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審決分類 |
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 E03D 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 E03D 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E03D 審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 E03D 審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 E03D |
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管理番号 | 1184757 |
審判番号 | 不服2006-21046 |
総通号数 | 107 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-11-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-09-21 |
確定日 | 2008-09-18 |
事件の表示 | 特願2003-298479「人体局部洗浄装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 1月 8日出願公開、特開2004- 3371〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成9年5月21日に出願された特願平9-130760号の一部を平成15年8月22日に新たな特許出願としたものであって、平成18年8月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月21日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年10月18日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成18年10月18日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成18年10月18日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] (1)補正後の本願発明 本件補正により、特許請求の範囲は、次のとおりに補正された。 「【請求項1】 電力によりジュール熱を発生する発熱体をアルミナ等の一対のセラミック板により挟んで形成したセラミックヒーターからなる平板状加熱手段、および前記平板状加熱手段に配設され、流動する水が直接的に加熱されるようにこの平板状加熱手段を一部路壁として蛇行水路を形成した樹脂材料の熱交換部からなる温水装置と、前記蛇行水路への給水部と、前記蛇行水路の出口側に連通させた洗浄ノズルと、前記蛇行水路へ供給される水の流量、および蛇行水路から洗浄ノズルに至る温水の温度に基づき前記発熱体の加熱量を制御する制御部とを備えた人体局部洗浄装置。 【請求項2】 平板状加熱手段の両側に熱交換部を配設して温水装置とした請求項1記載の人体局部洗浄装置。 【請求項3】?【請求項5】(省略)」 (2)判断 上記【請求項1】の補正は、補正前の請求項1(以下、「旧請求項1」という。他の請求項についても同様。)の「入水口」及び「出湯口」を欠落させるもので、特許請求の範囲の減縮を目的とせず、請求項の削除、誤記の訂正または明りょうでない記載の釈明を目的とするものでもない。 また、上記【請求項1】の「水の流量、および…温水の温度に基づき前記発熱体の加熱量を制御する」との補正は、旧請求項1の「前記流量検知部の流量信号に基づき前記平板状加熱手段の加熱量を可変するとともに、出湯温度を検知した温度検知手段の検知信号に基づき前記発熱体の加熱量を制御する」を限定したとはいえず、特許請求の範囲の減縮を目的とせず、請求項の削除、誤記の訂正または明りょうでない記載の釈明を目的とするものでもない。 そして、上記【請求項1】は旧請求項2?旧請求項4の構成を限定したものということもできないから、上記【請求項1】の補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とせず、請求項の削除、誤記の訂正または明りょうでない記載の釈明を目的とするものでもない。 さらに、上記【請求項2】の補正は、旧請求項のどの請求項の限定にも当たらず、請求項を増加させるものであり、誤記の訂正または明りょうでない記載の釈明を目的とするものでもない。 (3)むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項に掲げる目的の何れの事項にも該当しないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明 平成18年10月18日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の【請求項4】に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成18年4月7日付け手続補正書の特許請求の範囲の【請求項4】に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「【請求項4】 平板状加熱手段と、入水するための入水口と、平板状加熱手段により加熱された湯を出湯する出湯口と、前記入水口と前記出湯口を連通し、前記平板状加熱手段に熱的に接触して配された少なくとも1つ以上の屈曲部を有する蛇行水路とで構成された温水装置と、入水口に給水する給水部と、出湯口と連通する洗浄ノズルと、前記給水部から前記入水口に供給される水の流量を検知する流量検知部と、前記流量検知部の流量信号に基づき平板状加熱手段の加熱量を可変する制御部とを備え、温水装置の蛇行水路は、略垂直に配設した平板状加熱手段の両面に配設し、前記蛇行水路のそれぞれが最下端で水が流入し、水温が高くなる下流側が上方へ向かい最上端で流出する並行流となるように設けた人体局部洗浄装置。」 4.刊行物及びその記載内容 刊行物:特開昭61-186629号公報 原審の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された上記刊行物には、図面とともに、次のことが記載されている。 「産業上の利用分野 本発明は、水洗式便器等に組み合わされて使用される衛生洗浄装置の温水供給装置に関するものである。」(1頁右下欄9?12行) 「問題点を解決するための手段 上記問題点を解決するために本発明の衛生洗浄装置の温水供給装置は、室内に設置された放吸熱パネルと、この放吸熱パネルに固定された加熱ヒータと洗浄水貯水部とで構成される。」(2頁左下欄3?7行) 「実施例 以下本発明の一実施例を図面第1図?第4図を参照しながら説明する。第3図は放吸熱パネル10の外観を表わし、鉄製の放吸熱パネル10の少なくとも表面の全面は、放熱,吸熱を効率よくするため、黒色塗装を施している。また第1図,第2図に示すように、加熱ヒータとして用いたフィルム状の印刷抵抗体14,15を放吸熱パネル10の裏面に固着している。洗浄水貯水部として、蛇行した給水パイプ13を用い、台座16を介して放吸熱パネル10の裏面に固定している。」(2頁右下欄1?11行) 「本実施例の衛生洗浄装置の温水供給装置は、給水パイプ13の入口側接続部12を水道栓に直接接続し、出口側接続部11は、洗浄装置本体31に接続パイプ33を介して接続される。上記のように構成すれば開閉弁32を開けると、水道の水圧により洗浄ノズル34から洗浄水が噴出して快適な洗浄を行うことができる。」(3頁左上欄2?8行) 「さて、一度使用すると新たに、使用した分量に等しい分量の水が水道栓より給水パイプ13へ供給され、次の人がトイレを使用するまでの間の時間を利用して最適温度にまで加熱される。ここで、本実施例の衛生洗浄装置の温水供給装置は、放吸熱パネル10の温度を測定して印刷抵抗体14,15への通電を制御するため、サーミスタ18及び通電制御器19を具備しており、放吸熱パネル10の温度ひいては給水パイプ10内の水温を所定の温度に保つように構成されている。 なお、本実施例の衛生洗浄装置の温水供給装置は、第2図に示すようにトイレ室内下部の壁掛け型として使用した。」(3頁左上欄15行?右上欄7行) 「次に、以下本発明の他の実施例を図面を参照しながら説明する。ここで前述の第1の実施例と同様の構成については同じ番号を付し、説明を省略する。 第5図,第6図に示すように、本実施例の衛生洗浄装置の温水供給装置は、第1の加熱ヒータ40,41を放吸熱パネル10の裏面に接着剤で固着し、第2の加熱ヒータ50を給水パイプ13の出口側接続部11近傍に第7図(b)に示すように片面接着剤つきポリエステル絶縁フィルム54,55により固着している。」(3頁右上欄18行?左下欄8行) 「冬期の寒い時期には、第1,第2の加熱ヒータ40,41,50共、通電しておき、トイレ室内の暖房をしつつ、給水パイプ13中の洗浄水を温水化する。」(3頁右下欄8?11行) 上記記載及び技術常識からみて、刊行物には、 「フィルム状の印刷抵抗体14,15を固着した放吸熱パネル10と、入水するための入口側接続部12と、印刷抵抗体14,15により加熱された湯を出湯する出口側接続部11と、前記入口側接続部12と前記出口側接続部11を連通し、前記印刷抵抗体14,15に熱的に接触して配された少なくとも1つ以上の屈曲部を有する蛇行した給水パイプ13とで構成された温水供給装置と、入口側接続部12に給水する水道栓と、出口側接続部11と連通する洗浄ノズル34とを備え、温水供給装置の蛇行した給水パイプ13は、略垂直に配設したフィルム状の印刷抵抗体14,15を固着した放吸熱パネル10の裏面に、前記蛇行した給水パイプ13が最下端で水が流入し、水温が高くなる下流側が上方へ向かい最上端で流出するように設けた衛生洗浄装置。」の発明(以下、「刊行物記載の発明」という。)が記載されていると認められる。 5.対比・判断 本願発明と上記刊行物記載の発明とを対比すると、刊行物記載の発明の「フィルム状の印刷抵抗体14,15を固着した放吸熱パネル10」が本願発明の「平板状加熱手段」に相当し、以下同様に、「入口側接続部12」が「入水口」に、「出口側接続部11」が「出湯口」に、「蛇行した給水パイプ13」が「蛇行水路」に、「温水供給装置」が「温水装置」に、「水道栓」が「給水部」に、「洗浄ノズル34」が「洗浄ノズル」に、「衛生洗浄装置」が「人体局部洗浄装置」に、それぞれ相当し、 両者は、 「平板状加熱手段と、入水するための入水口と、平板状加熱手段により加熱された湯を出湯する出湯口と、前記入水口と前記出湯口を連通し、前記平板状加熱手段に熱的に接触して配された少なくとも1つ以上の屈曲部を有する蛇行水路とで構成された温水装置と、入水口に給水する給水部と、出湯口と連通する洗浄ノズルとを備え、温水装置の蛇行水路は、略垂直に配設し、前記蛇行水路が最下端で水が流入し、水温が高くなる下流側が上方へ向かい最上端で流出するように設けた人体局部洗浄装置。」である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点1) 本願発明が「前記給水部から前記入水口に供給される水の流量を検知する流量検知部と、前記流量検知部の流量信号に基づき平板状加熱手段の加熱量を可変する制御部とを備え」たのに対し、刊行物記載の発明は、このような制御部を備えていない点。 (相違点2) 温水装置の水路を、本願発明では、「平板状加熱手段の両面に配設し」、「水路のそれぞれが…並行流となるように設けた」のに対し、刊行物記載の発明では、平板状加熱手段の裏面にのみ配設している点。 上記相違点1を検討すると、温水装置(湯沸器)において、流量検知部を設け、該流量検知部の信号に基づき加熱手段の加熱量を可変する制御部を設けることは、原査定の拒絶の理由で引用した特開昭62-77544号公報(2頁左下欄11行?右下欄8行、4頁左上欄7?12行参照)及び特開昭59-41712号公報(2頁左上欄13?18行)等に記載されているように従来周知であるから、上記刊行物記載の発明に該周知技術を適用し、相違点1の本願発明に係る構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得るものであり、このようにしたことによる格別の作用効果も認められない。 上記相違点2を検討すると、温水装置において、水路を平板状加熱手段の両面に配設し、それぞれが並行流となるようにすることは、例えば、実願平4-40709号(実開平5-91621号)のCD-ROM(段落【0007】参照)及び実願平3-100946号(実開平5-42958号)のCD-ROM(図3参照)等に記載されているように従来周知である。また、刊行物には、本願発明の「平板状加熱手段」に相当する「フィルム状の印刷抵抗体14,15を固着した放吸熱パネル10」が、冬期の寒い時期などにトイレ室内の暖房をしつつ、本願発明の「水路」に相当する「給水パイプ13」中の洗浄水を温水化するものとして用いられる点が記載されており、平板状加熱手段の両面をそれぞれ加熱手段として用いるもの、すなわち、表面は暖房用として、裏面は水路加熱用として用いるものが記載されている。してみると、刊行物記載の発明において、平板状加熱手段の表面から放出される熱を暖房に利用することに代えて水路加熱に利用することは必要に応じて適宜なし得るものであり、平板状加熱手段の両面とも水路加熱用とし、水路のそれぞれが並行流となるようにして、相違点2の本願発明に係る構成とすることは、当業者ならば周知技術に基づき容易に想到し得るものであり、このようにしたことによる格別の作用効果も認められない。 6.むすび 以上のとおり、本願発明は、刊行物記載の発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、本願の他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-07-16 |
結審通知日 | 2008-07-22 |
審決日 | 2008-08-04 |
出願番号 | 特願2003-298479(P2003-298479) |
審決分類 |
P
1
8・
573-
Z
(E03D)
P 1 8・ 572- Z (E03D) P 1 8・ 574- Z (E03D) P 1 8・ 121- Z (E03D) P 1 8・ 571- Z (E03D) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 七字 ひろみ |
特許庁審判長 |
石川 好文 |
特許庁審判官 |
砂川 充 山口 由木 |
発明の名称 | 人体局部洗浄装置 |
代理人 | 永野 大介 |
代理人 | 内藤 浩樹 |
代理人 | 岩橋 文雄 |