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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1180554
審判番号 不服2004-23569  
総通号数 104 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-11-18 
確定日 2008-07-10 
事件の表示 特願2000-272252「遊技機の球貯蔵装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 3月19日出願公開、特開2002- 78911〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成12年(西暦2000年)9月7日の出願であって、平成16年7月1日付け拒絶理由通知に対して、同年9月6日付けで手続補正がされたが、同年10月15日付けで拒絶査定され、これに対し、同年11月18日に拒絶査定不服の審判が請求されるとともに、同年12月20日に手続補正がされたものである。

第2.平成16年12月20日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年12月20日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)本件補正前及び本件補正後の本願発明、及び補正目的
本件補正は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明についてするもので、特許請求の範囲については、以下のように補正された。

(補正前)
「【請求項1】島設備の補給口から供給される球を貯蔵する上方開放箱型の貯蔵室を有して遊技機に設けられたタンクと、タンクにおける球の貯蔵量を一定にするように島設備の補給口からタンクへの球の供給と供給停止とを行うためにタンクの内部に設けられて球の重さで作動する補給センサとからなる遊技機の球貯蔵装置において、タンクの貯蔵室は、貯蔵室から球を球払出機構の側に供給するための連絡口と、球を連絡口に向けて流すように傾斜する片流れ式の底部と、底部より立上る側壁と、底部および側壁につながる前壁とを備えており、補給センサはスイッチベースとスイッチレバーとヒンジとスイッチとを備えており、スイッチベースは、板状の横壁と、横壁の一端部より上方に延設した縦壁と、縦壁より上方に延設されたブラケットと、横壁における縦壁の設けられた側の反対側に位置する端部に設けた軸受部とを備えており、スイッチレバーは、貯蔵室内の球を乗せるための板状の横壁と、横壁の一端部より上方に延設した斜壁と、斜壁より横に延設された押壁と、横壁における斜壁の設けられた側の反対側に位置する端部に設けた軸受部とを備えており、スイッチレバーの横壁がスイッチベースの横壁の上方に配置され、スイッチレバーの斜壁及び押壁がスイッチベースの縦壁の横壁側に配置され、スイッチベースの軸受部とスイッチベースの軸受部とにヒンジが装着され、スイッチレバーがスイッチベースにヒンジで上下方向に回転可能に連結され、スイッチがスイッチベースとスイッチレバーとで囲まれた空間においてスイッチベースに固定されることによって、前記補給センサが構成されており、このように構成された補給センサがタンクの貯蔵室に配置され、この補給センサのスイッチベースが貯蔵室の底部と底部の傾斜した上流側より立上る側壁とに接触し、このスイッチベースのブラケットが貯蔵室の前壁の底部の傾斜した上流側より立上る側壁より上方に位置する部分に止ねじで締結されることによって、補給センサがタンクの貯蔵室内に取付けられ、このように補給センサがタンクの貯蔵室内に取付けられた状態において、貯蔵室に貯蔵された球がスイッチレバーの上に乗り、スイッチレバーがヒンジを回転中心として下方に回転し、スイッチレバーの押壁がスイッチの押ボタンを押し下げると、スイッチが前記島設備の補給口からタンクへの球の供給停止のためにオフ動作する一方、貯蔵室に貯蔵された球が減少し、スイッチレバーより乗っていた球が無くなると、スイッチレバーがばね力で上方に回転し、スイッチが前記島設備の補給口からタンクへの球の供給のためにオン動作する構成であることを特徴とする遊技機の球貯蔵装置。
【請求項2】島設備の補給口から供給される球を貯蔵する上方開放箱型の貯蔵室を有して遊技機に設けられたタンクと、タンクにおける球の貯蔵量を一定にするように島設備の補給口からタンクへの球の供給と供給停止とを行うためにタンクの内部に設けられて球の重さで作動する補給センサとからなる遊技機の球貯蔵装置において、補給センサはスイッチベースとスイッチレバーとヒンジとスイッチとを備えており、スイッチベースは、板状の横壁と、横壁の一端部より上方に延設した縦壁と、縦壁の横壁側に位置する内側面に設けたスイッチ取付部と、スイッチ取付部の周囲に配置されるように縦壁の横壁側に位置する内側面に設けた複数の突起と、横壁における縦壁の設けられた側の反対側に位置する端部に設けた軸受部とを備えており、スイッチレバーは、板状の横壁と、横壁の一端部より上方に延設した斜壁と、斜壁より横に延設された押壁と、横壁における斜壁の設けられた側の反対側に位置する端部に設けた軸受部とを備えており、スイッチレバーの横壁がスイッチベースの横壁の上方に配置され、スイッチレバーの斜壁及び押壁がスイッチベースの縦壁の横壁側に配置され、スイッチベースの軸受部とスイッチベースの軸受部とにヒンジが装着され、スイッチレバーがスイッチベースにヒンジで上下方向に回転可能に連結され、スイッチがスイッチベースとスイッチレバーとで囲まれた空間においてスイッチベースの複数の突起で回転を規制されかつスイッチ取付部に固定されることによって、前記補給センサが構成され、このように構成された補給センサがタンクの貯蔵室内に取付けられた状態において、貯蔵室に貯蔵された球がスイッチレバーの横壁の上に乗り、スイッチレバーがヒンジを回転中心として下方に回転し、スイッチレバーの押壁がスイッチの押ボタンを押し下げると、スイッチが前記島設備の補給口からタンクへの球の供給停止のためにオフ動作する一方、貯蔵室に貯蔵された球が減少し、スイッチレバーより乗っていた球が無くなると、スイッチレバーがばね力で上方に回転し、スイッチが前記島設備の補給口からタンクへの球の供給のためにオン動作する構成であり、前記複数の突起のうちのスイッチより上側となる突起がスイッチレバーによるスイッチの押ボタンの押し過ぎを防止する構成であることを特徴とする遊技機の球貯蔵装置。
【請求項3】島設備の補給口から供給される球を貯蔵する上方開放箱型の貯蔵室を有して遊技機に設けられたタンクと、タンクにおける球の貯蔵量を一定にするように島設備の補給口からタンクへの球の供給と供給停止とを行うためにタンクの内部に設けられて球の重さで作動する補給センサとからなる遊技機の球貯蔵装置において、タンクの貯蔵室は、貯蔵室から球を球払出機構の側に供給するための連絡口と、球を連絡口に向けて流すように傾斜する片流れ式の底部と、底部より立上る側壁と、底部および側壁につながる前壁とを備えており、補給センサはスイッチベースとスイッチレバーとヒンジとスイッチとを備えており、スイッチベースは、板状の横壁と、横壁の一端部より上方に延設した縦壁と、縦壁の横壁側に位置する内側面に設けたスイッチ取付部と、スイッチ取付部の周囲に配置されるように縦壁の横壁側に位置する内側面に設けた複数の突起と、横壁における縦壁の設けられた側の反対側に位置する端部に設けた軸受部とを備えており、スイッチレバーは、貯蔵室内の球を乗せるための板状の横壁と、横壁の一端部より上方に延設した斜壁と、斜壁より横に延設された押壁と、横壁における斜壁の設けられた側の反対側に位置する端部に設けた軸受部とを備えており、スイッチレバーの横壁がスイッチベースの横壁の上方に配置され、スイッチレバーの斜壁及び押壁がスイッチベースの縦壁の横壁側に配置され、スイッチベースの軸受部とスイッチベースの軸受部とにヒンジが装着され、スイッチレバーがスイッチベースにヒンジで上下方向に回転可能に連結され、スイッチがスイッチベースとスイッチレバーとで囲まれた空間においてスイッチベースの複数の突起で回転を規制されかつスイッチ取付部に固定されることによって、前記補給センサが構成され、このように構成された補給センサがタンクの貯蔵室に配置され、この補給センサのスイッチベースが貯蔵室の底部と底部の傾斜した上流側より立上る側壁とに接触し、このスイッチベースのブラケットが貯蔵室の前壁の底部の傾斜した上流側より立上る側壁より上方に位置する部分に止ねじで締結されることによって、補給センサがタンクの貯蔵室内に取付けられ、このように補給センサがタンクの貯蔵室内に取付けられた状態において、貯蔵室に貯蔵された球がスイッチレバーの上に乗り、スイッチレバーがヒンジを回転中心として下方に回転し、スイッチレバーの押壁がスイッチの押ボタンを押し下げると、スイッチが前記島設備の補給口からタンクへの球の供給停止のためにオフ動作する一方、貯蔵室に貯蔵された球が減少し、スイッチレバーより乗っていた球が無くなると、スイッチレバーがばね力で上方に回転し、スイッチが前記島設備の補給口からタンクへの球の供給のためにオン動作する構成であり、前記複数の突起のうちのスイッチより上側となる突起がスイッチレバーによるスイッチの押ボタンの押し過ぎを防止する構成であることを特徴とする遊技機の球貯蔵装置。
【請求項4】スイッチレバーより乗っていた球の無くなることでスイッチレバーを上方に回転するばね力が押ボタンを持ち上げるためにスイッチに内蔵されたばねにより形成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の1つに記載の遊技機の球貯蔵装置。
【請求項5】スイッチベースがスイッチの配線をスイッチベースとスイッチレバーとで囲まれた空間からスイッチベースの外側に引き出すための配線孔を備えこのスイッチベースの外側に引き出された配線がスイッチベースとタンクの貯蔵室においての底部の傾斜した上流側より立上がる側壁との間に形成された隙間を経由してタンクの外側に引き出されたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の1つに記載の遊技機の球貯蔵装置。」

(補正後)
「【請求項1】島設備に固定される外枠と、外枠にヒンジで外枠の前側横方向に片開き可能に設けられた前枠と、島設備の補給口から供給される球を貯蔵する上方開放箱型の貯蔵室を有して前枠の裏側に設けられたタンクと、タンクにおける球の貯蔵量を一定にするように島設備の補給口からタンクへの球の供給と供給停止とを行うためにタンクの内部に設けられて球の重さで作動する補給センサとからなる遊技機の球貯蔵装置において、タンクの貯蔵室は、貯蔵室から球を球払出機構の側に供給するための連絡口と、球を連絡口に向けて流すように傾斜する片流れ式の底部と、底部より立上る側壁とを備えており、補給センサはスイッチベースとスイッチレバーとヒンジとスイッチとを備えており、スイッチベースは、板状の横壁と、横壁の一端部より上方に延設した縦壁と、縦壁より上方に延設されたブラケットと、横壁における縦壁の設けられた側の反対側に位置する端部に設けた軸受部とを備えており、スイッチレバーは、貯蔵室内の球を乗せるための板状の横壁と、横壁の一端部より上方に延設した斜壁と、斜壁より横に延設された押壁と、横壁における斜壁の設けられた側の反対側に位置する端部に設けた軸受部とを備えており、スイッチレバーの横壁がスイッチベースの横壁の上方に配置され、スイッチレバーの斜壁及び押壁がスイッチベースの縦壁の横壁側に配置され、スイッチレバー(「スイッチベース」とあるが誤記と認める。)の軸受部とスイッチベースの軸受部とにヒンジが装着され、スイッチレバーがスイッチベースにヒンジで上下方向に回転可能に連結され、スイッチがスイッチベースとスイッチレバーとで囲まれた空間においてスイッチベースに固定されることによって、前記補給センサが構成されており、このように構成された補給センサがタンクの貯蔵室に配置され、この補給センサのスイッチベースが貯蔵室の底部と底部の傾斜した上流側より立上る側壁とに接触し、このスイッチベースのブラケットが貯蔵室の前壁における底部の傾斜した上流側より立上る側壁より上方に位置する部分に止ねじで締結されることによって、補給センサがタンクの貯蔵室内に取付けられることによって、この貯蔵室内に取付けられた補給センサと貯蔵室の前壁よりも裏側で前壁と対向する側壁との間に島設備の補給口から供給される球を受け入れるための空間が貯蔵室内に形成され、このように補給センサがタンクの貯蔵室内に取付けられた状態において、島設備の補給口から貯蔵室に貯蔵された球がスイッチレバーの上に乗り、スイッチレバーがヒンジを回転中心として下方に回転し、スイッチレバーの押壁がスイッチの押ボタンを押し下げると、スイッチが前記島設備の補給口からタンクへの球の供給停止のためにオフ動作する一方、貯蔵室に貯蔵された球が減少し、スイッチレバーより乗っていた球が無くなると、スイッチレバーがばね力で上方に回転し、スイッチが前記島設備の補給口からタンクへの球の供給のためにオン動作する構成であることを特徴とする遊技機の球貯蔵装置。
【請求項2】島設備の補給口から供給される球を貯蔵する上方開放箱型の貯蔵室を有して遊技機に設けられたタンクと、タンクにおける球の貯蔵量を一定にするように島設備の補給口からタンクへの球の供給と供給停止とを行うためにタンクの内部に設けられて球の重さで作動する補給センサとからなる遊技機の球貯蔵装置において、補給センサはスイッチベースとスイッチレバーとヒンジとスイッチとを備えており、スイッチベースは、板状の横壁と、横壁の一端部より上方に延設した縦壁と、縦壁の横壁側に位置する内側面に設けたスイッチ取付部と、スイッチ取付部の周囲に配置されるように縦壁の横壁側に位置する内側面に設けた複数の突起と、横壁における縦壁の設けられた側の反対側に位置する端部に設けた軸受部とを備えており、スイッチレバーは、板状の横壁と、横壁の一端部より上方に延設した斜壁と、斜壁より横に延設された押壁と、横壁における斜壁の設けられた側の反対側に位置する端部に設けた軸受部とを備えており、スイッチレバーの横壁がスイッチベースの横壁の上方に配置され、スイッチレバーの斜壁及び押壁がスイッチベースの縦壁の横壁側に配置され、スイッチベースの軸受部とスイッチベースの軸受部とにヒンジが装着され、スイッチレバーがスイッチベースにヒンジで上下方向に回転可能に連結され、スイッチがスイッチベースとスイッチレバーとで囲まれた空間においてスイッチベースの複数の突起で回転を規制されかつスイッチ取付部に固定されることによって、前記補給センサが構成され、このように構成された補給センサがタンクの貯蔵室内に取付けられた状態において、貯蔵室に貯蔵された球がスイッチレバーの横壁の上に乗り、スイッチレバーがヒンジを回転中心として下方に回転し、スイッチレバーの押壁がスイッチの押ボタンを押し下げると、スイッチが前記島設備の補給口からタンクへの球の供給停止のためにオフ動作する一方、貯蔵室に貯蔵された球が減少し、スイッチレバーより乗っていた球が無くなると、スイッチレバーがばね力で上方に回転し、スイッチが前記島設備の補給口からタンクへの球の供給のためにオン動作する構成であり、前記複数の突起のうちのスイッチより上側となる突起がスイッチレバーによるスイッチの押ボタンの押し過ぎを防止する構成であることを特徴とする遊技機の球貯蔵装置。
【請求項3】島設備に固定される外枠と、外枠にヒンジで外枠の前側横方向に片開き可能に設けられた前枠と、島設備の補給口から供給される球を貯蔵する上方開放箱型の貯蔵室を有して前枠の裏側に設けられたタンクと、タンクにおける球の貯蔵量を一定にするように島設備の補給口からタンクへの球の供給と供給停止とを行うためにタンクの内部に設けられて球の重さで作動する補給センサとからなる遊技機の球貯蔵装置において、タンクの貯蔵室は、貯蔵室から球を球払出機構の側に供給するための連絡口と、球を連絡口に向けて流すように傾斜する片流れ式の底部と、底部より立上る側壁とを備えており、補給センサはスイッチベースとスイッチレバーとヒンジとスイッチとを備えており、スイッチベースは、板状の横壁と、横壁の一端部より上方に延設した縦壁と、縦壁より上方に延設されたブラケットと、横壁における縦壁の設けられた側の反対側に位置する端部に設けた軸受部とを備えており、スイッチレバーは、貯蔵室内の球を乗せるための板状の横壁と、横壁の一端部より上方に延設した斜壁と、斜壁より横に延設された押壁と、横壁における斜壁の設けられた側の反対側に位置する端部に設けた軸受部とを備えており、スイッチレバーの横壁がスイッチベースの横壁の上方に配置され、スイッチレバーの斜壁及び押壁がスイッチベースの縦壁の横壁側に配置され、スイッチレバー(「スイッチベース」とあるが誤記と認める。)の軸受部とスイッチベースの軸受部とにヒンジが装着され、スイッチレバーがスイッチベースにヒンジで上下方向に回転可能に連結され、スイッチがスイッチベースとスイッチレバーとで囲まれた空間においてスイッチベースに固定されることによって、前記補給センサが構成されており、このように構成された補給センサがタンクの貯蔵室に配置され、この補給センサのスイッチベースが貯蔵室の底部と底部の傾斜した上流側より立上る側壁とに接触し、このスイッチベースのブラケットが貯蔵室の前壁における底部の傾斜した上流側より立上る側壁より上方に位置する部分に止ねじで締結されることによって、補給センサがタンクの貯蔵室内に取付けられることによって、この貯蔵室内に取付けられた補給センサと貯蔵室の前壁よりも裏側で前壁と対向する側壁との間に島設備の補給口から供給される球を受け入れるための空間が貯蔵室内に形成され、このように補給センサがタンクの貯蔵室内に取付けられた状態において、島設備の補給口から貯蔵室に貯蔵された球がスイッチレバーの上に乗り、スイッチレバーがヒンジを回転中心として下方に回転し、スイッチレバーの押壁がスイッチの押ボタンを押し下げると、スイッチが前記島設備の補給口からタンクへの球の供給停止のためにオフ動作する一方、貯蔵室に貯蔵された球が減少し、スイッチレバーより乗っていた球が無くなると、スイッチレバーがばね力で上方に回転し、スイッチが前記島設備の補給口からタンクへの球の供給のためにオン動作する構成であり、前記複数の突起のうちのスイッチより上側となる突起がスイッチレバーによるスイッチの押ボタンの押し過ぎを防止する構成であることを特徴とする遊技機の球貯蔵装置。
【請求項4】スイッチレバーより乗っていた球の無くなることでスイッチレバーを上方に回転するばね力が押ボタンを持ち上げるためにスイッチに内蔵されたばねにより形成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の1つに記載の遊技機の球貯蔵装置。
【請求項5】スイッチベースがスイッチの配線をスイッチベースとスイッチレバーとで囲まれた空間からスイッチベースの外側に引き出すための配線孔を備えこのスイッチベースの外側に引き出された配線がスイッチベースとタンクの貯蔵室においての底部の傾斜した上流側より立上る側壁との間に形成された隙間を経由してタンクの外側に引き出されたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の1つに記載の遊技機の球貯蔵装置。」

上記補正は、請求項1、3に記載した発明を特定するために必要な事項である「遊技機」について限定的に減縮し、「タンク」の設けられる場所を限定的に減縮し、「貯蔵室」「補給センサ」「前壁」「側壁」「補給口」相互の配置関係について限定を付加するものとともに、請求項5に関する誤記を訂正するものである。さらに、発明の詳細な説明の記載に関する補正は、上記請求項の補正に対応させるためのものである。よって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、及び、同条同項第3号の誤記の訂正を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際、独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である実願昭56-168527号(実開昭58-73283号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。

「2.実用新案登録請求の範囲
景品球をパチンコ機の景品球貯溜部へ補給し得る補給路には同補給路を開閉する開閉機構を設け、前記景品球貯溜部には同貯溜部の景品球不足状態を検出する下流の第2の検出部と、景品球貯溜部の景品球所定補給量を検出する上流の第1の検出部材と、を備え、前記第2の検出部材により景品球の不足を検出して前記開閉機構により補給路を開路するとともに前記第1の検出部材により景品球の所定補給量を検出して前記開閉機構により補給路を閉路する制御回路を設け、景品球補給量を可変するように前記両検出部材のうちいずれか一方を検出位置の調節可能に設けたことを特徴とするパチンコ機の景品球補給装置。」
(明細書、第1頁第4?17行)

「この考案は、パチンコ機の球タンク側に景品球を定量的に補給する装置に関するもので、本考案の目的は、景品球の定量補給数を増減変更できる補給装置を提供することにある。」
(明細書、第1頁第19行?第2頁第2行)

「本例の装置では第1図に要約例示するように、一般に、「島」とも呼ばれるパチンコ機用の設置枠Fに設置されて景品球の補給制御をなす補給部Aと、ゲーム盤G裏面の球タンク19側に配置されて球を検出する第1検出部Bと、球タンク19からの景品球を賞球ケース(図示しない)側へ給出案内する球樋33の途上に設置されて球を検出する第2検出部Cと、を備えている。」
(明細書、第2頁第3?11行)

「16は前記基板5下部に枢着された開閉レバーで、同レバー15は、その自由端部に取着して球タンク19と係合可能にしたストッパー17とばね18を利用してパチンコ機の前枠(ゲーム板)の閉鎖時には上記垂直樋部4aの出口を開放し、前枠開放時には出口を閉鎖する。」
(明細書、第3頁第15行?第4頁第1行)

「前記第1検出部Bでは、第2,4図のように球タンク19内に設けた調節板21の凹部22内に検出レバー26,スイッチ31を組付けている。調節板21は、球タンク19の側壁部19aに掛合される掛け具23を利用して着脱及び移動可能に保持されており、そして長孔24、ビス25を以って所要位置に調節セットされる。上記検出レバー26は、その左端を凹部22内端にピン27着して片持ち斜状に支持されており、その自由上端部に操作片28を形成している。ちなみにこのレバー26は、上向きに付勢するばね29の押圧力と、球タンク19内に設定された所要設定数(所定補給数)の球の圧力(自重)と、のバランス設定に基いて上傾解放状態と下傾押動状態とに動作される。30は同レバー26に斜状に取着された案内板である。
上記検出レバー26に対するスイッチ31は、凹部22内の所定位置に着脱可能に設置されており、上記操作片28で操作される触動子32の押下前ではON,押下時にはOFFの状態に設定されている。このスイッチ31は、前記調節板21を利用して球タンク19内における検出作動位置(操作片28に対する触動子32の作動位置)が変更可能とされている。
前記第2検出部Cでは、第2,5図のように前記球タンク19の出口20と連通する球樋33上端部の底面に形成された開口部34に球案内用の検出レバー35を装着し、このレバー35に連繋した作動盤38にスイッチ43を対設している。」
(明細書、第4頁第2行?第5頁第10行)

「そうして遊戯中に発生するセーフ球に対して球ケースから一定数の景品球PBが給出されることに伴い景品球貯溜部材側の球が漸次減少する過程において、まず球タンク19内の球が設定数以下に減少すると前記第1検出部Bでは、レバー26が球圧から解放されて上傾解放位置に作動することに伴ないスイッチ31がON状態に作動する。続いて球樋33内の球が所定数以下に減少すると前記第2検出部Cでは、球圧解除に伴ないレバー35が上傾解放位置、スイッチ43がON状態に作動される。上述のように第1スイッチ31に次いで第2スイッチ43のONにより双方の検出部B,Cが球不足状態を検出した時点において、前記電磁ソレノイド9が通電励磁される一方で、リレーR及び接点rによる自己保持回路が作動される。(第6図参照)」
(明細書、第7頁第9行?第8頁第4行)

「第1,第2検出部B,Cの球不足検出作動に対し補給部Aが作動開始して双方の検出部の球補充検出作動時までの補給時期に亘り、所望とする設定数の景品球を補給し得るものである。」
(明細書、第9頁第5?8行)

また、摘記した上記の記載や図面からみて、引用例には以下の事項が記載されていると認められる。
a.球タンク19は、球を出口20に向けて流すように傾斜する片流れ式の底部を有していること。(特に、第2図を参照。)
b.調節板21は、凹部22の底をなす板状の下横壁と、該下横壁の一端部より上方に延設した鉛直壁と該鉛直壁の上端から横に延びる上横壁と、凹部22内端にピン着する部分を備えていること。(特に、第2、4図及び明細書第4頁第2?11行の記載を参照。)
c.検出レバー26は、板状の横壁と、該横壁の一端部より上方に延設した縦壁と該縦壁より横に延設された操作片28と、左端にピン着する部分を備えていること。(特に、第2、4図及び明細書第4頁第2?11行の記載を参照。)
d.検出レバー26の横壁は調節板21の下横壁の上方に配置され、検出レバー26の縦壁及び操作片28は調節板21の鉛直壁の下横壁側に配置され、検出レバー26のピン着する部分と調節板21のピン着する部分とにはピン27が装着され、検出レバー26が調節板21にピン27で上下方向に回転可能に連結され、スイッチ31が調節板21と検出レバー26とで囲まれた空間において調節板21に固定されることによって、第1検出部Bが構成されていること。(特に、第2、4図及び明細書第4頁第2?11行の記載を参照。)

(3)引用発明
摘記した上記の記載及び第1図、第2図、第4図の記載によれば、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が、開示されていると認められる。
「島とも呼ばれるパチンコ機用の設置枠Fに設置されて景品球の補給制御をなす補給部Aと、ゲーム盤裏面の球タンク19と、該球タンク19に臨ませている補給部Aの垂直樋部4b下端の出口と、前記球タンク19側に設置されて球を検出する第1検出部Bとからなるパチンコ機の景品球補給装置において、前記球タンク19は、球樋33と連通する出口20と、球を出口20に向けて流すように傾斜する片流れ式の底部と、側壁部19aとを備えており、前記第1検出部Bは調節板21の凹部22内に検出レバー26、スイッチ31を組み付けており、前記検出レバー26は、その左端を凹部22内端にピン27着して片持ち斜状に支持され、前記調節板21は、板状の下横壁と、該下横壁の一端部より上方に延設した鉛直壁と、該鉛直壁の上端から横に延びる上横壁と、前記凹部22内端にピン着する部分を備えており、前記検出レバー26は、板状の横壁と、該横壁の一端部より上方に延設した縦壁と、該縦壁より横に延設された操作片28と、前記左端にピン着する部分とを備えており、前記検出レバー26には案内板30が斜状に取着され、前記検出レバー26の横壁が前記調節板21の下横壁の上方に配置され、前記検出レバー26の縦壁及び前記操作片28が前記調節板21の鉛直壁の下横壁側に配置され、前記検出レバー26のピン着する部分と前記調節板21のピン着する部分とにピン27が装着され、前記検出レバー26が前記調節板21に前記ピン27で上下方向に回転可能に連結され、スイッチ31が前記調節板21と前記検出レバー26とで囲まれた空間において前記調節板21に固定されることによって、前記第1検出部Bが構成されており、前記第1検出部Bが前記球タンク19側に設置され、前記第1検出部Bの前記調節板21は、前記球タンク19の前記側壁部19aに掛合される掛け具23を利用して着脱及び移動可能に保持されており、長孔、ビスを以って所要位置に調節セットされ、前記検出レバー26は、上向きに付勢するばね29の押圧力と、前記球タンク19内に設定された所要設定数の球の圧力と、のバランス設定に基いて上傾解放状態と下傾押動状態とに動作され、前記検出レバー26に対する前記スイッチ31は、前記操作片28で操作される触動子32の押下前ではON、押下時にはOFFの状態に設定され、前記スイッチ31がON状態に作動し、続いて前記球樋33内の球が所定数以下に減少して第2検出部Cのスイッチ43がON状態に作動されると、前記補給部Aでは球を前記球タンク19側へ補給し、前記スイッチ31のOFF時点で球の補給を停止するパチンコ機の景品球補給装置。」

(4)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「島とも呼ばれるパチンコ機用の設置枠F」は、本願補正発明の「島設備」に相当し、以下同様に、
「ゲーム盤裏面の球タンク19」は「前枠の裏側に設けられたタンク」に、
「補給部Aの垂直樋部4b下端の出口」は「補給口」に、
「球タンク19」は「タンク」又は「タンクの貯蔵室」に、
「前記球タンク19側に設置されて」は「タンクの内部に設けられて」に、
「第1検出部B」は「補給センサ」に、
「パチンコ機」は「遊技機」に、
「景品球補給装置」は「球貯蔵装置」に、
「球樋33と連通する出口20」は「貯蔵室から球を球払出機構の側に供給するための連絡口」に、
「側壁部19a」は「底部より立上る側壁」に、
「調節板21」は「スイッチベース」に、
「検出レバー26」は「スイッチレバー」に、
「スイッチ31」は「スイッチ」に、
「ピン27」は「ヒンジ」に、
「板状の下横壁」は「板状の横壁」に、
「鉛直壁」は「縦壁」に、
「凹部22内端にピン着する部分」は「横壁における縦壁の設けられた側の反対側に位置する端部に設けた軸受部」に、
「縦壁」は「斜壁」に、
「操作片28」は「押壁」に、
「前記左端にピン着する部分」は「横壁における斜壁の設けられた側の反対側に位置する端部に設けた軸受部」に、
「設置され」は「配置され」に、
「ビス」は「止ねじ」に、それぞれ相当する。

また、引用例全体の記載からみて、以下のことが言える。
a.「ゲーム盤裏面の球タンク19」は、第2?4図及び明細書第2頁第11?19行の記載から見て、「補給部Aの垂直樋部4b下端の出口」から供給される球を貯蔵する上方開放箱型の貯蔵室を有していることが明らかである。

b.「第1検出部B」は、明細書第7頁第9行?第9頁第8行の記載からみて、「球タンク19における球の貯蔵量を一定にするように補給部Aの垂直樋部4b下端の出口から球タンク19への球の供給と供給停止とを行うため」のものであること及び「球の重さで作動する」ものであることが明らかである。

c.「第1検出部Bは調節板21の凹部22内に検出レバー26、スイッチ31を組み付けており、前記検出レバー26は、その左端を前記凹部22内端にピン27着して片持ち斜状に支持され」ているので、第1検出部が調節板21と検出レバー26とピン27とスイッチ31を備えていることは明らかである。

d.引用発明の「鉛直壁の上端から横に延びる上横壁」と本願補正発明の「縦壁より上方に延設されたブラケット」は、ともに「縦壁より延設された部分」である点で共通していると言える。

e.引用発明においては、「検出レバー26には案内板30が斜状に取着され」ているが、「検出レバー26」の「板状の横壁」が「球タンク19内の球を乗せるため」のものであることは明らかである。

f.引用発明の「前記第1検出部Bの前記調節板21は、前記球タンク19の前記側壁部19aに掛合される掛け具23を利用して着脱及び移動可能に保持されており、長孔、ビスを以って所要位置に調節セットされ」る点と、本願補正発明の「このスイッチベースのブラケットが貯蔵室の前壁における底部の傾斜した上流側より立上る側壁より上方に位置する部分に止ねじで締結されることによって、補給センサがタンクの貯蔵室内に取り付けられる」点とは、「スイッチベースの縦壁より延設された部分が貯蔵室に止ねじで締結されることによって、補給センサがタンクの貯蔵室内に取り付けられ」る点において共通していると言える。

g.引用発明の「前記検出レバー26は、上向きに付勢するばね29の押圧力と、前記球タンク19内に設定された所要設定数の球の圧力と、のバランス設定に基いて上傾解放状態と下傾押動状態とに動作され、前記検出レバー26に対する前記スイッチ31は、前記操作片28で操作される触動子32の押下前ではON、押下時にはOFFの状態に設定され、前記スイッチ31がON状態に作動し、続いて前記球樋33内の球が所定数以下に減少して第2検出部Cのスイッチ43がON状態に作動されると、前記補給部Aでは球を前記球タンク19側へ補給し、前記スイッチ31のOFF時点で球の補給を停止する」構成と、本願補正発明の「このように補給センサがタンクの貯蔵室内に取付けられた状態において、島設備の補給口から貯蔵室に貯蔵された球がスイッチレバーの上に乗り、スイッチレバーがヒンジを回転中心として下方に回転し、スイッチレバーの押壁がスイッチの押ボタンを押し下げると、スイッチが前記島設備の補給口からタンクへの球の供給停止のためにオフ動作する一方、貯蔵室に貯蔵された球が減少し、スイッチレバーより乗っていた球が無くなると、スイッチレバーがばね力で上方に回転し、スイッチが前記島設備の補給口からタンクへの球の供給のためにオン動作する構成」とは、「補給センサがタンクの貯蔵室内に取付けられた状態において、島設備の補給口から貯蔵室に貯蔵された球がスイッチレバーの上に乗り、スイッチレバーがヒンジを回転中心として下方に回転し、スイッチレバーの押壁がスイッチの押ボタンを押し下げると、スイッチが前記島設備の補給口からタンクへの球の供給停止のためにオフ動作する一方、貯蔵室に貯蔵された球が減少すると、スイッチレバーがばね力で上方に回転し、スイッチが前記島設備の補給口からタンクへの球の供給のための一つの条件としてオン動作する構成」である点で共通している。

以上を総合すると、両者は、
「島設備の補給口から供給される球を貯蔵する上方開放箱型の貯蔵室を有して前枠の裏側に設けられたタンクと、タンクにおける球の貯蔵量を一定にするように島設備の補給口からタンクへの球の供給と供給停止とを行うためにタンクの内部に設けられて球の重さで作動する補給センサとからなる遊技機の球貯蔵装置において、タンクの貯蔵室は、貯蔵室から球を球払出機構の側に供給するための連絡口と、球を連絡口に向けて流すように傾斜する片流れ式の底部と、底部より立上る側壁とを備えており、補給センサはスイッチベースとスイッチレバーとヒンジとスイッチとを備えており、スイッチベースは、板状の横壁と、横壁の一端部より上方に延設した縦壁と、縦壁より延設された部分と、横壁における縦壁の設けられた側の反対側に位置する端部に設けた軸受部を備えており、スイッチレバーは、貯蔵室内の球を乗せるため板状の横壁と、横壁の一端部より上方に延設した斜壁と、斜壁より横に延設された押壁と、横壁における斜壁の設けられた側の反対側に位置する端部に設けた軸受部とを備えており、スイッチレバーの横壁が前記調節板21の下横壁の上方に配置され、前記検出レバー26の縦壁及び前記操作片28がスイッチベースの縦壁の横壁側に配置され、前記スイッチレバーの軸受部と前記調節板21の軸受部とにヒンジが装着され、スイッチレバーがスイッチベースにヒンジで上下方向に回転可能に連結され、スイッチがスイッチベースとスイッチレバーとで囲まれた空間においてスイッチベースに固定されることによって、前記補給センサが構成されており、このように構成された補給センサがタンクの貯蔵室に配置され、スイッチベースの縦壁より延設された部分が貯蔵室に止ねじで締結されることによって、補給センサがタンクの貯蔵室内に取り付けられ、このように補給センサがタンクの貯蔵室内に取付けられた状態において、島設備の補給口から貯蔵室に貯蔵された球がスイッチレバーの上に乗り、スイッチレバーがヒンジを回転中心として下方に回転し、スイッチレバーの押壁がスイッチの押ボタンを押し下げると、スイッチが前記島設備の補給口からタンクへの球の供給停止のためにオフ動作する一方、貯蔵室に貯蔵された球が減少すると、スイッチレバーがばね力で上方に回転し、スイッチが前記島設備の補給口からタンクへの球の供給のための一つの条件としてオン動作する構成である遊技機の球貯蔵装置。」である点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1
本願補正発明が「島設備に固定される外枠と、外枠にヒンジで外枠の前側横方向に片開き可能に設けられた前枠」を有しているのに対して、引用発明は「ゲーム盤」が「設置枠F」にどのような構造で設けられているか不明である点。

相違点2
本願補正発明においては、「スイッチベース」が「縦壁より上方に延設されたブラケット」を有し、「このスイッチベースのブラケットが貯蔵室の前壁における底部の傾斜した上流側より立上る側壁より上方に位置する部分に止ねじで締結される」のに対して、引用発明においては、「調節板21」が「鉛直壁の上端から横に延びる上横壁」を有し、「調節板21は、球タンク19の側壁部19aに掛合される掛け具23を利用して着脱及び移動可能に保持されており、長孔、ビスを以って所要位置に調節セットされ」ており、「縦壁より延設された部分」の構成及び「スイッチベース」(「調節板21」)を「貯蔵室」(「球タンク19」)に締結(セット)するための構造が異なる点。

相違点3
本願補正発明が「補給センサのスイッチベースが貯蔵室の底部と底部の傾斜した上流側より立上る側壁とに接触している」のに対し、引用発明の「第1検出部B」の「調節板21」は「球タンク19」に接触していない点。

相違点4
本願補正発明が「貯蔵室内に取付けられた補給センサと貯蔵室の前壁よりも裏側で前壁と対向する側壁との間に島設備の補給口から供給される球を受け入れるための空間が貯蔵室内に形成され」ているのに対して、引用発明は「第1検出部B」と「球タンク19」の「ゲーム盤」と対向する側の壁との間に球を受け入れるだけの空間が形成されているか否か明らかでない点。

相違点5
本願補正発明の「補給センサ」は「スイッチレバーより乗っていた球が無くなると」、「オン動作する」のに対し、引用発明の「第1検出部B」は「球タンク19内に設定された所要設定数の球の圧力より球の圧力」が小さくなると、「ON状態に作動」する点。

相違点6
本願補正発明は「スイッチが前記島設備の補給口からタンクへの球の供給のためにオン動作する構成」であるのに対し、引用発明では「スイッチ31がON状態に作動」しただけでは球を球タンク19側へ補給せず、さらに「第2検出部Cのスイッチ43がON状態に作動されると、前記補給部Aでは球を前記球タンク19側へ補給」する構成となっている点。

(5)相違点の判断及び本願補正発明の独立特許要件の判断
以下、上記相違点1?6について判断する。

(相違点1について)
本願出願前から、パチンコ機等の遊技機において、島設備に固定される外枠にヒンジで外枠の前側横方向に片開き可能に前枠を取り付けることが慣用されている。引用発明に関しても、「ゲーム盤」即ち、パチンコ機の前枠Gを開放閉鎖することが、(2)の項に摘記した引用例の第3頁の第15行?第4頁第1行の記載から明らかなように、前提となっている。してみると、引用発明の「設置枠F」に外枠を固定するとともに、外枠に「ゲーム盤」をヒンジで外枠の前側横方向に片開き可能に取り付けることで、本願補正発明のような設置構造にすることは、上記慣用技術を適宜採用することにすぎず、当業者が容易に成し得た事項である。

(相違点2について)
引用発明において、「調節板21」の「鉛直壁の上端から横に延びる上横壁」は、「球タンク19の側壁部19aに掛合される掛け具23を利用して着脱及び移動可能に保持され」るため、「長孔、ビスを以って所要位置に調節セットされ」るものである。結局、引用発明においても、「調節板21」は、「球タンク19」に対する位置を固定するためにも利用されるものである。その際、位置固定用部材を上方延設「ブラケット」と「止ねじ」で構成しようが、「上横壁」と「ビス」で構成しようが、適宜、取り付け条件に応じて、位置や方向、長さ等を考慮して設計すべきことでしかない。してみると、引用発明において、「上横壁」に代えて「上方に延設されたブラケット」を採用し、「調節板21」を「球タンク19」に締結(セット)するための構造に止ねじを採用することで、本願補正発明のような、スイッチベースに縦壁より上方に延設されたブラケットを設け、貯蔵室の前壁における底部の傾斜した上流側より立上る側壁より上方に位置する部分に止ねじで締結される構造とすることは、適宜成し得る設計事項である。

(相違点3について)
上記本願補正発明の分野の周知技術として挙げられる実公昭39-9157号公報では、第3図の断面図に示されるように、本願補正発明のスイッチベースに相当する底板1が、本願補正発明の貯蔵室に相当する球タンク9の底部に接触していることが認められる。さらに、この周知技術では、球タンク9の玉入部分10と遊び部分11とを区別すべく、底板1の球タンク9の底部における装着位置を選ぶことが開示されており、遊び部分を無くし、底板1を球タンク9の立ち上がり側壁に接触して設置することも想定していると認められる。そうすると、引用発明において、上記周知技術を採用し、「第1検出部B」の「調節板21」を「球タンク19」接触させ、本願補正発明のように、「補給センサのスイッチベースが貯蔵室の底部と底部の傾斜した上流側より立上る側壁とに接触している」状態とすることは、適宜成し得る事項と言わざるを得ない。

(相違点4について)
引用発明においても、補給部Aの垂直樋部4bから落下した球が、直接に検出レバー26に当たっては、スイッチ31が誤作動することが、当然予測される。そして、本願補正発明の如く「貯蔵室内に取付けられた補給センサと貯蔵室の前壁よりも裏側で前壁と対向する側壁との間に島設備の補給口から供給される球を受け入れるための空間」を「貯蔵室内に形成」したのは、補給口の位置やタンク形状等を考慮して設計したものと言える。してみると、引用発明において、「第1検出部B」と「球タンク19」の「ゲーム盤」と対向する側の壁との間に球を受け入れるだけの空間を形成するか否かについても、当業者が同様に適宜設計し得る事項と言うことができる。

(相違点5について)
引用発明においても、「検出レバー26」上の球の有無により、球の圧力が変化し、「第1検出部B」が、OFF・ONする作用である。よって、引用発明の「第1検出部B」の「球タンク19内に設定された所要設定数の球の圧力より球の圧力」が小さくなると「ON状態に作動」する点を、本願補正発明ように、「補給センサ」が、「スイッチレバーより乗っていた球が無くなると」、「オン動作する」ように構成するように変更することも適宜成し得ることでしかない。

(相違点6について)
引用発明においても、「スイッチ31がON状態に作動」しなければ、球は球タンク19側に補給されない。また、「スイッチ31がOFF状態に作動」すると、球は球タンク19側に補給されない。結局、引用発明では「スイッチ31」と「スイッチ43」との連繋で、球の供給停止が実行されるが、「スイッチ31」自体も、球の球タンク19への供給制御を作動させるものの一つである。よって、引用発明の「スイッチ31」の機能を、本願補正発明の機能に変更することも、適宜成し得る事項に過ぎない。

よって、上記相違点1?6に係る本願補正発明の構成は、全て、当業者が容易に想到し得たものというべきである。
さらに、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び本願出願前の周知慣用技術から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願補正発明は、引用発明及び本願出願前の周知慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

[補正却下の決定のむすび]
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3.本願発明について
(1)本願発明の認定
平成16年12月20日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は(以下、「本願発明」という。)、平成16年9月6日付の手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「島設備の補給口から供給される球を貯蔵する上方開放箱型の貯蔵室を有して遊技機に設けられたタンクと、タンクにおける球の貯蔵量を一定にするように島設備の補給口からタンクへの球の供給と供給停止とを行うためにタンクの内部に設けられて球の重さで作動する補給センサとからなる遊技機の球貯蔵装置において、タンクの貯蔵室は、貯蔵室から球を球払出機構の側に供給するための連絡口と、球を連絡口に向けて流すように傾斜する片流れ式の底部と、底部より立上る側壁と、底部および側壁につながる前壁とを備えており、補給センサはスイッチベースとスイッチレバーとヒンジとスイッチとを備えており、スイッチベースは、板状の横壁と、横壁の一端部より上方に延設した縦壁と、縦壁より上方に延設されたブラケットと、横壁における縦壁の設けられた側の反対側に位置する端部に設けた軸受部とを備えており、スイッチレバーは、貯蔵室内の球を乗せるための板状の横壁と、横壁の一端部より上方に延設した斜壁と、斜壁より横に延設された押壁と、横壁における斜壁の設けられた側の反対側に位置する端部に設けた軸受部とを備えており、スイッチレバーの横壁がスイッチベースの横壁の上方に配置され、スイッチレバーの斜壁及び押壁がスイッチベースの縦壁の横壁側に配置され、スイッチベースの軸受部とスイッチベースの軸受部とにヒンジが装着され、スイッチレバーがスイッチベースにヒンジで上下方向に回転可能に連結され、スイッチがスイッチベースとスイッチレバーとで囲まれた空間においてスイッチベースに固定されることによって、前記補給センサが構成されており、このように構成された補給センサがタンクの貯蔵室に配置され、この補給センサのスイッチベースが貯蔵室の底部と底部の傾斜した上流側より立上る側壁とに接触し、このスイッチベースのブラケットが貯蔵室の前壁の底部の傾斜した上流側より立上る側壁より上方に位置する部分に止ねじで締結されることによって、補給センサがタンクの貯蔵室内に取付けられ、このように補給センサがタンクの貯蔵室内に取付けられた状態において、貯蔵室に貯蔵された球がスイッチレバーの上に乗り、スイッチレバーがヒンジを回転中心として下方に回転し、スイッチレバーの押壁がスイッチの押ボタンを押し下げると、スイッチが前記島設備の補給口からタンクへの球の供給停止のためにオフ動作する一方、貯蔵室に貯蔵された球が減少し、スイッチレバーより乗っていた球が無くなると、スイッチレバーがばね力で上方に回転し、スイッチが前記島設備の補給口からタンクへの球の供給のためにオン動作する構成であることを特徴とする遊技機の球貯蔵装置。」

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及び引用発明は、上記第2.(2)(3)に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、上記第2.で検討した本願補正発明の限定事項を削除したものである。そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記第2.に記載したとおり、引用発明及び本願出願前の周知慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び本願出願前の周知慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
本願の請求項1に係る発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-04-25 
結審通知日 2008-05-13 
審決日 2008-05-27 
出願番号 特願2000-272252(P2000-272252)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山崎 仁之  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 深田 高義
森 雅之
発明の名称 遊技機の球貯蔵装置  
代理人 宮園 純一  

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