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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 D06F
管理番号 1181822
審判番号 不服2006-4346  
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-03-09 
確定日 2008-07-24 
事件の表示 平成10年特許願第200482号「洗濯機」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 3月16日出願公開、特開平11- 70297〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.出願の経緯及び本願発明
本件審判請求に係る出願(以下「本願」という。)は、平成6年8月31日に出願された特願平6-206896号(以下「親出願」という。)の一部を平成10年7月15日に新たな特許出願としたものであり、平成16年11月9日付け拒絶理由通知に対して、平成17年1月11日付けで手続補正がなされ、これに対する同年6月7日付け拒絶理由通知に対し、同年8月10日付けで意見書が提出されたが、平成18年2月7日付けで拒絶査定され、これに対し、同年3月9日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

したがって、本願に係る発明は、平成17年1月11日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。(以下「本願発明」という。)
「外枠の内側に置かれる洗濯槽と、この洗濯槽の内側に回転自在に設けられる回転翼と、前記洗濯槽の下方に備えられ、かつ前記回転翼を回転駆動する洗濯用モータと、水道水を前記洗濯槽に供給する水道給水用電磁弁と、風呂水を風呂水吸水ホースを通して吸い上げて前記洗濯槽の上から洗濯槽内に注ぐモータ式吸水ポンプと、前記水道給水用電磁弁及び前記モータ式吸水ポンプを洗濯機の上部後方位置で載置するトップカバーと、前記水道給水用電磁弁及び前記モータ式吸水ポンプを覆うバックパネルとを備える洗濯機であって、
前記バックパネルの内側に前記モータ式吸水ポンプを押さえるハブが設けられ、前記モータ式吸水ポンプを、前記ハブと防振ゴムを介して前記トップカバーと前記バックパネルとで挟み込んで取り付けたことを特徴とする洗濯機。」

2.引用例
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の親出願の出願日前に頒布された刊行物である特開昭57-192595号(以下「引用例」という。)には、図面とともに次の技術事項が記載されている。

a.「本発明は水道以外の給水源例えば浴槽の水等を水源とすることが可能な一槽式全自動洗濯機の給水装置に関するものである。従来の一槽式全自動洗濯機を第1図および第2図について説明する。1は本体、2は天板、3は天板2と一体に設けた操作箱で、その表面に操作板4が取付けてある。・・・6は水道の蛇口に接続される電磁給水弁で、・・・11は脱水受槽10の内部に回転自在に設けられた洗濯脱水槽で、底部にはパルセータ12が設けられ、・・・14はモータで、・・・パルセータ12および洗濯脱水槽11の回転軸と結合されている。」(公報第1頁右欄第2?20行)

b.「第3図は本発明の基本的な技術思想を示す図である。同図(イ)において、20はポンプで、・・・その吸込口21は図示してないホースによって水源(浴槽)と結合され、吐出口22には注水ホース8が取付けてある。」(公報第2頁右上欄第19行?同頁左下欄第5行)

c.「第4図は水道による給水と、水圧のない水源による給水との、双方が可能な給水装置を備えた本発明の実施例で、同図(イ)に示すように第2図の電磁給水弁6による給水装置と、第3図のポンプ20による給水装置の双方を備えている。8’はポンプ用注水管、9’はポンプ用注水口である。」(公報第2頁左下欄第15行?同頁右下欄第1行)

上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

本体の内側に置かれる洗濯脱水槽と、この洗濯脱水槽の内側に回転自在に設けられるパルセータと、洗濯脱水槽の下方に備えられ、パルセータを回転駆動するモータと、水道水を洗濯脱水槽に供給する電磁給水弁と、浴槽水をホースを通して吸い上げて洗濯脱水槽の上から洗濯脱水槽内に注ぐポンプと、電磁給水弁及びポンプを洗濯機の上部後方位置で載置する天板と、電磁給水弁及びポンプを覆う操作板とを備える洗濯機。

3.対比
本願発明と引用発明とを比較する。
引用発明における「本体」は、本願発明における「外枠」に相当し、同様に、「洗濯脱水槽」は「洗濯槽」に、「パルセータ」は「回転翼」に、「モータ」は「洗濯用モータ」に、「電磁給水弁」は「水道給水用電磁弁」に、「浴槽水」は「風呂水」に、「ホース」は「風呂水吸水ホース」に、「天板」は「トップカバー」に、「操作板」は「バックパネル」に、それぞれ相当する。
また、一般に、吸水用のポンプは、モータにより駆動されるものであるから、引用発明における「浴槽水を吸い上げる(吸水用)ポンプ」も、モータ式のものと認められる。
すると、本願発明と引用発明とは、次の一致点及び相違点を有するものである。

<一致点>
外枠の内側に置かれる洗濯槽と、この洗濯槽の内側に回転自在に設けられる回転翼と、前記洗濯槽の下方に備えられ、かつ前記回転翼を回転駆動する洗濯用モータと、水道水を前記洗濯槽に供給する水道給水用電磁弁と、風呂水を風呂水吸水ホースを通して吸い上げて前記洗濯槽の上から洗濯槽内に注ぐモータ式吸水ポンプと、前記水道給水用電磁弁及び前記モータ式吸水ポンプを洗濯機の上部後方位置で載置するトップカバーと、前記水道給水用電磁弁及び前記モータ式吸水ポンプを覆うバックパネルとを備える洗濯機。

<相違点>
本願発明では、「バックパネルの内側にモータ式吸水ポンプを押さえるハブが設けられ、モータ式吸水ポンプを、ハブと防振ゴムを介してトップカバーとバックパネルとで挟み込んで取り付けた」のに対し、引用発明では、そのような構成となっていない点。

4.当審の判断
上記相違点について検討する。
取り付け作業の簡便化と、挟持力の集中、振動伝達の有効な抑制を図るために、モータにより駆動される動力装置を、内側にハブを設けた上側部材と下側部材とで防振ゴムを介して挟み込んで取り付けることは、例えば特開平2-55093号公報(回転駆動部の軸支部10を、リブ12cが設けられた上ケース12bと下ケース12cとで、発泡性の多孔質ゴムシート13を介して挟持)、実願昭60-17447号(実開昭61-132957号)のマイクロフィルム(ファンモーター15を、保持リブ29が設けられた上側ボデー23と主体ケース11によりサポートゴム26を介して挟持)、あるいは実願昭60-27432号(実開昭61-143561号)のマイクロフィルム(送風機4のファンケース9を、ハブが設けられた本体ケース上5と本体ケース下1とにより、ゴム等の支持体10を介して挟持)等にも記載されるように、親出願の出願時に家電製品の技術分野において周知となっていた技術事項であるから、同じくモータにより駆動される動力装置である、引用発明のモータ式吸水ポンプを、同様の手段で取り付けるようにすることは、当業者であれば容易に想到し得るものである。
そして、上記周知の取り付け手段を採用したことによる作用効果も、当業者が予測し得る程度のものである。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-05-21 
結審通知日 2008-05-27 
審決日 2008-06-11 
出願番号 特願平10-200482
審決分類 P 1 8・ 121- Z (D06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 由希子金丸 治之  
特許庁審判長 岡 千代子
特許庁審判官 長崎 洋一
渋谷 知子
発明の名称 洗濯機  
代理人 ポレール特許業務法人  

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