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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1184096
審判番号 不服2004-22268  
総通号数 106 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-10-28 
確定日 2008-09-11 
事件の表示 特願2000-135506「デリバリー製品のネットワーク販売システムおよび販売方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年11月16日出願公開、特開2001-319107〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続き経緯
本願は、平成12年5月9日の出願であって、平成16年9月21日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月28日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、同年11月25日付けで手続補正がなされたものである。


2.平成16年11月25日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年11月25日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)本件補正
平成16年11月25日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲を以下のように補正するものである。
「【請求項1】
注文者が使用するユーザー端末と、データセンターが有するデータセンター端末と、最寄販売店が使用する最寄販売店端末と、これらの端末を相互に接続するネットワークとから構成されるデリバリー製品のネットワーク販売システムであって、
前記ユーザー端末は、前記データセンター端末にアクセスし、最寄販売店検索情報である郵便番号,購入注文情報,少なくとも住所を含む受領場所情報を前記データセンター端末へ送信する機能を有し、
前記データセンター端末は、前記ユーザー端末からのアクセスに応答して最寄販売店の検索画面情報をユーザー端末へ送信する機能と、前記ユーザー端末から送信された郵便番号を受信し、受信した郵便番号をもとにデータベースを検索し、配達の可否および最寄販売店を検索する機能と、この検索結果および製品情報のいずれか一方、あるいは双方を前記ユーザー端末へ送信する機能と、前記ユーザー端末から購入注文情報と少なくとも住所を含む受領場所情報とを受信する機能と、受信した前記購入注文情報と前記少なくとも住所を含む受領場所情報とを前記最寄販売店の前記最寄販売店端末へ送信する機能とを有し、
前記データセンター端末が、前記ユーザー端末からのアクセスに応答して最寄販売店の検索画面情報を前記ユーザー端末へ送信し、前記ユーザー端末から最寄販売店検索情報である郵便番号を受信し、受信した前記郵便番号をもとにデータベースを検索し、配達の可否および最寄販売店を検索し、この検索結果および製品情報のいずれか一方、あるいは双方を前記ユーザー端末へ送信し、前記ユーザー端末から購入注文情報と少なくとも住所を含む受領場所情報とを受信し、受信した前記購入注文情報および前記少なくとも住所を含む受領場所情報を前記最寄販売店の前記最寄販売店端末へ送信し、受信した前記購入注文情報と前記少なくとも住所を含む受領場所情報とをもとに、注文者に対して、注文の確認を行う、ことを特徴とするデリバリー製品のネットワーク販売システム。
【請求項2】-【請求項6】省略」

(2)本件補正に対する判断
(2-1)本件補正の前の特許請求の範囲は、平成15年12月25日付手続補正によるものであって、次のとおりのものである。
「【請求項1】
注文者が使用するユーザー端末と、データセンターが有するデータセンター端末と、最寄販売店が使用する最寄販売店端末と、これらの端末を相互に接続するネットワークとから構成されるデリバリー製品のネットワーク販売システムであって、
前記ユーザー端末は、前記データセンター端末にアクセスし、最寄販売店検索情報である郵便番号,購入注文情報,少なくとも住所を含む受領場所情報を前記データセンター端末へ送信する機能を有し、
前記データセンター端末は、前記ユーザー端末から送信された情報を受信し、受信した郵便番号をもとにデータベースを検索し、配達の可否および最寄販売店を検索する機能と、この検索結果および製品情報のいずれか一方、あるいは双方を前記ユーザー端末へ送信する機能と、前記購入注文情報と前記少なくとも住所を含む受領場所情報とを前記最寄販売店の前記最寄販売店端末へ送信する機能とを有し、
前記最寄販売店端末は、前記購入注文情報と前記少なくとも住所を含む受領場所情報とを受信し、注文者へ注文の確認をする機能を有することを特徴とするデリバリー製品のネットワーク販売システム。
【請求項2】-【請求項7】省略」

(2-2)検討
本件補正は前記のとおりのものであって、その補正の前後の内容を対比してみると、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明を補正したものと認められるが、
(ア)本件補正の請求項1に係る「前記データセンター端末が、・・・受信した前記購入注文情報と前記少なくとも住所を含む受領場所情報とをもとに、注文者に対して、注文の確認を行う」補正は、補正前請求項1に記載された発明特定事項である「前記最寄販売店端末は、前記購入注文情報と前記少なくとも住所を含む受領場所情報とを受信し、注文者へ注文の確認をする機能を有する」を限定するものでなく、最寄販売店端末の機能である「前記最寄販売店端末は、前記購入注文情報と前記少なくとも住所を含む受領場所情報とを受信し、注文者へ注文の確認をする機能を有する」ことを削除するものであるから、当該補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものとは認められない。
(イ)本件補正の請求項1に係る「前記データセンター端末が、前記ユーザー端末からのアクセスに応答して最寄販売店の検索画面情報を前記ユーザー端末へ送信し、前記ユーザー端末から最寄販売店検索情報である郵便番号を受信し、受信した前記郵便番号をもとにデータベースを検索し、配達の可否および最寄販売店を検索し、この検索結果および製品情報のいずれか一方、あるいは双方を前記ユーザー端末へ送信し、前記ユーザー端末から購入注文情報と少なくとも住所を含む受領場所情報とを受信し、受信した前記購入注文情報および前記少なくとも住所を含む受領場所情報を前記最寄販売店の前記最寄販売店端末へ送信し、受信した前記購入注文情報と前記少なくとも住所を含む受領場所情報とをもとに、注文者に対して、注文の確認を行う」との補正は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「前記データセンター端末は、前記ユーザー端末から送信された情報を受信し、受信した郵便番号をもとにデータベースを検索し、配達の可否および最寄販売店を検索する機能と、この検索結果および製品情報のいずれか一方、あるいは双方を前記ユーザー端末へ送信する機能と、前記購入注文情報と前記少なくとも住所を含む受領場所情報とを前記最寄販売店の前記最寄販売店端末へ送信する機能とを有し、
前記最寄販売店端末は、前記購入注文情報と前記少なくとも住所を含む受領場所情報とを受信し、注文者へ注文の確認をする機能を有する」というユーザー端末、データセンター端末が有する機能を限定するものではなく、新たに情報処理の手順を追加するものであるから、当該補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものとは認められない。

また、補正前請求項1に記載された発明特定事項である「前記最寄販売店端末は、前記購入注文情報と前記少なくとも住所を含む受領場所情報とを受信し、注文者へ注文の確認をする機能を有する」ことを削除し、補正後の請求項1に係る「前記データセンター端末が、前記ユーザー端末からのアクセスに応答して最寄販売店の検索画面情報を前記ユーザー端末へ送信し、前記ユーザー端末から最寄販売店検索情報である郵便番号を受信し、受信した前記郵便番号をもとにデータベースを検索し、配達の可否および最寄販売店を検索し、この検索結果および製品情報のいずれか一方、あるいは双方を前記ユーザー端末へ送信し、前記ユーザー端末から購入注文情報と少なくとも住所を含む受領場所情報とを受信し、受信した前記購入注文情報および前記少なくとも住所を含む受領場所情報を前記最寄販売店の前記最寄販売店端末へ送信し、受信した前記購入注文情報と前記少なくとも住所を含む受領場所情報とをもとに、注文者に対して、注文の確認を行う」という情報処理の手順を新たに追加する上記各補正が、特許法第17条の2第4項第1号に掲げられた請求項の削除、同第3号に掲げられた誤記の訂正、同第4号に掲げられた明りょうでない記載の釈明のいずれをも目的としていないことは明らかである。

(3)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


3.本願発明について
(1)本願発明
平成16年11月25日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1乃至7に係る発明は、平成15年12月25日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至7に記載されたとおりものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
「注文者が使用するユーザー端末と、データセンターが有するデータセンター端末と、最寄販売店が使用する最寄販売店端末と、これらの端末を相互に接続するネットワークとから構成されるデリバリー製品のネットワーク販売システムであって、
前記ユーザー端末は、前記データセンター端末にアクセスし、最寄販売店検索情報である郵便番号,購入注文情報,少なくとも住所を含む受領場所情報を前記データセンター端末へ送信する機能を有し、
前記データセンター端末は、前記ユーザー端末から送信された情報を受信し、受信した郵便番号をもとにデータベースを検索し、配達の可否および最寄販売店を検索する機能と、この検索結果および製品情報のいずれか一方、あるいは双方を前記ユーザー端末へ送信する機能と、前記購入注文情報と前記少なくとも住所を含む受領場所情報とを前記最寄販売店の前記最寄販売店端末へ送信する機能とを有し、
前記最寄販売店端末は、前記購入注文情報と前記少なくとも住所を含む受領場所情報とを受信し、注文者へ注文の確認をする機能を有することを特徴とするデリバリー製品のネットワーク販売システム。」

(2)引用例
原査定の拒絶理由の理由Aで引用された、特開平9-233232号公報(以下「引用例」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。

(ア)「【請求項1】端末装置と、該端末装置との情報授受を行う情報管理装置とを通信回線で接続してなる通信システムにおいて、前記端末装置が前記情報管理装置に接続されている状態で、該端末装置の利用者の所在地情報を取得する所在地情報取得手段と、該端末装置の利用者の要求情報を該端末装置から取得する要求情報取得手段と、利用者の要求情報を実現可能な複数の被要求対象者の位置情報をあらかじめ保持したデータベースと、前記所在地情報取得手段により取得された利用者の所在地情報に基づき、該利用者の所在地に適合する被要求対象者の位置情報を前記データベースから取得する位置情報取得手段と、該位置情報取得手段により取得された前記被要求対象者の位置情報に基づき、前記要求情報取得手段により取得された利用者の要求情報を該被要求対象者に通知する要求情報通知手段とを前記情報管理装置に備えたことを特徴とする通信システム。
【請求項2】前記情報管理装置は、前記要求情報を受取るべく前記被要求対象者側に設けた要求情報受信装置に通信回線を介して接続され、前記要求情報通知手段は、該要求情報受信装置に該通信回線を介して前記要求情報を通知することを特徴とする請求項1記載の通信システム。
」(【特許請求の範囲】)

(イ)「【0009】かかる本発明において、情報管理装置から前記被要求対象者に前記利用者の要求情報を通知する際には、メールや、無線、電話、ファクシミリ等の種々の手段が可能であるが、前記情報管理装置を、前記要求情報を受取るべく前記被要求対象者側に設けたファクシミリやパソコン等の要求情報受信装置に通信回線を介して接続しておき、前記要求情報を、該要求情報受信装置に該通信回線を介して通知することが特に好ましい。これにより、前記被要求対象者への前記要求情報の通知を確実に行うことができる。」(段落【0009】)

(ウ)「【0017】図1を参照して、本実施形態の通信システムは、例えば利用者の食事の宅配注文を利用者の要求情報として、それを受けるべき料理店(被要求対象者)に該宅配注文を伝えるようにしたシステムであり、利用者が所持する端末装置1と電話器2とが、業者の所持するコンピュータシステム等から成る情報管理装置3に公衆回線網4を介して接続されている。また、情報管理装置3には、複数の料理店Aがそれぞれ所持する要求情報受信装置としてのファクシミリ装置5(以下、FAX装置5という)と電話器6とが、利用者の端末装置1等と同様に、公衆回線網4を介して接続されている。尚、本実施形態では、各料理店Aは、いずれも同じ種類の料理を提供可能としている。
【0018】端末装置1は、例えばパソコンにより構成されたものであり、前記公衆回線網4にモデム7を介して接続された本体部8と、この本体部8に備えられたディスプレイ8a(表示装置)とを具備し、本体部8の所定のキーボード操作やマウス操作により情報管理装置3に随意にアクセス可能としている。・・・(中略)・・・
【0021】情報管理装置3は、図2に示すように、本システムの統合的な管理を行うコンピュータ装置9と、利用者や料理店の電話器2,6への自動電話を行う音声応答装置10と、各料理店Aの情報等をあらかじめ保持したデータベース11と、各料理店Aへの後述の通知を行う際に音声応答装置10による電話とFAXによる通知とを切り換える交換機12とを具備する。そして、コンピュータ装置9は、利用者の端末装置1との通信を行うべくモデム13を介して公衆回線網4に接続され、また、各料理店AへのFAX送信を行うべくFAXモデム14及び前記交換機12を介して公衆回線網4に接続されている。また、音声応答装置10や交換機12は、コンピュータ装置9の指示により後述するように作動するようになっている。
【0022】データベース11は、図3に示すように、本システムで注文を受け付ける複数の料理メニューに関する情報を保持したメニュー情報ファイルと、図4に示すように各料理店Aに関する情報を保持した店情報ファイルとを備えており、メニュー情報ファイルには、各料理メニュー毎の番号や、名称、値段が保持されている。また、店情報ファイルには、各料理店A毎の、位置情報を示す郵便番号や、店名、電話番号、FAX番号が保持されている。」(段落【0017】-【0022】)

(エ)「【0025】図5を参照して、利用者が本システムを利用して料理の宅配注文を行う際には、端末装置1を操作して情報管理装置3にアクセス(ログイン)した後(STEP1)、該端末装置1により、注文内容を入力する(STEP2)。この場合、入力する注文内容は、例えば注文しようとする料理のメニュー番号と、各メニューの注文個数である。このとき、端末装置1から入力された注文内容は、端末装置1からモデム7、公衆回線網4、モデム13を介して情報管理装置3のコンピュータ装置9に与えられ、さらに該コンピュータ装置9では、シリアルドライバ15を介してコントロール部17の要求情報取得部19に取り込まれる。そして、該注文内容を取り込んだコントロール部17は、前記データベース11のメニュー情報ファイル(図3参照)を検索して注文を受けたメニューの名称や、値段を引出し、それらをシリアルドライバ15、モデム13、公衆回線網4及びモデム7を介して端末装置1に送信して、受け付けた注文の受注内容(メニュー名及びその個数)及び金額を該端末装置1のディスプレイ8aに表示せしめる。(STEP3)。
【0026】そして、利用者がそれを端末装置1のディスプレイ8aで確認した後(STEP4)、該利用者は、自身の住所、氏名、郵便番号、電話番号を該端末装置1により入力する(STEP5)。このとき、入力された利用者の情報は、前記注文内容と同様に、情報管理装置3のコンピュータ装置9に与えられ、該コンピュータ装置9において、コントロール部17の所在地情報取得部18に取り込まれる。・・・(中略)・・・
【0027】次いで、コンピュータ装置9のコントロール部17は、位置情報取得部20により、所在地情報取得部18に取り込まれた利用者の所在地情報(郵便番号や電話番号)に基づき、データベース11の店情報ファイル(図4参照)から、利用者の最寄りの料理店Aを検索し、検索した料理店Aの位置情報等(料理店Aの名称や電話番号やFAX番号)を該位置情報取得部20に取り込む(STEP6)。・・・(中略)・・・
【0029】これにより該端末装置1の利用者は、最寄りの料理店Aの位置情報を認識することができ、それを次回の注文等に際して活用することができる。
【0030】次に、情報管理装置3のコンピュータ装置9のコントロール部17は、検索した料理店Aに、利用者の注文内容やその所在地等をFAX送信するための注文書データを作成した後(STEP8)、前記要求情報通知部21により、該料理店Aへの注文がある旨の電話を行わしめるべく音声応答装置10及び交換機12に指示する。このとき、交換機12は音声応答装置10側に切り換えられると共に、該音声応答装置10は、位置情報取得部20に取り込まれた料理店Aの電話番号に従って交換機12及び公衆回線網4を介して該料理店Aの電話器6に電話する(STEP9)。
・・・(中略)・・・該料理店Aへの電話が該料理店Aの店員等により受け取られると(STEP10でNO)、該料理店Aの店員等に音声応答装置10から、注文がある旨の通知が自動音声で行われ、該料理店Aが注文を受け付ける場合には、一定時間内に電話器6の所定の応答操作を行う(STEP11)。そして、その注文の受付の応答操作が行われると、それが情報管理装置3のコントロール部17により認識され、このとき、コントロール部17の要求情報通知部21は、交換機12をFAXモデム14に切り換えて、先に作成された注文書データをFAXドライバ16、FAXモデム14、交換機12及び公衆回線網4を介して料理店AのFAX装置5に送信する(STEP12)。これにより、料理店A側では、利用者の注文内容や所在地を確実に認識することができ、それに応じた利用者への料理の宅配を行うことができる。・・・(中略)・・・
【0033】上記のようにして料理店AへのFAX送信が完了した後(STEP13)、コントロール部17の要求情報通知部21は、次に利用者の端末装置1が、情報管理装置3に対して切断されているか否かを判断し(STEP14)、切断されていない場合(接続されている場合)には、料理店Aへの注文が完了した旨を公衆回線網4等を介して利用者の端末装置1に送信して、該端末装置1のディスプレイ8aに表示せしめる(STEP15)。これにより、利用者は、自身の注文が確かに料理店Aになされたことを認識することができる。そして、この後は、利用者が端末装置1を情報提供装置3に対して切断すれば(STEP16)、処理が終了する。」(段落【0025】-【0033】)

(オ)「【0038】以上のように本実施形態の通信システムによれば、利用者は、自身の所在地や、注文内容等を端末装置1に入力するだけで、最寄りの料理店Aから所望のサービス提供(料理の宅配)を効率よく迅速に受けることができる。」(段落【0038】)

(カ)「0040】また、本実施形態では、要求情報受信装置として、ファクシミリ装置5を使用したが、端末装置1と同様のパソコン等を使用するようにしてもよい。」(段落【0040】)

また、上記摘記事項(イ)、(カ)には、要求情報受信装置としてパソコンを使用する点が記載されていることから、要求情報受信装置は、要求情報受信端末であることは明らかである。

また、上記摘記事項(エ)には、情報管理装置が、利用者の注文内容やその所在地等をFAX送信するための注文書データを作成し、注文書データを公衆回線網を介して料理店に送信することが記載されていることから、情報管理装置が、利用者の注文内容やその所在地等を要求情報受信装置に送信し、要求情報受信装置が、利用者の注文内容やその所在地等を受信していることは明らかである。そして、引用例は、注文料理を利用者宅に宅配するシステムであるから、上記所在地等の情報に、宅配先を特定するための情報である利用者の住所や氏名が含まれることは明らかである。

そうすると、引用例には、
「利用者が使用する端末装置と、業者が有する情報管理装置と、最寄料理店が使用する要求情報受信端末と、これらの端末を相互に接続する公衆回線網とから構成される料理の宅配注文の通信システムであって、
前記端末装置は、前記情報管理装置にアクセスし、最寄料理店検索情報である郵便番号や電話番号,注文内容,住所、氏名を前記情報管理装置へ送信する機能を有し、
前記情報管理装置は、前記端末装置から送信された情報を受信し、受信した郵便番号や電話番号をもとにデータベースを検索し、最寄料理店を検索する機能と、この検索された料理店の名称や電話番号を前記端末装置へ送信する機能と、前記注文内容と前記住所、氏名とを前記最寄料理店の前記要求情報受信端末へ送信する機能とを有し、
前記要求情報受信端末は、前記注文内容と前記住所、氏名とを受信する機能を有することを特徴とする料理の宅配注文の通信システム。」
との発明(以下「引用例発明」という。)が開示されていると認められる。

(3)対比
本願発明と引用例発明とを対比する。
引用例発明の「利用者」、「料理店」、「公衆回線網」、「料理」、「端末装置」、「注文内容」は、本願発明の「注文者」、「販売店」、「ネットワーク」、「デリバリー製品」、「ユーザー端末」、「購入注文情報」にそれぞれ相当し、また、引用例発明の「住所、氏名」は、宅配製品の受領場所である住所を含む情報であるから、本願発明の「少なくとも住所を含む受領場所情報」に相当する。
また、引用例発明の「業者が有する情報管理装置」は、複数の料理店に関する情報を記憶するデータベースを有するともに、利用者からの注文情報を要求情報受信端末へ送信する機能を有する装置であるから、本願発明の「データセンターが有するデータセンター端末」に対応する。
また、引用例発明の「検索された料理店の名称や電話番号」の情報は、検索結果の情報といえるから、引用例発明の「検索された料理店の名称や電話番号」と、本願発明の「検索結果および製品情報のいずれか一方」とは、「検索結果」である点で共通する。
また、引用例発明の「要求情報受信端末」は、注文者に注文の確認する機能はないものの、購入注文情報、少なくとも住所を含む受領場所情報を受信している点で、本願発明の「最寄販売店端末」に対応する。
また、引用例発明の「通信システム」は、各端末をネットワークを介して接続してデリバリー製品の販売を行うシステムであるから、本願発明の「ネットワーク販売システム」に対応する。

そうすると、本願発明と引用例発明とは、
「注文者が使用するユーザー端末と、データセンターが有するデータセンター端末と、最寄販売店が使用する最寄販売店端末と、これらの端末を相互に接続するネットワークとから構成されるデリバリー製品のネットワーク販売システムであって、
前記ユーザー端末は、前記データセンター端末にアクセスし、最寄販売店検索情報である郵便番号,購入注文情報,少なくとも住所を含む受領場所情報を前記データセンター端末へ送信する機能を有し、
前記データセンター端末は、前記ユーザー端末から送信された情報を受信し、受信した郵便番号をもとにデータベースを検索し、最寄販売店を検索する機能と、この検索結果を前記ユーザー端末へ送信する機能と、前記購入注文情報と前記少なくとも住所を含む受領場所情報とを前記最寄販売店の前記最寄販売店端末へ送信する機能とを有し、
前記最寄販売店端末は、前記購入注文情報と前記少なくとも住所を含む受領場所情報とを受信する機能を有することを特徴とするデリバリー製品のネットワーク販売システム。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
前記データセンター端末が、本願発明では、「配達の可否および」最寄り販売店を検索する機能を有しているのに対し、引用例発明では、配達の可否を検索する点についての開示はない点。

[相違点2]
前記データセンター端末が、本願発明では、検索結果および製品情報のいずれか一方、「あるいは双方」をユーザー端末へ送信する機能を有しているのに対し、引用例発明では、検索結果および製品情報の双方を送信する点についての開示はない点。

[相違点3]
前記最寄販売店端末が、本願発明では「注文者へ注文の確認をする」機能を有しているのに対し、引用例発明では、そのような機能についての開示はない点。


(4)当審の判断
上記相違点について検討する。
[相違点1]について
一般に、料理等の宅配を行うサービスにおいて、宅配を行う配達範囲を定め、注文が配達範囲内にあるか否かによってサービスを提供の可否を判断することは周知の事項である。
してみれば、引用例発明に上記周知の事項を適用して、前記データセンター端末が、「配達の可否および」最寄り販売店を検索する機能を有するものとすることは、当業者が容易に想到することができた事項である。
したがって、相違点1に係る本願補正発明の構成は、引用例発明に記載された事項及び周知の事項に基づき、当業者が容易に想到することができた事項である。

[相違点2]について
一般に、ネットワークを利用した商品販売システムにおいて、クライアント端末に製品情報を送信して、受信した製品情報に基づいてクライアントが所望の製品を選択・購入することは、周知の事項である。
してみれば、引用例発明に上記周知の事項を適用して、データセンター端末が、検索結果および製品情報の双方をユーザー端末へ送信することは、容易に相当することができたものである。
したがって、相違点2に係る本願補正発明の構成は、引用例発明に記載された事項及び周知の事項に基づき、当業者が容易に想到することができた事項である。

[相違点3]について
一般に、ネットワークを利用した商品販売システムにおいて、注文者へ注文の確認を行うことは周知の事項である。
してみれば、引用例発明に上記周知の事項を適用して、最寄販売店端末が「注文者へ注文の確認をする」機能を有するものとすることは、当業者が容易に想到することができた事項である。
したがって、相違点3に係る本願補正発明の構成は、引用例発明に記載された事項及び周知の事項に基づき、当業者が容易に想到することができた事項である。

そして、本願発明の作用効果も、引用例発明に記載された発明及び周知の技術から当業者が予測できる範囲のものである。


4.むすび
したがって、本願発明は、上記引用例発明及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-07-08 
結審通知日 2008-07-15 
審決日 2008-07-28 
出願番号 特願2000-135506(P2000-135506)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (G06Q)
P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 貝塚 涼  
特許庁審判長 藤内 光武
特許庁審判官 山本 穂積
小山 和俊
発明の名称 デリバリー製品のネットワーク販売システムおよび販売方法  
代理人 谷澤 靖久  
代理人 木村 明隆  
代理人 机 昌彦  

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