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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  G01C
管理番号 1182855
審判番号 無効2007-800113  
総通号数 106 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-10-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-06-11 
確定日 2008-07-22 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3449708号発明「トンネル内空断面測定結果の表示方法およびそのプログラム」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第3449708号の請求項1乃至7に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3449708号の発明は、平成14年5月9日の出願であって、平成15年7月11日に設定登録がなされ、これに対して平成19年6月11日にマック株式会社より本件無効審判の請求がなされ、平成19年6月22日付けで被請求人に対して答弁が指令され、被請求人からその指定期間内である平成19年9月3日付けで答弁書が提出され、請求人より平成20年3月7日付け及び同年3月17日付けで口頭審理陳述要領書及び第2口頭審理陳述要領書が提出されるとともに、被請求人より平成20年3月19日付けで口頭審理陳述要領書及び第2口頭審理陳述要領書が提出され、平成20年3月19日に特許庁第1審判廷にて口頭審理が行われ、その後書面審理とされ、平成20年4月18日付けで被請求人から訂正請求書が提出され、平成20年4月30日付けで請求人から上申書が提出されたものである。

第2.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容(下線部訂正個所)
平成20年4月18日付けの訂正請求の内容は、以下のとおりである。
i.訂正事項a
特許明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載中「該展開図において、各断面毎の測定点における各アタリ量および余掘量を図形、記号又はマークの大きさで表示するとともに、」とあるのを「該展開図において、各断面毎の測定点における各アタリ量および余掘量をプロットされた図形、記号又はマークの大きさで表示するとともに、」と訂正する。
ii.訂正事項b
特許明細書の特許請求の範囲の請求項2の記載中「前記設計断面」とあるのを「掘削設計断面」と訂正する。
iii.訂正事項c
特許明細書の特許請求の範囲の請求項6の記載中「該展開図において、各断面毎の測定点における各アタリ量および余掘量を図形、記号又はマークの大きさで表示するとともに、」とあるのを「該展開図において、各断面毎の測定点における各アタリ量および余掘量をプロットされた図形、記号又はマークの大きさで表示するとともに、」と訂正する。
iv.訂正事項d
特許明細書の特許請求の範囲の請求項7の記載中「前記設計断面」とあるのを「掘削設計断面」と訂正する。
v.訂正事項e
特許明細書の段落【0006】の記載中「該展開図において、各断面毎の測定点における各アタリ量および余掘量を図形、記号又はマークの大きさで表示するとともに、」とあるのを「該展開図において、各断面毎の測定点における各アタリ量および余掘量をプロットされた図形、記号又はマークの大きさで表示するとともに、」と訂正する。
vi.訂正事項f
特許明細書の段落【0008】の記載中「前記設計断面」とあるのを「掘削設計断面」と訂正する。
vii.訂正事項g
特許明細書の段落【0013】の記載中「該展開図において、各断面毎の測定点における各アタリ量および余掘量を図形、記号又はマークの大きさで表示するとともに、」とあるのを「該展開図において、各断面毎の測定点における各アタリ量および余掘量をプロットされた図形、記号又はマークの大きさで表示するとともに、」と訂正する。
viii.訂正事項h
特許明細書の段落【0014】の記載中「前記設計断面」とあるのを「掘削設計断面」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張変更の存否
i.訂正事項a、c、e及びgについて
訂正事項a及びcは、特許明細書の段落【0007】の記載に基づいて、特許請求の範囲の請求項1及び6に記載される展開図に表示された図形、記号又はマークがプロットされたものであることを限定したものであり、特許請求の範囲の請求項1及び6の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、上記訂正事項e及びgは、上記訂正事項a及びcに係る特許請求の範囲の請求項1及び6の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、変更するものでもない。
ii.訂正事項b、d、f及びhについて
訂正事項b及びdは、特許請求の範囲の請求項2及び7において、特許明細書の段落【0009】に記載されるように、「掘削設計断面」と記載すべき所を錯誤により「前記設計断面」と記載してしまったものであり、特許請求の範囲の請求項2及び7における誤記の訂正を目的とした明細書の訂正に該当し、上記訂正事項f及びhは、上記訂正事項b及びdに係る特許請求の範囲の請求項2及び7の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、変更するものでもない。

3.むすび
したがって、上記訂正は、特許法第134条の2第1項並びに同条の2第5項において準用する特許法第126条第3項及び第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

第3.本件発明
本件特許第3449708号の請求項1乃至7に係る発明(以下、「本件発明1乃至7」という。)は、訂正が認められるから、本件の訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至7に記載された事項により特定される下記のとおりのものである。
【請求項1】光波測距儀により測定した覆工前の内空断面測定結果を展開図によって表示するとともに、該展開図において、各断面毎の測定点における各アタリ量および余掘量をプロットされた図形、記号又はマークの大きさで表示するとともに、アタリまたは余掘の区別を前記図形、記号又はマークに付した色で表示することを特徴とするトンネル内空断面測定結果の表示方法。
【請求項2】光波測距儀により測定した覆工前の内空断面測定結果を展開図によって表示するとともに、該展開図において、掘削設計断面を基準とした凸凹量を等高線により表示するとともに、各等高線の範囲毎に色分けすることにより、前記内空断面におけるアタリ量及び余掘量並びにアタリ及び余掘の区別を表示することを特徴とするトンネル内空断面測定結果の表示方法。
【請求項3】前記展開図の縦軸は前記トンネル中心線を基準として展開したトンネル周方向の距離とし、横軸は掘進方向の距離としてある請求項1または2いずれかに記載のトンネル内空断面測定結果の表示方法。
【請求項4】前記光波測距儀に代えて、3次元スキャナーを用いて前記内空断面測定を行う請求項1?3いずれかに記載のトンネル内空断面測定結果の表示方法。
【請求項5】前記光波測距儀に代えて、デジタルカメラを用いた精密写真測量により前記内空断面測定を行う請求項1?3いずれかに記載のトンネル内空断面測定結果の表示方法。
【請求項6】コンピューターにおいて、覆工前の内空断面測定結果を展開図によって表示するとともに、該展開図において、各断面毎の測定点における各アタリ量および余掘量をプロットされた図形、記号又はマークの大きさで表示するとともに、アタリまたは余掘の区別を前記図形、記号又はマークに付した色で表示するように実行させるためのトンネル内空断面測定結果表示用プログラム。
【請求項7】コンピューターにおいて、覆工前の内空断面測定結果を展開図によって表示するとともに、該展開図において、掘削設計断面を基準とした凸凹量を等高線により表示するとともに、各等高線の範囲毎に色分けすることにより、前記内空断面におけるアタリ量及び余掘量並びにアタリ及び余掘の区別を表示するように実行させるためのトンネル内空断面測定結果表示用プログラム。

第4.当事者の求めた審判及び当審無効理由通知
1.請求人の主張
請求人は、審判請求書において、特許第3449708号の特許を無効とする、との審決を求めることを請求の趣旨として、下記の甲第1号証乃至甲第12号証を提出し、ついで、口頭審理陳述要領書において下記の甲第13号証乃至甲第17号証を提出し、さらに、第2口頭審理陳述要領書において下記の甲第18号証乃至甲第21号証を提出し、本件発明1乃至7は、その出願前に発行された甲第1号証乃至甲第21号証に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明1乃至7の特許は同法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきである旨主張する。
甲第1号証:アンベルグ・メジャリング・テクニック社
「プロファイラー4000」マニュアル
甲第2号証:特開2000-283756号公報
甲第3号証:特開2002-83017号公報
甲第4号証:特開平6-307863号公報
甲第5号証:特開平11-324560号公報
甲第6号証:特開平8-179688号公報
甲第7号証:特開平7-249114号公報
甲第8号証:特開平5-27676号公報
甲第9号証:「国語大辞典」株式会社小学館昭和56年12月10日発行
表紙、第1590頁‘だんさいしき【段彩式】’の項、奥付
甲第10号証:特開平10-47951号公報
甲第11号証:特開平6-18234号公報
甲第12号証:特開2000-160992号公報
甲第13号証:「削孔ロボットを用いた硬岩トンネルのスムーズブラス
ティングに関する研究」
(土木学会論文集 第367号/VI-4 1986年3月)
甲第14号証:「硬岩トンネルのスムーズブラスティング孔設計の最適化
に関する研究」
(土木学会論文集第379号/VI-6 1987年3月)
甲第15号証:特開平9-284749号公報
甲第16号証:特開2001-141660号公報
甲第17号証:「なるほど日本地図帳」昭文社2004年4月発行、
表紙、第65,67頁、奥付
甲第18号証:アンベルグ・メジャリングテクニック社作成の
「PROFILER 4000 Sales Documentation 16.71」
甲第19号証:特開平10-253763号公報
甲第20号証:特開平8-313239号公報
甲第21号証:特開平11-131669号公報

2.被請求人の主張
被請求人は、訂正請求を行うとともに、本件発明1乃至7は、特許法第29条第2項の規定に違反するものではないから、無効審判の請求には理由がない旨主張する。

3.当審無効理由通知
当審は、平成20年3月19日に行われた口頭審理の場において、本件発明1乃至7は、請求人が提出した甲第1号証乃至甲第21号証に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は同法第123条第1項第2号の規定により無効である旨通知し、被請求人に意見書及び訂正請求書を提出する機会を与えた。

第5.当審の判断
1.甲各号証に記載の発明
(1)甲第1号証に記載の発明
i.甲第1号証〔アンベルグ・メジャリング・テクニック社「プロファイラー4000」マニュアル〕は、スイス国法人であるアンベルグ・メジャリング・テクニック社(Amberg Measuring Technique Ltd.)の日本総代理店である富士物産株式会社が、アンベルグ・メジャリング・テクニック社のトンネル断面測定機である「プロファイラー4000」を販売するに当たり、その販売活動資料として平成9年3月から頒布した同機のマニュアルであり、該甲第1号証には、以下の事項が記載されている。
ア.プロファイラー4000(トンネル断面測定機)の写真(第4頁)。
イ.トンネル掘削時の問題点として過剰断面及び不足断面が原価増大を招くこと(第6頁)。
ウ.掘削の最適化及び作業の流れとして、掘削直後の予備ライニング前にトンネルの現状断面をプロファイラー4000により測定すること、及び、オフィス内にてトンネルの断面測定結果に基づいてPRO-WIN6.0を用いた事後処理により3次元モデル表示がなされること(第7頁)。
エ.プロファイラー4000を竪坑調査に使用すること(第11頁)。
オ.トンネル断面を光波計を装備したプロファイラー4000により毎秒14点の速度で7秒間に360度を測定すること(第16?22頁)。
カ.過剰断面及び不足断面を有するトンネル断面について、現状断面と設計断面をプロファイラー4000に装備した携帯端末のモニタ画面に表示して直接評価すること(第35頁)。
キ.プログラムPRO-WIN6.0として、プロファイラー4000のウィンドウズ・アプリケーションにより、コンピュータ上にて3次元処理による透視図および等高線図が作成されること、3次元モデルからの2次元断面の抽出ができること(第37頁)。
ク.測定したトンネルの現状断面を前記コンピュータの画面に表示すること(第38頁)。
ケ.二次元断面プロットとして、トンネルの設計断面と掘削現状断面の形状を測定点毎の測定数値とともに図示すること(第42頁)。
コ.三次元表示として、トンネルの掘削現状に係る過剰断面及び不足断面の分布状態について、各断面毎の測定点における測定結果に基づいて大きさの異なる三角メッシュ要素の連続体及び該三角メッシュ要素に付した白黒で区別して示された三次元モデル表示によって図示すること(第44頁)。
サ.等高線図として、トンネルの掘削現状に係る過剰断面及び不足断面の分布状態について、その凸凹量を各断面毎の測定点における測定結果に基づいて等高線及び各等高線に付した符号付きの測定数値によって区別して図示すること(第45頁)。

ii.甲第1号証には、前記記載事項によれば、以下の2つの発明が記載されているものと認められる。
「プロファイラー4000(トンネル断面測定機)により測定した掘削直後のトンネルの断面測定結果について、これをPRO-WIN6.0なるウィンドウズ・アプリケーションプログラムにより、コンピュータ上にて3次元処理による三次元モデル表示によって表示するとともに、該三次元モデル表示において、各断面毎の測定点における測定結果に基づいて各不足断面および過剰断面の分布状態を大きさの異なる三角メッシュ要素の連続体及び該三角メッシュ要素に付した白黒により区別して表示するようにしたトンネルの断面測定結果の表示方法及び表示用プログラム。」(以下、「引用発明1A」という。)
「プロファイラー4000(トンネル断面測定機)により測定した掘削直後のトンネルの断面測定結果について、これをPRO-WIN6.0なるウィンドウズ・アプリケーションプログラムにより、コンピュータ上にて3次元処理による等高線図によって表示するとともに、該等高線図において、各断面毎の各不足断面および過剰断面の分布状態について、その凸凹量を各断面毎の測定点における測定結果に基づいて等高線及び各等高線に付した符号付きの測定数値によって区別して表示するようにしたトンネルの断面測定結果の表示方法及び表示用プログラム。」(以下、「引用発明1B」という。)

(2)甲第4号証に記載の発明
i.甲第4号証〔特開平6-307863号公報〕には、以下の事項が記載されている。
【0005】【作用】上記した構成により、本発明は、前記第一レーザ光射出走査手段(19、20、21、22、31、32)により射出され、前記反射手段(3)により前記入射経路と同一な反射経路上に反射されたレーザ光の、前記第一射出角度検出手段(23、25、27、29)により検出された前記射出角度(ψ1)と、当該反射手段(3)について、前記第二レーザ光射出走査手段(49、50、51、52、61、62)に設けられた前記第二射出角度検出手段(53、55、57、59)により検出された、前記第二レーザ光射出走査手段(49、50、51、52、61、62)により射出され、前記入射経路と同一な反射経路上に反射されたレーザ光の前記射出角度(ψ2)とに基づいて、前記トンネル断面(Pn)におけるトンネル内周面(2a、2b、2c)の反射手段(3)の位置((x10、z10))を、前記反射位置検出演算部(35)により検出演算し得るように、また、前記入力手段(37)により前記トンネル断面(Pn)における設計断面形状(Dn)を入力しておくことにより、位置検出演算手段(66)によって、前記設計断面形状(Dn)に対する前記反射手段(3)の位置(dL)を検出演算することが出来、前記表示手段(39)によって、前記位置検出演算手段(66)により検出された前記設計断面形状(Dn)に対する前記反射手段(3)の位置(dL)を表示し得るように、また、前記走行手段(63、65、81、82、83、84、85)によって、前記第一及び第二レーザ光射出走査手段(19、20、21、22、31、32、49、50、51、52、61、62)を、各レーザ光を前記トンネル断面(Pn)とは異なるトンネル断面(Pn)におけるトンネル内周面(2a、2b、2c)に射出走査し得る位置まで移動位置決めし得るように作用する。
【0015】そこで、キーボード37により、表示部39に、図5に示すように、表示信号S11を入力すると、表示部39は、該信号S11に基づいて、設計値メモリー67から、計測断面P1における設計内空断面形状のXZ座標群D1(x20、z20)を呼び出し、その呼び出したXZ座標群D1(x20、z20)に基づき、図6に示すように、計測断面P1での設計内空断面形状(図6中一点鎖線)を表示する。又、計測値メモリー67から、計測断面P1における各反射部材3(3a?3g)のXZ座標(x10、z10)と、設計内空断面形状において該各反射部材3(3a?3g)とトンネル中心線CLとを結ぶ直線と交わる位置の、XZ座標群D1との差異dLを呼び出し、その呼び出した各差異dLに基づき、計測断面P1での実測内空断面形状SH2(図6中実線)を、前記設計内空断面形状SH1(図6中一点鎖線)に重ね合わせる形で表示し、前記各反射部材3(3a?3g)における各差異dLを数値及び断面形状SH1、SH2の不一致を示す画像として表示する(図中a、b・・・gは、各反射部材3a、3b・・・3gに対応する)。これにより、作業員は、計測断面P1での設計内空断面形状SH1(図6中一点鎖線)と、実際の内空断面形状SH2(図6中実線)の違いを視覚的及び数値的に知ることが出来る。
【0016】・・・従って、計測断面P1同様に、計測断面P2での設計内空断面形状、実測内空断面形状、及び、両者の差異dLを、表示部39に表示することが出来る。更に、同様にして移動計測装置100をY軸方向に計測間隔L4ごとに移動位置決めしていくことにより、トンネル2に所定のピッチL4で設定された各計測断面Pnに走査面Pvを一致させ、各計測断面Pnにおいて、前記各レーザ光を、所定角度範囲γの左方の境界線BLl1、BLl2から右方の境界線BLr1、BLr2まで走査することが出来るので、各計測断面Pnにおけるトンネル2の天井2a及び側壁2bに設けられた反射部材3の位置を上述同様に計測検出することが出来、従って、各計測断面Pnにおける内空断面形状をそれぞれ計測検出することが出来る。そして、各計測断面Pnの設計内空断面形状、実測内空断面形状、及び、両者の差異dLを、表示部39に表示することが出来るので、作業員は、各計測断面Pnでの設計内空断面形状と、実際の内空断面形状の違いを視覚的及び数値的に知ることが出来る。

ii.甲第4号証には、前記摘示の記載によれば、以下の発明が記載されているものと認められる。
「第一レーザ光射出走査手段(19)と第二レーザ光射出走査手段(49)とを備えるトンネル内空断面形状計測装置によりトンネル内周面(2a)の反射手段(3)の位置を検出演算し得るようにするとともに、トンネル断面(Pn)における設計断面形状(Dn)を入力しておくことにより、計測断面P1での設計内空断面形状SH1(図6中一点鎖線)と実際の内空断面形状SH2(図6中実線)とを重ね合わせて表示するとともに、形状の各差異dLを数値で表示するようにしたトンネルの内空断面形状の表示方法。」

(3)甲第14号証に記載の発明
i.甲第14号証〔硬岩トンネルのスムーズブラスティング孔設計の最適化に関する研究〕には、以下の事項が記載されている。
「すでに前論文で示したように、実験1ではかなりの当りが生じていた。この区間で断面測定器により精密な測定を行い、当りの実態とその除去に要する費用を算出した。図-12に測定を行った2次覆工12スパン126mの区間における当り箇所を斜線で示す。また表-4にこの間のスパンごとの当りの箇所数とその面積を示す。」(第112頁左欄最下行?右欄第10行)

ii.甲第14号証には、前記摘示の記載及び図-12並びに表-4によれば、以下の発明が記載されているものと認められる。
「断面測定器により測定した覆工前のトンネルの断面測定結果を縦軸がトンネル中心線CLを基準として展開したトンネル周方向の距離とし横軸が掘進方向の距離であるスパンNOとした展開図によって表示するものであって、該展開図において、当り箇所を斜線で表示するとともに前記当り箇所を除いた余掘箇所を空白の部分で表示するようにしたトンネルの断面測定結果の表示方法。」

(4)甲第19号証に記載の発明
i.甲第19号証〔特開平10-253763号公報〕には、以下の事項が記載されている。
【請求項1】 岩石又は岩盤の微小破壊に引き続く破壊を予知する岩石又は
岩盤の破壊予知方法において、測定対象領域内の複数地点の地中の岩石又は岩盤中に空洞を形成し、それぞれに光検出器を埋設し、それぞれの前記光検出器を常時作動状態にして、前記空洞内部での光の有無及び光の強度の測定を通時的に行ない、測定結果を測定信号に変換して、該測定信号を信号処理地点に送信し、該信号処理地点において、前記測定信号をそれぞれの測定地点の位置と対応させて観察することにより、前記岩石又は岩盤で微小破壊が起きる際に発生する光を捉らえ、これにより微小破壊の発生地点と発生時期を検知することを特徴とする岩石又は岩盤の破壊予知方法。
【請求項2】前記空洞を形成した前記測定地点を、前記測定対象領域内に一定間隔で分散させて配置したことを特徴とする請求項1に記載の岩石又は岩盤の破壊予知方法。
【0018】次に本実施形態と形態の方法を適用したシステムの全体の構成を図1を用いて説明する。断層が存在する領域内の、格子点状に配列されている複数地点(A?P)に、上述した光検出器埋設部1がそれぞれ設けられている。それぞれの光検出器埋設部1のPMT8には複線のコード10が接続されており、そのコード10の他端は地盤の安定している所に設置された信号処理施設100内の電力供給源101、及び信号処理装置102へと接続されている。ここで、コード10は切断等の危険性を減少させるため地中を通して配線してある。PMT8への電力供給はこのコード10を介して信号処理施設100内の電力供給源101より行なわれる。また、信号処理装置102は、PMT8より送信されてきた検出光子数を表す信号を測定地点の位置座標及び検出時間と対応させる処理をするもので、その処理結果はプリンタ103で出力できるようになっている。さらに、信号処理装置102では、それぞれの測定地点にPMTが4個設置されているため、それぞれ4つの信号が送信されてくるが、偶発的なノイズを除去するために1個のPMTにおいてのみ異常な数値を示した場合は、それを排除するようになっている。
【0019】信号処理装置102では、様々な表示方法が考えられるが、例えば、図3に示すように、横軸200を時間にとって通時的に各測定地点(A?P)の検出光子数を表す方法と、図4に示すように、基準となる測定地点(例えば点A)を原点として、縦軸301を測定領域の南北方向に、横軸302を東西方向にとり、他の測定地点(B?P)を実際の位置座標と対応したグラフ上の座標上に配置し、ある時間での、それぞれの検出光子数を黒丸の直径で表す方法を選択できるようにしておく。
【0030】次に本発明に係る岩石又は岩盤の破壊予知方法を、岩石をくりぬいて形成されたトンネルの崩落予知方法に適用した第2実施形態について説明する。なお、ここで、第1実施形態と重複する説明は省略する。図5は、本実施形態を適用したトンネルの概略図であり、図6は、図5のA点における岩石中に設けられた光検出器埋設部1を拡大した垂直断面図である。
【0031】まず図6を参照して、個々の光検出器埋設部1の説明をする。個々の光検出器埋設部1には、トンネル表面2から岩石3の内部に細孔4が設けられている。その細孔4の内部には第1実施形態と異なり空洞を設けることなく、直接細孔4内に、透光性樹脂が注入され、硬化して樹脂成型体6を形成している。樹脂成型体6内部には、光検出器として3個(図6において記載されているのはそのうち2つである)のPMT(光電子増倍管)8が挿入されている。これら光検出器埋設部1は、図5に示すように、トンネル内壁沿って格子点状に配列している複数地点に設けられている。
【0032】信号処理装置102の表示方法は、第1実施形態における図3と同様の通時的に検出格子数を表す方法と、表示内容は図4に示す場合と同じであるが、測定地点のトンネル形状に合わせた形で表示する(図7参照)の方法を用いる。
【0033】第1実施形態と同様に測定を開始し、トンネルの崩落の前兆現象として、例えば点Eの岩石に微小破壊が生じたとき、図3(b)のようにある点において異常値が検知される。この場合に図7の表示方法に切り換え、微小破壊の位置(図中黒丸401の位置)、規模(黒丸401の大きさ)、進行方向、速度等の情報を把握し、引き続くトンネルの崩落を予知する。

ii.甲第19号証には、前記摘示の記載によれば、以下の発明が記載されているものと認められる。
「トンネル壁面の破壊予知方法として、図5に示すようにトンネル内壁に沿って光検出器埋設部1を格子点状に埋設し、図7に示すように各測定点において測定された検出光子数を黒丸の直径で表すとともに測定地点のトンネル形状に合わせた形で曲面図により表示する方法。」

(5)甲第20号証に記載の発明
i.甲第20号証〔特開平8-313239号公報〕には、以下の事項が記載されている。
【請求項1】縦坑または溝の壁面の3次元データを測定する壁面測定装置
において、超音波を送受信する超音波送受信部と、前記縦坑または溝内において、前記超音波送受信部を昇降させる昇降手段と、前記超音波送受信部の送信する超音波ビームを、そのビーム走査面が前記昇降方向と交差するように走査する超音波走査手段と、少なくとも、前記超音波送受信部の受信信号と、前記超音波ビームの走査方向と、前記超音波送受信部の昇降位置とに基づき、超音波送信方向の壁面の3次元データを演算する壁面データ演算手段と、を含み、前記超音波送受信部の移動経路に沿った壁面の3次元データを前記超音波ビームの走査幅で測定することを特徴とする壁面測定装置。
【0051】ところで、地下連壁工法などの多くの土木工法では、掘削溝壁20の鉛直性や掘削幅を確実に確保することが必要となる。しかし、掘削溝壁20A,20Bは、掘削中の振動やその他の原因によって、その一部が崩落し、その鉛直性や掘削幅を確実に確保できないことがある。図2には、掘削溝壁20Bの壁面の一部が崩落した状態が示されている。本来、この掘削溝壁20Bは、図中二点鎖線で示す20B′に沿って形成されることが好ましい。しかし、その一部に崩落が発生すると、この崩落エリア22の部分に窪みが生じ、このエリア22から崩落した土砂が底部に堆積し堆積エリア24となる。この結果、掘削溝壁20Bに凹凸が生じ、さらには崩落土砂が堆積することによって掘削深度が浅くなり、その後の工事に影響を与えることになる。
【0060】図8には、図2に示すようその一部が崩落した掘削溝壁20Bの測定データが概略的に示されている。同図に示すよう、実施例の演算制御装置30は、一回の測定動作により、超音波ビーム100Bの走査幅dの範囲で、超音波送受信ユニット50の昇降経路に対応した深さhMaxのエリアで掘削溝壁20の3次元形状を測定し、これを図示ないディスプレイ上に画像表示することができる。なお、図8では、掘削溝壁20Bの壁面の凹凸を、等高線で図示するように測定画像が表示される。これにより、その3次元形状を、視覚的に正確に把握することが可能となる。
【0078】前記壁面データ演算手段32は、超音波トランスジューサ58A,58Bの送受信信号と、超音波ビーム100の走査方向と、超音波送受信部56の昇降位置とを記憶する記憶部を含み、記憶データに基づき前記超音波送受信部56の移動経路に沿って、超音波ビームの走査幅dの壁面3次元形状を演算し、表示回路38上に表示するように形成されている。具体的には、超音波ビームが送受波される毎に、トリガパルサ72から出力されるトリガ信号の出力タイミングと、増幅回路82から出力される受信信号の受信タイミングとの時間差に基づき、各超音波トランスジューサ58A,58Bと壁面との距離を演算する。このとき、同時に、巻上部46へ出力された制御信号に基づき、各超音波トランスジューサ58A,58Bの深さ(深さ方向のY座標データ)を検出するとともに、走査部として機能するモータ66へ向けた駆動信号に基づき、超音波ビーム100の走査方向θを検出する。そして、これら各データに基づき、超音波ビーム100A,100Bの壁面20A,20B上での反射ポイントを特定し、当該各ポイントにおける3次元データ(X,Y,Zの各座標値)を演算する。そして、演算された3次元データを、図8に示すような画像として表示装置38上に表示する。
【0079】特に、本実施例においては、図8に示すよう、壁面に垂直なX座標データが等しい箇所を、等高線で結んで表示することにより、壁面の3次元形状を視覚的に瞬時に理解することが可能となる。

ii.甲第20号証には、前記摘示の記載によれば、以下の発明が記載されているものと認められる。
「土木工事における掘削状況について、壁面測定装置により縦坑または溝の壁面の3次元形状を測定し、図8に示すように走査幅d及び深さhMaxの範囲で壁面の凹凸を等高線で図示した測定画像を表示するようにした壁面の3次元形状の表示方法。」

(6)甲第21号証に記載の発明
i.甲第21号証〔特開平11-131669号公報〕には、以下の事項が記載されている。
【請求項1】建築物躯体を構成するデッキプレートにおいて、前記デッキプレートの残留磁気の磁化パターンと所定の高さの磁場分布を計測し、前記デッキプレートの上側に、上下方向にN極とS極とを有する鋼材を前記デッキプレートの残留磁気を打ち消す方向に配筋し、 前記残留磁気による磁場を前記鋼材の磁気により打ち消し合うことによって、前記デッキプレートから所定の高さにおける磁場の強さを低減するようにしたことを特徴とするデッキプレートの残留磁気低減方法。
【0006】その色ずれ障害が生じた場所の周辺の磁場計測を行った結果を示すと、図1(A),(B)の通りである。同図(A)は床面±0mmの磁場分布を示し、同図(B)は床面+700mmの磁場分布を示す。この計測結果により示されるように、床面±0mmでは局所的に大きな磁場が不規則に分布し、床面+700mmでは床面±0mmよりは小さいものの、広範囲にわたって色ずれ障害の閾値である0.6Gを越えていることが判明した。その結果、色ずれ障害が生じたものと考えられる。
【0027】図5(A),(B)は横2400mm×縦1500mmのフラットデッキと合成スラブのデッキプレートについて、実験的に同様な条件でスタッド溶接を行った場合における磁場分布を示す図であり、同図(A)はデッキプレートの残留磁気を示し、同図(B)はデッキプレートの±1000mmの高さにおける磁気分布を示す。これらの図においては、いずれも丸印の大きさで磁場の大きさを表している。黒丸は磁場の垂直成分が卓越したもので、その方向がプラス方向(N極)であることを示し、白丸は同じく垂直成分が卓越したもので、その方向がマイナス方向(S極)であることを示す。この場合には、左半分にN極が、右半分にS極が分布しており、その大きさは1000mmの高さにおいて1.0Gを越えており、CRTディスプレイに色ずれ障害を起こさせる大きさである。

ii.甲第21号証には、前記摘示の記載によれば、以下の発明が記載されているものと認められる。
「建築物躯体を構成するデッキプレートの残留磁気の分布状態について、デッキプレートの二次元平面に沿って格子点状に測定点を配列し、該測定点における磁場の大きさを丸印の大きさで表し、黒丸及び白丸の区別により磁場の方向がプラス方向かマイナス方向かを示すように平面図により表示する方法。」

2.本件発明1について
(1)本件発明1と引用発明1Aとの対比
i.本件発明1と引用発明1Aとを対比すると、引用発明1Aの「プロファイラー4000(トンネル断面測定機)」、「掘削直後のトンネルの断面測定結果」、「不足断面」、「過剰断面」は、それぞれ、本件発明1の「光波測距儀」、「覆工前の内空断面測定結果」、「アタリ」、「余掘」に相当する。
また、引用発明1Aの「三次元モデル表示」は、本件発明1の「展開図」と対比して、いずれも「図」であることで共通する。
ところで、引用発明1Aを認定した甲第1号証の第44頁に図示される「三次元モデル表示」は、トンネルの各断面毎の測定点における測定結果に基づいてオフィス内の事後処理によりアタリ及び余掘の分布状態について表示することを技術的意義とするものである以上、黒色と白色の三角メッシュ要素の内、いずれがアタリ又は余掘を示すものか必ずしも明確でないとしても、トンネル掘削により生じるアタリ及び余掘の分布状態として、測定値に基づいてアタリ及び余掘のそれぞれの量及び区別に係る何らかの情報を大きさが異なるとともに白黒で区別される三角メッシュ要素により表示するものであることは認められる。
そうすると、アタリ及び余掘の分布状態について、引用発明1Aの「大きさが異なるとともに白黒で区別される三角メッシュ要素」は、本件発明1の「大きさ及び付した色で区別される図形、記号又はマーク」と対比して、いずれも「図形」であって、「アタリ及び余掘のそれぞれの量及び区別に係る何らかの情報を図形の大きさ及び該図形に付した色で表示する」ことにおいて共通する。

ii.しかして、本件発明1と引用発明1Aの両者は、以下の点で一致並びに相違するものと認められる。
一致点.「光波測距儀により測定した覆工前の内空断面測定結果を図によって表示するとともに、該図において、各断面毎の測定点における各アタリ及び余掘のそれぞれの量及び区別に係る何らかの情報を図形の大きさ及び該図形に付した色で表示するトンネル内空断面測定結果の表示方法。」
相違点A.覆工前の内空断面測定結果を図によって表示するときに、本件発明1は、展開図によって表示するとともに、該展開図において、各断面毎の測定点における各アタリ量および余掘量をプロットされた図形、記号又はマークの大きさで表示するとともに、アタリまたは余掘の区別を前記図形、記号又はマークに付した色で表示する構成としたのに対して、引用発明1Aは、三次元モデル表示によって表示するとともに、該三次元モデル表示において、各断面毎の測定点における測定結果に基づいてアタリ及び余掘のそれぞれの量及び区別に係る何らかの情報を大きさが異なるとともに白黒で区別される三角メッシュ要素により表示する点。

(2)相違点Aの検討
i.前記したように、引用発明1Aの「三次元モデル表示」においては、黒色と白色の三角メッシュ要素の内、いずれがアタリ又は余掘を示すものか必ずしも明確でないとしても、測定値に基づいてアタリ及び余掘の量及び区別に係る何らかの情報を表示する技術的意義のものであると認められる。
そして、該三次元モデル表示における領域が白く着色された三角メッシュ要素に着目すると、トンネルの内面側は三角メッシュ要素の連続体によって断面に沿ってほぼ完全な円弧が形成されているのに対して、トンネルの外面側は三角メッシュ要素の連続体によって起伏のある不完全な円弧が形成されていることからみて、前記白く着色された三角メッシュ要素により前記ほぼ完全な円弧を基準とする掘削の設計断面における余掘の位置及び区別を示すとともに、該三角メッシュ要素の外面側への大きさが余掘量を示していると解することは、前記技術的意義を踏まえて当業者が容易に想定する事項と認められる。
また、該三次元モデル表示におけるトンネルの右方及び上方に存在する、領域が黒く着色された三角メッシュ要素に着目すると、いずれも幾何的に同一の形状をもって前記掘削の設計断面を示す位置に表示されていることからみて、前記黒色の三角メッシュ要素により掘削の設計断面を基準とするアタリの位置及び区別を示すとともに、視野が妨げられているために確認できないが前記掘削の設計断面からトンネルの内方向にアタリ量を示している可能性があると解することは、前記技術的意義を踏まえて当業者が容易に想定する事項と認められる。

ii.ところで、甲第14号証には、その第111頁の図-12に、断面測定器により測定した覆工前のトンネルの断面測定結果を展開図によって表示するとともに、該展開図において、当り箇所を斜線で表示するとともに前記当り箇所を除いた余掘箇所を空白の部分で表示するようにしたトンネルの断面測定結果の表示方法の発明が開示されている。

iii.また、甲第19号証には、トンネル壁面の破壊予知方法として、図5に示すようにトンネル内壁に沿って光検出器埋設部1を格子点状に埋設し、図7に示すように各測定点において測定された検出光子数を黒丸の直径で表すとともに測定地点のトンネル形状に合わせた形で曲面図により表示する方法の発明が開示されている。

iv.さらに、甲第21号証には、建築物躯体を構成するデッキプレートの残留磁気の分布状態について、デッキプレートの二次元平面に沿って格子点状に測定点を配列し、該測定点における磁場の大きさを丸印の大きさで表し、黒丸及び白丸の区別により磁場の方向がプラス方向かマイナス方向かを示すように平面図により表示する方法の発明が開示されている。

v.一方、本件発明1は、アタリ量および余掘量をプロットされた図形、記号又はマークの大きさで表示するとともに、アタリまたは余掘の区別を前記図形、記号又はマークに付した色で表示するものであるところ、引用発明1Aを認定した甲第1号証の第42頁には、二次元断面プロットとして、トンネルの設計断面と掘削現状断面の形状を測定点毎の測定数値とともに図示することが記載されているとともに、甲第19号証に各測定点における検出光子数を黒丸の直径で表す技術や、甲第21号証に各測定点における磁場の大きさを丸印の大きさで表すとともに磁場の方向を黒丸及び白丸の区別により表す技術が開示されているように、各測定点における測定量をプロットされた図形の大きさで表示する技術は周知(以下、「周知技術A」という。)というべきものであって、しかも、図形を表示する際に必要に応じてプロット処理を行うことや、測定量の種別の区別を色で表示することは、技術分野を問わずに適宜に選択される単なる設計的事項に過ぎないものである。

vi.そうすると、引用発明1Aに示される、三次元モデル表示によって、各断面毎の測定点における測定結果に基づいてアタリ及び余掘のそれぞれの量及び区別に係る何らかの情報を大きさが異なるとともに白黒で区別される三角メッシュ要素により表示するものにおいて、前記三次元モデル表示に代えて、甲第14号証に記載の発明に示される、展開図によりアタリと余掘の位置を区別して表示する技術を採用するとともに、アタリと余掘のそれぞれの量及び区別に係る何らかの情報を表示するのに、三角メッシュ要素の大きさ及び白黒による何らかの形式で表示することに代えて、甲第19号証及び甲第21号証に示される、各測定点における測定量をプロットされた図形の大きさで表示する前記周知技術Aを採用するとともに、測定量の種別の区別を色で表示するように適宜設計的変更を加えて、前記相違点Aに係る本件発明1のように構成することは、当業者が容易に想到できるものである

vii.被請求人の主張について
被請求人は、引用発明1Aを認定した甲第1号証の第44頁に図示される三次元モデル表示について、(ア)甲第1号証には明確な説明が一切記載されておらず、請求人の解釈も変遷しており、はじめて甲第1号証を見た当業者が、三次元モデル表示によりアタリと余掘の区別と、その量が三次元の厚みで表現されていると考えるのは疑問である旨、(イ)設計断面の解釈や、三角メッシュ要素が部分的に白黒に分けて塗られたものの解釈が不明である旨、(ウ)三次元モデル表示を展開図に変形すると、アタリと余掘の区別が表現できるだけとなり、余掘量は見えなくなる旨、(エ)甲第1号証のプロファイラー4000による測定は、覆工も対象にしており、三次元モデル表示が覆工前のものとは断定できない旨を主張している。
しかしながら、前記(ア)については、甲第1号証に記載されるプロファイラー4000は、前記したように、トンネル掘削時のアタリ及び余掘の測定結果に基づいて、オフィス内の事後処理による管理手法として、三次元モデル表示によりアタリと余掘の分布状態、すなわちアタリ及び余掘のそれぞれの量及び区別に係る何らかの情報について、1つの断面部分のみではなく、トンネルの軸方向に沿う広範囲にわたって、使用者に分かり易い形で表示するという技術的意義のものであることは明らかであるから、該三次元モデル表示によりアタリと余掘の量とその区別をトンネルの斜視図に沿って配列された三角メッシュ要素の大きさとそれに付された色によって表示する趣旨であることは、当業者にとって容易に理解しうるものである。
前記(イ)については、その三次元モデル表示には、どのように解釈するのか不明な部分が多々あるが、いずれも細部の問題であって、前記(ア)について論及したように、その技術的意義に基づいての当業者の理解を妨げるものではなく、また、単なる断面図表示ではない三次元モデル表示による技術的意義自体に基づいて発明の契機とすることができるのも明らかである。
前記(ウ)については、当業者は、引用発明1Aに示される、アタリと余掘の量及び区別をトンネルの軸方向に沿って広範囲に分かり易い形で表示するという技術的意義の開示及び具体例に基づいて、他の実現手段を想起する契機とすることは、通常の創作能力の発揮というべきものであり、その際にアタリと余掘の分布状態を展開図によりトンネルの軸方向に沿って広範囲に表示するという甲第14号証に開示される先行技術や、2次元的に分布した各測定点における測定量を展開図に即した表示形態である図形の大きさで表示するという前記周知技術Aを参酌することができるから、三次元モデル表示に独自の表示形態にとらわれる必要がないことは明らかである。なお、本件発明1のトンネル掘削と関連する、トンネル覆工に係る測定検査の技術分野において、トンネル壁面の測定検査結果を展開図により表示する技術は、周知(例えば、甲第3号証〔特開2002-83017号公報〕、特開平10-90234号公報、特開2002-55091号公報参照。)であるから、展開図を採用する動機には事欠かないものである。
前記(エ)については、甲第1号証に記載されるプロファイラー4000による測定は、専ら覆工前を対象としつつも、覆工をも対象とすることから、仮に三次元モデル表示が覆工前のものと断定できないとしても、当然に覆工前のものを含むものであり、しかもその前後に掘削に伴う実際の状況及び補正コストについて記載されていることからすれば、甲第1号証の第44頁に図示される三次元モデル表示を覆工前のものとみることに問題がない。
よって、被請求人の主張は、いずれも失当である。

viii.本件発明1の作用効果について
本件発明1の作用効果は、引用発明1A及び甲第14号証に記載の発明並びに前記周知技術Aに基づいて当業者が容易に予測できるものである。

(3)まとめ
よって、本件発明1は、引用発明1A及び甲第14号証に記載の発明並びに前記周知技術Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから、本件発明1の特許は、同法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきものである。

3.本件発明2について
(1)本件発明2と引用発明1Bとの対比
i.本件発明2と引用発明1Bとを対比すると、引用発明1Bの「プロファイラー4000(トンネル断面測定機)」、「掘削直後のトンネルの断面測定結果」、「等高線図」、「不足断面」、「過剰断面」は、それぞれ、本件発明2の「光波測距儀」、「覆工前の内空断面測定結果」、「展開図」、「アタリ」、「余掘」に相当する。
また、引用発明1Bの「凸凹量を各断面毎の測定点における測定結果に基づいて表示した等高線」は、引用発明1Aと同様に掘削直後のアタリと余掘の分布状態を示すものとして、掘削設計断面を基準としていることが明らかであるから、本件発明2の「掘削設計断面を基準とした凸凹量を等高線により表示する」ものに相当する。
さらに、引用発明1Bの「各等高線に付した符号付きの測定数値」は、本件発明2の「各等高線の範囲毎に色分けすること」と対比して、いずれも「各等高線の範囲毎に識別可能とすること」で共通する。

ii.そうすると、本件発明2と引用発明1Bの両者は、以下の点で一致並びに相違するものと認められる。
一致点.「光波測距儀により測定した覆工前の内空断面測定結果を展開図によって表示するとともに、該展開図において、掘削設計断面を基準とした凸凹量を等高線により表示するとともに、各等高線の範囲毎に識別可能とすることにより、前記内空断面におけるアタリ量及び余掘量並びにアタリ及び余掘の区別を表示するトンネル内空断面測定結果の表示方法。」
相違点B.等高線により内空断面におけるアタリ量及び余掘量並びにアタリ及び余掘の区別を表示するときに、本件発明2は、各等高線の範囲毎に色分けすることにより区別するのに対して、引用発明1Bは、各等高線に付した符号付きの測定数値により区別する点。

(2)相違点Bの検討
i.引用発明1Bを認定した甲第1号証の第45頁に図示される「等高線図」においては、トンネルの各断面毎の測定点における測定結果に基づいてオフィス内の事後処理によりアタリ及び余掘の分布状態について表示することを技術的意義とするものであることからみて、無符号の測定数値を付した等高線が該測定数値が示す所定範囲に含まれる余掘の位置を示すとともに、マイナス符号の測定数値を付した等高線が該測定数値が示す所定範囲に含まれるアタリの位置を示していると解することは、前記技術的意義を踏まえて当業者が容易に想定する事項と認められる。

ii.ところで、本件発明2及び引用発明1Bと属する技術分野が共通している甲第14号証には、その第111頁の図-12に、覆工前のトンネルの断面測定結果を展開図によって表示するとともに、該展開図において、当り箇所を斜線で表示するとともに前記当り箇所を除いた余掘箇所を空白の部分で表示するようにしたトンネルの断面測定結果の表示方法の発明が開示されており、いわば、アタリと余掘の分布状態を示す展開図として、等高線図に類似した表示形態のものが示されている。

iii.また、甲第20号証には、土木工事における掘削状況について壁面測定装置により縦坑または溝の壁面の3次元形状を測定し、図8に示すように走査幅d及び深さhMaxの範囲で壁面の凹凸を等高線で表示する発明が開示されており、掘削に伴う壁面の凹凸を等高線で表示するようにした技術として、引用発明1Bと属する技術分野が共通しているとともに、引用発明1Bを認定した甲第1号証の第11頁には、プロファイラー4000が竪坑調査に使用されることが記載されている。

iv.そして、等高線表示において各等高線の範囲毎に色分けして見易くすることは、特定の技術分野に限定されない常套手段(例えば、甲第6号証〔特開平8-179688号公報〕、甲第9号証〔「国語大辞典」小学館発行第1590頁‘だんさいしき【段彩式】’の項〕、特開2002-55091号公報参照。)である。

v.そうすると、引用発明1Bと属する技術分野が共通している、甲第14号証に記載の発明に示される、等高線図に近似した展開図によりアタリと余掘の位置を区別して表示する技術や、甲第20号証に記載の発明に示される、掘削に伴う壁面の凹凸を等高線で表示する技術を踏まえ、引用発明1Bに示される、等高線により内空断面におけるアタリ量及び余掘量並びにアタリ及び余掘の区別を表示するものにおいて、各等高線の範囲を区別するのに、各等高線に付した符号付きの具体的数値による手段に代えて、各等高線の範囲毎に色分けする常套手段を採用して、前記相違点Bに係る本件発明2のように構成することは、当業者が容易に想到できるものである。

vi.本件発明2の作用効果について
本件発明2の作用効果は、引用発明1B及び甲第14号証と甲第20号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に予測できるものである。

(3)まとめ
よって、本件発明2は、引用発明1B及び甲第14号証と甲第20号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから、本件発明2の特許は、同法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきものである。

4.本件発明3について
(1)本件発明3と引用発明1Bとの対比
本件発明3は、本件発明2に「前記展開図の縦軸は前記トンネル中心線を基準として展開したトンネル周方向の距離とし、横軸は掘進方向の距離としてある」構成要件を付加したものを1つの発明形態とするものである。
そこで、前記3.(1)i.における本件発明2と引用発明1Bとの対比を踏まえて、本件発明3と引用発明1Bとを対比すると、両者は、前記相違点Bにおいて相違することに加えて、上記付加構成に係る下記の相違点Cにおいて相違し、本件発明2と引用発明1Bとの前記一致点において一致しているものと認められる。
相違点C.展開図のパラメーターとして、本件発明3は、展開図の縦軸はトンネル中心線を基準として展開したトンネル周方向の距離とし、横軸は掘進方向の距離としてあるのに対して、引用発明1Bは、展開図の縦軸及び横軸のパラメーターが明らかでない点。

(2)相違点の検討
相違点Bについては、前記3.(2)において検討したとおりである。
相違点Cについては、引用発明1Bを認定した甲第1号証の第45頁に図示される「等高線図」には、縦軸について2数値刻みで16から28まで目盛りが付されるとともに、横軸について10数値刻みで20から70まで目盛りが付されており、その数値の示す意味内容は必ずしも明らかではないが、当業者の観点からすると、その展開図の横軸がトンネル周方向の距離を表し、縦軸が掘進方向の距離を表すものを推認することが可能であり、また、甲第14号証の図-12には、覆工前のトンネルの断面測定結果を縦軸がトンネル中心線CLを基準として展開したトンネル周方向の距離とし横軸が掘進方向の距離であるスパンNOとした展開図によって表示するもの、すなわち、相違点Cに係る本件発明3の構成が開示されているものである。
そうすると、引用発明1B及び甲第14号証に記載の発明に基づいて、前記相違点Cに係る本件発明3のように構成することは、当業者が容易に想到できるものである。
また、本件発明3の作用効果は、引用発明1B及び甲第14号証と甲第20号証に記載の発明に基づいて、当業者が容易に予測できるものである。

(3)まとめ
よって、本件発明3は、引用発明1B及び甲第14号証と甲第20号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから、本件発明3の特許は、同法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきものである。

5.本件発明4について
(1)本件発明4と引用発明1Bとの対比
本件発明4は、本件発明2に「前記光波測距儀に代えて、3次元スキャナーを用いて前記内空断面測定を行う」構成要件を付加したものを1つの発明形態とするものである。
そこで、前記3.(1)i.における本件発明2と引用発明1Bとの対比を踏まえて、本件発明4と引用発明1Bとを対比すると、両者は、前記相違点Bにおいて相違することに加えて、上記付加構成に係る下記の相違点Dにおいて相違し、本件発明2と引用発明1Bとの前記一致点において一致しているものと認められる。
相違点D.内空断面測定を行うのに、本件発明4は、3次元スキャナーを用いるのに対して、引用発明1Bは、光波測距儀を用いる点。

(2)相違点の検討
相違点Bについては、前記3.(2)において検討したとおりである。
相違点Dについては、3次元スキャナーを用いて内空断面測定を行うことは、周知技術(例えば、甲第4号証〔特開平6-307863号公報〕、甲第10号証〔特開平10-47951号公報〕参照。以下、「周知技術D」という。)である。
そうすると、内空断面測定を行うのに、引用発明1Bに示される光波測距儀に代えて、前記周知技術Dに示される3次元スキャナーを採用して、前記相違点Dに係る本件発明4のように構成することは、当業者が容易に想到できるものである。
また、本件発明4の作用効果は、引用発明1B及び甲第14号証と甲第20号証に記載の発明並びに前記周知技術Dに基づいて、当業者が容易に予測できるものである。

(3)まとめ
よって、本件発明4は、引用発明1B及び甲第14号証と甲第20号証に記載の発明並びに前記周知技術Dに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから、本件発明4の特許は、同法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきものである。

6.本件発明5について
(1)本件発明5と引用発明1Bとの対比
本件発明5は、本件発明2に「前記光波測距儀に代えて、デジタルカメラを用いた精密写真測量により前記内空断面測定を行う」構成要件を付加したものを1つの発明形態とするものである。
そこで、前記3.(1)i.における本件発明2と引用発明1Bとの対比を踏まえて、本件発明5と引用発明1Bとを対比すると、両者は、前記相違点Bにおいて相違することに加えて、上記付加構成に係る下記の相違点Eにおいて相違し、本件発明2と引用発明1Bとの前記一致点において一致しているものと認められる。
相違点E.内空断面測定を行うのに、本件発明5は、デジタルカメラを用いた精密写真測量によるのに対して、引用発明1Bは、光波測距儀を用いる点。

(2)相違点の検討
相違点Bについては、前記3.(2)において検討したとおりである。
相違点Eについては、デジタルカメラを用いた精密写真測量により内空断面測定を行うことは、周知技術(例えば、甲第11号証〔特開平6-18234号公報〕参照。以下、「周知技術E」という。)である。
そうすると、内空断面測定を行うのに、引用発明1Bに示される光波測距儀に代えて、前記周知技術Eに示されるデジタルカメラを用いた精密写真測量技術を採用して、前記相違点Eに係る本件発明5のように構成することは、当業者が容易に想到できるものである。
また、本件発明5の作用効果は、引用発明1B及び甲第14号証と甲第20号証に記載の発明並びに前記周知技術Eに基づいて、当業者が容易に予測できるものである。

(3)まとめ
よって、本件発明5は、引用発明1B及び甲第14号証と甲第20号証に記載の発明並びに前記周知技術Eに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから、本件発明5の特許は、同法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきものである。

7.本件発明6について
(1)本件発明6と本件発明1との対比
本件発明6と本件発明1とを対比すると、本件発明1が「トンネル内空断面測定結果の表示方法」という方法の発明であるのに対して、本件発明6が「トンネル内空断面測定結果表示用プログラム」というプログラムの発明であることで発明のカテゴリが相違する点を除いて、両者は、その発明の技術思想を実質的に同じくするものである。すなわち、発明の構成要件として、本件発明1は「光波測距儀」を具備しているのに対して、本件発明6は「コンピューター」を具備しているが、これらの構成要件は、それぞれの発明を構成するのに不可欠な一般的要件として規定されているにすぎず、当該両発明の技術思想を本質的に異ならせるものではない。

(2)本件発明6と引用発明1A及び甲各号証に記載の発明との対比判断
本件発明1は、前記2.にて対比判断したように、引用発明1A及び甲第14号証に記載の発明並びに前記周知技術Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同様に、本件発明6についても、引用発明1A及び甲第14号証に記載の発明並びに前記周知技術Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものというべきである。

(3)まとめ
よって、本件発明6は、引用発明1A及び甲第14号証に記載の発明並びに前記周知技術Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから、本件発明6の特許は、同法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきものである。

8.本件発明7について
(1)本件発明7と本件発明2との対比
本件発明7と本件発明2とを対比すると、本件発明2が「トンネル内空断面測定結果の表示方法」という方法の発明であるのに対して、本件発明7が「トンネル内空断面測定結果表示用プログラム」というプログラムの発明であることで発明のカテゴリが相違する点を除いて、両者は、その発明の技術思想を実質的に同じくするものである。すなわち、発明の構成要件として、本件発明2は「光波測距儀」を具備しているのに対して、本件発明6は「コンピューター」を具備しているが、これらの構成要件は、それぞれの発明を構成するのに不可欠な一般的要件として規定されているにすぎず、当該両発明の技術思想を本質的に異ならせるものではない。

(2)本件発明7と引用発明1B及び甲各号証に記載の発明との対比判断
本件発明2は、前記3.にて対比判断したように、引用発明1B及び甲第14号証と甲第20号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同様に、本件発明7についても、引用発明1B及び甲第14号証と甲第20号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものというべきである。

(3)まとめ
よって、本件発明7は、引用発明1B及び甲第14号証と甲第20号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから、本件発明7の特許は、同法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきものである。

第6.むすび
以上のとおり、本件発明1乃至7についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第123条第1項第2号の規定により、無効にすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
トンネル内空断面測定結果の表示方法およびそのプログラム
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】光波測距儀により測定した覆工前の内空断面測定結果を展開図によって表示するとともに、該展開図において、各断面毎の測定点における各アタリ量および余掘量をプロットされた図形、記号又はマークの大きさで表示するとともに、アタリまたは余掘の区別を前記図形、記号又はマークに付した色で表示することを特徴とするトンネル内空断面測定結果の表示方法。
【請求項2】光波測距儀により測定した覆工前の内空断面測定結果を展開図によって表示するとともに、該展開図において、掘削設計断面を基準とした凸凹量を等高線により表示するとともに、各等高線の範囲毎に色分けすることにより、前記内空断面におけるアタリ量及び余掘量並びにアタリ及び余掘の区別を表示することを特徴とするトンネル内空断面測定結果の表示方法。
【請求項3】前記展開図の縦軸は前記トンネル中心線を基準として展開したトンネル周方向の距離とし、横軸は掘進方向の距離としてある請求項1または2いずれかに記載のトンネル内空断面測定結果の表示方法。
【請求項4】前記光波測距儀に代えて、3次元スキャナーを用いて前記内空断面測定を行う請求項1?3いずれかに記載のトンネル内空断面測定結果の表示方法。
【請求項5】前記光波測距儀に代えて、デジタルカメラを用いた精密写真測量により前記内空断面測定を行う請求項1?3いずれかに記載のトンネル内空断面測定結果の表示方法。
【請求項6】コンピューターにおいて、覆工前の内空断面測定結果を展開図によって表示するとともに、該展開図において、各断面毎の測定点における各アタリ量および余掘量をプロットされた図形、記号又はマークの大きさで表示するとともに、アタリまたは余掘の区別を前記図形、記号又はマークに付した色で表示するように実行させるためのトンネル内空断面測定結果表示用プログラム。
【請求項7】コンピューターにおいて、覆工前の内空断面測定結果を展開図によって表示するとともに、該展開図において、掘削設計断面を基準とした凸凹量を等高線により表示するとともに、各等高線の範囲毎に色分けすることにより、前記内空断面におけるアタリ量及び余掘量並びにアタリ及び余掘の区別を表示するように実行させるためのトンネル内空断面測定結果表示用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に山岳トンネルにおける掘削において、覆工前の内空断面測定結果を表示する方法に係り、詳しくはアタリや余掘の状況を二次元的に把握できるようにした表示方法およびそのプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
NATM工法に代表される山岳トンネルでは、発破による掘進毎に、内空断面に余掘またはアタリが生じるが、余掘は後に裏込コンクリートの充填により埋める必要がある一方、アタリは設計巻厚を確保するため覆工前に除去しなければならないため、アタリ及び余掘の種別および量を迅速に把握して施工に反映させる必要がある。
【0003】
かかる内空断面の計測方法としては、従来より図4に示されるように、トンネル31の天端や底盤に設置された光波測距儀32により内空断面33の形状を測定した後、この測定結果をコンピュータに入力し、図5に示されるように、モニタ34上において、各測定断面毎に、設計断面35を表示するとともに、この設計断面35を基準に余掘33aやアタリ33bを折れ線図によって表示していた。この場合、前記設計断面35より内側に折れ線が存在すればアタリであり、外側に折れ線が存在すれば余掘となる。また、その量は設計断面35からの離れ距離で表現される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来例に係る方法では、各断面毎のアタリや余掘はモニタ画面から容易に判断できるけれども、掘削面全体として、どの箇所にどの程度のアタリや余掘がどのような傾向で生じているかを平面的に把握することが困難であった。その結果、アタリや余掘の傾向を正確に把握することができず、地山状況に応じて迅速に掘削方法を是正できないため、アタリが増え除去作業が増大する、或いは余掘が多く裏込コンクリート量の増大を招くなどの問題が発生していた。
【0005】
そこで本発明の主たる課題は、余掘やアタリの位置および量を二次元的に一目で把握することができ、アタリや余掘の傾向を迅速に掴み施工に反映させることにより、施工コストの削減、施工効率の向上等を図り得るトンネル内空断面測定結果の表示方法およびそのプログラムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための請求項1に係る発明として、光波測距儀により測定した覆工前の内空断面測定結果を展開図によって表示するとともに、該展開図において、各断面毎の測定点における各アタリ量および余掘量をプロットされた図形、記号又はマークの大きさで表示するとともに、アタリまたは余掘の区別を前記図形、記号又はマークに付した色で表示することを特徴とするトンネル内空断面測定結果の表示方法が提供される。
【0007】
上記請求項1に係る発明においては、掘削面の展開図にプロットされた図形、記号又はマークの色と大きさにより、余掘やアタリを平面的に一目で把握できるようになる。その結果、余掘やアタリがどの位置にどのような傾向で生じているかを簡単かつ正確に把握できるため、的確な指示により地山状況に応じて掘削方法を迅速に是正できるようになる。
【0008】
請求項2に係る発明として、光波測距儀により測定した覆工前の内空断面測定結果を展開図によって表示するとともに、該展開図において、掘削設計断面を基準とした凸凹量を等高線により表示するとともに、各等高線の範囲毎に色分けすることにより、前記内空断面におけるアタリ量及び余掘量並びにアタリ及び余掘の区別を表示することを特徴とするトンネル内空断面測定結果の表示方法が提供される。
【0009】
上記請求項2に係る発明においては、掘削設計断面を基準とした凸凹量を展開図において等高線により表示し、各等高線の範囲毎に色分けするため、余掘やアタリの存在およびその量を視覚的に表現することができ、余掘やアタリがどの位置にどのような傾向で生じているかを簡単かつ正確に把握できるようになる。
【0010】
請求項3に係る発明として、前記展開図の縦軸は前記トンネル中心線を基準として展開したトンネル周方向の距離とし、横軸は掘進方向の距離としてある請求項1または2いずれかに記載のトンネル内空断面測定結果の表示方法が提供される。
【0011】
請求項4に係る発明として、前記光波測距儀に代えて、3次元スキャナーを用いて前記内空断面測定を行う請求項1?3いずれかに記載のトンネル内空断面測定結果の表示方法が提供される。
【0012】
請求項5に係る発明として、前記光波測距儀に代えて、デジタルカメラを用いた精密写真測量により前記内空断面測定を行う請求項1?3いずれかに記載のトンネル内空断面測定結果の表示方法が提供される。
【0013】
請求項6に係る発明として、コンピューターにおいて、覆工前の内空断面測定結果を展開図によって表示するとともに、該展開図において、各断面毎の測定点における各アタリ量および余掘量をプロットされた図形、記号又はマークの大きさで表示するとともに、アタリまたは余掘の区別を前記図形、記号又はマークに付した色で表示するように実行させるためのトンネル内空断面測定結果表示用プログラムが提供される。
【0014】
請求項7に係る発明として、コンピューターにおいて、覆工前の内空断面測定結果を展開図によって表示するとともに、該展開図において、掘削設計断面を基準とした凸凹量を等高線により表示するとともに、各等高線の範囲毎に色分けすることにより、前記内空断面におけるアタリ量及び余掘量並びにアタリ及び余掘の区別を表示するように実行させるためのトンネル内空断面測定結果表示用プログラムが提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0016】
本トンネル内空断面測定システムでは、図1に示されるように、現場事務所H内に管理用コンピュータ1が設備されるとともに、トンネル坑内に無線通信基地局2を固定配置し、前記管理用コンピュータ1と無線通信基地局2とが情報伝送可能なように通信ケーブル3により接続されている。
【0017】
一方、切羽付近で掘削作業を行っている坑内作業員等が携帯情報通信端末4を常時携帯し、前記無線通信基地局2と双方向に無線通信可能となっており、前記情報通信端末4から発信された情報が前記無線通信基地局2を経由して前記管理コンピュータ1に伝送されるようになっているとともに、切羽後方には光波測距儀5が固定配置され、コントローラ6を介して前記無線通信基地局2と接続されている。なお、本例では前記管理コンピュータ1と無線通信基地局2との間の通信を有線通信、無線通信基地局2と携帯情報通信端末4との間の通信を無線通信としたが、各間の通信は無線または有線のいずれであってもよい。
【0018】
切羽S近傍では、ホイールジャンボ7、吹付け機8、ホイールローダなどのトンネル施工用重機が配置され、例えば図示される例では、上半及び下半の一括の併行作業により掘削を行うミニベンチ工法により、上半及び下半のそれぞれにおいてロックボルト削孔および装薬孔・装薬を併行して行った後、上半および下半を一気に切り崩し、その後ズリ出し→当り取り→一次吹付け→支保建込み→二次吹付け→ロックボルト打設の手順にて掘削作業が1サイクル毎に行われる。
【0019】
前記発破による掘削後または吹付け仕上げ面に対して行われる覆工前の内空断面の計測は、坑内作業員等が携帯する携帯情報通信端末4により、計測開始の指令が出されると、コントローラー6による制御により光波測距儀5が自動的に覆工前の内空断面の形状計測を行い、その計測データが前記通信システムによって管理コンピュータ1内に自動的に取り込まれるようになっている。
【0020】
管理コンピュータ1に取り込まれた測定結果は、図2に示される表示形式によって、コンピューター画面1Aにモニタ表示されるようになっている。
【0021】
前記コンピューター画面1Aでは、左側に前記掘削内空断面の展開図9が表示されているとともに、右側に測定対象の内空断面の断面図10が表示され、かつ下側に各掘削内空断面の測定結果の一覧表11が表示されるようになっている。
【0022】
前記展開図9は、縦軸に前記内空断面の中心線CLを基準として展開した周方向距離を取り、横軸に掘進距離TD(Total Distance)とStation番号による距離程STAを取った図として表示され、上部側には掘削サイクル数と支保工パターン記号(CIIa)が夫々表示されている。ここで、前記横軸のTDは、前記コンピューター画面1Aの上端付近に表示されているTD選択リストボックス11a、11bにより選択指定されたTD区間のものが表示されるようになっている。
【0023】
前記展開図9では、測定された各断面17毎の各測定点における余掘およびアタリの量が、凡例に従って区分された範囲毎に、円の大きさにより表示されるとともに、余掘またはアタリの区別が円内に付した着色によって表示されるようになっている。具体的に図中では、余掘は○(白丸)、アタリは●(赤丸)で表示されるようになっている。なお、前記余掘およびアタリの表示位置が前記断面位置17に沿って一列に並んで表示されていないものがあるが、これは、光波測距儀5を切羽後方に設置し、斜め方向からの視準によって計測しているため、余掘やアタリによる凹凸によって計測位置が若干ずれるためである。なお、前記余掘量またはアタリ量の表示は、前記円以外に、任意の図形、記号またはマークとすることができ、余掘またはアタリの区別の着色は赤色以外に任意の有彩色とすることができる。
【0024】
一方、前記断面図10では、マウスにより指定したTD位置の内空断面形状が表示されるようになっている。内空断面形状は、設計断面13を基準に余掘やアタリが折れ線12によって表示されるようになっている。また、前記断面図10の上部左側には第1情報表示枠14が表示され、上部右側には第2情報表示枠15が表示されるようになっている。前記第1情報表示枠14の枠内には、上から順に距離TDおよび距離程STA(カッコ書きで記載)による測定位置、支保工パターン、余掘量最大値、余掘量平均値、アタリ量最大値、アタリ量平均値、平均余掘量、断面1m当たりのコンクリート量が夫々表示されるようになっている。また、前記第2情報表示枠15の枠内には、TD区間の指定欄、TD1mあたりのコンクリート量、指定TD区間の総コンクリート量が夫々表示されるようになっている。
【0025】
前記断面図10の右側上端部にはアタリ表示倍率欄が表示され、指定された任意の倍率により、折れ線12のアタリのみが誇張的に表現されるようになっている。
【0026】
他方、前記一覧表11には、各内空断面測定結果について左から順に、測定日時、ナンバー、設計上のTD(実TD)、実測によるTD(計測TD)、相対X座標、相対Y座標、相対Z座標、鉛直角、中心からの設計距離、中心からの計測距離、実測アタリ量、修正アタリ量、アタリ区分、切羽TDが夫々表示されるようになっている。
【0027】
前記コンピュータ画面1Aの画面上部のコンターマップボタン16をマウスにてクリックすると、画面が変わり、指定されたTD区間のアタリ/余掘コンター図18が表示されるようになっている。
【0028】
アタリ/余掘コンター図18は、図3に示されるように、縦軸に前記内空断面の中心線CLを基準として展開した周方向距離を取り、横軸に掘進距離TD(括弧内に掘削サイクル番号)を取った展開図として表示され、設計断面を基準とした凸凹量が等高線により表示されるとともに、各等高線の範囲毎に各種の色により色分けされている。
【0029】
具体的には、凡例に示されるように、設計断面を基準とした凸凹を50mm毎にA?Tの20段階に区分し、等高線により表示するようにし、かつA?Tの各等高線の区分毎にその範囲を色分けするようにする。前記A?Tの区分の内、マイナス区分のA?Eがアタリ、プラス区分のF?Tが余掘である。また、図面上に着色表示できないため、都合上アルファベット表示をするに止めているが、実際は区分Aから区分Tに行くに従って、赤→橙→黄→緑→青→群青色のように徐々に色変化させることによって、赤色及び橙色部分、すなわちアタリがどの位置にどのような範囲で分布しているかがその量と共に一目で分かるようになっているとともに、青系色部分、すなわち過剰な余掘部分がどの位置にどのような範囲で分布しているかがその量と共に一目で分かるようになっている。
【0030】
また、コンピューター画面1Bの右下端には、印刷ボタン19が表示され、前記印刷ボタン19をマウスで選択すれば、アタリ/余掘コンター図18が印刷できるようになっている。
【0031】
ところで、前記光波測距儀5に代えて、3次元スキャナーを用いて内空断面測定を行うこともできる。前記光波測距儀は従来から存在する測定機器であるが、近年はセンサー技術の発達により3次元スキャナーが実用化レベルにあり、前記光波測距儀5に代えて3次元スキャナーを用いて面的に内空断面の凹凸計測を行うことができる。前記3次元スキャナーとしては、例えばパルステック社製のTDSシリーズなどを好適に使用することができる。測量誤差はスキャンエリア567×498mmの場合(TDS-1500)で、0.23?0.83mm(Z方向)の精度が得られる。
【0032】
更には、前記光波測距儀5に代えて、近年のコンピュータ処理技術の発達に伴って実用化されている精密写真測量によって内空断面測定を行うことができる。前記精密写真測量は、撮影位置を変えて撮影した複数枚のデジタル写真画像の視差の違いから、対象物の3次元座標をパソコンを使い画像処理によって算出するもので、測量誤差は概ね、撮影距離100mで数mmという高い精度が得られている。
【0033】
【発明の効果】
以上詳説のとおり本発明によれば、余掘やアタリの位置および量を二次元的に把握できるようになる。従って、アタリや余掘の傾向を迅速に掴み施工に反映させることにより、施工コストの削減、施工効率の向上等を図り得るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
トンネル内空断面計測の要領図である。
【図2】
展開図9および断面図10を示すモニタ画面図である。
【図3】
アタリ/余掘コンター図18を示すモニタ画面図である。
【図4】
トンネル内空断面測定要領図である。
【図5】
従来例に係る内空断面の余掘等の管理方法を示す図である。
【符号の説明】
1…管理コンピュータ、1A・1B…コンピューター画面、2…無線通信基地局、3…通信ケーブル、4…携帯情報通信端末、5…光波測距儀、6…コントローラ、7…ホイールジャンボ、8…吹付け機、9…展開図、10…断面図、11…一覧表、11a・11b…TD選択リストボックス、14…第1情報表示枠、15…第2情報表示枠、18…アタリ/余掘コンター図
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2008-05-22 
結審通知日 2008-05-28 
審決日 2008-06-10 
出願番号 特願2002-133467(P2002-133467)
審決分類 P 1 113・ 121- ZA (G01C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 ▲うし▼田 真悟秋田 将行  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 下中 義之
堀部 修平
登録日 2003-07-11 
登録番号 特許第3449708号(P3449708)
発明の名称 トンネル内空断面測定結果の表示方法およびそのプログラム  
代理人 和泉 久志  
代理人 永井 義久  
代理人 和泉 久志  
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