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審判番号(事件番号) データベース 権利
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不服200511006 審決 特許
不服20052730 審決 特許
不服200320282 審決 特許

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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61K
管理番号 1183884
審判番号 不服2004-23946  
総通号数 106 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-11-24 
確定日 2008-09-04 
事件の表示 特願2002-322846「化粧用組成物又は医薬用組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成15年5月14日出願公開、特開2003-137714〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年12月27日(パリ条約による優先権主張、1997年6月9日、(FR)フランス共和国)に出願した特願平9-367826号の一部を平成14年11月6日に新たな出願としたものであって、平成16年8月23日付けで拒絶査定がなされ、同年11月24日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされ、当審において平成19年11月26日付けで拒絶の理由が通知され、これに対して、平成20年2月26日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで明細書の特許請求の範囲を対象とする手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1?17に係る発明は、平成20年2月26日付け手続補正によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?17に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「亜硫酸塩と、クワ抽出物、レモン抽出物、ユキノシタ抽出物、グレープフルーツ抽出物、ブドウ抽出物、黄ごん(oughon)抽出物、及び、これら抽出物の混合物からなる群より選択された植物の抽出物とを含む溶液からなる、チロシナーゼ活性阻害用、又は、皮膚の脱色用化粧剤であって、各植物抽出物の配合量が、前記溶液の全重量の5%以上、30%未満の範囲である化粧剤。」

3.引用例の記載事項
これに対して、当審において平成19年11月26日付けで通知した拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布されたことが明らかな刊行物である、特開平7-25742号公報(以下、「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。

<摘記事項1>
「下記成分(a)、(b)及び(c);
(a)アスコルビン酸の水溶性誘導体、ハイドロキノン誘導体、ピロン誘導体及び胎盤抽出物から選ばれる一種又は二種以上、(b)リョクチャ、カッコン、アロエ、チョウジ、シソ、カンゾウ、ソウハクヒ、オウゴン、カミツレ及びアルテアのそれぞれの抽出物から選ばれる一種又は二種以上、(c)亜硫酸及びその塩、亜硫酸水素及びその塩、チオ硫酸及びその塩、ピロ亜硫酸及びその塩、水溶性ビタミンC誘導体並びに没食子酸及びその塩から選ばれる一種又は二種以上、を含有することを特徴とする美白化粧料。」(【請求項1】)

<摘記事項2>
「従来、美白効果を示す成分としてアスコルビン酸リン酸塩、ハイドロキノン誘導体、胎盤抽出物等を配合した化粧料が知られており、さらに近年、上記美白剤に加え植物抽出物を含有する化粧料が、飛躍的に向上した美白効果と皮膚保護、保湿、細胞賦活等の作用とをもたらすものとして注目されている。
しかし、上記美白剤と植物抽出物とは、化粧料基剤に配合したとき、しばしば淡黄色に着色し、該着色度は経時により増大し、褐色へと変化する。そして、この着色及び変色によって、化粧料の性能及び商品価値は大巾に下落してしまう。
そこで、初期の着色及び経時による変色を低減せしめ、性能劣化のない美白化粧料の開発が望まれていた。
本発明者らは、かかる実情に鑑み鋭意検討した結果、特定の美白剤、植物抽出物及び還元剤を含有してなる美白化粧料が、製造初期の着色を低減せしめ、しかも経時保存による変色を低減し得るものであることを見出し、本発明を完成するに至った。」(段落【0002】?【0005】)

<摘記事項3>
「本発明に使用される還元剤たる成分(c)のうち、・・・・。
成分(c)は、前記成分(a)及び成分(b)の合計量に対し0.01?100%配合されることが好ましく、0.1?10%配合されることが特に好ましい。0.1%未満では着色及び変色防止効果が得られにくく、一方、100%を超えると配合上問題がある。」(段落【0017】?【0018】)

<摘記事項4>
「実施例4?10
表2に組成を示す乳液化粧料を下記製法により得た。
(製法) 油相成分(A)、水相成分(C)を80℃で溶解し、40℃まで冷却した後、水相成分(C)に美白成分(B)を加え溶解する。油相成分(A)に攪拌しながら水相成分(B)+(C)を加え乳化した後、攪拌しながら室温まで戻冷却する。
【表2】

・・・・
*9 アミノアップ化学(株)製,シソエキスNA
*10 一丸ファルコス(株)製,オウゴンエキスパウダー
・・・・
得られた本発明品を前記と同様に試験したところ、いずれも良好な着色及び変色抑制を示した。」(段落【0030】?【0034】)

4.引用例に記載された発明
引用例の表2に記載の実施例9の乳液化粧料は、引用例の請求項1に記載の美白化粧料の実施例であり、亜硫酸ナトリウムを含む水相成分(C)に、美白効果を示す成分であるL-アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩とオウゴン抽出末とを含む美白成分(B)を加えて溶解し、その混合物である水相成分(B)+(C)を、油相成分(A)に加え、製造されたものである(摘記事項1?4を参照)。
したがって、上記水相成分(B)+(C)は、亜硫酸ナトリウムとオウゴン抽出末とL-アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩とを含む溶液であって、美白化粧料の製造に用いられる材料としての剤であると認められる。
また、上記表2の記載より、上記実施例9の乳液化粧料中において、オウゴン抽出末の配合量は5%であり、油相成分(A)の配合量は各成分の配合量の合計である14.5%であるから、水相成分(B)+(C)の配合量は85.5%である。そうすると、溶液である水相成分(B)+(C)中におけるオウゴン抽出末の配合量は約5.8%である。

以上によれば、引用例には、
「亜硫酸ナトリウムと、オウゴン抽出末と、L-アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩とを含む溶液からなる、美白化粧料の製造に用いられる材料としての剤であって、オウゴン抽出末の配合量が、前記溶液の全重量の約5.8%である剤。」
の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

5.対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「亜硫酸ナトリウム」及び「オウゴン抽出末」は、本願発明における「亜硫酸塩」及び「黄ごん(oughon)抽出物」に該当することは明らかであり、引用発明における「オウゴン抽出末の配合量」である「前記溶液の全重量の約5.8%」は、本願発明における「各植物抽出物の配合量」である「前記溶液の全重量の5%以上、30%未満の範囲」に含まれるものである。

してみると、本願発明と引用発明とは、
「亜硫酸塩と、黄ごん(oughon)抽出物である植物の抽出物とを含む溶液からなる剤であって、植物抽出物の配合量が、前記溶液の全重量の約5.8%である剤。」
である点で一致し、以下の3点で一応相違している。

<相違点1>
溶液からなる剤が、本願発明では「化粧剤」であるのに対し、引用発明では「化粧料の製造に用いられる材料としての剤」である点。

<相違点2>
溶液からなる剤の用途が、本願発明では「チロシナーゼ活性阻害用、又は、皮膚の脱色用」であるのに対して、引用発明では「美白化粧料の製造に用いられる」ものである点。

<相違点3>
引用発明の溶液は「L-アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩」を含むものであるのに対して、本願発明の溶液は該成分の配合について特に限定されていない点。

6.判断
上記各相違点について、以下に検討する。

(1)相違点1について
本願明細書の発明の詳細な説明には、「化粧剤」なる用語は全く記載されていないため、その意味が必ずしも明確でないが、請求項17に「請求項1?15のいずれか1項に記載の化粧剤を用いることからなる、化粧組成物の製造方法。」と記載されていることから、本願発明の化粧剤は、化粧組成物の製造に用いられる材料としての剤の態様を含むものと解され、実際、本願明細書中にも、実施例5として、請求項1に規定された条件を全て満たす、以下の特定の組成を有する溶液としての組成物:
亜硫酸ナトリウム 5%
メタ重亜硫酸ナトリウム 5%
ユキノシタ抽出物 25%
ブドウ抽出物 30%
クワ抽出物 5%
黄ごん抽出物 5%
EDTA 0.5%
脱塩水 合計して100%
が記載されており、実施例9?10として、該実施例5の溶液の組成物に、さらに油相成分等を加えて、W/O型又はO/W型乳濁液の化粧料組成物を製造した例が具体的に記載されている。
そうすると、本願発明における「化粧剤」は、「化粧組成物の製造に用いられる材料としての剤」を包含するものであるから、引用発明における「溶液からなる化粧料の製造に用いられる材料としての剤」も、該「化粧剤」に相当するものであるので、上記相違点1は、実質的な相違点ではない。

(2)相違点2について
引用発明における溶液は、美白化粧料の製造に用いられる材料としての剤であるが、美白効果を示す成分であるL-アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩とオウゴン抽出末を含んでいるから、この溶液自体も美白効果を有するものであるといえる。なお、オウゴン抽出末が美白効果を示すことは、本願優先日前に当業者に周知である(必要ならば、特開平6-107532号公報、特開平2-36113号公報、及び特開昭63-253013号公報を参照)。
そして、美白とは、チロシナーゼ活性の阻害等に基づいて、皮膚におけるメラニン色素の生成を抑制し、シミ・ソバカス等を防ぎ、皮膚を白くする、即ち、脱色することであるから、皮膚の脱色に相当するものである(必要であれば、日本化粧品技術者会編,「最新化粧品科学-改訂増補II-」,平成4年7月10日発行,薬事日報社,第439頁,「5・2・4 ビタミンC(Ascorbic acid)」の項、及び、杉浦衛外編,「最新香粧品科学」,昭和59年5月25日発行,廣川書店,第282頁,「2.8.4 美白剤」の項を参照)。
そうしてみると、引用発明における溶液からなる剤の用途は、本願発明における溶液からなる化粧剤の用途である「皮膚の脱色用」とは区別し得ないから、上記相違点2も、実質的な相違点ではない。
なお、請求人は、平成20年2月26日付け意見書において、亜硫酸塩がチロシナーゼ阻害作用や皮膚の脱色作用を有することは、引用例には開示も示唆もされていない旨を主張しているが、本願請求項1においては、「チロシナーゼ活性阻害用、又は、皮膚の脱色用」なる用途は、あくまでも「溶液からなる化粧剤」の用途として規定されているので、上記のとおり、この点においては、本願発明と引用発明との間に差異はなく、請求人の上記主張は採用できない。

(3)相違点3について
本願発明は、溶液からなる化粧剤が、亜硫酸塩と特定の群より選択された植物の抽出物以外に、如何なる成分を含むのか何ら特定されていないため、L-アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩を含むことについても、特に排除されてはいないものと認められるから、上記相違点3も、実質的な相違点ではない。
なお、分割出願である本願のもとの出願(特願平9-367826号、以下、「原出願」という。)の審査の過程において、同じ引用例が引用された特許法第29条第1項第3号及び同条第2項の拒絶の理由が通知され、これに対して、本件請求人である原出願の出願人は、平成14年2月20日付けで「アスコルビン酸の水溶性誘導体、・・・・・を含有しないことを特徴とする」という限定を加える特許請求の範囲の補正を行い、同日付けの意見書において、当該補正について、「これは、新規性に係る先行技術である文献1(特開平7-25742号公報(合議体注:引用例と同じ文献である))・・・・・に記載された事項のみを、請求項1に記載した事項から除外することを明示したものであります。」と主張し、その後に本願が分割出願されたという経緯からみても、本願発明における溶液が、引用発明におけるL-アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩を含むことを除外することは意図されていないことは明らかである。

したがって、上記相違点1?3は、いずれも実質的な相違点ではなく、本願発明と引用発明とは、発明特定事項において何ら差異はない。

7.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、その他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-03-28 
結審通知日 2008-04-01 
審決日 2008-04-15 
出願番号 特願2002-322846(P2002-322846)
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大宅 郁治  
特許庁審判長 塚中 哲雄
特許庁審判官 谷口 博
井上 典之
発明の名称 化粧用組成物又は医薬用組成物  
代理人 安富 康男  
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