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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1182233
審判番号 不服2005-13777  
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-07-20 
確定日 2008-08-07 
事件の表示 特願2000-165363「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成13年11月20日出願公開、特開2001-321486〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、特許法第41条に基づく優先権主張を伴う平成12年6月2日(優先日:平成12年3月6日、出願番号:特願2000-60456号)の出願であって、平成16年9月29日付の拒絶理由通知に対して同年12月3日付で手続補正がなされ、これに対し、平成17年6月17日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月20日に拒絶査定不服の審判請求がなされるとともに、同年8月9日付で手続補正がなされたものである。

2.平成17年8月9日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年8月9日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
【1】本件補正の概略
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、平成16年12月3日付手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された
「【請求項1】
種々の図柄によって構成される図柄列を複数列に可変表示する可変表示手段と、前記図柄列の可変表示の開始から停止までのゲーム毎に所定の時点で決定される内部当選役に基づいて、前記図柄列の可変表示を停止制御する停止制御手段と、前記図柄列の可変表示とは別の表示を行う別表示手段とを備え、前記停止制御手段による停止制御は、遊技者の停止操作に基づいて行われ、前記別表示手段は、ゲーム数を単位として設定された時間間隔で表示内容を変化させることを特徴とする遊技機。」から、

「【請求項1】
種々の図柄によって構成される図柄列を複数列に可変表示する可変表示手段と、前記図柄列の可変表示の開始から停止までのゲーム毎に所定の時点で決定される内部当選役に基づいて、前記図柄列の可変表示を停止制御する停止制御手段と、前記図柄列の可変表示とは別の表示を行う別表示手段とを備え、前記停止制御手段による停止制御は、遊技者の停止操作に基づいて行われ、前記別表示手段は、一般遊技状態及びボーナス内部当選遊技状態において、前記図柄列の可変表示の開始から停止までのゲームの数を単位として設定された時間間隔で表示内容を変化させることを特徴とする遊技機。」へと補正された(下線部は補正事項。)。

【2】補正の適否
本件補正により特許請求の範囲の請求項1にした補正は、発明を特定するために必要な事項である「ゲーム数」について、「一般遊技状態及びボーナス内部当選遊技状態において、前記図柄列の可変表示の開始から停止までのゲームの数」と限定するものであって、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する(下線部は補正事項。)。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項第2号において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

【3】特許法第29条第2項の適用
[1]引用発明
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に日本国内で頒布された刊行物である引用文献1(特開2000-37497号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(1-1)「【0025】
キャビネット2の内部には、各々の外周面に複数種類の図柄(以下、シンボルという)から成るシンボル列が描かれた3個のリール4L,4C,4Rが回転自在に設けられ、可変表示部を形成している。各リール4L,4C,4Rのシンボルは表示窓3を通して観察できるようになっている。
【0026】
キャビネット2の表示窓3の下方に略水平面を有する台座部5が形成され、その中央に上向き傾斜面として形成された液晶表示画面6が設けられている。この液晶表示画面6には、後述する制御手段による可変表示部の可変表示制御に関連した情報が表示される。」
(1-2)「【0035】
図4は、スロットマシン1における遊技処理動作を制御する制御手段と、これに電気的に接続する周辺装置(アクチュエータ)とを含む回路構成を示す。
【0036】
この場合、制御手段は、マイコン30を主たる構成要素とし、これに乱数サンプリングのための回路を加えて構成されている。マイコン30は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPU31と、記憶手段であるROM32及びRAM33を含み、CPU31に、基準クロックパルスを発生するクロックパルス発生回路34及び分周器35と、サンプリングされる乱数を発生する乱数発生器36及び乱数サンプリング回路37とが接続されている。・・・」
(1-3)「【0045】
図4の回路において、乱数発生器36は、一定の数値範囲に属する乱数を発生し、サンプリング回路37は、スタートレバー11が操作された後の適宜のタイミングで1個の乱数をサンプリングする。こうしてサンプリングされた乱数は、ROM32内に格納されている入賞確率テーブルにおいて、どの入賞グループに属する値になっているかが判定される。・・・
【0049】
このような乱数サンプリングに基づく抽選処理により内部当選した場合には、CPU31は、遊技者がストップボタン14L,14C,14Rを操作した時にリール停止信号回路49から送られる操作信号に応じて、当選した入賞役の種類に対応したシンボル表示位置にリール4L,4C,4Rを停止制御する信号をモータ駆動回路44に送ると共に、・・・
【0050】
上記抽選処理は、最も有利なBBとCTの組合せ(以下、「CT付BB」という)、BB、RB、CT及び小役のいずれかの入賞又は外れの判定が行われる。」
(1-4)「【0063】
図6は、スロットマシン1の遊技状態に対応したリールランプ41、表示ランプ20A?20H、及び液晶表示画面6の表示状態を示す。最上段部は遊技状態を示しており、「一般遊技中」、「BB作動中」、「RB作動中」、「CT中」のそれぞれの期間を矢印で示している。その下は、「CT付BB内部当選」、「CT無BB内部当選」及び「RB内部当選」の各入賞役についての内部当選期間、或いは「CT保持」の期間を矢印で示している。
・・・
【0066】
また、液晶表示画面6では、遊技状態に応じて様々な演出態様で表示可能であるが、例えば、図8に示すように、上記のリールランプ41と表示ランプ20A?20Hの報知内容を総合的に表わすことが可能である。
【0067】
例えば、図8(A)に示すように、BB又はRBに内部当選した時は、“何か当たったぞ”と表示して、何らかの入賞役に内部当選したことを報知する。
【0068】
その後、RBに入賞すれば、図8(B)に示すように“レギュラーボーナスゲーム入賞!”と表示し、BBに入賞すれば図8(C)に示すように“ビッグボーナスゲーム入賞!!”と表示し、CT中は図8(D)に示すように、“チャレンジタイム中”と表示する。さらに、CT保持期間中のRB遊技中は図8(E)に示すように“レギュラーボーナスゲーム入賞!”に併せて“CT保持中”と表示する。
【0069】
このように、液晶表示画面6の表示による報知を行えば、例えば、リールランプ41や表示ランプ20A?20Hの報知の意味を知らない遊技者にとっては、遊技状態の認識を補助する役割を果たす。また、図8(A)?(E)に示すような文字情報だけでなく、キャラクタを登場させて所定の動作を行わせたり、画面全体の色調を変化させたり等、様々な画像を表示すれば、遊技の興趣を高めることができる。」
(1-5)図6には、スロットマシンの遊技状態に対応した各報知手段の表示状態を示すタイムチャートとして、遊技状態が「一般遊技中」でありかつ「内部当選中」でないときは、液晶表示画面の動作状態が「OFF」とされ、遊技状態が「一般遊技中」でありかつ「内部当選中」であるときは、液晶表示画面の動作状態が「ON」とされ、表示パターンとして図8(A)記載のパターンが表示されることが記載されている。

上記の記載(1-1)?(1-5)及び図面によれば、引用文献1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「複数種類の図柄から成るシンボル列が描かれた3個のリール4L,4C,4Rが回転自在に設けられた可変表示部と、スタートレバー11が操作された後の適宜のタイミングでサンプリング回路37が1個の乱数をサンプリングすることに基づく抽選処理により内部当選した場合には、遊技者がストップボタン14L,14C,14Rを操作した時にリール停止信号回路49から送られる操作信号に応じて、当選した入賞役の種類に対応したシンボル表示位置にリール4L,4C,4Rを停止制御する信号をモータ駆動回路44に送ることにより可変表示を制御する制御手段と、前記可変表示部の可変表示制御に関連した情報が表示される液晶表示画面6とを備え、前記液晶表示画面6は、遊技状態が「一般遊技中」でありかつ「内部当選中」でないときは、液晶表示画面の動作状態が「OFF」とされ、遊技状態が「一般遊技中」でありかつ「内部当選中」であるときは、液晶表示画面の動作状態が「ON」とされ、“何か当たったぞ”と表示して、何らかの入賞役に内部当選したことを報知する表示を行うほか、遊技状態に応じて様々な演出態様で表示可能であって、文字情報だけでなく、キャラクタを登場させて所定の動作を行わせたり、画面全体の色調を変化させたり等、様々な画像を表示することができる、遊技機。」(以下、「引用発明」という。)

[2]対比
引用発明は、上記[1]に示した如くのものである。
本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「複数種類の図柄」は本願補正発明の「種々の図柄」に相当しており、同様に、「シンボル列」は「図柄列」に、「3個のリール4L,4C,4Rが回転自在に設けられた」は「複数列に可変表示する」に、「可変表示部」は「可変表示手段」に、「スタートレバー11が操作された後の適宜のタイミングでサンプリング回路37が1個の乱数をサンプリングすることに基づく抽選処理により内部当選した場合には」は「所定の時点で決定される内部当選役に基づいて」に、「可変表示部の可変表示制御に関連した情報が表示される」は「図柄列の可変表示とは別の表示を行う」に、「液晶表示画面6」は「別表示手段」にそれぞれ相当しており、さらに引用発明について以下のことがいえる。

(i)引用発明は、抽選処理を、「所定の時点(スタートレバー11が操作された後の適宜のタイミング)」で行い、その結果、「可変表示を制御する」ものである。そして、遊技機の可変表示が、「図柄列の可変表示の開始から停止まで」を単位とする「ゲーム」で構成されることは、遊技機分野における従来周知の技術であって、当業者の技術常識に照らせば自明である。したがって、引用発明の抽選処理は、本願補正発明の如く「図柄列の可変表示の開始から停止までのゲーム毎に」行われているといえる。

(ii)引用発明は、「遊技者がストップボタン14L,14C,14Rを操作した時にリール停止信号回路49から送られる操作信号に応じて、当選した入賞役の種類に対応したシンボル表示位置にリール4L,4C,4Rを停止制御する信号をモータ駆動回路44に送ることにより可変表示を制御する制御手段」を備えるから、本願補正発明を特定する「前記図柄列の可変表示を停止制御する停止制御手段」及び「前記停止制御手段による停止制御は、遊技者の停止操作に基づいて行われ」の事項に相当する構成を備えていることは明らかである。

(iii)引用発明の「別表示手段(液晶表示画面6)」は、「遊技状態が「一般遊技中」でありかつ「内部当選中」でないときは、液晶表示画面の動作状態が「OFF」とされ、遊技状態が「一般遊技中」でありかつ「内部当選中」であるときは、液晶表示画面の動作状態が「ON」とされ、“何か当たったぞ”と表示して、何らかの入賞役に内部当選したことを報知する表示を行うほか、遊技状態に応じて様々な演出態様で表示可能であって、文字情報だけでなく、キャラクタを登場させて所定の動作を行わせたり、画面全体の色調を変化させたり等、様々な画像を表示することができる」ものである。
ここで、本願補正発明の「一般遊技状態」は「通常の遊技状態」(本願明細書段落【0078】参照)を意味すると共に、「ボーナス内部当選遊技状態」は「BB又はRBに内部当選している一般遊技状態」(本願明細書段落【0155】参照)を意味するものであるから、引用発明の「遊技状態が「一般遊技中」でありかつ「内部当選中」でないとき」は本願補正発明の「一般遊技状態」に相当し、同様に、「遊技状態が「一般遊技中」でありかつ「内部当選中」であるとき」は「ボーナス内部当選遊技状態」に相当する。
そして、引用発明の「別表示手段(液晶表示画面6)」は、「遊技状態に応じて様々な演出態様で表示可能であって、文字情報だけでなく、キャラクタを登場させて所定の動作を行わせたり、画面全体の色調を変化させたり等、様々な画像を表示することができる」ものであるから、表示内容を変化させる構成であるといえる。
以上より、引用発明の「別表示手段(液晶表示画面6)」は、表示内容を変化させるという限度で、本願補正発明の「前記別表示手段は、一般遊技状態及びボーナス内部当選遊技状態において、前記図柄列の可変表示の開始から停止までのゲームの数を単位として設定された時間間隔で表示内容を変化させる」に共通する。

[3]一致点・相違点
上記[2]に記載した事項より、本願補正発明と引用発明とは以下の点で一致し、また、相違していると認められる。

一致点;
種々の図柄によって構成される図柄列を複数列に可変表示する可変表示手段と、前記図柄列の可変表示の開始から停止までのゲーム毎に所定の時点で決定される内部当選役に基づいて、前記図柄列の可変表示を停止制御する停止制御手段と、前記図柄列の可変表示とは別の表示を行う別表示手段とを備え、前記停止制御手段による停止制御は、遊技者の停止操作に基づいて行われ、前記別表示手段は、表示内容を変化させる遊技機、である点。

相違点;
一般遊技状態及びボーナス内部当選遊技状態における別表示手段での表示内容の変化について、本願補正発明は、「一般遊技状態及びボーナス内部当選遊技状態において、前記図柄列の可変表示の開始から停止までのゲームの数を単位として設定された時間間隔」で表示内容を変化させるのに対し、引用発明は、「遊技状態に応じて」表示内容を変化させるものの、「一般遊技状態及びボーナス内部当選遊技状態において、前記図柄列の可変表示の開始から停止までのゲームの数を単位として設定された時間間隔」で表示内容を変化させるものではない点。

[4]判断
上記相違点について検討する。
(1)まず、表示内容を「図柄列の可変表示の開始から停止までのゲームの数を単位として設定された時間間隔」で変化させる点について検討する。
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に日本国内で頒布された刊行物である引用文献2(特開平7-100251号公報)には、「本実施例によるパチンコ遊技機は、大当りの発生中に、ラウンドの進行に応じて電気的可変表示装置3に海外の各国を旅行するストーリの画像を国別に順次表示するように構成されている。」(段落【0091】)、「以下同様に、各ラウンドにおいてV入賞があれば、次のラウンドへ進み、2ラウンドごとに1つの国を旅行する様子を表わした画像が表示される。」(【0096】)と記載されており、遊技機の一種であるパチンコ遊技機において、ストーリ画像を、電気的可変表示装置3に大当りの発生中のラウンドの数を単位として設定された時間間隔で表示内容を変化させることが示されており、しかも、「さらに、本実施例では、電気的可変表示装置3が、大当り発生のきっかけとなる図柄合わせのための可変表示と、大当りの発生中の画像表示との両方を行なうようにしたが、たとえば、電気的可変表示装置3とは別に、機械的または電気的可変表示装置を設け、その別途設けた可変表示装置によって図柄合わせの可変表示を行なうようにし、電気的可変表示装置3は、図柄合わせの可変表示中および大当り発生中等におけるストーリ画像を表示することのみに用いるように構成してもよい。」(段落【0104】)との記載から、ストーリ画像を、電気的可変表示装置3に図柄合わせの可変表示中に表示することも示唆されているから、可変表示の数を単位としてストーリー画像を表示することが示されているといえる(以下、「引用文献2に記載の技術」という。)。
さらに、遊技機分野において、遊技者が見飽きない画像表示を行うことを目的として、可変表示の数を単位として設定された時間間隔で表示内容を変化させることは従前周知の技術事項であり、例えば、特開平9-155028号公報〔特に段落【0023】?【0026】、図7等を参照、キャラクタ画像表示部60に表示される複数種類の動画像を2回の始動毎に切り換えて表示するもの。〕、特開平9-206437号公報〔可変表示装置4において所定回数の可変表示が行われるごとに、表示されるキャラクタ画像および背景画像の種類が変更されるもの。〕に示されるとおりである。
そして、引用発明の別表示手段(液晶表示画面6)において、上記引用文献2に記載の技術又は上記周知技術の如く、可変表示の数を単位として表示内容を変化させる手段を採用することは、当業者が想到容易である。引用発明は、可変表示が、「図柄列の可変表示の開始から停止まで」を単位とする「ゲーム」で構成される遊技機であるといえるから、引用発明に前記可変表示の数を単位として表示内容を変化させる手段を採用することは、「図柄列の可変表示の開始から停止までのゲームの数を単位として設定された時間間隔」で表示内容を変化させる構成を採用することに等しい。

(2)次に、「一般遊技状態及びボーナス内部当選遊技状態において」表示内容を変化させる点について検討する。
引用発明の「別表示手段(液晶表示画面6)」は、「一般遊技状態(遊技状態が「一般遊技中」でありかつ「内部当選中」でないとき)」は、「液晶表示画面の動作状態が「OFF」とされ」、「ボーナス内部当選遊技状態(遊技状態が「一般遊技中」でありかつ「内部当選中」であるとき)」は、「液晶表示画面の動作状態が「ON」とされ、“何か当たったぞ”と表示して、何らかの入賞役に内部当選したことを報知する表示を行う」ものであるが、一方で、「遊技状態に応じて様々な演出態様で表示可能であって、文字情報だけでなく、キャラクタを登場させて所定の動作を行わせたり、画面全体の色調を変化させたり等、様々な画像を表示することができる」ものとしている。
つまり、その演出態様が「一般遊技状態(遊技状態が「一般遊技中」でありかつ「内部当選中」でないとき)」と「ボーナス内部当選遊技状態(遊技状態が「一般遊技中」でありかつ「内部当選中」であるとき)」とで異なっていて、「ボーナス内部当選遊技状態(遊技状態が「一般遊技中」でありかつ「内部当選中」であるとき)」に、「別表示手段(液晶表示画面6)」上で、「何らかの入賞役に内部当選したことを報知する表示」が可能であれば、「一般遊技状態(遊技状態が「一般遊技中」でありかつ「内部当選中」でないとき)」にも、「液晶表示画面の動作状態が「ON」とされ」るようにして、「別表示手段(液晶表示画面6)」上で何らかの表示を行うことを妨げるものではないし、むしろ、演出を目的とするならば、その期間にも何らかの表示を行うように構成する方が自然である。
そして、上記(1)で示したとおり、引用発明の別表示手段(液晶表示画面6)において、「図柄列の可変表示の開始から停止までのゲームの数を単位として設定された時間間隔」で表示内容を変化させる構成とすることは当業者が想到容易であって、スロットマシンのBB・RBといったボーナス遊技中は、ボーナス遊技中であることを表す特別の演出表示を行うことが通常であることを参酌すると、BB・RBに入賞するまでの数十乃至数百ゲームにわたり連続することが多い通常のゲームの期間、すなわち、「一般遊技状態(遊技状態が「一般遊技中」でありかつ「内部当選中」でないとき)」及び「ボーナス内部当選遊技状態(遊技状態が「一般遊技中」でありかつ「内部当選中」であるとき)」に、遊技者が退屈しないようにするために、上記ゲームの数を単位として設定された時間間隔で表示内容を変化させる構成を採用することは、当業者であればきわめて自然に想起することと認められる。

(3)小括
したがって、引用発明の別表示手段(液晶表示画面6)は、一般遊技状態(遊技状態が「一般遊技中」でありかつ「内部当選中」でないとき)及びボーナス内部当選遊技状態(遊技状態が「一般遊技中」でありかつ「内部当選中」であるとき)において、上記(1)で検討済みの「図柄列の可変表示の開始から停止までのゲームの数を単位として設定された時間間隔」で表示内容を変化させる構成を採用し、上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば想到容易である。

[5]むすび
上記相違点に係る本願補正発明の構成を採用することは設計事項であるか又は当業者にとって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本願補正発明は引用発明、引用文献2に記載の技術並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

【4】補正の却下の決定のむすび
以上のとおりであるから、本願補正発明は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
【1】本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成17年8月9日付の手続補正が上記のとおり却下されているので、平成16年12月3日付の手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
種々の図柄によって構成される図柄列を複数列に可変表示する可変表示手段と、前記図柄列の可変表示の開始から停止までのゲーム毎に所定の時点で決定される内部当選役に基づいて、前記図柄列の可変表示を停止制御する停止制御手段と、前記図柄列の可変表示とは別の表示を行う別表示手段とを備え、前記停止制御手段による停止制御は、遊技者の停止操作に基づいて行われ、前記別表示手段は、ゲーム数を単位として設定された時間間隔で表示内
容を変化させることを特徴とする遊技機。」 (以下、「本願発明」という。)

【2】特許法第29条第2項の適用
[1]引用発明
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に日本国内で頒布された刊行物である引用文献1(特開2000-37497号公報)の記載事項及び引用発明は、前記2.【3】[1]に記載したとおりである。

[2]対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から、「ゲーム数」を、「一般遊技状態及びボーナス内部当選遊技状態において、前記図柄列の可変表示の開始から停止までのゲームの数」と特定した限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要素を実質的に全て含み、さらに、他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記2.【3】に説示したように、引用発明及び引用文献2に記載の技術並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び引用文献2に記載の技術並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

[3]むすび
したがって、本願発明は引用発明1、引用文献2に記載の技術並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、本願の他の請求項について論じるまでもなく、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-06-04 
結審通知日 2008-06-10 
審決日 2008-06-24 
出願番号 特願2000-165363(P2000-165363)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 太田 恒明  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 川島 陵司
▲吉▼川 康史
発明の名称 遊技機  
代理人 藤田 和子  

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