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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G05B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G05B
管理番号 1183374
審判番号 不服2007-4783  
総通号数 106 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-02-15 
確定日 2008-08-21 
事件の表示 特願2002-221784「ロール機械用安全装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 2月26日出願公開、特開2004- 62652〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本件出願は、平成14年7月30日の特許出願であって、同18年5月25日付けで拒絶の理由が通知され、同年7月11日に手続補正がなされたが、同19年1月9日付けで拒絶をすべき旨の査定がされ、同年2月15日に本件審判の請求がなされ、同年2月26日に明細書を対象とする手続補正(以下「本件補正」という。)がなされたものである。
本審決において、意匠法等の一部を改正する法律(平成18年法律第55号)附則第3条第1項に規定される各条については、同項の規定により、なお従前の例による。

第2.本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲について補正をするものであって、請求項1について、補正前後の記載は、以下のとおりである。

(1)補正前
「ロール機械作業部乃至その近傍部を含む検出エリア(A)内への作業者の手の侵入を検出すると通常ON状態の検出信号がOFF状態となる反射型のセンサ手段(1)を備え、該センサ手段(1)がON状態でロール機械(2)が作動し、該センサ手段(1)がOFF状態となると該ロール機械(2)を緊急停止させるようにし、
かつ、該センサ手段(1)は、投光器(4)と受光器(5)を有するセンサユニット(6)が複数並設されて構成され、
かつ、上記センサ手段(1)の信号により上記ロール機械(2)の作動を制御する安全制御手段(8)を備え、
さらに、上記ロール機械(2)による作業開始前において、全ての該センサユニット(6)が手の侵入を検出して通常ON状態の検出信号がすべてOFF状態となることを上記安全制御手段(8)が確認後に上記ロール機械(2)の非常停止信号を解除して該ロール機械(2)の始動開始工程への移行を可能とするセンサ故障事前確認機能を備えたことを特徴とするロール機械用安全装置。」

(2)補正後
「ロール機械作業部乃至その近傍部を含む検出エリア(A)内への作業者の手の侵入を検出すると通常ON状態の検出信号がOFF状態となる反射型のセンサ手段(1)を備え、該センサ手段(1)がON状態でロール機械(2)が作動し、該センサ手段(1)がOFF状態となると該ロール機械(2)を緊急停止させるようにし、
かつ、該センサ手段(1)は、投光器(4)と受光器(5)を有するセンサユニット(6)が複数並設されて構成され、
かつ、上記センサ手段(1)の信号により上記ロール機械(2)の作動を制御する安全制御手段(8)を備え、
さらに、上記ロール機械(2)による作業開始前において、全ての該センサユニット(6)が手の侵入を検出して通常ON状態の検出信号がすべてOFF状態となることを上記安全制御手段(8)が確認後に上記ロール機械(2)の非常停止信号を解除して該ロール機械(2)の始動開始工程への移行を可能とするセンサ故障事前確認機能を備え、
しかも、上記ロール機械(2)の作動中に上記センサユニット(6)から上記安全制御手段(8)への信号が途絶える故障が起こると、上記センサ手段(1)が上記検出エリア(A)内への手の侵入を検出した場合の上記OFF状態と同一の作動にてOFF状態となったことを、上記安全制御手段(8)が検出して該ロール機械(2)を緊急停止させるセンサ故障確認機能を備えたことを特徴とするロール機械用安全装置。」

2.補正の適否
本件補正の特許請求の範囲の補正後の請求項1についての補正は、「上記ロール機械(2)の作動中に上記センサユニット(6)から上記安全制御手段(8)への信号が途絶える故障が起こると、上記センサ手段(1)が上記検出エリア(A)内への手の侵入を検出した場合の上記OFF状態と同一の作動にてOFF状態となったことを、上記安全制御手段(8)が検出して該ロール機械(2)を緊急停止させるセンサ故障確認機能を備えた」なる事項を付加するものであり、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が、特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合するか否か(いわゆる独立特許要件)について検討する。

(1)補正発明
補正発明は、本件補正により補正された明細書及び願書に添付した図面の記載からみて、上記1.(2)のとおりのものと認める。

(2)刊行物に記載された発明
これに対し、原査定で引用された本件出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開平10-83201号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の事項が記載されている。

ア.第4欄第46?50行
「この発明は、上記する課題に鑑みてなされたものであり、作業者の手がロール間の周辺領域に侵入したことをセンサによって検出し緊急停止させることにより、事故の発生を未然に防止することができるロール混練装置の安全装置を提供することを目的としている。」

イ.第16欄第11?29行
「図7?図8はこの発明の第4の実施形態を示すものであって、図7はロール混練装置の安全装置のブロック図、図8は光電センサの指向範囲を示すためのロール混練装置の平面図である。
【0051】この実施形態のロール混練装置の安全装置では、光の偏光を利用して危険領域への作業者の手の侵入を検出する光電センサを用いる場合について説明する。図7に示すように、この安全装置の投光器5aと光電センサ5bは、ケース5に収納されてロール混練装置11のロール12,12間の上方に配置される。ケース5内では、図5に示すように、これらの投光器5aと光電センサ5bが対になって下方に向けて配置されている。光電センサ5bは、図8に示すように、ロール12,12間の周辺の領域にハッチングで示すような円形の指向範囲Dを有している(図3と同様) 。そして、複数個の光電センサ5b…をケース5内に適宜間隔で並べて配置することにより、各円形の指向範囲Dが互いに部分的に重複しながらロール12,12間の周辺の細長い領域を覆うようになっている。」

ウ.第17欄第17?36行
「この実施形態の安全装置でも、図6に示すように、検出用反射体6を手の甲の部分に縫い付けた手袋7を作業者Aが手に装着して作業を行う。・・・。
【0055】図7に示すように、上記各光電センサ5bから出力される受光量の信号は、随時緊急停止回路10に送られるようになっている。緊急停止回路10は、少なくともいずれか1個の光電センサ5bから送られて来た信号の受光量が所定値を超えると、ロール混練装置11の駆動部11aに運転停止信号を送るものである。駆動部11aは、この緊急停止回路10から運転停止信号が送られて来ると、ロール12,12の回転を緊急停止させて運転を停止する。」

エ.第19欄第23行?第20欄第47行
「図9及び図10はこの発明の第5の実施形態を示すものであって、図9はロール混練装置の安全装置のブロック図、図10は運転開始制限回路の構成を示すブロック図である。・・・。
【0062】この実施形態のロール混練装置の安全装置は、第4の実施形態で示したものとほぼ同様の構成である。・・・。従って、ケース5は回転せず、投光器5aや光電センサ5bは、常にロール12,12間の周辺の危険領域を向いている。また、第4の実施形態で示したテスト回路21に代えて、駆動部11aに運転停止信号を送る運転開始制限回路14が設けられている。
【0063】運転開始制限回路14は、各光電センサ5bから出力される受光量の信号が入力されるようになっている。そして、電源投入後の初期状態では、駆動部11aに常時運転停止信号を送るが、全ての光電センサ5bの受光量が1度でも所定値を超えると、以降は駆動部11aへの運転停止信号の送出を停止する。
【0064】このような動作を行う運転開始制限回路14の構成例を図10に示す。各光電センサ5bからの受光量の信号は、それぞれ比較回路14a…を介してRSフリップフロップ回路14b…のセット端子に入力される。各比較回路14aは、対応する光電センサ5bからの信号の受光量を示す電圧値が所定の基準電圧Vrefを超えた場合にHレベルとなる信号を出力する2値化回路である。また、各RSフリップフロップ回路14b…のリセット端子には、電源投入後に1回だけHレベルとなるリセット信号が入力される。そして、各RSフリップフロップ回路14b…の出力Qは、NAND回路14cに入力される。従って、電源投入後には、リセット信号によって全てのRSフリップフロップ回路14b…がリセットされて出力QがLレベルとなるので、NAND回路14cから出力されるHレベルが運転停止信号として駆動部11aに送られることになる。また、各光電センサ5bの受光量が1度でも所定値を超えると、これに対応するRSフリップフロップ回路14bがセットされて以降の出力QがHレベルを保持するので、全てのRSフリップフロップ回路14b…がセットされると、NAND回路14cの出力がLレベルに切り替わり運転停止信号が送出されなくなる。
【0065】・・・
【0066】上記構成により、ロール混練装置11に電源を投入した直後には、運転開始制限回路14が駆動部11aに運転停止信号を送り続けるので、作業者Aは運転操作を行っても運転を開始することができない。しかし、作業者Aが手袋7を装着した手を、投光器5aと光電センサ5bを収納したケース5の下方にかざし、このケース5に沿って順に移動させる点検作業を行うと、各光電センサ5bが順に検出用反射体6からのY方向の直線偏光の反射光を受光する。そして、全ての光電センサ5bの受光量が所定値を超えると、運転開始制限回路14が運転停止信号の出力を停止する。すると、ロール混練装置11は、作業者Aが運転操作を行うことにより運転を開始することができるようになる。・・・。この作業者Aによる点検作業は、例えば毎朝の始業点検等の際に実行する。
【0067】従って、1個でも光電センサ5bに故障が発生していたり、この光電センサ5bの検出回路に異常がある場合には、この光電センサ5bの下方に作業者Aが手をかざしても受光量が所定値を超えないので、運転開始制限回路14が運転停止信号を出力し続ける。」

これらの記載事項を、技術常識を考慮しながら補正発明に照らして整理する。
ここで、図9の符号5で示される直方体状の部材は、投光器5aと光電センサ5bを有するセンサ対が複数並設されたものであるから、「符号の説明」にあるように「センサとしてケース」である。
よって、刊行物1には以下の発明(以下、「刊行物発明」という。)が記載されていると認める。

「ロール混練装置11作業部乃至その近傍部を含む検出エリア内への作業者の手の侵入を検出すると受光量が所定値を超えるセンサとしてケースを備え、該センサとしてケースの受光量が所定値を超えない状態でロール混練装置11が作動し、該センサとしてケースの受光量が所定値を超えると該ロール混練装置11を緊急停止させるようにし、
かつ、該センサとしてケースは、投光器5aと光電センサ5bを有するセンサ対が複数並設されて構成され、
かつ、上記センサとしてケースの信号により上記ロール混練装置11の作動を制御する緊急停止回路10を備え、
さらに、上記ロール混練装置11による作業開始前において、全ての該センサ対が手の侵入を検出して全ての光電センサ5bの受光量が所定値を超えることを運転開始制限回路14が確認後に上記ロール混練装置11の運転停止信号を解除して該ロール混練装置11の始動開始工程への移行を可能とするセンサ故障事前確認機能を備えたロール混練装置用安全装置。」

(3)対比
補正発明と刊行物発明とを対比する。
刊行物発明の「ロール混練装置11」、「光電センサ5b」、「センサ対」、「運転停止信号」は、補正発明の「ロール機械」、「受光器」、「センサユニット」、「非常停止信号」に相当する、ないし含まれる。
また、刊行物発明の「手の侵入を検出すると受光量が所定値を超えるセンサとしてケース」と、補正発明の「手の侵入を検出すると通常ON状態の検出信号がOFF状態となる反射型のセンサ手段」とは、「手の侵入を検出してその旨の信号を出す検出手段」である限りにおいて一致し、同様に、刊行物発明の「全ての該センサ対が手の侵入を検出して全ての光電センサ5bの受光量が所定値を超える」と、補正発明の「全ての該センサユニット(6)が手の侵入を検出して通常ON状態の検出信号がすべてOFF状態となる」とは、「全ての該センサユニットが手の侵入を検出してその旨の信号を出す」である限りにおいて一致する。
刊行物発明の「センサとしてケースの受光量が所定値を超えない状態でロール混練装置11が作動し、該センサとしてケースの受光量が所定値を超えると該ロール混練装置11を緊急停止させる」と、補正発明の「センサ手段(1)がON状態でロール機械(2)が作動し、該センサ手段(1)がOFF状態となると該ロール機械(2)を緊急停止させる」とは、「検出手段が手の侵入を検出していない状態でロール機械が作動し、該検出手段が手の侵入を検出すると該ロール機械を緊急停止させる」限りにおいて一致する。
刊行物発明の「緊急停止回路10」及び「運転開始制限回路14」と、補正発明の「安全制御手段」とは、「安全制御手段」である限りにおいて一致する。

したがって、補正発明と刊行物発明とは、次の点で一致している。
「ロール機械作業部乃至その近傍部を含む検出エリア内への作業者の手の侵入を検出する検出手段を備え、該検出手段が手の侵入を検出していない状態でロール機械が作動し、該検出手段が手の侵入を検出すると該ロール機械を緊急停止させるようにし、
かつ、該検出手段は、投光器と受光器を有するセンサユニットが複数並設されて構成され、
かつ、上記検出手段の信号により上記ロール機械の作動を制御する安全制御手段を備え、
さらに、上記ロール機械による作業開始前において、全ての該センサユニットが手の侵入を検出してその旨の信号を出すことを上記安全制御手段が確認後に上記ロール機械の非常停止信号を解除して該ロール機械の始動開始工程への移行を可能とするセンサ故障事前確認機能を備えたロール機械用安全装置。」

そして、補正発明と刊行物発明とは、以下の点で相違している。
相違点1:検出手段とその動作について、補正発明は、「手の侵入を検出すると通常ON状態の検出信号がOFF状態となる反射型のセンサ手段」で、「センサ手段がON状態でロール機械が作動し、該センサ手段がOFF状態となると該ロール機械を緊急停止させる」ものであるが、刊行物発明は、そのようなものではない点。
相違点2:補正発明の「安全制御手段」が、刊行物発明では「緊急停止回路10」及び「運転開始制限回路14」の両者からなる点。
相違点3:補正発明は、「ロール機械の作動中に上記センサユニットから上記安全制御手段への信号が途絶える故障が起こると、上記センサ手段が上記検出エリア内への手の侵入を検出した場合の上記OFF状態と同一の作動にてOFF状態となったことを、上記安全制御手段が検出して該ロール機械を緊急停止させるセンサ故障確認機能」を有するが、刊行物発明は、かかる機能を有しない点。

(4)相違点の検討
相違点1について検討する。
安全の分野においては、フェイルセーフという技術は、原査定で引用された特開平11-144161号公報の段落0068?0070、当審の審尋で引用した特開平1-222883号公報の第2ページ左下欄第14行?右下欄第20行にみられるごとく周知である。
刊行物発明においても、検出手段(センサとしてケース)が故障することはありうるから、安全性の一層の向上のため、フェイルセーフを適用する場合、検出手段が故障の際、ロール機械を緊急停止させることが必要となる。
そして、検出手段が故障の際は、検出手段からの信号がOFF状態となる。
また、前記特開平11-144161号公報の段落0004には、「装置が故障した場合には、監視領域に人等が存在する場合と同様に受光の信号が得られなくなるので、受光の信号が得られる場合は確実に安全ということができ」と記載されており、装置の故障と人の存在とを同等に扱うことも示されている。
したがって、ロール機械を緊急停止させる必要がある「手の侵入を検出」した場合に、検出手段が故障の際と同様に、「検出手段からの信号がOFF状態となる」ような検出手段とすることに困難性は認められない。
また、刊行物発明の検出手段は、補正発明のセンサ手段と同様、反射光を検出するものであるから「反射型」と認められる。
よって、刊行物発明の検出手段とその動作を、相違点1に係るものとすることは、安全性の一層の向上のため、必要に応じてなしうる設計的事項にすぎない。

相違点2について検討する。
刊行物発明の「緊急停止回路10」、「運転開始制限回路14」は、いずれも装置の運転・停止に関するものであり、機能の共通性があるから、これを一体として「安全制御手段」とすることは、当業者が適宜なしうる設計的事項にすぎない。

相違点3について検討する。
相違点1で検討したとおり、安全性の一層の向上のため、フェイルセーフを適用し、刊行物発明の検出手段とその動作を、相違点1に係るものとした場合、「ロール機械の作動中に上記センサユニットから上記安全制御手段への信号が途絶える故障が起こると、上記センサ手段が上記検出エリア内への手の侵入を検出した場合の上記OFF状態と同一の作動にてOFF状態となったことを、上記安全制御手段が検出して該ロール機械を緊急停止」することとなる。
したがって、刊行物発明においても、検出手段とその動作を、相違点1に係るものとした場合、「センサ故障確認機能」を有することとなる。

請求人は、平成20年5月16日の回答書で、(ア)補正発明は、ロール機械という特殊な分野に属する、(イ)構成要件すべてを結合することで、著大な効果が発揮される、(ウ)補正発明は、センサ故障事前確認機能とセンサ故障確認機能の両方を備えている旨、主張している。
しかし、(ア)については、安全装置は、多くの分野で採用されているものであり、ロール機械において、一般的なフェイルセーフ等の安全技術の適用を妨げる事情を見出すことはできない。
(イ)については、前記のとおり、刊行物発明に周知技術を適用することで、予測可能な効果にすぎず、格別の技術的意義、効果が生じるとは認められない。
(ウ)については、前記のとおり、刊行物発明に周知技術を適用することで、両方を備えることとなる。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。

以上のことから、補正発明は、刊行物発明、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものである。

3.むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1ないし2に係る発明は、平成18年7月11日付けで補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2.1.(1)に示す請求項1に記載されたとおりである。

2.刊行物等
これに対して、原査定の際にあげられた刊行物及びその記載内容は、上記第2.2.(2)に示したとおりである。

3.対比・検討
本願発明は、補正発明において付加された事項を削除するものである。
そうすると、本願発明も、上記第2.2.(3)と同様の理由により、刊行物発明、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.本件出願の請求項2に係る発明について
本件出願の請求項2に係る発明は、表現に微差が存するものの、実質的に前記補正発明と同一であるから、補正発明と同様の理由により、刊行物発明、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
したがって、本願発明、及び請求項2に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないことから、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-06-11 
結審通知日 2008-06-17 
審決日 2008-06-30 
出願番号 特願2002-221784(P2002-221784)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G05B)
P 1 8・ 121- Z (G05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐々木 一浩  
特許庁審判長 千葉 成就
特許庁審判官 尾家 英樹
豊原 邦雄
発明の名称 ロール機械用安全装置  
代理人 中谷 武嗣  

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