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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F02B
管理番号 1180733
審判番号 不服2005-15753  
総通号数 104 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-08-17 
確定日 2008-07-11 
事件の表示 特願2001-113896「軽量発動機」拒絶査定不服審判事件〔平成14年10月23日出願公開、特開2002-309949〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯及び本願発明
本願は、平成13年4月12日の出願であって、平成13年5月8日に手続補正書が提出され、平成16年1月19日付けで拒絶の理由が通知され、同年3月10日に意見書が提出されたが、平成17年7月15日付けで拒絶査定がなされ、同年8月17日に同拒絶査定に対して審判請求がなされ、同年11月8日に審判請求理由を補充する手続補正書が提出されたものであって、その請求項1?8に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。

「【請求項1】 通常の2倍から4倍以上の圧縮された空気又は燃料混合気体をライナーに吸入させ、ピストンとライナーの全長を短縮させる構造。」

2.引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-356136号公報(以下、「引用文献」という。)には、次の事項が記載されている。
(a)「【0002】
【従来の技術】一段式過給装置では、圧力比(=ブースト圧/大気圧)は3?4倍程度が限界であり、・・・」(段落【0002】)
(b)「【0003】また、圧力比を5以上にするために二段式過給装置を構成することが考えられるが、従来の二段式過給装置は機関の最大出力域付近で5?6を実現している・・・」(段落【0003】)
(c)「【0009】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の二段過給装置100のシステム系統図である。図1において二段過給装置100は、6気筒の機関1、高圧段過給機2、大容量低圧段過給機3、小容量低圧段過給機4等から構成されている。機関1から排出される排気ガスは配管5を介して高圧段過給機2のタービン2aに供給される。」(段落【0009】)
(d)「【0017】タービン2aで駆動されるコンプレッサ2bは、インタークーラ12から供給される低圧縮空気をさらに圧縮して高圧縮空気を生成し、配管16を介して高圧縮空気をアフタークーラ17へ送る。高圧縮空気は、アフタークーラ17で冷却された後に配管18を介して機関1へ供給される。」(段落【0017】)

上記記載事項(a)?(d)によると、引用文献には、
「通常の3倍から5倍以上の圧縮された空気を機関に吸入させるもの。」
の発明(以下、「引用文献に記載された発明」という。)が記載されている。

3.対比
本願発明と引用文献に記載された発明を対比すると、引用文献に記載された発明における「機関」は、本願発明における「ライナー」に相当する。
したがって、両者は、
「通常の3倍から5倍以上の圧縮された空気をライナーに吸入させるもの。」
という発明で一致し、次の〔相違点1〕及び〔相違点2〕で相違している。
〔相違点1〕
「ライナーに吸入させる」「空気又は燃料混合気体」の圧縮比が、本願発明においては、「通常の2倍から4倍以上」であるのに対して、引用文献に記載された発明においては、「機関に吸入させる」「空気」の圧縮比が「通常の3倍から5倍以上」である点。
〔相違点2〕
本願発明が「ピストンとライナーの全長を短縮させる構造」であるのに対して、引用文献に記載された発明では「ピストンとライナーの全長」に関しては不明な点。

4.当審の判断
〔相違点1〕について
「ライナーに吸入させる」「空気又は燃料混合気体」の圧縮比をどのようにするかは、当業者が適宜選択可能な設計事項にすぎない。
〔相違点2〕について
「ライナーに吸入させる」「空気又は燃料混合気体」の圧縮比を高めるために「ターボチャージャー」を採用することは、ごく普通に行われていることである。また、「ターボチャージャー」を採用することにより、「同一排気量エンジンの1.2?1.5倍ものトルクを低回転で発生させることが可能であり,したがって,それに見合った小排気量エンジンにターボをつければ,同じ動力性能が得られることになる。排気量が小さくてすめば,それだけエンジン重量が小さくなり,さらにエンジン寸法が小さくなること」は、当業者に周知の事項である(必要であれば、原査定の拒絶の理由で引用した「GP企画センター編著、「ターボ車メカニズムとドライビング」、株式会社グランプリ出版発行、1990年9月28日第3刷発行、第18-19頁、小型・軽量化」を参照されたい。)。
ところで、引用文献に記載された発明においても、「ターボチャージャー」を採用することにより「通常の3倍から5倍以上の圧縮された空気をライナーに吸入させ」ているのであるから、当業者であれば、引用文献に記載された発明に基いて、上記〔相違点2〕に係る本願発明の構成を得る程度のことは、容易に想到することができたものである。

そして、本願発明の作用効果も、引用文献に記載された発明から当業者が予測できる範囲のものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-05-13 
結審通知日 2008-05-14 
審決日 2008-05-27 
出願番号 特願2001-113896(P2001-113896)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 粟倉 裕二杉山 豊博  
特許庁審判長 深澤 幹朗
特許庁審判官 森藤 淳志
金澤 俊郎
発明の名称 軽量発動機  
代理人 太田 朝子  
代理人 太田 明男  

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