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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 E03D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E03D
管理番号 1182273
審判番号 不服2006-17441  
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-08-10 
確定日 2008-08-07 
事件の表示 特願2001-321643「人体洗浄装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 4月23日出願公開、特開2003-119865〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成13年10月19日の出願であって、平成18年7月12日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年8月10日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年9月8日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成18年9月8日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成18年9月8日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、次のように補正する補正事項を含んでいる。
「【請求項1】給水管と、止水手段と、前記給水管から供給される洗浄水を加熱する加熱手段と、前記加熱手段の下流側に接続した温水管と、前記温水管に設けられ、高速かつ周期的に水路内容積を増減可能な水路容積可変手段と、前記水路容積可変手段の少なくとも上流側に設けた逆流防止手段と、前記水路容積可変手段を経た洗浄水を人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段と、前記人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段を前記水路容積可変手段を経た洗浄水で洗浄する吐出手段とを備え、前記水路容積可変手段は前記給水管から前記吐出手段まで連通した水路容積を増減させて洗浄水を加圧することを特徴とし、前記水路容積可変手段の駆動開始時には、前記人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段を洗浄する吐出手段より洗浄水を噴出した後、前記人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段より洗浄水を噴出するようにした人体洗浄装置。」

上記補正事項は、補正前の請求項1に係る発明における「複数の吐出手段」について、「洗浄水を人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段」と「人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段を洗浄する吐出手段」とを備えたものに限定し、水路容積可変手段の駆動開始時に洗浄水を噴出する吐出手段を、「人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段を洗浄する吐出手段」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、本願の補正後の上記請求項1に係る発明(以下、「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項の規定において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かについて、以下に検討する。

2.引用刊行物
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である、特開2001-81837号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(1イ)「衛生温水洗滌便座(図中、二点鎖線の枠内)の配管接続構成について図2によってこれを説明する。水道管・・・から流入・・・された水は、・・・給水配管10を経て配水される。・・・次に、前記洗滌便座の以下付属部材である、電磁弁12から、瞬間沸形温水ヒータ13によって前述したような30?40℃の湯温に温められて、この温水が後述する図1の矢印aのように、本発明の電磁ポンプ1(P)に入り、ここで後述する用途使用条件に対応して設定された断続パルス電流の付勢されることによって加圧された洗滌水は波状衝撃的脈動をもって、矢印bに示すようにノズルシリンダ14に入り、ノズル15から噴流吐出して、人体局部の洗滌、マッサージ等を行なうのである。」(段落【0032】、【0033】)
(1ロ)「図1によって本発明の電磁ポンプの一実施の形態を説明する。図1はその一部断面を示す拡大縦断説明図である。
ボビン33に捲装した電磁コイル34の軸心孔に挿嵌してこれに囲繞された管柱シリンダ39内を、その上流側端部に嵌合する本体20の要部と、その下流側端部位に嵌合する磁気ヘッド35との間に、それぞれ保持ばね40と戻しばね36との間に挟持圧設されて摺動往復自在で、弁体42を弁座43に押圧閉塞している弁ばね44を収めた弁筒41を有する逆止弁55を備えた電磁プランジャ38は、前記電磁コイル34へパルス状断続電流を付勢すると、そこに発生する断続した磁力と前記戻しばね36の反発力とによって往復作動するように構成されている。
前記管柱シリンダ39の下流側端部には、吐出口24・・・を内蔵した吐出接手23が接続される。」(段落【0036】?【0038】)
(1ハ)図2には次の図が記載され、温水ヒータ13の下流側には温水を電磁ポンプに配水する温水管が接続されていること、ノズルシリンダ14の先端にノズル15が設けられていることが示されている。


引用文献1記載の電磁ポンプ1(P)は、温水の管路の一部を形成しており、温水管に設けられているといえるから、上記記載事項を含む引用文献1全体の記載によれば、引用文献1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「給水配管10と、電磁弁12と、前記給水配管10から供給される水を加熱する瞬間沸形温水ヒータ13と、前記瞬間沸形温水ヒータ13の下流側に接続した温水管と、該温水管に接続され、断続パルス電流の付勢によって洗滌水を加圧する電磁プランジャ38と逆流弁55を備えた電磁ポンプ1(P)と、前記電磁ポンプ1(P)を経て加圧された洗滌水を人体局部にむけて噴流吐出するノズル15を有するノズルシリンダ14とを備えた衛生温水洗滌便座。」(以下、「引用文献1記載の発明」という。)

(2)同じく実願昭58-13484号(実開昭59-119825号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
(2イ)「図面は本考案に係る肛門治療器の部分破断図であつて、1は器具本体、2は器具本体に内蔵させた往復動ポンプ、3はモーター、4は水溜め、5はシーズヒーターで本体上面の水溜め底面を加熱し水溜め4内の水を加温するようになつている。6は水溜め底面の透孔と往復動ポンプを連結してなる導孔であり、7a及び7bは一方向弁である。なお、8はホースであつて先端にはノズル9が取付けられ、他端は前記器具本体2内に内蔵させた往復動ポンプの先端部と連結させてなる。なお、10a、10bは操作スイツチである。
本考案の使用に於いては上記構成の水溜め4内に水を入れると共にスイツチの1つ10aをオン操作して該水溜め4内の水が加温されるようになすのであり、一定温度(20℃?50℃)に加温されるとスイツチ10b(当審注:10aの誤記と認める。)はオフ操作すると共に、今1つのスイツチ10bをオン操作してモーター3を駆動し、往復動ポンプ2の作動で上記温水を20?50サイクル/秒の脈動水としてノズル9から噴出させるようになすのである。」
(2頁13行?3頁14行)。
(2ロ)図2には、次の図面が記載され、往復動ポンプは、往復動により導孔6と連通するポンプ室の容積を増減するように作動するものであることが示されている。


これらの記載事項を含む引用文献2全体の記載によれば、引用文献2には、以下の発明が記載されているものと認められる。
「水溜め4と、水溜め4の水を加熱するシーズヒーター5と、水溜め4に接続される導孔6を有し、導孔6に接続されるポンプ室の容積を増減する往復動ポンプ2を内蔵する器具本体1と、往復動ポンプ2の下流に接続される、先端にノズル9が取付けられたホース8とを備え、往復動ポンプ2の上流側に一方向弁7aを設け、往復動ポンプ2の作動で、導孔6を通してポンプ室に流入する加熱された温水を20?50サイクル/秒の脈動水としてノズル9から噴出させるようにした肛門治療器。」

3.対比
補正発明と引用文献1記載の発明とを比較すると、引用文献1記載の発明の「給水配管10」、「電磁弁12」、「瞬間沸形温水ヒータ13」、「洗滌水」、「逆流弁55」、「人体局部にむけて噴流吐出するノズル15を有するノズルシリンダ14」、「衛生温水洗滌便座」は、それぞれ、補正発明の「給水管」、「止水手段」、「加熱手段」、「洗浄水」、「逆流防止手段」、「人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段」、「人体洗浄装置」に相当する。
また、引用文献1記載の発明の「電磁ポンプ1(P)」と、補正発明の「水路容積可変手段」とは、「洗浄水を加圧する手段」で共通している。
したがって、両者は、
「給水管と、止水手段と、前記給水管から供給される洗浄水を加熱する加熱手段と、前記加熱手段の下流側に接続した温水管と、前記温水管に設けられ、洗浄水を加圧する手段と、逆流防止手段と、前記洗浄水を加圧する手段を経た洗浄水を人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段とを備えた人体洗浄装置。」である点で一致し、次の各点で相違している。
相違点1:洗浄水を加圧する手段が、補正発明では、高速かつ周期的に給水管から吐出手段まで連通した水路容積を増減可能な水路容積可変手段でありるのに対して、引用文献1記載の発明では、断続パルス電流の付勢によって洗滌水を加圧する電磁ポンプ1(P)である点。
相違点2:逆流防止手段が、補正発明では、「洗浄水を加圧する手段」(水路容積可変手段)の上流側に設けられているのに対し、引用文献1記載の請求項1に係る発明では、「洗浄水を加圧する手段」(電磁ポンプ1(P))の一部に備えたものである点。
相違点3:人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段が、補正発明では、人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段の他に、人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段を洗浄する吐出手段を備え、水路容積可変手段の駆動開始時には、前記人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段を洗浄する吐出手段より洗浄水を噴出した後、前記人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段より洗浄水を噴出するようにしたのに対して、引用文献1記載の発明では、このような人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段を洗浄する吐出手段を備えていない点。

4.判断
上記各相違点について検討する。
(1)相違点1及び2について
補正発明における「給水管から吐出手段まで連通した水路容積を増減」の意味について検討すると、該事項は、平成17年9月20日付けの手続補正で補正された事項であり、該事項に関して、同日付け意見書によれば、明細書の段落【0026】(当審注:【0024】の誤記と認められる。)の記載に基づくものとされている。しかしながら、段落【0024】には、「図2(a)において29はシリンダ部であり、図2(a)に示す関係で吸引口30および吐出口31が設けてある。また、シリンダ部29は円筒状の空洞となっており、内部に同じく円筒状のピストン32を往復動可能に設けることで、このシリンダ部29とピストン32によって、水流路の一部であり、しかもピストン32が往復動することでその容積が増減するポンプ室33が構成される。」と記載されており、この記載によれば、「給水管から吐出手段まで連通した水路容積を増減」とは実質的には「ポンプ室33の容積を増減」することと解される。
一方、引用文献2記載の発明において、「肛門治療器」、「一方向弁7a」、「ノズル9」は、補正発明の「人体洗浄装置」、「逆流防止弁」、「人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段」に相当し、往復動ポンプ2は、20?50サイクル/秒の脈動水を噴出させるものであって、「高速かつ周期的に水路内容積を増減可能な水路容積可変手段」といえるから、引用文献2記載の発明は、温水を、高速かつ周期的に水路内容積を増減可能な水路容積可変手段により人体被洗浄部にむけて噴出させるとともに、このような水路容積可変手段の上流側に逆流防止弁を設けたものといえる。
そうすると、引用文献1記載の発明の洗浄水を加圧する手段として、水路容積可変手段を採用し、水路容積可変手段の上流側に逆流防止弁を設けるようにすることは、引用文献2記載の発明に基いて当業者が容易になしうることである。

(2)相違点3について
人体洗浄装置において、複数の吐出手段を備え、いずれか1つの吐出手段を人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段とし、ほかの吐出手段を人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段を洗浄する吐出手段とすることは、周知技術にすぎない。
例えば、拒絶査定時に周知例として提示された、特開平9-119160号公報には、温水タンク(14)からの局部洗浄用の温水を、水路切替弁(17)を介してビデ洗浄ノズル(15)及びおしり洗浄ノズル(16)から噴出できるようにするとともに、何れか使用を選択された洗浄ノズルに温水を供給する前に、選択されなかった洗浄ノズルに温水を供給して一時的に噴出させて、選択された洗浄ノズルを洗浄することが記載されており、該周知技術において、選択されなかった洗浄ノズルは、人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段を洗浄する吐出手段として機能していることは明らかである。
したがって、引用文献1記載の発明において、複数の吐出手段を備え、いずれか1つの吐出手段を人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段とし、ほかの吐出手段を人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段を洗浄する吐出手段とし、水路容積可変手段の駆動開始時には、前記人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段を洗浄する吐出手段より洗浄水を噴出した後、前記人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段より洗浄水を噴出するものとすることは、上記周知技術を適用して当業者が容易になしうることである。
なお、上記周知例においては、人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段を洗浄する吐出手段は、人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段をも兼用しているが、補正発明において、人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段を洗浄する吐出手段が、その用途専用であることは規定されていないところであり、かつ、このような用途専用の吐出手段を設けることも周知技術(例えば、実願昭59-189473号(実開昭61-106580号)のマイクロフィルム、特開平61-204435号公報、特開平4-60030号公報参照。)であり、複数の吐出手段をのうちの1つの吐出手段を人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段とし、ほかの吐出手段を人体被洗浄部にむけて噴出する吐出手段洗浄専用の吐出手段とすることも適宜なしうる程度のことである。
そして、補正発明全体の効果は、引用文献1、2記載の発明および周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものであって格別のものということができない。
したがって、補正発明は、引用文献1、2記載の発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項の規定において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり、決定する。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成18年9月8日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし6に係る発明は、平成18年6月16日付けの手続補正で補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるものであり、そのうち、請求項1に係る発明は次のとおりである。
「【請求項1】給水管と、止水手段と、前記給水管から供給される洗浄水を加熱する加熱手段と、前記加熱手段の下流側に接続した温水管と、前記温水管に設けられ、高速かつ周期的に水路内容積を増減可能な水路容積可変手段と、前記水路容積可変手段の少なくとも上流側に設けた逆流防止手段と、前記水路容積可変手段を経た洗浄水を噴出する複数の吐出手段を備え、前記水路容積可変手段は前記給水管から前記吐出手段まで連通した水路容積を増減させて洗浄水を加圧することを特徴とし、前記水路容積可変手段の駆動開始時には、前記複数の吐出手段のうちのいずれか1つの吐出手段より洗浄水を噴出した後、前記吐出手段のうちのほかの吐出手段より洗浄水を噴出するようにした人体洗浄装置。」

2.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物である引用文献1及び引用文献2の記載事項及び当該引用文献に記載された発明は、上記第2 2.に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願の請求項1に係る発明は、上記第2で検討した補正発明を特定するために必要な事項である「複数の吐出手段」及び「水路容積可変手段の駆動開始時に洗浄水を噴出する吐出手段」についての限定事項を削除したものであり、本願発明を特定するために必要な事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する補正発明が、上記第2 4.で述べたとおり、引用文献1、2記載の発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである以上、請求項1に係る発明も、同様の理由により、引用文献1、2記載の発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1、2記載の発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-06-04 
結審通知日 2008-06-10 
審決日 2008-06-23 
出願番号 特願2001-321643(P2001-321643)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (E03D)
P 1 8・ 121- Z (E03D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 七字 ひろみ  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 五十幡 直子
伊波 猛
発明の名称 人体洗浄装置  
代理人 永野 大介  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 岩橋 文雄  
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