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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 特29条特許要件(新規) 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1182103
審判番号 不服2004-6283  
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-03-30 
確定日 2008-08-06 
事件の表示 特願2001-284331「翻訳発注管理方法,管理装置,管理プログラムおよび記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 3月28日出願公開、特開2003- 91666〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年9月19日の出願であって、平成16年2月23日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年3月30日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。

2.平成16年3月30日付の手続補正について
平成16年3月30日付の手続補正(以下「本件補正」という。)により、請求項1は、
「各翻訳者の翻訳言語の情報,翻訳分野の情報,および少なくとも各翻訳者の翻訳能力に基づき設定される順位情報としてのランクの情報を各翻訳者別の情報として記憶する翻訳者データ記憶手段と、各翻訳者のスケジュールの情報を記憶する翻訳者スケジュール記憶手段と、言語選別手段と、分野選別手段と、ランク選別手段と、スケジュール選別手段とを備え、これら各手段を用いて、翻訳者への発注管理を行なう翻訳発注管理方法であって、
前記言語選別手段が、翻訳元言語の情報と翻訳先言語の情報とに基づき翻訳者の情報を選別するステップと、
前記分野選別手段が、翻訳分野の情報に基づき翻訳者の情報を選別するステップと、
前記ランク選別手段が、前記翻訳者データ記憶手段からの翻訳者のランクの情報をレベルフィルタに通すことによって翻訳者の情報を選別するステップと、
前記スケジュール選別手段が、前記翻訳者スケジュール記憶手段からのスケジュールの情報と翻訳者を特定する信号との入力を受け、当該翻訳者に既に発注している他の案件がある場合に、七曜表示のカレンダの該当日に案件有りの目印と残件数とを付して画面表示させるためのデータを作成するステップと、
を具備することを特徴とする翻訳発注管理方法。」
と補正された。
本件補正は、補正前の「前記選別手段」を「前記分野選別手段」に変更する補正事項であり、それより前の記載において「選別手段」は記載されておらず、明細書及び図面の記載からみて、当該「選別手段」が「分野選別手段」に相当すると認められるので、当該「選別手段」が「分野選別手段」の誤記であることは明らかであり、当該補正事項は誤記を訂正するものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項第3号に掲げられた誤記の訂正を目的とするものに該当するので、本件補正は適法になされたものである。

3.請求項1の記載について
以上のとおり、平成16年3月30日付の手続補正は適法になされたものであるので、請求項1の記載は、平成16年3月30日付の手続補正書により補正された請求項1に記載されたとおりの以下のものである。
「各翻訳者の翻訳言語の情報,翻訳分野の情報,および少なくとも各翻訳者の翻訳能力に基づき設定される順位情報としてのランクの情報を各翻訳者別の情報として記憶する翻訳者データ記憶手段と、各翻訳者のスケジュールの情報を記憶する翻訳者スケジュール記憶手段と、言語選別手段と、分野選別手段と、ランク選別手段と、スケジュール選別手段とを備え、これら各手段を用いて、翻訳者への発注管理を行なう翻訳発注管理方法であって、
前記言語選別手段が、翻訳元言語の情報と翻訳先言語の情報とに基づき翻訳者の情報を選別するステップと、
前記分野選別手段が、翻訳分野の情報に基づき翻訳者の情報を選別するステップと、
前記ランク選別手段が、前記翻訳者データ記憶手段からの翻訳者のランクの情報をレベルフィルタに通すことによって翻訳者の情報を選別するステップと、
前記スケジュール選別手段が、前記翻訳者スケジュール記憶手段からのスケジュールの情報と翻訳者を特定する信号との入力を受け、当該翻訳者に既に発注している他の案件がある場合に、七曜表示のカレンダの該当日に案件有りの目印と残件数とを付して画面表示させるためのデータを作成するステップと、
を具備することを特徴とする翻訳発注管理方法。」

4.原査定の拒絶の理由の概要
平成15年9月12日付の拒絶理由通知及び平成16年2月23日付の拒絶査定の記載からみて、原査定の拒絶の各理由の概要は以下のとおりである。
(A)特許法第29条第1項柱書の規定に関する理由(以下「理由1」という。)について
「この出願の下記の請求項に係る発明は、下記の点で特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないので、特許を受けることができない。


請求項1-8では、全体として自然法則を利用しているとは言えず、特許法上の「発明」に該当しないものと認められる。

(B)特許法第36条第6項第2号の規定に関する理由(以下「理由2」という。)について
「この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。


(1)請求項1-3に記載された「方法」は各処理を行っている主体何か不明確。
すなわちコンピュータが行う方法であるのか、人が行う方法であるのか不明確である。
(人が行う方法が含まれている場合には、全体として自然法則を利用したものとは認められないことに留意されたい。)

(2)請求項1-3に記載された「方法」の各処理(「ステップ」等)が不明確である。
「・・に基づき・・発注管理を行う・・」「・・・に基づき翻訳者を選別する」、「・・考慮して翻訳者を選別する」、「・・関連付けて記憶する」「・・総合評価に基づき設定される」等の処理は、具体的に如何なる構成による如何なる処理であるのか不明確である。
(中略)

よって、請求項1-8に係る発明は明確でない。」
なお、拒絶査定において、[理由2]について「第36条第4項」と記載されているが、拒絶理由通知では理由2が特許法第36条第6項第2号の規定に関するものであることを明示しており、また、拒絶査定の備考の[理由2]についての「補正後の請求項においても、請求項1-8に記載された発明は、不明確なままである。」の記載からみて、特許請求の範囲の記載について述べていることからみて、「第36条第4項」は、「第36条第6項第2号」の誤記であることは明らかであるので、「特許法第36条第4項」は、「特許法第36条第6項第2号」の誤記として扱うものとする。

(C)特許法第36条第4項の規定に関する理由(以下「理由3」という。)について
「この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。


全体的に定義及び構成が不明確である。

システムが有する各々の機能が概略的に記載されているものの、該機能を実現するために、ソフトウェア及びハードウェアがどのように構成されているのかが記載されておらず、不明確である。
(中略)
よって、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1-12に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない。」

(D)特許法第29条第2項の規定に関する理由(以下「理由4」という。)について
「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

・請求項1-12
・引用例1-3
・備考

引 用 文 献 等 一 覧

1.朝比奈明日香,トランスマート「TRANSMART」,
日経ネットビジネス,日経BP社,2001年 3月10日,
第70巻,P.94-95
2.特開平05-298331号公報」

5.理由1についての当審の判断
発明の詳細な説明の記載からみて、「言語選別手段」、「分野選別手段」、「ランク選別手段」、および「スケジュール選別手段」は、実質的には、コンピュータであるので、この発明の実施にソフトウエアを必要するところの、いわゆるコンピュータ・ソフトウエア関連発明である。
そして、こうしたコンピュータ・ソフトウエア関連発明が、「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるためには、発明はそもそもが一定の技術的課題の解決手段になっていなければならないことから、ハードウエア資源を利用したソフトウエアによる情報処理によって所定の技術的課題を解決できるような特有の構成が具体的に提示される必要があるというべきである。
そこで、請求項1に記載された発明が、ハードウエア資源を利用したソフトウエアによる情報処理によって所定の技術的課題を解決できるような構成が具体的に提示されているかどうか請求項1の記載を便宜上以下のとおりに分けて検討する。
(a)「各翻訳者の翻訳言語の情報,翻訳分野の情報,および少なくとも各翻訳者の翻訳能力に基づき設定される順位情報としてのランクの情報を各翻訳者別の情報として記憶する翻訳者データ記憶手段と、各翻訳者のスケジュールの情報を記憶する翻訳者スケジュール記憶手段と、言語選別手段と、分野選別手段と、ランク選別手段と、スケジュール選別手段とを備え、これら各手段を用いて、翻訳者への発注管理を行なう翻訳発注管理方法であって、」
(b)「前記言語選別手段が、翻訳元言語の情報と翻訳先言語の情報とに基づき翻訳者の情報を選別するステップと、」
(c)「前記分野選別手段が、翻訳分野の情報に基づき翻訳者の情報を選別するステップと、」
(d)「前記ランク選別手段が、前記翻訳者データ記憶手段からの翻訳者のランクの情報をレベルフィルタに通すことによって翻訳者の情報を選別するステップと、」
(e)「前記スケジュール選別手段が、前記翻訳者スケジュール記憶手段からのスケジュールの情報と翻訳者を特定する信号との入力を受け、当該翻訳者に既に発注している他の案件がある場合に、七曜表示のカレンダの該当日に案件有りの目印と残件数とを付して画面表示させるためのデータを作成するステップと、」
(f)「を具備することを特徴とする翻訳発注管理方法。」

上記(a)の記載について検討すると、請求項1に係る発明の翻訳発注管理方法を実行するために用いる手段を特定するに留まる。

上記(b)の記載について検討すると、上記(b)には、ハードウエア資源について何も記載されておらず、また、翻訳元言語の情報と翻訳先言語の情報をどのように情報処理して翻訳者の情報をどのように選別するのか具体的に提示されていないので、上記(b)の記載は、言語選別手段が実行する処理の概要を「翻訳元言語の情報と翻訳先言語の情報とに基づき翻訳者の情報を選別する」に特定するに留まり、上記(b)の記載では、当該選別の処理が、ハードウエア資源をどのように用いて実現されるのか具体的に提示されているとは認められない。

上記(c)の記載について検討すると、上記(c)には、ハードウエア資源について何も記載されておらず、また、翻訳分野の情報をどのように情報処理して翻訳者の情報をどのように選別するのか具体的に提示されていないので、上記(c)の記載は、分野選別手段が実行する処理の概要を「翻訳分野の情報に基づき翻訳者の情報を選別する」ことに特定するに留まり、上記(c)の記載では、当該選別の処理がハードウエア資源をどのように用いて実現されるのか具体的に提示されているとは認められない。

上記(d)の記載について検討すると、上記(d)には、ハードウエア資源として「翻訳者データ記憶手段」が記載されているものの、「翻訳者データ記憶手段」に関する記載は、翻訳者のランクの情報の格納場所を特定するにすぎず、また、ランクをどのようにして指定し、その指定したランクをどのように情報処理して翻訳者の情報を選別するのか具体的に提示されていないので、上記(d)の記載は、ランク選別手段が実行する処理の概要を「前記翻訳者データ記憶手段からの翻訳者のランクの情報をレベルフィルタに通すことによって翻訳者の情報を選別する」ことに特定するに留まり、上記(d)の記載では、当該選別の処理がハードウエア資源をどのように用いて実現されるのか具体的に提示されているとは認められない。

上記(e)の記載について検討すると、上記(e)には、ハードウエア資源として「翻訳者スケジュール記憶手段」が記載されているものの、「翻訳者スケジュール記憶手段」に関する記載はスケジュールの情報の格納場所を特定するにすぎず、また、スケジュールのどのような情報をどのように情報処理し、入力された翻訳者を特定する信号をどのように情報処理して当該翻訳者のスケジュールのそれぞれの日に残件があることを検知し、その残件が何件あるのかを算出するのか具体的に提示されていないので、上記(e)の記載は、スケジュール選別手段が実行する処理の概要を「前記翻訳者スケジュール記憶手段からのスケジュールの情報と翻訳者を特定する信号との入力を受け、当該翻訳者に既に発注している他の案件がある場合に、七曜表示のカレンダの該当日に案件有りの目印と残件数とを付して画面表示させるためのデータを作成する」ことに特定するに留まり、上記(e)の記載では、当該選別の処理がハードウエア資源をどのように用いて実現されるのか具体的に提示されているとは認められない。

上記(f)について検討すると、上記(f)の記載は、請求項1に係る発明の「翻訳発注管理方法」が、上記(b)、(c)、(d)、(e)のステップを具備することを特定するに留まる。

また、全体としても、請求項1には、ハードウエア資源として、「翻訳者データ記憶手段」および「翻訳者スケジュール記憶手段」を備えるものの、「翻訳者データ記憶手段」に関する記載が、各翻訳者の翻訳言語の情報,翻訳分野の情報,および少なくとも各翻訳者の翻訳能力に基づき設定される順位情報としてのランクの情報の記憶場所を特定するにすぎず、「翻訳者スケジュール記憶手段」に関する記載は翻訳者のスケジュールの情報の記憶場所を特定するにすぎないので、翻訳元言語の情報と翻訳先言語の情報とに基づき翻訳者の情報を選別する処理、翻訳分野の情報に基づき翻訳者の情報を選別する処理、翻訳者のランクの情報をレベルフィルタに通すことによって翻訳者の情報を選別する処理、および、翻訳者に既に発注している他の案件がある場合に、七曜表示のカレンダの該当日に案件有りの目印と残件数とを付して画面表示させるためのデータを作成する処理がこれらのハードウエア資源をどのように用いて実現されるのか具体的に提示されているとは認められない。

したがって、請求項1に係る発明は、その技術的課題を解決できるような特有の構成を提示するものではなく、一定の技術的課題の解決手段であるとはいえないから、特許法上の「発明」である「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当しないので、特許法第29条第1項柱書の規定により特許を受けることができない。

6.理由2についての当審の判断
(1)動作の主体についての記載について
請求項1の「各翻訳者の翻訳言語の情報,翻訳分野の情報,および少なくとも各翻訳者の翻訳能力に基づき設定される順位情報としてのランクの情報を各翻訳者別の情報として記憶する翻訳者データ記憶手段と、各翻訳者のスケジュールの情報を記憶する翻訳者スケジュール記憶手段と、言語選別手段と、分野選別手段と、ランク選別手段と、スケジュール選別手段とを備え、これら各手段を用いて、翻訳者への発注管理を行なう翻訳発注管理方法であって」の記載からみて、請求項1に係る発明の翻訳発注管理方法の主体が各手段とは認められず、これらの手段を道具として用いて発注を行う発注担当者などの人であると解することができると認められる。
また、「前記言語選別手段が、翻訳元言語の情報と翻訳先言語の情報とに基づき翻訳者の情報を選別するステップ」等の各ステップの記載からみて、各ステップの動作の主体は、各手段として動作するところのコンピュータと解することができると認められる。
したがって、請求項1の記載では、依然として、請求項1に係る発明の翻訳発注管理方法が、コンピュータが行う方法であるのか、人が行う方法であるのか明確であるとは認められない。

(2)各ステップの記載について
請求項1の「前記言語選別手段が、翻訳元言語の情報と翻訳先言語の情報とに基づき翻訳者の情報を選別するステップ」の記載では、言語選別手段が、発注する翻訳の翻訳元言語の情報と翻訳先言語の情報をどのようにして指定し、どのようなハードウエア資源を用いてそれらの情報をどのように情報処理して翻訳者の情報をどのように選別するのか不明である。
また、請求項1の「前記分野選別手段が、翻訳分野の情報に基づき翻訳者の情報を選別するステップ」の記載では、分野選別手段が、発注する翻訳の翻訳分野の情報をどのように指定し、その翻訳分野の情報をどのように情報処理して翻訳者の情報をどのように選別するのか不明である。
また、請求項1の「前記ランク選別手段が、前記翻訳者データ記憶手段からの翻訳者のランクの情報をレベルフィルタに通すことによって翻訳者の情報を選別するステップ」の記載では、ランク選別手段が、発注する翻訳のランクをどのように指定し、そのランクの情報をどのように情報処理して翻訳者のランクの情報をレベルフィルタに通すことによって翻訳者の情報を選別するのか不明である。
さらに、請求項1の「前記スケジュール選別手段が、前記翻訳者スケジュール記憶手段からのスケジュールの情報と翻訳者を特定する信号との入力を受け、当該翻訳者に既に発注している他の案件がある場合に、七曜表示のカレンダの該当日に案件有りの目印と残件数とを付して画面表示させるためのデータを作成するステップ」の記載では、スケジュール選別手段が、言語選別手段、分野選別手段、ランク選別手段での選別結果をどのように利用するのか不明であり、また、スケジュールの情報と翻訳者を特定する信号をどのように情報処理して、当該翻訳者に既に発注している他の案件がある場合に、七曜表示のカレンダの該当日に案件有りの目印と残件数とを付して画面表示させるためのデータを作成するのか不明である。
以上のとおり、請求項1には、システムが有する各々の機能が概略的に記載されているものの、該機能を実現するために、ソフトウエアによる処理にハードウエア資源をどのように用いて情報処理するのかが記載されておらず、明確であるとは認められない。
したがって、請求項に記載された発明は、上記(1)及び(2)の点で、明確であるとは認められないので、本件出願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

7.理由3についての当審の判断
発明の詳細な説明の記載について、検討すると、依然として以下の点で不明である。
(1)分野選別手段による処理について
発明の詳細な説明の段落【0023】-【0025】の記載では、言語選別手段で選別された情報である翻訳者リストデータのどのような情報と翻訳者データ記憶手段のどのようなデータを、どのように用いて情報処理をして選別を行うのか不明である。また、翻訳者リストデータに、科目の情報を含んでいるので、この情報により分野による選別が可能であり、翻訳者データ記憶手段のデータが必要かどうか不明である。
したがって、発明の詳細な説明において、「分野選別手段」の処理の概要が記載されているものの、具体的にどのような情報をどのように情報処理しているのか不明である。

(2)ランク選別手段による処理について
発明の詳細な説明の段落【0026】-【0028】の記載では、分野選別手段で選別された情報である翻訳者リストデータのどのような情報と翻訳者データ記憶手段のどのようなデータを、どのように用いて情報処理をして選別を行うのか不明である。また、翻訳者リストデータに、ランクの情報を含んでいるので、この情報によりランクによる選別が可能であり、翻訳者データ記憶手段のデータが必要かどうか不明である。
したがって、発明の詳細な説明において、「ランク選別手段」の処理の概要が記載されているものの、具体的にどのような情報をどのように情報処理しているのか不明である。

(3)スケジュール選別手段による処理について
段落【0022】の記載では、「各翻訳者に既に発注した案件の納期が何時で、新たな案件を発注することができるか否か等を判断するための各翻訳者のスケジュールに関する情報」が納期以外の情報として具体的にどのような情報を含むのか不明であるので、段落【0033】、【0034】および【0035】の記載では、指定した翻訳者の情報をどのように情報処理し、翻訳者スケジュール記憶手段に記憶されたどのような情報をどのように情報処理して、残っている案件の件数を算出するのか不明である。
したがって、発明の詳細な説明において、「スケジュール選別手段」の処理の概要が記載されているものの、具体的にどのような情報をどのように情報処理しているのか不明である。

(4)まとめ
以上のとおり、「分野選別手段」、「ランク選別手段」、および「スケジュール選別手段」の概要が記載されているものの、具体的にどのような情報をどのように情報処理しているのか不明であるので、発明の詳細な説明の記載が、請求項1に係る発明を当業者が容易に実施できる程度に明確かつ十分に記載されておらず、本件出願は、特許法第36条第4項の規定する要件を満たしていない。

8.理由4についての当審の判断
(1)本願発明
請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成16年3月30日付の手続補正書により補正された請求項1に記載されたとおりの以下のものである。
「各翻訳者の翻訳言語の情報,翻訳分野の情報,および少なくとも各翻訳者の翻訳能力に基づき設定される順位情報としてのランクの情報を各翻訳者別の情報として記憶する翻訳者データ記憶手段と、各翻訳者のスケジュールの情報を記憶する翻訳者スケジュール記憶手段と、言語選別手段と、分野選別手段と、ランク選別手段と、スケジュール選別手段とを備え、これら各手段を用いて、翻訳者への発注管理を行なう翻訳発注管理方法であって、
前記言語選別手段が、翻訳元言語の情報と翻訳先言語の情報とに基づき翻訳者の情報を選別するステップと、
前記分野選別手段が、翻訳分野の情報に基づき翻訳者の情報を選別するステップと、
前記ランク選別手段が、前記翻訳者データ記憶手段からの翻訳者のランクの情報をレベルフィルタに通すことによって翻訳者の情報を選別するステップと、
前記スケジュール選別手段が、前記翻訳者スケジュール記憶手段からのスケジュールの情報と翻訳者を特定する信号との入力を受け、当該翻訳者に既に発注している他の案件がある場合に、七曜表示のカレンダの該当日に案件有りの目印と残件数とを付して画面表示させるためのデータを作成するステップと、
を具備することを特徴とする翻訳発注管理方法。」

(2)引用例
(2-1)引用例1
原査定の拒絶の理由として引用された「朝比奈明日香,トランスマート「TRANSMART」,日経ネットビジネス,日経BP社,2001年 3月10日,第70巻,P.94-95」(以下「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(A)「トランスマートは、翻訳の仲介サイト「TRANSMART」を運営している。料金や納期、翻訳者のスキルといった細かな情報をネット上で明示し、顧客と翻訳者の双方から信頼を得ている。他の翻訳会社からのアウトソーシング受託にも活路を見いだしている。」(第94頁タイトル下の記載)

(B)「料金も手数料も透明に
翻訳者のランク付け導入

服部社長は、手数料や翻訳者の経歴といったこれまであまり公開されなかった情報を開示し、そうした情報に基づいて仕事を受発注できる仕組みを作りあげた。
Web上に翻訳者の経歴や得意分野、標準的な料金などを明示し、手数料を一律1ワード(単語)4円に設定した。翻訳者側にも発注する側にもガラス張りのシステムで、双方の信頼を得るのが狙いだ。」(第94頁中央欄第4行-同頁右欄第6行)

(C)「道場生は一定の評価に達すると、有料で翻訳を請け負えるBランクに上がる。その後も発注者からの評価ポイントによってAランク、Bランク、Sランクとグレートが上がり、それに伴い翻訳料金も上がっていく。トランスマートが目安として設定している翻訳料金は、1ワード当たりBランクが12円、Aランクが18円、Sランクが22円となっている。これを参考に両者で翻訳料金を決める。」(第94頁右欄第32行-第95頁左欄第4行)

(D)「図1 トランスマートのビジネスモデル
翻訳者はWeb画面上で依頼内容を確認した上で、文章をダウンロードすると受注が完了する。受注は早い者勝ち。顧客は、Bクラス以上の翻訳者に有料で発注する場合、翻訳者の経歴や得意分野を参照してID番号で指定できる。」(第95頁図1下の記載)

(E)「翻訳会社を上顧客に
共存成長の道を狙う

これまで顧客数を順調に伸ばしてきたトランスマートたが、服部社長は、「個人対個人の仲介業だけでは限界がある。」と見ている。狙っているのは、他の翻訳会社からのアウトソーシング受託だ。」(第95頁中央欄第13行-同頁同欄第20行)

(F)「これらの目標を達成するため、英語以外の言語の翻訳サービスも考えている。目下のところ韓国語や中国語などアジアの言葉の翻訳を視野に入れ、準備を進めている。」(第95頁右欄第12行-同頁同欄第16行)

上記摘記事項(C)の記載からみて、「Bランク、Aランク、Sランク」のランクは、各翻訳者の翻訳能力に基づき設定される順位情報としてのランクであると認められる。
また、上記摘記事項(D)の記載からみて、翻訳の依頼者は、サイトで翻訳者の得意分野やランクの情報を参照して、翻訳者を指定しているので、サイトは、得意分野の情報,およびランクの情報を各翻訳者別の情報として記憶する翻訳者データ記憶手段を有し、翻訳の依頼者は、翻訳者の情報を選別していると認められる。
してみると、引用例1には、
「各翻訳者の翻訳分野の情報,および各翻訳者の翻訳能力に基づき設定される順位情報としてのランクの情報を各翻訳者別の情報として記憶する翻訳者データ記憶手段を備え、この手段を用いて、翻訳者への発注管理を行なう翻訳発注管理方法であって、
得意分野の情報に基づき翻訳者を選別するステップと、
翻訳者データ記憶手段からの翻訳者のランクの情報によって翻訳者の情報を選別するステップと、
を具備することを特徴とする翻訳発注管理方法。」
との発明(以下「引用例発明」という。)が記載されている。

(2-2)引用例2
同じく、原査定で拒絶の理由として引用された特開平5-298331号公報(以下「引用例2」という。)には、図面ともに、以下の事項が記載されている。
(G)「【0018】次にステップS2において、条件テーブル12にセットされた技術分野の1つを取り出す。さらに、ステップS3で条件テーブル12にセットされた技術分野すべてに関してPDB2の検索を終了したかどうかを調べ、検索終了なら処理を終了し、そうでなければ処理はステップS4に進む。ステップS4では、ステップS2において取り出された技術分野を検索キーとしてPDB2を検索する。この検索は処理プログラム11がSQLを用いてPDB2への検索コマンドを自動作成し、指定された技術分野にかなう候補者の社員コード、メールアドレス、技術分野、得意分野、資格などを取り出す。
【0019】次に、検索されたすべての候補者一人一人に対して、それが今考慮中のプロジェクトのメンバとしてふさわしいかどうかを絞り込む。この処理は候補者一人一人に対して以下に述べる基準に従ってスコア(S)を付けることによってなされる。
【0020】ステップS5では、すべての候補者に関してスコアリングが終了したかどうかを調べ、終了なら処理はステップS11に進み、そうでないなら処理はステップS6に進む。ステップS6では、スコアリング対象となる候補者のスコア(S)を初期化(スコアを“0”とする)して候補者テーブル13にセットする。続いて処理はステップS7において、PDB2から取り出された情報と条件テーブル12にセットされた条件の1つであるプロジェクトに要求される好ましい得意分野とを比較する。ここで、対象の候補者がプロジェクトに要求される好ましい得意分野を有していれば、スコア(S)に数値(f1)を加える。
【0021】ステップS8では、PDB2から取り出された情報と条件テーブル12にセットされた条件の1つであるプロジェクトに要求される好ましい資格とを比較する。ここで、対象の候補者がプロジェクトに要求される好ましい資格を有していれば、スコア(S)に数値(f2)を加える。さらにステップS9では、PDB2から取り出された情報の1つである現在の業務の重要度(f3)をスコア(S)から引く。ステップS10では処理を次の候補者に進める。」(第3頁右欄第44行-第4頁左欄第31行)

(H)「【0040】図9は本実施例に従うLAN結合分散型情報処理システムに組み込まれた意志決定支援システムの構成を示す図である。本実施例の場合、図9に示すようにシステムにはPDB2とSDB5を総合的に管理するサーバ6が追加されている。従って、会議の参加要請処理(プロジェクトメンバの選定処理、会議出席要請のための電子メール発行など)はサーバ6によって行われる。この場合、WS1はLAN伝送路3を通してサーバ6に対して、プロジェクトの会議の議題やプロジェクト発足の各種条件(テーマ・技術分野・緊急度・性格・期間・人数など)を入力するのみである。
【0041】なお、図10に示すフローチャートではあるプロジェクトに関する出席要請をプロジェクトメンバに対して行う処理を示しているが、その処理手順はステップS101?S102を除き、図4に示した処理をまったく同様である。従って、ここではその相違点であるステップS101?S102のみを説明する。
【0042】ステップS8までの処理の後、ステップS101でサーバ6はSDB5に対して候補者のスケジュールを照会する。ステップS102ではSDB5から検索されたその候補者の会議開催予定日時におけるスケジュールの重要度を、その候補者のスコアから引く。」(第5頁右欄第35行-第6頁左欄第6行)

また、引用例2に記載された発明において、スケジュールを照会する際に、候補者を特定して、当該候補者のスケジュールを照会していること、およびその特定する際には候補者を特定する信号を受けていることは明らかである。
してみると、引用例2には、
『「ワークステーション(1)」により、「個人データベース」に記憶された候補者の情報を得意分野や資格の情報に基づき検索して選択し、選択された候補者を特定し、候補者を特定する信号の入力を受けて、特定された当該候補者のスケジュールを照会する』
との事項(以下「引用例2記載事項」という。)が記載されている。

(3)周知技術について
スケジュール管理技術に関する周知技術を示す周知例としては、例えば、特開平10-78838号公報(以下「周知技術文献」という。)があり、この周知技術文献には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(I)【請求項1】 表示装置と入力装置とを有する、サービスの予約を行うための予約受付装置であって、
複数のサービスのそれぞれに関して、そのサービスの予約が行われている日時を示す情報が含まれる予約情報を記憶する記憶手段と、
この記憶手段に記憶された予約情報に基づき、前記表示装置に、サービスの予約状況が表されたカレンダを表示するカレンダ表示手段と、
このカレンダ表示手段による表示が行われているときに前記入力装置から入力された情報に基づき、予約を行う日付を認識する日付認識手段と、
前記予約情報に基づき、前記日付認識手段によって認識された日付における予約状況が示されたタイムテーブルを、前記表示装置に表示するタイムテーブル表示手段と、
前記タイムテーブル表示手段による表示が行われているときに前記入力装置から入力された情報に基づき、予約を行う時間を認識する時間認識手段と、
前記日付認識手段によって認識された日付と前記時間認識手段によって認識された時間とを含む予約情報を、前記記憶手段内に追加する追加手段とを備えることを特徴とする予約受付装置。
【請求項2】 前記カレンダ表示手段は、各日付が、その日付における予約状況に応じた表示形態で表されたカレンダを表示することを特徴とする請求項1記載の予約受付装置。」(第2頁左欄第1行-同頁同欄第27行)

(J)「【0054】図9に示したように、入庫日時情報表示・入力欄が情報入力対象となったことを検出した際、CPU21は、まず、予約情報データベースから、当月の予約状況データを読み出し(ステップS201)、読み出した予約状況データに基づき各日付のデータの表示色を決定する(ステップS202)。このステップS202において、CPU21は、各日付における予約件数と、本予約受付装置を使用する車検業者の処理能力に応じて予め設定される所定値との大小関係を判断することによって、データの表示色を決定する。次いで、CPU21は、読み出した予約状況データと、決定した色と、予約受付・見積入力画面において設定されている受付情報、車両情報、顧客情報とが含まれる予約状況カレンダ画面を、モニタ14に表示する(ステップS203)。
【0055】前記データの表示色の決定に当たっては、例えば、各日付における予約件数が、当該車検業者の処理能力の25%未満の場合は白色とし、同様に25%以上50%未満の場合は黄色とし、50%以上75%未満の場合は緑色とし、75%以上の場合は青色とするというものである。
【0056】図10に、ステップS203で表示される予約状況カレンダ画面の一例を示す。なお、図中、各日付の下に表示してある2つの数値は、それぞれ、午前と午後の予約件数である。操作者はこの予約状況カレンダの内容を参照して、車検予約者が希望している入庫日時並びに納車日時に基づき、予約を行う日付(あるいは予約状況を確認したい日付)を決定し、その日付を指定するための操作を、入力装置13(通常、マウス12)を用いて行う。また、表示されている月の次月の予約状況をみたい場合には、次月ボタン62を選択する。また、表示されている月の前月の予約状況をみたい場合には、前月ボタン61を選択する。
【0057】このように、操作者は予約状況を数値認定及び色覚認定の双方により把握できるため、速やかに予約状況の確認を行える。一方、予約状況カレンダ画面の表示を終えたCPU21は、入力部13からの指示入力を監視する状態(図9:ステップS204)に移行しており、次月ボタン62あるいは前月ボタン61が選択されたことを検出した場合(ステップS204;表示月変更)には、指定された月に関する予約状況データを読み出して(ステップS205)、ステップS203に戻る。また、日付を指示する操作が行われたことを検出した場合(ステップS204;日付)、CPU21は、指示された日付に関するタイムテーブル画面の表示を行う(ステップS206)。」(第7頁左欄第49行-同頁右欄第33行)

(K)「【0075】そして、本実施形態の予約受付装置によれば、各車検ライン毎の許容処理能力(台数)が相当(数カ月)先まで容易に確認できるため、空いている日時を記載したダイレクトメールを顧客に送付し、車検ラインの稼働効率を向上させることもできる。」(第9頁左欄第34行-同頁同欄第第38行)

また、周知技術文献に記載された事項において、予約状況カレンダ画面に七曜表示し、七曜表示されたカレンダの各日の受注状況を受注件数の件数に応じて表示色を変え、受注件数がある場合に、該当日の受注件数を数字で表示していることからみて、そのような表示をするデータを作成していることは明らかである。
してみると、当該周知技術文献には、
「予約状況カレンダ画面に七曜表示し、七曜表示されたカレンダの各日の受注状況を受注件数の件数に応じて表示色を変え、受注件数がある場合に、該当日の受注件数を数字で表示するデータを作成して表示し、許容処理能力を確認する」
との周知技術が記載されている。

(4)対比
引用例発明の「得意分野」は、本願発明の「翻訳分野」に相当するので、両者は、
「各翻訳者の翻訳分野の情報,および各翻訳者の翻訳能力に基づき設定される順位情報としてのランクの情報を各翻訳者別の情報として記憶する翻訳者データ記憶手段を備え、この翻訳者データ記憶手段を用いて、翻訳者への発注管理を行なう翻訳発注管理方法であって、
翻訳分野の情報に基づき翻訳者の情報を選別するステップと、
前記翻訳者データ記憶手段からの翻訳者のランクの情報に基づき翻訳者の情報を選別するステップと、
を具備することを特徴とする翻訳発注管理方法。」
との点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1)
本願発明では、翻訳分野の情報に基づき翻訳者の情報を選別する翻訳分野選別手段、及びランク情報をレベルフィルタを通すことによって翻訳者を選別する情報ランク選別手段等の選別手段を用いて選別するのに対し、引用例発明では、翻訳分野の情報及びランク情報を選別しているものの、そのような選別手段を用いて翻訳者の情報を選択しているかどうか明記されていない点。

(相違点2)
本願発明では、前記言語選別手段が、翻訳元言語の情報と翻訳先言語の情報とに基づき翻訳者の情報を選別するのに対し、引用例発明では、そのような選別を行なっていない点。

(相違点3)
本願発明では、スケジュール選別手段が、翻訳者スケジュール記憶手段からのスケジュールの情報と翻訳者を特定する信号との入力を受け、当該翻訳者に既に発注している他の案件がある場合に、七曜表示のカレンダの該当日に案件有りの目印と残件数とを付して画面表示させるためのデータを作成するのに対し、引用例発明では、そのようなことを行なっていない点。

(5)当審の判断
(相違点1について)
所定の情報に基づいてコンピュータを選別手段として用いて情報を検索することにより情報を選別することは情報検索の分野で引用例2に記載されているように周知技術であり、また、レベルの情報をレベルフィルタを通すことにより所定レベルの情報を選別することは周知技術であるので、引用例発明において、コンピュータを翻訳分野の情報に基づき翻訳者の情報を選別する翻訳分野選別手段、ランク情報をレベルフィルタを通すことによって翻訳者を選別するランク選別手段として用いて検索することにより翻訳者の情報を選別することは当業者が容易に考えられる事項である。
したがって、上記相違点1に係る本願発明の構成は、引用例発明および上記周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得る事項である。

(相違点2について)
引用例1には、英語以外の言語も翻訳することも示唆されており、翻訳を依頼する際に、翻訳元言語および言語先言語を指定することは一般的に行なわれている周知事項であり、上記の(相違点1について)で述べたとおり、所定の情報に基づいてコンピュータを選別手段として用いて情報を検索することにより情報を選別することは情報検索の分野で周知技術であると認められるので、引用例発明において、コンピュータを前記言語選別手段として用いて、翻訳元言語の情報と翻訳先言語の情報とに基づき翻訳者の情報を選別することは当業者が容易に考えられる事項である。
したがって、上記相違点2に係る本願発明の構成は、引用例発明、上記周知技術、および周知事項に基づいて当業者が容易に想到し得る事項である。

(相違点3について)
引用例2には、選択された候補者を特定し、候補者を特定する信号の入力を受けて、特定された当該候補者のスケジュールを照会することが記載されており、周知技術文献からみて、予約状況カレンダ画面に七曜表示し、七曜表示されたカレンダの各日の受注状況を受注件数の件数に応じて表示色を変え、受注件数がある場合に、受注件数を数字で表示するデータを作成して表示し、許容処理能力を確認することは周知技術であると認められ、受注状況をどのように表示するかは設計的事項であり、件数の範囲で表示色を変えてそれらの範囲の目印とするか、案件が有る場合と無い場合とで表示色を変えて案件有りの目印とするかなどは、当業者が適宜選択できる設計的事項であると認められるので、引用例発明において、各選別手段で選別された翻訳者の情報の中から翻訳者を特定する信号の入力を受けて、特定された翻訳者の許容処理能力を確認するために、当該翻訳者のスケジュールを七曜表示し、案件有りの場合に、七曜表示されたカレンダの該当日に案件有りの目印を表示し、翻訳者の受注の残件数を表示するデータを作成することは当業者が容易に考えられる事項である。
したがって、上記相違点3に係る本願発明の構成は、引用例発明、引用例2記載事項、および上記周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得る事項である。

したがって、上記相違点3に係る本願発明の構成は、引用例発明、引用例2記載事項、及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得る事項である。

そして、本願発明の効果も、引用例1、引用例2、周知技術、及び周知事項から当業者が容易に予測できるものである。
したがって、本願発明は、引用例発明、引用例2記載事項、周知技術、及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明できたものである。

(6)まとめ
本願発明は、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された事項、周知技術、及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

9.むすび
上記5.で述べたとおり、請求項1に係る発明は、特許法上の発明である「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当しないので、特許法第29条第1項柱書の規定により特許を受けることができない。
また、上記6.で述べたとおり、請求項1に係る発明が明確であるとは認められないので、本件出願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
また、上記7.で述べたとおり、発明の詳細な説明が、請求項1に記載された発明を当業者が容易に実施できる程度に明確かつ十分に記載されているとは認められないので、本件出願は、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。
さらに、仮に、請求項1に係る発明が、特許法上の発明である「自然法則を利用した技術思想の創作」に該当し、かつ、明確であるとしても、上記8.で述べたとおり、請求項1に係る発明は、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された事項、上記周知技術、上記周知事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-10-18 
結審通知日 2007-10-23 
審決日 2007-11-05 
出願番号 特願2001-284331(P2001-284331)
審決分類 P 1 8・ 537- Z (G06Q)
P 1 8・ 536- Z (G06Q)
P 1 8・ 1- Z (G06Q)
P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 青柳 光代  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 ▲吉▼田 耕一
久保田 昌晴
発明の名称 翻訳発注管理方法,管理装置,管理プログラムおよび記録媒体  
代理人 小原 二郎  

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