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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F02D 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F02D |
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管理番号 | 1183110 |
審判番号 | 不服2006-15138 |
総通号数 | 106 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-10-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-07-13 |
確定日 | 2008-08-14 |
事件の表示 | 特願2000-251137「エンジンの燃料制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 2月28日出願公開、特開2002- 61533〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成12年8月22日の出願であって、平成18年3月10日付けで拒絶理由が通知され、平成18年5月15日付けの手続補正書により手続補正がなされると共に同日付で意見書が提出され、平成18年6月5日付けで拒絶査定がなされ、平成18年7月13日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、平成18年8月14日付けの手続補正書により手続補正がなされ、平成18年10月23日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成18年12月28日付けの手続補正書により手続補正がなされると共に同日付で意見書が提出されたものである。 第2.平成18年12月28日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成18年12月28日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.本件補正後の本願発明 平成18年12月28日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は、 「【請求項1】 エンジンの目標とする空燃比を設定する空燃比設定手段と、 エンジンの排気管の実空燃比を検出する実空燃比検出手段と、 前記目標とする空燃比と前記実空燃比との偏差を算出する偏差算出手段と、 前記偏差を積分して偏差の積分値を算出する偏差積分手段と、 前記偏差の時間変化量を算出する偏差時間変化量算出手段と、 前記偏差と前記偏差の積分と前記偏差の時間変化量のうち少なくとも1つ以上の値からエンジンに供給する燃料の補正係数を演算する燃料補正係数演算手段と、 前記偏差の積分値を運転領域で定まる所定時間で除算した平均値、または前記偏差の積分値における運転領域で定まる所定エンジン回転数毎の平均値、または前記偏差に運転領域で定められた加重平均の重み付けして求める加重平均値のいずれかを算出する平均値算出手段と、 前記平均値算出手段で算出するいずれかの平均値を学習値として記憶する学習値記憶手段と、 前記学習値記憶手段に記憶した学習値に基づき前記燃料の補正係数を補正する補正手段と、 を備えたことを特徴とするエンジンの燃料制御装置。」 と補正された。 これは、本件補正前の請求項1に記載した、「前記偏差の積分の平均値を算出する平均値算出手段」及び「前記偏差の積分の平均値を学習値として記憶する学習値記憶手段」を、「前記偏差の積分値を運転領域で定まる所定時間で除算した平均値、または前記偏差の積分値における運転領域で定まる所定エンジン回転数毎の平均値、または前記偏差に運転領域で定められた加重平均の重み付けして求める加重平均値のいずれかを算出する平均値算出手段」及び「前記平均値算出手段で算出するいずれかの平均値を学習値として記憶する学習値記憶手段」と各々限定するものであり、平成14年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。 2.引用文献記載の発明 (1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平2-298640号公報(以下、「引用文献」という。)には、図面と共に、次の事項が記載されている。 ア.「(産業上の利用分野) この発明は、内燃エンジンの空燃比フィードバック制御方法に関する。」(公報第1頁右下欄第3?5行) イ.「(従来の技術) 従来、内燃エンジンの排気ガス中に含まれる酸素濃度を酸素センサ(O_(2)センサ)で検出し、検出した酸素濃度に応じて第1の補正値を演算し、この第1の補正値に応じて燃料供給量を補正すると共に、空燃比フィードバック制御運転領域を複数の領域に区画し、各領域において演算される第1の補正値の平均値を逐次求め、これを第2の補正値としてそれぞれ記憶しておき、内燃エンジンの運転される各運転領域において、当該運転領域に対して記憶されている第2の補正値を用いて燃料供給量を補正する空燃比フィードバック制御方法が知られている。 上述の第2の補正値は、所謂学習補正値と呼ばれるもので、この空燃比フィードバック制御方法をより詳細に説明すると、エンジンへの燃料の供給は、各気筒毎に配設された電磁燃料噴射弁により行われ、この燃料噴射弁の開弁時間T_(INJ)をO_(2)センサが検出する酸素濃度に応じて増減することにより燃料供給量がフィードバック制御される。 ここに、開弁時間T_(INJ)は次式により演算される。 T_(INJ)=T_(a)×K×(K_(FB)+K_(LRN)-1)+T_(b) K_(FB)はフィードバック補正係数であり、比例項K_(P)および積分項Iからなる。KLRNは学習補正値である。T_(a)は基本開弁時間であり、例えばエンジン回転数とエンジン負荷に応じて設定される。T_(b)はバッテリ電圧に応じて設定される無駄時間補正値、Kはエンジン冷却水温等のその他のパラメータに応じて設定される補正係数である。 O_(2)センサは排気ガス中の酸素濃度に応じて電圧V_(O2)を出力しており、この出力電圧V_(O2)は基準値V_(X)と常時比較されている。そして、出力電圧V_(O2)が基準値V_(X)を横切ってリーン側またはリッチ側にそれぞれ変化した場合、フィードバック補正係数値K_(FB)に比例項値αが加算(K_(P)=α)または減算(K_(P)=-α)される。そして、積分項Iは出力電圧V_(O2)が基準値V_(X)を横切ってリーン側に変化したときには、所定時間の経過毎、或いはクランク軸が所定クランク角度だけ回転する毎に微小値ΔIだけ加算され(I=I+ΔI)、出力電圧V_(DX)が基準値V_(X)を横切ってリッチ側に変化したときには、微小値ΔIだけ減算される(I=I-ΔI)。 学習補正値K_(LRN)は上述の積分項Iの時間平均であり、区分された空燃比フィードバック制御領域毎に演算され、記憶されている。例えば、第7図は区画された空燃比フィードバック制御運転領域を示し、斜線で示される全空燃比フィードバック制御運転領域を、例えば空気流量の大小で3つの領域A、B、Cに区画されており、各運転頭載毎に演算される積分項Iの平均値K_(LANA)?K_(LANC)が演算され、それぞれ記憶されている。そして、エンジンが、例えば運転領域Aで運転されるとき、学習補正値K_(LAN)には平均値K_(LANA)が設定され、この補正値K_(LAN)により開弁時間T_(INJ)が補正される。 この学習補正値K_(LAN)は、エンジン毎の性能のばらつき、経年変化による性能の劣化、その他考慮していないエンジン制御パラメータの変化等を積分値Iを学習することにより補正するもので、区分された各運転領域のそれぞれに好適な学習補正値K_(LRN)を演算設定することにより、各運転領域で、安定、且つ、精度の高い空燃比フィードバック制御が行えるように考慮されている。」(公報第1頁右下欄第6行?第2頁左下欄第9行) ウ.「第1図は本発明に係る内燃エンジンの空燃比フィードバック制御装置の概略構成を示し、・・・」(公報第3頁右上欄第4?5行) エ.「そして、触媒コンバータ36の上流側の集合排気管34には、排気中の酸素量を検出するO_(2)センサ40が取り付けられており、このセンサ40には検出部を高温に保つヒータが備えられている。そして、O_(2)センサ40は電子制御装置(ECU)44の入力端に電気的に接続されており、電子制御装置44に酸素濃度検出信号を供給している。」(公報第3頁左下欄第11?18行) オ.「電子制御装置44は、後述する開弁時間T_(INJ)演算プログラム等を演算実行する中央演算装置(CPU)、各種センサからのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換装置、データの入出力を行うI/Oインターフェイス、燃料噴射弁16に駆動信号を出力する駆動回路(いずれも図示せず)、データを格納記憶しておくRAM,ROM等の記憶装置等を内蔵しており、特に、後述する学習補正値K_(LRN)は、バッテリによりバックアップされる不揮発性記憶装置45に格納記憶される。 電子制御装置44は、詳細は後述するように上述した種々のセンサの検出信号に基づきエンジン運転状態に応じた燃料噴射量、即ち、燃料噴射弁16の開弁時間T_(INJ)を演算し、演算した開弁時間T_(INJ)に応じた駆動信号を各燃料噴射弁16に供給してこれを開弁させて所要の燃料量を各気筒に噴射供給する。」(公報第4頁左上欄第7行?同頁右上欄第3行) カ.「4.図面の簡単な説明 第1図は本発明方法を実施する内燃エンジンの空燃比制御装置の全体構成を示すブロック図、第2図ないし第6図は第1図に示す電子制御装置44により実行される、開弁時間T_(INJ)の演算手順を示すフローチャート、第7図は、区画された内燃エンジンの空燃比フィードバック運転領域を例示するグラフ、第8図は従来の空燃比フィードバック制御方法によって生ずる不都合を説明するための、空燃比、積分項Iおよび学習補正値K_(LRN)の時間変化を示すグラフである。 12・・・内燃エンジン、16・・・燃料噴射弁、20・・・吸気管、24・・・スロットル弁、40・・・O2センサ、44・・・電子制御装置、45・・・不揮発性記憶装置、50・・・エアフローセンサ、52・・・吸気温センサ、56・・・クランク角度センサ、60・・・水温センサ。」(公報第7頁右下欄第18行?第8頁左上欄第14行) (2)ここで、上記記載事項(1)ア.ないしカ.及び図面から、次のことが分かる。 上記ア.及びウ.の記載より、引用文献に記載されたものは、内燃エンジンの空燃比フィードバック制御装置に係るものであることが分かる。 上記イ.、エ.、カ.及び図1の記載より、該装置は、エンジンの集合排気管34の酸素濃度検出値を検出するO_(2)センサ40を有していることが分かる。 上記イ.の記載より、内燃エンジンの空燃比フィードバック制御装置は、O_(2)センサ40が検出する酸素濃度に応じて、燃料供給量がフィードバック制御されることが分かる。また、少なくとも積分項Iによって燃料供給量のフィードバック補正係数F_(FB)が演算されていることが分かる。更に、積分項Iの時間平均が、学習補正値K_(LRM)として記憶されていることが分かり、該学習補正値K_(LRM)に基づき前記燃料のフィードバック補正係数F_(FB)が補正されていることも分かる。なお、上記偏差については、該フィードバック制御が酸素濃度に応じて行われていることから、目標とする酸素濃度と酸素濃度検出値との偏差であることは自明の事項である。 上記イ.及びオ.の記載より、空燃比フィードバック制御は電子制御装置44によって行われていることから、該電子制御装置44は、上記の空燃比フィードバック制御を実行する上で必要な、エンジンの目標とする酸素濃度を設定する空燃比設定手段、目標とする酸素濃度と酸素濃度検出値との偏差を算出する偏差算出手段、偏差を積分して偏差の積分項Iを算出する偏差積分手段、偏差の積分値からエンジンに供給する燃料のフィードバック補正係数F_(FB)を演算する燃料補正係数演算手段及び前記偏差の積分項Iの時間平均を算出する平均値算出手段を有しているということができる。また、上記イ.及びオ.の記載から、学習補正値K_(LRM)を記憶する不揮発性記憶装置45を有していることが分かる。更に、前記不揮発性記憶装置45に記憶した学習補正値K_(LRM)に基づき前記燃料のフィードバック補正係数F_(FB)を補正する補正手段も当然に有しているものと認める。 (3)引用文献記載の発明 上記記載事項(1)、(2)より、引用文献には次の発明が記載されていると認められる。 「エンジンの目標とする酸素濃度を設定する空燃比設定手段と、 エンジンの集合排気管34の酸素濃度検出値を検出するO_(2)センサ40と、 前記目標とする酸素濃度と前記酸素濃度検出値との偏差を算出する偏差算出手段と、 前記偏差を積分して偏差の積分項Iを算出する偏差積分手段と、 前記偏差の積分値からエンジンに供給する燃料のフィードバック補正係数F_(FB)を演算する燃料補正係数演算手段と、 前記偏差の積分項Iの時間平均を算出する平均値算出手段と、 前記平均値算出手段で算出する時間平均を学習補正値K_(LRM)として記憶する不揮発性記憶装置45と、 前記不揮発性記憶装置45に記憶した学習補正値K_(LRM)に基づき前記燃料のフィードバック補正係数F_(FB)を補正する補正手段と、 を備えた内燃エンジンの空燃比フィードバック制御装置。」(以下、「引用文献記載の発明」という。) 3.本願補正発明と引用文献記載の発明との対比 本願補正発明と引用文献記載の発明を対比すると、引用文献記載の発明における「集合排気管34」、「積分項I」、「時間平均」、「学習補正値K_(LRM)」、「不揮発性記憶装置45」、「フィードバック補正係数F_(FB)」及び「内燃エンジンの空燃比フィードバック制御装置」は、本願補正発明における「排気管」、「偏差の積分値」、「平均値」、「学習値」、「学習値記憶手段」、「燃料の補正係数」及び「エンジンの燃料制御装置」にそれぞれ相当する。 また、引用文献記載の発明における「酸素濃度」、「酸素濃度検出値」及び「O_(2)センサ40」と、本願発明における「空燃比」、「実空燃比」及び「実空燃比検出手段」は、いずれも、「空燃比に関連する値」であるから、両者は、「空燃比に関連する目標値」、「実空燃比に関連する検出値」及び「実空燃比に関連する実測値検出手段」の限りにおいて、それぞれ相当する。 してみると、引用文献には、 「エンジンの目標とする空燃比に関連する目標値を設定する空燃比設定手段と、 エンジンの排気管の実空燃比に関連する実測値を検出する実空燃比検出手段と、 前記目標とする空燃比に関連する目標値と前記実空燃比に関連する実測値との偏差を算出する偏差算出手段と、 前記偏差を積分して偏差の積分値を算出する偏差積分手段と、 前記偏差の積分値からエンジンに供給する燃料の補正係数を演算する燃料補正係数演算手段と、 前記偏差の積分値の平均値を算出する平均値算出手段と、 前記平均値算出手段で算出する平均値を学習値として記憶する学習値記憶手段と、 前記学習値記憶手段に記憶した学習値に基づき前記燃料の補正係数を補正する補正手段と、 を備えたエンジンの燃料制御装置。」で一致し、次の点において相違している。 [相違点1] 空燃比帰還制御における手段、並びに、該制御における「空燃比に関連する目標値」、「実空燃比に関連する検出値」及び「実空燃比に関連する実測値検出手段」に関して、本願補正発明においては、「偏差の時間変化量を算出する偏差時間変化量算出手段」を備え、また、「目標とする空燃比」、「実空燃比」及び「実空燃比検出手段」を用いて制御しているのに対し、引用文献記載の発明においては、「偏差の時間変化量を算出する偏差時間変化量算出手段」を備えているか不明であり、また、「目標とする酸素濃度」、「酸素濃度検出値」及び「O_(2)センサ40」を用いて制御している点。 [相違点2] 空燃比帰還制御における「偏差の積分値」の「平均値」に関して、本願補正発明においては、「偏差の積分値を運転領域で定まる所定時間で除算した平均値、または前記偏差の積分値における運転領域で定まる所定エンジン回転数毎の平均値、または前記偏差に運転領域で定められた加重平均の重み付けして求める加重平均値」であるのに対し、引用文献記載の発明においては、如何なる平均値であるのか具体的に明らかでない点。 4.当審の判断 上記[相違点]について検討する。 まず、上記[相違点1]について検討すると、「偏差の時間変化量を算出する偏差時間変化量算出手段」を含み、「目標とする空燃比」及び「実空燃比」の偏差によって制御を行う空燃比帰還制御は、従来周知の技術(例えば、特開平8-254146号公報の【0021】?【0037】、【図1】?【図6】、特開平7-127505号公報の【0010】?【0018】、【図4】等参照されたい。以下、「周知技術1」という。)にすぎない。 したがって、上記引用文献記載の発明に、上記周知技術1を適用し、上記[相違点1]に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が格別困難なく想到し得るものである。 次に、上記[相違点2]について検討する。 経時変化やエンジン機差に対処するため、「運転領域」によって定まる「学習値」によって空燃比帰還制御を行うことは、従来周知の技術(例えば、特開昭60-45743号公報、特開昭60-43137号公報、特開平2-211346号公報の第2図、第7図等を参照されたい。以下、「周知技術2」という。)にすぎないことから、「偏差の積分値」の「平均値」による「学習値」を算出するにあたり、該周知技術2を加味して、「運転領域」によって定まる「平均値」を算出しようとすることに格別の困難性はない。 したがって、上記引用文献記載の発明に、上記周知技術2を適用し、上記[相違点2]に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が格別困難なく想到し得るものである。 なお、本願補正発明を全体として検討しても、引用文献記載の発明及び周知技術1,2から予測される以上の格別の効果を奏するとも認められない。 以上から、本願補正発明は、引用文献記載の発明及び周知技術1,2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。 5.むすび 以上のとおり、本件補正は、平成14年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 第3.本願発明について 1.以上のとおり、平成18年12月28日付けの手続補正は却下されたため、本願の請求項1ないし9に係る発明は、平成18年8月14日付け手続補正書によって補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし9にそれぞれ記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「【請求項1】 エンジンの目標とする空燃比を設定する空燃比設定手段と、 エンジンの排気管の実空燃比を検出する実空燃比検出手段と、 前記目標とする空燃比と前記実空燃比との偏差を算出する偏差算出手段と、 前記偏差を積分して偏差の積分を算出する偏差積分手段と、 前記偏差の時間変化量を算出する偏差時間変化量算出手段と、 前記偏差と前記偏差の積分と前記偏差の時間変化量のうち少なくとも1つ以上の値からエンジンに供給する燃料の補正係数を演算する燃料補正係数演算手段と、 前記偏差の積分の平均値を算出する平均値算出手段と、 前記偏差の積分の平均値を学習値として記憶する学習値記憶手段と、 前記学習値記憶手段に記憶した学習値に基づき前記燃料の補正係数を補正する補正手段と、 を備えたことを特徴とするエンジンの燃料制御装置。」 2.引用文献記載の発明 引用文献には、上記第2.2.のとおりのものが記載されている。 3.対比、判断 本願補正発明は、本願発明をさらに限定するものであることから、本願補正発明が、上記のとおり、引用文献記載の発明及び周知技術1,2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-06-10 |
結審通知日 | 2008-06-17 |
審決日 | 2008-06-30 |
出願番号 | 特願2000-251137(P2000-251137) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(F02D)
P 1 8・ 575- WZ (F02D) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 畔津 圭介、所村 陽一、小原 一郎 |
特許庁審判長 |
早野 公惠 |
特許庁審判官 |
西本 浩司 小谷 一郎 |
発明の名称 | エンジンの燃料制御装置 |
代理人 | 平木 祐輔 |