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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1184030
審判番号 不服2006-8527  
総通号数 106 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-04-28 
確定日 2008-09-10 
事件の表示 特願2002-302263「混合冷媒分析装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 5月13日出願公開、特開2004-138453〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本件出願は、平成14年10月16日の出願であって、平成18年3月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月28日に拒絶査定不服審判の請求が行われるとともに、同年5月26日付けで手続補正が行われたものである。

2.平成18年5月26日付け手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成18年5月26日付け手続補正を却下する。

[理由]

(1)平成18年5月26日付け手続補正(本件補正)

本件補正は、補正の内容として、特許請求の範囲の請求項1について、
「【請求項1】フロン143a、フロン125、フロン134a、フロン32を含む複数の冷媒成分を含んだ混合冷媒がサンプルガスとして供給されるセルと、このセルに赤外光を照射する赤外光源と、前記セルを透過した赤外光のうち前記各冷媒成分の赤外吸収スペクトルに合わせた波長の赤外光を透過させる複数のバンドパスフィルタと、各バンドパスフィルタを透過した赤外光の強度をそれぞれ測定する複数の検出器を備えた混合冷媒分析装置において、
フロン143aに対応するバンドパスフィルタの赤外光透過中心波数の下限値と上限値が、1222?1235cm^(-1) または1263?1269cm^(-1) のいずれかの波数域に設定されているとともに、フロン125に対応するバンドパスフィルタの赤外光透過中心波数の下限値と上限値が、1205?1220cm^(-1) または1137?1151cm^(-1) のいずれかの波数域に設定され、かつ、フロン134a及びフロン32に対応するバンドパスフィルタの赤外光透過中心波数の下限値と上限値が、1180?1192cm^(-1)及び1065?1088cm^(-1)の波数域にそれぞれ設定され、
前記複数の冷媒成分に対応するバンドパスフィルタおよび検出器を、各冷媒成分の吸光度に応じて複数のグループに分類し、吸光度の大きいグループに対応するセル長を、吸光度の小さいグループに対応するセル長よりも短くして各グループ間の吸光度レベルの調整を行うように構成していることを特徴とする混合冷媒分析装置。」(下線部分は、補正箇所である。以下、補正後の請求項1に記載された発明を、「本願補正発明」という。)と補正することを含むものである。

この補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である、「セルを透過した赤外光のうち前記各冷媒成分の赤外吸収スペクトルに合わせた波長の赤外光を透過させる複数のバンドパスフィルタと、各バンドパスフィルタを透過した赤外光の強度をそれぞれ測定する複数の検出器」について「各冷媒成分の吸光度に応じて複数のグループに分類し、吸光度の大きいグループに対応するセル長を、吸光度の小さいグループに対応するセル長よりも短くして各グループ間の吸光度レベルの調整を行うように構成している」との限定を付加するものであって、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由で引用されたれた刊行物である特開平8-145517号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、「冷凍装置および冷媒の測定方法」に関する発明が記載されており、図面とともに次の記載がある。(下線は、当審にて付加。)

ア.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は冷凍装置および冷媒の測定方法に関するものであり、さらに詳しくはオゾン層を破壊する危険がないHFC系非共沸冷媒混合物を使用した冷凍装置において、容易に冷媒組成を測定できるようにした冷凍装置および冷媒の測定方法に関するものである。」

イ.「【0003】しかしながら上記の各冷媒は、その高いオゾン破壊の潜在性により、大気中に放出されて地球上空のオゾン層に到達すると、このオゾン層を破壊する。このオゾン層の破壊は冷媒中の塩素基(Cl)により引き起こされる。そこで、この塩素基の含有量の少ない冷媒、例えはクロロジフルオロメタン(HCFC-22、R-22)、塩素基を含まない冷媒、例えはジフルオロメタン(HFC-32、R-32)、ペンタフルオロエタン(HFC-125、R-125)や1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a、R-134a)、あるいはこれらの混合物がこれらの代替冷媒として考えられている。
【0004】HFC系冷媒混合物とはHFC系冷媒の2種あるいは3種以上の混合物であり、通常、混合物の沸点と露点が相違している組み合わせが多い。本発明においてはこれらの混合物をHFC系非共沸冷媒混合物と称す。HFC系非共沸冷媒混合物は、具体的には例えば、R125/R143a/134a(重量比44/52/4)(R404A、沸点-46.78℃、露点-46.08℃、商品名:HP62、デュポン社製。他に、商品名:FX70、エルフ・アチケム社製などもある。)、R32/R125/134a(重量比20/40/40)(R407A、沸点-45.4℃、露点-38.8℃、商品名:KLEA60G2、ICI社製。)などを挙げることができる。
【0005】図5に従来の冷凍装置の冷凍回路の例を示す。1は圧縮機、2は凝縮器、3は減圧器(膨張弁)、4は蒸発器、矢印は冷媒の流れ方向を示す。この冷凍回路において冷媒が漏れることがあり、冷媒量が少なくなると冷凍能力、EER(冷凍能力/消費電力)が低下するので、冷媒を補充する必要が生じる。R-12などの単一の冷媒や共沸混合冷媒のR-502を用いる場合は冷凍回路中の冷媒圧力を測定するなどの方法により比較的簡単に冷媒を補充することができる。しかし、HFC系非共沸冷媒混合物を用いた場合は漏れと共に組成が変化するので、冷媒を補充するには冷媒組成を知る必要がある。」

ウ.「【0014】本発明の請求項7の発明は、請求項1ないし請求項5記載の冷凍装置を運転中に冷凍回路に設けた測定用部材に光を透過させその吸収により冷媒組成を連続的に測定することを特徴とする冷媒の測定方法である。」

エ.「【0017】
【作用】本発明の冷凍装置は、冷凍回路に光学的分析法あるいはクロマトグラフ法による冷媒組成の測定用部材を設けたことを特徴とする。光学的分析法としては特に限定されないが、近赤外分光分析法あるいは赤外分光分析法が好ましい。赤外分光分析法としてはFTIR(フーリエ変換赤外分光分析)を用いることが好ましい。光学的分析法により冷媒組成を測定する際には測定用部材として開閉弁などを有する冷媒試料採取口を用い、その採取口から冷媒組成物を光学的分析装置のセルに入れて測定してもよいが、測定用部材自身が冷媒組成の測定用セルであってもよい。
【0018】測定用部材自身が冷媒組成の測定用セルである場合は、耐圧性、気密性などを有し、霜や露がつかないように工夫した測定用セルを用いると共に、測定する冷媒組成物と共に流れる冷凍機油が1500?700cm^(-1)に吸収があり測定変動の要因となるので、冷凍機油がセルに油膜として付着しないようにするなどの工夫をすることが好ましい。具体的には、例えば、冷凍機油の冷媒組成の測定に対する影響を抑制した構造を有する測定用セルを用いることが好ましい。
【0019】赤外分光分析法で用いる赤外領域はC-H、O-H、N-Hなどの官能基の基本振動領域のために吸収係数が大きいため測定試料の希釈などの前処理が必要となる場合があるので、測定する試料は気相の試料が適している。従って赤外分光分析法の場合は、測定用部材としてのセルは蒸発器と圧縮機を結ぶ管路もしくは蒸発器の出口側に配置されるアキュムレータと圧縮機とを結ぶ管路に設けることが好ましい。
【0020】一方、近赤外分光分析法で用いる近赤外領域は各官能基の基本振動の倍音または2倍音の吸収帯であり、吸収係数が小さいという特徴がある。そのため液体の試料を希釈するなどの前処理が不要であり、液体試料の測定にも適している。
【0021】光学的分析法における吸光度はランバート・ベールの法則により圧力と光路長が一定であれば、濃度に比例することが知られている。実際には、例えば濃度既知の試料を用いて濃度と吸光度の関係を求めておき、測定により得られた吸光度により濃度を知ることができる。」

そして、これらの記載から、引用刊行物1には「R143a、R-125、R-134a、R-32の混合物であるHFC系非共沸冷媒混合物の気相試料の冷媒組成を測定するための測定用セルを有し、前記測定用セルに赤外光を透過させ、測定により得られた吸光度に基いたフーリエ変換赤外分光分析法により前記HFC系非共沸冷媒混合物の冷媒組成を測定する装置。」(以下、「引用刊行物1記載の発明」という。)が記載されているものと認められる。

(3)対比・判断
本願補正発明と上記引用刊行物1記載の発明とを対比する。

引用刊行物1記載の発明の「R143a」、「R-125」、「R-134a」、「R-32」、「HFC系非共沸冷媒混合物」、「気相試料」、「測定セル」および「HFC系非共沸冷媒混合物の冷媒組成を測定する装置」は、それぞれ本願補正発明の「フロン143a」、「フロン125」、「フロン134a」、「フロン32」、「複数の冷媒成分を含んだ混合冷媒」、「ガスサンプル」、「混合冷媒がサンプルガスとして供給されるセル」及び「混合冷媒分析装置」に相当する。

また、引用刊行物1記載の発明においては、測定用セルに赤外光を透過させているのであるから、前記測定用セルに赤外光照射する赤外光源を有することは明らかである。

また、引用刊行物1記載の発明においては、測定用セルを透過した赤外光の吸光度を測定するのであるから、該赤外光の検出手段を有することは明らかである。

また、引用刊行物1記載の発明における「測定用セルに赤外光を透過させ、測定により得られた吸光度に基いたフーリエ変換赤外分光分析法」と、本願補正発明の「セルを透過した赤外光のうち前記各冷媒成分の赤外吸収スペクトルに合わせた波長の赤外光を透過させる複数のバンドパスフィルタと、各バンドパスフィルタを透過した赤外光の強度をそれぞれ測定する複数の検出器を備えた混合冷媒分析装置において、
フロン143aに対応するバンドパスフィルタの赤外光透過中心波数の下限値と上限値が、1222?1235cm^(-1)または1263?1269cm^(-1) のいずれかの波数域に設定されているとともに、フロン125に対応するバンドパスフィルタの赤外光透過中心波数の下限値と上限値が、1205?1220cm^(-1) または1137?1151cm^(-1) のいずれかの波数域に設定され、かつ、フロン134a及びフロン32に対応するバンドパスフィルタの赤外光透過中心波数の下限値と上限値が、1180?1192cm^(-1)及び1065?1088cm^(-1)の波数域にそれぞれ設定され」ることとは、「セルを透過した赤外光のうち、混合冷媒の冷媒成分に対応した赤外吸収波長の吸収度に基づいて混合冷媒の分析を行う」という点で、共通するものである。

したがって、両者は「フロン143a、フロン125、フロン134a、フロン32を含む複数の冷媒成分を含んだ混合冷媒がサンプルガスとして供給されるセルと、このセルに赤外光を照射する赤外光源と、赤外光の検出手段とを備え、前記セルを透過した赤外光のうち、混合冷媒の冷媒成分に対応した赤外吸収波長の吸収度に基づいて混合冷媒の分析を行う混合冷媒分析装置」である点で一致し、次の点で相違すると認められる。

(相違点1)
上記セルを透過した赤外光のうち、混合冷媒の冷媒成分に対応した赤外吸収波長の吸収度に基づいて混合冷媒の分析を行うために、本願補正発明においては「セルを透過した赤外光のうち前記各冷媒成分の赤外吸収スペクトルに合わせた波長の赤外光を透過させる複数のバンドパスフィルタと、各バンドパスフィルタを透過した赤外光の強度をそれぞれ測定する複数の検出器を備えた混合冷媒分析装置において、
フロン143aに対応するバンドパスフィルタの赤外光透過中心波数の下限値と上限値が、1222?1235cm^(-1)または1263?1269cm^(-1) のいずれかの波数域に設定されているとともに、フロン125に対応するバンドパスフィルタの赤外光透過中心波数の下限値と上限値が、1205?1220cm^(-1) または1137?1151cm^(-1) のいずれかの波数域に設定され、かつ、フロン134a及びフロン32に対応するバンドパスフィルタの赤外光透過中心波数の下限値と上限値が、1180?1192cm^(-1)及び1065?1088cm^(-1)の波数域にそれぞれ設定され」るのに対して、引用刊行物1記載の発明においては、そのような構成を有していない点。

(相違点2)
本願補正発明は、「複数の冷媒成分に対応するバンドパスフィルタおよび検出器を、各冷媒成分の吸光度に応じて複数のグループに分類し、吸光度の大きいグループに対応するセル長を、吸光度の小さいグループに対応するセル長よりも短くして各グループ間の吸光度レベルの調整を行うように構成している」のに対し、引用刊行物1記載の発明においては、そのような構成を有していない点。

上記相違点について検討する。

(相違点1について)
被測定混合試料に含まれる複数成分に対応した赤外吸収波長の吸収度に基づいて光学的分析を行う分析装置において、セルを透過した赤外光のうち前記各複数成分の赤外吸収スペクトルに合わせた波長の赤外光を透過させる複数のバンドパスフィルタと、各バンドパスフィルタを透過した赤外光の強度をそれぞれ測定する複数の検出器を備えて分析を行う技術は周知(例えば、特開平6-180284号公報【0011】、特表平7-505712号公報第4ページ左上欄第1行-右上欄第3行、第5ページ右上欄第1行-左下欄第12行及び第5ページ右下欄第5行-6行参照)であり、引用刊行物1記載の発明におけるフーリエ変換赤外分光分析法に代えて、上記周知の技術を用いることは当業者が容易に想到し得ることである。
そしてその際に、各バンドパスフィルタの特性を決定するに当たっては、下記の2点、
(1)フロンなどの冷媒の非分散式吸光分析において用いられるファイルタ特性は、最大ピーク以外の赤外線吸収ピークに対応したフィルタであっても良いことは周知(例えば、拒絶理由で示した特開平2-124448号公報第4ページ左下欄第13行-19行、同ページ右下欄第13-15行及び第4図の他に、国際公開第00/55603号(特表2002-539447号)第10ページ第10行-第11ページ第18行(公表公報【0025】-【0029】)及び第5図参照)であること、
(2)フロン143aの赤外吸収波長が、1222?1235cm^(-1) または1263?1269cm^(-1) の波数域に、フロン125の赤外吸収波長が、1205?1220cm^(-1) または1137?1151cm^(-1) の波数域に、フロン134aの赤外吸収波長が、1180?1192cm^(-1) の波数域に、フフロン32の赤外吸収波長が1065?1088cm^(-1) の波数域に存在することは周知(フロン143aについては、例えば、K. SMITH, et al.「INFRARED ABSORPTION CROSS-SECTIONS AND INTEGRATED ABSORPTION INTENSITIES OF HFC-134 AND HFC-143a VAPOUR」 J. Quant Spectrosc. Radiat. Transfer, Vol.59, No. 3-5, 1998年, pp. 437-451のTable 3 及び Stephanie Tai, et al.「Reassignment of the vibrational spectra of CHF_(2)CH_(3)(HFC-152a), CF_(3)CH_(2)(HFC-143a), CF_(3)CHF_(2)(HFC-125), and CHCl_(2)CF_(3)(HCFC-123)」Spectrochimica Acta Part A 55, 1999年, pp.9-24のFig. 2(b) 参照、フロン125については、例えば、Stephanie Tai, et al.「Reassignment of the vibrational spectra of CHF_(2)CH_(3)(HFC-152a), CF_(3)CH_(2)(HFC-143a), CF_(3)CHF_(2)(HFC-125), and CHCl_(2)CF_(3)(HCFC-123),Spectrochimica Acta Part A 55, 1999年, pp.9-24のFig. 2(c) 参照、フロン134aについては、例えば、Stella Papasavva, et al.「Ab Initio Calculations of Vibrational Frequencies and Infrared Intensities for Global Warmimg Potential of CFC Substitutes: CF_(3)CH_(2)F(HFC-134a)」J. Phys. Chem., Vol. 99, No. 11, 1995年, pp. 3438-3443のTABLE 1 参照、フロン32については、例えば、Janina Matuszeski, et al.「Diode laser spectrum of the ν_(9) fundamental band of jet-cooled CH_(2)F_(2)」 Spectrochimica Acta Part A 52, 1996年, pp. 1069-1077のFig. 2及びTable 1 及び K. M. Smith, et al.「A High-Resolution Analysis of the ν_(3) and ν_(9) Absorption Bands of Difluoromethane」Journal of Molecular Spectroscopy, Vol. 193, 1999年, pp. 166-173のFig. 2 参照)であること、
を踏まえれば、それぞれの冷媒成分に対応した上記周知の赤外吸収波長の波数域に赤外光透過中心波数を有するバンドパスフィルタを用いることは当業者が適宜選択することである。

(相違点2について)
被測定混合試料の複数の成分に対応するバンドパスフィルタおよび検出器を有する光分析装置においては、各冷媒成分の吸光度に応じて複数のグループに分類し、吸光度の大きいグループに対応するセル長を、吸光度の小さいグループに対応するセル長よりも短くして各グループ間の吸光度レベルの調整を行うように構成する技術は周知(例えば、特開平6-180284号公報【0011】並びに特表平7-505712号公報第4ページ左上欄第17行-右上欄第3行及び第5ページ左下欄第2行-12行参照)であり、上記「相違点1について」で示したように、引用刊行物1記載の発明におけるフーリエ変換赤外分光分析法に代えて、被測定混合試料の複数の成分に対応するバンドパスフィルタおよび検出器を有する構成とする際に、上記周知技術のようにセル長を調整することは当業者が適宜なし得ることである。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用刊行物1記載の発明及び上記周知技術から当業者であれば予測できる範囲のものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願補正発明は、引用刊行物1記載の発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成18年5月26日付け手続補正は上記のとおり却下されることとなるので、本願の請求項1に係る発明は、平成17年12月2日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された、以下のとおりのものである。

「【請求項1】フロン143a、フロン125、フロン134a、フロン32を含む複数の冷媒成分を含んだ混合冷媒がサンプルガスとして供給されるセルと、このセルに赤外光を照射する赤外光源と、前記セルを透過した赤外光のうち前記各冷媒成分の赤外吸収スペクトルに合わせた波長の赤外光を透過させる複数のバンドパスフィルタと、各バンドパスフィルタを透過した赤外光の強度をそれぞれ測定する複数の検出器を備えた混合冷媒分析装置において、
フロン143aに対応するバンドパスフィルタの赤外光透過中心波数の下限値と上限値が、1222?1235cm^(-1)または1263?1269cm^(-1) のいずれかの波数域に設定されているとともに、フロン125に対応するバンドパスフィルタの赤外光透過中心波数の下限値と上限値が、1205?1220cm^(-1) または1137?1151cm^(-1) のいずれかの波数域に設定され、かつ、フロン134a及びフロン32に対応するバンドパスフィルタの赤外光透過中心波数の下限値と上限値が、1180?1192cm^(-1)及び1065?1088cm^(-1)の波数域にそれぞれ設定されていることを特徴とする混合冷媒分析装置。」(以下、平成17年12月2日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明を「本願発明」という。)。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用した引用刊行物1及びその記載事項は上記「2.(2)引用例」に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から、「セルを透過した赤外光のうち前記各冷媒成分の赤外吸収スペクトルに合わせた波長の赤外光を透過させる複数のバンドパスフィルタと、各バンドパスフィルタを透過した赤外光の強度をそれぞれ測定する複数の検出器」について「各冷媒成分の吸光度に応じて複数のグループに分類し、吸光度の大きいグループに対応するセル長を、吸光度の小さいグループに対応するセル長よりも短くして各グループ間の吸光度レベルの調整を行うように構成している」との限定を省いたものである。

そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「2.(3)対比・判断」に記載したとおり、引用刊行物1記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用刊行物1記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用刊行物1記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について言及するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-07-08 
結審通知日 2008-07-15 
審決日 2008-07-28 
出願番号 特願2002-302263(P2002-302263)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01N)
P 1 8・ 575- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 樋口 宗彦田邉 英治横尾 雅一  
特許庁審判長 後藤 時男
特許庁審判官 秋田 将行
信田 昌男
発明の名称 混合冷媒分析装置  
代理人 藤本 英夫  

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