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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B41J |
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管理番号 | 1185489 |
審判番号 | 不服2005-25156 |
総通号数 | 107 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-11-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-12-27 |
確定日 | 2008-10-02 |
事件の表示 | 平成11年特許願第130578号「画像形成装置および画像形成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成12年11月21日出願公開、特開2000-318270〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成11年5月11日の特許出願であって、拒絶理由通知に応答して平成17年8月15日付けで手続補正がされたが、同年11月28日付けで拒絶査定がされ、これを不服として同年12月27日付けで審判請求がされたものである。 2.本願発明の認定 本願の請求項5に係る発明は、平成17年8月15日付けで補正された特許請求の範囲の請求項5に記載された次のとおりのものと認められる。 「【請求項5】 画像形成方法において、 複数頁からなる画像データの各頁が、指定されたサイズの用紙に印刷可能であるか否かを判別する段階と、 指定されたサイズの用紙への印刷が可能と判別された頁を指定されたサイズの用紙に印刷する段階と、 指定されたサイズの用紙への印刷が不可と判別された頁を指定されたサイズ以外の用紙に強制的に印刷する段階と、 前記指定されたサイズ以外の用紙への強制的な印刷が行われた旨を通知する段階と、 前記指定されたサイズの用紙への印刷が不可と判別された頁の画像データを記憶手段に保存する段階と、を有することを特徴とする画像形成方法。」(以下、「本願発明」という。) 3.引用例記載の発明 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平7-223341号公報(以下、「引用例」という。)には図示と共に次の記載事項がある。 記載事項1:【特許請求の範囲】として 「【請求項1】 プリントデータに含まれる印刷条件の指定情報に基づいてプリンタの印刷条件を設定し、当該プリントデータに含まれる文書情報をプリントアウトさせるプリンタ制御装置において、 プリンタの状態を獲得する印字装置状態獲得手段と、 プリントデータに含まれる印刷条件の指定情報に対してプリンタが許容できる印刷条件の属性を変更候補として保持する変更情報保持手段と、 印字装置獲得手段で得たプリンタの状態がプリントデータにより指定される印刷条件を満たせない場合に、変更情報保持手段に保持した変更候補で当該印刷条件を変更して当該プリンタを制御する印字装置要求変更手段と、 を備えたことを特徴とするプリンタ制御装置。」 記載事項2:【課題を解決するための手段】に係る段落として 「【0006】上記の印刷条件には、例えば、用紙のサイズ、1枚の用紙に何ページ分の文書を印字するかの指定、両面印刷の指定、印字の解像度の指定、プリントアウトするトレイの指定、印字のカラーの指定、印字のフォントの指定、等の属性が含まれ、プリンタはこれら印刷条件に従って文書情報をプリントアウトする。また、印字装置状態獲得手段で獲得されるプリンタの状態には、障害が生じた場合のエラー(error)状態等といったプリンタの処理状態の他、プリンタに設定されている印刷条件も含まれる。(以下、省略)・・・」 記載事項3:【課題を解決するための手段】に係る段落として 「【0009】本発明は、プリンタに設定できる印刷条件がプリント処理の開始当初からプリントデータで要求される印刷条件に適合していない場合のみならず、プリント処理の途中で使用していた用紙が切れてしまう等してプリンタがプリントデータで要求される印刷条件を満たせなくなった場合にも適用できる。前者の場合にはプリント処理開始前にプリントデータで要求する印刷条件をプリンタが許容可能なものに変更し、後者の場合には印字装置状態獲得手段で獲得される状態からプリンタが印刷条件を満たせなくなったことがわかるので、その時点で、例えば、使用する用紙の指定を現時点でプリンタが有している他のサイズのものに切り替える等してプリントデータで要求する印刷条件を変更し、その後のプリント処理を続行すれば文書の概観をプリントアウトすることができる。 【0010】なお、プリンタ制御装置にプリントデータを送ったユーザと通信するためのユーザインタフェース手段を設け、プリントデータの受信時に得た送信元のアドレスに基づいて上記のような印刷条件の変更を通知するようにすれば、ユーザにプリント処理の現状を迅速に把握させることができる。」 (ア)記載事項2には、「用紙のサイズ」は「印刷条件」及び「属性」の一つであること、及び、「印字装置状態獲得手段で獲得されるプリンタの状態」には、「プリンタに設定されている印刷条件」も含まれることが記載されている。 そして、記載事項3には、「印刷条件」が「用紙のサイズ」である場合の例が記載されており、「印字装置状態獲得手段で獲得される状態からプリンタが印刷条件を満たせなくなったことがわかるので、その時点で、例えば、使用する用紙の指定を現時点でプリンタが有している他のサイズのものに切り替える等してプリントデータで要求する印刷条件を変更し、その後のプリント処理を続行すれば文書の概観をプリントアウトすることができる。」と記載されている。 (イ)記載事項3には「【0010】なお、プリンタ制御装置にプリントデータを送ったユーザと通信するためのユーザインタフェース手段を設け、プリントデータの受信時に得た送信元のアドレスに基づいて上記のような印刷条件の変更を通知するようにすれば、ユーザにプリント処理の現状を迅速に把握させることができる。」とある。 これは、印刷装置の「印刷条件」及び「属性」が「用紙サイズ」である場合には、「指定されたサイズ以外の用紙への強制的な印刷が行われた旨を通知する段階」を有することである。 してみるに、引用例には、以下の発明が記載されていると認められる。 「プリントデータが、指定されたサイズの用紙に印刷可能であるか否かを判別する段階と、 指定されたサイズの用紙への印刷が可能と判別されたプリントデータを指定されたサイズの用紙に印刷する段階と、 指定されたサイズの用紙への印刷が不可と判別されたプリントデータを指定されたサイズ以外の用紙に強制的に印刷する段階と、 前記指定されたサイズ以外の用紙への強制的な印刷が行われた旨を通知する段階と、 を有することを特徴とする画像形成方法」(以下、引用発明という。) 4.対比 本願発明と引用発明とを比較する。 引用発明の「プリントデータ」は、複数頁からなるか否かは不明であるが、印刷されるデータつまり「印刷データ」である点で、本願発明の「複数頁からなる画像データ」と共通する。 引用発明の「指定されたサイズの用紙への印刷が可能と判別されたプリントデータを指定されたサイズの用紙に印刷する段階」は、「指定されたサイズの用紙への印刷が可能と判別された印刷データを指定されたサイズの用紙に印刷する段階」である点で、本願発明の「指定されたサイズの用紙への印刷が可能と判別された頁を指定されたサイズの用紙に印刷する段階」と共通する。 引用発明の「指定されたサイズの用紙への印刷が不可と判別されたプリントデータを指定されたサイズ以外の用紙に強制的に印刷する段階」は、「指定されたサイズの用紙への印刷が不可と判別された印刷データを指定されたサイズ以外の用紙に強制的に印刷する段階」である点で、本願発明の「指定されたサイズの用紙への印刷が不可と判別された頁を指定されたサイズ以外の用紙に強制的に印刷する段階」と共通する。 してみるに、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、以下の点で相違する。 <一致点> 「印刷データが、指定されたサイズの用紙に印刷可能であるか否かを判別する段階と、 指定されたサイズの用紙への印刷が可能と判別された印刷データを指定されたサイズの用紙に印刷する段階と、 指定されたサイズの用紙への印刷が不可と判別された印刷データを指定されたサイズ以外の用紙に強制的に印刷する段階と、 前記指定されたサイズ以外の用紙への強制的な印刷が行われた旨を通知する段階と、を有する画像形成方法」 <相違点> (i)本願発明は、指定されたサイズの用紙に印刷可能であるか否かの判断を、「複数頁からなる画像データの各頁」で行い、各頁毎に判断された結果、指定されたサイズの用紙または指定されたサイズ以外の用紙に印刷することを特定しているのに対して、引用発明はプリントデータの各頁毎に指定されたサイズの用紙に印刷可能であるか否かの判断を行うものではなく、前記特定を有しない点で相違する。 (ii)本願発明は、「前記指定されたサイズの用紙への印刷が不可と判別された頁の画像データを記憶手段に保存する段階と、を有する」と特定されているのに対して、引用発明は当該特定を有しない点で相違する。 5.判断 相違点(i)について プリントデータが複数頁にわたって印刷されるデータであって、各頁に対する用紙サイズ情報を有することは周知である。 例えば、特開昭62-179024号公報の第1頁右下欄4?9行の「従来の文書印刷装置例えば日本語ワードプロセッサで印刷する場合、1ベージめの形式はA4サイズの用紙、2ベージめの形式はA3サイズの用紙、3ベージめの形式はB4サイズの用紙などというように文字の配置を各ページ毎に変えられたとしても」の記載、特開平3-29055号公報の第2頁左上欄10?13行の「例えば印刷出力する文書が、A4と84の混在した用紙サイズで計5ページからなり、そのうち1ページはA4サイズで、残りのページはB4サイズで構成されている場合」の記載を参照されたい。 そして、引用発明を、当該周知である各頁に対する用紙サイズ情報を有するプリントデータに対応させ、指定されたサイズの用紙に印刷可能であるか否かの判断を各頁毎に行い、上記相違点(i)に係る本願発明のようにすることは、当業者が容易に想到することである。 相違点(ii)について プリンタにおいて、合致するサイズの用紙が無い場合には印刷データを記憶手段に保存し、合致するサイズの用紙がある印刷データのみ印刷し、後に合致するサイズの用紙がセットされたら保存しておいた印刷データを再度印刷することは周知である。例えば、原査定の拒絶の理由で引用した特開平9-314925号公報、特開平4-211977号公報が挙げられる。 引用例の段落【0063】には「また、本発明は、プリンタの印刷条件を変更した際にユーザに変更したことの通知をするようにすれば、ユーザに更なる利便性を与えることをができる。」と記載されており、プリントデータが要求する印刷条件を満たさないことをユーザが把握できるようにしているのであるから、その後、プリントデータが要求する印刷条件の印刷物を得ようとすることは容易に想到することである。 してみれば、引用発明において、指定されたサイズの用紙への印刷が不可と判別され、指定されたサイズ以外の用紙に強制的に印刷された頁に対して前記した周知技術を採用し、本願発明の上記相違点(ii)に係る構成を備えることは、引用例の記載及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到できることである。 また、本願発明の効果は、引用例の記載及び周知技術から、当業者が容易に予測し得る程度のものである。 6.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例の記載及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-07-23 |
結審通知日 | 2008-07-29 |
審決日 | 2008-08-18 |
出願番号 | 特願平11-130578 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B41J)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 石原 徹弥 |
特許庁審判長 |
江成 克己 |
特許庁審判官 |
菅藤 政明 長島 和子 |
発明の名称 | 画像形成装置および画像形成方法 |
代理人 | 八田 幹雄 |