• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1181533
審判番号 不服2005-19187  
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-10-05 
確定日 2008-07-17 
事件の表示 特願2000-186912「スロットマシン」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 1月 8日出願公開、特開2002- 804〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成12年6月21日の出願であって、平成17年8月26日付で拒絶査定がなされたところ、これに対し、同年10月5日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに同日付で手続補正がなされたものである。

2 平成17年10月5日付の手続補正について

[補正却下の決定の結論]
平成17年10月5日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正の目的について
平成17年10月5日付でなされた補正(以下、「本件補正」という)により、特許請求の範囲の請求項1は次のとおりに補正された。

「パチンコ球を遊技媒体の球として使用するスロットマシンであって、枠体が前面側の図柄視認領域と、図柄視認領域の裏側に配置された図柄可変表示装置と、図柄視認領域よりも下側に設けられた前面側の皿装置と、皿装置の前面側に図柄可変表示装置の図柄列と対応する複数設けられかつ図柄可変表示装置の図柄可変遊技開始後における図柄を停止する操作のための図柄停止スイッチ装置と、皿装置の前面側に設けられた球投入スイッチ装置と、遊技操作スイッチ装置の操作により皿装置から裏側に球を取込む球取込機構と、取込機構により皿装置から裏側に取込まれた球を検出する球検出器と、球検出器からの検出信号により皿装置から裏側に取込まれた球の個数を計算する投入数量演算手段と、投入数量演算手段からの計算信号により皿装置から裏側に取込まれた球の個数を枠体の前面側に表示するために図柄視認領域と皿装置との間に配置された投入表示器とを備えており、枠体を前側から見た場合において、複数の図柄停止スイッチ装置が左側で、球投入スイッチ装置が右側で、複数の図柄停止スイッチ装置と球投入スイッチ装置とが互いに隣り合う配置になったことを特徴とするスロットマシン。」

しかしながら、上記補正により追加された「図柄視認領域の裏側に配置された図柄可変表示装置」「図柄視認領域よりも下側に設けられた前面側の皿装置」及び「遊技操作スイッチ装置の操作により皿装置から裏側に球を取込む球取込機構」は、平成16年3月8日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明特定事項のいずれの事項の限定でもない。
拒絶査定不服審判を請求する場合にする補正は、特許法第17条の2第3項の規定により、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲においてしなければならないだけでなく、平成18年改正前特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものに限られる。
そして、上記補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に規定する限定的減縮を目的とするものに該当しないばかりでなく、その他各号に規定する、請求項の削除(第1号)、誤記の訂正(第3号)、又は、明りようでない記載の釈明(第4号)を目的とする補正でないことも明らかであるから、本件補正は、同法第17条の2第4項各号のいずれにも適合しない。

(2)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3 本願発明
平成17年10月5日付の手続補正書は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1乃至3に係る発明は、平成16年3月8日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は次のとおりのものである。

「枠体の前面側より内部に取込まれるメダル又は球のような遊技媒体を検出する遊技媒体検出手段と、遊技媒体検出手段からの検出信号により遊技媒体の個数を計算する投入数量演算手段と、投入数量演算手段からの計算信号により遊技媒体の個数を枠体の前面側に表示する投入表示器とを備え、この投入表示器を枠体の前面側で図柄視認領域と遊技操作スイッチ装置との間に設けたことを特徴とするスロットマシン。」

4 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平4-73076号公報(以下、「引用例」という)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

ア.「スロットマシンは・・・パチンコ玉を使用して、機体の正面側から、遊技性良く操作したり玉を確認したりして有効に遊技することかができる」(公報第2頁右上欄第3?8行)
イ.「機体Aの内部には、上方から下方にかけて、中央演算処理装置CPU、ベルト方式のゲーム装置B、補給パイプ14に連通する供給用ボールカウンタ5、投入玉カウンタ6、取込玉計数機7をそれぞれ配備する」(公報第2頁右上欄第15?19行)
ウ.「機体Aの前面には、玉個数表示器8、発券機(図示省略)からレシート又はカードを払い出すための精算スイッチ3、3つのストップスイッチ2、ゲーム装置Bの駆動レバー1、投入玉個数表示器10、3つのスイッチ(左側はメダル3個分用、中央はメダル2個分用、右側はメダル1個分用の玉を取り込む)からなる投入個数選択スイッチ9をそれぞれ配備し、機体Aの前面下部には、側方上部に玉供給口16およびオーバーフロー通路17を有する前皿4を装備し、該前皿4の下部後方となる樋に設けたシャッター部18の後方には投入玉カウンタ6を配備するとともに、その後方に設けた切り換え装置19を操作する玉投入レバー11と玉流しレバー12を前皿4に装備し、該前皿4の下方には玉流しレバー12を装備した下皿13を配備して構成する。」(公報第2頁左下欄第2?17行)
エ.「ゲームに際し、パチンコ玉と同様の玉が前皿4に入れられている状態で、玉投入レバー11を操作すると、第3図に示すように切り換え装置19が実線で示すように作動するとともにシャッター部18が開き、玉は投入玉カウンタ6を通って切り換え装置19の上を通り島内に導入されることになって、その数が投入玉個数表示器10に表示されることになり、そこで、投入個数選択スイッチ9のいずれか1つを押すと、そのスイッチに対応した玉数が減算表示されることになって、1回分のゲームを行なうことができることになる。」(公報第2頁右下欄第1?11行)
オ.第1図には、「投入玉個数表示器10を機体Aの前面側でゲーム装置Bと投入個数選択スイッチ9との間に設けた」事項が示されている。

以上の記載事項ア?オを参酌すると、引用例1には次の発明(以下、「引用発明」という)が記載されているものと認められる。

「パチンコ玉を使用して遊技するスロットマシンであり、機体Aの前面下部に前皿4を装備し、該前皿4の下部後方となる樋に設けたシャッター部18の後方には投入玉カウンタ6を配備し、玉は投入玉カウンタ6を通って島内に導入されることになって、その数が投入玉個数表示器10に表示されることになり、投入玉個数表示器10を機体Aの前面側でゲーム装置Bと投入個数選択スイッチ9との間に設けたスロットマシン。」

5 対比
本願発明と引用発明を比較すると以下のことがいえる。
引用発明は「パチンコ玉を使用して遊技するスロットマシン」であるから、「パチンコ玉」は「遊技媒体」ということができ、引用発明の「パチンコ玉」及び「玉」は本願発明の「メダル又は球のような遊技媒体」に相当する。
引用発明の「機体Aの前面下部に前皿4を装備し、該前皿4の下部後方となる樋に設けたシャッター部18の後方には投入玉カウンタ6を配備し、玉は投入玉カウンタ6を通って島内に導入されることになって、その数が投入玉個数表示器10に表示されることになり」の事項について、「機体A」は本願発明の「枠体」に相当し、「投入玉カウンタ6」は、投入玉のカウンタであるからには、投入玉を検出する手段(本願発明の「遊技媒体検出手段」に相当する)及び投入玉の個数を計算する手段(本願発明の「投入数量演算手段」に相当する)を備えていることは自明である。また、「投入玉個数表示器10」は、投入玉カウンタ6を通って島内に導入された投入玉の個数を表示するものであり、かかる表示が投入玉カウンタ6からの計算信号によりなされることは明らかであるから、本願発明の「投入数量演算手段からの計算信号により遊技媒体の個数を枠体の前面側に表示する投入表示器」に対応する。
引用発明の「投入玉個数表示器10を機体Aの前面側でゲーム装置Bと投入個数選択スイッチ9との間に設けた」事項について、「ゲーム装置B」は「ベルト方式」(上記4記載事項イ参照)であり、かかる方式のスロットマシンが「ゲーム装置B」の一部に「図柄視認領域」を有することは明らかである。また、「投入個数選択スイッチ9」は「投入個数選択スイッチ9のいずれか1つを押すと、そのスイッチに対応した玉数が減算表示されることになって、1回分のゲームを行なうことができることになる。」(上記4記載事項エ参照)の記載を参酌すると、遊技操作のためのスイッチ装置(遊技操作スイッチ装置)ということができるから、引用発明は本願発明の「この投入表示器を枠体の前面側で図柄視認領域と遊技操作スイッチ装置との間に設けた」事項を備えている。

したがって、両者は、
「枠体の前面側より内部に取込まれるメダル又は球のような遊技媒体を検出する遊技媒体検出手段と、遊技媒体の個数を計算する投入数量演算手段と、投入数量演算手段からの計算信号により遊技媒体の個数を枠体の前面側に表示する投入表示器とを備え、この投入表示器を枠体の前面側で図柄視認領域と遊技操作スイッチ装置との間に設けたスロットマシン。」
で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
投入数量演算手段が遊技媒体の個数を計算するにあたり、本願発明では、遊技媒体検出手段からの検出信号により行うのに対して、引用発明では、具体的にどのように行うのか明らかでない点。

6 判断
上記相違点について検討する。
本願発明の属する遊技媒体を使用する遊技機の技術分野において、技媒体検出手段からの検出信号によって投入数量演算手段が遊技媒体の個数を計算することは、例えば、特開平3-136681号公報に示されているように従来周知の技術であり(公報第3頁左下欄第12?17行、同第4頁右下欄第5?15行参照)、引用発明において、投入数量演算手段が遊技媒体の個数を計算するに際し、かかる周知技術を採用することに何ら困難性はない。
よって、上記相違点にかかる本願発明の構成は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者であれば容易に想到しえるものである。

また、本願発明の作用効果も引用発明及び上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-05-21 
結審通知日 2008-05-27 
審決日 2008-06-03 
出願番号 特願2000-186912(P2000-186912)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 572- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 太田 恒明  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 ▲吉▼川 康史
中槙 利明
発明の名称 スロットマシン  
代理人 宮園 純一  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ