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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A23P 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A23P |
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管理番号 | 1183614 |
審判番号 | 不服2007-17711 |
総通号数 | 106 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-10-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-06-25 |
確定日 | 2008-08-06 |
事件の表示 | 平成10年特許願第506964号「長さの短いテーパー付き押し出し調理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 1月29日国際公開、WO98/03088、平成14年 5月14日国内公表、特表2002-514050〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本件に係る出願(以下、「本願」という。)は、1997年7月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1996年7月18日、米国、同1996年11月4日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成19年3月15日付けで拒絶査定がなされ(発送日:平成19年3月27日)、これに対し、同年6月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年7月17日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成19年7月17日付け手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成19年7月17日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] (1)補正後の本願発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりに補正された(以下、「本願補正発明」という。)。 「長さの短い、食用材料を加熱調理する押出器であって、 材料入口と離間した材料出口とを有し、細長い孔を定める内表面を提供する細長い管状円筒と、 前記孔内に位置する細長いらせん状羽根付きスクリュー組み立て体と、 少なくとも500rpmの回転速度で、かつ、調理すべき食用材料を、2?40秒の滞在時間搬送して前記孔を通過するように、前記スクリュー組み立て体を軸周りに回転させて加熱調理する手段と、 前記材料出口を横切って配置される開口した押し出しダイス型と、を備え、 前記押出器は、6以下のL/D比を有し、 前記孔は、その長さの少なくとも一部分で円錐台形状を成しており、 前記スクリュー組み立て体の外形は、前記円錐台形状を成した前記孔の領域で前記円錐台形状に応じて徐々に変化しており、 前記円錐台形状を成した前記孔の領域の内表面には、その長さにわたって一連の離隔したらせん状リブ部分を有する押出器。」 上記補正は、本件補正前の請求項1の「孔」について、「前記孔は、その長さの少なくとも一部分で円錐台形状を成しており、前記スクリュー組み立て体の外形は、前記円錐台形状を成した前記孔の領域で前記円錐台形状に応じて徐々に変化しており、前記円錐台形状を成した前記孔の領域の内表面には、その長さにわたって一連の離隔したらせん状リブ部分を有する」との限定を付加するものであって、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号にいう特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本願補正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項に適合するか)について検討する。 (2)刊行物 (2-1)原査定の拒絶の理由(平成18年4月11日付け拒絶理由通知書)に示された特公平1-29531号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ア.「本発明はうどん、そば等の製麺機に使用される押出スクリユー装置に関するものである。」(第1頁第2欄第10、11行) イ.「〔発明が解決しようとする問題点〕 しかしながら、うどんの原料のようにダンゴ状になりやすいものでは、ホツパーから投入してもスクリユー羽根に引つ掛からず、空回りしてダイス側に送られない問題があつた。 本発明の目的は、うどんの原料のようなダンゴ状になるもので供給側(ホツパー側)で空回りするおそれがなく確実にダイス側に送ることが出来る押出スクリユー装置を提供することである。」(第2頁第3欄第9?17行) ウ.「押出スクリユー装置2はカバー部材4内に回転可能に装備されたスクリユー軸5(第3図参照)と該スクリユー軸5を回転駆動する駆動部6とから構成され、カバー部材4の一端部側に着脱自在に設けた供給ホツパー装置3のホツパー8から投入されたそば、うどん等の原料をスクリユー軸5によりカバー部材4の他端部に設けたダイス9(第3図参照)側に送り該ダイス9から押し出す。 スクリユー軸5は、この実施例の場合、その軸線に沿つて一定に形成されている。そして、スクリユー羽根7は、第3図でみて右側から順次、供給部分7a(第3図の右側部分で、ホツパー8の下に位置する部分)と、中間部分7bと、押出部分7c(第3図の左側部分で、ダイス9側に位置する部分)の三つの部分に区分されている。そして、第7図から明らかなように、供給部分7aでのスクリユー羽根7の高さt(スクリユー軸5の外周面からスクリユー羽根7の羽根先までの距離)及びピツチpは、押出部分7cでのスクリユー羽根7の高さ及びピツチよりも小さく設定されている。尚、供給部分7a及び押出部分7c夫々でのスクリユー羽根の高さ及びピツチは、一定となつている。また、中間部分7bでのスクリユー羽根7の高さ及びピツチは、供給部分7aから押出部分7cに向かつて徐々に小さくなるように設定されている。 スクリユー装置から押し出される原料の量はカバー部材4の押出部分7c側の内径(副カバー部11の他端部の内径)の2乗に比例するもので、スクリユー羽根7はこれに合わせて寸法が設定されており、例えばこの直径が35mmのときには、供給部分7aでは高さtが19mm?11mm、ピツチpが62mm?70mmに設定され、また中間部分7bでは高さtが8mm?4mm、ピツチpが42mm?36mmに設定され、また押出部分7cでは高さtが2.0mm、ピツチpが30mmに設定されている。 カバー部材4は主カバー部10と副カバー部11とから構成され、主カバー部10にホツパー8が着脱自在に設けられている。 主カバー部10は供給部分7aの一部を囲繞してグリスニツプル12に固定されており、その開口端部の雌ネジ部10aに副カバー部11の一端部に設けた雄ネジ部11aが螺合して連結されている(第3図参照)。 副カバー部11はスクリユー羽根7との間の隙間gが一定となるようにスクリユー羽根7の高さに合わせて形成されていて、供給部分7aと中間部分7bと押出部分7cを囲繞している。副カバー部11の他端開口部にはダイス9が着脱可能に嵌挿されていると共に、該ダイス9が抜け出るのを防止するキヤツプ13が螺合されている。」(第2頁第4欄第24行?第3頁第5欄第30行) エ.「このように構成することにより、ホツパー8から投入されたそば、うどん等の原料は空回りすることなくスクリユー羽根7に引つ掛けられて中間部分7bに送られ、該中間部分7bで適度に圧縮されつつ押出部分7cに送られて、ダイス9から押し出される。押出部分7cでは高さt、ピツチpが一定になつているため、原料が必要以上に圧縮されずにすむ。 また、ダイス9はキヤツプ13を外すことにより容易に交換することが出来、またダイス9の交換により数種類の麺(うどん、そば)を製麺することが出来る。」(第3頁第5欄第38行?同第6欄第5行) オ.「また、押出部分でのスクリユー羽根の高さ及びピツチが一定となつていることから、この押出部分で所望の原料の混練効果が最終的に得られるばかりでなく、押出部分内での混練された原料に加わる圧力を一定に出来るばかりでなく、混練された原料の過熱を阻止して、押出部から押し出すことが可能となる。従つて、押出部から押し出されて製麺されたうどんやそばは、適度な柔らかさ及び粘りけを保つことから、麺の1本当りの長さを十分に長く確保できるばかりでなく、十分な弾力性をも有したものとなる。即ち、本発明の押出スクリユー装置によれば、いわゆる腰の有る麺を得ることが出来、特に、生麺の製造に好適したものとなる。」(第4頁第7欄第14行?同第8欄第6行) カ.第3図には、略細長い管状円筒からなり、材料入口と、該材料入口と離間した材料出口とが形成され、内表面に細長い孔を定めたカバー部材14について示されている。 上記記載事項及び図面の記載内容からみて、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1記載の発明」という。)が記載されている。 「そば、うどん等の原料を混練し、過熱を阻止して製麺する押出スクリュー装置2であって、 略細長い管状円筒からなり、材料入口と、該材料入口と離間した材料出口とが形成され、内表面に細長い孔を定めたカバー部材14と、 カバー部材内4に装備されたスクリュー羽根7付きスクリュー軸5と、 カバー部材4の他端部に設けたダイス9と、を備え、 中間部分7bでのスクリユー羽根7の高さは、供給部分7aから押出部分7cに向かつて徐々に小さくなるように設定され、 副カバー部11はスクリユー羽根7との間の隙間gが一定となるようにスクリユー羽根7の高さに合わせて形成されていて、中間部分7bを囲繞している押出スクリュー装置。」 (2-2)同じく特開昭54-32572号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ア.「本発明は、このような従来の欠点を除去し、大きな押出量を達成することのできる高速メルト押出機を得ることを、その目的とするものである。 本発明は、この目的を達成するために、シリンダ口径90?600mmのメルト押出機において、スクリュのL/Dを3?7のように短くすると共にシリンダ口径380mmを基準とした時、この場合におけるスクリュ回転数を160?400rpmに、また、スクリュメータリング部みぞ深さを36?80mmとし、このように、スクリュ回転数並びにそのメータリング部のみぞ深さを従来のメルト押出機に比べて著しく大きく設定したことを特徴とするものである。」(第2頁右上欄第5?18行) イ.「第1図において、溶融(メルト)状態にされているゴム又はプラスチック等の原材料は、ホッパ1から押出機のシリンダ2内に供給されるが、この場合、シリンダ2の口径は、380mmを基準とし、90?600mmの範囲内に選択するものとする。また、シリンダ2の内部には、基準口径の場合に160?400rpmの速度で回転するスクリュ3があり、これは供給部3-1、圧縮部3-2及びメータリング部3-3から構成されており、ホッパ1から高速回転しているスクリュ3の供給部3-1に供給された原材料は、圧縮部3-2を経由して、メータリング部3-3に入り、圧縮計量された後、ダイス4を通過して押出成形されるようになっている。なお、本発明においては、スクリュ3の長さをL/D3?7のように非常に短く選定すると共にメータリング部3-3のみぞの深さを、基準口径の場合に36?80mmのように深くするものとし、これによって、本発明においては、スクリュ3を160?400rpmのように高速回転させるにもかかわらず、樹脂のせん断熱の発生による昇温や物性の低下を有効に抑えることができるようにしてある。」(第2頁左下欄第3?同右下欄第5行) ウ.表には、本発明押出機のスクリュ回転数Nを650rpmとしたことが記載されている。 上記記載事項及び図面の記載内容からみて、刊行物2には、次の発明(以下、「刊行物2記載の発明」という。)が記載されている。 「長さが短く、3?7のL/D比を有する押出機。」 (2-3)今回新たに提示する特開昭56-68400号公報(以下、「刊行物3」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ア.「本発明は、でん粉含有材料、たとえば、トウモロコシ、オオムギ、コムギ、コメおよびミロを、連続的または半連続的基準で、処理して、加熱処理およびゲル化し、加熱処理した穀粒を酵素による糖類への転化に適当とする装置および方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、かなり過剰の水を有する穀粒スラリーを取り扱うように設計された特別な形状の押出がまを使用し、同時に穀粒の加熱処理およびゲル化に適切な温度、圧力および機械的剪断の条件を押出機内に確立する、このような方法および装置に関する。」(第2頁左下欄第13行?同右下欄第3行) イ.「運搬手段16は、好ましくは細長いパイプ30の形であり、ホッパー28の底部と押出機14の側壁との間を延びる。パイプ30は各側壁と連絡し、その内部に供給オーガー32を配置して、穀粒-水スラリーをホッパー28から押出機14へ積極的に供給する。 押出機14の内部構造は、完全に詳しく後述する。しかしながら、現在の説明の目的に対して、押出機は管状の細長い多数の区画のバレル34を、このバレル内に配置された細長い多数の区画のらせんオーガー・スクリュー36と一緒に、含むことを理解することで十分である。第3図に最もよく見ることができるように、オーガーは入口38をもつ形状であり、そして押出ダイ42を備える出口端40を有する。普通の動力手段44は、動作的にスクリュー36と連結し、後者を軸方向に回転する。」(第4頁左上欄第11行?同右上欄第7行) ウ.「さらに詳しくは、押出機14は、前述のように、複数の細長い、管状の、端対端で相互連結した区画から構成されたバレル34を含む。各区画は内向きに延びる、好ましくはらせんに配向した、ねじ山をその内壁上に含む。ヘッドまたは区画118の出口端は、それを貫通する一般に円錐台形の孔120を形成し、そして同様にらせんねじ山122を有する。」(第5頁左上欄第9?16行) 上記記載事項及び図面の記載内容からみて、刊行物3には、次の発明(以下、「刊行物3記載の発明」という。)が記載されている。 「区画118を貫通して形成した円錐台形の孔120の内表面には、らせんねじ山122を有する押出機。」 (3)対比 本願補正発明と刊行物1記載の発明を対比する。 刊行物1記載の発明の「そば、うどん等の原料」は、本願補正発明の「食用材料」に相当し、以下、同様に、「製麺する」は「調理する」に、「押出スクリュー装置2」は「押出器」に、「カバー部材14」は「細長い管状円筒」に、「スクリュー羽根7付きスクリュー軸5」は「らせん状羽根付きスクリュー組み立て体」に、「ダイス9」は「押し出しダイス型」に、「中間部分7bでのスクリユー羽根7の高さは、供給部分7aから押出部分7cに向かつて徐々に小さくなるように設定され」は「スクリュー組み立て体の外形は、円錐台形状を成した孔の領域で円錐台形状に応じて徐々に変化しており」に、「副カバー部11はスクリユー羽根7との間の隙間gが一定となるようにスクリユー羽根7の高さに合わせて形成されていて、中間部分7bを囲繞し」は「孔は、その長さの少なくとも一部分で円錐台形状を成し」に、それぞれ、相当する。 したがって、上記両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「食用材料を調理する押出器であって、 材料入口と離間した材料出口とを有し、細長い孔を定める内表面を提供する細長い管状円筒と、 前記孔内に位置する細長いらせん状羽根付きスクリュー組み立て体と、 前記材料出口を横切って配置される開口した押し出しダイス型と、を備え、 前記孔は、その長さの少なくとも一部分で円錐台形状を成しており、 前記スクリュー組み立て体の外形は、前記円錐台形状を成した前記孔の領域で前記円錐台形状に応じて徐々に変化する押出器。」 [相違点1] 本願補正発明が、6以下のL/D比を有し、長さが短いのに対し、刊行物1記載の発明は、この発明特定事項を備えるか否か不明である点。 [相違点2] 本願補正発明が、少なくとも500rpmの回転速度で、かつ、調理すべき食用材料を、2?40秒の滞在時間搬送して前記孔を通過するように、前記スクリュー組み立て体を軸周りに回転させて加熱調理する手段を備えるのに体し、刊行物1記載の発明は、この発明特定事項を有するか否か不明である点。 [相違点3] 本願補正発明が、円錐台形状を成した孔の領域の内表面には、その長さにわたって一連の離隔したらせん状リブ部分を有するのに対して、刊行物1記載の発明は、この発明特定事項を有していない点。 (4)当審の判断 以下、上記相違点1?3について検討する。 (4-1)相違点1について 刊行物2記載の発明と本願補正発明とを対比する。 刊行物2記載の発明の「3?7のL/D比を有する」、「押出機」は、それぞれ、本願補正発明の「6以下のL/D比を有し」、「押出器」に相当する。 したがって、刊行物2記載の発明は、「長さが短く、6以下のL/D比を有する押出機。」と言い換えることができる。 即ち、刊行物2には、上記相違点1に係る事項が記載されている。 本願補正発明の、「装置を小型化(長さを身く)し、装置自体のコストを低減させる。」という課題は、押出器に限らず、あらゆる装置についていえる一般的な課題、つまり、装置の機械設計を考える場合における自明な課題にすぎない。 そして、刊行物1記載の発明の押出器を機械設計するに当たり、この課題を解決するために、刊行物2記載の発明に倣って、押出器のL/D比を6以下にすることは、当業者が容易になし得たことである。 (4-2)相違点2について 食用材料を、スクリュー組立体を軸回りに回転させることにより、加熱調理する手段を備えた押出器は、本願出願前広く行われている技術である(必要ならば、例えば、特開昭7-170930号公報、特開平6-90741号公報参照のこと。) 該周知の食用材料用押出器において、スクリュー組立体を軸回りに回転させる回転速度、及び、食用材料の押出器内での滞在時間をどのような値とするのかは、食用材料の種類及び状態、押出器の形状及び材質、混練の程度、調理条件等の諸条件を総合勘案して、当業者が決定することである。 そして、本願補正発明において、食用材料の種類及び状態、押出器の形状及び材質、混練の程度、調理条件等の諸条件が十分特定されないまま、回転速度を500rpmとし、滞在時間を2?40秒としたことに、臨界的な意義を確認することはできない。 したがって、刊行物1記載の発明において、上記相違点2に係る本願補正発明の構成を採用することには、当業者にとっての格別の創意工夫が見いだせない。 (4-3)相違点3について 刊行物3記載の発明と本願補正発明とを対比する。 刊行物3記載の発明の「貫通して形成した円錐台形の孔120」、「らせんねじ山122」は、それぞれ、本願補正発明の「円錐台形状を成した孔の領域」、「その長さにわたって一連の離隔したらせん状リブ部分」に相当する。 したがって、刊行物3記載の発明は、「区画118に、円錐台形状を成した孔の領域の内周面にその長さにわたって一連の離隔したらせん状リブ部分を有する押出機。」と言い換えることができる。 即ち、刊行物3には、上記相違点3に係る事項が記載されている。 そして、刊行物1記載の発明及び刊行物3記載の発明は、共に食用材料を加熱調理する押出器という共通の技術分野に属するものである。 ゆえに、刊行物3記載の発明を刊行物1記載の発明に適用することは、当業者が容易になし得たことと認められる。 また、本願補正発明の奏する効果は、刊行物1乃至3記載の発明及び周知技術から、当業者が予測できた範囲内のものである。 よって、本願補正発明は、刊行物1乃至3記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび 以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に違反するものであり、平成18年改正前特許法第159条第1項の規定で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について (1)本願発明 平成19年7月17日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成18年10月18日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「長さの短い、食用材料を加熱調理する押出器であって、 材料入口と離間した材料出口とを有し、細長い孔を定める内表面を提供する細長い管状円筒と、 前記孔内に位置する細長いらせん状羽根付きスクリュー組み立て体と、 少なくとも500rpmの回転速度で、かつ、調理すべき食用材料を、2?40秒の滞在時間搬送して前記孔を通過するように、前記スクリュー組み立て体を軸周りに回転させて加熱調理する手段と、 前記材料出口を横切って配置される開口した押し出しダイス型と、を備え、 前記押出器は、6以下のL/D比を有る押出器。」 (2)刊行物 原査定の拒絶の理由に引用した刊行物1、2、刊行物1、2の記載事項、及び、刊行物1、2記載の発明は、前記「2.[理由](2)刊行物」に記載したとおりである。 (3)対比・判断 本願発明と刊行物1記載の発明とを対比する。 本願発明は、前記「2.[理由]」で検討した本願補正発明を特定するために必要な事項である「孔」についての「前記孔は、その長さの少なくとも一部分で円錐台形状を成しており、前記スクリュー組み立て体の外形は、前記円錐台形状を成した前記孔の領域で前記円錐台形状に応じて徐々に変化しており、前記円錐台形状を成した前記孔の領域の内表面には、その長さにわたって一連の離隔したらせん状リブ部分を有する」の限定を省いたものである。 本願発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、結局、両者の相違点は、前記「2.[理由](3)」の相違点1、2のみであり、また、相違点1、2についての判断は、前記「2.[理由](4)」に記載したとおりである。 したがって、本願発明は、刊行物1、2記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、刊行物1、2記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願のその他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-03-05 |
結審通知日 | 2008-03-11 |
審決日 | 2008-03-26 |
出願番号 | 特願平10-506964 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A23P)
P 1 8・ 575- Z (A23P) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 杉山 豊博 |
特許庁審判長 |
新海 岳 |
特許庁審判官 |
長崎 洋一 今井 義男 |
発明の名称 | 長さの短いテーパー付き押し出し調理装置 |
代理人 | 三和 晴子 |
代理人 | 渡辺 望稔 |