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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02C
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02C
管理番号 1181953
審判番号 不服2007-15364  
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-05-31 
確定日 2008-07-31 
事件の表示 特願2004-355001「眼鏡」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 6月22日出願公開、特開2006-163019〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成16年12月8日の出願(特願2004-355001号)であって、平成19年4月26日付で拒絶査定がなされ、これに対して、平成19年5月31日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、平成19年7月2日付で手続補正がなされたものである。

2.平成19年7月2日付の手続補正についての補正却下の決定について

[補正却下の決定の結論]
平成19年7月2日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

2-1 補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲は、平成19年4月2日付手続補正書の特許請求の範囲の記載の、
「 【請求項1】
テンプル部とテンプル部の先端に設けられるモダン部とを有する眼鏡であって、このモダン部は、
モダン部に設けられた開口部と、
この開口部に連なる有底のバランスウェイト収納孔と、
このバランスウェイト収納孔に上記開口部を通して着脱可能に収納され、眼鏡の重心を調整するバランスウェイト部材と、
を備え、
上記開口部は、眼鏡のモダン部の後方先端に設けられ、
上記バランスウェイト収納孔は、このモダン部の後方先端に設けられた開口部から概ねモダン部の軸に沿って設けられるとともに、内壁に雌ねじ部を有し、
上記バランスウェイト部材は、バランスウェイト収納孔の内壁の雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を外周に有するとともに、ドライバー工具でバランスウェイト部材を回動させてバランスウェイト収納孔に螺合させるねじ頭を端部に有していることを特徴とする眼鏡。
【請求項2】
上記バランスウェイト部材は、タングステン素材からなることを特徴とする請求項1に記載の眼鏡。
【請求項3】
上記バランスウェイト部材と上記バランスウェイト収納孔とは、複数の異なる重さのバランスウェイト部材の中から、バランスウェイト部材を選択してバランスウェイト収納孔に収納可能なように形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の眼鏡。
【請求項4】
上記バランスウェイト部材の重さは、概ね眼鏡のレンズの重さと同等に設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の眼鏡。」が

「 【請求項1】
テンプル部とテンプル部の先端に設けられるモダン部とを有する眼鏡であって、このモダン部は、
モダン部に設けられた開口部と、
この開口部に連なる有底のバランスウェイト収納孔と、
このバランスウェイト収納孔に上記開口部を通して着脱可能に収納され、眼鏡の前後方向および左右方向での重心バランスを調整するバランスウェイト部材と
を備え、
上記開口部は、眼鏡のモダン部の後方先端に設けられ、
上記バランスウェイト収納孔は、このモダン部の後方先端に設けられた開口部から概ねモダン部の軸に沿って設けられるとともに、内壁に雌ねじ部を有し、
上記バランスウェイト部材は、バランスウェイト収納孔の内壁の雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を外周に有するとともに、ドライバー工具でバランスウェイト部材を回動させてバランスウェイト収納孔に螺合させるねじ頭を端部に有し、かつ左右の上記バランスウェイト部材の重さは、概ね眼鏡の左右のレンズの重さと同等に設定されていることを特徴とする眼鏡。
【請求項2】
上記バランスウェイト部材は、タングステン素材からなることを特徴とする請求項1に記載の眼鏡。
【請求項3】
上記バランスウェイト部材と上記バランスウェイト収納孔とは、複数の異なる重さのバランスウェイト部材の中から、バランスウェイト部材を選択してバランスウェイト収納孔に収納可能なように形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の眼鏡。」(以下、「本願補正発明」という。)と補正された。

そして、この補正は、
(a)補正前の請求項1の「眼鏡の重心を調整する」を「眼鏡の前後方向および左右方向での重心バランスを調整する」に限定した補正、
(b)補正前の請求項1に補正前の請求項4の内容を追加するとともに、「バランスウェイト部材の重さ」、「レンズの重さ」のそれぞれが「左右のバランスウェイト部材の重さ」、「左右のレンズの重さ」であることを限定した補正、
(c)請求項4を削除する補正
からなる。
上記(a)の補正は、調整する重心について「前後方向および左右方向で」重心であることを具体的に限定したものであるといえるから、特許請求の範囲のいわゆる限定的減縮を目的とするものに該当する。
上記(b)の補正は、「バランスウエイト」に関して、その重さについて具体的に限定したものであるから、特許請求の範囲のいわゆる限定的減縮を目的とするものに該当する。
上記(c)の補正は、請求項の削除を目的とする補正であることは明らかである。
すなわち、上記補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第1号及び2号に掲げる事項を目的とするものである。

2-2 独立特許要件違反についての検討
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合するか)について検討する。

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である実願昭62-138179号(実開昭64-43328号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、以下の点が記載されている。

ア.「3.考案の詳細な説明
[考案の目的]
(産業上の利用分野)
本考案は近視用、遠視用、乱視用、老眼及びサングラス用眼鏡フレームに関する。
(従来の技術)
従来の眼鏡フレームは、眼鏡の重量を鼻部と耳部で支持させており、その重量配分はレンズやフレームの種類・材質によって異なるが通常約80%鼻部が負担している。」(第1ページ第15行?第2ページ第4行)

イ.「[考案の構成]
(問題点を解決するための手段)
本考案は眼鏡フレームの耳部支点の後方に前方の重量とほぼ釣り合うバランスウェイトを設け、鼻部に掛かる荷重を減少させ、その装着感を和らげ、通常の作業や生活時の使いやすさを狙ったものである。このために、本考案の眼鏡フレームは、つるの耳部支点より後方にバランスウェイトを設け、眼鏡後部重心に掛かる荷重を大きくすることにより、耳部支点前方の重量によるモーメントを小さくし、眼鏡の重心位置を後方へ移して鼻部支点に掛かる荷重を極力減少させてある。
(作用)
眼鏡全体の重心が耳部支点近くに移動することにより、鼻部支点には荷重僅かに掛かるだけとなり、使用時の痛みやいらいらから開放される。」(第2ページ第11行?第3ページ第8行)

ウ.「(実施例)
以下に、添付の図面を参照しながら本考案にかかる眼鏡フレームの実施例を説明する。
眼鏡は図1に示すように、眼鏡レンズ1および眼鏡フレームより構成され、眼鏡フレームはつる2により耳部で固定されるが、つるの耳部支点5より後方にバランスウェイト3を設け、眼鏡後部重心6に掛かる荷重を大きくすることにより、耳部支点前方の重量によるモーメントが小さくなり、眼鏡の重心位置は7から8へと後方へ移る。この結果、鼻部支点4に掛かる荷重を減らすことができる。
バランスウェイトの材質は金属、ガラス、セラミック、石材、人工石材、プラスチックまたはそれ等の複合材料群の中から選ばれる。
バランスウェイトの形態は第2図(a)(b)(c)に示すようにバランスウェイトがつるに固定されているものと、第2図(d)(e)(f)に示すようなバランスウェイトがつるに着脱出来るものが考えられる。
バランスウェイトの決定は眼鏡レンズおよびフレームの重量と着用する個人の頭(顔)のサイズによるが、例えば、従来型の30gの眼鏡で約24g鼻部荷重があるとすれば、図1において a=9cm b=3cmとして
W < 24×a / 2×3×b = 36(g)
(但し W:片側バランスウエイトの重量)
となり、バランスウェイトとして33?35gのものを設けるとよい。」(第3ページ第9行?第4ページ第17行)

エ.第1図には本考案にかかる眼鏡の側面図が記載され、バランスウェイトが眼鏡つるの耳部支点よ後方に設けられていること、ウェイトありの場合(バランスウェイトを取り付けた場合)の眼鏡全体の重心が鼻部支点と耳部支点の間の位置にあることが読み取れる。

オ.また、第2図には、バランスウェイトの各種態様を示す部分側面図が記載されており、特に、第2図の(e)には、眼鏡つるの後方端に開口部があり、該開口部に連なる孔にバランスウェイトが収納されていることが読み取れる。
そして、上記記載事項ウ.の「第2図(d)(e)(f)に示すようなバランスウェイトがつるに着脱出来るもの」と合わせて読むと、第2図の(e)のものは、バランスウェイトが着脱自在に収納されているものが記載されているといえる。
また、第2図(e)より、上記のバランスウェイトの収納孔は、概ね、つるの耳支点部よりも後方の部分の軸に沿って設けられていることも読み取れる。

上記記載事項ア.乃至オ.の記載から、
・「眼鏡レンズ1および眼鏡フレームより構成され、眼鏡フレームはつる2により耳部で固定される」ものであること、
・「つるの後方端に開口部があり、該開口部に連なる孔にバランスウェイトが着脱自在に収納されている」こと、
・「つるの耳部支点より後方にバランスウェイトを設け、眼鏡後部重心に掛かる荷重を大きくすることにより、耳部支点前方の重量によるモーメントを小さくし、眼鏡の重心位置を後方へ移して鼻部支点に掛かる荷重を極力減少させてある」こと、
・「バランスウェイトの収納孔は、概ね、つるの耳支点部よりも後方の部分の軸に沿って設けられている」こと、
が記載事項として抽出される。

よって、引用例1には、
「眼鏡フレームを耳部で固定するためのつるを有する眼鏡であって、、
つるの後方部に設けられた開口部と、
該開口部に連なる孔と、
該孔に着脱自在に収納されるバランスウェイトであって、
該バランスウェイトにより、眼鏡後部重心に掛かる荷重を大きくすることにより、耳部支点前方の重量によるモーメントを小さくし、眼鏡の重心位置を後方へ移して鼻部支点に掛かる荷重を極力減少させるバランスウェイトと
を備え、
上記開口部はつるの後方部の後方端に設けられ、
上記孔は、概ね、つるの耳支点部よりも後方の部分の軸に沿って設けられている眼鏡。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

(2)対比
ここで、本願補正発明と引用発明を対比する。
引用発明における眼鏡の「つる」が、本願補正発明の眼鏡の「テンプル部とテンプル部の先端に設けられるモダン部」に相当し、そして、引用発明の「つるの後方部」が、本願補正発明の「モダン部」に相当する。また、引用発明の「開口部」「孔」は、それぞれ、本願補正発明の「開口部」「有底のバランスウェイト収納孔」に相当する。
また、引用例1における記載事項イ.の「該バランスウェイトにより、眼鏡後部重心に掛かる荷重を大きくすることにより、耳部支点前方の重量によるモーメントを小さくし、眼鏡の重心位置を後方へ移して鼻部支点に掛かる荷重を極力減少させる」の記載より、引用発明のバランスウェイトは「眼鏡の前後方向での重心バランスを調整する」ものであることは明らかであるから、引用発明のバランスウェイトと本願補正発明のバランスウェイトは「眼鏡の前後方向での重心バランスを調整するバランスウェイト部材」である点で一致している。

したがって、引用発明と本願補正発明とは、
「テンプル部とテンプル部の先端に設けられるモダン部とを有する眼鏡であって、このモダン部は、
モダン部に設けられた開口部と、
この開口部に連なる有底のバランスウェイト収納孔と、
このバランスウェイト収納孔に上記開口部を通して着脱可能に収納され、眼鏡の前後方向での重心バランスを調整するバランスウェイト部材と
を備え、
上記開口部は、眼鏡のモダン部の後方先端に設けられ、
上記バランスウェイト収納孔は、このモダン部の後方先端に設けられた開口部から概ねモダン部の軸に沿って設けられる眼鏡。」の点で一致し、以下の各点で相違する。

相違点1;
本願補正発明は、前後方向の重心とともに「左右方向の重心」も調節するものであるのに対し、引用発明においては、その点の限定がない点。

相違点2;
バランスウェイトの取付方に関連する構造に関して、本願補正発明のバランスウェイにおいては「バランスウェイト収納孔の内壁に雌ねじ部を有し、バランスウェイト部材は、バランスウェイト収納孔の内壁の雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を外周に有するとともに、ドライバー工具でバランスウェイト部材を回動させてバランスウェイト収納孔に螺合させるねじ頭を端部に有する」ものであると特定し、「ねじによって取り付けた」上記の取付方を限定したものであるのに対し、引用発明においてはそのような限定がない点。

相違点3;
本願補正発明は、「左右のバランスウェイト部材の重さは、概ね眼鏡の左右のレンズの重さと同等に設定されている」と特定したもの、すなわち、左右のバランス部材の重さと左右のレンズの重さを直接比較して同等としたものであるのに対し、引用発明においてはその点の限定がない点。

(3)当審の判断
以下、各相違点について検討する。
(3-1)相違点1について
相違点1の検討にあたり、まず、相違点1の事項は、相違点3の事項と技術的と矛盾することは明らかであり、この点からも相違点1については、格別に技術的意義を有する事項ではないことを窺い知ることができる。この点について説明すれば、相違点3において「左右のバランスウェイト部材の重さは、概ね眼鏡の左右のレンズの重さと同等に設定されている」としているところ、例えば、左のレンズが右のレンズより重い場合においては、左右のバランスウェイト部材の重さを、概ね眼鏡の左右のレンズの重さと同等に設定すれば、全体として左側が重いままで、左右のバランスがとれないこととなり、バランス調整をすることはできないのである。また、左右のレンズが同じ重さであれば、そもそも、バランスウェイトによって調整する必要もないものである。
次に、眼鏡において、左右の重量にアンバランスが生じた場合にバランスをとることは当然に要求される周知の課題であり、また、左右の重量バランスをとるためモダン部にウェイトを取り付けることは、例えば、特開2004-245900号公報(【0032】)にも記載されているように周知の技術であるから、引用発明のつるの後方に収納されたバランスウェイトにおいても、左右のバランスを調整するように設計され、上記相違点1に係る発明特定事項を得ることは当業者が容易に想到し得た事項である。

(3-2)相違点2について
バランスウェイトの取付方として、内面に雌ねじを設けた孔内に、バランスウェイトの外周部の雄ねじにより螺合して取り付けるものは、例えば、特開平10-238594号公報(【0008】【図1】)にも記載されているように、種々の技術分野で用いられている周知の技術である。
そして、引用発明及び上記周知例のバランス調整という機能の共通性にかんがみて、引用発明に上記周知技術を採用し、引用発明のバランスウェイトの取付方として、「内面に雌ねじを設けた孔内に、バランスウェイトの外周部の雄ねじにより螺合して取り付ける」ように設定することは当業者が容易に想到し得た事項である。なお、上記の周知技術の採用にあたり、ドライバー工具で回転させてバランスウェイトを螺合するためのねじ頭を設けることは、周知の技術であり、当業者が容易に想到し得た事項に過ぎない。
また、眼鏡の技術分野においても、バランス調整機能を有する部材の取付けにおいて、螺合によって取り付けること自体は、例えば、特開2004-184819号公報(【0075】【0101】【図7】)等にも記載されているように周知の技術である。
引用発明と上記周知技術の、技術分野の共通性及びバランス調整という機能の共通性にかんがみて、引用発明のバランスウェイトの取付方として、螺合により取り付ける点を取り入れて、上記相違点2に係る発明特定事項を得ることは当業者が容易に相違し得ることである。なお、バランスウェイトの取付方として螺合を採用した際に、具体的構造として「バランスウェイト収納孔の内壁に雌ねじ部を有し、バランスウェイト部材は、バランスウェイト収納孔の内壁の雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を外周に有するとともに、ドライバー工具でバランスウェイト部材を回動させてバランスウェイト収納孔に螺合させるねじ頭を端部に有する」構造とすることは、周知技術を勘案して当業者が容易に設定し得る設計的事項である。
以上のとおりであるから、いずれにしても、上記相違点2については、上記周知技術を勘案して当業者が容易に想到し得た事項である。

(3-3)相違点3について
相違点3については、まず第1に、左右のバランス関係に関しては、「(3-1)相違点1について」でも述べたように、相違点1との関係で矛盾を含むものである。
第2に、「バランスウェイト部材の重さ」及び「レンズの重さ」を直接比較することに関しては、例えば、特開昭55-48284号公報(第1ページ左欄第28行?同ページ右欄第5行)にも、上記の「左右のバランスウェイト部材の重さ」及び「眼鏡の左右のレンズの重さ」を「重心位置からの距離」との関係で直接規定する点が記載されていることからも窺えるように、「左右のバランスウェイト部材の重さ」及び「「眼鏡の左右のレンズの重さ」を眼鏡のバランスの要素とすることは、技術常識ともいえる周知の事項である。
第3に、前後のバランス関係に関しては、引用発明における上記記載事項ア.及びイ.からもわかるように、引用発明は、従来、通常約80%鼻部が負担していた荷重を、眼鏡の重心位置を後方へ移して鼻部支点に掛かる荷重を極力減少させたものである。そして、従来において鼻部が負担していた荷重を耳部に移動させる程度を、種々の可能性の中から選択して、一例として、バランスウェイトの重量を上記記載事項ウ.のように設定したものであるから、耳部及び鼻部の負担の割合の要請によっては上記バランスウェイトの重量以外の他の選択が可能であることを、否定したものではない。
そして、眼鏡の重心位置を後方へどの程度うつすかについては、ユーザの要求に応じて当業者が自由に設定し得るものであるから、重心を適宜位置に移すために、(左右の)バランスウェイト部材の重さを、概ね眼鏡の(左右の)レンズの重さと同等に設定することは当業者が容易に想到し得た事項である。

したがって、本願補正発明は、引用例1に記載された発明、及び従来周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願補正発明は、引用例1に記載された発明、及び従来周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、本件補正は、特許請求の範囲の減縮に該当するとした場合、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成19年7月2日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成18年4月2日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「2-1 補正後の本願発明」で記載したとおりである。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物の記載事項は、上記「2-2 独立特許要件違反についての検討」の「(1)引用例」に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、本願補正発明から、上記「2-1 補正後の本願発明」で述べた、「いわゆる限定的減縮を目的とした補正」を含まないものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「2-2 独立特許要件違反についての検討」において記載したとおり、引用例1に記載された発明、及び従来周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用例1に記載された発明、及び従来周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明、及び従来周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-05-27 
結審通知日 2008-06-03 
審決日 2008-06-16 
出願番号 特願2004-355001(P2004-355001)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02C)
P 1 8・ 575- Z (G02C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井上 信  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 安田 明央
森林 克郎
発明の名称 眼鏡  
代理人 伊藤 孝夫  
代理人 小谷 悦司  
代理人 樋口 次郎  

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