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審決分類 |
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04J 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04J |
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管理番号 | 1185614 |
審判番号 | 不服2005-4500 |
総通号数 | 107 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2008-11-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-03-15 |
確定日 | 2008-10-07 |
事件の表示 | 特願2000-373756「リアルタイム・サービスを提供するためのバースト・ベースのアクセスおよび割り当て方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 8月10日出願公開、特開2001-217799〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成12年12月8日(パリ条約による優先権主張1999年12月10日、米国)に出願したものであって、平成16年12月10日付けで拒絶査定がなされたところ、平成17年3月15日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、その後、当審において平成19年7月20日付けで通知した拒絶理由に対し、平成20年1月23日付けで手続補正がなされるとともに、同日付けで意見書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1及び2に係る発明は、平成20年1月23日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 基地局(12)が半二重のダウンリンク・チャンネルおよびアップリンク・チャンネルを介して、通信を、それぞれ移動局(20,30)に送信しおよび該移動局から受信し、該ダウンリンク・チャンネルおよび該アップリンク・チャンネルを介して通信される情報が、各々データ・バーストに分割された複数のフレーム(マルチフレーム1,2)内に含まれており、そして該移動局が該基地局にデータを送信するためのアップリンク・チャンネルが何ら設定されていない基地局に対して送信されるデータを該移動局が取得し、該基地局に対するデータ通信アップリンク・チャンネルを設定するための要求を該移動局から第1のアップリンク・チャンネルを介して送信するように構成されている無線時分割多重通信システムを介して通信を行う方法であって、 いずれのダウンリンク・チャンネルを介して送信されているいずれの通信とも無関係に該要求を送信するステップであって、該アップリンク・チャンネルを設定するための該要求を送信する処理に関連づけられた指示についてのダウンリンク・チャンネルを、該移動局に前もって監視させる必要なしに、アップリンク・データ通信チャンネルが設定できるようになっているステップと、 該取得されたデータを送信するための第2のアップリンク・チャンネルの割り当てを得るステップと、 該第2のアップリンク・チャンネル上で該取得されたデータを搬送するために各フレーム内に複数のデータ・バーストを割り当てるステップであって、該割り当てられたデータ・バーストが、半二重の第2のアップリンク・チャンネルを規定するためのデータ・バーストのグループ内における他の連続するバースト毎のみの位置を占有しているステップと、 を含むことを特徴とする方法。 【請求項2】 請求項1に記載の方法において、さらに 該取得されたデータを第1のデータ・ブロックに編成するステップと、 2つ以上の連続するデータ・バーストにわたってインターリーブされた該第1のデータ・ブロックを、該第2のアップリンク・チャンネル上で送信するステップと、を含む方法。」 第3 当審の拒絶理由 当審において平成19年7月20日付けで通知した拒絶理由の理由1)は、以下のとおりである。 「1)本件出願は、明細書及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号及び第2号並びに第4項に規定する要件を満たしていない。 記 1.請求項1において、「時間が複数のフレームに分割されており、各フレームがN個のデータ・バーストに分割されているような、無線時分割多重通信システム上で通信する方法」と記載されているが、 (1)「各フレームがN個のデータ・バーストに分割されている」とは、具体的にどのようなことか不明である。 (・・・中略・・・) (2)当該記載の裏付けとなる事項の、発明の詳細な説明における記載箇所(特に、「発明の実施の形態」についての記載における記載箇所)が不明である。 (・・・中略・・・) 8.請求項1において、「該複数のダウンリンク・チャネルにて、2つ以上の連続するデータ・バーストにわたってインターリーブされた第1のデータ・ブロックを送信するステップ」と記載されているが、 (1)「第1のデータ・ブロック」を「2つ以上の連続するデータ・バーストにわたってインターリーブ」するとは、具体的にどのような処理であるのか、不明である。 (・・・中略・・・) (2)当該記載の裏付けとなる事項の、発明の詳細な説明における記載箇所(特に、「発明の実施の形態」についての記載における記載箇所)が不明である。 9.請求項1の「該複数のアップリンク・チャンネルにて、2つ以上の連続するデータ・バーストにわたってインターリーブされた第2のデータ・ブロックを送信するステップ」との記載についても、上記8.(1)及び(2)と同様に記載不備である。 (・・・中略・・・) 10.請求項1,2,4に「データ・バースト」という語が記載されているが、発明の詳細な説明の段落【0027】等をみるに、発明の詳細な説明においては「会話」と「データ」とは区別されており、「データ」には、その元となる信号が「会話」であるのものは含まれないものと認められるところ、上記請求項1,2,4記載の「データ・バースト」には、その元となる信号が「会話」であるものが含まれないことを意図しているのか否か、不明である。 (・・・中略・・・) 12.発明の詳細な説明において、以下の点が不明又は記載不備である。 (1)段落【0063】において、「チェーン・インターリービング」、「ブロック・インターリービング」とは、それぞれいかなるものか。また、両者は何が異なるのか。 (・・・後略・・・)」 第4 当審の判断 そこで、上記手続補正により記載不備が解消しているか否かを検討する。 1.請求項1について まず、請求項1には、「各々データ・バーストに分割された複数のフレーム(マルチフレーム1,2)」と記載されているところ、これはどのようなことを意味するのか、また、当該記載の裏付けとなる事項が発明の詳細な説明の何処に記載されているのか、依然として不明である。 次いで、請求項1には「データ・バースト」という語が記載されているが、発明の詳細な説明においては「会話」と「データ」とは区別されており、「データ」には、その元となる信号が「会話」であるものは含まれないものと認められるところ、上記「データ・バースト」には、元となる信号が「会話」であるものが含まれないのか否か、依然として不明である。もし、含まれるのであれば、「データ・バースト」なる用語を用いることは不適切と認められる。加えて、請求項1には「データ」、「データ通信アップリンク・チャンネル」等の用語もあり、これらについても同様に不明である。 したがって、請求項1については、当審の拒絶理由における「1.」及び「10.」と同様の点で、依然として記載不備が解消しておらず、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。 更に、請求項1には、「該アップリンク・チャンネルを設定するための該要求を送信する処理に関連づけられた指示についてのダウンリンク・チャンネル」との記載があるが、これが何を意味しているのか全く不明である。 また、「該割り当てられたデータ・バーストが、半二重の第2のアップリンク・チャンネルを規定するためのデータ・バーストのグループ内における他の連続するバースト毎のみの位置を占有している」との記載についても、どのようなことを意味しているのか全く不明である。 したがって、これらの点においても請求項1の記載は不備であり、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。付言すれば、これらの点については、当初明細書等には記載されておらず、当初明細書等の記載から自明であるとも認められないから、特許法第17条の2第3項(新規事項)の規定にも適合していない。 2.請求項2について 請求項2には、「第2のアップリンク・チャンネル」に関して、「2つ以上の連続するデータ・バーストにわたってインターリーブされた該第1のデータ・ブロック」との記載があるが、何の並び順をどのように入れ替えるのか等、どのような処理であるのか依然として不明である。 また、発明の詳細な説明には、段落【0067】、【0076】等に「インターリービング」について記載されているものの、上記の点を明らかにするほどの記載とはいえない。してみると、上記請求項2の記載の裏付けとなる事項が発明の詳細な説明の何処に記載されているのか、依然として不明であるから、請求項2に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものであるとも認められない。 したがって、請求項2については、当審の拒絶理由における「8.」、「9.」と同様の点で記載不備であり、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。 なお、請求人は意見書において、 「(3)A.記載不備の問題について 今回の手続補正により、特許請求の範囲の記載内容を全面的に改訂する補正を行いました。これにより指摘の記載不備の問題は悉く解消されたものと思料致します。」 と主張するが、請求項1及び2について記載不備が解消されたとする根拠が見出せない。 3.発明の詳細な説明について 発明の詳細な説明は、上記手続補正では、一切、補正がなされていない。それにもかかわらず、請求人は意見書において、当審の拒絶理由において指摘した点が記載不備に該当しない理由を何ら明らかにしていない。 したがって、発明の詳細な説明については、当審の拒絶理由における「12.」の点で、依然として記載不備が解消しておらず、請求項1及び2に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているとは認められないから、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。 第5 むすび 以上のとおり、本願は、特許法第36条第6項第1号及び第2号並びに第4項に規定する要件を満たしていないから、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-05-09 |
結審通知日 | 2008-05-12 |
審決日 | 2008-05-26 |
出願番号 | 特願2000-373756(P2000-373756) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WZ
(H04J)
P 1 8・ 536- WZ (H04J) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 佐々木 洋、安藤 一道 |
特許庁審判長 |
竹井 文雄 |
特許庁審判官 |
萩原 義則 富澤 哲生 |
発明の名称 | リアルタイム・サービスを提供するためのバースト・ベースのアクセスおよび割り当て方法 |
代理人 | 加藤 伸晃 |
代理人 | 産形 和央 |
代理人 | 臼井 伸一 |
代理人 | 本宮 照久 |
代理人 | 朝日 伸光 |
代理人 | 越智 隆夫 |
代理人 | 岡部 正夫 |