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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F03B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F03B
管理番号 1185535
審判番号 不服2007-6132  
総通号数 107 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2008-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-03-01 
確定日 2008-10-02 
事件の表示 特願2000-269746「小型水力発電装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 3月22日出願公開、特開2002- 81363〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年9月6日の出願であって、平成19年1月4日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年3月1日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年3月30日に明細書についての補正がなされ、その後、同年5月18日に平成19年3月30日付手続補正書についての方式補正がなされたものである。(以下、上記方式補正がなされた手続補正書を「平成19年3月30日付の手続補正書」という。)

2.平成19年3月30日付の手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願の発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「流体通路に配設され所定流量の流体通過に伴って回転する水車を備えると共に、この水車に連結され水車と共に回転する回転体をステータ部に対向配置させたロータ部とし、このロータ部を上記流体の通過に伴って上記ステータ部に対して相対回転させることにより電力を発生させる小型水力発電装置において、上記流体通路の入路及び出路を備えた第1のケースと、上記入路及び上記出路に連通する内部空間を有し、この内部空間に上記回転体を配置すると共にこの内部空間と上記ステータ部とを隔絶する第2のケースと、をはめ合わせて一連の内部空間を形成する構造を有すると共に、上記第1のケースの上記第2のケースとのはめ合わせ部には凹部もしくは凸部が設けられ、上記第2のケースの上記第1のケースとのはめ合わせ部には上記凹部の内壁もしくは上記凸部の外壁に対向する対向壁が設けられ、上記第2のケースの上記第1のケースに対するはめ込み方向であって上記回転体を支承する軸の方向に対して直交する方向で上記対向壁と上記凹部の内壁もしくは上記凸部の外壁との間に狭持されるリング状の弾性シール部材を有し、上記第1のケース及び上記第2のケースには、それぞれ上記回転体を支承する軸の両端をそれぞれ支持する支持部が設けられたことを特徴とする小型水力発電装置。」
と補正された。
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である弾性シール部材の挟持される方向について、はめ込み方向「であって回転体を支承する軸の方向」との限定を付加するものであって、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用文献
(2-1)原査定の拒絶の理由に引用された特開平5-52178号公報(以下「引用文献1」という。)には、「衝動式水車」と題して、図面と共に次の事項が記載されている。
・「【0002】
【従来の技術】本願出願人は、特願平2-328212号により、簡単な構成にて水車の効率の向上及び小型化を図ることができる衝動式水車を提案している。これは、図7に示すように、ケーシング内に円形内周面を有する羽根車収納室1が形成されるとともに、その羽根車収納室1の外周側に環状の高圧室2が形成され、この高圧室2に水供給通路3が接続され、さらに、羽根車収納室1において回転軸を中心に回転可能な羽根車4を配設し、羽根車4の受圧面を指向するノズル孔5a,5b,5c,5dを羽根車収納室1に開口させたものである。」
・「【0010】金属製のメインケーシング10には図面の上方に開口する円形の凹部11が形成されるとともに、その凹部11に連通する水供給通路としての水圧路12が形成されている。又、凹部11の底面には円形の連通口13を介して水抜き用水路14が形成されている。凹部11内には高分子材料製の円筒材15が配置され、この円筒材15の下端外周が連通口13に全周接した状態で嵌入されるとともに、上端外周に形成した鍔部15aが凹部11の内周面と全周接した状態で嵌入されている。そして、円筒材15の回りには水圧路12と連通して高圧となる環状の高圧室16が形成され、又、円筒材15の内部には円形内周面を有する羽根車収納室17が形成されている。円筒材15には4つのノズル孔18a,18b,18c,18dが90°毎に設けられ、このノズル孔18a,18b,18c,18dは円筒材15の内周面に開口し、内周面の周方向の接線方向に高圧水を噴出させるようになっている。
【0011】よって、円筒材15の鍔部15a(大径部)が凹部11内に嵌入されるとともに円筒材15の小径部外周に高圧水が印加されている。又、高圧室16と水圧路12との連通部分は、円筒材15でのノズル孔18aと18dとの中間部分となっている。つまり、水圧路12からの水流は、円筒材15の中心に向かい、かつ、ノズル孔18aと18dとの中間部分の円筒材15の外周囲に当たるようになっている。」
・「【0013】さらに、羽根21aの上方での羽根部21には永久磁石23が固定され、この磁石23は羽根車19の円周方向にS,N極が交互に着磁されている。尚、羽根21aの枚数は7枚以外の枚数でもよく、又、ノズル孔18の数も4個以外の個数でもよい。
【0014】図1に示すように、メインケーシング10の凹部11の開口部には薄いステンレス鋼板よりなる仕切り部材24が配設されている。この仕切り部材24は円筒材15の上面に当接するとともに、羽根車19に固定された永久磁石23の外周を取り巻いている。又、羽根車19のシャフト20の下端部は水抜き用水路14途中に形成された凹部25内に配置され、同端部は高分子材料製のスラスト軸受26と高分子材料製のラジアル軸受27にて支持されている。さらに、羽根車19のシャフト20の上端部はラジアル軸受28を介して仕切り部材24にて支持されている。このように、羽根車19は羽根車収納室17において同室17の中心線が回転軸となるように配設され、さらに、羽根車収納室17において羽根車19の回転軸方向での下側には水抜き用水路14が開口している構造となっている。
【0015】又、仕切り部材24の外周にはヨーク29がネジ30にて仕切り部材24を挟んだ状態でメインケーシング10に固定されている。さらに、ヨーク29内にコイル31を巻装したコイルボビン32が配置されている。尚、仕切り部材24とメインケーシング10との間にはOリング33が配置されるとともに、ターミナル34にてコイル31が外部機器と接続されている。」
・「【0019】そして、羽根車19に当たった後の水は水抜き用水路14から排出される。又、羽根車19の回転に伴い永久磁石23が回転し、永久磁石23からヨーク29に伝わる磁束の流れが変化し、この変化を妨げる方向にコイル31に電流が流れ発電が行われる。」

図1には、メインケーシング10と、羽根車収納室17とヨーク29とを隔絶するケーシングを構成する仕切部材24と、をはめ合わせて一連の羽根車収納室17を形成する構造、及び、上記メインケーシング10の上記仕切部材24とのはめ合わせ部に凹部が設けられ、上記仕切部材の上記ケーシング10とのはめ合わせ部には上記凹部の内壁に対向する対向壁が設けられた構成が示されている。
また、永久磁石23を固着した羽根部は羽根車19の回転に伴い回転し、ヨークに対して相対回転させることにより電力を発生させるものであるので、「永久磁石を固着した羽根部」を「ロータ部」ということができる。

これらの記載事項及び図示内容を総合すると、引用文献1には、次の事項からなる発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「水供給路に配設され所定流量の水通過に伴って回転する羽根車を備えると共に、この羽根車に連結され羽根車と共に回転する永久磁石を固着した羽根部をヨークに対向配置させたロータ部とし、このロータ部を上記水の通過に伴って上記ヨークに対して相対回転させることにより電力を発生させる衝動式水車において、水圧路及び水抜き用水路を備えたメインケーシングと、上記水圧路及び上記水抜き用水路に連通する羽根車収納室を有し、この羽根車収納室に上記羽根部を配置すると共にこの羽根車収納室と上記ヨークとを隔絶する仕切部材と、をはめ合わせて一連の羽根車収納室を形成する構造を有すると共に、上記メインケーシングの上記仕切部材とのはめ合わせ部には凹部が設けられ、上記仕切部材の上記メインケーシングとのはめ合わせ部には上記凹部の内壁に対向する対向壁が設けられ、上記仕切部材と上記メインケーシングとの間に狭持されるOリングを有し、上記メインケーシング及び上記仕切部材には、それぞれ上記羽根部を支承するシャフトの両端をそれぞれ支持する軸受けが設けられた衝動式水車。」

(2-2)同じく原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-287818号公報(以下「引用文献2」という。)には、水力発電式無線水センサーと題して図面と共に次の事項が記載されている。
・「【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、本発明は、水路中に設けられた羽根車と、該羽根車の回転を電力に変換する発電機と、この発電機による電力により水道水の使用の有無の情報を検出してその情報を無線で発信する電子回路部を備えたことを特徴とするものである。」
・「【0011】上記羽根車室3内には羽根車6が軸7に支えられて回転可能に配置され、その羽根車6の上部には発電機を構成するマグネット8が固着されている。上ケース9は上記羽根車室3の上部を密封するように形成され、該上ケース9の中央部9aが上記マグネット8の上部と側部に近接して形成されている。
【0012】上ケース9の中央部9aの上部には、上記マグネット8に対応するコイル10が配置され、その外周にヨーク11が配置されている。これらマグネット8、コイル10、ヨーク11により発電機13を構成している。」
・また、図1には、下部ケース2の、上ケース9とのはめ合わせ部には凹部が設けられ、上記上ケース9の上記下ケース2とのはめ合わせ部には上記凹部の内壁に対向する対向壁が設けられ、上記上ケース9の上記下部ケース2に対するはめ込み方向であって羽根車6と共に回転するマグネット8を支承する軸7の方向に対して直交する方向で上記対向壁と上記凹部の内壁との間に挟持されるリング状の弾性シール部材を有する構成が示されている。

(3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比すると、後者の「水供給路」はその機能・作用からみて、前者の「流体通路」に相当し、以下同様に「水」は「流体」に、「羽根車」は「水車」に、「永久磁石を固着した羽根部」は「回転体」に、「ヨーク」は「ステータ部」に、「衝動式水車」は「小型水力発電装置」に、「水圧路」は「流体通路の入路」に、「水抜き用水路」は「出路」に、「メインケーシング」は「第1のケース」に、「羽根車収納室」は「内部空間」に、「仕切部材」は「第2のケース」に、「Oリング」は「リング状の弾性シール部材」に、「シャフト」は「軸」に、「軸受け」は「支持部」に、それぞれ相当する。

したがって両者は、
[一致点]
「流体通路に配設され所定流量の流体通過に伴って回転する水車を備えると共に、この水車に連結され水車と共に回転する回転体をステータ部に対向配置させたロータ部とし、このロータ部を上記流体の通過に伴って上記ステータ部に対して相対回転させることにより電力を発生させる小型水力発電装置において、上記流体通路の入路及び出路を備えた第1のケースと、上記入路及び上記出路に連通する内部空間を有し、この内部空間に上記回転体を配置すると共にこの内部空間と上記ステータ部とを隔絶する第2のケースと、をはめ合わせて一連の内部空間を形成する構造を有すると共に、上記第1のケースの上記第2のケースとのはめ合わせ部には凹部もしくは凸部が設けられ、上記第2のケースの上記第1のケースとのはめ合わせ部には上記凹部の内壁もしくは上記凸部の外壁に対向する対向壁が設けられ、上記第2のケースと上記第1のケースとの間に狭持されるリング状の弾性シール部材を有し、上記第1のケース及び上記第2のケースには、それぞれ上記回転体を支承する軸の両端をそれぞれ支持する支持部が設けられた小型水力発電装置。」である点で一致し、
[相違点]
リング状の弾性部材を挟持する構成に関して、本件補正発明では、「第2のケースの第1のケースに対するはめ込み方向であって回転体を支承する軸の方向に対して直交する方向で対向壁と凹部の内壁もしくは凸部の外壁との間に狭持される」構成であるのに対して、引用発明では、仕切部材とメインケーシングとの間に狭持しているものの、挟持される方向は特定されていない点で相違している。

(4)相違点に対する判断
引用文献2には、下部ケース(第1のケース)の、上ケース(第2のケース)とのはめ合わせ部には凹部が設けられ、上記上ケースの上記下ケースとのはめ合わせ部には上記凹部の内壁に対向する対向壁が設けられ、上記上ケースの上記下部ケースに対するはめ込み方向であって羽根車(水車)と共に回転するマグネット(ロータ部)を支承する軸の方向に対して直交する方向で上記対向壁と上記凹部の内壁との間に挟持されるリング状の弾性シール部材によりシールする発明が示されている。
引用文献2に記載された上記発明は、引用発明と同様の小型水力発電装置に関するものであり、引用発明のOリング(リング状の弾性シール部材)によるシール部と目的が共通するものであるから、引用発明において引用文献2に記載の上記発明の構成を採用して上記相違点に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことと認められる。

また、本件補正発明の全体構成により奏される効果は、引用発明及び引用文献2に記載された発明から予測し得る程度のものと認められる。
したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する特許法第126条第5項の規定に違反するものであり、平成18年改正前特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成18年12月5日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「流体通路に配設され所定流量の流体通過に伴って回転する水車を備えると共に、この水車に連結され水車と共に回転する回転体をステータ部に対向配置させたロータ部とし、このロータ部を上記流体の通過に伴って上記ステータ部に対して相対回転させることにより電力を発生させる小型水力発電装置において、上記流体通路の入路及び出路を備えた第1のケースと、上記入路及び上記出路に連通する内部空間を有し、この内部空間に上記回転体を配置すると共にこの内部空間と上記ステータ部とを隔絶する第2のケースと、をはめ合わせて一連の内部空間を形成する構造を有すると共に、上記第1のケースの上記第2のケースとのはめ合わせ部には凹部もしくは凸部が設けられ、上記第2のケースの上記第1のケースとのはめ合わせ部には上記凹部の内壁もしくは上記凸部の外壁に対向する対向壁が設けられ、上記第2のケースの上記第1のケースに対するはめ込み方向に対して直交する方向で上記対向壁と上記凹部の内壁もしくは上記凸部の外壁との間に狭持されるリング状の弾性シール部材を有し、上記第1のケース及び上記第2のケースには、それぞれ上記回転体を支承する軸の両端をそれぞれ支持する支持部が設けられたことを特徴とする小型水力発電装置。」

(1)引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献及びその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、上記したとおりであって、前記「2.」で検討した本件補正発明から弾性シール部材の挟持される方向について、はめ込み方向「であって回転体を支承する軸の方向」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用発明及び引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-08-04 
結審通知日 2008-08-05 
審決日 2008-08-18 
出願番号 特願2000-269746(P2000-269746)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F03B)
P 1 8・ 575- Z (F03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 和田 雄二  
特許庁審判長 田良島 潔
特許庁審判官 仁木 浩
谷口 耕之助
発明の名称 小型水力発電装置  
代理人 アイアット国際特許業務法人  
代理人 アイアット国際特許業務法人  

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