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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1181827
審判番号 不服2006-6432  
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-04-06 
確定日 2008-07-24 
事件の表示 特願2001-241554「光ピックアップ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年2月28日出願公開、特開2003-59070〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成13年8月9日の出願であって、平成17年8月26日付け拒絶理由通知に対して、平成17年10月20日付けで手続補正がされたが、平成18年3月2日付けで拒絶査定されたところ、これに対し、平成18年4月6日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、平成18年4月26日付けで明細書について手続補正がされたものである。


第2 平成18年4月26日付けの手続補正についての補正却下の決定

〔補正却下の決定の結論〕
平成18年4月26日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

〔理 由〕
1.本件補正
本件補正は、明細書の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明についてするもので、特許請求の範囲については、請求項1を、本件補正前に、
(a)「【請求項1】
レーザ光を放射するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射したレーザ光を少なくとも±1次光および0次光の3つの光ビームに分離する分離手段と、
該分離手段によって分離された3つの光ビームをそれぞれ集光して、ランドおよびグループから成るトラックが形成された情報記録媒体上にビームスポットを形成させる対物レンズと、
前記情報記録媒体で反射された光ビームを検出する光検出手段とを具え、
前記分離手段を、前記情報記録媒体上に形成される前記0次光による主ビームが任意のトラックのランド中心に位置する場合に、前記±1次光による副ビームの各々の半分以上の部分が前記主ビームが位置するランドと同一のランドに存在するように構成し、
情報記録媒体からの情報読出時の情報記録面上での主ビームの出力をPrとするとともに副ビームの出力をP1とし、情報記録媒体への情報書込時の情報記録面上での0次光の出力をPwとするとき、P1が次式
P1×Pw/Pr≦Pr (1)
を満足するようにしたことを特徴とするピックアップ装置。」
とあったものを、
(b)「【請求項1】
レーザ光を放射するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射したレーザ光を少なくとも±1次光および0次光の3つの光ビームに分離する分離手段と、
該分離手段によって分離された3つの光ビームをそれぞれ集光して、ランドおよびグループから成るトラックが形成された情報記録媒体上にビームスポットを形成させる対物レンズと、
前記分離手段と前記対物レンズとの間に配置されるコリメートレンズおよびビームスプリッタと、
前記情報記録媒体で反射され前記ビームスプリッタで反射された光ビームを検出する光検出手段とを具え、
前記分離手段を、前記情報記録媒体上に形成される前記0次光による主ビームが任意のトラックのランド中心に位置する場合に、前記±1次光による副ビームの各々の半分以上の部分が前記主ビームが位置するランドと同一のランドに存在するように構成し、
情報記録媒体からの情報読出時の情報記録面上での主ビームの出力をPrとするとともに副ビームの出力をP1とし、情報記録媒体への情報書込時の情報記録面上での0次光の出力をPwとするとき、P1が次式
P1×Pw/Pr≦Pr (1)
を満足するようにしたことを特徴とする光ピックアップ装置。」
と補正しようとするものである。
なお、請求項2及び3の記載には変更がない。

2.本件補正の目的についての検討
本件補正は、本件補正前の請求項1に「前記分離手段と前記対物レンズとの間に配置されるコリメートレンズおよびビームスプリッタと、」を加入し、光ビームについて「前記ビームスプリッタで反射された」ものであるとの限定を加え、さらに「ピックアップ装置」を「光ピックアップ装置」と限定しようとするものである。
補正前の請求項1には、発明特定事項として「コリメートレンズ」及び「ビームスプリッタ」は記載されていないから、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に規定する「第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するもの」ものに該当しない。また、同法第17条の2第4項の第1号、第3号又は第4号に掲げる事項のいずれを目的とするものにも該当しない。
したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.独立特許要件についての検討
また、仮に、本件補正が、光ピックアップ装置が通常備える「コリメートレンズ」及び「ビームスプリッタ」について、「前記分離手段と前記対物レンズとの間に配置される」ことを限定するとともに、「ピックアップ装置」を「光ピックアップ装置」と限定することにより特許請求の範囲を減縮しようとするもので、したがって平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げる事項を目的とするものに該当すると解される場合、本件補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすか)否かを、請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)について以下に検討する。

(3-1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平5-242482号公報(以下、「引用例」という)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。
(a)「【0003】
(1)第1の光学方式
まず、従来の光磁気情報記録再生装置の光ヘッドに用いられている第1の光学方式の構造および再生時の機能について、図3を用いて説明する。図3は、従来の光磁気情報記録再生装置の光ヘッドに用いられている第1の光学方式を示す原理説明図である。また、図3(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ図3のA部、B部、C部、D部の拡大図である。
【0004】
図示したように、光磁気情報記録媒体1上には、一定間隔で案内溝2およびトラック3が形成されている。さらに、トラック3上には記録ピット(磁気ドメイン)4が形成されている。そして、光磁気情報記録再生装置の光ヘッド7内の半導体レーザ8から出射されたレーザビームは、そのほとんどがS偏光成分であるが、コリメータレンズ9により平行光に変換された後、回折格子10により複数の回折光に分割される。本明細書においては、これらの回折光のうち0次光を主光ビーム、±1次光をそれぞれ副光ビームと呼ぶ。なお、前記副光ビームは対になっており、互いに前記主光ビームに関して対称の関係にある。
【0005】
上記回折光のうち、1本の主光ビーム5および1対の(2本の)副光ビーム6a、6bが、偏光ビームスプリッタ11で反射された後、対物レンズ12により集光され、光磁気情報記録媒体1上に照射される。主光ビーム5はトラック3上に照射され、記録ピット(磁気ドメイン)4により反射光の偏光面がわずかに回転する。また、副光ビーム6a、6bはその一部が案内溝2にかかるように照射される。
【0006】
これらの光ビームは光磁気情報記録媒体1上で反射された後、再び光ヘッド7内に戻り、対物レンズ12により平行光に変換される。そして、これらの光ビームのS偏光成分の一部とP偏光成分が、偏光ビームスプリッタ11を透過し、さらにビームスプリッタ30により透過成分31と反射成分32に分割される。
【0007】
これらの光ビームの反射成分32は、凸レンズ14で集光された後、シリンドリカルレンズ15により非点収差を与えられる。主光ビーム5の反射成分は、光検出器33で受光される。そして、光検出器33の出力信号がフォーカスエラー信号検出回路(図示せず)に送られ、フォーカスエラー信号が検出される。ここではフォーカスエラー信号検出方式として非点収差方式が用いられているので、光検出器33として4分割型の受光素子が用いられている。
【0008】
また、副光ビーム6a、6bの反射成分は、それぞれ光検出器33に関して対称の位置に配置された光検出器34a、34bで受光される。そして、光検出器34a、34bの出力信号がトラッキングエラー信号検出回路(図示せず)に送られ、トラッキングエラー信号が検出される。」

上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「一定間隔で案内溝及びトラックが形成されている光磁気情報記録媒体のトラックに記録再生する光ヘッドであって、
レーザビームを出射する半導体レーザと、
半導体レーザから出射されたレーザビームを平行光に変換するコリメータレンズと、
前記レーザビームを、0次光(主光ビーム)と、対になって互いに前記主光ビームに関して対称の関係にある±1次光(副光ビーム)とを含む複数の回折光に分割する回折格子と、
主光ビーム及び1対の(2本の)副光ビームを反射する偏光ビームスプリッタと、
前記偏光ビームスプリッタで反射された主光ビーム及び1対の(2本の)副光ビームを集光して光磁気情報記録媒体上で、照射する対物レンズとを備え、
主光ビームはトラック上に照射され、一対の副光ビームはその一部が案内溝にかかるように照射され、
光磁気情報記録媒体上で反射された後、偏光ビームスプリッタを透過した主光ビームの反射成分を受光する光検出器(33)と、当該光検出器(33)に関して対称の位置に配置され、一対の副光ビームの反射成分を受光する光検出器(34a、34b)と、を備える、
光磁気情報記録再生装置の光ヘッド。」

(3-2)対比
以下、本願補正発明と引用発明とを比較する。
引用発明における「レーザビームを出射する半導体レーザ」は、本願補正発明における「レーザ光を放射するレーザ光源」に相当する。
引用発明における「前記レーザビームを、0次光(主光ビーム)と、対になって互いに前記主光ビームに関して対称の関係にある±1次光(副光ビーム)とを含む複数の回折光に分割する回折格子」は、本願補正発明の「前記レーザ光源から出射したレーザ光を少なくとも±1次光および0次光の3つの光ビームに分離する分離手段」に相当する。
引用発明の「対物レンズ」は、「主光ビーム及び1対の(2本の)副光ビームを集光して光磁気情報記録媒体上に照射する」もので、ビームを集光して照射すると媒体上にビームスポットが形成されるのは自明であるから、本願補正発明の「分離手段によって分離された3つの光ビームをそれぞれ集光して、ランドおよびグループから成るトラックが形成された情報記録媒体上にビームスポットを形成させる対物レンズ」に相当する。
引用発明の「半導体レーザから出射されたレーザビームを平行光に変換するコリメータレンズ」は、本願補正発明の「コリメートレンズ」に相当する。
引用発明の「主光ビーム及び1対の(2本の)副光ビームを反射する偏光ビームスプリッタ」は、反射された主光ビーム及び1対の(2本の)副光ビームが対物レンズで集光されることも併せると、本願補正発明の「前記分離手段と前記対物レンズとの間に配置される」「ビームスプリッタ」に相当する。
引用発明の「光検出器(33)」「同(34a、34b)」は、「光磁気情報記録媒体上で反射された」ビームを検出するものであるから、本願補正発明の「光検出器」と比較して、「前記情報記録媒体で反射された」「光ビームを検出する光検出手段」である点において一致する。
引用発明において、「主光ビームはトラック上に照射され、一対の副光ビームはその一部が案内溝にかかるように照射され」ることは、本願補正発明において、「前記分離手段を、前記情報記録媒体上に形成される前記0次光による主ビームが任意のトラックのランド中心に位置する場合に、前記±1次光による副ビームの各々の半分以上の部分が前記主ビームが位置するランドと同一のランドに存在するように構成し」たことに相当する。
引用発明の「光磁気情報記録再生装置の光ヘッド」は、本願補正発明の「光ピックアップ装置」に相当する。

すると、本願補正発明と引用発明とは、次の点で一致する。
(一致点)
レーザ光を放射するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射したレーザ光を少なくとも±1次光および0次光の3つの光ビームに分離する分離手段と、
該分離手段によって分離された3つの光ビームをそれぞれ集光して、ランドおよびグループから成るトラックが形成された情報記録媒体上にビームスポットを形成させる対物レンズと、
コリメートレンズおよび(前記分離手段と前記対物レンズとの間に配置される)ビームスプリッタと、
前記情報記録媒体で反射された光ビームを検出する光検出手段とを具え、
前記分離手段を、前記情報記録媒体上に形成される前記0次光による主ビームが任意のトラックのランド中心に位置する場合に、前記±1次光による副ビームの各々の半分以上の部分が前記主ビームが位置するランドと同一のランドに存在するように構成した光ピックアップ装置。」

一方で、以下の点で相違する。
(相違点1)
本願補正発明では、コリメートレンズが「前記分離手段と前記対物レンズとの間に配置される」のに対し、引用発明では、そのような配置にはなっていない点。
(相違点2)
本願補正発明では、光検出手段は「ビームスプリッタで反射された光ビームを検出する」のに対し、引用発明では、各光検出器は「光磁気情報記録媒体上で反射された後、偏光ビームスプリッタを透過した」各ビームを受光するように構成されている点。
(相違点3)
本願補正発明では、「情報記録媒体からの情報読出時の情報記録面上での主ビームの出力をPrとするとともに副ビームの出力をP1とし、情報記録媒体への情報書込時の情報記録面上での0次光の出力をPwとするとき、P1が次式
P1×Pw/Pr≦Pr (1)
を満足するようにした」のに対し、引用発明では、(1)式のような関係について特定されない点。

(3-3)判断
(1)相違点1及び2について
回折格子等の分離手段によりメインビームからサブビームを形成する光ピックアップ装置においては、コリメートレンズを当該分離手段と対物レンズとの間に配置することは、例えば、特開平9-27138号公報(図1,図6,図12等参照。コリメートレンズ6は、分離手段である回折格子板7と対物レンズ2との間に配置されている。)、特開2000-90454号公報(図1参照。コリメートレンズ5は、分離手段である第1の回折格子2と、対物レンズ6との間に配置されている。)等の周知例にて周知の配置である。前記各周知例では、それぞれ、情報記録媒体である(光磁気)ディスクから反射されたビームは、ビームスプリッターで反射されて光検出器または受光素子に入射する構造となっている。
このような構造を引用発明においても適用することにより、コリメートレンズを分離手段と対物レンズとの間に配置し、光検出手段はビームスプリッタで反射された光ビームを検出するようにすることは、当業者が容易に想到しうるものである。

(2)相違点3について
回折格子による回折効率は、入射される光の強度によっては通常変動せず、
P1/Pr = P2/Pw (2)
が成立するのは自明であるから、(2)式を変形して、
P1×Pw/Pr = P2
を(1)式に代入すると(1)式は、
P2 ≦ Pr (3)
と変形することができる。(3)式は、記録時のサブビーム強度P2を情報読み出し時の主ビーム強度Pr以下とすることを意味するものである。
記録時に、メインビームで記録されたマークをサブビームが破壊することがないように設定することは当業者が当然配慮する程度の事項にすぎないところ、再生強度は、当然のこととして、記録されたマークを破壊することがない強度に設定されるから、記録時のサブビーム強度を再生強度以下とすることにより、前記のような、メインビームで記録されたマークをサブビームが破壊する事態を確実に回避することができるのは当然のことにすぎない。したがって、(1)式の条件は、記録時に、メインビームで記録されたマークをサブビームが破壊しないことが確実な条件である(3)式を、回折効率に基づく自明な関係式である(2)式を用いて変形したにすぎない程度のものであるから、当業者が容易に想到しうるものである。

なお、審判請求人は、審判請求の理由で、
『本願発明では、「P1×Pw/Pr≦Pr」で規定される式(1)を採用することにより、情報書込時の情報記録面上での主ビームの出力Pwに対して、所望の出力調整範囲が確保できるように、情報読出時の主ビームおよび副ビームの分離比率(Pr:P1)を決定しています。これにより、情報読出時の情報記録面上での主ビームの出力Prを「情報読出を繰り返し実施しても情報の誤消去や誤記録が発生しない出力」である例えば1.4mWに設定する場合において、Pwの出力調整範囲として例えば5?12mWが要求される場合には、添付した表2に例示するように、「Pr:P1=8:1」を除外して、「Pr:P1=10:1」を選択することができ、これを選択した場合には、主ビームの出力Pwが所望の出力調整範囲の上限値である12mWとなった場合であっても、情報書込時の情報記録面上での副ビームの出力P2(表2のPw欄の右側の欄の数値)は1.2mWとなるため、「Pwの所望の出力調整範囲を確保した上で、情報書込時の情報記録面上での副ビームの出力P2が情報読出時の情報記録面上での主ビームの出力Prを越えないようにして、副ビームによる情報の誤消去や誤記録を防止すること」が可能になります。』
と、表1及び表2に記載した数値例とともに、(1)式を採用することによる作用効果について主張しているが、前記各表は、本願の明細書及び図面に根拠のないものであるとともに、前記作用効果の主張は、請求項1の記載に基づかないものである。
すなわち、(1)式は、単に、P1、Pr、及びPwの3つのビーム強度の関係を特定しているにすぎないもので、「Pwに対して」「情報読出時の主ビームおよび副ビームの分離比率(Pr:P1)を決定」するという、3つのビーム強度間において、その値又は比率を決める順序まで特定しているものではない。当該順序を特定した方法の発明の場合ならばともかくも、本願補正発明は、物の発明であって、しかも、製造の過程において前記順序が特定されていると解すべき根拠すらもないのであるから、単に(1)式の関係を満たすピックアップ装置であると解せば十分であって、請求人が主張するような、分離比率の決め方まで特定しているとも、表1及び2で示されるような、特定の分離比率を採用することが特定されるものであるとも、解することはできない。
なお、さらに付言すると、前記『「Pr:P1=8:1」を除外して、「Pr:P1=10:1」を選択することができ』との主張については、主ビームとサブビームの強度比率が10:1程度に設定することは、例えば特開平8-69633号公報(【0012】段落参照。)、特開2000-311377号公報(【0062】段落参照。)等にあるように、何ら格別な設定でもない。
以上のとおりであるから、請求人の主張は、採用することができない。

そして、上記各相違点を総合的に判断しても、本願補正発明が奏する効果は、引用例に記載された発明及び周知事項から、当業者が十分に予測できたものであって、格別なものとはいえない。

(3-4)独立特許要件についての結び
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たさないものであるから、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1.本願発明
以上のとおり、平成18年4月26日付けの手続補正は却下されたので、本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成17年10月20日付けで手続補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載されたとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、上記「第2 〔理由〕1.(a)」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2.引用例
原査定の拒絶の理由で引用された引用例及びその記載事項は、前記「第2 〔理由〕3.(3-1)」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2 〔理由〕」の「3.独立特許要件についての検討」で検討した本願補正発明から、「前記分離手段と前記対物レンズとの間に配置されるコリメートレンズおよびビームスプリッタと」の特定事項を削除するとともに、「光ビームを検出する光検出手段」について、「前記ビームスプリッタで反射された」との限定を削除し、さらに「光ピックアップ装置」を単に「ピックアップ装置」と限定を削除したものに相当する。

そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、更に他の要件を付加したものに相当する本願補正発明が前記「第2 〔理由〕3.(3-3)」に記載したとおり、引用例に記載された発明及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例に記載された発明及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-05-26 
結審通知日 2008-05-27 
審決日 2008-06-09 
出願番号 特願2001-241554(P2001-241554)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G11B)
P 1 8・ 575- Z (G11B)
P 1 8・ 572- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山澤 宏中野 浩昌  
特許庁審判長 山田 洋一
特許庁審判官 横尾 俊一
吉川 康男
発明の名称 光ピックアップ装置  
代理人 来間 清志  
代理人 藤谷 史朗  
代理人 岩佐 義幸  
代理人 杉村 興作  

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