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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01M
管理番号 1183688
審判番号 不服2006-22755  
総通号数 106 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-10-06 
確定日 2008-08-28 
事件の表示 平成 9年特許願第164344号「タイヤユニフォミティ測定修正装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 1月22日出願公開、特開平11- 14490〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成9年6月20日の出願であって、その請求項1及び2に係る発明は、平成18年4月4日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1及び、願書に最初に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定されるとおりのものであり、請求項1に係る発明は以下のとおりのものと認める。
「 タイヤを移送する左右平行な2ラインの移送コンベアと、
同左右移送コンベアの互いに対向する途中個所にそれぞれ設けられ上下のリムによってタイヤを支持し回転駆動するリム軸と、
前記左右のリム軸間に配設され左右方向に移動して前記一方のリム軸に支持されたタイヤに押しつけ共に回転しながら負荷状態を検知する回転ドラムと、
前記左右の移送コンベアのそれぞれに各移送コンベアを挟んで前記回転ドラムと反対側に設けられたグラインダー機構と、
前記回転ドラムによるユニフォミティ測定と前記グラインダー機構によるユニフォミティ修正とを制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、一方のリム軸に支持されたタイヤのユニフォミティ修正を行っているときは、他方のリム軸に支持されたタイヤのユニフォミティ測定を行うとともに、
ユニフォミティ測定の結果、ユニフォミティ修正が不要と判断したときに、次のタイヤのユニフォミティ測定の準備に入ることを特徴とするタイヤユニフォミティ測定修正装置。」(以下「本願発明」という。)

2.引用刊行物記載の発明
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前である昭和55年10月17日に頒布された実公昭55-44194号公報(以下「引用例1」という。)には、
「 まず、第1図に示すタイヤ均整度検査修正装置の全体の構成を説明すると、列設したローラ1からなるタイヤ搬送用コンベヤ2の中央部に被検査タイヤ(a)が落下しない程度の貫通部3を設け、該貫通部3の下方と上方に相対して駆動軸4と進退軸5を配設し、両軸4,5の先端にタイヤ(a)の対称的内周縁に適合するリム6,7を着脱自在に取り付けている。上記駆動軸4は一定高さに保持した状態でモータ(図示せず)により回転するようにする一方、進退軸5は上位に設置した油圧又は空圧シリンダ機構(図示せず)により昇降するようにし、コンベヤ2により搬送されてタイヤ(a)が貫通部3の上部に達したときにコンベヤ2の側方に設けた押圧腕19によりタイヤ(a)を上記両リム6,7の軸心と略一致させ、シリンダ機構により進退軸5を下降させ、先端のリム7でタイヤ(a)を押し下げ駆動軸4のリム6とによりタイヤ(a)を気密的に挾持し、この状態で、圧力空気をタイヤ(a)内に導入したままタイヤ(a)を回転させるようにしている。該タイヤ(a)の均整度検査及び必要に応じて修正を行うため、第2図に示す如く、タイヤ挾持位置の一側方にロードセル11を附設したロードホイール12を配置し、ロードホイール12をタイヤ(a)に圧接させ、タイヤ(a)の回転によりタイヤ(a)の反力を全周側に亘り検出し均整度を判断するようにする一方、他側方にグラインダ修正機構13を配置し、必要に応じてタイヤ(a)を修正するようにしている。尚、上記グラインダ修正機構13において、14は上側グラインダ、15は下側グラインダ、16は上記両側グラインダの回転用モータ、17はグラインダ位置制御用サーボシリンダ、18はサーボ弁であり、該グラインダ修正機構13はロードホイール等からなる均整度検査装置の検査結果により、第2図に示す周知の回路を経て作動され、タイヤ(a)を修正する。」(第3欄第21行?第4欄第11行)
との記載が認められる。これらの記載によれば、引用例1には、
「タイヤ搬送用コンベヤ2と、タイヤ搬送用コンベヤ2の中央部に配設される、先端にタイヤ(a)に適合してタイヤ(a)を挾持し回転させるリム6,7を取り付けている駆動軸4と進退軸5と、タイヤ挾持位置の一側方に配置され、タイヤ(a)に圧接させ均整度を判断するロードホイール12と、他側方に配置され、ロードホイール等からなる均整度検査装置の検査結果により、必要に応じてタイヤ(a)を修正するグラインダ修正機構13を備えた、タイヤ均整度検査修正装置。」(以下「引用例1発明」という。)
が開示されていると認めることができる。

(2)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前である昭和63年3月26日に頒布された特開昭63-67542号公報(以下「引用例2」という。)には、
「 従来の技術 従来のユニフォミテイ測定装置は荷重ドラムだけを共用しタイヤ搬入コンベヤからタイヤ取付、測定、取外し、取出コンベヤまでの全ての付帯機構を2組備えた装置である。」(第1頁右下欄第1?5行)
「 問題点を解決するための手段 このような問題点はタイヤの回転手段のみを2組設け、その他のタイヤ搬入コンベヤ、取付、測定、取外し、取出コンベヤなどの手段は全て1組を備え、2組のタイヤ回転手段のそれぞれは旋回中心から等距離の対象位置とし、一方がタイヤ取付、取外し位置にある時に他方が荷重ドラム側のユニフォミテイ測定位置にあるように配置し、2組のタイヤ回転手段の配置を互に所定時間毎に入れ替える旋回手段とを備えたユニフォミテイ測定装置にすることにより解決できる。
作用 2組あるタイヤ回転手段の一方が製品タイヤの取付と取外し工程中にある時に、他方のタイヤ回転手段には別の製品タイヤがユニフォミテイ測定工程中にある。これらの工程は同時に終るように設定されているので工程終了後、旋回手段が働き2組あるタイヤ回転手段が入れ替わることにより取付工程を終ったタイヤがユニフォミテイ測定工程へ、ユニフォミテイ測定工程を終ったタイヤが取外し工程にそれぞれ同時に移ること及びユニフォミテイ測定工程で荷重ドラムは所定位置より片側にのみ移動すればよいことなどにより工程中に無駄な動きがなく能率が向上する。また、2組ある手段はタイヤ回転手段のみであり装置全体の一部分にすぎず小型化されていて安価である。」(第1頁右下欄第16行?第2頁右上欄第1行)
との記載が認められる。これらの記載によれば、引用例2には、従来技術として、
「荷重ドラムだけを共用し、タイヤ搬入コンベヤを2組備えたユニフォミテイ測定装置。」(以下「引用例2第1発明」という。)および、
「タイヤの回転手段のみを2組設け、その他のタイヤ搬入コンベヤ、取付、測定、取外し、取出コンベヤなどの手段は全て1組を備え、2組あるタイヤ回転手段の一方が製品タイヤの取付と取外し工程中にある時に、他方のタイヤ回転手段には別の製品タイヤがユニフォミテイ測定工程中にあることにより能率が向上する、小型化されたユニフォミテイ測定装置。」(以下「引用例2第2発明」という。)
が開示されていると認めることができる。

3.対比
本願発明と引用例1発明とを対比すると、
引用例1発明の「タイヤ搬送用コンベヤ2」は、本願発明の「タイヤを移送する移送コンベア」に、引用例1発明の「タイヤ搬送用コンベヤ2の中央部に配設される、先端にタイヤ(a)に適合してタイヤ(a)を挾持し回転させるリム6,7を取り付けている駆動軸4と進退軸5」は、本願発明の「同移送コンベアの途中個所に設けられ上下のリムによってタイヤを支持し回転駆動するリム軸」に、引用例1発明の「タイヤ挾持位置の一側方に配置され、タイヤ(a)に圧接させ均整度を判断するロードホイール12」は、本願発明の「移動して前記リム軸に支持されたタイヤに押しつけ共に回転しながら負荷状態を検知する回転ドラム」に、引用例1発明の「他側方に配置され、ロードホイール等からなる均整度検査装置の検査結果により、必要に応じてタイヤ(a)を修正するグラインダ修正機構13」は、本願発明の「前記移送コンベアに移送コンベアを挟んで前記回転ドラムと反対側に設けられたグラインダー機構」に、それぞれ相当する。また、引用例1発明は、「均整度検査装置の検査結果により、必要に応じてタイヤ(a)を修正する」ものであるから「ユニフォミティ測定」の後に「ユニフォミティ修正」を行うものであり、検査又は修正後はタイヤ搬送用コンベヤ2により移送されてくる次のタイヤの検査を行うものであるから、本願発明と同様に「ユニフォミティ測定の結果、ユニフォミティ修正が不要と判断したときに、次のタイヤのユニフォミティ測定の準備に入る」ものである。
したがって、両者は、
「 タイヤを移送する移送コンベアと、
同移送コンベアの途中個所に設けられ上下のリムによってタイヤを支持し回転駆動するリム軸と、
移動して前記リム軸に支持されたタイヤに押しつけ共に回転しながら負荷状態を検知する回転ドラムと、
前記移送コンベアに移送コンベアを挟んで前記回転ドラムと反対側に設けられたグラインダー機構と、
を備え、
ユニフォミティ測定の結果、ユニフォミティ修正が不要と判断したときに、次のタイヤのユニフォミティ測定の準備に入るタイヤユニフォミティ測定修正装置。」である点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]タイヤを移送する移送コンベアを、本願発明では左右平行な2ラインを備えるのに対して引用例1発明では1ラインのみ備えており、このため、回転ドラムが、本願発明では左右方向に移動するのに対して引用例1発明ではタイヤ挾持位置の一側方からタイヤに圧接させる方向に移動しており、また、ユニフォミティ修正とユニフォミティ測定を、本願発明では一方のリム軸に支持されたタイヤのユニフォミティ修正を行っているときは他方のリム軸に支持されたタイヤのユニフォミティ測定を行うのに対して引用例1発明ではタイヤ挾持位置のタイヤ(a)に対してユニフォミティ測定の後にユニフォミティ修正を行うように構成されている点。
[相違点2]本願発明では回転ドラムによるユニフォミティ測定と前記グラインダー機構によるユニフォミティ修正とを制御する制御手段を備えているのに対し、引用例1発明ではこのような制御手段が明示されていない点。

4.判断
[相違点1]
引用例2第1発明に示されるように、タイヤユニフォミティ測定装置において、荷重ドラムだけを共用しタイヤ搬入コンベヤを2組備えることは、本願出願前に当該分野においてすでに知られていたことである。そうすると、引用例1発明において、タイヤ搬送用コンベア2を2組設け、ロードホイール12だけを共用とすることは、当業者が容易に想到しうることである。そして、タイヤ搬送用コンベア2のタイヤ挾持位置の一側方からタイヤに圧接させる方向に移動するロードホイール12を2組のタイヤ搬送用コンベア2で共用するためには、ロードホイール12を2組のタイヤ搬送用コンベアの間に左右のタイヤ搬送用コンベアに対して左右方向に移動させるように配置することは当業者が当然採用する設計的事項である。またユニフォミティ修正はユニフォミティ測定後に行われるものであり、一方のタイヤ搬送用コンベア側でユニフォミティ測定を行う間は他方ではユニフォミティ測定ができないのであるから、一方のタイヤ搬送用コンベアでのユニフォミティ測定が終了した後、他方のユニフォミティ測定を行っている間は、一方では必要であればユニフォミティ修復を行い必要でなければ次の測定の準備を行うようにすることは極めて自然であり、当業者が当然採用することである。そして、引用例2第2発明にも示されるように、2組の構成を用いて別の処理を同時に行うことにより効率を向上させるという効果は一般に認識されているものであり、予想外の格別な効果が生じるとは認められない。

[相違点2]
ライン上で検査を行う際に、制御手段を設けて検査装置を制御することは、周知慣用手段に過ぎない。そして、引用例1発明には制御手段が明示されていないものの、ライン上で検査を行い、検査結果に応じて修正作業などの工程を実施する装置であるから、この工程を実施するために周知の制御手段を設けることは、当業者ならば容易に想到しうることである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1および引用例2に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その他の請求項に係る発明についての判断を示すまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-06-25 
結審通知日 2008-07-01 
審決日 2008-07-14 
出願番号 特願平9-164344
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小山 茂小原 博生  
特許庁審判長 後藤 時男
特許庁審判官 宮澤 浩
秋月 美紀子
発明の名称 タイヤユニフォミティ測定修正装置  
代理人 江原 望  

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