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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 特29条特許要件(新規) 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1184010
審判番号 不服2004-10535  
総通号数 106 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-05-20 
確定日 2008-09-10 
事件の表示 特願2001-554241「電子商取引システムのためのフレキシブルなライセンス料支払い方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年7月26日国際公開、WO01/54019、平成15年7月8日国内公表、特表2003-521046〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成13年1月16日(優先権主張平成12年1月17日、日本、同年1月31日、日本、同年6月9日、日本、同年7月26日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成15年12月11日付けの拒絶理由通知に対して、平成16年3月23日付けで意見書が提出されるとともに同日付けで手続補正がなされたが、同年4月13日付けで拒絶の査定がなされ、この拒絶の査定を不服として、同年5月20日に審判請求がなされるとともに同年6月21日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成16年6月21日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年6月21日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正
平成16年6月21日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により、特許請求の範囲は、本件補正前の
「【請求項1】 商品の販売を管理するコンピューターネットワークシステムであって、
購入者からの商品の注文を受け付ける受注処理部と、
商品別付加価値情報を記憶した記憶部と、
前記受注処理部が受け付けた注文に関連する情報及び前記記憶部に記憶されている情報に基づいて、前記商品の付加価値提供者による付加価値対価を決定する対価決定部とを含むコンピューターネットワークシステム。
【請求項2】 前記付加価値提供者が前記商品の実施権者を含むことを特徴とする請求項1に記載のコンピューターネットワークシステム。
【請求項3】 前記付加価値対価が前記商品の創作者(creator)に支払われるべき特許権使用料を含むことを特徴とする請求項2に記載のコンピューターネットワークシステム。
【請求項4】 前記コンピューターネットワークシステムが、購入者を含む一組の会員を管理する会員管理処理システムをさらに含み、該一組のメンバーが前記受け付けた注文に関連する情報に基づく所定の値に応じて付加価値対価を支払うことを特徴とする請求項3に記載のコンピューターネットワークシステム。
【請求項5】 購入者による所定数の商品の注文があったときに、前記付加価値対価を付加価値提供者に支払うための処理を実行する処理部を、さらに含むことを特徴とする請求項4に記載のコンピューターネットワークシステム。
【請求項6】 受け付けた注文に関連する情報が、購入者が購入した商品の識別情報(identifier)、商品数、及び前記商品の製造コストを含むことを特徴とする請求項5に記載のコンピューターネットワークシステム。
【請求項7】 前記コンピューターネットワークシステムが前記商品の製造コストと付加価値対価とを関連付ける在庫管理処理部をさらに含み、
前記受注処理部が購入者からの注文を受け付けるまで、前記付加価値提供者が前記商品の製造コストを負担することを特徴とする請求項6に記載のコンピューターネットワークシステム。
【請求項8】 前記商品が、コンピューターによって実行可能な1以上のプログラムを含有するコンピューター読み取り可能な媒体を含むことを特徴とする請求項7に記載のコンピューターネットワークシステム。
【請求項9】 ネットワークシステムに結合されており、商品の販売を管理するようにプログラムされたサーバコンピューターであって、
前記サーバコンピューターが、購入者からの商品の注文を受け付ける受注処理部と、
商品別付加価値情報を記憶した記憶部と、
前記受注処理部が受け付けた注文に関連する情報及び前記記憶部に記憶されている情報に基づいて、前記商品の付加価値提供者による付加価値対価を決定する対価決定部とを含むサーバコンピューター。
【請求項10】 前記付加価値対価が前記商品の創作者に支払われるべき特許権使用料を含むことを特徴とする請求項9に記載のサーバコンピューター。
【請求項11】 前記サーバコンピューターが、購入者を含む一組の会員を管理する会員管理処理システムをさらに含み、該一組のメンバーが前記受け付けた注文に関連する情報に基づく所定の値に応じて付加価値対価を支払うことを特徴とする請求項10に記載のサーバコンピューター。
【請求項12】 購入者による所定数の商品の注文があったときに、前記付加価値対価を付加価値提供者に支払うための処理を実行する処理部を、さらに含むことを特徴とする請求項11に記載のサーバコンピューター。
【請求項13】 受け付けた注文に関連する情報が、購入者が購入した商品の識別情報、商品数、及び前記商品の製造コストを含むことを特徴とする請求項12に記載のサーバコンピューター。
【請求項14】 前記サーバコンピューターが、前記商品の製造コストと付加価値対価とを関連付ける在庫管理処理部をさらに含み、
前記受注処理部が購入者からの注文を受け付けるまで、前記付加価値提供者が前記商品の製造コストを負担することを特徴とする請求項13に記載のサーバコンピューター。
【請求項15】 前記商品が、コンピューターによって実行可能な1以上のプログラムを含有するコンピューター読み取り可能な媒体を含むことを特徴とする請求項14に記載のサーバコンピューター。
【請求項16】 少なくとも商品の製造費およびその商品の付加価値に応じて販売価格が定まる商品の販売管理システムであって、
商品の製造費および製造数量の入力を受け付ける入力受付部と、
入力された製造費および製造数量を記憶する第1の記憶部と、
少なくとも注文商品の識別情報および数量を受け付けて受注する受注処理部と、
受注した商品の識別情報および数量を記憶する第2の記憶手段と、
前記第1の記憶部に記憶された前記製造数量と、前記第2の記憶部に記憶された前記受注数量とから、特定時点の在庫数量を算出する在庫数量算出部と、
前記在庫数量を記憶する第3の記憶部と、
前記第3の記憶部に記憶された前記在庫数量と、前記第1の記憶部に記憶された前記製造費とに基づいて、前記特定時点の在庫残高を算出する在庫残高算出部と、を備え、
前記在庫残高算出部によって算出される在庫残高には、少なくとも前記付加価値に相当する対価が含まれないことを特徴とする販売管理管理システム。
【請求項17】 請求項16記載の販売管理システムにおいて、
付加価値に相当する対価に関する情報と前記受注処理部が受け付けた前記受注数量とから、当該受注数量に応じた対価の額を算出する対価算出部と、
前記対価算出部が算出した対価の額を含む情報を、付加価値生成者のコンピュータへ送信するために出力する出力部とを、さらに備える
ことを特徴とする販売管理システム。
【請求項18】 請求項17記載の販売管理システムにおいて、
前記付加価値生成者が他者に支払うべき対価の額を、前記商品の仕入価格に基づいて算出する他者対価算出部と、
前記他者対価算出部が算出した対価の額を含む情報を、当該他者のコンピュータに送信するために出力する出力部と、
前記他者対価算出部が算出した対価の額、前記記憶部が記憶している製造費、および、前記仕入価格から、前記付加価値生成者へ支払う額を算出する対価額算出部と、
前記対価額算出部が算出した付加価値生成者へ支払う額を含む情報を、前記付加価値生成者のコンピュータに送信するために出力する出力部と、をさらに備える
ことを特徴とする販売管理システム。
【請求項19】 請求項18記載の販売管理システムにおいて、
少なくとも前記商品の仕入価格と前記記憶部が記憶している製造費とから、商品ごとに、各商品の付加価値に相当する対価の額を算出する単位対価額算出部と、
前記対価額算出部が算出した各商品の付加価値に相当する対価の額と、前記受注処理部が受け付けた受注数量とから、当該受注数量に応じた対価の額を算出する対価額算出部と、
前記対価額算出部が算出した受注数量に応じた対価の額を、付加価値生成者のコンピュータに送信するために出力する出力部と、をさらに備える
ことを特徴とする販売管理システム。
【請求項20】 第1のサーバと第2のサーバとを備え、前記第1および第2のサーバはネットワークを介して接続されていて、少なくとも商品の製造費および商品の付加価値に応じて販売価格が定まる商品の販売管理を行うシステムであって、
前記第1のサーバは、
少なくとも商品の識別情報および数量を外部から受け付けて、商品を受注する受注処理部と、
受注した商品の識別情報および数量を記憶する受注情報記憶部と、
前記受注処理部が商品を受注した後に、当該受注した商品の付加価値生成者のコンピュータに対して、前記商品を発注するための発注情報を出力する発注処理部と、
発注した前記商品が入荷した後、前記受注情報記憶部に記憶された情報に基づいて、受注した商品を出荷するように配送業者へ指示するための出荷情報を、前記配送業者のコンピュータ、および、前記第2のサーバへ送信するために出力する出荷処理部と、を備え、
前記第2のサーバは、
前記第1のサーバから送信された前記出荷情報を受け付ける受付部と、
前記出荷情報を記憶する出荷情報記憶部と、
前記出荷情報記憶部に記憶されている出荷情報に基づいて、前記商品の売上処理を行う売上処理部と、
前記出荷情報記憶部に記憶されている出荷情報に基づいて、前記付加価値生成者に支払う付加価値に相当する対価の額を決定する対価決定部と、
前記対価決定部が決定した付加価値に相当する対価の額に関する情報を、前記付加価値生成者のコンピュータへネットワークを介して送信する送信部と、を備えることを特徴とする販売管理システム。
【請求項21】 請求項20に記載の販売管理システムであって、
前記第1のサーバは、
商品の識別情報と当該商品の仕入価格に関する情報とを対応付けて記憶するための商品情報記憶部と、
前記受注情報記憶部と前記商品情報記憶部とを参照して、受注した前記商品の識別情報と対応する前記仕入価格に関する情報を取得し、当該取得した仕入価格に関する情報基づいて、前記付加価値生成者が他者に支払うべき対価の額を算出する他者対価算出部と、
前記他者対価算出部が算出した対価の額および前記付加価値に相当する対価の額を含む情報を、前記付加価値の生成者のコンピュータへ送信するために出力する出力部と、をさらに備えることを特徴とする販売管理システム。
【請求項22】 実施権者が実施許諾者から許諾を受けた商品の販売管理を行うサーバであって、
少なくとも商品の識別情報および数量を受け付けて受注する受注処理部と、
受注した商品の識別情報および数量を記憶する受注情報記憶部と、
前記受注情報記憶部に記憶されている商品の識別情報に基づいて、前記実施権者に支払う対価の額を決定する第1の対価決定部と、
前記商品の製造費を記憶する製造費記憶部と、
前記製造費記憶部に記憶された製造費および前記第1の対価決定部が決定した対価の額に基づいて、前記実施権者が前記実施許諾者に支払う対価の額を決定する第2の対価決定部と、
前記受注情報記憶部に記憶されている受注数量および前記第1の滞貨決定部が決定した前記実施権者に支払う対価の額に関する情報を、前記実施権者のコンピュータへ送信するために出力する第1の出力部と、
前記第2の対価決定部が決定した前記実施許諾者に支払う対価の額に関する情報を、当該実施許諾者のコンピュータへ送信するために出力する第2の出力部と、をさらに有することを特徴とする販売管理サーバ。」
から、本件補正後の
「【請求項1】 ネットワークに結合されており、商品の販売を管理するようにプログラムされたサーバコンピューターであって、
商品毎に、当該商品を識別するための商品識別情報と、当該商品の付加価値を生産した付加価値生産者に支払う金額情報と、を含む商品情報を記憶した商品記憶部と、
商品識別情報および数量を含む受注情報を受け付ける受注処理部と、
前記受注処理部が受け付けた受注情報の商品識別情報に対応する前記金額情報を、前記商品記憶部に記憶された商品情報から特定し、当該特定した金額情報と前記受注情報の数量とを乗じて前記付加価値生産者に支払う付加価値対価を決定する対価算出部と、を含むこと、
を特徴とするサーバコンピューター。
【請求項2】 前記付加価値対価が、前記商品の創作者に支払われるべき特許権使用料を含むこと
を特徴とする請求項1に記載のサーバコンピューター。
【請求項3】 前記受注情報には、顧客を識別するための識別情報である顧客識別情報をさらに含み、
前記商品情報には、商品の販売価格を、さらに含み、
顧客毎に、前記顧客識別情報と、決済情報とを含む顧客情報を記憶する顧客記憶部と、
前記受注処理部が受け付けた受注情報の商品識別情報に対応する前記販売価格を、前記商品記憶部に記憶された商品情報から特定し、当該特定した販売価格と前記受注情報の数量とを乗じて顧客に請求する決済金額を算出し、前記顧客記憶部に記憶された顧客情報から前記受注情報の顧客識別情報に対応する決済情報を特定し、前記算出した決済金額を前記特定した決済情報とともに外部システムに送信する課金処理部と、をさらに含むこと
を特徴とする請求項2に記載のサーバコンピューター。
【請求項4】 前記受注処理部が前記受注情報を受け付けた場合、前記対価算出部が算出した付加価値対価を前記付加価値生産者が使用する付加価値生産者端末に送信する処理部を、さらに含むこと
を特徴とする請求項3に記載のサーバコンピューター。
【請求項5】 少なくとも商品の製造費およびその商品の付加価値に応じて販売価格が定まる商品の販売管理システムであって、
納入される商品の識別情報、当該商品の1個あたりの製造費、および、製造数量を含む納入情報の入力を受け付ける入力受付部と、
前記入力受付部が受け付けた前記納入情報を記憶する第1の記憶部と、
少なくとも注文する商品の商品識別情報および受注数量を含む受注情報を受け付けて受注する受注処理部と、
前記受注情報を記憶する第2の記憶部と、
前記第1の記憶部に記憶された前記製造数量から、前記第2の記憶部に記憶された前記受注数量を減算し、特定時点の在庫数量を算出する在庫数量算出部と、
前記在庫数量算出部が算出した前記在庫数量を記憶する第3の記憶部と、
前記第3の記憶部に記憶された前記在庫数量と、前記第1の記憶部に記憶された前記製造費とを乗算して、前記特定時点の在庫残高を算出する在庫残高算出部と、を備え、
前記在庫残高算出部によって算出される在庫残高には、少なくとも前記付加価値に相当する対価が含まれないこと
を特徴とする販売管理システム。
【請求項6】 請求項5記載の販売管理システムにおいて、
あらかじめ定められた1商品あたりの当該商品の付加価値に相当する単位付加価値額と、前記受注処理部が受け付けた前記受注数量とを乗算して、当該受注数量に応じた付加価値対価の額を算出する対価算出部と、
前記対価算出部が算出した付加価値対価の額を含む情報を、付加価値生成者のコンピュータへ送信するために出力する出力部と、をさらに備える
ことを特徴とする販売管理システム。
【請求項7】 請求項6記載の販売管理システムにおいて、
あらかじめ定められた1商品あたりの当該商品の仕入価格に、所定のパーセントを乗算して、付加価値生成者が他者に支払うべき他者対価の額を算出する他者対価算出部と、
前記他者対価算出部が算出した他者対価の額を含む情報を、当該他者のコンピュータに送信するために出力する出力部と、
前記仕入価格から、前記他者対価算出部が算出した対価の額、および、前記第1の記憶部に記憶された製造費を減算し、前記付加価値生成者へ支払う付加価値の単価を算出する対価額算出部と、
前記対価額算出部が算出した付加価値生成者へ支払う付加価値単価の額を含む情報を、前記付加価値生成者のコンピュータに送信するために出力する出力部と、をさらに備える
ことを特徴とする販売管理システム。
【請求項8】 請求項7記載の販売管理システムにおいて、
前記商品の仕入価格から、前記第1の記憶部に記憶された製造費を減算し、前記付加価値生成者へ支払う付加価値の単価を算出する単位対価額算出部と、
前記単価対価額算出部が算出した各商品の付加価値に相当する付加価値単価と、前記第2の記憶部に記憶された受注数量とを乗算して、当該受注数量に応じた対価の額を算出する対価額算出部と、
前記対価額算出部が算出した受注数量に応じた対価の額を、付加価値生成者のコンピュータに送信するために出力する出力部と、をさらに備える
ことを特徴とする販売管理システム。
【請求項9】 第1のサーバと第2のサーバとを備え、前記第1および第2のサーバはネットワークを介して接続されていて、少なくとも商品の製造費および商品の付加価値に応じて販売価格が定まる商品の販売管理を行うシステムであって、
前記第1のサーバは、
少なくとも商品の識別情報、数量および販売価格を含む受注情報を外部から受け付けて、商品を受注する受注処理部と、
前記受注処理部が受け付けた受注情報を記憶する受注情報記憶部と、
前記受注処理部が受注情報を受注した後に、当該受注した商品の付加価値生成者のコンピュータに対して、前記商品を発注するための発注情報を出力する発注処理部と、
発注した前記商品の識別情報、納品数および製造費を含む納品通知情報を受け付けて、前記受注情報記憶部に記憶された受注情報を含む出荷情報を、商品の配送業者のコンピュータ、および、前記第2のサーバへ送信するために出力する出荷処理部と、を備え、
前記第2のサーバは、
前記第1のサーバから送信された前記出荷情報を受け付ける受付部と、
前記出荷情報を記憶する出荷情報記憶部と、
前記出荷情報記憶部に記憶されている出荷情報に含まれる数量に販売価格を乗算して売上高を算出する売上処理部と、
あらかじめ定められた1商品あたりの当該商品の付加価値に相当する単位付加価値額と、前記出荷情報に含まれる数量とを乗算して、前記付加価値生成者に支払う付加価値に相当する対価の額を決定する対価決定部と、
前記対価決定部が決定した付加価値に相当する対価の額に関する情報を、前記付加価値生成者のコンピュータへネットワークを介して送信する送信部と、を備えること
を特徴とする販売管理システム。
【請求項10】 請求項9に記載の販売管理システムであって、
前記第1のサーバは、
商品の識別情報と当該商品の仕入価格とを対応付けて記憶するための商品情報記憶部と、
前記受注情報記憶部と前記商品情報記憶部とを参照して、受注した前記商品の識別情報と対応する前記仕入価格を取得し、当該取得した仕入価格に所定のパーセントを乗算して、前記付加価値生成者が他者に支払うべき他者対価の額を算出する他者対価算出部と、
前記他者対価算出部が算出した他者対価の額および前記付加価値に相当する対価の額を含む情報を、前記付加価値の生成者のコンピュータへ送信するために出力する出力部と、をさらに備えること
を特徴とする販売管理システム。
【請求項11】 実施権者が実施許諾者から許諾を受けた商品の販売管理を行うサーバであって、
少なくとも商品の識別情報および数量を受け付けて受注する受注処理部と、
受注した商品の識別情報および数量を記憶する受注情報記憶部と、
前記受注情報記憶部に記憶されている商品の識別情報に応じてあらかじめ定められた前記実施権者に支払う対価の額を特定する第1の対価決定部と、
前記商品の製造費を記憶する製造費記憶部と、
商品の識別情報に応じてあらかじめ定められた原価から、前記製造費記憶部に記憶された製造費および前記第1の対価決定部が決定した対価の額を減算し、前記実施権者が前記実施許諾者に支払う対価の額を算出する第2の対価決定部と、
前記受注情報記憶部に記憶されている数量および前記第1の対価決定部が決定した前記実施権者に支払う対価の額に関する情報を、前記実施権者のコンピュータへ送信するために出力する第1の出力部と、
前記第2の対価決定部が決定した前記実施許諾者に支払う対価の額に関する情報を、当該実施許諾者のコンピュータへ送信するために出力する第2の出力部と、をさらに有することを特徴とする販売管理サーバ。」
と補正された。

2 補正の適否
本件補正前と本件補正後の特許請求の範囲の各請求項の記載からみて、請求人主張(平成16年6月21日付け手続補正書(方式)2頁1?6行)のように、本件補正後の請求項1?4は本件補正前の請求項9?12を各々補正したものと認めらる。
そこで、特許請求の範囲についてする補正である本件補正前の請求項11を本件補正後の請求項3とする補正が、特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものであるか否かについて検討する。
本件補正後の請求項3に、「前記受注処理部が受け付けた受注情報の商品識別情報に対応する前記販売価格を、前記商品記憶部に記憶された商品情報から特定し、当該特定した販売価格と前記受注情報の数量とを乗じて顧客に請求する決済金額を算出し、前記顧客記憶部に記憶された顧客情報から前記受注情報の顧客識別情報に対応する決済情報を特定し、前記算出した決済金額を前記特定した決済情報とともに外部システムに送信する課金処理部」と記載しているが、該記載事項は本件補正前の請求項11に記載されていない事項である。
そして、本件補正前の請求項11に、発明を特定する事項として、「前記受注処理部が受け付けた受注情報の商品識別情報に対応する前記販売価格を、前記商品記憶部に記憶された商品情報から特定し、当該特定した販売価格と前記受注情報の数量とを乗じて顧客に請求する決済金額を算出し、前記顧客記憶部に記憶された顧客情報から前記受注情報の顧客識別情報に対応する決済情報を特定し、前記算出した決済金額を前記特定した決済情報とともに外部システムに送信する課金処理部」の上位概念となる課金処理に関する事項は記載されておらず、本件補正後の請求項3の上記記載事項は、本件補正前の請求項11に記載された発明を特定するために必要な事項を限定したものとはいえない。
したがって、本件補正前の請求項11を本件補正後の請求項3にする補正は、「前記受注処理部が受け付けた受注情報の商品識別情報に対応する前記販売価格を、前記商品記憶部に記憶された商品情報から特定し、当該特定した販売価格と前記受注情報の数量とを乗じて顧客に請求する決済金額を算出し、前記顧客記憶部に記憶された顧客情報から前記受注情報の顧客識別情報に対応する決済情報を特定し、前記算出した決済金額を前記特定した決済情報とともに外部システムに送信する課金処理部」との記載を新たに追加するものであり、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる事項である特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一のものに限る。)を目的とするものではない。
また、原査定の拒絶の理由は、「外見上の動作により発明の特徴部である手段を特定するもの(概括的な機能のみを特定するブラックボックス)であって、そのように外見上動作するために、コンピュータの内部にどのような内容のデータをどのように関係付けて予め格納又は入力により記憶し、当該データをどのようなタイミング、アルゴリズムにより取り出し、加工し、出力するかについて特定するものではないから、当該システムの動作がコンピュータのハードウェア資源を用いて具体的に実現されたソフトウェアによる情報処理であると把握できる程度に具体的に記載されておらず、これらの請求項に係る発明は自然法則を利用した技術的思想の創作である発明には該当しない。」と指摘するものであるが、本件補正前の請求項11に記載されたサーバコンピューターに対して、課金処理に関して記載されておらず課金処理について発明の詳細な説明と対応しないとか明りょうでないとか指摘するものではないから、「前記受注処理部が受け付けた受注情報の商品識別情報に対応する前記販売価格を、前記商品記憶部に記憶された商品情報から特定し、当該特定した販売価格と前記受注情報の数量とを乗じて顧客に請求する決済金額を算出し、前記顧客記憶部に記憶された顧客情報から前記受注情報の顧客識別情報に対応する決済情報を特定し、前記算出した決済金額を前記特定した決済情報とともに外部システムに送信する課金処理部」との記載を新たに追加する、本件補正前の請求項11を本件補正後の請求項3にする補正は、特許法第17条の2第4項第4号に掲げる事項である明りょうでない事項の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)を目的とするものでもない。
また、「前記受注処理部が受け付けた受注情報の商品識別情報に対応する前記販売価格を、前記商品記憶部に記憶された商品情報から特定し、当該特定した販売価格と前記受注情報の数量とを乗じて顧客に請求する決済金額を算出し、前記顧客記憶部に記憶された顧客情報から前記受注情報の顧客識別情報に対応する決済情報を特定し、前記算出した決済金額を前記特定した決済情報とともに外部システムに送信する課金処理部」との記載を新たに追加する、本件補正前の請求項11を本件補正後の請求項3にする補正が、特許法第17条の2第4項第1号に掲げる事項である請求項1の削除、同項3号に掲げる事項である誤記の訂正を目的とするものでないことは明らかである。
以上のとおり、本件補正前の請求項11を本件補正後の請求項3にする補正は、特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものではない。
したがって、本件補正前の請求項11を本件補正後の請求項3にする補正を含む本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反しており、同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成16年6月21日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項9に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成16年3月23日付けの補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項9に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項9】 ネットワークシステムに結合されており、商品の販売を管理するようにプログラムされたサーバコンピューターであって、
前記サーバコンピューターが、購入者からの商品の注文を受け付ける受注処理部と、
商品別付加価値情報を記憶した記憶部と、
前記受注処理部が受け付けた注文に関連する情報及び前記記憶部に記憶されている情報に基づいて、前記商品の付加価値提供者による付加価値対価を決定する対価決定部とを含むサーバコンピューター。」

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、次のとおりのものである。
「この出願の下記の請求項に係る発明は、下記の点で特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないので、特許を受けることができない。

・請求項1?21、23?51
・備考
請求項1?8には、システムについて、外見上の動作により発明の特徴部である手段を特定するもの(概括的な機能のみを特定するブラックボックス)であって、そのように外見上動作するために、コンピュータの内部にどのような内容のデータをどのように関係付けて予め格納又は入力により記憶し、当該データをどのようなタイミング、アルゴリズムにより取り出し、加工し、出力するかについて特定するものではないから、当該システムの動作がコンピュータのハードウェア資源を用いて具体的に実現されたソフトウェアによる情報処理であると把握できる程度に具体的に記載されておらず、これらの請求項に係る発明は自然法則を利用した技術的思想の創作である発明には該当しない。
請求項9?15、20、21、39?44に記載のサーバ、請求項16?19、25?32、45?51に記載のシステム、請求項23、24に記載のプログラムにより実現されるシステム、請求項33?38に記載のコンピュータについても同様。(以下省略)」
そして、原査定の備考において、次の旨を指摘している。
「依然として、ソフトウェアによる具体的な情報処理を記載したものとなっていない。」

3 当審の判断
本願発明は、「在庫負担を軽減する販売管理に関する技術を提供すること」(本願明細書の【発明の詳細な説明】の段落【0012】)、「付加価値に相当する対価の決定に関する技術を提供すること」(同じく段落【0013】)、「コンピューターソフトウェアなどの、ロイヤリティを担う製品に対するライセンス料のフレキシブルな支払いを提供するソフトウェア販売システムを提供すること」(同じく段落【0014】)、「顧客への製品の販売時に販売されたソフトウェア製品に対するライセンス料の支払いを割り当てる電子商取引販売システムを提供すること」(同じく段落【0015】)を目的としたものであり、機器等に対する制御又は制御に伴う処理を具体的に行うものではなく、また、対象の物理的性質又は技術的性質に基づく処理を具体的に行うものでもない。
そして、本願発明は、その実施にソフトウェアを必要とする発明、すなわち、コンピュータ・ソフトウェア関連発明である。
このコンピュータ・ソフトウェア関連発明が、特許法第2条第1項で特許法での「発明」の定義としていうところの「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるのは、発明がそもそも一定の技術的課題を達成できる具体的なものになっていなければならないことから、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されている場合であり、そのためには、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働した具体的手段によって、使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の情報処理装置又はその動作方法が構築されていることが提示されている必要がある。

そこで、本願発明が「ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されたもの」であるのか否かについて検討する。
本願発明の「ネットワークシステムに結合されており、商品の販売を管理するようにプログラムされたサーバコンピューター」は、サーバコンピューターが、ネットワークシステムに結合されており、商品の販売を管理するようにプログラムされたものであることを記載するものであるが、具体的な情報処理を提示するものではない。
本願発明の「購入者からの商品の注文を受け付ける受注処理部」は、サーバコンピュータが含む「受注処理部」が「購入者からの商品の注文」を受け付けることを記載するにとどまる。
本願発明の「商品別付加価値情報を記憶した記憶部」は、サーバコンピューターが含む「記憶部」が「商品別付加価値情報」を記憶することを記載するにとどまる。
本願発明の「前記受注処理部が受け付けた注文に関連する情報及び前記記憶部に記憶されている情報に基づいて、前記商品の付加価値提供者による付加価値対価を決定する対価決定部」は、サーバコンピューターが含む「対価決定部」が「前記受注処理部が受け付けた注文に関連する情報及び前記記憶部に記憶されている情報に基づいて、前記商品の付加価値提供者による付加価値対価を決定する」ことを記載している。しかしながら、「前記受注処理部が受け付けた注文に関連する情報及び前記記憶部に記憶されている情報に基づいて、前記商品の付加価値提供者による付加価値対価を決定する」という情報処理は、本願発明の他の発明特定事項をあわせみても、「前記受注処理部が受け付けた注文に関連する情報」及び「前記記憶部に記憶されている情報」に基づいて、どのようにして「前記商品の付加価値提供者による付加価値対価」を決定するのか提示しておらず、ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工として実現されるか提示するものではない。
以上検討したとおり、本願発明は、「前記受注処理部が受け付けた注文に関連する情報及び前記記憶部に記憶されている情報に基づいて、前記商品の付加価値提供者による付加価値対価を決定する」情報処理が、ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工として実現されるか提示しておらず、本願発明は、全体として、その目的を達成するための情報処理が、ハードウェア資源をどのように用いてどのような情報の演算又は加工として実現されるか提示するものではない。
したがって、本願発明は、全体として、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されたものとは認められない。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」とはいえず、特許法第2条第1項に定義された発明に該当せず、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないので、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-04-09 
結審通知日 2008-04-15 
審決日 2008-05-01 
出願番号 特願2001-554241(P2001-554241)
審決分類 P 1 8・ 574- Z (G06Q)
P 1 8・ 572- Z (G06Q)
P 1 8・ 1- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山下 達也  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 田川 泰宏
山本 穂積
発明の名称 電子商取引システムのためのフレキシブルなライセンス料支払い方法  
代理人 特許業務法人湘洋内外特許事務所  
代理人 特許業務法人湘洋内外特許事務所  
代理人 三品 岩男  
代理人 三品 岩男  

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