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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C02F
管理番号 1183968
審判番号 不服2006-19601  
総通号数 106 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-09-05 
確定日 2008-09-04 
事件の表示 特願2004- 16438「活水器」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 8月 4日出願公開、特開2005-205352〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は平成16年1月26日の出願であって、平成18年1月25日付けで拒絶理由が通知され(発送日は平成18年1月27日)、平成18年3月27日付けで意見書・手続補正書が提出され、平成18年8月3日付けで拒絶査定され(発送日は平成18年8月7日)、その後、平成18年9月5日に審判請求がなされたものであって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は平成18年3月27日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

【請求項1】
その両端に入水口側キャップ部および出水口側キャップ部が設けられる筒状本体と、
該ケース本体内に配置されたネット仕切板間に空隙を持って収納されるマイナスイオン放射セラミックスおよび遠赤外線放射セラミックス並びに麦飯石セラミックスと、
前記出水口側キャップ部に取り付けられるセラミックス防出ネットと、
前記入水口側キャップ部に設けられるジェットノズルを備えるとともに、前記ケース本体の内径が、前記入水口側キャップ部に接続される給水管の内径の3倍以下とされる
ことを特徴とする活水器。

2.引用文献
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前である平成5年1月19日に頒布された実願平3-12570号(実開平5-2792号)のCD-ROM(以下、「引用文献1」という。)には、「水の浄化を行う浄化材を収納する浄化器」の実施例に関し、以下の事項が記載されている。

(1)「浄化器本体10の円筒状の一端には前記吸入管5が連結し、円筒状の他端には吐出管8が連結している。浄化器本体10の円筒状の内径は吸入管5や吐出管8の内径より充分に大きくなっている。浄化器本体10の吸入管5との連絡口側には、多数の噴水孔11を形成した略半球面状の格子板12が浄化器本体10の内部に向けて突出するように一体に形成される。この格子板12によって、浄化器本体10の入り口側に前記吸入管5と連絡する略半球状の室13が形成され、この室13内に送り込まれた水は噴水孔11を通って浄化器本体10の内部に噴射される。この噴水孔11の直径は、この噴水孔11を出る水がジェット流となるような大きさに設定される。浄化器本体10の上流側に循環ポンプ4を配置することによって、噴水孔11を出る水がジェット流を効率よく発生させることができる。」(【0008】)
(2)「浄化器本体10の内部には浄化材14が多数個収納される。浄化器本体10の内部において吐出管8との連絡口付近には、複数の貫通孔15を有する蓋体16が設けられる。この蓋体16は浄化材14が浄化器本体10から吐出管8へ流れ出るのを防ぐものであり、貫通孔15は浄化器本体10を経由する水が吐出管8へ流れるようにするものである。」(【0008】)
(3)「浄化材14の材質としては、水のミネラル分の溶出機能、界面活性化機能および制菌機能等を有する麦飯石等の天然石やセラミックス(遠赤外線セラミックス)や電気石等が採用される。」(【0009】)
(4)「次に、本実施例の作用について説明する。・・・・・・循環ポンプ4の働きで吸入管5から浄化器本体10の室13内に送り出された水は、複数の噴水孔11から浄化器本体10の内部の循環水の流れの断面に対しほぼ均一に噴射される。浄化器本体10の内部に噴射された水はジェット流となって、浄化器本体10内に多数個存在する浄化材14に衝突する。このジェット流が浄化材14に衝突することによって浄化材14は動かされ、隣接する浄化材14同士が衝突したり摩擦接触したりする。
浄化材14の表面には、その長期間使用によって生じた水垢等の汚れ物質や細菌類の繁殖による寒天状の膜が付着する。しかしながら、隣接する浄化材14同士がジェット流により衝突したり摩擦接触することで、浄化材14の表面に付着している汚れ物質や膜がこすり落とされる。即ち、浄化材14の表面に汚れ物質や膜が付着しない状態に常にセルフクリーニングされる。この際、複数の噴水孔11からほぼ均一に循環水が噴出されるので、浄化材14は偏り無く動かされ、浄化材14は均等にクリーニングされる。この結果、浄化器6内に収納される浄化材14は水のミネラル分の溶出機能、界面活性化機能および制菌機能等を発揮することが出来る。」(【0010】) (5)「浄化材14の浄化器本体10の容積に対する容量の割合は、浄化材14は浄化器本体10の内部でジェット流によって動くことができ、しかも隣接する浄化材14と摩擦接触できるようにするために、70%程度が望ましい。」(【0011】)
(6)「浄化材14は揺動又は回動し易い例えば球状で全体にほぼ均一な大きさの形状のもの」(【0009】)

ここで、上記(1)?(5)の記載事項について検討する。
(あ)上記(1)をみると、「浄化器本体10の円筒状の一端には前記吸入管5が連結し、円筒状の他端には吐出管8が連結している」から、「浄化器本体10」は「筒状の本体」ということができ、また、「両端に吸入管および吐出管が設けられている」といえる。
(い)上記(2)をみると、「浄化器本体10の内部には浄化材14が多数個収納され」ており、また、上記(3)をみると、「浄化材14の材質」として「水のミネラル分の溶出機能、界面活性化機能および制菌機能等を有する麦飯石等の天然石やセラミックス(遠赤外線セラミックス)や電気石等が採用され」ているから、「浄化器本体10の内部には浄化材である麦飯石や遠赤外線セラミックスや電気石の一種以上が多数個収納されている」といえる。
(う)上記(5)をみると、「浄化材14の浄化器本体10の容積に対する容量の割合は、70%程度が望ましい」とされているから、「浄化材14は浄化器本体10内に空隙を持って収納されている」といえる。
(え)上記(2)をみると、「浄化器本体10の内部において吐出管8との連絡口付近には」、「蓋体16」が設けられ、この蓋体16は「複数の貫通孔15を有」し「浄化材14が浄化器本体10から吐出管8へ流れ出るのを防ぐもの」だから、「浄化器本体10内の吐出管8との連絡口付近に浄化材14が浄化器本体10から吐出管8へ流れ出るのを防ぐ複数の貫通孔15を有する蓋体16」が設けられているといえる。
(お)上記(1)をみると、「多数の噴水孔11を形成した略半球面状の格子板12」が「浄化器本体10の吸入管5との連絡口側」に「浄化器本体10の内部に向けて突出するように一体に形成」され、「略半球状の室13が形成」されており、この「室13内に送り込まれた水は噴水孔11を通って浄化器本体10の内部に噴射される」ものであり、この「噴水孔11の直径は、この噴水孔11を出る水がジェット流となるような大きさに設定」されているから、「浄化器本体10の吸入管5との連絡口側にジェット流となる大きさの噴水孔11を形成した略半球面状の格子板12」が「形成され」ているといえる。
(か)上記(1)をみると、「浄化器本体10の円筒状の内径は吸入管5や吐出管8の内径より充分に大きくなっている」から、「筒状の本体の内径は吸入管5の内径より大きい」といえる。

以上より、上記(1)?(5)の記載事項を本願発明の記載ぶりに則して整理すると、引用文献1には、

「その両端に吸入管および吐出管が設けられる筒状の本体と、
該筒状の本体内に空隙を持って収納される浄化材である電気石や遠赤外線放射セラミックスや麦飯石の一種以上と、
前記吐出管との連絡口付近の前記筒状の本体内に取付けられる前記浄化材が前記筒状の本体から前記吐出管へ流れ出るのを防ぐ複数の貫通孔を有する蓋体と、
前記筒状の本体の前記吸入管との連絡口側にジェット流となる大きさの噴水孔を形成した略半球面状の格子板が形成されるとともに、前記筒状の本体の内径が、前記吸入管の内径より大きい浄化器」
の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

3.対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。
(さ)引用発明の「本体」は、浄化材を収納しているから本願発明の「ケース本体」に相当する。また、「その両端に吸入管および吐出管が設けられる筒状の本体」には、引用文献1には明言されていないものの、その「両端」には「吸入管の取付部」および「吐出管の取付部」を有していることは明らかである。一方、本願発明の「入水口側キャップ部」及び「出水口側キャップ部」について、本願明細書には、「ステンレス製より成る筒状のケース本体1の開口部外周面に雄ネジ部2がそれぞれ周設される。そして、この雄ネジ部2に、その内周面に雌ネジ部3が周設される入水口側キャップ部4および出水口側キャップ部5をそれぞれ螺着することでケース本体1の開口端に入水口側キャップ部4および出水口側キャップ部5が装着されることとなる。」(【0020】)、「入水口側キャップ部4の先端開口部6の外周面には雄ネジ部2が周設され、この雄ネジ部2に、その内面に雌ネジ部3が周設された連結用ナット部7が螺着され、更にその内周に雌ネジ部3が周設される水道管接続用ナット部8を入水口側キャップ部4の先端開口部6端との間にパッキン9を介した状態で係着するものである。」(【0023】)、「出水口側キャップ部5の先端開口部6の外周面には雄ネジ部2が周設され、この雄ネジ部2に、その内面に雌ネジ部3が周設された連結用ナット部7が螺着されるものである。・・・・・・連結用ナット部7には、その内周に雌ネジ部3が周設される水道管接続用ナット部8を出水口側キャップ部5の先端開口部6端との間にパッキン9を介した状態で係着するものである。」(【0021】、【0022】)、「本発明の活水器を水道配管に介装すべく水道管17の水の流出側を入水口側キャップ部4の水道管接続用ナット部8に接続し、出水口側キャップ部5の水道管接続用ナット部8には蛇口やボイラーなどの設備側へ配管される水道管17に接続するものである。」(【0028】)
と記載されていることから、
「入水口側キャップ部」には、入水のための「水道管」、すなわち、「給水管」が、また、「出水口側キャップ部」には、出水のための「水道管」が、それぞれ、接続されており、
水道管が接続されている「入水口側キャップ部」及び「出側口側キャップ部」は、それぞれ、「給水管取付部」及び「出水のための水道管取付部」を有しているとみることができる。そして、引用発明の「吸入管」は、本願発明の「給水管」に相当し、「入水口側」にあるといえ、引用発明の「吐出管」は「出水口側」にあるといえる。
そうすると、引用発明の「本体」における両端は、「吸入管の取付部」及び「吐出管の取付部」を有し、それぞれ、本願発明の「入水口側キャップ部」、及び「出水口側キャップ部」を有する点で共通しているといえる。
(し)引用発明の「電気石」及び「麦飯石」は、本願発明の「マイナスイオン放射セラミックス」及び「麦飯石セラミックス」と「水処理材」である点で共通し、引用発明の「遠赤外線セラミックス」は、本願発明の「遠赤外線放射セラミックス」に相当するといえる。
(す)引用発明において「吐出管との連絡口付近の筒状の本体内」とは、「吐出管の近傍の本体内」であるといえ、「吐出管」は「筒状の本体」の「出水口側端部」にあるといえるから、「蓋体」は「筒状の本体出水口側端部近傍」にあるといえる。また、引用発明の「蓋体」は「浄化材が浄化器本体から前記吐出管へ流れ出るのを防ぐ複数の貫通孔を有」しているから、本願発明の「セラミックス防出ネット」と水処理材を「防出するもの」である点で共通している。
(せ)引用発明において「筒状の本体の吸入管との連絡口側」とは「吸入管」の近傍であるといえ、「吸入管」は「筒状の本体」の「入水口側端部」にあるといえるから、「格子板」は「筒状の本体入水口側端部近傍」にあるといえる。また、引用発明の「ジェット流となる大きさの噴水孔を形成した略半球面状の格子板」は、ジェット流が生じるものであるから、本願発明の「ジェットノズル」に相当するといえる。
(そ)引用発明の「吸入管」は「筒状の本体」の「吸入管の取付部」、すなわち、「筒状の本体」の「入水口側端部」に設けられているといえ、本願発明の「前記ケース本体の内径が、前記入水口側キャップ部に接続される給水管の内径の3倍以下」とは、「前記ケース本体の内径が、前記入水口側キャップ部に接続される給水管の内径」よりも大きい場合を含むものである。
(た)引用発明の「浄化器」と、本願発明の「活水器」とは、いずれも、水を処理するものだから、「水処理器」である点で共通するといえる。

以上より、本願発明と引用発明は、共に、
「その両端に給水管取付部および出水口管取付部が設けられる筒状のケース本体と、
該ケース本体内に収納される水処理材や遠赤外線放射セラミックスと、
出水口側に取り付けられる水処理材や遠赤外線放射セラミックスを防出するものと、
入水口側に設けられるジェットノズルを備えるとともに、前記ケース本体の内径が、前記給水管取付部に接続される給水管の内径よりも大きい水処理器」
の発明である点で一致し、以下の点で相違している。

(A)給水管取付部および出水管取付部につき、本願発明が「入水側キャップ部」および「出水側キャップ部」に設けられているのに対し、引用発明ではかかるキャップ部を設けていない点
(B)筒状のケース本体内に収納される水処理材、遠赤外線放射セラミックスにつき、本願発明では、「マイナスイオン放射セラミックスおよび遠赤外線放射セラミックス並びに麦飯石セラミックス」であるのに対し、引用発明では「浄化材である電気石や遠赤外線放射セラミックスや麦飯石の一種以上」である点
(C)筒状のケース本体内に収納される水処理材、遠赤外線放射セラミックスにつき、本願発明では「筒状のケース本体内に配置されたネット仕切板間に空隙を持って収納され」るのに対し、引用発明では空隙を持って収納されるもののネット仕切板間に収納されていない点
(D)水処理材、遠赤外線放射セラミックスを防出するものにつき、本願発明では「出水口側キャップ部に取り付けられるセラミックス防出ネット」であるのに対し、引用発明では「吐出管との連絡口付近の筒状の本体内に取付けられる浄化材が前記筒状の本体から前記吐出管へ流れ出るのを防ぐ複数の貫通孔を有する蓋体」である点
(E)ジェットノズルにつき、本願発明は「入水口側キャップ部」に設けられているのに対し、引用発明では「筒状の本体の吸入管との連絡口側」に設けられている点
(F)筒状のケース本体の内径につき、本願発明は「給水管の内径の3倍以下」であるのに対し、引用発明では「吸入管の内径より大きい」が、その大きさの上限については特定されていない点
(G)本願発明は「活水器」であるのに対し、引用発明は「浄化器」である点

そこで、これら相違点について検討する。
・相違点(A)について
筒状体の端部にキャップ部を設けて、このキャップ部に管取付部を配置することは周知技術(例えば、実願平3-8433号(実開平5-94593号)のCD-ROMを参照)であるから、引用発明において筒状の本体に入水側キャップ部および出水側キャップ部を設け、それぞれに、給水管取付部、出水管取付部を設けることは、単なる周知技術の採用といえ、当業者ならば適宜なしえる事項である。
・相違点(B)について
本願発明の「マイナスイオン放射セラミックス」及び「麦飯石セラミックス」とは、本願明細書の【0016】において、「マイナスイオン放射セラミックスとは、水流による衝撃や互いが衝突し合うことでマイナスイオンを発生するトルマリンなどの電気石を1,200℃の高温で焼成してボール状に形成したもの」及び「麦飯石セラミックスとは、麦飯石を1,050℃の高温で焼成してボール状に形成したもの」と記載がされているから、それぞれ、「電気石」及び「麦飯石」を焼成してボール状に形成したものであるところ、引用発明の「電気石」及び「麦飯石」は、それぞれ、本願発明の「マイナスイオン放射セラミックス」及び「麦飯石セラミックス」の焼成前の原料であって、引用文献の上記(6)の記載事項によれば、球状、すなわち、ボール状に成形したものであるといえるが、これらは焼成したものとは特定されていない。しかし、これらの原料を焼成しボール状に形成し、水処理用として使用することは周知技術(特開2002-66575号公報、特開平11-192479号公報、特開2003-136074号公報、特開平6-320177号公報等を参照)だから、引用発明の浄化材にこの周知技術を採用し、特定の温度で焼成してボール状に形成したものとすることは当業者にとって困難とはいえない。
また、引用発明は「電気石や遠赤外線放射セラミックスや麦飯石の一種以上」を用いるものであるところ、複数種の水処理材を同時に使用することは周知技術(例えば、特開2003-335655号公報を参照)であるから、本願発明のように「マイナスイオン放射セラミックス、遠赤外線放射セラミックス、麦飯石セラミックス」を同時に使用することは当業者にとって困難とはいえない。
・相違点(C)について
上記相違点(B)の検討のところで記載したように、本願発明のように「マイナスイオン放射セラミックス、遠赤外線放射セラミックス、麦飯石セラミックス」を同時に使用することは当業者にとって困難とはいえないものであるところ、複数種の水処理材を充填する際に、本体ケース内にある程度の空隙を有した状態で仕切り板等で区画することは、例えば特開平11-90418号公報、特開2001-58191号公報に記載されているように周知技術であり、引用発明の水処理器において複数種の水処理材を充填するに当たり、この周知技術を採用することは当業者が適宜なし得ることである。
・相違点(D)について
上記(さ)のところで述べたように、本願発明の「出口水側キャップ部」に出水のための水道管が接続されているといえ、この「出水口側キャップ部」に「セラミックス防出ネット」が取り付けられているから、本願発明の「セラミックス防出ネット」は、「出水のための水道管」の近傍に取り付けられているといえる。
一方、引用発明の「蓋体」は、「吐出管との連絡口付近」、すなわち、出水のための「吐出管」の近傍に取り付けられている。上記相違点(A)の検討のところで述べたように、「出水口側キャップ部」を設けることは当業者が適宜なしえるものであるから、「出水口側キャップ部」を設けることにより、「蓋体」を「出水口側キャップ部」に設けることは適宜なしえるものである。また、引用発明の「複数の貫通孔を有する蓋体」と本願発明の「セラミックス防出ネット」は共に、通水性と防出性を有する周知のものであって、当業者が適宜使い分けるものであるから、「複数の貫通孔を有する蓋体」に代えて「セラミックス防出ネット」とすることも困難とはいえない。
・相違点(E)について
引用発明はジェットノズルを「筒状の本体の吸入管との連絡口側」、すなわち、「給水管の取付部」の近傍に設けているといえ、上記相違点(A)の検討のところで述べたように、「入水口側キャップ」を設けることは当業者が適宜なしえるものであるから、「入水口側キャップを設けること」によりこの相違点に係る本願発明の構成事項、すなわち、「ジェットノズルを入水口側キャップ部に設ける」ことは適宜なしえるものである。
・相違点(F)について
本願発明において、「ケース本体の内径が入水口側キャップ部に接続される給水管の内径の3倍以下とされる」ことにより、「ジェットノズル部11より噴出される水流は、ケース本体1の内径断面積に広がりケース本体1内に均一な水流・水圧を生起させ」(本願明細書【0032】)ており、一方、引用発明においても、同じく「ジェット流は循環水の流れの断面においてほぼ均一に噴射されて」(上記(4)を参照)いるから「本体内に均一な水流・水圧を生起させる」ことを意図していることは明らかである。そうすると、引用発明において「本体内に均一な水流・水圧を生起させる」ために、ジェットノズル径や、このノズルから噴射される水量・水圧などに応じて、「本体の内径を吸入管の内径の3倍以下とする」ことは困難とはいえない。
・相違点(G)について
本願発明と引用発明は、共に、同じ原料の水処理材を使って水処理を行っているから、同じ水処理がなされているといえ、引用発明の「浄化器」は本願発明の「活水器」と同じといえ、この相違点は単なる文言上のものである。

なお、審判請求人は平成18年10月6日付け手続補正書において「引用文献1の明細書中段落番号〔0011〕(〔0010〕の誤記と認める)には・・・・・・隣接する浄化材14同士が衝突したり摩擦接触することにより、浄化材14の表面に付着している汚れ物質や膜がこすり落とされる。即ち、浄化材14の表面に汚れ物質や膜が付着しない状態に常にセルフクリーニングされ、この結果、浄化器6内に収納される浄化材14は水のミネラル分の溶出機能、界面活性化機能および制菌機能等を発揮することができるのであります。したがって、本願発明のように浄化材14同士を衝突させることによる摩擦接触によるミネラル分の溶出を行うものではありません。」と主張しているので、この主張について検討する。
出願人の主張は、引用発明は、浄化材同士がセルフクリーニングされた結果ミネラル分の溶出機能を発揮するのであって、浄化材同士を衝突させることによるミネラル分の溶出を行うものではない、というものである。しかし、引用発明において、汚れ物質や膜がセルフクリーニングされた浄化材の部分に、セルフクリーニング後直ちに付着するとはいえず、浄化材のセルフクリーニングされた部分同士が互いに摩擦接触することが頻繁に起こっているといえ、この頻繁に起こっているセルフクリーニングされた部分同士の摩擦接触において、本願発明と同様にミネラル成分の溶出が起こっていることは明らかであるから、審判請求人の上記主張は採用できない。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-07-03 
結審通知日 2008-07-08 
審決日 2008-07-22 
出願番号 特願2004-16438(P2004-16438)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中村 敬子  
特許庁審判長 板橋 一隆
特許庁審判官 森 健一
木村 孔一
発明の名称 活水器  
代理人 有吉 修一朗  
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