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審決分類 |
審判 査定不服 特29条特許要件(新規) 特許、登録しない。 G06Q 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06Q |
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管理番号 | 1183546 |
審判番号 | 不服2004-12726 |
総通号数 | 106 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-10-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-06-21 |
確定日 | 2008-08-25 |
事件の表示 | 特願2001-357977「アート情報統合システム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年10月18日出願公開、特開2002-304575〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成13年11月22日(優先権主張平成13年1月30日)の出願であって、平成16年2月9日付けの拒絶理由通知に対して、同年4月13日付けで意見書が提出されるとともに同日付けで手続補正がなされたが、同年5月17日付けで拒絶の査定がなされ、この拒絶の査定を不服として、同年6月21日に審判請求がなされるとともに同年7月21日付けで手続補正がなされたものである。 第2 平成16年7月21日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年7月21日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 本件補正 平成16年7月21日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は、 『【請求項1】 一般需要者端末、業界関係者端末又はアーティスト端末からのアクセス情報が情報伝送網を介してアート情報統合処理サーバに与えられたとき、上記アート情報統合処理サーバは、上記情報伝送網を介して上記一般需要者端末、上記業界関係者端末又はアーティスト端末にアクセス入力画面情報を伝送することにより上記一般需要者端末、上記業界関係者端末又は上記アーティスト端末のディスプレイにアクセス入力画面を表示させると共に、上記アクセス入力画面を用いて上記一般需要者端末、上記業界関係者端末、又は上記アーティスト端末から入力される入力情報に応じたアート情報を交信するアート情報統合システムであって、 上記アート情報統合処理サーバは、 上記情報伝送網を介して、上記業界関係者端末又は上記一般需要者端末から、探したいアーティストの特徴として「性別」・「年齢」・「身体関係の条件」を指定する条件検索要求又はアーティストの「氏」及び又は「名」を指定する名前検索要求でなるアーティスト検索要求が発信されたとき、統合処理用データベースから当該条件検索要求又は名前検索要求に対応するアーティストを選択して検索結果一覧として上記業界関係者端末又は上記一般需要者端末に提示し、 上記業界関係者端末からアーティスト選択入力を受けたとき上記統合処理用データベースから当該選択されたアーティストの「経歴」・「参加作品リスト」を業界向け用プロフィールとして上記業界関係者端末に提示し、又は上記一般需要者端末からアーティスト選択入力を受けたとき上記統合処理用データベースから上記業界向け用プロフィールの一部を一般需要者向け用プロフィールとして上記一般需要者端末に提示し、 その後、上記アーティスト検索要求の発信者が業界関係者であることを確認したとき、上記業界関係者端末又は上記アーティスト端末との間で上記選択されたアーティストに仕事の依頼をするか否かの処理を実行する第1の処理をするか、又は当該選択されたアーティストが出演した作品プロフィールとして「あらすじ」・「ダイジェスト」・「監督」・「キャスト」・「主要スタッフ」を業界関係者端末に提示する第2の処理をするかを、上記業界関係者端末に選別させ、 若しくは上記アーティスト検索要求の発信者が一般需要者端末であることを確認したとき、当該一般需要者端末を、上記情報伝送網に接続されている上記選択されたアーティストのホームページにリンクする ことを特徴とするアート情報統合システム。』 と補正された。(アンダーラインは、補正された部分を示すものとして、手続補正書に表示されたものを援用したものである。) 上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「アート情報統合処理サーバ」の行う処理を限定する補正を含むものであり、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当すると認める。 そこで、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 2 特許法第29条柱書 本願補正発明は、「アート情報を業界関係者と共に広く一般に利用できるように統合して提供し得るアート情報統合システム」(本願明細書段落【0007】)であり、機器等に対する制御又は該制御に伴う処理を具体的に行うものではなく、対象の物理的性質又は技術的性質に基づく情報処理を具体的に行うものでもないことは明らかである。 そして、本願補正発明の「アート情報統合システム」は実質的にコンピュータ・システムであると認められるので、本願補正発明は、その実施にソフトウェアを必要とする発明、すなわち、コンピュータ・ソフトウェア関連発明である。 このコンピュータ・ソフトウェア関連発明が、特許法第2条第1項で特許法での「発明」の定義としていうところの「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるのは、発明がそもそもが一定の技術的課題を達成できる具体的なものになっていなければならないことから、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されている場合であり、そのためには、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働した具体的手段によって、使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の情報処理装置又はその動作方法が構築されていることが提示されている必要がある。 そこで、本願補正発明が、「ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されたもの」であるのか否かについて検討する。 本願補正発明の「上記アクセス入力画面を用いて上記一般需要者端末、上記業界関係者端末、又は上記アーティスト端末から入力される入力情報に応じたアート情報を交信する」は、「アート情報統合処理サーバ」の行う情報処理を概括的に記載したもので、情報処理を具体的に提示するものではない。 本願補正発明の「又は上記一般需要者端末からアーティスト選択入力を受けたとき上記統合処理用データベースから上記業界向け用プロフィールの一部を一般需要者向け用プロフィールとして上記一般需要者端末に提示し」は、「アート情報統合処理サーバ」の行う情報処理を記載している。しかしながら、本願補正発明の他の発明特定事項をあわせみても、単に「業界向け用プロフィール」を得るのではなく「業界向け用プロフィールの一部」を得るのに特有の「統合処理用データベース」が記憶するデータのデータ構造を特定しておらず、また、「業界向け用プロフィール」から「業界向け用プロフィールの一部」をどのように抽出するのか提示してもいないから、「又は上記一般需要者端末からアーティスト選択入力を受けたとき上記統合処理用データベースから上記業界向け用プロフィールの一部を一般需要者向け用プロフィールとして上記一般需要者端末に提示し」という情報処理は、「一般需要者端末からのアーティスト選択」の情報を基に「統合処理用データベース」から「業界向け用プロフィールの一部」をどのようにして得るのか提示するものではなく、ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか把握されるものではない。 本願補正発明の『その後、上記アーティスト検索要求の発信者が業界関係者であることを確認したとき、上記業界関係者端末又は上記アーティスト端末との間で上記選択されたアーティストに仕事の依頼をするか否かの処理を実行する第1の処理をするか、又は当該選択されたアーティストが出演した作品プロフィールとして「あらすじ」・「ダイジェスト」・「監督」・「キャスト」・「主要スタッフ」を業界関係者端末に提示する第2の処理をするかを、上記業界関係者端末に選別させ』の「その後、上記アーティスト検索要求の発信者が業界関係者であることを確認した」は、「アート情報統合処理サーバ」の行う情報処理を記載したものであるが、本願補正発明の他の発明特定事項をあわせみても、どのような情報を基にどのようにして「上記アーティスト検索要求の発信者が業界関係者であることを確認」するのか提示するものではなく、ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか把握されるものではない。 また、同じく『上記業界関係者端末又は上記アーティスト端末との間で上記選択されたアーティストに仕事の依頼をするか否かの処理を実行する第1の処理をするか、又は当該選択されたアーティストが出演した作品プロフィールとして「あらすじ」・「ダイジェスト」・「監督」・「キャスト」・「主要スタッフ」を業界関係者端末に提示する第2の処理をするかを、上記業界関係者端末に選別させ』は、「アート情報統合処理サーバ」が「業界関係者端末」に行わせる情報処理を記載したものであるが、本願補正発明の他の発明特定事項をあわせみても、「業界関係者端末」にどのような情報を基にどのようにして「第1の処理をするか、又は第2の処理をするかを」選別させるのか提示するものではなく、ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか把握されるものではない。 本願補正発明の「若しくは上記アーティスト検索要求の発信者が一般需要者端末であることを確認したとき、当該一般需要者端末を、上記情報伝送網に接続されている上記選択されたアーティストのホームページにリンクする」の「若しくは上記アーティスト検索要求の発信者が一般需要者端末であることを確認した」は、「アート情報統合処理サーバ」の行う情報処理を記載したものであるが、本願補正発明の他の発明特定事項をあわせみても、どのような情報を基にどのようにして「上記アーティスト検索要求の発信者が一般需要者端末であることを確認」するのか提示するものではなく、ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか把握されるものではない。 また、同じく「当該一般需要者端末を、上記情報伝送網に接続されている上記選択されたアーティストのホームページにリンクする」は、「アート情報統合処理サーバ」の行う情報処理を記載したものであるが、本願補正発明の他の発明特定事項をあわせみても、どのようにして「アーティストのホームページ」のURL等の所在先情報を得てリンクするのか提示するものではなく、ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか把握されるものではない。 すなわち、本願補正発明の「アート情報統合処理サーバ」が行う「上記アクセス入力画面を用いて上記一般需要者端末、上記業界関係者端末、又は上記アーティスト端末から入力される入力情報に応じたアート情報を交信する」という情報処理及び「又は上記一般需要者端末からアーティスト選択入力を受けたとき上記統合処理用データベースから上記業界向け用プロフィールの一部を一般需要者向け用プロフィールとして上記一般需要者端末に提示し」という情報処理及び『その後、上記アーティスト検索要求の発信者が業界関係者であることを確認したとき、上記業界関係者端末又は上記アーティスト端末との間で上記選択されたアーティストに仕事の依頼をするか否かの処理を実行する第1の処理をするか、又は当該選択されたアーティストが出演した作品プロフィールとして「あらすじ」・「ダイジェスト」・「監督」・「キャスト」・「主要スタッフ」を業界関係者端末に提示する第2の処理をするかを、上記業界関係者端末に選別させ』という情報処理及び「若しくは上記アーティスト検索要求の発信者が一般需要者端末であることを確認したとき、当該一般需要者端末を、上記情報伝送網に接続されている上記選択されたアーティストのホームページにリンクする」という情報処理は、ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか提示するものではない。 そして、本願補正発明の「一般需要者端末、業界関係者端末又はアーティスト端末からのアクセス情報が情報伝送網を介してアート情報統合処理サーバに与えられたとき、上記アート情報統合処理サーバは、上記情報伝送網を介して上記一般需要者端末、上記業界関係者端末又はアーティスト端末にアクセス入力画面情報を伝送することにより上記一般需要者端末、上記業界関係者端末又は上記アーティスト端末のディスプレイにアクセス入力画面を表示させる」という情報処理、「アート情報統合処理サーバ」が行う『上記情報伝送網を介して、上記業界関係者端末又は上記一般需要者端末から、探したいアーティストの特徴として「性別」・「年齢」・「身体関係の条件」を指定する条件検索要求又はアーティストの「氏」及び又は「名」を指定する名前検索要求でなるアーティスト検索要求が発信されたとき、統合処理用データベースから当該条件検索要求又は名前検索要求に対応するアーティストを選択して検索結果一覧として上記業界関係者端末又は上記一般需要者端末に提示し』という情報処理、同じく『上記業界関係者端末からアーティスト選択入力を受けたとき上記統合処理用データベースから当該選択されたアーティストの「経歴」・「参加作品リスト」を業界向け用プロフィールとして上記業界関係者端末に提示し』という情報処理が、ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか提示するものであるとしても、それらの情報処理は、「アート情報を業界関係者と共に広く一般に利用できるように統合して提供」するために本願補正発明が行う情報処理の一部分の処理にしかすぎず、本願補正発明は、全体として、その目的を達成するための情報処理がハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか提示するものではない。 したがって、本願補正発明は、全体として、ソフトウェアによる情報処理が、ハードウェア資源を用いて具体的に実現されたものとは認められない。 3 むすび 以上のとおりであるから、本願補正発明は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」とはいえず、特許法第2条第1項に定義された「発明」に該当せず、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしておらず、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成16年7月21日付けの手続補正は上記のように却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成16年4月13日付けの手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 『【請求項1】 一般需要者端末、業界関係者端末又はアーティスト端末からのアクセス情報が情報伝送網を介してアート情報統合処理サーバに与えられたとき、上記アート情報統合処理サーバは、上記情報伝送網を介して上記一般需要者端末、上記業界関係者端末又はアーティスト端末にアクセス入力画面情報を伝送することにより上記一般需要者端末、上記業界関係者端末又は上記アーティスト端末のディスプレイにアクセス入力画面を表示させると共に、上記アクセス入力画面を用いて上記一般需要者端末、上記業界関係者端末、又は上記アーティスト端末から入力される入力情報に応じたアート情報を交信するアート情報統合システムであって、 上記アート情報統合処理サーバは、 上記情報伝送網を介してアーティスト検索要求が発信されたとき、条件検索要求又は名前検索要求に対応するアーティストを選択して詳細情報を提示し、 上記条件検索要求又は名前検索要求の発信者が業界関係者であるか否かを確認して業界関係者であるとき、上記業界関係者端末又は上記アーティスト端末との間で上記選択されたアーティストに仕事の依頼をさせるか否かの処理を実行し、又は当該選択されたアーティストの作品プロフィールを確認させる処理を実行し、 若しくは、上記条件検索要求又は名前検索要求の発信者が業界関係者ではないとき、発信して来た上記一般需要者端末を上記選択されたアーティストのホームページにリンクする処理を実行する ことを特徴とするアート情報統合システム。』 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、平成16年2月9日付け拒絶理由通知書に記載された理由Aであり、該理由Aは次のとおりのものである。 『A.この出願の下記の請求項に係る発明は、下記の点で特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないので、特許を受けることができない。 記 ・請求項1、2 ・備考 請求項1、2には、アート情報統合システムについて、外見上の動作により発明の特徴部である手段を特定するもの(概括的な機能のみを特定するブラックボックス)であって、そのように外見上動作するために、コンピュータの内部にどのような内容のデータをどのように関係付けて予め格納又は入力により記憶し、当該データをどのようなタイミング、アルゴリズムにより取り出し、加工し、出力するかについて特定するものではないから、当該システムの動作がコンピュータのハードウェア資源を用いて具体的に実現されたソフトウェアによる情報処理であると把握できる程度に具体的に記載されておらず、これらの請求項に係る発明は自然法則を利用した技術的思想の創作である発明には該当しない。』 3 当審の判断 本願発明は、「アート情報を業界関係者と共に広く一般に利用できるように統合して提供し得るアート情報統合システム」(本願明細書段落【0007】)であり、機器等に対する制御又は該制御に伴う処理を具体的に行うものではなく、対象の物理的性質又は技術的性質に基づく情報処理を具体的に行うものでもないことは明らかである。 そして、本願発明の「アート情報統合システム」は実質的にコンピュータ・システムであると認められるので、本願発明は、その実施にソフトウェアを必要とする発明、すなわち、コンピュータ・ソフトウェア関連発明である。 このコンピュータ・ソフトウェア関連発明が、特許法第2条第1項で特許法での「発明」の定義としていうところの「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるのは、発明がそもそもが一定の技術的課題を達成できる具体的なものになっていなければならないことから、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されている場合であり、そのためには、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働した具体的手段によって、使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の情報処理装置又はその動作方法が構築されていることが提示されている必要がある。 そこで、本願発明が、「ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されたもの」であるのか否かについて検討する。 本願発明の「上記アクセス入力画面を用いて上記一般需要者端末、上記業界関係者端末、又は上記アーティスト端末から入力される入力情報に応じたアート情報を交信する」は、「アート情報統合処理サーバ」の行う情報処理を概括的に記載したもので、情報処理を具体的に提示するものではない。 本願発明の「上記情報伝送網を介してアーティスト検索要求が発信されたとき、条件検索要求又は名前検索要求に対応するアーティストを選択して詳細情報を提示し」は、「アート情報統合処理サーバ」の行う情報処理を記載したものであるが、本願発明の他の発明特定事項をあわせみても、どこから選択する「アーティスト」を得るのか提示するものではなく、また、選択した「アーティスト」を基にどのようにして「詳細情報」を得るのか提示するものでもなく、ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか把握されるものではない。 本願発明の「上記条件検索要求又は名前検索要求の発信者が業界関係者であるか否かを確認して」は、「アート情報統合処理サーバ」の行う情報処理を記載したものであるが、本願発明の他の発明特定事項をあわせみても、どのような情報を基にどのようにして「上記条件検索要求又は名前検索要求の発信者が業界関係者であるか否かを確認」するのか提示するものではなく、ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか把握されるものではない。 本願発明の「上記業界関係者端末又は上記アーティスト端末との間で上記選択されたアーティストに仕事の依頼をさせるか否かの処理」は、「アート情報統合処理サーバ」の行う情報処理を記載したものであるが、本願発明の他の発明特定事項をあわせみても、どのような情報を基にどのようにして「上記業界関係者端末又は上記アーティスト端末との間で上記選択されたアーティストに仕事の依頼をさせるか否かの処理」を行うのか提示するものではなく、ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか把握されるものではない。 本願発明の「当該選択されたアーティストの作品プロフィールを確認させる処理」は、「アート情報統合処理サーバ」の行う情報処理を記載したものであるが、本願発明の他の発明特定事項をあわせみても、どこから「当該選択されたアーティストの作品プロフィール」を得るのか提示するものではなく、ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか把握されるものではない。 本願発明の「発信して来た上記一般需要者端末を上記選択されたアーティストのホームページにリンクする処理」は、「アート情報統合処理サーバ」の行う情報処理を記載したものであるが、本願発明の他の発明特定事項をあわせみても、どのようにして「アーティストのホームページ」のURL等の所在先情報を得てリンクするのか提示するものではなく、ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか把握されるものではない。 すなわち、本願補正発明の「アート情報統合処理サーバ」が行う「上記アクセス入力画面を用いて上記一般需要者端末、上記業界関係者端末、又は上記アーティスト端末から入力される入力情報に応じたアート情報を交信する」という情報処理及び「上記情報伝送網を介してアーティスト検索要求が発信されたとき、条件検索要求又は名前検索要求に対応するアーティストを選択して詳細情報を提示し」という情報処理及び「上記条件検索要求又は名前検索要求の発信者が業界関係者であるか否かを確認して」という情報処理及び「上記業界関係者端末又は上記アーティスト端末との間で上記選択されたアーティストに仕事の依頼をさせるか否かの処理」及び「当該選択されたアーティストの作品プロフィールを確認させる処理」及び「発信して来た上記一般需要者端末を上記選択されたアーティストのホームページにリンクする処理」は、ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか提示するものではない。 そして、本願発明の「一般需要者端末、業界関係者端末又はアーティスト端末からのアクセス情報が情報伝送網を介してアート情報統合処理サーバに与えられたとき、上記アート情報統合処理サーバは、上記情報伝送網を介して上記一般需要者端末、上記業界関係者端末又はアーティスト端末にアクセス入力画面情報を伝送することにより上記一般需要者端末、上記業界関係者端末又は上記アーティスト端末のディスプレイにアクセス入力画面を表示させる」という情報処理が、ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか提示するものであるとしても、該情報処理は、「アート情報を業界関係者と共に広く一般に利用できるように統合して提供」するために本願発明が行う情報処理の一部分の処理にしかすぎず、本願発明は、全体として、その目的を達成するための情報処理がハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工をして実現されるのか提示するものではない。 したがって、本願発明は、全体として、ソフトウェアによる情報処理が、ハードウェア資源を用いて具体的に実現されたものとは認められない。 4 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」とはいえず、特許法第2条第1項に定義された「発明」に該当せず、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないので、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-06-19 |
結審通知日 | 2008-06-26 |
審決日 | 2008-07-08 |
出願番号 | 特願2001-357977(P2001-357977) |
審決分類 |
P
1
8・
1-
Z
(G06Q)
P 1 8・ 575- Z (G06Q) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山下 達也 |
特許庁審判長 |
赤穂 隆雄 |
特許庁審判官 |
後藤 彰 山本 穂積 |
発明の名称 | アート情報統合システム |
代理人 | 田辺 恵基 |