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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65G
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B65G
管理番号 1180588
審判番号 不服2006-503  
総通号数 104 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-01-06 
確定日 2008-07-10 
事件の表示 平成 9年特許願第107753号「ラック状格納棚の制振方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年11月10日出願公開、特開平10-297725〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年4月24日の出願であって、平成17年4月19日付けの拒絶理由の通知に対して同年7月6日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年12月1日付けで拒絶査定がなされ、平成18年1月6日に同拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同年1月27日付けで手続補正書が提出された明細書を補正する手続補正がなされたものである。

2.平成18年1月27日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成18年1月27日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)平成18年1月27日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は、
「倉庫などに複数並立して設置された背の高いラック状格納棚の制振方法において、
隣接するラック状格納棚の頂部間を、各頂部に発生する相対的な角変形を吸収する制振用コネクタのコネクタビームで連結し、コネクタビームを通じて制振用コネクタへラック状格納棚の頂部に発生する相対的な角変形を伝達して吸収させ振動を減衰させること、 前記相対的な角変形を吸収する制振用コネクタは、軸方向に一連の配置とした二つのコネクタビームの端面板を相対峙させ、各端面板から軸方向へ突き出された複数の剛性板を互い違いの配置に組合わせ、軸方向と直角な中心軸により回転可能に連結して角変形を吸収する構成とし、隣接する剛性板の間に振動を減衰する粘弾性体または弾塑性体または摩擦板もしくは粘性体を挟持させた構成であることを特徴とする、ラック状格納棚の制振方法。」
と補正された。

(2)上記補正により付加された「制振用コネクタは、・・(略)・・隣接する剛性板の間に振動を減衰する粘弾性体または弾塑性体または摩擦板もしくは粘性体を挟持させた構成である」との事項は、本件出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されておらず、かつ、当業者に自明な事項でもない。
すなわち、「制振用コネクタ」に関して、本件出願の願書に最初に添付した明細書には、例えば、
【請求項3】に、(a)「隣接する剛性板の間に粘弾性体が挟持され接着されている」、
【請求項4】に、(b)「隣接する剛性板の間に管状の弾塑性体が同心円配置に挟持され固着されている」、
【請求項5】に、(c)「隣接する剛性板の間に摩擦板が挟持され相互に圧接されている」、
【請求項6】に、(d)「一方の剛性板に固着された中心軸と、他方の剛性板に固定された粘性体容器の内部とにそれぞれ粘性抵抗の発生に適度な間隔で粘性抵抗板が互い違いに設けられ、当該粘性体容器内に高粘性液体が封入されている」
とあるように、上記(a)?(d)の各事項については記載されているが、上記付加補正された事項である「制振用コネクタは、軸方向に一連の配置とした二つのコネクタビームの端面板を相対峙させ、各端面板から軸方向へ突き出された複数の剛性板を互い違いの配置に組合わせ、軸方向と直角な中心軸により回転可能に連結して角変形を吸収する構成とし、隣接する剛性板の間に振動を減衰する粘弾性体または弾塑性体または摩擦板もしくは粘性体を挟持させた構成であること」については記載されておらず、かつ、上記(a)?(d)の各事項から当業者に自明な事項でもない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に適合しない。

(3)また、上記補正は、請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「制振用コネクタ」について、「軸方向に一連の配置とした二つのコネクタビームの端面板を相対峙させ、各端面板から軸方向へ突き出された複数の剛性板を互い違いの配置に組合わせ、軸方向と直角な中心軸により回転可能に連結して角変形を吸収する構成とし、隣接する剛性板の間に振動を減衰する粘弾性体または弾塑性体または摩擦板もしくは粘性体を挟持させた構成である」との限定を付加するものであって、平成14年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かについて、次に検討する。
本件補正後の請求項1における「制振用コネクタは、隣接する剛性板の間に振動を減衰する粘弾性体または弾塑性体または摩擦板もしくは粘性体を挟持させた構成である」の記載は、本件補正後の発明の詳細な説明の段落【0020】、段落【0022】、段落【0023】、段落【0024】における「(a)隣接する剛性板14と15の間に・・粘弾性体・・が挟持され・・接着されている、(b)隣接する剛性板14と15の間に・・弾塑性体18が・・挟持され・・固着されている、(c)隣接する剛性板14と15の間に・・摩擦板19が挟持されて・・圧接されている、(d)粘性体容器21aが固定されなかった剛性板15の側に一端を固着された外管軸16bの外周面と、他方の剛性板14に固定された粘性体容器21aの内周面とにそれぞれ粘性抵抗の発生に適度な数mm10数mmの間隔をあけて抵抗板22と23が互い違いに設けられ、当該粘性体容器21a内には高分子の高粘性液体24が封入されている」の記載と対応しておらず、また、本件補正後の請求項1における上記記載では、制振用コネクタがどのようにして制振作用を奏するのか不明りょうである。
また、本件補正後の請求項1における「各端面板から軸方向へ突き出された複数の剛性板」の記載は、各端面板からそれぞれ複数の剛性板が突き出されているのか、各端面板からそれぞれ少なくとも1つの剛性板が突き出されて複数となれば良いのか、いずれであるのか、不明りょうである。
さらに、本件補正後の請求項1における「軸方向に一連の配置とした二つのコネクタビームの端面板を相対峙させ」の記載、及び本件補正後の発明の詳細な説明の段落【0020】における「軸線方向へ一連に相対峙する配置としたコネクタビーム11、11の端面板11a」の記載は、軸方向に一連の配置とする技術的意義が不明りょうである。
したがって、本願は、上記のように明細書の記載が不備のため、特許法第36条第4項及び第6項1号,第2号に規定する要件を満たしていないから、本件補正後の請求項1に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(4)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定又は平成14年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

3.本願発明について
平成18年1月27日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成17年7月6日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「倉庫などに複数並立して設置された背の高いラック状格納棚の制振方法において、
隣接するラック状格納棚の頂部間を、各頂部に発生する相対的な角変形を吸収する制振用コネクタのコネクタビームで連結し、コネクタビームを通じて制振用コネクタへラック状格納棚の頂部に発生する相対的な角変形を伝達し振動を減衰することを特徴とする、ラック状格納棚の制振方法。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-284468号公報(以下、「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。(なお、下線は理解の一助のために当審で付加した。)
ア.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建築物本体に囲まれたボイド空間部を有する建築物において、該ボイド空間部に立体駐車場設備や倉庫等の内部に収容空間を有する収容構造物を設ける場合に、風や小さな地震などにより揺れる建築物の制振を行なう・・(略)・・衝突防止制振装置及び該装置を用いた建築物に関する。」(段落【0001】)
イ.「【0008】ところで、衝突防止ダンパ10は、図1及び図2に示すように、鉄などの金属から成る第1ロッド11、カバ体13、内部支持板15、第2ロッド12、ピン部材17及び、粘弾性体16等から構成されている。図中左方の第1ロッド11の一端には、第1接続部10aが設けられており、第1接続部10aは、立体駐車場設備5または建築物本体2と図示しないブラケット、ボルト、ナット等を介して機械結合し得るように形成されている。同様に、図中右方の第2ロッド12の一端にも、第2接続部10bが設けられており、第2接続部10bは、立体駐車場設備5または建築物本体2と図示しないブラケット、ボルト、ナット等を介して機械結合し得るように形成されている。・・(略)・・第1ロッド11の他端(第1接続部10aとは反対側の図中右方の端部)には、図1に示すように、コの字平面形状の板材から成るカバ体13が接続されており、カバ体13には、円形状の外側支持面13a、13aが対向する形でそれぞれ形成されている。第2ロッド11の他端(第2接続部10bとは反対側の図中左方の端部)には、図2中破線及び実線で示すような円形状の板材から成る内部支持板15が接続されており、内部支持板15には、図1に示すように、円形状の内側支持面15a、15aが背向する形でそれぞれ形成されている。内部支持板15は、図1に示すように、カバ体13の2つの外側支持面13a、13aの間に、該内部支持板15の各内側支持面15aを各外側支持面13aに対して一対一でそれぞれ対向させる形で配置されている。つまり、カバ体13と内部支持板15は、カバ体13の外側支持面13a、13aと内部支持板15の内側支持面15a、15aを対向させる形で配置されている。また、それらカバ体13の外側支持面13a、13aと内部支持板15の内側支持面15a、15aとの間には、円形板状の粘弾性体16がそれぞれ挟入されており、粘弾性体16は、それら支持面13a、13a、15a、15aに密着している。これらカバ体13、内部支持板15及び粘弾性体16には、ピン部材17が貫通する形で設けられており、カバ体13及び内部支持板15は、それぞれピン部材17とメタルタッチする形で接続されている。これによりカバ体13と内部支持板15とは、ピン部材17を中心に図2中矢印P、Q方向に相対的に回動し得る形で接続されている。つまり、第1ロッド11及びカバ体13と、第2ロッド12及び内部支持板15とは、ピン部材17を介して図2中矢印P、Q方向に展開折畳み自在に接続されている。・・(略)・・」(段落【0008】)
ウ.「【0009】本発明は以上のような構成を有するので、建築物1が風や小さな地震等の外力を受けた場合、これら建築物本体2及び立体駐車場設備5が小さく揺れて、建築物本体2と立体駐車場設備5間の間隙6が平常幅D0に対して変動する。ところが、建築物本体2と立体駐車場設備5とは衝突防止ダンパ10を介して接続されているので、これら建築物本体2と立体駐車場設備5の間に設けられた多数の衝突防止ダンパ10の第1ロッド11及びカバ体13と、第2ロッド12及び内部支持板15とがピン部材17を介してそれぞれ展開されたり折畳まれたりする。すると、これら多数の衝突防止ダンパ10は、この展開折畳み動作により、カバ体13と内部支持板15とが相対的に或る角度で繰返し回動する。するとカバ体13の外側支持面13aと内部支持板15の内側支持面15aに密着した粘弾性体16がそれら支持面13a、15a間で変形するので、建築物本体2及び立体駐車場設備5の振動は粘弾性体16に吸収される。つまり、建築物本体2及び立体駐車場設備5の揺れは抑えられて小さくなる。よって、風や小さな地震などを受けて揺れの小さい建築物1の制振を行なうことができる。・・(略)・・」(段落【0009】)
エ.「【0010】なお上述の実施例においては、衝突防止ダンパ10を、図3及び図4に示すように水平方向(矢印C、D方向及び矢印E、F方向)及び上下方向(矢印A、B方向)に複数個配置した。しかし、前述した建築物1の例のように、建築物の上下方向に多数設けなくとも、建築物において振幅が大きくなることが容易に予想される、建築物の開放端である屋上階等の最上部のみに衝突防止ダンパを設けるようにしても、充分効果が期待できる。例えば比較的低層の建築物1’において、図7及び図8に示すように、衝突防止ダンパ10を、ボイド空間部3’に立設される立体駐車場設備5’の最上部5’bと建築物本体2’の内壁面2’aを接続するような形で配置しても良い。すると、これら衝突防止ダンパ10が建築物1’の制振を行なうのはもちろんのこと、建築物1’において揺れが大きくなると予想される位置である最上部5’bにおいて、建築物1’を成す建築物本体2’と立体駐車場設備5’とが衝突することが防止される。また、建築物1’における他の揺れの小さな位置においては、これら建築物本体2’と立体駐車場設備5’とが衝突することはない。よって、このように建築物1’の立体駐車場設備5’の最上部5’bと建築物本体2’とを接続する形で衝突防止ダンパ10を配置するだけで制振及び衝突防止を図ることができるので、建築物1’に設けるべき衝突防止ダンパ10の数量をかなり低減することが可能となる。・・(略)・・」(段落【0010】)

オ.特に上記ア.?ウ.から、「衝突防止ダンパ10」は、「鉄などの金属から成る第1ロッド11、カバ体13、内部支持板15、第2ロッド12、ピン部材17及び、粘弾性体16等から構成されて」おり、「建築物本体2と立体駐車場設備5間」に連結して、「風や小さな地震などを受けて揺れの小さい建築物1の制振を行なうことができる」ものであることが分かる。
カ.上記ア.?エ.から、「立体駐車場設備5’の最上部5’b」が「建築物1’において揺れが大きくなると予想される位置」であり、その位置で「立体駐車場設備5’の最上部5’bと建築物本体2’の内壁面2’aの間を、衝突防止ダンパ10の第1ロッド11及び第2ロッド12で連結し,第1ロッド11及び第2ロッド12を通じて衝突防止ダンパ10へ立体駐車場設備5’と建築物本体2’の相対的な角変形を伝達し振動を減衰する」ようにしていることが分かる。

上記記載事項ア.?カ.によると、引用例には、図7及び図8記載の実施例として、
「建築物本体2’と建築物本体2’に囲まれたボイド空間部3’に立設される立体駐車場設備5’とから成る建築物1’の制振方法において、
揺れが大きくなると予想される位置で立体駐車場設備5’の最上部5’bと建築物本体2’の内壁面2’aの間を、衝突防止ダンパ10の第1ロッド11及び第2ロッド12で連結し,第1ロッド11及び第2ロッド12を通じて衝突防止ダンパ10へ立体駐車場設備5’と建築物本体2’の揺れが大きくなると予想される位置の相対的な角変形を伝達し振動を減衰する、建築物1’の制振方法。」
の発明(以下、「引用例に記載された発明」という。)が記載されている。

(2)対比
本願発明と引用例に記載された発明を対比すると、引用例に記載された発明における「衝突防止ダンパ10」及び「第1ロッド11及び第2ロッド12」は、本願発明における「制振用コネクタ」及び「コネクタビーム」に相当する。
そして、引用例に記載された発明における「建築物本体2’」及び「立体駐車場設備5’」は、「背の高い構造物」という限りにおいて、本願発明における「背の高いラック状格納棚」に相当し、引用例に記載された発明における「建築物本体2’と建築物本体2’に囲まれたボイド空間部3’に立設される立体駐車場設備5’とから成る建築物1’」は、「複数並立して設置された背の高い構造物」という限りにおいて、本願発明における「倉庫などに複数並立して設置された背の高いラック状格納棚」に相当する。さらに、引用例に記載された発明における「揺れが大きくなると予想される位置で立体駐車場設備5’の最上部5’bと建築物本体2’の内壁面2’aの間を、衝突防止ダンパ10の第1ロッド11及び第2ロッド12で連結し,第1ロッド11及び第2ロッド12を通じて衝突防止ダンパ10へ立体駐車場設備5’と建築物本体2’の揺れが大きくなると予想される位置の相対的な角変形を伝達し振動を減衰する」は、「隣接する背の高い構造物の揺れが大きくなると予想される位置の間を、この揺れが大きくなると予想される位置に発生する相対的な角変形を吸収する制振用コネクタのコネクタビームで連結し、コネクタビームを通じて制振用コネクタへ背の高い構造物の揺れが大きくなると予想される位置に発生する相対的な角変形を伝達し振動を減衰する」という限りにおいて、本願発明における「隣接するラック状格納棚の頂部間を、各頂部に発生する相対的な角変形を吸収する制振用コネクタのコネクタビームで連結し、コネクタビームを通じて制振用コネクタへラック状格納棚の頂部に発生する相対的な角変形を伝達し振動を減衰する」に相当する。
したがって、本願発明と引用例に記載された発明は、
「複数並立して設置された背の高い構造物の制振方法において、
隣接する背の高い構造物の揺れが大きくなると予想される位置の間を、この揺れが大きくなると予想される位置に発生する相対的な角変形を吸収する制振用コネクタのコネクタビームで連結し、コネクタビームを通じて制振用コネクタへ背の高い構造物の揺れが大きくなると予想される位置に発生する相対的な角変形を伝達し振動を減衰する、背の高い構造物の制振方法。」
の点で一致し、次の点で相違している。
[相違点]
本願発明においては、「倉庫などに複数並立して設置された背の高いラック状格納棚の制振方法において、隣接するラック状格納棚の頂部間を、各頂部に発生する相対的な角変形を吸収する制振用コネクタのコネクタビームで連結し、コネクタビームを通じて制振用コネクタへラック状格納棚の頂部に発生する相対的な角変形を伝達し振動を減衰する」のに対し、引用例に記載された発明においては、「建築物本体2’と建築物本体2’に囲まれたボイド空間部3’に立設される立体駐車場設備5’とから成る建築物1’の制振方法において、揺れが大きくなると予想される位置で立体駐車場設備5’の最上部5’bと建築物本体2’の内壁面2’aの間を、衝突防止ダンパ10の第1ロッド11及び第2ロッド12で連結し,第1ロッド11及び第2ロッド12を通じて衝突防止ダンパ10へ立体駐車場設備5’と建築物本体2’の揺れが大きくなると予想される位置の相対的な角変形を伝達し振動を減衰する」点。

(3)当審の判断
上記[相違点]について検討する。
まず、倉庫などに複数並立して設置されたラック状格納棚の制振方法において、「隣接するラック状格納棚の頂部間をダンパ等で連結する」ことは、周知の技術(必要なら、本願明細書【0004】において、従来の技術を示すものとして提示された特開昭62-25679号公報記載の第1図、参照。)である。そして、「隣接するラック状格納棚の頂部」が「揺れが大きくなると予想される位置」であることは、当業者には周知の技術事項である。
そうすると、引用例に記載された発明における「第1ロッド11及び第2ロッド12」及び「衝突防止ダンパ10」を、周知の技術である隣接するラック状格納棚の頂部間に適用して制振を図るようにすることは、当業者が格別困難なく想到し得る程度のものである。

そして、本願発明の作用効果も、引用例に記載された発明及び周知の技術から当業者が予測できる範囲のものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-05-01 
結審通知日 2008-05-13 
審決日 2008-05-26 
出願番号 特願平9-107753
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65G)
P 1 8・ 575- Z (B65G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 関谷 一夫  
特許庁審判長 深澤 幹朗
特許庁審判官 金澤 俊郎
西本 浩司
発明の名称 ラック状格納棚の制振方法  
代理人 山名 正彦  

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