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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1183976
審判番号 不服2006-24386  
総通号数 106 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-10-27 
確定日 2008-09-04 
事件の表示 特願2002-165322「モジュール構造体とその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 1月15日出願公開、特開2004- 14746〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
出願 :平成14年 6月 6日
拒絶理由通知 :平成17年10月24日付け
意見書提出 :平成17年11月14日付け
手続補正 :平成17年11月14日付け
拒絶理由通知(最後) :平成18年 8月30日付け
意見書提出 :平成18年 9月19日付け
手続補正 :平成18年 9月19日付け
補正の却下の決定(平成18年9月19日付け手続補正)
:平成18年10月 5日付け
拒絶査定 :平成18年10月 5日付け
審判請求 :平成18年10月27日
手続補正 :平成18年10月27日付け
前置報告 :平成19年 1月10日付け
審尋 :平成19年 6月 7日付け
回答書 :平成19年 6月19日付け
補正の却下の決定(平成18年10月27日付け手続補正)
:平成20年 4月 8日付け
拒絶理由通知 :平成20年 4月 8日付け
意見書提出 :平成20年 4月18日付け

2.本願発明
本願の請求項1?5に係る発明は、平成17年11月14日付け手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定されるものと認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】アルミニウムを主成分とする金属の連続相と炭化珪素の連続相とからなる放熱板の一主面上に、回路を形成する金属板を酸化又は窒化して得られた、或いは、シリコーン樹脂、ポリシラザン、シリカゾルの群から選ばれる1または2以上の無機高分子を酸化、窒化又は熱分解して得られた絶縁層を介して、回路が設けられていることを特徴とする回路基板。」

3.引用刊行物とその主な記載事項
平成20年4月8日付け拒絶理由通知に引用された本願出願前に頒布された刊行物である特開平9-148696号公報(以下、「刊行物1」という。)、及び、特開昭59-199587号公報(以下、「刊行物2」という。)には、次の事項が記載されている。
〔1〕刊行物1:特開平9-148696号公報
〔1a〕「【特許請求の範囲】
【請求項1】 シート状金属基体に電気絶縁層を介して銅薄膜層を設けてなるプリント配線用基板において、電気絶縁層がペルヒドロポリシラザンを加熱することにより形成される二酸化珪素膜であることを特徴とするプリント配線用基板。」

〔1b〕「【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記金属コアプリント配線板に関しては、金属板には直接加工が加えられず該配線板の支持板として使用されるので、この金属板の周囲には別途絶縁層を設けて全体を被覆する必要がある。また金属板は、該配線板の支持だけではなく、熱の放散という熱的要因対策としての機能も果たしている。・・・ここで絶縁層を極めて薄くした金属板が熱の放散等の機能と共に、電気配線基板としての機能も兼ね備えるのであれば、金属コアプリント配線板として極めて有効なものになるといえる。」

〔1c〕「【0009】
【発明の実施の形態】ここでシート状金属基体としては、例えば厚さが20μm?1.0mm程度のステンレス板、銅板、鉄板、アルミニウム板、その他各種合金板、クラッド板等が用いられる。・・・」

〔1d〕「【0020】・・・銅薄膜付き金属基板は、優れた新規なプリント配線用基板として第1の目的を達成するが、実用に際しては、該板に所望の配線パターンを作成する必要がある。この作成方法は、一般的に行われるフォトレジストによる写真製版又は印刷と非回路部分の酸エッチングによる除去との組み合わせによって行われる。得られた回路は、微細で精巧な銅薄膜パターンになるので、このまま実用に供せらるる場合もあるが、しかし、銅薄膜が数1000オングストロームと薄い膜厚範囲では、配線化しても電気抵抗が大きいとか、ハンダ付け工程で欠損が生じる場合が多いので、より安全で確実性の高い回路板にするためにさらに次のような厚膜加工が施されるのが一般的である。つまり、例えば、薄膜の銅回路パターンは下地回路としてさらに該下地回路上に銅メッキを行うか、又は下地回路は作成せずに、まず銅薄膜層の全面に銅メッキした後に、前記の配線形成手段によって、より厚い銅パターンを形成する。」

〔1e〕「【0029】一方、放熱性については、シート状金属体面に二酸化珪素膜が形成されていても、従来の金属コアプリント配線板に使用される金属板自身との間に、実質的差は見られない。これは、例えば、ステンレス板そのものの熱伝導率(約80W/m・K)と二酸化珪素の熱伝導率(約1.5W/m・K)との間に大きな差はないことと、該膜が極めて薄い(0.5μm前後)ということによる。従って、本発明のプリント配線用基板の金属コアとして熱放散機能の発現には、従来の金属コアとの間の放熱効果に実質的な差がない。・・・」

〔2〕刊行物2:特開昭59-199587号公報
〔2a〕「特許請求の範囲
(1)炭化珪素の骨格より成る多孔質体の空隙を、熱伝導性の高い金属で充填したことを特徴とする高熱伝導性基板。
(2)特許請求の範囲第(1)項記載の熱伝導性の高い金属として、金、銀、銅、アルミニウムを使用することを特徴とする高熱伝導性基板。」(1頁左下欄4?10行)

〔2b〕「本発明は高熱伝導率を有する基板材料及びその製造方法に係り、特に炭化珪素と熱伝導性の高い金属から成る複合材料及びその製造方法に関する。
(ロ) 従来技術とその問題点
近年、半導体工業の進歩は目ざましく、大規模集積回路等に使用される半導体基板には回路構成要素が増々高密度に形成されるようになつてきた。さらに小型化に対する要請も大きく、使用する半導体基板への流入熱量は大幅に増大してきた。従来、基板材料としてアルミナ磁器、熱放散を必要とする場合はベリリア磁器が使用されてきたが、アルミナ基板では集積度が高まるにつれ、熱放散の点でほぼ限界に達している。またベリリア磁器は、・・・安全面での問題が多い。このため、熱放散が大きい基板材料の開発が要請されており・・・。本発明者らは上記の従来技術の問題点に鑑み、アルミナよりも熱伝導性が高く、安全面での問題もなくしかも入手の容易な原料を使用して熱放散の大きな基板材料を得ることを目的として・・・本発明に到つたものである。」(1頁右下欄17行?2頁右上欄6行)

〔2c〕「炭化珪素多孔質体を、真空中で融点以上の温度に加熱した金、銀、銅、アルミニウムの溶湯に接触させ、これらの溶湯を多孔質体の空隙中に含浸させることにより、空隙をこれらの高熱伝導性金属で充填し、炭化珪素と高熱伝導性金属よりなる複合材料を形成させる。」(3頁左上欄3?9行)

4.刊行物1記載の発明
(1)刊行物1の摘記〔1a〕には、シート状金属基体に電気絶縁層を介して銅薄膜層を設けてなるプリント配線用基板において、電気絶縁層がペルヒドロポリシラザンを加熱することにより形成される二酸化珪素膜であることを特徴とするプリント配線用基板が記載され、また、同摘記〔1c〕には、該シート状金属基体は、アルミニウム板等である旨が記載されている。
(2)同摘記〔1b〕の「金属コアプリント配線板に関しては、・・・金属板は、・・・熱の放散という熱的要因対策としての機能も果たしている。・・・ここで絶縁層を極めて薄くした金属板が熱の放散等の機能と共に、電気配線基板としての機能も兼ね備える・・・」との記載や、同摘記〔1e〕の「放熱性については、シート状金属体面に二酸化珪素膜が形成されていても、従来の金属コアプリント配線板に使用される金属板自身との間に、実質的差は見られない。・・・本発明のプリント配線用基板の金属コアとして熱放散機能の発現には、従来の金属コアとの間の放熱効果に実質的な差がない。・・・」との記載等からみて、上記シート状金属基体は、放熱機能と基板としての機能を兼備するものといえる。
(3)同摘記〔1d〕の記載からみて、上記プリント配線用基板は、シート状金属基体に電気絶縁層を介して回路が設けられるといえる。

以上の(1)?(3)の事項を考慮し、摘記〔1a〕?〔1e〕の記載を整理すると、刊行物1には、次の「プリント配線用基板」についての発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。

「放熱機能と基板としての機能を兼備するアルミニウム板等のシート状金属基体に電気絶縁層を介して回路を設けてなるプリント配線用基板において、電気絶縁層がペルヒドロポリシラザンを加熱することにより形成される二酸化珪素膜であることを特徴とするプリント配線用基板。」

5.対比・判断
本願発明1は、「絶縁層」が「ポリシラザンを熱分解して得られた絶縁層」である場合の態様を包含するから、そのような態様の本願発明1と刊行物1発明を対比する。
(1)刊行物1発明における「プリント配線用基板」は、本願発明1における「回路基板」に相当し、以下同様に、「電気絶縁層」は「絶縁層」に、「ペルヒドロポリシラザン」は「ポリシラザン」に、それぞれ相当するといえる。
(2)刊行物1発明における「シート状金属基体」は、放熱機能を具備することからみて、本願発明1における「放熱板」に対応するものといえる。
(3)刊行物1発明における「電気絶縁層」は、「電気絶縁層がペルヒドロポリシラザンを加熱することにより形成される二酸化珪素膜である」ことからみて、ペルヒドロポリシラザンを加熱分解して得られたものといえる。

以上の(1)?(3)の事項を考慮すると、両者は、
「放熱板の一主面上に、ポリシラザンを熱分解して得られた絶縁層を介して、回路が設けられている回路基板。」である点で一致するが、次の点で相違する。

<相違点>
放熱板が、本願発明1では、「アルミニウムを主成分とする金属の連続相と炭化珪素の連続相とからなる」ものであるのに対し、刊行物1発明では、「アルミニウム板等のシート状金属基体」である点

以下、この相違点について検討する。

刊行物2の摘記〔2a〕、〔2b〕には、熱放散の大きな回路基板材料として、炭化珪素の骨格より成る多孔質体の空隙を、熱伝導性の高いアルミニウム等の金属で充填した高熱伝導性基板が記載されいる。
また、同摘記〔2c〕には、該高熱伝導性基板は、炭化珪素多孔質体を、真空中で融点以上の温度に加熱したアルミニウム等の溶湯に接触させ、その溶湯を多孔質体の空隙中に含浸させることにより、空隙を高熱伝導性金属で充填して形成される旨が記載されていることからみて、該高熱伝導性基板は、アルミニウム等の高熱伝導性金属の連続相と炭化珪素の連続相とからなるものと認められる。(なお、このことは、該形成方法が、本願明細書の段落【0024】に記載された放熱板としての金属-セラミックス複合体の真空含浸法等による形成方法と格別に相違しないことからも認められる。)

以上のような記載事項からみて、刊行物2には、熱放散の大きな回路基板材料として、アルミニウムの連続相と炭化珪素の連続相とからなる高熱伝導性基板を用いる旨が開示されているといえる。

そして、刊行物1発明における「放熱機能と基板としての機能を兼備するシート状金属基体」は、刊行物2に開示されている高熱伝導性基板と、放熱機能と基板としての機能を兼備する回路基板である点で共通するから、刊行物1発明の回路基板(プリント配線用基板)において、放熱機能と基板としての機能を兼備する該シート状金属基体の代わりに、刊行物2に開示されている、熱放散の大きな回路基板材料としての「アルミニウムの連続相と炭化珪素の連続相とからなる高熱伝導性基板」を用い、前記相違点で示される特定事項を構成することは、刊行物2の上記記載事項等に基づいて当業者が容易に想到し得たものというべきである。

しかも、本願発明1は、刊行物1、2の記載から予測できないような格別に顕著な効果を奏するとも認められない。

よって、本願発明1は、刊行物1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおりであるから、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-07-04 
結審通知日 2008-07-08 
審決日 2008-07-22 
出願番号 特願2002-165322(P2002-165322)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田代 吉成  
特許庁審判長 綿谷 晶廣
特許庁審判官 市川 裕司
小川 武
発明の名称 モジュール構造体とその製造方法  

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