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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1183077
審判番号 不服2005-18026  
総通号数 106 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-09-20 
確定日 2008-08-14 
事件の表示 特願2001-380264「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成15年7月2日出願公開、特開2003-181002〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年12月13日に出願されたものであって、平成17年4月18日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内である同年6月23日に意見書及び手続補正書が提出され、同年8月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月20日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年10月18日付けで手続補正がなされた。

2.平成17年10月18日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年10月18日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
上記補正により、特許請求の範囲は、
「【請求項1】図柄表示装置に複数の識別図柄を変動状態および変動停止状態で順に表示し、複数の識別図柄の変動停止時の態様に基づいて大当りの抽選結果を報知する構成のものにおいて、
パチンコ球が特別図柄始動口に入賞することに基いて変動パターンカウンタの計測値を取得する手段と、
複数の識別図柄を大当りの組合せで停止表示する大当り・停止順序が最終の識別図柄の変動停止前には大当りの組合せになる可能生が存在し且つ最終の識別図柄が変動停止したときには大当りの組合せにならない外れリーチ・停止順序が最終の識別図柄が変動停止する前に大当りの組合せになる可能性が消滅する完全外れをパチンコ球が前記特別図柄始動口に入賞することに基いて判定する手段と、
複数の変動パターンのうちから前記変動パターンカウンタの取得結果および大当り・外れリーチ・完全外れの判定結果に応じたものを選択的に設定する手段と、
複数の識別図柄の組合せが決まる様子を相互に異なる内容で演出する動画面を表示するための複数の演出パターンのうちから変動パターンの選択結果に応じたものを選択する手段と、
複数の識別図柄を仮停止させるための仮停止タイミングを変動パターンの選択結果に基いて設定する手段と、
前記図柄表示装置に演出パターンの設定結果に応じた動画面を表示し、動画面の中で複数の識別図柄を設定結果に応じたタイミングで仮停止させる手段と、
複数の識別図柄が変動開始してから停止順序が最終の識別図柄が仮停止する前までの所定の期間内で、大当りが発生することを予告する大当り予告パターンを出現させるタイミングである複数種の大当り予告タイミングが前記変動パターン毎に記録された手段と、
大当り予告タイミングカウンタを計測する手段と、
前記変動パターンの設定結果を検出することに基いて前記大当り予告タイミングカウンタの計測値を取得する手段と、
前記変動パターンの検出結果に応じた複数種の大当り予告タイミングのうちから前記大当り予告タイミングカウンタの取得結果に応じたものを選択する手段と、
前記図柄表示装置の動画面の今後の態様として大当りが発生することを予告する大当り予告パターンを動画面の中で表示する手段とを備え、
大当り予告パターンを表示する手段は、前記図柄表示装置の動画面の中において大当り予告パターンを前記大当り予告タイミングの選択結果で表示することに基いて複数の識別図柄が変動開始してから停止順序が最終の識別図柄が仮停止する前までの所定の期間内で同一の複数の大当り予告パターンを表示する制御を行うことを特徴とする遊技機。
【請求項2】図柄表示装置に複数の識別図柄を変動状態および変動停止状態で順に表示し、複数の識別図柄の変動停止時の態様に基づいて大当りの抽選結果を報知する構成のものにおいて、
パチンコ球が特別図柄始動口に入賞することに基いて変動パターンカウンタの計測値を取得する手段と、
複数の識別図柄を大当りの組合せで停止表示する大当り・停止順序が最終の識別図柄の変動停止前には大当りの組合せになる可能生が存在し且つ最終の識別図柄が変動停止したときには大当りの組合せにならない外れリーチ・停止順序が最終の識別図柄が変動停止する前に大当りの組合せになる可能性が消滅する完全外れをパチンコ球が前記特別図柄始動口に入賞することに基いて判定する手段と、
複数の変動パターンのうちから前記変動パターンカウンタの取得結果および大当り・外れリーチ・完全外れの判定結果に応じたものを選択的に設定する手段と、
複数の識別図柄の組合せが決まる様子を相互に異なる内容で演出する動画面を表示するための複数の演出パターンのうちから変動パターンの選択結果に応じたものを選択する手段と、
複数の識別図柄を仮停止させるための仮停止タイミングを変動パターンの選択結果に基いて設定する手段と、
前記図柄表示装置に演出パターンの設定結果に応じた動画面を表示し、動画面の中で複数の識別図柄を設定結果に応じたタイミングで仮停止させる手段と、
複数の識別図柄が変動開始してから停止順序が最終の1個前の識別図柄が仮停止する前までの所定の期間内で、リーチが発生することを予告するリーチ予告パターンを出現させるタイミングである複数種のリーチ予告タイミングが前記変動パターン毎に記録された手段と、
リーチ予告タイミングカウンタを計測する手段と、
前記変動パターンの設定結果を検出することに基いて前記リーチ予告タイミングカウンタの計測値を取得する手段と、
前記変動パターンの検出結果に応じた複数種のリーチ予告タイミングのうちから前記リーチ予告タイミングカウンタの取得結果に応じたものを選択する手段と、
前記図柄表示装置の動画面の今後の態様としてリーチが発生することを予告するリーチ予告パターンを動画面の中で表示する手段とを備え、
リーチ予告パターンを表示する手段は、前記図柄表示装置の動画面の中においてリーチ予告パターンを前記リーチ予告タイミングの選択結果で表示することに基いて複数の識別図柄が変動開始してから停止順序が最終の1個前の識別図柄が仮停止する前までの所定の期間内で同一の複数のリーチ予告パターンを表示する制御を行うことを特徴とする遊技機。
【請求項3】図柄表示装置の動画面が予告パターンの予告内容通りになる確率が大当り予告パターンの表示回数またはリーチ予告パターンの表示回数に応じて設定されていることを特徴とする請求項1または2記載の遊技機。」
と補正された。(下線部は補正によって追加された箇所)

(2)補正の内容
上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「複数種の大当り予告タイミング」を「大当りが発生することを予告する大当り予告パターンを出現させるタイミングである複数種の大当り予告タイミング」と変更し、補正前の請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である「複数種のリーチ予告タイミング」を「リーチが発生することを予告するリーチ予告パターンを出現させるタイミングである複数種のリーチ予告タイミング」と変更したものである。

(3)判断
しかし、補正前の請求項1における「複数種の大当り予告タイミング」は、格別不明りょうな記載ではなく、「大当りが発生することを予告する大当り予告パターンを出現させるタイミングである」という文言を追加したことで、「複数種の大当り予告タイミング」の意味が限定されたということもできない。
また、補正前の請求項2における「複数種のリーチ予告タイミング」についても同様であるから、上記補正は明りょうでない記載の釈明ではなく、特許請求の範囲を減縮するものでもない。
さらに、上記補正が請求項の削除又は誤記の訂正でないことも明らかである。

(4)むすび
したがって、上記補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず、同項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成17年10月18日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成17年6月23日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「 図柄表示装置に複数の識別図柄を変動状態および変動停止状態で順に表示し、複数の識別図柄の変動停止時の態様に基づいて大当りの抽選結果を報知する構成のものにおいて、
パチンコ球が特別図柄始動口に入賞することに基いて変動パターンカウンタの計測値を取得する手段と、
複数の識別図柄を大当りの組合せで停止表示する大当り・停止順序が最終の識別図柄の変動停止前には大当りの組合せになる可能性(当審注:「可能生」は誤記と認める。)が存在し且つ最終の識別図柄が変動停止したときには大当りの組合せにならない外れリーチ・停止順序が最終の識別図柄が変動停止する前に大当りの組合せになる可能性が消滅する完全外れをパチンコ球が前記特別図柄始動口に入賞することに基いて判定する手段と、
複数の変動パターンのうちから前記変動パターンカウンタの取得結果および大当り・外れリーチ・完全外れの判定結果に応じたものを選択的に設定する手段と、
複数の識別図柄の組合せが決まる様子を相互に異なる内容で演出する動画面を表示するための複数の演出パターンのうちから変動パターンの選択結果に応じたものを選択する手段と、
複数の識別図柄を仮停止させるための仮停止タイミングを変動パターンの選択結果に基いて設定する手段と、
前記図柄表示装置に演出パターンの設定結果に応じた動画面を表示し、動画面の中で複数の識別図柄を設定結果に応じたタイミングで仮停止させる手段と、
複数の識別図柄が変動開始してから停止順序が最終の識別図柄が仮停止する前までの所定の期間内で、大当りが発生することを予告する大当り予告パターンを出現させるタイミングである複数種の大当り予告タイミングが前記変動パターン毎に記録された手段と、
大当り予告タイミングカウンタを計測する手段と、
前記変動パターンの設定結果を検出することに基いて前記大当り予告タイミングカウンタの計測値を取得する手段と、
前記変動パターンの検出結果に応じた複数種の大当り予告タイミングのうちから前記大当り予告タイミングカウンタの取得結果に応じたものを選択する手段と、
前記図柄表示装置の動画面の今後の態様として大当りが発生することを予告する大当り予告パターンを動画面の中で表示する手段とを備え、
大当り予告パターンを表示する手段は、前記図柄表示装置の動画面の中において大当り予告パターンを前記大当り予告タイミングの選択結果で表示することに基いて複数の識別図柄が変動開始してから停止順序が最終の識別図柄が仮停止する前までの所定の期間内で同一の複数の大当り予告パターンを表示する制御を行うことを特徴とする遊技機。」

(2)引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に国内において頒布された刊行物である特開2001-314601号公報(以下「引用文献」という。)には、
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、判定結果表示用の複数の図柄を変動表示させた後に停止させて表示する画像表示部を備え、特別遊技状態発生判定手段による判定結果が特別遊技状態発生可の場合には前記図柄を特定の組合せで画像表示部に最終停止表示して特別遊技状態を発生させる遊技機において、前記図柄の最終停止以前に、前記判定結果に関する情報を報知段階選択手段で選択された段階数に応じて段階的に予告報知するとともに、該予告報知の段階増加につれて予告報知における特別遊技状態の発生に対する信頼度が高低変化するようにしたことを特徴とする。
【0023】特別遊技実行手段による前記大入賞口15の作動について説明する。前記のように第1種始動口10,11に遊技球が入賞し、特別図柄変動開始スイッチ55a,55bによって入賞球が検出されると、前記特別図柄表示装置43の左表示部50a、中表示部50b、右表示部50cで判定結果表示用図柄の変動を開始する。そして、所定時間変動後、例えば、左表示部50a,中表示部50b,右表示部50cの順や左表示部50a,右表示部50c,中表示部50bの順等で図柄が変動停止して、停止図柄が確定表示される。そのときの停止表示図柄の組合せが、あらかじめ決められた特定の大当たり組合せ、例えば、同一図柄の組合せからなる通称ゾロ目になると、大当たりになる。・・・
【0028】C1カウンタは、大当たり及び外れを判定するもの、すなわち遊技機の特別遊技状態発生判定手段(当否判定手段)に該当するものであって、その数値範囲が‘0’?‘315’である。このC1カウンタは、パチンコ遊技機の電源投入時、‘0’から始まり、所定のリセット割込み時間(例えば4.000ms)ごとに1ずつ加算され、一定時間後数値が‘315’になると、再び‘0’に戻って前記加算を繰り返すようになっている。C1カウンタの数値は、遊技球が第1種始動口10,11に入賞して特別図柄変動開始スイッチ55a,55bによって検出された時に取得され、予め決定されている大当たり用数値、実施例では低確率時には‘7’、高確率時には‘7’,‘57’,‘107’,‘157’,‘207’,‘257’,‘307’と対比されて大当たりか否か判断される。・・・
【0032】C3?C5カウンタは、前述した当否の判定による外れ時、画像表示部50に停止表示する外れ図柄の決定に用いられるものである。・・
【0037】C7カウンタは、大当たりに関する予告報知の際の予告態様を決定するもので、パチンコ遊技機1の電源投入時、‘0’から始まって前記割込み時間毎に‘1’ずつ加算され、‘99’に至った後、再び‘0’から始まって加算が繰り返される。このC7カウンタの数値は、前記第1種始動口10,11の入賞球が特別図柄変動開始スイッチ55a,55bによって検出された時に取得され、現在決定中のものを除き、最大4個まで前記表示制御回路のRAMに格納される。
【0038】そして、表2ないし表4に示すように、前記C7カウンタの取得数値には、対応する予告態様決定テーブルA,B,Cが割り当てられている。この実施例では、前記予告態様決定テーブルの選択が報知段階選択手段に該当し、該報知段階選択手段によって選択された段階数からなる予告態様で、この例では1段階ないし3段階の予告態様で予告報知を行うようになっている。表2の予告態様決定テーブルAは判定結果が特別遊技発生可の場合、すなわち大当たりとなる場合であり、表3の予告態様決定テーブルBはリーチ状態となって外れとなる場合、表4の予告態様決定テーブルCは判定結果がリーチ状態となることなく外れとなる場合に対応している。
【0049】C8カウンタは、リーチ状態の態様を決定するもので、パチンコ遊技機1の電源投入時、‘0’から始まって前記割込み時間毎に‘1’ずつ加算され、‘149’に至った後、再び‘0’から始まって加算が繰り返される。このC8カウンタの数値は、前記第1種始動口10,11の入賞球が特別図柄変動開始スイッチ55a、55bによって検出された時に取得され、現在決定中のものを除き、最大4個まで前記表示制御回路のRAMに格納される。このC8カウンタの取得数値にはリーチ状態の態様(図示せず)が割り当てられている。
【0055】乱数取得処理(S40)では、図7に示すように、前記第1種始動口10,11への入賞有りか否かが前記特別図柄変動スイッチ55a,55bの検出により判断されて(S41)、入賞有りと判断された場合にはC1?C5及びC7,C8カウンタの値が読み込まれる(S42)。・・・
【0056】・・・大当たり当否判定処理(S51)では、最初に、前記C1カウンタの取得値が予め決められている大当たり数値と対比され(S52)、両値が一致すれば特別遊技状態発生可、つまり大当たりとなり、大当たりフラグF1が1にセットされる(S53)。・・・
【0058】・・・図9に示すように、この特別図柄決定処理(S61)では、まず、前記大当たりフラグF1の値が1か否か判断され(S62)、該値が1と判断された場合、すなわち大当たりとなる場合、前記C2カウンタの記憶取得値がRAMから読み出され、その取得値に対して予め決められている図柄が、画像表示部50の左表示部50a,中表示部50b、右表示部50cにおける大当たり図柄として決定され、その決定された大当たり図柄が停止図柄として表示されるように指示する(S63)。さらに、この実施例では、図柄変動パターン決定処理(S67)により図柄の最終停止までの変動パターンが決定され、その変動パターンにしたがって、最終停止図柄の変動時間を長くしたり、キャラクタ等を前記画像表示部50に表示する等のリーチアクション表示を行うように指示している。・・・
【0059】それに対して、大当たりフラグF1の値が1でない、すなわち0と判断されて外れと判定された場合には、前記C3?C5カウンタの記憶取得値が読み出され、そのC3?C5カウンタの取得値に対して予め決められている図柄が、左表示部50a、中表示部50b、右表示部50cに表示される外れ図柄として決定され、左表示部50a、中表示部50b、右表示部50cにおいて、各種図柄が所定時間変動表示された後に、前記決定された外れ図柄が停止表示図柄としてそれぞれ表示されるように指示する(S64)。また、前記外れ図柄の組合せがリーチ外れ、すなわち、リーチ状態となった後外れとなるか否か判断され(S65)、リーチ外れとなる場合にはリーチ外れフラグF2に1をセットする(S66)。それに対して、リーチ外れでない場合、つまりリーチ状態にならずに外れとなる場合には、リーチ外れフラグF2の値は当初セットされている0のままである。
【0060】また、この実施例のように、前記外れ図柄の組合せがリーチ外れ、すなわち、リーチ状態となった後に外れとなる場合にも、前記図柄表示の指示に加えて前記外れ図柄が停止表示される際に、前記図柄変動パターン決定処理(S67)により所要のリーチアクション表示を行うように指示してもよい。
【0062】次に、前記図柄決定処理(S60)後に行う予告態様決定処理(S70)について説明する。図10に示すように、予告態様決定処理(S70)では、まず、前記大当たりフラグF1が1か否かが判断され(S71)、その結果F=1、すなわち大当たりであれば前記予告態様決定テーブルAが選択指示される(S72)。前記大当たりフラグF1が1でなく、リーチ外れフラグF2が1の場合(S73)、すなわち、リーチとなって外れになる場合には、前記予告態様決定テーブルBが選択指示される(S74)。また、前記大当たりフラグF1が1でなく、リーチ外れフラグF2が1でない場合、すなわち、リーチにならずに外れる場合には、前記予告態様決定テーブルCが選択指示される(S75)。
【0063】そして、前記予告態様選択指示にしたがって予告態様決定テーブルが選択され(S76)、その選択された予告態様決定テーブルにおいて予め定められている数値と前記予告態様決定態様カウンタC7の取得値が一致するか否かが判断され(S77)、1段階予告か否か(S78)、2段階予告か否か(S80)、3段階予告か否かが判断される(S82)。例えば、選択されたテーブルが予告態様決定テーブルAの場合に、前記C7カウンタの取得値が‘20’であれば1段階予告と判断されて(S78)1段階予告フラグF3が1にセットされ(S79)、またC7カウンタの取得値が‘7’であれば2段階予告と判断されて(S78,S80)2段階予告フラグF4が1にセットされ(S81)、C7カウンタの取得値が‘8’であれば3段階予告と判断されて(S78,S80,S82)3段階予告フラグF5が1にセットされる(S83)。また、前記C7カウンタの取得値が、予告態様決定テーブルAの数値に該当しないもの、例えば‘4’であれば、1段階予告、2段階予告及び3段階予告のいずれでもないと判断され(S78,S80,S82)、予告報知しないことが決定される。そのように、予告態様が決定された後、リーチ外れフラグF2が0にセットされる(S84)。
【0067】なお、前記図柄の停止順序は、この例では、左表示部50a、右表示部50c、中表示部50bの順になされるが、変動パターンによっては、変動時間、停止タイミング、リーチ態様が異なる。さらに、リーチ状態となった場合には、リーチ態様選択手段によって選択されたリーチ態様で、例えば、キャラクタが登場して様々な動作をしたり、最後に停止する図柄の動作や大きさ等を変化させる等の態様で表示した後、最終停止図柄を確定表示する。
【0071】図13は、前記サイドランプを用いる予告報知の態様についての具体例を示すタイムチャートである。この具体例は、前記予告報知を1段階予告報知ないし3段階予告報知の3種類から選択して行う例である。この例では、特別図柄表示装置43における図柄は、画像表示部50の左表示部50aで表示される左図柄、右表示部50cで表示される右図柄、中表示部50bで表示される中図柄の順に停止する。・・・前記各図柄の停止時点(2),(3),(4)は、図柄の完全(最終)停止時点ではなく、変動パターンによっては(4)の時点後図柄が再度変動を開始することがある。例えば、リーチでない状態から再変動してリーチとなったり、外れ状態から再変動して当たり状態となったり、当たり図柄が再変動して他の図柄に変わる等である。最終的には(5)の時点で図柄の停止図柄が確定する。・・・
(当審注:前記(2)?(5)は、公報上は丸付き数字であるが、便宜上このように表記する。)
【0072】前記図柄の変動・停止において、1段階予告が選択された場合には、特別図柄表示装置43の左図柄の停止((2))前(例えば1.1秒前)から左図柄停止((2))までの時間(1.1秒間)サイドランプ71,72を点灯、点滅させて予告報知を行う。それに対し、2段階予告が選択された場合には、前記1段階予告の動作に加え、右図柄の停止((3))前(例えば1.1秒前)から右図柄停止((3))までの時間(1.1秒間)サイドランプ71,72を点灯、点滅させる。さらに3段階予告が選択された場合には、前記2段階予告の動作に加え中図柄停止((4))前(例えば1.1秒前)から中図柄停止((4))までの時間(1.1秒間)サイドランプ71,72を点灯、点滅させて予告報知を行う。前記点灯のタイミングは、前記主制御回路(110)で決定された特別図柄表示の変動パターンやタイミングから演算して決定される。
【0073】前記予告報知のタイミング(時点)は、限定されるものではないが、画像表示部50の表示態様の変化に関連させ、少なくとも全ての図柄が最終停止する以前であって、リーチ等のような図柄表示の途中経過を予告しうる時点や、判定結果(大当たり)を予告しうる時点であればよく、図13で示すと、第1種始動口10,11への入賞検知から図柄の最終停止((5))までの時間TB内で、適宜選択することができる。例えば、図柄変動開始前に複数段階で予告報知したり、図柄変動開始前と図柄変動中に予告したり、図柄変動中に画像表示部の表示態様の変化に関連して(例えば1つの図柄が停止する前毎や、キャラクタの状態変化に応じて)予告報知してもよい。・・・
【0075】さらに前記サイドランプ71、72等の発光体による予告報知に加え、特別図柄表示装置43の画像表示部50で予告報知を行う等、他の視角的な表示手段で行ったり併用したりしても良い。例えば、前記特別図柄表示装置43の画像表示部50に予告キャラクタを出現させたり、リーチ態様に現れるキャラクタの動作で予告報知したり、背景画像の変化等で予告報知する等である。・・・
との記載が認められる。
また、図9及び摘記した段落0058?0060、0067の記載からみて、複数の図柄変動パターンのうちから、選択されたリーチ態様および大当たりとなる場合(F1=1)、リーチ外れとなる場合(F2=1)、リーチ状態にならずに外れとなる場合(F2=0)に応じた図柄変動パターンを選択的に決定するものと認められる。

摘記した上記の記載及び図面等からの認定によれば、引用文献には、
「 特別図柄表示装置43の左表示部50a、中表示部50b、右表示部50cで判定結果表示用図柄の変動を開始し、所定時間変動後、左表示部50a,右表示部50c,中表示部50bの順で前記図柄が変動停止して、停止図柄が確定表示され、そのときの停止図柄の組合せが、あらかじめ決められた特定の大当たり組合せになると、大当たりになるものにおいて、
遊技球が第1種始動口10,11の入賞特別図柄変動開始スイッチ55a、55bによって検出された時にC8カウンタの数値を取得し、
第1種始動口10,11への入賞有りと判断された場合には、大当たりか否か判断し、外れと判定された場合には、外れ図柄の組合せがリーチ外れとなるかリーチ状態にならずに外れとなるか判断し、
複数の図柄変動パターンのうちから、選択されたリーチ態様および大当たりとなる場合(F1=1)、リーチ外れとなる場合(F2=1)、リーチ状態にならずに外れとなる場合(F2=0)に応じた図柄変動パターンを選択的に決定し、
画像表示部50の表示態様の変化に関連させて画像表示部50で行う大当たりに関する予告態様が、1段階ないし3段階の予告態様及び予告報知しないのいずれかから、大当たりとなる場合、リーチ外れとなる場合、リーチ状態にならずに外れとなる場合に対応して選択された予告態様決定テーブルにより決定され、
判定結果表示用図柄の停止タイミングを図柄変動パターンによって異ならせ、
特別図柄表示装置43に選択された予告態様に応じた画像表示部50での予告報知を行い、画像表示部50の左表示部50a、右表示部50c、中表示部50bで表示される左図柄、右図柄、中図柄を前記停止タイミングで停止させ、
判定結果表示用図柄変動中に画像表示部の表示態様の変化に関連した予告態様が、1段階予告か否か、2段階予告か否か、3段階予告か否かを判断するための数値を大当たりとなる場合、リーチ外れとなる場合、リーチ状態にならずに外れとなる場合に対応して記録した予告態様決定テーブルと、
C7カウンタを有し、
該C7カウンタを割込み時間毎に‘1’ずつ加算し、
前記C7カウンタの数値を入賞球が前記特別図柄変動開始スイッチ55a,55bによって検出された時に取得し、
大当たりとなる場合、リーチ外れとなる場合、リーチ状態にならずに外れとなる場合に対応して選択された予告態様決定テーブルにおいて予め定められている数値と前記C7カウンタの取得値から、大当たりに関する予告報知の際の予告態様が、1段階予告か否か、2段階予告か否か、3段階予告か否かを判断する報知段階選択手段と、選択された予告段階に応じて予告報知のタイミングを特別図柄表示の図柄変動パターンやタイミングから演算して決定する手段とを備え、
前記特別図柄表示装置43の画像表示部50での前記図柄の最終停止以前に前記大当たりに関する予告報知を行う予告キャラクタを画像表示部50に出現させ、
前記画像表示部50に前記予告キャラクタを出現させる予告報知のタイミングは、前記報知段階選択手段で判断された予告態様に基づいて判定結果表示用図柄変動中に画像表示部の表示態様の変化に関連させたものである遊技機。」
の発明(以下「引用発明」という。)が開示されていると認めることができる。

(3)対比
そこで、本願発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「特別図柄表示装置43」は、本願発明の「図柄表示装置」に相当し、以下同様に、
「判定結果表示用図柄」は「複数の識別図柄」に、
「停止表示図柄の組合せ」は「複数の識別図柄の変動停止時の態様」に、
「遊技球」は「パチンコ球」に、
「第1種始動口10,11の入賞特別図柄変動開始スイッチ55a、55bによって検出された時に」は「特別図柄始動口に入賞することに基いて」に、
「数値」は「計測値」に、
「第1種始動口10,11への入賞有りと判断された場合には」は「パチンコ球が前記特別図柄始動口に入賞することに基いて」に、
「大当たり」は「複数の識別図柄を大当りの組合せで停止表示する大当り」に、
「外れ図柄の組合せがリーチ外れ」は「停止順序が最終の識別図柄の変動停止前には大当りの組合せになる可能性が存在し且つ最終の識別図柄が変動停止したときには大当りの組合せにならない外れリーチ」に、
「外れ図柄の組合せがリーチ状態にならずに外れとなる」ことは「停止順序が最終の識別図柄が変動停止する前に大当りの組合せになる可能性が消滅する完全外れ」に、
「図柄変動パターン」は「変動パターン」に、
「選択されたリーチ態様」は「変動パターンカウンタの取得結果」に、
「大当たりとなる場合(F1=1)、リーチ外れとなる場合(F2=1)、リーチ状態にならずに外れとなる場合(F2=0)に応じた」は「大当り・外れリーチ・完全外れの判定結果に応じた」に、
「決定」は「設定」に、
「停止タイミング」は「仮停止させるための仮停止タイミング」に、
「選択された予告態様」は「演出パターンの設定結果」に、
「画像表示部50での予告報知を行い」は「動画面を表示し」に、
「画像表示部50の左表示部50a、右表示部50c、中表示部50b」は「動画面の中」に、
「表示される左図柄、右図柄、中図柄」は「複数の識別図柄」に、
「前記停止タイミング」は「設定結果に応じたタイミング」に、
「停止」は「仮停止」に、
「C7カウンタ」は「大当り予告タイミングカウンタ」に、
「前記大当たりに関する予告報知を行う予告キャラクタ」は「大当りが発生することを予告する大当り予告パターン」に、
「画像表示部50に出現」は「動画面の中で表示」に、
「前記画像表示部50に前記予告キャラクタを出現させる」は「前記図柄表示装置の動画面の中において大当り予告パターンを表示する」に、
「前記報知段階選択手段で判断された予告態様に基づいて」は「前記大当り予告タイミングの選択結果で表示することに基いて」にそれぞれ相当する。

また、引用文献全体の記載等からみて、以下のことが言える。
a.引用発明は、左表示部50a、中表示部50b、右表示部50cで判定結果表示用図柄を変動させているから、複数の判定結果表示用図柄を表示するものであることが明らかである。

b.引用発明において、「判定結果表示用図柄の変動を開始し、所定時間変動後、左表示部50a,右表示部50c,中表示部50bの順で図柄が変動停止して、停止図柄が確定表示され」ることは、判定結果表示用図柄を変動状態で表示し、その後変動停止状態で順に表示することにほかならないから、上記引用発明の「判定結果表示用図柄の変動を開始し、所定時間変動後、左表示部50a,右表示部50c,中表示部50bの順で図柄が変動停止して、停止図柄が確定表示され」ることが、本願発明の「複数の識別図柄を変動状態および変動停止状態で順に表示」することに相当していることは明らかである。

c.引用発明において、「そのときの停止表示図柄の組合せが、あらかじめ決められた特定の大当たり組合せになると、大当たりになる」ことは、停止表示図柄の組合せが、あらかじめ決められた特定の大当たり組合せになったことによって、抽選結果が大当りであったことを遊技者に知らせていることにほかならないから、上記引用発明の「そのときの停止表示図柄の組合せが、あらかじめ決められた特定の大当たり組合せになると、大当たりになる」ことが、本願発明の「複数の識別図柄の変動停止時の態様に基づいて大当りの抽選結果を報知する構成」に相当していることは明らかである。

d.引用発明の「C8カウンタ」はリーチ状態の態様を決定するものであり(摘記した段落0049参照)、本願発明の「変動パターンカウンタ」はリーチアクションを抽選するためのものである(段落0048参照)。そして、引用発明においても、図柄変動パターンとリーチアクション表示は対応しているから(摘記した段落0058、0060参照)、引用発明の「C8カウンタ」は本願発明の「変動パターンカウンタ」に実質的に相当している。

e.引用発明における「大当たりか否か判断し、外れと判定された場合には、外れ図柄の組合せがリーチ外れとなるかリーチ状態にならずに外れとなるか判断」することと、本願発明における「複数の識別図柄を大当りの組合せで停止表示する大当り・停止順序が最終の識別図柄の変動停止前には大当りの組合せになる可能性が存在し且つ最終の識別図柄が変動停止したときには大当りの組合せにならない外れリーチ・停止順序が最終の識別図柄が変動停止する前に大当りの組合せになる可能性が消滅する完全外れを判定する」ことが実質的に一致していることは明らかである。

f.引用発明における「画像表示部50の表示態様の変化」は、判定結果表示用図柄が変動し停止図柄の組合せが確定表示されるまでの変化のことであるとともに、その大当たりに関する予告態様は1段階ないし3段階及び予告報知しないのいずれかから決定されるものであるから、相互に異なる内容の複数の演出パターンから選択されるものであると言うことができる。
よって、引用発明の「画像表示部50の表示態様の変化に関連させて画像表示部50で行う大当たりに関する予告態様」は、本願発明の「複数の識別図柄の組合せが決まる様子を相互に異なる内容で演出すること」に相当し、摘記した段落0075に、「予告キャラクタを出現させたり、リーチ態様に現れるキャラクタの動作で予告報知したり、背景画像の変化等で予告報知する」と記載されていることから、その「大当たりに関する予告」は動画面で行われるものと認められる。
さらに、引用発明の「1段階ないし3段階の予告態様及び予告報知しないのいずれかから、大当たりとなる場合、リーチ外れとなる場合、リーチ状態にならずに外れとなる場合に対応して選択された予告態様決定テーブルにより決定され」ることと本願発明の「複数の演出パターンのうちから変動パターンの選択結果に応じたものを選択する」ことは、「複数の演出パターンのうちから図柄変動の選択結果に応じたものを選択する」点で共通している。

g.引用発明は「停止タイミングを図柄変動パターンによって異ならせ」ているので、停止タイミングを決定された図柄変動パターン(変動パターンの選択結果)に基づいて設定する手段を有していることは明らかである。

h.引用発明の「判定結果表示用図柄変動中に画像表示部の表示態様の変化に関連した予告態様が、1段階予告か否か、2段階予告か否か、3段階予告か否かを判断するための数値」と、本願発明の「複数の識別図柄が変動開始してから停止順序が最終の識別図柄が仮停止する前までの所定の期間内で複数種の大当り予告タイミング」は、引用発明の「1段階ないし3段階の予告」が「判定結果表示用図柄変動中」すなわち判定結果表示用図柄が変動開始してから最後の図柄が停止(本願発明の「仮停止」に相当)するまでに行われるものであるから、「複数の識別図柄が変動開始してから停止順序が最終の識別図柄が仮停止する前までの所定の期間内での予告に関する情報」である点で共通している。

i.引用発明において「C7カウンタを割込み時間毎に‘1’ずつ加算」することは、実質的に本願発明の「大当り予告タイミングカウンタを計測する手段」を備えていることに相当する。

j.引用発明において「C7カウンタの数値を取得」することは、実質的に本願発明の「大当り予告タイミングカウンタの計測値を取得する手段」を備えていることに相当する。

k.本願発明における「変動パターンの設定結果を検出することに基いて」と引用発明の「入賞球が前記特別図柄変動開始スイッチ55a,55bによって検出された時」との関係について考察すると、本願発明の「変動パターン」は、変動パターンカウンタの取得結果および大当り・外れリーチ・完全外れの判定結果に応じて設定されており、かつ、変動パターンカウンタの計測値取得および大当り・外れリーチ・完全外れの結果判定は、いずれもパチンコ球が特別図柄始動口に入賞することに基いて行われているから、本願発明において「変動パターンの設定結果を検出することに基いて」行われる時点は、結局パチンコ球の特別図柄始動口への入賞を検出した直後ということができる。
そして、引用発明における「入賞球が前記特別図柄変動開始スイッチ55a,55bによって検出された時」は、本願発明において、パチンコ球の特別図柄始動口への入賞が検出された時に相当するから、引用発明における「C7カウンタの数値を入賞球が特別図柄変動開始スイッチ55a,55bによって検出された時に取得」することと、本願発明における「変動パターンの設定結果を検出することに基いて前記大当り予告タイミングカウンタの計測値を取得する」ことは、実質的に一致している。

l.引用発明における「前記特別図柄表示装置43の画像表示部50での前記図柄の最終停止以前に前記大当たりに関する予告報知を行う」ことと、本願発明における「前記図柄表示装置の動画面の今後の態様として大当りが発生することを予告する」ことは、言い回しが異なるだけであって、実質的に一致していることが明らかである。

m.引用発明における「前記報知段階選択手段で判断された予告態様に基づいて」と本願発明の「前記大当り予告タイミングの選択結果で表示することに基いて」は、「前記予告に関する情報の選択結果で表示することに基いて」である点で共通している。

n.引用発明における「判定結果表示用図柄変動中」は「判定結果表示用図柄が変動開始してから最後の図柄が停止(本願発明の「仮停止」に相当)するまで」を意味することが明らかであるから、引用発明において「予告報知のタイミング」が「判定結果表示用図柄変動中に画像表示部の表示態様の変化に関連させたものである」ことと、本願発明の「複数の識別図柄が変動開始してから停止順序が最終の識別図柄が仮停止する前までの所定の期間内で同一の複数の大当り予告パターンを表示する制御を行う」ことは、「複数の識別図柄が変動開始してから停止順序が最終の識別図柄が仮停止する前までの所定の期間内で大当り予告パターンを表示する制御を行う」点で共通している。

o.引用発明において、各機能を達成するための手段を備えていることは明らかである。

よって、引用発明と本願発明は、
「 図柄表示装置に複数の識別図柄を変動状態および変動停止状態で順に表示し、複数の識別図柄の変動停止時の態様に基づいて大当りの抽選結果を報知する構成のものにおいて、
パチンコ球が特別図柄始動口に入賞することに基いて変動パターンカウンタの計測値を取得する手段と、
複数の識別図柄を大当りの組合せで停止表示する大当り・停止順序が最終の識別図柄の変動停止前には大当りの組合せになる可能性が存在し且つ最終の識別図柄が変動停止したときには大当りの組合せにならない外れリーチ・停止順序が最終の識別図柄が変動停止する前に大当りの組合せになる可能性が消滅する完全外れをパチンコ球が前記特別図柄始動口に入賞することに基いて判定する手段と、
複数の変動パターンのうちから前記変動パターンカウンタの取得結果および大当り・外れリーチ・完全外れの判定結果に応じたものを選択的に設定する手段と、
複数の識別図柄の組合せが決まる様子を相互に異なる内容で演出する動画面を表示するための複数の演出パターンのうちから図柄変動の選択結果に応じたものを選択する手段と、
複数の識別図柄を仮停止させるための仮停止タイミングを変動パターンの選択結果に基いて設定する手段と、
前記図柄表示装置に演出パターンの設定結果に応じた動画面を表示し、動画面の中で複数の識別図柄を設定結果に応じたタイミングで仮停止させる手段と、
複数の識別図柄が変動開始してから停止順序が最終の識別図柄が仮停止する前までの所定の期間内での予告に関する情報が記録された手段と、
大当り予告タイミングカウンタを計測する手段と、
前記変動パターンの設定結果を検出することに基いて前記大当り予告タイミングカウンタの計測値を取得する手段と、
前記予告に関する情報のうちから前記大当り予告タイミングカウンタの取得結果に応じたものを選択する手段と、
前記図柄表示装置の動画面の今後の態様として大当りが発生することを予告する大当り予告パターンを動画面の中で表示する手段とを備え、
大当り予告パターンを表示する手段は、前記図柄表示装置の動画面の中において大当り予告パターンを前記予告に関する情報の選択結果で表示することに基いて複数の識別図柄が変動開始してから停止順序が最終の識別図柄が仮停止する前までの所定の期間内で大当り予告パターンを表示する制御を行うことを特徴とする遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]演出パターン(引用発明においては「予告態様」)を選択する際に、本願発明は「変動パターンの選択結果に応じたものを選択する手段」を用いているのに対し、引用発明は「大当たりとなる場合、リーチ外れとなる場合、リーチ状態にならずに外れとなる場合に対応して選択された予告態様決定テーブル」を用いている点。

[相違点2]本願発明では、「予告に関する情報」が「複数種の大当り予告タイミング」であって、それらが「変動パターン毎に記録され」ているのに対し、引用発明では、「予告に関する情報」が「予告態様を1段階予告か否か、2段階予告か否か、3段階予告か否かを判断するための数値」であって、それらが「大当たりとなる場合、リーチ外れとなる場合、リーチ状態にならずに外れとなる場合に対応して記録」されている点。

[相違点3]本願発明は、複数種の大当り予告タイミングのうちから大当り予告タイミングカウンタの取得結果に応じたものを選択するのに対し、引用発明は、選択された予告態様決定テーブルにおいて予め定められている数値とC7カウンタの取得値から、大当たりに関する予告報知の際の予告態様を1段階予告か否か、2段階予告か否か、3段階予告か否か判断し、選択された予告段階に応じて予告報知のタイミングを特別図柄表示の図柄変動パターンやタイミングから演算して決定しており、「予告タイミング」を選択していない点。

[相違点4]本願発明は同一の複数の大当り予告パターンを表示する制御を行うのに対し、引用発明は予告キャラクタの出現の仕方が不明で、かつ、予告態様が1段階予告の場合には予告キャラクタが1回しか出現しない点。

(4)判断
[相違点1について]
引用発明における図柄変動パターン(本願発明の「変動パターン」に相当)は、「選択されたリーチ態様」と「大当たりとなる場合、リーチ外れとなる場合、リーチ状態にならずに外れとなる場合」(以下、「3つの場合」という。)に応じて決定されており、該図柄変動パターンと上記3つの場合とは密接に関連している。
そして、引用発明においても、予告報知のタイミングは、予告態様選択後に特別図柄表示の図柄変動パターンやタイミングから演算して決定されているので(摘記した段落0072参照)、予告報知のタイミング決定の基となる予告態様の選択に際して、上記3つの場合に加えて「選択されたリーチ態様」を考慮し、図柄変動パターンの選択結果を用いるようにすることは、遊技機の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に想到し得る。

[相違点2、3について]
[相違点1について]の項でも述べたように、引用発明において予告報知のタイミングは、予告態様選択後に特別図柄表示の図柄変動パターンやタイミングから演算して決定されているが、一般に変数Xに対する関数値F(X)を求めるに際して、該関数の式に変数Xを代入し演算を行って求めるか、事前に様々なXの値に対応した関数値の表を作成しておき該表を用いて求めるかは適宜選択されており、予告報知のタイミングが予告態様だけでなく特別図柄表示の図柄変動パターンに左右されることも明らかなので、引用発明において予告報知のタイミングを決定するに際して、選択された予告段階に応じて演算するのに代えて、予告段階と予告報知のタイミングとの対応関係を前記図柄変動パターン別に記録しておき選択された予告段階に対応する予告報知のタイミングを選択することは当業者が適宜実施し得る事項である。
そして、引用発明において予告段階はC7カウンタの取得値によって決定されているので、さらに「予告段階と予告報知のタイミングとの対応関係」に代えて「C7カウンタの値と予告報知のタイミングとの対応関係」を図柄変動パターン別に記録しておき、予告報知のタイミング(本願発明の「予告タイミング」に相当)をC7カウンタの取得値(本願発明の「予告タイミングカウンタの計測値」に相当)に応じて選択するようにして、本願発明のような構成とすることは、当業者にとって格別困難なことではない。

[相違点4について]
引用発明においては、予告キャラクタが1回しか出現しない場合もあるが、引用発明の課題は、「1回(1段階)のみの予告報知で予告が行われるため、その時点で信頼度が決まり、その後図柄が確定表示されるまでの遊技に緊張感がなくなってしまう。」(段落0006参照)というものであるから、予告報知をより複雑にすることは、この課題解決の方向に沿ったものである。
そして、予告報知をより複雑にするために、予告報知の回数(段階数)をより増やしたり、1回のみの予告報知をなくしたりすることは、ごく一般的な方策である。
また、予告キャラクタの出現の仕方は、引用文献には明確に記載されてはいないものの、サイドランプ71、72を利用した場合の予告報知の具体例として、1段階ないし3段階のいずれにおいても、1.1秒間同様の点灯、点滅を行うことが記載され(段落0072及び図13を参照)、段落0075には、「サイドランプ71、72等の発光体による予告報知に加え、特別図柄表示装置43の画像表示部50で予告報知を行う等、他の視角的な表示手段で行ったり併用したりしても良い。例えば、前記特別図柄表示装置43の画像表示部50に予告キャラクタを出現させたり、・・・」と記載されており、これらの記載に沿って予告キャラクタを出現させるならば、サイドランプ71、72の発光体による予告報知と同期して1種類の予告キャラクタを画像表示部50の定位置に表示することは、当業者が普通に採用する態様の1つである。
以上のことからみて、引用発明において同一の予告キャラクタを画像表示部50にサイドランプ71、72の発光体による予告報知と同期して出現させるとともに、1回のみの予告報知をなくし、予告報知の回数を必ず複数回として、本願発明のような構成とすることは、当業者にとって格別の創意工夫を要するものではない。

(5)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願請求項2及び3については検討するまでもなく、本願は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-06-13 
結審通知日 2008-06-17 
審決日 2008-06-30 
出願番号 特願2001-380264(P2001-380264)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 572- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土屋 保光  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 太田 恒明
三原 裕三
発明の名称 遊技機  
代理人 佐藤 強  

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