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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65D
管理番号 1185526
審判番号 不服2006-27677  
総通号数 107 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-12-07 
確定日 2008-10-02 
事件の表示 特願2003- 90419「合成樹脂製ボトル型容器」拒絶査定不服審判事件〔平成16年10月21日出願公開、特開2004-292040〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成15年3月28日を出願日とする出願であって、平成18年10月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成18年12月7日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成18年12月15日に手続補正がなされたものである。
そして、当審において、平成18年12月15日付け手続補正書は、平成20年4月24日付け補正の却下の決定により却下されるとともに、同日付で拒絶理由が通知され、これに対して平成20年6月13日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

本願の請求項1に係る発明は、平成20年6月13日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項1には次のとおり記載されている。

「【請求項1】複数の壁面体を備え、該壁面体の端部を相互に一体連結することによって肩部、胴体部分、底部を形成してなる合成樹脂製ボトル型容器であって、前記壁面体の端部が集中する凸部のうち、少なくとも柱壁を形作る壁面体の稜線およびその延長線上に位置し胴体部分と肩部とをつなぐ壁面体の稜線上において壁面体の端部が集中することによって形成される凸部に、応力集中を緩和するカット面を設けたことを特徴とする合成樹脂製ボトル型容器。」(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)


2.引用文献
これに対して、当審における、平成20年4月24日付けで通知した拒絶理由に引用した実願平4-43104号(実開平5-94112号)のCD-ROM(以下、「引用文献」という。)には、以下の記載がある。

(a)「【0009】図4及び図5は、胴部断面形状がほぼ正方形であるプラスチックボトルに適用した本考案の他の実施例の補強リブ付プラスチックボトルに係り、該ボトル15の胴部のほぼ中央部に形成されたリブ16の構造は、前記実施例と同様であり、前壁17、後壁18、右側壁19、左側壁20では隅角壁部21より深く形成されている。」

そして、図4,図5の記載からみて、前壁17、後壁18、右側壁19、左側壁20、隅角壁部21などの各壁の端部が相互に一体連結されていること、肩部及び底部が形成されていること、及び、胴部と肩部とをつなぐ領域においてカット面が設けられていることは、いずれも明らかである。
したがって、上記(a)の記載及び図4,図5の記載によれば、引用文献には、次の発明が記載されているものと認められる。

「前壁17、後壁18、右側壁19、左側壁20、隅角壁部21を備え、各壁の端部を相互に一体連結することによって肩部、胴部、底部を形成してなるプラスチックボトルであって、前記胴部と肩部とをつなぐ領域において、カット面を設けたプラスチックボトル。」(以下、この発明を「引用発明」という。)


3.対比
引用発明における「壁」は、本願発明における「壁面体」に相当することは明らかであるから、引用発明における「前壁17、後壁18、右側壁19、左側壁20、隅角壁部21」は、本願発明における「複数の壁面体」に相当し、以下同様に、引用発明における「胴部」、「プラスチックボトル」は、それぞれ、本願発明における「胴体部分」、「合成樹脂製ボトル型容器」に相当する。

そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、両者は

「複数の壁面体を備え、各壁面体の端部を相互に一体連結することによって肩部、胴体部分、底部を形成してなる合成樹脂製ボトル型容器であって、前記胴体部分と肩部とをつなぐ領域において、カット面を設けた合成樹脂製ボトル型容器。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

【相違点1】
本願発明では、カット面を設ける個所が、壁面体の端部が集中する凸部のうち、少なくとも柱壁を形作る壁面体の稜線およびその延長線上に位置し胴体部分と肩部とをつなぐ壁面体の稜線上において壁面体の端部が集中することによって形成される凸部について設けるものであるのに対して、引用発明では、カット面を、胴体部分と肩部とをつなぐ領域において設けているものの、壁面体の端部が集中する凸部のうち、少なくとも柱壁を形作る壁面体の稜線およびその延長線上に位置し胴体部分と肩部とをつなぐ壁面体の稜線上において壁面体の端部が集中することによって形成される凸部に設けるとは記載されていない点。

【相違点2】
本願発明では、カット面が応力集中を緩和するものであると記載されているのに対して、引用発明では、カット面が設けられているものの、それが応力集中を緩和するものであるとは記載されていない点。


4.当審の判断
【相違点1】について
合成樹脂製ボトル型容器として、本願発明のような、複数の壁面体を備え、該壁面体の端部を相互に一体連結することによって肩部、胴体部分、底部を形成してなる合成樹脂製ボトル型容器であって、前記壁面体の端部が集中する凸部を有し、柱壁を形作る壁面体の稜線およびその延長線が存在し、胴体部分と肩部とをつなぐ壁面体の稜線上において壁面体の端部が集中することによって形成される凸部が存在している合成樹脂製ボトル型容器は、文献を挙げるまでもなく本願出願前周知のものである(必要があれば、特開平9-301335号公報、特開平9-328115号公報、特開平11-59646号公報、特開平11-255225号公報、特開平11-255226号公報、特開平11-255227号公報、特開平11-255229号公報、特開2002-145233号公報、実開平7-4308号公報を参照)。
そして、一般に、合成樹脂製ボトル型容器において、壁面体の端部が集中する凸部にカット面を設けることは、前審における、平成18年6月2日付け拒絶理由通知書において引用された引用文献(特開平06-298254号公報の【図2】、特開平10-072062号公報の【図1】)などに記載があるように本願出願前周知の技術であり、種々の目的で凸部にカット面を設けることが行われている。
してみれば、上記「2.引用文献」に記載した引用文献において、その合成樹脂製ボトル型容器の形状を、前記周知の形状(複数の壁面体を備え、該壁面体の端部を相互に一体連結することによって肩部、胴体部分、底部を形成してなる合成樹脂製ボトル型容器であって、前記壁面体の端部が集中する凸部を有し、柱壁を形作る壁面体の稜線およびその延長線が存在し、胴体部分と肩部とをつなぐ壁面体の稜線上において壁面体の端部が集中することによって形成される凸部が存在している形状)に設計変更することは当業者が適宜行えることであり、その際、壁面体の端部が集中する凸部のうち、少なくとも柱壁を形作る壁面体の稜線およびその延長線上に位置し胴体部分と肩部とをつなぐ壁面体の稜線上において壁面体の端部が集中することによって形成される凸部に、カット面を設けることは当業者が容易に行えることと解せざるを得ない。

【相違点2】について
合成樹脂製ボトル型容器において、角部(凸部)をカットして、平面によって面取り部を形成することで応力集中を緩和して、不均一な変形を防止できることは、本願出願前周知の技術(特開平6-183430号公報の段落0001,0006,0008,0013及び図1,図2の図面符号12を参照)であることからみて、角部(凸部)をカットして、平面によって面取り部を形成することは、そのことが、すなわち、応力集中を緩和するものであることにほかならないものと解することができる。
なお、前記周知技術文献においては、合成樹脂製ボトル型容器の脚部における角部(凸部)をカットして、平面による面取り部を形成しているものであるが、合成樹脂製ボトル型容器における、脚部に限らず他の部分においても、角部(凸部)をカットして、平面によって形成された面取り部を設けることによって、上記と同様の効果、すなわち、面取り部を形成した部分の強度が向上して不均一な変形を防止できること、集中する応力が分散されることは、当業者であれば容易に類推できることである。


5.むすび
したがって、本願発明は、引用文献及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-07-25 
結審通知日 2008-07-29 
審決日 2008-08-20 
出願番号 特願2003-90419(P2003-90419)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 谷治 和文  
特許庁審判長 寺本 光生
特許庁審判官 村山 禎恒
佐野 健治
発明の名称 合成樹脂製ボトル型容器  
代理人 藤谷 史朗  
代理人 杉村 興作  
代理人 来間 清志  

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