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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04M
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1181943
審判番号 不服2006-9138  
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-05-08 
確定日 2008-08-01 
事件の表示 特願2003- 19016「ボタン電話機及びボタン電話システム」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 8月19日出願公開、特開2004-235736〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成15年1月28日に特許出願されたものであって、平成18年2月17日付けで手続補正がなされたところ、同年3月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月8日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年6月1日付けで手続補正がなされたものである。

第2.補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年6月1日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正
本件補正は、平成18年2月17日付け手続補正に係る明細書の特許請求の範囲の請求項1について、次のように補正することを含むものである。
(1)補正前の発明
「【請求項1】 電話機本体と、該電話機本体と着脱可能に構成されたダイヤルボタンユニット及びラインボタンユニットと、該ラインボタンユニットと着脱可能に構成された表示器ユニットとを備え、
前記ダイヤルボタンユニット、前記ラインボタンユニット及び前記表示器ユニットを、電話機本体を分解することなく前記電話機本体の表面側から着脱できるようにしたことを特徴とするボタン電話機。」

(2)補正後の発明
「【請求項1】 電話機本体と、該電話機本体と着脱可能に構成されたダイヤルボタンユニット及びラインボタンユニットと、該ラインボタンユニットと着脱可能に構成された表示器ユニットとを備え、
前記ラインボタンユニットが前記電話機本体にスライド装着され、前記表示器ユニットが前記ラインボタンユニットにスライド装着されることにより当該ラインボタンユニットを介して前記電話機本体に装着され、 前記ダイヤルボタンユニット、前記ラインボタンユニット及び前記表示器ユニットが、電話機本体を分解することなく前記電話機本体の表面側から着脱できるように取り付けられていることを特徴とするボタン電話機。」(当審注:アンダーラインは補正箇所を示す。)

2.新規事項の有無、補正の目的要件について
上記補正の実質的内容は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された「ダイヤルボタンユニット、前記ラインボタンユニット及び前記表示器ユニット」に関し、「前記ラインボタンユニットが前記電話機本体にスライド装着され、前記表示器ユニットが前記ラインボタンユニットにスライド装着されることにより当該ラインボタンユニットを介して前記電話機本体に装着され」との限定を付加することにより、特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許法第17条の2第3項(新規事項)及び第4項第2号(補正の目的)の規定に適合している。

3.独立特許要件について
上記補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて以下に検討する。

(1)補正後の発明
上記1.(2)で認定したとおりである。

(2)引用例
A.拒絶査定の拒絶理由に引用された実願平3-60047号(実開平5-6960号)のCD-ROM(以下、「引用例1」という。)には、「電話機」の発明に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。
イ.「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は,電話機に関するものである。」(5頁2行?4行)
ロ.「【0003】
【考案が解決しようとする課題】
・・・(中略)・・・
この考案は,上記した問題に鑑みてなされたもので,たとえ電話機が多品種であってもその製造・保管管理が簡便で,機種変更に対しても容易に対応することのできる電話機を提供することを目的とする。」(5頁12行?26行)
ハ.「【0004】
【課題を解決するための手段】
上記した問題を解決するため,本考案の電話機では,ダイヤル部,および通話回路等の通話処理回路を有する電話機本体に,回線選択ボタン,表示部等を有する補助パネルを電気機構的に着脱自在にする接続部を設け,前記電話機本体と協動する複数種類の補助パネルの1つを該接続部を介して電話機本体に接続可能とした。」(5頁27行?6頁4行)
ニ.「【0006】
【実施例】
・・・(中略)・・・
図1は,本考案の電話機の第1実施例を示す斜視図である。図に示すように,電話機本体1の上面前方には,ダイヤルボタン部2が配設されており,また,電話機本体1の上面後方には,底浅な凹所3が形成されている。凹所3の後方は開口されている。その開口の前奥面所定位置には,第1コネクター4が内蔵されている。・・・(中略)・・・。
【0007】
上記凹所3内には,凹所3と略同一平面形状を有する補助パネル5が装着されている。この補助パネル5は,その前端面に第2コネクター6が形成され,この第2コネクター6を電話機本体1に設けた第1コネクター4と連結することにより,補助パネル5が電話機本体1内の回路と電気的に連繋される。
この補助パネル5としては,例えば上面に多数(32個)の回線選択スイッチ部7を有する偏平状の第1補助パネル5aや,その第1補助パネル5aと同一数の回線選択スイッチ部7を有するとともにその上面後方部にLCDからなる細幅な表示部8を有する第2補助パネル5b,さらに,第2補助パネル5bに比し,回線数を少なく(24個)した回線選択スイッチ部7´並びに幅広な表示部8を有する第3補助パネル5cなど,多種の仕様に応じたものが用意されている。・・・(中略)・・・。
【0008】
次に上記実施例の使用方法について説明すると,・・・(中略)・・・需要者の要望に合った所望の補助パネル,例えば第1補助パネル5aを選択し,その第1補助パネル5aを電話機本体1の凹所3内に装着するとともに,電話機本体1の第1コネクター4と,第1補助パネル5aの第2コネクター6とを結合させる。これにより電話機本体1と第1補助パネル5aとが電気的に一体・結合されるが,このコネクター接続で機械的な接続手段,すなわち第1補助パネル5aの電話機本体1への固定手段を兼ねるようにしても良い。」(6頁13行?7頁16行)
ホ.「【0013】
【考案の効果】
以上のように,本考案に係る電話機では,ダイヤル部,および通話回路等の基本回路構成を有する電話機本体と,その電話機本体の所定位置に着脱自在に装着され,電話機本体と別途独立して形成された回線選択ボタン,表示部等の補助機能を有する補助パネルとを分離して構成し,バリエーションの多い補助パネルと電話機本体とを機械的電気的に接続可能としたため,異なる多数の機種に対し,電話機本体は共通して設計,製造することができ,生産性が向上し保管管理も簡便となる。」(9頁27行?10頁6行)

上記イ?ホの記載、及びこの分野の技術常識によれば、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。
「電話機本体1と、ダイヤルボタン部2と、前記電話機本体1に対し、その表面側から着脱可能に構成された回線選択スイッチ部7と表示部8とを有する補助パネル5とを備え、
前記補助パネル5を電話機本体1の前面に設けた凹所3内に装着するとともに、前記補助パネル5に設けた第2コネクター6を前記電話機本体1に設けた第1コネクター4に結合することにより、前記電話機本体1と前記補助パネル5とを電気的、及び機械的に一体・結合するようにしたボタン電話装置等の電話機」

B.同じく、拒絶査定の拒絶理由で引用された特開2002-75114号公報(以下、「引用例2」という)には、「電話機ボタン装着構造」の発明に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。
イ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電話機のボタン装着構造に関する。」(2頁左欄49行?右欄1行)
ロ.「【0013】本発明の目的は、・・・(中略)・・・多様化するユーザニーズにおける少量多品種の要求にも安価に対応できて容易に交換が可能であり且つ耐摩耗性に優れた高品質な商品を提供することが出来る電話機ボタン装着構造を得ることにある。」(3頁左欄29行?36行)
ハ.「【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は電話機を操作するためのボタンを電話機の筐体に装着する電話機ボタン装着構造において、電話機表面から特別な工具を使用せずに取り外し自在な化粧パネルと、多種のボタン仕様に対応して前記電話機表面側から付け替え自在なボタン類とを備えている。
【0015】この電話機ボタン装着構造において、電話機の上筐体表面部に凹部を有し、この凹部内にて複数の前記ボタン類を弾性変形自在なヒンジを介してフレームに一体に連結構成してなるボタンユニットを前記上筐体の内部の回路基盤に実装された連動スイッチと対応させて載置し、前記上筐体に取り外し自在に装着される前記化粧パネルにて前記ボタンユニットを挟み込み固定する構成が適用できる。
【0016】また、前記ボタン類を連結構成した前記ボタンユニットは、1?*までの12個のキーからなるダイヤルボタンが前記フレームに一体に連結されたダイヤルボタンユニット、または電話機の各種機能を実行させる為の機能ボタンが前記フレームに一体に連結された機能ボタンユニット、あるいは前記ダイヤルボタンユニットと前記機能ボタンユニットとを一体化したもの、のいずれかからなる。」(3頁左欄37行?右欄9行)
ニ.「【0020】このような本発明によれば、電話機において電話機本体の上筐体に装着される化粧パネルが電話機表面側から特別な工具を使用せずに着脱可能となり、且つ電話機本体の上筐体表面部の一部を凹部とし、その凹部内に弾性を有する変形可能なヒンジにて各ボタン類を連結構成したボタンユニットが着脱可能な構造であり、電話機の上筐体と化粧パネルによってボタンユニットを挟み込み固定することが出来る。
【0021】即ち、ボタン類で特に1?*までの12個のキーからなるダイヤルボタンと称されるダイヤルボタンユニットと、電話機の各種機能を実行させる為の機能ボタンと称される機能ボタンユニットとが、化粧パネルの下側に着脱可能な状態で装着され、これら各ボタンユニットが電話機の上筐体表面部側から化粧パネルと同様に容易に着脱可能な形で実装される。」(3頁右欄26行?40行)

上記イ?ニの記載、及びこの分野の技術常識によれば、引用例2には、以下の発明が開示されているものと認められる。
「ダイヤルボタンを備えた電話機において、前記ダイヤルボタンをユニット化し、電話機本体を分解することなく電話機本体の表面側から着脱できるようにした電話機」

C.同じく、拒絶査定の拒絶理由で引用された実願平3-58342号(実開平5-6961号)のCD-ROM(以下、「引用例3」という)には、「ボタン電話機」の発明に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。
イ.「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は有線電話設備等に用いられるボタン電話機に関し、特に、量産性に適したボタン電話機の構造に関する。」(4頁2行?5行)
ロ.「【0003】
【考案が解決しようとする課題】
・・・(中略)・・・ 本考案の目的は、前述したような従来のボタン電話機の構造上の問題に鑑み、・・・(中略)・・・多種類のボタン電話機を生産工程で同時に作り分けることができ、需要者の後からの要望に容易に対応できるボタン電話機構造を得るにある。」(4頁17行?5頁17行)
ハ.「【0010】
図示実施例によるボタン電話機は、以上に述べたような構造であるから、ボタン電話機の製造工程において、多数の使用のボタン電話機を合理的に生産できる。 ボタン電話機の組立に先立って、前述した表示器アセンブリ10・・・(中略)・・・選択ボタンアセンブリ11・・・(中略)・・・はユニット化されているので、ボタン電話機の製造ラインとは別の独立したサブアセンブリラインで完成できる。・・・(中略)・・・ 。
【0011】
詳細にいうと、表示器取付部Xに表示器アセンブリ10・・・(中略)・・・を取付けるには、表示器アセンブリ10・・・(中略)・・・の抜止めフック10cを上ケース9の逃げ穴15に挿入し、上ケース9の手前方向に表示器アセンブリ10をスライドさせると、表示器アセンブリ10・・・(中略)・・・のロック爪10dが上ケース9のロック溝16に落込むので、ボタン電話機ケースに表示器アセンブリ10・・・(中略)・・・を完全に固定できる。この場合、表示器アセンブリ10のスライドにより、キーボード基板1の表示器コネクタ12に表示器アセンブリ10の表示器プラグ14が自動的に係合するから、上ケース9とキーボード基板1との間の電気的な接続も自動的に完了する。また、選択ボタン取付部Yに・・・(中略)・・・選択ボタンアセンブリ11を取付けるには、・・・(中略)・・・選択ボタンアセンブリ11の引掛フック11c を上ケース9の引掛溝18に、弾性爪11dをロック溝16にそれぞれ一致させ、・・・(中略)・・・選択ボタンアセンブリ11を上ケース9の表面に強く押付けると、弾性爪11dが対応ロック溝16に弾力的に係合するので、ボタン電話機ケースに・・・(中略)・・・選択ボタンアセンブリ11を完全に固定できる。この固定状態にあっては、図6に示すように、コントロールユニット基板2のユニットコネクタ13に選択ボタンアセンブリ11のユニットプラグ17が完全に係合された状態にあるから、コントロールユニット基板2と選択ボタンアセンブリ11との間の電気的接続を改めて行う必要はない。」(8頁8行?9頁15行)

上記イ?ハの記載、及びこの分野の技術常識によれば、引用例3には、以下の発明が開示されているものと認められる。
「ラインボタン(選択ボタン)と表示器をそれぞれユニット化したボタン電話機」

(3)対比・判断
引用発明と補正後の発明とを対比すると、
イ.引用発明は、「電話機本体1と、ダイヤルボタン部2と、前記電話機本体1に対し、その表面側から着脱可能に構成された回線選択スイッチ部7と表示部8とを有する補助パネル5とを備え」ており、前記「補助パネル5」は、「ラインボタン・表示器ユニット」ということができるから、
ダイヤルボタン部が「ダイヤルボタンユニット」にユニット化されている点、及びラインボタンと表示器とが「ラインボタンユニットと、該ラインボタンユニットと着脱可能な表示器ユニット」に個別にユニット化されている点を除き、「電話機本体と、ダイヤルボタンと、前記電話機本体と着脱可能に構成されたラインボタン・表示器ユニットとを備え」ている点で補正後の発明と一致する。
ロ.引用発明は、「補助パネル5を電話機本体1の前面に設けた凹所3内に装着するとともに、前記補助パネル5に設けた第2コネクター6を前記電話機本体1に設けた第1コネクター4に結合することにより、前記電話機本体1と前記補助パネル5とを電気的、及び機械的に一体・結合するようにした」もので、電話機本体を分解することなく前記電話機本体の表面側から着脱できるものであるから、
ラインボタン・表示器ユニットが「ラインボタンユニットと、該ラインボタンユニットと着脱可能に構成された表示器ユニット」で構成され、また、「前記表示器ユニットが前記ラインボタンユニットにスライド装着されることにより当該ラインボタンユニットを介して前記電話機本体に装着され」る点を除き、「前記ラインボタン・表示器ユニットが、電話機本体を分解することなく前記電話機本体の表面側から着脱できるように取り付けられている」点で、補正後の発明と一致する。
ハ.引用発明は、「ボタン電話装置等の電話機」であるから、「ボタン電話機」である点で補正後の発明と一致する。

したがって、補正後の発明と引用発明は、以下の点で一致ないし相違する。

(一致点)
「電話機本体と、ダイヤルボタンと、前記電話機本体と着脱可能に構成されたラインボタン・表示器ユニットとを備え、
前記ラインボタン・表示器ユニットが、電話機本体を分解することなく前記電話機本体の表面側から着脱できるように取り付けられているボタン電話機」

(相違点1)
補正後の発明は、ダイヤルボタンが「該電話機本体と着脱可能に構成されたダイヤルボタンユニット」で構成され、また、該「ダイヤルボタンユニット」が「電話機本体を分解することなく前記電話機本体の表面側から着脱できるように取り付けられている」のに対して、引用発明はその点について明示しない点。

(相違点2)
補正後の発明は、ラインボタン・表示器ユニットが「ラインボタンユニットと、該ラインボタンユニットと着脱可能に構成された表示器ユニット」で構成され、また、「前記表示器ユニットが前記ラインボタンユニットにスライド装着されることにより当該ラインボタンユニットを介して前記電話機本体に装着され」るのに対して、引用発明はその点について明示しない点。

そこで、まず、相違点1について検討する。
引用例2には、「ダイヤルボタンを備えた電話機において、前記ダイヤルボタンをユニット化し、電話機本体を分解することなく電話機本体の表面側から着脱できるようにした電話機」の発明が記載されている。そして、引用例2に記載された発明は、ダイヤルボタンを備えた電話機である点で引用発明と技術分野を同じくし、当該発明を引用発明に適用することを阻害する特段の理由は見あたらないから、引用例2に記載された発明を引用発明に適用してダイヤルボタンを「該電話機本体と着脱可能に構成されたダイヤルボタンユニット」で構成し、また、該「ダイヤルボタンユニット」を「電話機本体を分解することなく前記電話機本体の表面側から着脱できるように取り付けられている」ものとすることは、当業者が容易になし得ることである。
次に、相違点2について検討する。
補正後の発明は、ラインボタンと表示器をそれぞれユニット化し、該表示器ユニットをラインボタンユニットを介して電話機本体(これもユニットといえる)に装着し、これらを縦続的に結合、一体化するものであるところ、引用例3に記載されているように、ボタン電話機において、ラインボタン(選択ボタン)と表示器をそれぞれユニット化することは公知であり、また、一般に、複数の電気部品をユニット化し、これらユニット化部品を縦続的に結合、一体化する構成は周知(特開平7-99553号公報(段落0048?0050等)、特開平4-200184号公報(1頁右下欄19行?2頁右上欄7行、左下欄17行?右下欄15行等)参照)と認められる。更に、ユニット化部品を機器本体にスライド装着により結合することも周知(前掲引用例3(段落0010?0011等)、特開昭53-110305号公報(2頁左上欄5行?右上欄10行等)参照)と認められる。
そして、これらの公知、及び周知技術を引用発明に適用することを阻害する特段の要因は見あたらないから、これらの公知、及び周知技術を引用発明に適用して、ラインボタン・表示器ユニットを「ラインボタンユニットと、該ラインボタンユニットと着脱可能に構成された表示器ユニット」で構成し、また、「前記表示器ユニットが前記ラインボタンユニットにスライド装着されることにより当該ラインボタンユニットを介して前記電話機本体に装着され」るものとすることは、当業者が容易になし得ることである。

そして、補正後の発明による作用効果は、引用例1?3に記載された発明、及び周知技術から容易に予測できる範囲内のものであり、格別のものではない。

(4)まとめ
以上のとおり、補正後の発明は、引用例1?3に記載された発明、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
以上のとおり、本件補正は、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第17条の2第5項の規定により準用する特許法第126条第5項の規定に適合していない。
したがって、本件補正は、特許法第159条第1項において準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
平成18年6月1日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成18年2月17日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのもの(第2.1.(1)補正前の発明、参照)と認める。

2.引用例に記載された発明
引用例に記載された発明は、上記第2.3.(2)で認定したとおりである。

3.対比・判断
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、本願発明は上記補正後の発明から当該補正に係る限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成に当該補正に係る限定を付加した補正後の発明が、上記第2.3.(3)で検討したとおり、引用例1?3に記載された発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が容易に発明できたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1?3に記載された発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-05-23 
結審通知日 2008-05-28 
審決日 2008-06-17 
出願番号 特願2003-19016(P2003-19016)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04M)
P 1 8・ 575- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 萩原 義則  
特許庁審判長 山本 春樹
特許庁審判官 竹井 文雄
梶尾 誠哉
発明の名称 ボタン電話機及びボタン電話システム  
代理人 池田 憲保  
代理人 福田 修一  
代理人 佐々木 敬  

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