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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B42D
管理番号 1184180
審判番号 不服2005-18966  
総通号数 106 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-09-30 
確定日 2008-09-12 
事件の表示 平成11年特許願第305746号「配送伝票」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 5月 8日出願公開、特開2001-121843〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯 ・本願発明
本願は、平成11年10月27日の出願であって、平成17年8月5日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年9月30日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

本願の請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定された次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「貼付票と配達票と領収票と入金票とをそれぞれ切り取り部を境に連接してなり、前記貼付票は、表面側に配送情報記入部を設けるとともに、裏面側に貼着部を設け、前記配達票と前記領収票と前記入金票は、各表面側に配送情報記入部と金額記入部を設け、これら配達票と領収票と入金票を、所定の切り取り部で表面側同士が重なるように折り重ねて前記各表面側を隠蔽可能になすとともに、この折り重ね隠蔽状態を保持するための折り重ね保持部を設けたことを特徴とする配送伝票。」

2.引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開平10-272864号公報(以下、「刊行物」という。)には、以下の記載が図示とともにある。

ア.「【請求項1】複数枚の伝票が折り兼切り取り部を介して一連に連接してなる伝票連続体を備え、該伝票連続体の同一面で並ぶ前記伝票それぞれの表面に配送情報記載部を設け、伝票連続体を前記折り兼切り取り部から折り畳んだときに対向する伝票の少なくとも一部の対向部位に、折り畳んだときに対向する伝票を分離可能に綴じ合わせる仮綴じ部が設けられていることを特徴とする配送伝票。」
イ.「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は配送物の配送に際して使用される配送伝票に関するものである。
【0002】 【発明が解決しようとする課題】 従来、配送物を配送する際に使用される配送伝票、特に差出人から配送業者へ、そして、配送業者から受取人へと配送物が受け渡される配送形態で使用される配送伝票は、差出人控、配送物に取り付ける貼付票、集荷部署控、配達部署控、受取人控、受領票などのように複数枚の伝票を組み合わせたものとされ、配送過程の各段階で配送伝票から所要の伝票を分離し、その伝票に記載されている情報に基づいて業務管理などが行えるようにしている。」
ウ.「【0005】 【発明の実施の形態】 つぎに本発明を図1から図5に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。図中1は本発明に係る配送伝票で、該配送伝票1は略Z状に折り畳みできる帯状の伝票連続体2からなるものである。この伝票連続体2は、例えば、配送物に対して一体的に取り付けるようにする貼付票3と、配送物を受取人に受け渡す際に受領印を得るための受領票4と、配達員が配送作業時に配送物を管理するために使用する配達票5とがミシン目からなる折り兼切り取り部6を介して横一連にして連接されたものである。貼付票3と受領票4と配達票5のそれぞれの同一側の表面、即ち、伝票連続体2の同一面側に並ぶ表面それぞれには、差出人住所氏名や受取人住所氏名、荷種などの配送情報を記載する配送情報記載部7,8,9が設けられている。なお、この配送情報記載部はそれぞれ同一の項目で構成したり、或は各伝票における使用目的に応じた項目で構成されているものであってもよい。そして、複数枚の伝票を連接した伝票連続体2からなる配送伝票1においては、前記貼付票3の折り兼切り取り部6側に対して反対側となる辺部の裏面に配送物に対する貼着手段10が設けられており、後述するように伝票連続体2を折り畳んだ状態にしてその貼着手段10を介して配送伝票1を配送物に取り付けることができるように設けられている。11は貼着手段10を剥離可能に覆う剥離紙である。」
エ.「【0007】 以上のようにして情報印字が行われた後の配送伝票1においては、上記貼付票3を最上位とする形で略Z状に折り畳まれる。このとき、受領票4は貼付票4の貼着手段10を覆うことのない幅寸法とされ、また、配達票5にあっては、伝票連続体2の他辺(貼着手段が設けられている辺と対向する辺)を引出し部12とし、この引出し部12が折り時に表出する幅寸法としている(図3参照)。また、配送伝票1は上述のように折り畳んだときにその形態が保持され、必要時に横一線に伸ばすことができるようにするための手段を備えている。即ち、図に示すように、伝票連続体2を前記貼付票3が最上位となるように前記折り兼切り取り部6からZ状に折り畳んだときに対向する一部分の対向部位にそれぞれに、折り時に対向する伝票相互を分離可能に綴じ合わせる仮綴じ部13が設けられている。この仮綴じ部13は図示した例にあっては、貼付票3の裏面の上記貼着手段10側の隅部と、これに対向する受領票4の裏面の配達票側の折り兼切取り部側の隅部とに設けられている。また、折り時に対向する受領票4と配達票5とでは、受領票4の表面の貼付票側の折り兼切取り部側の隅部と、これに対向する配達票5の表面の引出し部側の隅部とに設けられている。上記仮綴じ部13は例えば弱接着力の接着剤を上述した箇所に塗布することで得られ、また、強接着力の接着剤であっても点状として局所的に塗布することでも仮綴じ部が得られものであり、対向する伝票が分離可能に綴じ合わせるものでありば、接着剤自体の材質は限定されず、さらには重ね合わせた状態で絡み合うようにした微細な押切を設けるための部位として仮綴じ部を構成することも可能である。このように折り畳まれた状態で配送伝票1が配送物に取り付けられ、その配送物を配送する所要の段階で上記引出し部を持って引けば、伝票連続体が横一線に伸びて配達票や受領票を折り兼切り取り部から切り取ることができるようになる。」
オ.「【0008】・・・なお、上記の各例においては伝票連続体が貼付票と受領票と配達票とを連接させたものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、必要に応じて選択された種類の伝票を連接して伝票連続体を構成できるものである。」
カ.【図1】、【図3】、【図4】より、受領票4と配達票5を折り兼切り取り部6で折り畳むと、受領票4と配達票5のそれぞれの表面側同士が重なるように折り重ねられるとともに、受領票4と配達票5のそれぞれの表面側に設けられた仮綴じ部13により折り畳んだ形態が保持されることが看取できる。
この記載事項を含む刊行物全体の記載によると、刊行物には「貼付票3と受領票4と配達票5とをそれぞれ折り兼切り取り部6を介して連接してなり、前記貼付票3は、表面側に配送情報記載部7を設けるとともに、裏面側に貼着手段10を設け、前記受領票4と前記配達票5は、各表面側に配送情報記載部8、9を設け、これら受領票4と配達票5を、所定の折り兼切り取り部6で表面側同士が重なるように折り重ね可能となすとともに、この折り重ね状態を保持するための仮綴じ部13を設けた配送伝票。」(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

3.対比
本願発明と引用発明を対比する。

引用発明の「貼付票3」、「折り兼切り取り部6」、「配送情報記載部7」、「貼着手段10」、「仮綴じ部13」はそれぞれ本願発明の「貼付票」、「切り取り部」、「貼付票の配送情報記入部」、「貼着部」、「折り重ね保持部」に相当する。
引用発明は貼付票3と受領票4と配達票5とをそれぞれ折り兼切り取り部6を介して連接してなる配送伝票であり、本願発明は、貼付票と配達票と領収票と入金票とをそれぞれ切り取り部を境に連接してなる配送伝票であるから、引用発明と本願発明とは「貼付票と複数の異なる種類の伝票をそれぞれ切り取り部を介して連接した配送伝票」の点で共通する。
また、引用発明は、受領票4と配達票5を、所定の折り兼切り取り部6で表面側同士が重なるように折り重ね可能となしており、本願発明は、配達票と領収票と入金票を、所定の切り取り部で表面側同士が重なるように折り重ねて各表面側を隠蔽可能になしているから、引用発明と本願発明は「複数の異なる種類の伝票を、所定の切り取り部で表面側同士が重なるように折り重ね可能になし」た点で共通するとともに、引用発明と本願発明は折り重ね保持部によって「折り重ね状態」が保持される点を限度として一致している。
してみると、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、相違している。

<一致点>
貼付票と複数の異なる種類の伝票とをそれぞれ切り取り部を境に連接してなり、前記貼付票は、表面側に配送情報記入部を設けるとともに、裏面側に貼着部を設け、複数の異なる種類の伝票を所定の切り取り部で表面側同士が重なるように折り重ね可能になすとともに、この折り重ね状態を保持するための折り重ね保持部を設けた配送伝票。
<相違点1>
本願発明では、複数の異なる種類の伝票が、配達票と領収票と入金票であり、配達票と領収票と入金票は、各表面側に配送情報記入部と金額記入部を設けるのに対し、引用発明ではそのような特定がされたものではない点。
<相違点2>
本願発明では、配達票と領収票と入金票の各表面側を隠蔽可能になすとともに、折り重ね保持部は、折り重ね隠蔽状態を保持するためのものであるのに対して、引用発明ではそのような特定がされたものではない点。

4.相違点についての検討
<相違点1>について検討する。
貼付票と複数の異なる種類の伝票からなる配送伝票として、貼付票と配達票と領収票と入金票からなる配送伝票は、例えば特開平5-24383号公報(【0006】、【図2】)等に示されるように周知である。また、刊行物のオ.に「本発明はこれに限定されるものではなく、必要に応じて選択された種類の伝票を連接して伝票連続体を構成できるものである。」と記載されているように、刊行物記載の複数の異なる種類の伝票を配達票と領収票と入金票とすることは、当業者であれば容易に想到し得る事項である。さらに、各伝票にどのような欄を設けるかは、当業者が必要に応じ適宜決定する事項であるとともに、一般的に領収票と入金票には、金額記入部が設けられていることは当然であるから、配達票と領収票と入金票の各表面側に配送情報記入部と金額記入部を設ける構成とすることも、当業者であれば容易に想到し得る事項である。

<相違点2>について検討する。
引用発明において、貼付票は配送時に使用されるものであるから隠蔽されることはなく、貼付票を除く複数の異なる種類の伝票は、表面側同士が重なるように折り重ね可能となっているとともに、仮綴じ部(本願発明の「折り重ね保持部」)によって折り重ね状態が保持できるものとなっている。したがって、引用発明においても、複数の異なる種類の伝票(複数の異なる種類の伝票を配達票と領収票と入金票とすることについては、既に相違点1で検討している。)の各表面側に設けられた記入部に記載された情報は隠蔽されることとなるから、各表面側は隠蔽可能になっているとともに、仮綴じ部は、折り重ね隠蔽状態を保持するためのものといえる。

そして本願発明の作用効果も、刊行物に記載の発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

5.むすび
したがって、本願発明は、刊行物に記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができず、本願のその余の請求項について検討するまでもなく本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-06-10 
結審通知日 2008-07-01 
審決日 2008-07-14 
出願番号 特願平11-305746
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B42D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 蔵野 いづみ  
特許庁審判長 長島 和子
特許庁審判官 七字 ひろみ
酒井 進
発明の名称 配送伝票  
代理人 千葉 太一  

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