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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1180641
審判番号 不服2005-16455  
総通号数 104 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-08-29 
確定日 2008-07-08 
事件の表示 平成 7年特許願第102877号「偏向波形補正装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 2月16日出願公開、特開平 8- 46813〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 経緯
1.手続
本願は、平成7年3月24日(パリ条約による優先権主張1994年3月24日、英国)の出願である。
本件は、本願についてされた拒絶査定(平成17年5月20日付け)を不服とする平成17年8月29日の審判の請求である。

2.査定
原査定の理由は、概略、下記のとおりである。
記(原査定の理由)
請求項1に係る発明は、下記刊行物に記載された各発明及び慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

引用例1:特開昭50-42725号公報
引用例2:特開平3-284061号公報
引用例3:実願昭63-36555号(実開平1-177661号)のマ イクロフィルム
引用例4:実願平2-105015号(実開平4-61972号)のマイ クロフィルム

なお、平成16年10月19日付け拒絶理由通知においては、「1.特開平50-42725号公報」と記載されているが、その様な文献が存在しないことは明白であること、及び、平成17年4月25日付け意見書において、出願人が、
「【意見の内容】
……
一方、引用文献1(特開昭50-42725号公報)には、……」
と記載していることから見て、引用例1が「特開昭50-42725号公報」である旨の拒絶理由が実質的に通知されていたと認められる。
従って、原査定の理由は上記のとおりであると認定した。


第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成17年4月25日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたものであると認められるところ、その発明(以下、「本願発明」という。)は、下記のとおりのものである。
記(本願発明)
「【請求項1】
補助偏向コイルと、
前記補助偏向コイルに結合され、前記補助偏向コイル中に補正電流を発生する補助偏向増幅回路と、
糸巻ひずみを補正するために、水平周波数のパラボラ状補正信号を発生する補正波形発生器と、
前記パラボラ状補正信号に結合され、前記パラボラ状補正信号の振幅を負帰還制御するために、振幅を測定し、且つ、前記補正波形発生器に結合される制御信号出力を発生する、振幅測定手段とを具え、
前記振幅測定手段は、前記パラボラ状信号のピーク振幅値をツェナーダイオードから得られるDC基準電圧と比較し、該比較に応答して前記制御信号出力を発生し、
前記パラボラ状補正信号は前記補助偏向増幅回路に結合され、パラボラ状補正信号に応答して前記補正電流が発生される、偏向波形補正装置。」


第3 査定の検討
1.引用例
原査定の拒絶の理由において引用例2として提示された特開平3-284061号公報(以下、「刊行物A」という。)には、「パラボラ状波形発生回路」(発明の名称)に関して、図面と共に以下の記載がある。

(ア)
「本発明は、例えばテレビジョン受像機、デイスプレイ装置等のピンクッション歪補正や、ダイナミックフォーカスに用いられるパラボラ状波形を発生するパラボラ状波形発生回路に関する。」(第1頁左下欄第20行?右下欄第3行)
(イ)
「本発明はこのような状況に鑑みてなされたもので、部品のバラツキ、温度ドリフト等の影響を受け難く、周期の変化に拘らず常に一定の振幅のパラボラ波を発生することができるようにするものである。」(第2頁左下欄第9行?第13行)
(ウ)
「上記構成のパラボラ状波形発生回路においては、定電流により鋸歯状波が生成され、鋸歯状波からパラボラ状波形が生成される。この定電流値は、パラボラ状波形の振幅に対応して制御される。従って、クローズドサーボループが形成され、周期に拘らず一定の振幅のパラボラ状波形を生成することができる。」(第2頁右下欄第7行?第13行)
(エ)
「第1図は本発明のパラボラ状波形生成回路の一実施例の構成を示すブロック図であり、第5図および第6図における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
この実施例においては、鋸歯状波発生回路6が、定電流回路8、電流制限用抵抗11、スイッチ10の直列回路と、抵抗11とスイッチ10に並列に接続されたコンデンサ9により構成されている。そして、鋸歯状波発生回路6の出力が積分回路7により積分され、パラボラ波として出力されるようになっている。
積分回路7の出力の一部は整流回路12に入力され、整流される。整流回路12の出力は比較回路13に入力され、所定の基準電圧Esと比較される。比較回路13の出力が制御電圧として定電流回路8に供給されている。」(第2頁右下欄第15行?第3頁左上欄第11行)
(オ)
「電圧Vstは積分回路7により積分されて、周期Tsのパラボラ状波形の信号V1となる。この信号V1は、そのままの位相で、あるいは反転されて、図示せぬダイナミックフォーカス回路、ピンクッション歪補正回路等に出力される。
信号V1の一部は整流回路12に入力され、整流される。これにより、信号V1の振幅V1pが検出され、整流回路12は振幅V1pに対応する電圧Erを出力する。この電圧Erは、比較回路13において、基準電圧Esと比較される。比較回路13は、両入力電圧の差に対応する電圧Eoを発生する。この電圧Eoは定電流回路8に供給され、電圧Eoが0になる方向に定電流値が制御される。」(第3頁右上欄第5行?第17行)
(カ)
「第3図は本発明のパラボラ状波形生成回路の他の実施例の構成を示す回路図である。
この実施例の基本的構成は、第1図における場合と同様であるが、この実施例においては、鋸歯状波発生回路6の定電流回路8が、エミッタに抵抗18が接続され、ベースに抵抗19とバイパスコンデンサ20が接続されているPNPトランジスタ17により構成されている。PNPトランジスタ17は、抵抗19を介してベースに電圧Eoが入力されると、コレクタより電圧Eoに対応する定電流を出力する。」(第3頁左下欄第7行?第17行)
(キ)
「積分回路7は、バイアス設定用の抵抗22,23と、積分用の抵抗24およびコンデンサ25と、直流ゲイン設定用抵抗26とを有する演算増幅器21により構成されている。演算増幅器21は、積分用抵抗24とコンデンサ25の時定数に対応して、入力される鋸歯状波電圧Vstを積分し、パラボラ状波形の信号V1を出力する。
整流回路12は、入力コンデンサ27、整流用ダイオード28,29、平滑用コンデンサ30、放電用抵抗31により構成されている。信号V1はダイオード28,29により整流され、コンデンサ30に平滑され、電圧Erとして出力される。
比較回路13においては、非反転入力端子に電圧Erが入力されている演算増幅器51の反転入力端子に、抵抗32と33で設定した基準電圧Esが、整流用ダイオード28,29の温度特性を補償する温度補償ダイオード37,36を介して入力されている。演算増幅器51の反転入力端子は抵抗38を介して接地されているとともに、その出力端子との間に、発振防止用のコンデンサ34と直流分帰還用の抵抗35の並列回路が接続されている。
演算増幅器51は電圧Erが基準電圧Esより大きいと正の、小ざいと負の、電圧Eoを出力する。PNPトランジスタ17は、正の電圧Eoが入力されるとオフ傾向になり、そのコレクタ電流は小ざくなる。逆に、負の電圧Eoが入力されるとオン傾向になり、そのコレクタ電流は大きくなる。」(第3頁右下欄第3行?第4頁左上欄第10行)

2.周知技術
本願出願前において、以下に挙げる周知技術が存在する。

(2-1)周知技術1
テレビジョン受像機、デイスプレイ装置等の技術分野において、糸巻ひずみを補正するための信号を補助偏向コイルに与えることにより、上下方向の糸巻ひずみや左右方向の糸巻ひずみを補正する構成は、本願出願前において周知の技術である。このことは、例えば、原査定において引用例1として提示された特開昭50-42725号公報(以下、「周知文献1」という。)、特公昭52-32927号公報(以下、「周知文献2」という。)に見られるところ、その詳細は以下のとおりである。

周知文献1の記載
「第1図において1は水平出力回路、2はフライバックトランス、3は高圧整流用ダイオード、4は受像管の陽極に接続される出力端子、5は垂直出力回路6は電圧-電流変換回路、7は偏向ヨークに巻装された水平偏向コイル、8はこの水平偏向コイルとは独立して上記偏向ヨークに巻装された糸巻歪補正用コイルである。」(第1頁右下欄第6行?第12行)
「垂直出力回路5の出力波形は抵抗9とコンデンサ10で積分されパラボラ状電圧に変換される。この電圧はトランジスタ11のベースに加えられ、そのエミッタにベース電圧に比例した電流が流れる。このトランジスタ11のエミッタ、アース間には糸巻歪用コイル8が接続されているので、このコイル8パラボラ電流が流れる。偏向コイル7に偏向電流が流れて偏向磁界を作るが、これによって出来た画面には糸巻歪が生じている。上記偏向磁界に糸巻歪補正用コイル8によって生じた磁界を重畳することにより糸巻歪を補正することができる。」(第1頁右下欄第16行?第2頁左上欄第7行)
「実施例では画面の縦線の糸巻歪の場合について示したが画面の横線の歪の場合にも適応することができる。」(第2頁左上欄第12行?第14行)

周知文献2の記載
「しかしながら、陰極線管の偏向装置として斉一磁界のものを使用すると、蛍光面の曲率により、第2図の如きピンクツシヨン形ラスタ歪が生じて好ましくない。」(第1頁左欄第29行?第32行)
「本発明偏向装置に於ては、主偏向コイルの後方位置にその主偏向コイルによる主偏向磁界と略直交する補助偏向磁界を発生する補助偏向コイルを配し、その補助偏向コイルに主偏向コイルに流れる偏向電流に同期した補正電流を流し、電子ビームを偏向電流に同期して主偏向コイルによる主偏向磁界の偏向中心に対してその主偏向方向に略直角に所定距離軸させてラスタ歪を補正するようにする。」(第1頁左欄第36行?右欄第7行)
「上述した例に於ては、ピンクツシヨン型の水平偏向磁界に依るラスタ歪を補正する場合について述べたが、バレル型の水平偏向磁界、ピンクツシヨン型あるいはバレル型垂直偏向磁界、又は之等の複合された磁界に依るラスタ歪も同様に補正し得る。尚水平ラスタ歪(上下ラスタ歪)は、主偏向コイル1に依る水平偏向磁界と補助偏向コイル2に依る補助垂直偏向磁界に依り補正し、又垂直ラスタ歪(左右ラスタ歪)は主偏向コイル1に依る垂直主偏向磁界と補助偏向コイル2に依る補助水平偏向磁界に依り補正し得る。」(第2頁右欄第5行?第15行)

(2-2)周知技術2
テレビジョン受像機、デイスプレイ装置等の技術分野において、上下糸巻ひずみを補正するために、水平周波数のパラボラ状補正信号を発生する構成は、本願出願前において周知の技術である。このことは、例えば、実願昭55-165209号(実開昭57-88360号)のマイクロフィルム(以下、「周知文献3」という。)、実願昭57-159993号(実開昭59-63572号)のマイクロフィルム(以下、「周知文献4」という。)、特開平3-88580号公報(以下、「周知文献5」という。)、特開平6-70193号公報(以下、「周知文献6」という。)に見られるところ、その詳細は、以下のとおりである。

周知文献3の記載
「この考案は上下糸巻歪補正回路に関し、特にテレビジョン受像器等における受像管の上下糸巻歪補正回路に関するものである」(明細書第1頁最後より7行目?最後より5行目)
「本考案による上下糸巻歪の補正回路は、水平偏向回路の鋸歯状波出力を積分してパラボラ状信号を得、垂直鋸歯状波信号によりこのパラボラ状信号を振幅変調し、この振幅変調出力と垂直偏向用鋸歯状波信号とを重畳して垂直偏向コイルへの駆動信号を発生するようにしたことを特徴としている。」(明細書第2頁第8行?第14行)
「第2図(a)?(d)は第1図の回路の信号(a)?(d)の波形を夫々示したものであり、水平周期を有するパラボラ状電圧(a)が乗算器構成の平衡変調回路2により(b)の如く、垂直鋸歯状電圧(c)により振幅変調される。この変調出力(b)が鋸歯状波電圧(c)と重畳されて、波形変換器32において微分されコイルL3への供給電流波形が(d)と相似になるような駆動電圧とされる。よって、上下糸巻歪の補正がなされることが明白となる。」(明細書第5頁第3行?第11行)

周知文献4の記載
「本考案はCRT表示装置に係り、CRT表示画面に生ずる上下糸巻歪を補正する回路に関する。」(明細書第1頁第15行?第16行)
「本考案になるCRT歪補正回路は、水平周期毎に発生し且つ垂直周期を周期として最大振幅が正もしくは負の所定値から負もしくは正の所定値まで連続的に変化する複数のパラボラ状の波形からなる補正信号を発生する信号発生回路と、前記信号発生回路が発生する補正信号を昇圧し且つ2次側が垂直偏向コイルに対し並列に接続されるトランスとを備えるものである。」(明細書第4頁第5行?第12行)

周知文献5の記載
「この発明は、上下ピンクッション歪補正回路に関し、特に電流重畳方式を採用した上下ピンクッション歪補正回路に関する。」(第1頁左下欄最後より3行目?最終行)
「上述の課題を解決するため、この発明においては、垂直偏向コイルを共振回路の一部として含むように構成され、この共振回路に水平パルスが印加されることによって発生する水平周期のパラボラ波状補正電流が、垂直偏向コイルを流れる垂直偏向電流に重畳されて上下ピンクッション歪が補正されるようになされたことを特徴とするものである。」(第2頁左下欄第2行?第10行)

周知文献6の記載
「【0002】
【従来の技術】
従来、ブラウン管ディスプレイにおける前記糸巻き歪みの補正のうち、例えば左右糸巻き歪みの補正については図4のように行っていた。……図4は左右糸巻き歪み補正の1例としての原理回路図であり、41は垂直鋸波電圧、42は積分回路、……垂直偏向回路(図示せず)よりの垂直鋸波電圧41は積分回路42で積分し、パラボラ電圧43を得る。」
「【0003】
……また、図示はしていないが、上下糸巻き歪みも水平周期のパラボラ電圧を用いて上記と同様の原理で補正する。このように、左右および上下の各糸巻き歪みの補正にはパラボラ電圧は必須の電圧であり、それを生成する方法として従来は積分回路を使用していた。」

(2-3)周知技術3
テレビジョン受像機、デイスプレイ装置等の技術分野において、左右糸巻ひずみを補正するために、垂直周波数のパラボラ状補正信号を発生する構成は、本願出願前において周知の技術である。このことは、例えば、上記周知文献6、特開昭61-145968号公報(以下、「周知文献7」という。)、実願平2-35744号(実開平3-130668号)のマイクロフィルム(以下、「周知文献8」という。)に見られるところ、その詳細は、以下のとおりである。

周知文献6の記載
「【0002】
【従来の技術】
従来、ブラウン管ディスプレイにおける前記糸巻き歪みの補正のうち、例えば左右糸巻き歪みの補正については図4のように行っていた。……図4は左右糸巻き歪み補正の1例としての原理回路図であり、41は垂直鋸波電圧、42は積分回路、……垂直偏向回路(図示せず)よりの垂直鋸波電圧41は積分回路42で積分し、パラボラ電圧43を得る。」
「【0003】
……この結果、水平偏向コイルHDYに流れる水平鋸波電流が前記パラボラ電圧43に従い、画面上部または下部にいくにつれ中心部に比し減少する。これにより、画面左右の糸巻き歪みが補正される。……このように、左右および上下の各糸巻き歪みの補正にはパラボラ電圧は必須の電圧であり、それを生成する方法として従来は積分回路を使用していた。」

周知文献7の記載
「本発明においては、左右糸巻ひずみ補正回路に必要なパラボラ波信号を発生させるために、垂直発振回路で得られたのこぎり波電圧を積分回路に加えるようにしたものである。」(第1頁右下欄第13行?第16行)

周知文献8の記載
「従来、テレビジョン受像機における左右糸巻き歪回路は例えば第2図のように構成されていた。……垂直出力回路1のA点で得られた垂直同期ののこぎり波はミラー積分回路5によって所定の時定数で積分される。このためミラー積分回路5のB点にはパラボラ波が発生する。このパラボラ波はパラボラ波出力回路10で増幅されて水平出力回路13のC点に供給される。……このような動作により第4図(b)に示すような左右糸巻き歪が補正される。」(明細書第2頁第3行?第3頁12行)

(2-4)周知技術4
テレビジョン受像機、デイスプレイ装置等の技術分野において、負帰還制御のための制御信号出力を発生するためのDC基準電圧をツェナーダイオードから得る構成は、本願出願前において周知の技術である。このことは、例えば、特開昭61-98071号公報(以下、「周知文献9」という。)、特開平6-6625号公報(以下、「周知文献10」という。)に見られるところ、その詳細は以下のとおりである。

周知文献9の記載
「この演算増幅器の他方の入力端子には、他の電源電圧が抵抗R2及びツェナーダイオードD3の構成により安定化されて、基準電圧として接続印加されている。
ここで高圧が上がった時を例にして、このフィードバックループの動作説明を行なう。
高圧が上がると、二次巻線L1への誘起電圧も上がり、演算増幅器Aへ印加される検出電圧も上がる。この検出電圧がツェナーダイオードD3によって発生されている基準電圧よりも上がると、演算増巾器Aの出力には電圧が発生し、トランジスタQ2及びQ3をオンとし、水平回路の共振コンデンサーCR2が、CR1と並列に接続されることになる。この結果前述の式の関係でトランジスタQ1のコレクタ電圧が低下し、高圧出力を下げる方向に制御するものであり、高圧が低下した時には、この逆動作となるものである。」(第2頁右下欄18行?第3頁左上欄第14行)

周知文献10の記載
「【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、リニアスキャンモニターテレビに関する。」
「【0006】
【実施例】
以下図に基づいて本発明による垂直偏向回路の実施例を詳細に説明する。図2の実施例において、21は垂直振幅信号発振回路で、22は該信号の出力回路で23は垂直振幅検出回路で、24は正の振幅の整流回路、25は負の振幅の整流回路、26は前記正負の電圧比較器、27は温度補償用ダイオード、28は基準電圧設定用ツエナーダイオード、29は前記26の電圧比較器の出力レベルと28の基準電圧の設定レベルとを比較し、その差に応じた出力レベルを1の垂直振幅信号発振回路の垂直振幅制御端子へフイードバックする比較器である。」

3.対比
本願発明と刊行物A発明に記載された発明(以下、「刊行物A発明」という。)とを対比する。

(3-1)
刊行物Aには、パラボラ状波形発生回路の出力であるパラボラ状波形の信号を、ピンクッション歪補正回路に出力する旨記載されている。(記載オ)
かかる「パラボラ状波形発生回路」と「ピンクッション歪補正回路」とを組合わせたものが、本願発明にいう「偏向波形補正装置」に相当する。

(3-2)
刊行物Aには、「ピンクッション歪補正回路」による補正が「補助偏向コイル」による旨の記載はない。従って、「補助偏向コイルに結合され、前記補助偏向コイル中に補正電流を発生する補助偏向増幅回路」に関する記載も、「パラボラ状補正信号は前記補助偏向増幅回路に結合され、パラボラ状補正信号に応答して前記補正電流が発生される」旨の記載もない。
相違が認められる。

(3-3)
刊行物Aには 、ピンクッション歪補正の為にパラボラ状波形を発生するパラボラ状波形発生回路が記載されている。(記載ア)
かかる、「ピンクツション歪」「パラボラ状波形」「パラボラ状波形発生回路」は、それぞれ本願発明にいう「糸巻ひずみ」「パラボラ状補正信号」「補正波形発生器」に相当する。
ただし、刊行物Aには、パラボラ状補正信号の周波数が「水平周波数」である旨の記載はない。
相違が認められる。

(3-4)
刊行物Aには、パラボラ状波形に結合され、パラボラ状波形の振幅に関するクローズドサーボループを形成する為に、整流回路が出力するパラボラ状波形の振幅に対応する電圧Erと抵抗32、33で設定した基準電圧Esとを比較し、該比較に応答して電圧Eoを発生する比較回路が記載されている。(記載イ?キ)
かかる「クローズドサーボループ」「電圧Eo」「基準電圧Es」「比較回路」は、それぞれ本願発明にいう「負帰還制御」「制御信号出力」「DC基準電圧」「振幅測定手段」に相当する。
ただし、刊行物Aには、DC基準電圧が「ツェナーダイオードから得られる」旨の記載はない。
相違が認められる。

4.一致点・相違点
本願発明と刊行物A発明との一致点及び相違点は、下記のとおりである。
記(一致点)
「糸巻ひずみを補正するために、パラボラ状補正信号を発生する補正波形発生器と、
前記パラボラ状補正信号に結合され、前記パラボラ状補正信号の振幅を負帰還制御するために、振幅を測定し、且つ、前記補正波形発生器に結合される制御信号出力を発生する、振幅測定手段とを具え、
前記振幅測定手段は、前記パラボラ状信号のピーク振幅値をDC基準電圧と比較し、該比較に応答して前記制御信号出力を発生する、偏向波形補正装置」
記(相違点)
相違点a
本願発明では、「補助偏向コイルと、前記補助偏向コイルに結合され、前記補助偏向コイル中に補正電流を発生する補助偏向増幅回路」とを具えると共に、「パラボラ状補正信号は前記補助偏向増幅回路に結合され、パラボラ状補正信号に応答して前記補正電流が発生される」のに対し、刊行物Aには「補助偏向コイルと、前記補助偏向コイルに結合され、前記補助偏向コイル中に補正電流を発生する補助偏向増幅回路」、「パラボラ状補正信号は前記補助偏向増幅回路に結合され、パラボラ状補正信号に応答して前記補正電流が発生される」構成に関する記載がない点

相違点b
本願発明では、「パラボラ状補正信号」の周波数が「水平周波数」であるのに対し、刊行物Aには、「パラボラ状波形」の周波数が「水平周波数」である旨の記載はない点。

相違点c
本願発明では、DC基準電圧が「ツェナーダイオードから得られる」のに対し、刊行物A発明では、抵抗32、33で設定する点。

5.相違点についての検討
(5-1)相違点a
テレビジョン受像機、デイスプレイ装置等の技術分野において、糸巻ひずみを補正するための信号を補助偏向コイルに与えることは、本願出願前に周知(上記(2-1)周知技術1)である。
なお、糸巻ひずみを補正するための信号を補助偏向コイルに与える際に、増幅回路を介して与える様にすることは、慣用手段である(例えば、上記した周知文献1における「トランジスタ11」参照)。
そうすると、「補助偏向コイルと、前記補助偏向コイルに結合され、前記補助偏向コイル中に補正電流を発生する補助偏向増幅回路」とを具え、「パラボラ状補正信号は前記補助偏向増幅回路に結合され、パラボラ状補正信号に応答して前記補正電流が発生される」構成とすることは、刊行物A発明に周知技術1を適用することにより、当業者が容易になし得たことと認められる。

(5-2)相違点b
テレビジョン受像機、デイスプレイ装置等の技術分野において、上下糸巻ひずみを補正するために水平周波数のパラボラ状補正信号を用いること、及び、左右糸巻ひずみを補正するために垂直周波数のパラボラ状補正信号を用いることは、いずれも本願出願前に周知(前者については上記(2-2)周知技術2、後者については上記(2-3)周知技術3)であるから、補正すべき糸巻ひずみの方向が、上下方向、左右方向のいずれであるかによらず、パラボラ状補正信号を用いることは本願出願前において常套手段である。
そうすると、「パラボラ状補正信号」の周波数を「水平周波数」とすることは、刊行物A発明において補正すべき糸巻ひずみとして上下糸巻ひずみを選択し、その補正の為に周知技術2を適用することにより、当業者が容易になし得たことと認められる。
なお、本願出願前において、糸巻ひずみを補正するための信号を補助偏向コイルに与えることにより、上下方向の糸巻ひずみ、左右方向の糸巻ひずみをそれぞれ補正し得ることは周知(上記(2-1)周知技術1)であるから、水平周波数のパラボラ状補正信号を補助偏向コイルに与えることは、上下糸巻ひずみを補正するために水平周波数のパラボラ状補正信号を発生する補正波形発生器を用いる際に、当業者が自然になし得る構成である。

(5-3)相違点c
テレビジョン受像機、デイスプレイ装置等の技術分野において、負帰還制御のための制御信号出力を発生するためのDC基準電圧をツェナーダイオードから得る構成は、本願出願前に周知(上記(2-4)周知技術4)である。
そうすると、パラボラ状補正信号の振幅を負帰還制御するためのDC基準電圧をツェナーダイオードから得る構成とすることは、刊行物A発明に周知技術4を適用することにより、当業者が容易になし得たことと認められる。

(5-4)効果
上記相違点aから相違点cまでを総合しても格別の作用をなすとは認められない。
本願発明が奏する効果は、刊行物Aの記載及び上記周知事項から当業者が当然に予測できる範囲内のものと認められる。

6.まとめ
以上のことから、本願発明は、刊行物Aに記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物Aに記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
従って、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-01-29 
結審通知日 2008-02-05 
審決日 2008-02-18 
出願番号 特願平7-102877
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊東 和重  
特許庁審判長 新宮 佳典
特許庁審判官 五貫 昭一
奥村 元宏
発明の名称 偏向波形補正装置  
代理人 青山 耕三  
代理人 木越 力  

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