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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2007800236 審決 特許
不服200524685 審決 特許
不服20052730 審決 特許
不服2009390 審決 特許
不服20045852 審決 特許

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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61K
管理番号 1184014
審判番号 不服2005-361  
総通号数 106 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-01-06 
確定日 2008-09-10 
事件の表示 平成 7年特許願第279742号「痩身用組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 4月15日出願公開、特開平 9-100238〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯、本願発明

本願は、平成7年10月2日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成16年11月8日付手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。

「蛋白含有物質を加水分解又は酵素分解した後、イオン交換法又は電気泳動法により分画して得た平均分子量1500?5000の塩基性ペプチドと塩基性アミノ酸とを主成分として含有して成る痩身用組成物。」(【請求項1】)

2.当審の拒絶理由の概要

これに対し、当審が通知した拒絶の理由は、請求項1に係る発明は塩基性ペプチドを主成分の一つとして含有する痩身用組成物に関するものであるが、本件明細書の発明の詳細な説明に塩基性ペプチドとして具体的に記載されているのは、そのアミノ酸組成からみて、いずれも中性ペプチドであり、塩基性ペプチドではないことから、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでなく、本件出願は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないというものである。

3.当審の判断

特許法第36条第6項第1号には、「特許を受ける発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。」と規定している。

そこで、請求項1に係る発明が本願明細書の発明の詳細な説明に記載されているかにつき検討する。

本願発明の詳細な説明中には、請求項1に係る発明である痩身用組成物の主成分の一つである塩基性ペプチドについて、以下の記載がある。

(A)「本発明に於いて使用されるペプチドは、分画により得られる平均分子量が200?5000の塩基性のものである。
分画の方法としては、各種の従来の方法が適用され、例えば電気泳動法やイオン交換膜を使用する方法を例示できる。
本発明に於いては数多くの各種の分子量のペプチド又はポリペプチドの中から分画して、所定の平均分子量のものを使用する。対象となるペプチド又はポリペプチドとしては、塩基性であるかぎり特に限定されることはない。またその製造方法も何等限定されず、原料蛋白質としては、動物性及び植物性いずれのものでも良い。要は平均分子量200?5000の分画で得られたものを使用することである。
本発明に於いては平均分子量200?5000のものを使用する。この際、平均分子量が200未満では後記実験例にも示す通り、所期の効果は得難く、また逆に5000より大きくなると、やはり優れた痩身効果は得られず、いずれの場合も所期の目的を達成しない。特に本発明に於いては平均分子量が1500?3500のものが特に痩身効果が大きい。」(【0009】?【0012】)

(B)「【実験例】
以下の製造例1?6で得た塩基性ペプチドを用いて下記の実験を行った。
(1)塩基性ペプチドの製造例1
牛皮及び牛骨の結合組織を、酸、アルカリで洗浄し減圧封管中6N塩酸中110°Cにて24時間反応させて得た加水分解物を、脱色、脱臭、精製した後、イオン交換膜にて分離して塩基性画分を採取し、スプレードライにて粉末状として塩基性ペプチドを得た。これをペプチド1という。。平均分子量は3000であった。
このもののアミノ酸分析結果を表1に示す。但し、表1中のAはイオン交換膜分離前のアミノ酸組成を示し、Bは分離後のアミノ酸組成を示す。
【表1】

(2)塩基性ペプチドの製造例2
市販のコラーゲン粉末を中性領域で作用するエンドプロテアーゼ(市販品プロテアーゼS、天野製薬製)を用いて、45°C、12時間反応させ脱色、脱臭の後、イオン交換膜により塩基性画分を採取し、スプレードライにて粉末状塩基性ペプチドを得た。これをペプチド2という。平均分子量は1800であった。このもののアミノ酸分析結果を表2に示す。但し、表2中のA及びBは表1と同じことを意味する。
【表2】
(3)塩基性ペプチドの製造例3
上記製造例1に於いて、減圧封管中での反応温度を100°C、反応時間を6時間とし、その他は製造例1と同様に処理して、平均分子量5500の塩基性ペプチドを得た。これをペプチド3という。
(4)塩基性ペプチドの製造例4
上記製造例2に於いて、反応時間を20時間とし、その他は製造例2として同様に処理して、平均分子量500の塩基性ペプチドを得た。これをペプチド4という。
(5)塩基性ペプチドの製造例5
上記製造例2に於いて、反応温度を50°C、反応時間を24時間とし、その他は製造例2と同様に処理して平均分子量180のペプチドを得た。これをペプチド5という。
(6)塩基性ペプチドの製造例6
上記製造例3に於いて、反応時間を8時間とし、その他は製造例3と同様にして平均分子量4300のペプチドを得た。これをペプチド6という。」(【0019】?【0026】)

(C)段落【0027】?【0042】には、ペプチド1?6の肥満防止または体重防止効果を確認する実験例1?4及び実施例1、2として、上記(B)の(1)?(6)の製造例により得られた、本願明細書で「塩基性ペプチド」と称するペプチドを配合した食品、錠剤が、それぞれ記載されている。

(A)には、本発明に於いて使用されるペプチドは塩基性であること、その好適な分子量、製法が、限定されずに記載されているにすぎず、本発明に於いて使用される塩基性ペプチドを具体的に記載したものではない。

(B)及び(C)には、請求項1に係る発明である痩身用組成物の主成分の一つである塩基性ペプチドとしてペプチド1とペプチド2の2つのペプチドのアミノ酸組成が表1、表2として記載されており、表1、表2中のAはイオン交換膜分離前のアミノ酸組成を示し、Bは分離後のアミノ酸組成を示している。ここで塩基性アミノ酸はHyLys、Lys、His及びArgであり、そのペプチド中1000残基当たりのアミノ酸の数は、表1のAのものでは、それぞれ、6.0、27.9、3.3、45.1であり、その合計は82.3であり、ここで酸性アミノ酸は、Asp及びGluであり、そのペプチド中1000残基当たりのアミノ酸の数は、それぞれ、45.6、75.5であり、その合計は121.1である。同様に、表1のBでは、そのペプチド中1000残基当たりのアミノ酸の数は、塩基性アミノ酸の合計は89.9であり、酸性アミノ酸の合計は91.5である。表2のAでは、そのペプチド中1000残基当たりのアミノ酸の数は、塩基性アミノ酸の合計は70.5であり、酸性アミノ酸の合計は119.8である。表2のBでは、そのペプチド中1000残基当たりのアミノ酸の数は、塩基性アミノ酸の合計は80.0であり、酸性アミノ酸の合計は94.2である。そうすると、確かに、イオン交換膜分離後のペプチド1のB及び2のBは、イオン交換膜分離前のペプチド1のA及び2のAと比較して、塩基性アミノ酸の数が増加してはいるものの、一般にペプチド中の塩基性アミノ酸の数が酸性アミノ酸の数以上でなければそのペプチドは塩基性ペプチドとなり得ないことから、表1、表2に記載のペプチド1、2のペプチド中の塩基性アミノ酸の数は酸性アミノ酸の数と同程度かそれ以下である以上、ペプチド1、2はいずれも酸性?中性ペプチドであり、塩基性ペプチドではない。
ペプチド3、4及び5は、分子量がそれぞれ、5500、500、180であり、かつ、そのものが塩基性ペプチドであることを示すアミノ酸組成も記載されていないから、本願発明である痩身用組成物の主成分でる平均分子量1500?5000の塩基性ペプチドに含まれるものではない。
ペプチド6についても、そのものが塩基性ペプチドであることを示すアミノ酸組成も記載されていない。
そして、(C)の肥満防止または体重防止効果を確認する実験はペプチド1?6が塩基性ペプチドであることを示すものではなく、食品、錠剤に配合された塩基性ペプチドも具体的にいかなるものであるのか不明である。

以上のとおり、本願明細書の発明の詳細な説明中には、請求項1に係る発明である痩身用組成物の主成分の一つである塩基性ペプチドが記載されていないから、請求項1に係る発明が記載されているとは認められない。

なお、平成20年5月29日付けの意見書において、「表1並びに表2に列記された数値はいづれも「1000残基当たりのアミノ酸の数」と記載されているが、実際は表1並びに表2のこれ等の数値は、アミノ酸の組成を重量比(1000分率)にて示したものであり……アミノ酸の組成比は、それぞれのアミノ酸が異なった分子量である為、塩基性アミノ酸或いは酸性アミノ酸の重量比が必ずしも直ちに、酸性又は、塩基性を示すものではなく、(アミノ基や、カルボキシル基の数の量を示すものではなく)あくまで混合物であるアミノ酸そのものの重量を示すものである。……結果として、アミノ酸全体としては、塩基性を示す事となっている。」と主張している。
そこで、仮に表1並びに表2に列記された数値がアミノ酸の組成を重量比(1000分率)であるとして、ペプチド1及び2が塩基性ペプチドであるかどうかを検討する。
表1及び表2中で、塩基性アミノ酸は、HyLys、Lys、His及びArgであり、その分子量は、それぞれ、162.19、146.19、155.16、174.2であり、酸性アミノ酸は、Asp及びGluであり、その分子量は、それぞれ、133.1、147.13である。
表1のAについて、アミノ酸の重量比を百分率で表すと、塩基性アミノ酸であるHyLys、Lys、His及びArgは、それぞれ、0.6%、2.79%、0.33%、4.51%であり、酸性アミノ酸であるAsp及びGluは、それぞれ、4.56%、7.55%である。
記載(B)によれば、ペプチド1の平均分子量は3000であるから、ペプチド1のAの1分子あたりの塩基性アミノ酸であるHyLys、Lys、His及びArgの数は、それぞれ、0.11(3000×0.6%÷162.19)、0.57(3000×2.79%÷146.19)、0.06(3000×0.33%÷155.16)、0.78(3000×4.51%÷174.2)、その合計は1.52であり、一方、酸性アミノ酸はであるAsp及びGluの数は、それぞれ、1.03(3000×4.56%÷133.1)、1.54(3000×7.55%÷147.13)、その合計は2.57である。
同様に、ペプチド1のBの1分子あたりの塩基性アミノ酸の数の合計は1.66であり、酸性アミノ酸の数の合計は1.93であり、ペプチド2のAの1分子あたりの塩基性アミノ酸の数の合計は0.77であり、酸性アミノ酸の数の合計は1.52であり、ペプチド2のBの1分子あたりの塩基性アミノ酸の数の合計は0.88であり、酸性アミノ酸の数の合計は1.2である。
そうすると、本願明細書に記載されたとおり、表1並びに表2に列記された数値が1000残基当たりのアミノ酸の数である場合と同様に、これら2つのペプチドでは塩基性アミノ酸の数は酸性アミノ酸の数と同程度かそれ以下である以上、ペプチド1、2はいずれも酸性?中性ペプチドであり、塩基性ペプチドではないから、仮に表1並びに表2に列記された数値がアミノ酸の組成を重量比(1000分率)であるとしても、上記判断が覆るものではない。

4.むすび

以上のとおりであるから、本件出願は、本件出願は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-06-23 
結審通知日 2008-07-01 
審決日 2008-07-17 
出願番号 特願平7-279742
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 荒木 英則  
特許庁審判長 塚中 哲雄
特許庁審判官 瀬下 浩一
谷口 博
発明の名称 痩身用組成物  
代理人 尾関 弘  
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