• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F
管理番号 1180688
審判番号 不服2006-26560  
総通号数 104 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-11-24 
確定日 2008-07-10 
事件の表示 平成 9年特許願第278775号「表示パネル」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 4月30日出願公開、特開平11-119671〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯及び本願発明
本願は、平成9年10月13日の出願であって、平成18年6月12日付けで手続補正がなされ、平成18年10月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成18年11月24日に審判請求がなされたものである。
本願の特許請求の範囲の請求項1乃至3に係る発明は、平成18年6月12日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その請求項1乃至3に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。

「プラズマディスプレイパネル本体と、該プラズマディスプレイパネル本体の前面に透明接着剤により接着された金属繊維及び/又は金属被覆有機繊維よりなる導電性メッシュと、該導電性メッシュの前面に透明接着剤により接着された透明基板とを備えてなる表示パネルであって、
該プラズマディスプレイパネル本体と透明基板との間に、更に透明導電層が設けられており、プラズマディスプレイパネルと透明基板とが導電性メッシュ及び透明導電層を介して透明接着剤で一体化されていることを特徴とする表示パネル。」

本願発明は、上記のとおりのものであるが、「プラズマディスプレイパネル本体の前面に透明接着剤により接着された」、及び「導電性メッシュの前面に透明接着剤により接着された」の技術的意味を検討する。
上記本願発明の後段では、「該プラズマディスプレイパネル本体と透明基板との間に、更に透明導電層が設けられており」とされているが、透明導電層が設けられている位置が、プラズマディスプレイパネル本体と導電性メッシュとの間であるか、導電性メッシュと透明基板との間であるかは、限定されていないので、その何れの場合も包含すると理解される。
とすると、本願発明において、「前面に透明接着剤により接着された」とは、前面に直接接着されるものだけでなく、透明導電層を介して接着されるものも含むと認められる。
そして、このように認定し得ることは、本願の【図1】、及び本願明細書の段落【0068】の記載等からも明らかである。

2.引用例
これに対して、原査定の拒絶理由に引用された特開平9-247584号公報(以下、「引用例1」という。)、及び同じく特開平7-320663号公報(以下、「引用例2」という。)にはそれぞれ、以下の事項が記載されている。

a.引用例1;

ア.【0001】
「【発明の属する技術分野】本発明は電磁波漏洩防止フィルタに係り、画像表示部からの電磁波を光学フィルタで遮蔽するものに関する。」

イ.【0005】
「【課題を解決するための手段】本発明は上述の課題を解決するため、PDP(画像表示部)の前面に配設する光学フィルタに光透過性のある導電メッシュを配設し、導電メッシュ上に光散乱・反射防止フィルムを粘着し、光散乱・反射防止フィルム上に透明な帯電防止層を設け、帯電防止層側をPDPに対向させてPDPの前面に取付けるようにした電磁波漏洩防止フィルタを提供するものである。」

ウ.【0007】
「【実施例】以下、図面に基づいて本発明による電磁波漏洩防止フィルタの実施例を詳細に説明する。図1は本発明による電磁波漏洩防止フィルタを取付けた状態の一例の概要図、図2は本発明による電磁波漏洩防止フィルタの一実施例の要部側断面図、図3および図4はそれぞれ本発明による電磁波漏洩防止フィルタの他の実施例の要部側断面図、図5は導電メッシュの説明図、図6は導電メッシュの拡大図である。」

エ.【0008】
「図1において、1はPDP、2は電磁波漏洩防止フィルタ(以降、フィルタと略す)、3は筺体前部、4は筺体後部である。フィルタ2の周縁部に取付金具7を当接し、この取付金具7をネジ6で筺体前部3の取付ボス5に締付け、フィルタ2を筺体前部3に取付ける。PDP1は、取付ボス8を介してネジ9により筺体後部4に固定し、筺体後部4を筺体前部3に取付けることにより、PDP1の周縁部を取付金具7に当接させ、取付金具7をフィルタ2に強く接触させ、フィルタの周縁部に導出されている後述する導電メッシュと密に接触するようにする。」

オ.【0009】
「図2において、11はフィルタ基台、12はフィルタ基台11の1面に配設した導電メッシュ、13は帯電防止層、14は帯電防止層13を導電メッシュ12上に粘着するための粘着剤である。フィルタ基台11は、無色透明で耐衝撃性を有する合成樹脂、例えば、アクリルあるいはポリカーボネートに、PDPの発光色を補正するための赤色成分を吸収する選択吸収フィルタ用の顔料を混合し、青色発光用の蛍光物質が青色の他に僅かに発光する赤色成分を吸収するようにする。」

カ.【0010】
「なお、導電メッシュ12は、合成樹脂のメッシュ織物に高導電率の金属である銅または銅ニッケル等を無電解メッキして金属織布とし、フィルタ基台11に粘着する、・・・」

キ.【0011】
「帯電防止層13は、導電性金属酸化物、例えば、酸化錫およびアンチモンを混合して微粒子化したものを所要の溶液、例えば、純水、アルコールおよび界面活性剤の混合溶液で溶解し、無色透明なフィルムにスプレーにより塗布する、あるいはバーコート法で塗布し、表面抵抗約10の6乗オーム/平方cm程度に生成したもので、フィルタ基台11の導電メッシュ12上にアクリル系の粘着剤14により粘着し、導電メッシュ12の格子間に電荷が帯電されにい(文脈からみて、「帯電されにくい」または「帯電されない」の誤記と認める。)ようにする。」

ク.【0015】
「【発明の効果】以上に説明したように、本発明による電磁波漏洩防止フィルタによれば、PDPの電磁波漏洩防止のため光学フィルタに設ける導電メッシュとPDPとの間に帯電防止層を設けたので、ライトイレーズのためPDPに印加されるパルス電圧により導電メッシュに電荷が誘起されてもその電圧は低い値となり、放電は行われず、異常音を発生しないものとなる。」

そして、引用例1の図2の記載からみて、透明な帯電防止層13は、PDP1の前面に設けられている。

また、引用例1の図2の記載からみて、PDP1とフィルタ基台11との間に、導電性メッシュ12の他に、更に帯電防止層13が設けられている。

したがって、上記ア.?ク.の記載事項、及び各図面の記載からみて、引用例1には、
「PDP1と、前記PDP1の前面に、導電性金属酸化物、例えば、酸化錫およびアンチモンを混合して微粒子化したものを所要の溶液、例えば、純水、アルコールおよび界面活性剤の混合溶液で溶解し、無色透明なフィルムに塗布し、表面抵抗約10の6乗オーム/平方cm程度に生成した透明な帯電防止層13と、合成樹脂のメッシュ織物に高導電率の金属を無電解メッキして金属織布とした導電メッシュ12の前面にPDP1の発光色を補正するための赤色成分を吸収する選択吸収フィルタ用の顔料を混合し、青色発光用の蛍光物質が青色の他に僅かに発光する赤色成分を吸収するフィルタ基台11とを備えてなるものであって、
前記透明な帯電防止層13と前記導電メッシュ12は、アクリル系粘着剤14によって粘着されており、
前記フィルタ基台11、前記導電メッシュ12、前記アクリル系粘着剤14及び前記透明な帯電防止層13からなる電磁波漏洩防止フィルタ2は、その周縁部に取付金具7を当接し、この取付金具7をネジ6で筺体前部3の取付ボス5に締付け、前記フィルタ2を筺体前部3に取付け、PDP1は、取付ボス8を介してネジ9により筺体後部4に固定し、筺体後部4を筺体前部3に取付けることにより、前記フィルタ2を前記PDP1に取付け一体化されたもの。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

b.引用例2;

ケ.【0001】
「【産業上の利用分野】本発明は、例えば、CRTディスプレイ又は液晶ディスプレイの如き電子ディスプレイデバイスのフェイス(フロントプレート)に帯電によって埃が付着するのを防止し、またこのフェイスから電磁波、紫外線が放射して視覚障害、雑音障害を起こすのを防止するように保護するフェイス保護装置及びその方法に関するものである。」

コ.【0024】
「【実施例】本発明の実施例を図面を参照して詳細にのべると、図1は本発明に係るディスプレイデバイスのフェイス保護装置10を備えたディスプレイデバイス12を示し、図示の実施例では、このディスプレイデバイス12は、CRTであるのが示されている。」

サ.【0025】
「本発明のフェイス保護装置10は、図2に示すように、フェイス22の外面に設けられた透明保護層26から成り、この透明保護層26は、フェイス22の外面に透明接着剤等によって貼り付けられた透明な担持フィルム28の上に形成されている透明導電膜30を含んでいる。」

シ.【0026】
「透明保護層26は、図2に示すように、この透明導電膜30の上に設けられた透明硬質薄膜32を更に含んでいる。」

ス.【0038】
「尚、上記実施例では、CRTディスプレイに本発明を適用した場合についてのみのべたが、液晶ディスプレイデバイス、プラズマディスプレイデバイス、その他の種々のディスプレイデバイスにも同様にして本発明を適用することができる。」

セ.【0039】
「【発明の効果】本発明によれば、上記のように、ディスプレイデバイスのフェイス上の透明保護層は、ITO等の透明導電膜とその上に設けられた透明硬質薄膜とから成っているので、透明導電膜によって電磁波遮蔽作用と帯電防止作用とを有し、また透明硬質薄膜によって表面が傷つくことがない上に透明硬質薄膜はその膜厚が小さいので、帯電防止作用を低下したり、可撓性を損なうことがない。従って、フェイスに埃や汚れが付き易くなることがなく、CRT等の曲面フェイス上にも容易に取付けることができる。」

3.対比
本願発明には、上記「1.手続の経緯及び本願発明」で検討したように、複数の態様が考えられるが、以下の、引用発明との対比において、以下の態様(以下、「本願発明a」という。)を認定する。
「プラズマディスプレイパネル本体と、該プラズマディスプレイパネル本体の前面に透明接着剤により接着された透明導電層と、金属繊維及び/又は金属被覆有機繊維よりなる導電性メッシュの前面に透明接着剤により接着された透明基板とを備えてなる表示パネルであって、
該プラズマディスプレイパネルと透明基板とが導電性メッシュ及び透明導電層を介して透明接着剤で一体化されていることを特徴とする表示パネル。」

(a)引用発明の「PDP1」は、本願発明aの「プラズマディスプレイパネル本体」及び「プラズマディスプレイパネル」に相当する。

(b)引用発明の「導電性金属酸化物、例えば、酸化錫およびアンチモンを混合して微粒子化したものを所要の溶液、例えば、純水、アルコールおよび界面活性剤の混合溶液で溶解し、無色透明なフィルムに塗布し、表面抵抗約10の6乗オーム/平方cm程度に生成した透明な帯電防止層13」は、本願発明aの「透明導電層」に相当する。

(c)引用発明の「合成樹脂のメッシュ織物に高導電率の金属を無電解メッキして金属織布とした導電メッシュ12」は、本願発明aの「金属被覆有機繊維よりなる導電性メッシュ」に相当するので、選択的記載を含む本願発明aの「金属繊維及び/又は金属被覆有機繊維よりなる導電性メッシュ」に相当する。

(d)引用発明の「無色透明な合成樹脂に、PDP1の発光色を補正するための赤色成分を吸収する選択吸収フィルタ用の顔料を混合し、青色発光用の蛍光物質が青色の他に僅かに発光する赤色成分を吸収するフィルタ基台11」は、本願発明aの「透明基板」に相当する。

(e)粘着剤が接着剤の概念に含まれるものであることは、技術常識である。また、引用発明の「前記透明な帯電防止層13と前記導電メッシュ12は、アクリル系粘着剤14によって粘着されており」における「アクリル系粘着剤14」は、本願発明aと同様に、PDP1の前面に位置して使用されるのであるから、透明なものであることは、自明なことである。したがって、アクリル系粘着剤14は、本願発明aの透明接着剤のうち、導電性メッシュ及び透明導電層間の透明接着剤に相当する。

(f)引用発明の対象である「電磁波漏洩防止フィルタ2をPDP1に取付け一体化されたもの」は、本願発明aの対象である「表示パネル」に相当する。

(g)引用発明は、その図1及び図2も参照すれば、本願発明aの、「プラズマディスプレイパネルと透明基板とが導電性メッシュ及び透明導電層を介して一体化されている」構成を有することは、明らかである。

前記(a)?(g)に記載したことからして、両者は、
「プラズマディスプレイパネル本体と、該プラズマディスプレイパネル本体の前面に設けられた透明導電層と、金属繊維及び/又は金属被覆有機繊維よりなる導電性メッシュの前面に設けられた透明基板とを備えてなる表示パネルであって、
該プラズマディスプレイパネルと透明基板とが導電性メッシュ及び透明導電層を介して一体化されていることを特徴とする表示パネル。」である点で一致し、次の相違点が存在する。

[相違点]
本願発明aは、プラズマディスプレイパネル本体と透明導電層とを透明接着剤により接着し、導電性メッシュと透明基板とを透明接着剤により接着し、プラズマディスプレイパネルと透明基板とが導電性メッシュ及び透明導電層を介して透明接着剤で一体化されているのに対して、引用発明は、透明な帯電防止層13は導電メッシュ12と、アクリル系粘着剤14によって粘着されているものの、PDP1と透明な帯電防止層13との間、導電メッシュ12とフィルタ基台11との間は、透明接着剤により接着されているか否かが明らかでない点。

4.当審の判断
上記相違点について検討する。
引用例2のケ.?セ.の記載事項からして、引用例2には、プラズマディスプレイデバイスのフェイス22の外面に、透明な担持フィルム28の上に形成されている透明導電膜30を透明接着剤によって貼り付ける発明が、記載されている。そして、引用例2に記載された発明も、引用発明と同様、プラズマディスプレイパネルの前面に電磁波遮蔽作用と帯電防止作用とを有する層を設けるもので、引用発明と同様の技術分野に属するものである。
また、本願発明aの透明導電層の実施例である透明導電性フィルム5は、ベースフィルムに透明導電層を形成したものも含む(本願明細書の段落【0036】)のであるから、引用例2の「透明な担持フィルム28の上に形成されている透明導電膜30」は、本願発明aの「透明導電層」に相当する。
したがって、引用例2には、本願発明aの「プラズマディスプレイパネル本体に透明接着剤により接着された透明導電層」の構成が開示されている。

本願発明aの「導電性メッシュと透明基板とを透明接着剤により接着し」た点は、引用例2には直接開示されていないが、引用発明の帯電防止層13と導電メッシュ12と同様の機能を有する透明導電膜30の一方の面、即ちプラズマディスプレイデバイスのフェイス22との面に透明接着剤を用いることが開示されているのであるから、引用発明のように導電メッシュ12の帯電防止層13と反対側の面にフィルタ基台11を有するものにおいて、導電メッシュ12とフィルタ基台11との間を透明接着剤により接着し、結果的に、PDP1とフィルタ基台11とが導電メッシュ12及び帯電防止層13を介して透明接着剤で一体化されることは、当業者が容易になし得たことである。なお、電磁波漏洩防止のための導電メッシュ状のものをフィルタ基台状のものに接着剤により接着することは、周知慣用(例えば、実願平2-5043号(実開平3-97998号)のマイクロフィルム[第6?7頁]、特開平5-251890号公報[段落【0026】]、特開平8-183132号公報[段落【0003】、【0012】]等参照。)の技術事項でもある。

結局、引用発明に引用例2に記載された発明を適用することにより、上記相違点に係る本願発明aの構成を得ることは、当業者にとって容易である。

本願発明aの作用効果も、引用発明及び引用例2に記載された発明から予測される範囲内のもので、格別のものではない。

したがって、本願発明aは、引用例1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるが、本願発明aは、本願発明の一態様であるから、本願発明も引用例1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-05-09 
結審通知日 2008-05-13 
審決日 2008-05-26 
出願番号 特願平9-278775
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 北川 創岡▲崎▼ 輝雄  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 日夏 貴史
森林 克郎
発明の名称 表示パネル  
代理人 重野 剛  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ