件取得手段と、
この記録条件取得手段によって得た前記記録条件を用いて、前記複数の記録層に連続して前記OPCを実行するOPC実行手段と、
を備えていることを特徴とする光情報記録装置。」の点。

[相違点]
複数の記録層に連続して実行されるOPCについて、補正後発明では「光源に最も近接する記録層から順」に行うのに対し、刊行物記載の発明では光源から最も遠い記録層から順に行う点。

[判断]
以下、相違点について検討する。

多層構造の光情報記録媒体に記録を行う場合に複数の記録層にOPCを実行する光情報記録装置の技術分野において、OPCを光源に最も近接する記録層から順に実行することは周知(なお、必要であれば、特開平11-3550号公報:図3のフローチャート及び【0074】【0087】参照。)にあるように周知である。

したがって、刊行物発明においてOPCを光源に最も近接する記録層から順に行わせることは当業者が容易に想到できるものである。

そして、上記相違点についての判断を総合しても補正後発明の奏する効果は刊行物から当業者が十分に予想可能なものであって、格別のものとはいえない。

以上のとおりであるから、本件補正後の請求項1に係る発明は、刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明し得たものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

なお、審判請求書の【本願発明が特許されるべき理由】の欄における「本願発明では、第2層に記録を行うときは、図4に対応する部分の記載にもあるように、第1層には既に情報が記録されております。」及び「第2層のOPCのときには、第1層でのOPCが終了し、第2層のOPCは第1層でのOPCにて記録が行われた領域を透過した光で行われますので、実際の情報記録時の条件と等しくなります。」との主張は、単に複数の記録層のOPCを実行する順を規定するものであって、光ビームの透過する方向に第1層のOPC領域と第2層のOPC領域が重なるという位置関係が特定されていない本件補正後の請求項1の記載に基づいたものではないので、上記請求人の主張は採用することはできない。

4.補正についての結び
したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


III.本願発明について

1.本願発明
平成18年3月7日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願請求項1乃至13に係る各発明は、平成17年10月4日付けで手続補正で補正された明細書及び図面からみて、特許請求の範囲請求項1乃至13に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1の記載は、以下のとおりである。

「記録層が多層構造で各記録層について記録が可能であり、全ての記録層の記録条件が各記録層に記録されている光情報記録媒体に対して情報の記録を実行する光情報記録装置であって、
複数の記録層に前記記録を行う場合、複数の記録層のいずれかから当該複数の記録層に記録されているOPC(Optimum Power Control)を実行する際の記録条件を読み取る記録条件取得手段と、
この記録条件取得手段によって得た前記記録条件を用いて、前記複数の記録層に連続して前記OPCを実行するOPC実行手段と、
を備えていることを特徴とする光情報記録装置。」(以下、「本願発明」という。)

2.刊行物及びその記載
これに対し、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物は、特開2003-30842号公報(以下、「刊行物」という。)であって、その記載は、上記「II.〔理由〕3.(2) -刊行物の記載-」のとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記II.で検討した補正後発明から、
「前記複数の記録層のうち光源に最も近接する記録層から順に連続して前記OPCを実行するOPC実行手段」
としていた構成から、下線部の構成要件を省いて、「前記複数の記録層に連続して前記OPCを実行するOPC実行手段」とした上位概念の構成にあたるものである。

そうすると、本願発明の構成要素を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する補正後発明が、上記II.に記載したとおり、刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、本願発明も、同様の理由により刊行物記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願請求項1に係る発明については、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-04-22 
結審通知日 2008-05-07 
審決日 2008-05-20 
出願番号 特願2003-83642(P2003-83642)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G11B)
P 1 8・ 575- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩井 健二五貫 昭一  
特許庁審判長 江畠 博
特許庁審判官 溝本 安展
小松 正
発明の名称 光情報記録装置、光情報記録方法、情報処理装置、プログラム、及び記録媒体  
代理人 伊東 忠彦  
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