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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1184727
審判番号 不服2006-5718  
総通号数 107 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-03-29 
確定日 2008-09-18 
事件の表示 平成11年特許願第278610号「通信装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 4月13日出願公開、特開2001-103276〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続きの経緯・本願発明
本願は、平成11年9月30日の出願であって、平成18年2月23日に拒絶査定がされ、これに対して同年3月29日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正書がされたものである。
その後、当審において、同補正に対し、平成20年4月14日に補正の却下の決定がされるとともに、同日付けで拒絶理由が通知され、同年6月23日付けで手続補正書が提出されたものである。

本願の発明は、平成20年6月23日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載されたものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
画情報を受信した時刻を出力原稿に印字する受信時刻印字手段と、
前記受信時刻印字手段により印字する受信時刻印字位置を受信した画情報を印字する画像領域の外側であって前記出力原稿の四隅のうち、少なくともいずれか1つの隅に配置される第1の領域にするか、前記画像領域の内側であって前記画像領域の四隅のうち、少なくともいずれか1つの隅に配置される第2の領域にするかについて、前記受信した画情報のライン数に基づいて選択する第1の受信時刻印字位置設定手段と、を有することを特徴とする通信装置。」

2 引用例
当審の拒絶の理由に引用された特開平6-91999号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が図面とともに開示されている。(記載箇所は段落番号で表示)
ア 「【0020】図3は記録紙センサ13とホトセンサ14の位置関係を示したもので、17は後で説明するフッタマーク及びその記録位置である。ここでセンサ13,14及びマーク17は記録紙の搬送方向(A方向)に一直線上に並ぶように配置している。また、これらは記録部11の記録紙16に対する記録可能範囲の最も左端に配置している。」

イ 「【0024】図5において、ステップS1で通信部3が画像データを受信すると、ステップS2に進み、受信した画像データを画像メモリ5に格納する。画像メモリ5に画像データが格納されるとステップS3より記録処理が開始される。まず、ステップS4にて、記録紙16の頭出しを実行し、所定の位置に記録紙をセットする。また、ステップS5にて、カウンタユニット7aに記録ヘッドが最後の1スキャン分の位置にきたときに制御部1のCPU1aに対し割り込みが発生するようにカウントデータをセットする。そして、ステップS6へ進み、1ページ内に記録可能なライン数の画像データをイメージデータに展開して、スキャンデータ+フィードコマンドの形式のデータとして記録部4に送出する。
【0025】図6で説明すると、図6において、記録紙上に記録可能なライン数は4052である。1スキャン=64ラインであり、最後の1スキャンの位置に記録ヘッド11が位置するためには、3988ラインフィード処理を実行する必要がある。従って、カウンタユニット7aには3987がセットされる。ここで、カウンタユニット7aにセットされる値が3988-1となっているのは、カウンタユニット7aにデータを設定するのに1パルス使用されるためである。」

ウ 「【0040】本実施例におけるファクシミリ装置では、受信モードにおいてはフッタを記録し、コピーモードにおいてはフッタは記録しない。従って、受信モードにおいてFOOTER_FLAG がONする。又、FOOTER_IN_PIX は、フッタを受信画像の中に記録するモードと、受信画像の外に記録するモードのいずれかを示すフラグがある。受信画像の中に記録するモードが選択されると、記録紙上の最後の1スキャンが行われるところにフッタと画像の両方が記録される。又、受信画像の外に記録するモードが選択された場合は、最後の1スキャンが行われるところには、フッタが記録される。このモードの変更は操作部より行われる。」

エ 「【0075】(1)フッタマークを画像の外に記録するモードの場合(FOOTER_FLAG オン,FOOTER_PIX_IN オフ)。
【0076】まず、制御部1のCPU1aはPEハンドラの初期化処理(図12)を実行し、記録紙の頭出しコマンドを記録制御部15に送出し、記録紙の頭出しが開始される。そして、PEセンサ13が記録紙の選択を検知した後、カウンタユニット7aが所定値(452)をカウントし、記録紙が記録位置にセットされる迄、所定量搬送される。そして、カウンタユニット7aに所定値(PAGE_LINE_CNT-65)をセットした後、画像メモリ5から1ライン毎に画像データを取り出して展開した後、イメージバッファ6に格納して行き、イメージバッファ6に64ライン分の画像データが格納されると、イメージバッファ6の内容を記録部4に送出し、このデータはイメージバッファ18に格納される。更に、副走査のために64ライン分紙送りするためのコマンドを記録制御部15に送出する。この動作を記録紙上の残り記録可能ライン数が64ラインになる迄繰返す。尚、この間は記録部の記録動作と同期をとることなくデータの送出が行われる(非同期モード)。記録制御部15は、イメージバッファ18から順次データを読出して記録走査を行い、1記録走査終了毎に64ライン分の記録紙を搬送する。
【0077】又、この間制御部1はPEセンサ13により記録紙の後端が検出されるか否かを監視し、記録紙上の記録可能領域の残りが128ライン以上あるべき時点(カウンタユニット7a>64)で、記録紙の後端が検出された様な場合、制御部1は記録制御部15にペーパーエンド信号を送出し、記録制御部15に改頁を実行させる。
【0078】そして、記録紙上の残りの記録可能ライン数(PAGE_LINE_CNT) が64ラインになると、イメージバッファ6内のデータ(その時点でイメージバッファ6に格納されているデータのライン数が64ラインに達していなければイメージバッファ6の残りを白のデータで埋めることにより得られるデータ)を記録部4に送出する。更に、残り記録可能ライン数が64ラインになった時点でイメージバッファ6に格納されていたデータのライン数分の紙送りを行うためのコマンドを記録制御部15に送出する。
【0079】記録部4は、このデータに基づいて記録走査を行った後、記録ヘッドを最終スキャン位置にセットする。
【0080】次に、制御部1はフッタマークのイメージを記録部4に送出する。記録部4は、フッタマークを記録紙上の最終スキャン位置に記録した後、排紙を行う。この排紙中にフッタマークの検出を行い、正常であれば1頁の画像が終了か否かを判断し、終了していなければ改頁して残りの画像を記録するべく次の記録紙を給紙して同様の動作を行う。
【0081】又、フッタマークが正常に記録されていない場合は、所定のエラー処理を行い、画像メモリ5に格納されている現頁のデータを保存する。
【0082】又、制御部1は、記録紙上の残り記録可能ライン数が64ラインになる前に1頁の画像の終了(CRT)を検出した場合は、その時点でイメージバッファ6に格納されているデータ(その時点でイメージバッファ6に格納されているデータのライン数が64に達していなければイメージバッファ6の残りを白のデータで埋めることにより得られるデータ)を記録部4に送出する。更に、記録ヘッドが最後スキャン位置に達する迄、記録紙を搬送するためのコマンドを記録制御部15に送出する。その後、前述の如きフッタマークの記録及び検出動作を行う。
【0083】(2)フッタマークを画像の内に記録するモードの場合(FOOTER_FLAG オン,FOOTER_PIX_IN オン)。
【0084】記録紙上の残り記録可能ライン数が64ラインに達する迄は(1)の場合と同様の動作を行う。記録紙上の残り記録可能ライン数が64ラインになると、イメージバッファ6内のデータ(その時点でイメージバッファ6に格納されているデータのライン数が64ラインに達していなければイメージバッファ6の残りを白のデータで埋めることにより得られるデータ)を記録部4に送出する。更に、残り記録可能ライン数が64ラインになった時点でイメージバッファ6に格納されていたデータのライン数分の紙送りを行うためのコマンドを記録部4に送出する。記録部4はこのデータに基づいて記録走査を行った後、記録ヘッドを最終スキャン位置にセットする。そして、最終スキャンのために画像メモリ5から1ライン毎に画像データを取り出して展開した後、イメージバッファ6に格納する。そして、イメージバッファ6に64ライン分のデータが格納されると、これを記録部4に送出する。尚、この場合、紙送りは行われない(FLC=0)。この状態で(1)の場合と同様にフッタマークを記録し、その記録状態を検出して受けるデータが適正に記録されたか否かの判断を行う。
【0085】又、記録紙上に残り記録可能ライン数が64ラインになる前に1頁の画像の終了を検出した場合は、(1)の場合と同様にその時点でイメージバッファ6に格納されているデータ(その時点でイメージバッファ6に格納されているデータのライン数が64ラインに達していなければイメージバッファ6の残りを白のデータで埋めることにより得られるデータ)を記録部4に送出し、更に記録ヘッドを最終スキャン位置にセットするための紙送りのためのコマンドを記録部4に送出する。そして、(1)の場合と同様にフッタマークの記録及びその記録状態の検出動作が行われ、受信データが適正に記録されたか否かの判断が行われる。」

前掲アないしエの記載によると引用例1には、
「フッタマークを画像の内に記録するモードの場合、受信した画像データを64ライン毎にイメージバッファに格納しながら、記録紙上に記録する動作を繰り返し、記録紙上の最終スキャン位置においても上記イメージバッファ上に画像データが存在すれば、これを記録するとともに、その左端にフッターマックを記録し、記録紙上の残り記録可能ライン数が64ラインになる前に、イメージバッファ上に画像データが存在しなくなれば、最終スキャン位置の左端にフッタマークのみを記録するファクシミリ装置」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

3 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「記録」、「記録紙」及び「ファクシミリ装置」は、それぞれ本願発明の「印字」、「出力原稿」及び「通信装置」に相当することは明らかである。また、引用発明の「フッタマーク」と、本願発明の「画情報を受信した時刻(受信時刻)」はともに、受信した画像に対して付加的に印字される「付加情報」であるという点で共通するから、引用発明と本願発明は、「付加情報印字手段」を有するという点で一致する。
そして、引用発明の「最終スキャン位置の左端」は、「画像領域」ないし「記録紙」の「四隅」のうちの1つ隅であることは明白であるから、最終スキャン位置においてもイメージバッファ上に画像データが存在し、受信した画像とフッタマークをともに記録する場合において、「付加情報印字手段により印字する付加情報印字位置」は「画像領域の内側であって、前記画像領域の四隅のうち、少なくともいずれか1つの隅に配置される第2の領域」ということができ、一方、最終スキャン位置においてイメージバッファ上に画像データが存在せず、フッタマークのみを記録する場合において、「付加情報印字手段により印字する付加情報印字位置」は「画像領域の外側であって出力原稿の四隅のうち、少なくともいずれか1つの隅に配置される第1の領域」ということができる。
また、引用発明は、記録紙上の残り記録可能ライン数が64ラインになる前に、イメージバッファ上に画像データが存在するか否かに基づいて、フッタマークを受信した画像とともに記録するか否かを選択しているものであるから、本願発明と同様に「受信した画情報のライン数に基づいて」フッタマークの記録位置を選択するものであり、前述のとおり、「フッタマーク」と「画情報を受信した時刻(受信時刻)」は、いずれも「付加情報」という点で共通するから、引用発明と本願発明はともに「受信した画情報のライン数に基づいて」付加情報の印字位置を選択する「付加情報印字位置設定手段」を有するという点で一致する。

以上を踏まえると、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。

【一致点】
「付加情報を出力原稿に印字する付加情報印字手段と、
前記付加情報印字手段により印字する付加情報印字位置を受信した画情報を印字する画像領域の外側であって前記出力原稿の四隅のうち、少なくともいずれか1つの隅に配置される第1の領域にするか、前記画像領域の内側であって前記画像領域の四隅のうち、少なくともいずれか1つの隅に配置される第2の領域にするかについて、前記受信した画情報のライン数に基づいて選択する付加情報印字位置設定手段と、を有することを特徴とする通信装置。」

【相違点】
印字する「付加情報」が、本願発明は「画情報を受信した時刻(受信時刻)」であって、「付加情報印字手段」及び「付加情報印字位置設定手段」が、それぞれ「受信時刻印字手段」及び「受信時刻印字位置設定手段」であるのに対して、引用発明は「フッタマーク」であり「画情報を受信した時刻(受信時刻)」ではない点。

4 当審の判断
相違点について
ファクシミリ装置の技術分野において、出力原稿の先端(ヘッダ)や終端(フッタ)に、送信時刻や受信時刻等の付加情報を印字することは、一般的な周知の技術である。
例えば、当審の拒絶の理由に引用された特開平10-215340号公報に、
「【0016】406段階でRTCが検出されると、制御部200は1ページの受信が終了したことを認識する。そうすると、制御部200は402?404段階でプロトコル遂行中にRAM214に記憶しておいたCSIと共に受信時刻及び受信ページを通信情報として、412段階でプリンタ部208によって受信紙に印刷する。この通信情報は図5に示した例のように受信紙の後端に印刷する。そうすると、受信紙の先端には送信ファクシミリ装置300を基準とした送信情報、即ちCSI100と送信時刻102と送信ページ104が記録され、受信紙の終端には受信ファクシミリ装置302を基準としたCSI506と受信時刻508と受信ページ510などの通信情報が記録される。図5に示した通信情報の“02-280-8474”は送信側ファクシミリ装置の番号を表し、“’96-01-0118:20”は受信時刻(=送信時刻)であって1996年1月1日18時20分を表し、“PAGES01”は受信ページ(=送信ページ)であって1ページ目を表す。」と記載されている。

したがって、引用発明においても、付加情報として「画情報を受信した時刻(受信時刻)」を出力原稿に印字するよう構成することは、当業者が必要に応じて適宜なし得たことである。そして、この結果、「付加情報印字手段」及び「付加情報印字位置設定手段」は、それぞれ「受信時刻印字手段」及び「受信時刻印字位置設定手段」といえる。
また、本願発明の奏する効果は、引用例1に記載された発明及び前記周知技術から想定できる程度のものにすぎず、格別なものとはいえない。

5 結論
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明及び前記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-07-18 
結審通知日 2008-07-22 
審決日 2008-08-05 
出願番号 特願平11-278610
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 曽我 亮司日下 善之  
特許庁審判長 原 光明
特許庁審判官 伊藤 隆夫
西山 昇
発明の名称 通信装置  
代理人 有我 軍一郎  

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