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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61L
管理番号 1180556
審判番号 不服2005-1891  
総通号数 104 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-02-03 
確定日 2008-07-10 
事件の表示 特願2001-332968「実質骨欠損部用生体移植材料」拒絶査定不服審判事件〔平成15年5月13日出願公開、特開2003-135584〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1.手続の経緯

本願は、平成13年10月30日の出願であって、平成14年12月4日付け拒絶理由通知書の指定期間内の平成15年1月31日に意見書及び手続補正書が提出され、平成16年3月18日付け拒絶理由通知書が更に通知され、その指定期間内の同年5月24日に意見書が提出されたが、同年12月21日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成17年2月3日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年3月7日付けで手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

2.平成17年3月7日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

平成17年3月7日付けの手続補正を却下する。

[理由]

(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は以下のように補正された。
「哺乳動物の実質骨由来の仮骨からなり、凍結または凍結乾燥された形態にあることを特徴とする前記哺乳動物と同種の哺乳動物に移植するための骨欠損部用生体移植材料。」(以下、「本願補正発明」という。)

本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「骨欠損部用生体移植材料」を「同種の哺乳動物に移植するための骨欠損部用生体移植材料」とする旨に限定するものであって、特許法(平成6年法律116号)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用刊行物
A.KAWATA,T. et al, New biomaterials and methods for craniofacial bone defect: chondroid bone grafts in maxillary alveolar clefts, J. Craniofac. Genet. Dev. Biol., Vol.20, No.1, p.49-52, 2000
(平成16年3月18日付け拒絶理由通知書で引用された引用文献1)

・刊行物Aの記載事項
刊行物Aには、以下の事項が記載されている(なお、英文のため和訳で摘示する。)。
(A-1)
「マウスを3群:類軟骨移植群(n=3)、非移植群(n=3)および非手術群(n=3)に分けた。手術を行ったマウスは…麻酔した。…骨膜を欠いた1.2 mm径の骨欠損を、上顎切歯のすぐ後方に位置する各切歯骨の正中線に作製した。…
…全身麻酔下、脛骨上で十字皮膚切開を行った。脛骨上で筋膜を縦切開し、筋肉を伸筋間に分離した。骨膜を縦切開し、注意深く引き込んだ。…骨皮質を穿孔し、…2本のセルフタッピングねじを脛骨幹軸に対して垂直に配置した。手動ノコギリを用いてねじ間で骨切断術を施行した。…骨膜を縫合し、骨切断部位を覆うようにした。左脛骨の前外側面に小型単一側面外部固定装置…を2本のピンで固定した…。
伸延は24時間毎に0.25 mmの速度で骨切断術後10日目に開始し、骨切断術後18日目に停止した(8日間の伸延)。…
骨切断術後18日目に類軟骨内に含まれる移植骨を取り去り、付着軟組織を取り除いた。脛骨の伸延した仮骨から骨髄、海綿骨および類軟骨の粒状移植片を取り去った。移植群において、類軟骨内由来の移植骨5 mgで切歯骨の外層レベルまで欠損を満たした。…
骨移植または非移植後30日目にこれらの実験群を殺処分した。」(第50頁左欄第12?同頁右欄第5行)
(A-2)
「…非手術マウスは明瞭な細胞増殖域からなる典型的な切歯縫合構造を有していた(図3A)。非移植群における切歯骨トレフィン欠損は線維組織や骨形成により修復しなかった。…(図3B)。類軟骨内由来の移植骨を移植された骨は、骨架橋形成および骨リモデリングを特徴とした。しかし、骨移植30日後に軟骨細胞様細胞は認められなかった(図3C)。」(第51頁左欄第21?第52頁左欄第9行)

(3)対比
刊行物Aの上記(A-1)及び(A-2)の記載からすると、マウスの脛骨由来の仮骨を、同じ個体のマウスの上顎部に人工的に作製した骨欠損部に移植した結果、移植後30日後には骨架橋形成及び骨リモデリングが確認されたというのであるから、結局刊行物Aには、以下の発明が記載されていると認められる。
「哺乳動物の脛骨由来の仮骨からなる自家骨を、骨欠損部に移植するための生体移植材料とすること」(以下、「引用発明」という。)

そこで、本願補正発明と上記引用発明とを比較すると、両者はともに「哺乳動物の実質骨由来の仮骨からなり、哺乳動物に移植するための骨欠損部用生体移植材料」であることで一致し、以下の点で相違している。

[相違点]本願補正発明は、凍結又は凍結乾燥された形態にある同種の哺乳動物に移植するための移植材料であるのに対して、引用発明は凍結又は凍結乾燥の処理をすることなく自家移植のための移植材料としていること。

(4)判断
以下、相違点について検討する。
一般に、骨移植においては自家骨のみならず同種骨が用いられること、及び、その際に生ずる免疫原性・拒絶反応といった問題は、凍結又は凍結乾燥により低減されることは、例えば、原審で引用された刊行物(平成14年12月4日付け拒絶理由通知書の引用文献1;第63頁右欄第20?28行)及び国際公開第00/47214号(第19頁第34行?第20頁第21行)などにも記載されているように、本出願時点で当業者に周知の事項である。
(凍結乾燥により同種骨移植に使用される移植片の免疫原性・拒絶反応が低減されることについては、原審の平成16年3月18日付け拒絶理由通知書において引用された引用文献2?5も参照。)
したがって、刊行物Aに記載の自家骨移植材料を、これを凍結又は凍結乾燥の形態として同種移植用の材料とすることは、当業者が容易になし得ることである。
そして、本願補正発明の効果に関しても、本願明細書には、具体的な実施例としては自家移植の場合のみが示されているだけであって、凍結又は凍結乾燥させた移植材料を使用した同種移植についての具体的実施例は示されておらず、また、移植材料を凍結又は凍結乾燥することについての効果に関しても、従来から知られている事項に止まるものであるので、かかる明細書の記載からは、同種移植のための移植材料を凍結又は凍結乾燥することにより格別特異な効果が奏されたものとすることはできない。
よって、本願補正発明は、上記刊行物A及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであって、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおりであるから、本願補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について

(1)本願発明
平成17年3月7日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願請求項1に係る発明は、平成15年1月31日付け手続補正により補正された本願明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「哺乳動物の実質骨由来の仮骨からなり、凍結または凍結乾燥された形態にあることを特徴とする骨欠損部用生体移植材料。」(以下、「本願発明」という。)

(2)引用刊行物
原審で通知した平成16年3月18日付け拒絶理由通知書における引用文献1(上記刊行物Aに相当)及びその記載事項は、前記2.(2)に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、前記2.において記載した本願補正発明から、「同種の哺乳動物に移植するための」旨の限定を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記2.(2)?(4)に記載するように刊行物A及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとされるのであるから、本願発明も同様な理由により刊行物A及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物A記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
よって、結論のとおり審決する。

以上
 
審理終結日 2008-05-08 
結審通知日 2008-05-13 
審決日 2008-05-26 
出願番号 特願2001-332968(P2001-332968)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A61L)
P 1 8・ 121- Z (A61L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 安川 聡松波 由美子  
特許庁審判長 星野 紹英
特許庁審判官 弘實 謙二
井上 典之
発明の名称 実質骨欠損部用生体移植材料  
代理人 峰 隆司  
代理人 中村 誠  
代理人 橋本 良郎  
代理人 村松 貞男  
代理人 福原 淑弘  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 河野 哲  
代理人 蔵田 昌俊  
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