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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1185057
審判番号 不服2005-2946  
総通号数 107 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-02-18 
確定日 2008-09-26 
事件の表示 平成 6年特許願第 28859号「パチンコ機の画像表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 8月15日出願公開、特開平 7-213711〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成6年1月31日の出願であって、平成16年6月28日付の拒絶理由通知に対して同年8月24日付で手続補正がなされ、これに対し、平成17年1月12日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年2月18日に拒絶査定不服の審判請求がなされたものである。
請求人は、審判請求後の平成17年2月28日付で手続補正をしたが、当審では同手続補正を却下するとともに、平成20年3月5日付で拒絶理由(原審において平成16年6月28日付の拒絶理由通知に対する応答として同年8月24日付で手続補正書が提出されたために通知する必要が生じた拒絶理由のみを通知する拒絶理由であって、いわゆる「最後の拒絶理由」である。)を通知して、それに対して平成20年4月11日付で手続補正がなされたものである。

2.平成20年4月11日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成20年4月11日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
【1】本件補正の概略
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、平成16年8月24日付手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載された
「【請求項1】
遊技盤面に設けられた始動入賞領域と、該始動入賞領域へのパチンコ球の通過に基づいて予め所定順序に配列されている複数種の識別情報を前記配列にしたがって複数列または複数行で互いに異なる所定の変動時間づつ各列単位または各行単位で変動表示させ、該変動表示の終了に基づいて識別情報のいずれかを順次時間差をおいて各列毎または各行毎に停止表示する可変表示装置と、
該可変表示装置に停止表示された全列または全行の停止識別情報の組合せが予め定められた変動表示確率に基づいて定められた特別組合せである場合に遊技者に有利な権利を所定の大役時間だけ発生させる可変入賞球装置を備えたパチンコ機の画像表示装置において、
前記識別情報を複数行1列または1行複数列と、複数行複数列とで表示可能な表示部材と、予め定められた行数・列数からなる通常行列組合せで前記識別情報を表示し、前記特別組合せとなる所定の有効ライン本数からなる複数の通常表示態様、または前記通常行列組合せの行数および列数の少なくともいずれか一方の数値を異ならせた行数および列数からなる特別行列組合せで識別情報を表示し、前記通常表示態様の有効ライン本数とは異なる複数の特別表示態様が表示される前記表示部材を制御する画像制御回路と、前記通常表示状態から前記特別表示態様に移行させる予め定められた態様変動条件のいずれかに基づいて、その態様変動条件と対応するいずれかの特別表示態様に移行させるビデオ制御回路を、前記可変表示装置に設けたことを特徴とするパチンコ機の画像表示装置。
【請求項2】
態様変動条件が少なくとも、識別情報の変動表示から停止表示への移行中に、複数列または複数行で停止済の識別情報が特別組合せの一部を形成するリーチ状態であることを特徴とする請求項1に記載のパチンコ機の画像表示装置。」から、

「【請求項1】 遊技盤面に設けられた始動入賞領域と、該始動入賞領域へのパチンコ球の通過に基づいて予め所定順序に配列されている複数種の識別情報を前記配列にしたがって複数列または複数行で互いに異なる所定の変動時間づつ各列単位または各行単位で変動表示させ、該変動表示の終了に基づいて識別情報のいずれかを順次時間差をおいて各列毎または各行毎に停止表示する可変表示装置と、
該可変表示装置に停止表示された全列または全行の停止識別情報の組合せが予め定められた変動表示確率に基づいて定められた特別組合せである場合に遊技者に有利な権利を所定の大役時間だけ発生させる可変入賞球装置を備えたパチンコ機の画像表示装置において、
前記識別情報を複数行1列または1行複数列と、複数行複数列とで表示可能な表示部材と、
予め定められた行数・列数からなる通常行列組合せで前記識別情報を表示し、前記特別組合せとなる所定の有効ライン本数からなる複数の停止識別情報の組合せを備えた通常表示態様、または前記通常行列組合せの行数および列数の少なくともいずれか一方の数値を異ならせた行数および列数からなる特別行列組合せで識別情報を表示し、前記通常表示態様の有効ライン本数とは異なる複数の停止識別情報の組合せを備えた特別表示態様が表示される前記表示部材を制御するものであって、前記通常表示状態から前記特別表示態様に移行させる予め定められた態様変動条件として、前記識別情報の変動表示から停止表示への移行中に、複数列または複数行で停止済の識別情報が特別組合せの一部を形成するリーチ状態の場合、該リーチ状態のリーチ図柄と対応付けられた有効ラインの異なる前記特別表示態様のいずれかに移行させ、特別表示態様に移行させた状態が最終停止図柄が確定するまで継続される画像制御回路とを、
前記可変表示装置に設けたことを特徴とするパチンコ機の画像表示装置。」へと補正された(下線部は、補正事項。)。

【2】補正の適否
本件補正により特許請求の範囲の請求項1にした補正は、
(A)発明を特定するために必要な事項である「複数の通常表示態様」を、「複数の停止識別情報の組合せを備えた通常表示態様」とし、
(B)発明を特定するために必要な事項である「複数の特別表示態様」を、「複数の停止識別情報の組合せを備えた特別表示態様」とし、
(C)「画像表示装置」及び「ビデオ制御回路」について、「表示部材を制御する画像制御回路において」を、「表示部材を制御するものであって」とすると共に、「ビデオ制御回路を」を、「画像制御回路とを」と記載を改め、
(D)発明を特定するために必要な事項である「通常表示状態から前記特別表示態様に移行させる予め定められた態様変動条件」について、「態様変動条件のいずれかに基づいて、その態様変動条件と対応するいずれかの特別表示態様に移行させる」を、「態様変動条件として、前記識別情報の変動表示から停止表示への移行中に、複数列または複数行で停止済の識別情報が特別組合せの一部を形成するリーチ状態の場合、該リーチ状態のリーチ図柄と対応付けられた有効ラインの異なる前記特別表示態様のいずれかに移行させ、特別表示態様に移行させた状態が最終停止図柄が確定するまで継続される」と限定するものである。(下線部は補正事項。)

[1]補正目的違反
(1)上記(A)の補正について
本件補正は、平成6年改正前特許法第17条の2第1項第4号の「拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合において、最後に受けた拒絶理由通知に係る第50条の規定により指定された期間内にするとき」(いわゆる「最後の拒絶理由」である。)に応答してなされたものであるところ、同法同条第3項において「第1項第4号及び第5号に掲げる場合において特許請求の範囲についてする補正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る」とされ、少なくとも、補正目的は、同法同条第3項第1号から第4号の規定を満たす必要がある。
しかしながら、上記補正(A)は、「複数の通常表示態様」を、「複数の停止識別情報の組合せを備えた通常表示態様」とするものであって、これらの記載によれば、前者は、「通常表示態様」が「複数」あるものと解される一方、後者は、「停止識別情報の組合せ」が複数あるものと解される。すなわち、本件補正によって、「複数」あるものが、「通常表示態様」から「停止識別情報の組合せ」へと変更され、その結果、「通常表示態様」が「複数」あるとの規定を削除するものとなっている。それ故、上記補正(A)は、平成6年改正前特許法第17条の2第3項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しないことは明らかであり、同法同条第3項第1号(請求項の削除)、同法同条第3項第3号(誤記の訂正)のいずれにも該当しない。さらに、本件補正前の「複数の通常表示態様」という記載自体は、もともと明りようであるし、本件補正前の記載が明りようでない旨の拒絶理由通知は通知されていないから、同法同条第3項第4号(明りようでない記載の釈明)にも該当しない。
なお、請求人は、その補正の根拠として、平成20年4月11日付意見書において、「請求項1の「前記特別組合せとなる所定の有効ライン本数からなる複数の停止識別情報の組合せを備えた通常表示態様」については、出願当初の明細書の段落「0079」の「また通常表示態様の場合、通常行列組合せが1行3列なので、全ての停止識別情報の組合せは4096(=16×16×16)通りになる。」の記載に基づくものであり」及び「したがって、上記いずれの補正も新規事項には該当せず、特許請求の範囲を減縮する補正および明りょうでない記載の釈明に相当する補正である。」と主張している。
上記請求人の主張について検討するに、前段の新規事項の追加でないという主張は、補正目的を主張するものではないし、後段の「特許請求の範囲を減縮する補正および明りょうでない記載の釈明に相当する補正である」という主張について、特許請求の範囲の減縮にも明りようでない記載の釈明にも該当しないことは上記のとおりである。
さらに、平成20年3月5日付の拒絶理由通知で、本件補正前の「複数の通常表示態様」という事項が新規事項であると指摘されたことを以て、請求人は、明りようでない記載の釈明に該当すると主張しているのかもしれないが、平成6年改正前特許法第17条の2第3項各号は、新規事項の追加の解消を補正目的として認めていないし、新規事項の追加の解消を目的とする補正は、明りようでない記載の釈明に該当とは同義ではない。平成6年改正前特許法第17条の2第3項各号に規定する事項を目的として、特許請求の範囲を補正した結果、新規事項の追加の解消に至る場合は、適法な補正目的であるといえるが、本件補正の補正目的は、同法同条第3項各号の規定を満たすものではないことは上記のとおりである。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。

(2)上記(B)の補正について
本件補正は、「複数の特別表示態様」を、「複数の停止識別情報の組合せを備えた特別表示態様」とするものであって、これらの記載によれば、前者は、「特別表示態様」が「複数」あるものと解される一方、後者は、「停止識別情報の組合せ」が複数あるものと解される。すなわち、本件補正によって、「複数」あるものが、「特別表示態様」から「停止識別情報の組合せ」へと変更され、その結果、「特別表示態様」が「複数」あるとの規定を削除するものとなっている。それ故、上記補正(B)は、平成6年改正前特許法第17条の2第3項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しないことは明らかであり、同法同条第3項第1号(請求項の削除)、同法同条第3項第3号(誤記の訂正)のいずれにも該当しない。さらに、本件補正前の「複数の特別表示態様」という記載自体は、もともと明りようであるし、本件補正前の記載が明りようでない旨の拒絶理由通知は通知されていないから、同法同条第3項第4号(明りようでない記載の釈明)にも該当しない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、平成6年改正前特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

[2]独立特許要件違反
(1)上記(C)の補正について
本件補正は、本願明細書に「LEDカラーパネル5は画像制御回路としてのビデオ制御回路6に接続され」(段落【0045】)と記載されることを根拠として、用語の統一を図るべく、「ビデオ制御回路」を「画像制御回路」と記載を改めるものであって、単に別表現で記載したものにすぎず、審理の対象を実質的に変更するものではない。

(2)上記(D)の補正について
本件補正は、「態様変動条件」について、「態様変動条件として、前記識別情報の変動表示から停止表示への移行中に、複数列または複数行で停止済の識別情報が特別組合せの一部を形成するリーチ状態の場合、該リーチ状態のリーチ図柄と対応付けられた」ことを限定し、「特別表示態様」が「有効ラインの異なる前記特別表示態様」であり、また、「特別表示態様に移行させた状態が最終停止図柄が確定するまで継続される」と、それぞれ発明特定事項を限定するものであるから、平成6年改正前特許法第17条の2第3項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(3)独立特許要件の検討
本件補正は、上記のように、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正事項を含んでいるから、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成6年改正前特許法第17条の2第4項において準用する同法第126条第3項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(4)記載不備
イ.本願補正発明は、「・・・特別組合せとなる所定の有効ライン本数からなる複数の停止識別情報の組合せを備えた通常表示態様・・・」という事項を発明特定事項としているが、上記記載において、「所定の有効ライン本数からなる」という事項が、何を修飾するのか不明である。
すなわち、当該「所定の有効ライン本数からなる」という記載の後に、「、(読点)」が打たれていないことから、直後の「複数の停止識別情報の組合せ」を修飾すると解釈することが自然であるが、「複数の停止識別情報の組合せ」とは、「4096(=16×16×16)通り」からなる「全ての停止識別情報の組合せ」(上記[1](1)請求人による補正の根拠についての主張を参照。)を意味するから、それが、「所定の有効ライン本数からなる」ものとは認められない。また、上記記載において、「所定の有効ライン本数からなる」という事項が、直後の「複数の停止識別情報の組合せ」以外の事項を修飾するとなると、日本語の用法として適切でないし、何を修飾するのか一義的に解釈し得ない記載となる。

ロ.本願補正発明は、「・・・通常表示態様の有効ライン本数とは異なる複数の停止識別情報の組合せを備えた特別表示態様・・・」という事項を発明特定事項としているが、上記イ.の指摘と同様の趣旨により、上記記載において、「通常表示態様の有効ライン本数とは異なる」という事項が、何を修飾するのか不明である。

ハ.本願補正発明は、「複数の停止識別情報の組合せを備えた通常表示態様」及び「複数の停止識別情報の組合せを備えた特別表示態様」という事項を発明特定事項としている。しかし、「通常表示態様」、「特別表示態様」とは、あくまで「表示態様」であって、「態様」とは、「ありさま。ようす。様態。」(新村出編「広辞苑第三版」株式会社岩波書店発行)を意味するから、「態様」が、「複数の停止識別情報の組合せを備え」るということはあり得ない。

以上、イ.?ハ.で指摘した点について、特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明の構成に欠くことのできない事項のみを記載したものとは認められず、平成6年改正前特許法第36条第5項第2号及び第6項に規定する要件を満たしていない。

(5)独立特許要件についてのむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、平成6年改正前特許法第17条の2第4項において準用する同法第126条第3項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本件審判請求についての判断
【1】本願発明
平成20年4月11日付の手続補正が上記のとおり却下されているので、本願の請求項1乃至4に係る発明は、平成16年8月24日付の手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至4に記載された事項により特定されるとおりのものである。

【2】新規事項追加についての判断
平成16年8月24日付の手続補正は、特許請求の範囲を補正するものであり、上記補正後の請求項1の記載は次のとおりである。
「遊技盤面に設けられた始動入賞領域と、該始動入賞領域へのパチンコ球の通過に基づいて予め所定順序に配列されている複数種の識別情報を前記配列にしたがって複数列または複数行で互いに異なる所定の変動時間づつ各列単位または各行単位で変動表示させ、該変動表示の終了に基づいて識別情報のいずれかを順次時間差をおいて各列毎または各行毎に停止表示する可変表示装置と、
該可変表示装置に停止表示された全列または全行の停止識別情報の組合せが予め定められた変動表示確率に基づいて定められた特別組合せである場合に遊技者に有利な権利を所定の大役時間だけ発生させる可変入賞球装置を備えたパチンコ機の画像表示装置において、
前記識別情報を複数行1列または1行複数列と、複数行複数列とで表示可能な表示部材と、予め定められた行数・列数からなる通常行列組合せで前記識別情報を表示し、前記特別組合せとなる所定の有効ライン本数からなる複数の通常表示態様、または前記通常行列組合せの行数および列数の少なくともいずれか一方の数値を異ならせた行数および列数からなる特別行列組合せで識別情報を表示し、前記通常表示態様の有効ライン本数とは異なる複数の特別表示態様が表示される前記表示部材を制御する画像制御回路と、前記通常表示状態から前記特別表示態様に移行させる予め定められた態様変動条件のいずれかに基づいて、その態様変動条件と対応するいずれかの特別表示態様に移行させるビデオ制御回路を、
前記可変表示装置に設けたことを特徴とするパチンコ機の画像表示装置。」

上記請求項1には、「予め定められた行数・列数からなる通常行列組合せで前記識別情報を表示し、前記特別組合せとなる所定の有効ライン本数からなる複数の通常表示態様、…が表示される前記表示部材を制御する画像制御回路と、」と記載されており、この記載によれば、通常表示態様が「複数」あるものと解される。

これに対し、願書に最初に添付した明細書(以下、添付図面を含めて「当初明細書」という。)には、以下の関連する記載が認められる。
記載事項1;「【請求項2】 通常行列組合せが1行複数列または複数行1列からなり、特別行列組合せが複数行複数列からなることを特徴とする請求項1に記載のパチンコ機の画像表示装置。」
記載事項2;「【0055】なお特別表示態様において、特別行列組合せを3行3列に定め、図6に示すように中列の識別情報を上行、中行および下行にわたって表示するように構成してもよい。この場合、特別組合せを構成する識別情報の組合せを示す有効ラインLの組合せ本数は合計で3本になる。
【0056】この有効ラインLは通常表示態様および特別表示態様の種別に応じて各列毎にその組合せを表示するためのもので、ビデオ制御回路6は、少なくともリーチ状態の成立時、特別組合せを構成する識別情報の組合せを通常表示態様および特別表示態様の種別に応じて各列毎に表示する。」
記載事項3;「【0079】また通常表示態様の場合、通常行列組合せが1行3列なので、全ての停止識別情報の組合せは4096(=16×16×16)通りになる。」

上記記載事項について検討する。
記載事項1について、「1行複数列」と「複数行1列」との記載は、「1行複数列」または「複数行1列」のどちらか一方という択一的な記載と解さねばならない。すなわち、通常表示態様として当初明細書に記載されているのは、このうちどちらか一方である。しかも、「1行」または「1列」の条件があるから、有効ライン本数は1本であるので、通常表示態様が「複数」あることを示す記載とは認められない。
記載事項2について、平成16年8月24日付意見書に主張される上記手続補正における「・・・前記特別組合せとなる所定の有効ライン本数からなる複数の通常表示態様、」との補正の根拠箇所である。ここには、「種別」との記載はあるが、通常表示態様および特別表示態様の種別を意味するに止まり、通常表示態様に「種別」が存在するとまで解する理由はなく、通常表示態様が「複数」あることを示す記載とは認められない。
記載事項3について、「通常表示態様の場合、通常行列組合せが1行3列なので、」と記載されるように、通常表示態様は、1行3列の通常行列組合せであると解さねばならない。なお、4096(=16×16×16)通りという「複数」が意味するものは、「停止識別情報の組合せ」であり、該「停止識別情報の組合せ」が、通常表示態様のことを意味するとは、理解できない。

そうすると、通常表示態様が「複数」あることは、当初明細書に記載も示唆もなく、さらに、当初明細書の記載からみて自明であるとも認められない。

【3】むすび
したがって、平成16年8月24日付でした手続補正は、平成6年改正前特許法第17条の2第2項において準用する同法第17条第2項に違反する。
それゆえ、他の拒絶理由について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-07-23 
結審通知日 2008-07-30 
審決日 2008-08-12 
出願番号 特願平6-28859
審決分類 P 1 8・ 55- WZ (A63F)
P 1 8・ 575- WZ (A63F)
P 1 8・ 572- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井海田 隆  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 小原 博生
▲吉▼川 康史
発明の名称 パチンコ機の画像表示装置  
代理人 中村 壽夫  
代理人 萼 経夫  
代理人 小野塚 薫  
代理人 宮崎 嘉夫  

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